JPH0813254A - 流動気相成長法による中空炭素繊維 - Google Patents

流動気相成長法による中空炭素繊維

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JPH0813254A
JPH0813254A JP6126695A JP6126695A JPH0813254A JP H0813254 A JPH0813254 A JP H0813254A JP 6126695 A JP6126695 A JP 6126695A JP 6126695 A JP6126695 A JP 6126695A JP H0813254 A JPH0813254 A JP H0813254A
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gas
carbon fibers
carbon
hollow
reaction tube
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JP6126695A
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Kohei Arakawa
公平 荒川
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Nikkiso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的特性に優れた炭素繊維を提供する。 【構成】 一群の流動気相成長炭素繊維において、その
90%以上が30〜60Åの中空内径を有する。 【効果】 機械的特性が上昇し、比表面積の大きい微細
な炭素繊維の製造も可能となり、複合材料用素材として
のメリットが増大する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、中空炭素繊維、殊に
一群の流動気相成長炭素繊維の90%以上が60Å以下
の中空内径を有する中空炭素繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は、軽量且つ高強度という材料
特性によって、航空宇宙産業、スポーツ・レジャー産業
等にその利用が急ピッチに拡大されている。
【0003】炭素繊維は、一般にPAN(ポリアクリロ
ニトリル)の紡糸、耐炎化、炭素化処理またはピッチの
溶融紡糸、不融化、炭化焼成等によって製造されてい
る。一方、気相成長法による炭素繊維は、不連続繊維で
あるが、結晶性良好な易黒鉛化性炭素繊維であり、28
00℃以上の熱処理によって、従来の炭素繊維では達成
できない極めて機械的特性に優れた素材になることで注
目を集めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、気相法による炭
素繊維は、アルミナ、黒鉛等の基板表面に100Å〜3
00Åの金属超微粒子触媒を担持させて、約1000℃
の加熱帯域で水素還元した後、気相成長を行うのが一般
であった、しかしながら、超微粒子は凝集二次粒子を形
成し、その分散も容易ではない。また、超微粒子の二次
粒子は、数百度の低温で焼結し、大粒径になり易い。従
って、現実に製造され、入手可能な最も微細な平均粒径
100Åの超微粒子を使っても、二次粒子の形成とその
焼結によって実際には、100Åとして機能できる触媒
超微粒子は、ほとんど存在しないことがわかっている。
【0005】気相法により炭素繊維は、中心に中空を有
しているが、その中空径は触媒超微粒子に強く依存して
おり、粒子径が大きくなると中空径も大きくなる。粒径
100Å以上の触媒を使った場合、その中空径はわずか
に60Å以下のものが存在するが、二次粒子の形成によ
る触媒の大粒径化によって中空径のほとんどは100Å
以上になる。
【0006】中空径は、触媒粒子の大きさと正の相関を
有するものであり、従来のような遷移金属の超微粒子を
基材に散布して後水素還元し、炭素繊維を気相生成する
方法や、遷移金属化合物を溶剤に溶かし、それを基材に
塗布し、同様の手順で炭素繊維を気相生成する方法にお
いては、触媒粒子径を100Å以下にすることは難し
い。また、中空径についても、触媒粒子が大きくなるた
めに大部分は100Å以上であり、中には1000Å程
度のものも存在し、機械的特性に悪影響を与える。
【0007】出願人は、従来の基板に鉄やニッケルなど
の超微粒子触媒を形成させる手法に代えて、有機遷移金
属化合物のガスを使用して電気炉空間で浮遊する超微粒
子触媒を形成せしめ、それにより浮遊状態で炭素繊維を
成長させる製造方法を完成し、特願昭58−16260
6号として出願した(以下この方法で製造した炭素繊維
を流動気相成長法による炭素繊維という)。
【0008】更に、出願人はこの流動気相成長法による
炭素繊維につき、その複合材料としての機械的特性、高
分解能透過型電子顕微鏡観察の結果から、流動気相成長
法による炭素繊維の製造において触媒粒径のコントロー
ルによってその大部分の中空径を60Å以下にすること
が可能であり、またその中空径が小さいほど炭素繊維の
成長速度が速いばかりでなく、優れた複合材料用素材と
なり得ることを突き止めた。
【0009】従って、本発明の目的は、従来の炭素繊維
より機械的特性に著しく優れ複合材料用素材として適し
た中空炭素繊維を提供することにある。
【0010】また、別の目的は、微細触媒を生成し、そ
れによって炭素繊維の気相生成を行うことによって、炭
素繊維の成長速度を増し、生産性をあげることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】先の目的を達成するた
め、この発明に係る中空炭素繊維は、一群の流動気相成
長炭素繊維において、その90%以上が30〜60Åの
中空内径を有することを特徴とする。
【0012】この発明に係る一群の流動気相成長炭素繊
維の90%以上が30〜60Åの中空内径を有する中空
炭素繊維は、濃度調整された有機遷移金属化合物のガス
と、キャリアガスと、必要に応じて炭素化合物のガスと
の混合ガスを加熱分解することにより連続的に製造され
る。
【0013】また、この中空炭素繊維は、流動気相成長
法において有機遷移金属化合物の濃度を全混合ガスに対
して0.01%〜40%に調整する。反応温度との関係
においては、温度が高いほど低濃度にすることが好まし
い。
【0014】これは金属原子の濃度が高くなると、その
凝集速度が速くなり、大きな粒子となり易いためと考え
られる。すなわち温度が高いと有機遷移金属化合物の分
解速度が大きくなり、気相中の金属原子の濃度が高くな
り、また有機遷移金属化合物の濃度が高いと同じく金属
原子の濃度が高くなる。それらの具体的な濃度や温度の
数値は、昇温速度や炭化水素濃度、その温度での滞在時
間などにより異なる。炭化水素の濃度が高いと粒子が大
きくなる前に繊維を生成するので、中空径の小さい繊維
の比率が大きくなると考えられるし、また温度が同じで
も、昇温速度が速かったり、炭化水素と接触するまでの
時間が長いと粒子が大きくなって、中空径も大きくなる
と考えられる。
【0015】従って本発明の好適な態様によれば、一群
の流動気相成長炭素繊維の90%以上が30〜60Åの
中空内径を有する中空炭素繊維を流動気相成長法により
製造するに際し、濃度調整された有機遷移金属化合物の
ガスと、キャリヤガスと、必要に応じて用いる炭素化合
物のガスとの混合ガスを高熱反応させることにより生成
させることからなり、反応温度が高いほど有機遷移金属
化合物の濃度を低濃度にすることを特徴とする流動気相
成長法による中空炭素繊維の製造方法が提供される。
【0016】更に、本発明の他の好適な態様によれば、
一群の流動気相成長炭素繊維の90%以上が30〜60
Åの中空内径を有する中空炭素繊維を流動気相成長法に
より製造するに際し、濃度調整された有機遷移金属化合
物のガスと、キャリヤガスと、必要に応じて用いる炭素
化合物の混合ガスとを高温反応帯域に導入し、有機遷移
金属化合物の熱分解によって生成した触媒として機能し
得る還元及び分散の必要のない発生期の遷移金属の流動
状態の微粒子を触媒とする気相成長によって生成させる
ことからなり、反応温度が高いほど有機遷移金属化合物
の濃度を低濃度にすることを特徴とする流動気相成長法
による中空炭素繊維の製造方法が提供される。
【0017】すなわち、より具体的にはベンゼン、メタ
ン等の炭化水素化合物のガスとフェロセン、鉄カルボニ
ル等の有機遷移金属化合物のガスとキャリヤガスとの混
合ガスを600℃乃至1300℃の温度で加熱して中空
炭素繊維を生成する。
【0018】本発明における炭素供給源としての炭素化
合物とは、有機鎖式化合物または有機環式化合物からな
る有機化合物全般が対象となるが、特に高い収率を得る
には脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素である。しかし、
炭化水素化合物以外に窒素、酸素、硫黄、弗素、塩素、
臭素、沃素、燐、砒素等の内の一種類以上の元素を含む
ものも使用できる。特に炭素と水素と硫黄との組合せか
らなる場合には収率面で好適である。具体的な個々の化
合物の例を挙げると、メタン、エタン等のアルカン化合
物、エチレン、ブタジエン等のアルケン化合物、アセチ
レン等のアルキン化合物、ベンゼン、トルエン、スチレ
ン等のアリール炭化水素化合物、インデン、ナフタリ
ン、フェナントレン等の縮合環を有する芳香族炭化水
素、シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロパラフ
ィン化合物、シクロペンテン、シクロヘキサン等のシク
ロオレフィン化合物、ステロイド等の縮合環を有する脂
環式炭化水素化合物、メチルチオール、メチルエチルス
ルフイド、ジメチルチオケトン等の含硫脂肪族化合物、
フェニルチオール、ジフェニルスルフィド等の含硫芳香
族化合物、ベンゾチオフエン、チオフエン等の含硫複素
環式化合物等である。また、以上の化合物の2種以上を
混合した混合物を使用することも可能である。
【0019】キャリヤガスとしては、周期律表O族のア
ルゴン、ヘリウム等の希ガスおよび水素、窒素またはこ
れらの混合ガスの中から選択されるガスを主体とし、水
素ガスが最も好ましい。主体とするという意味は、上記
以外に他のガスを含むことが許されることを意味し、そ
の割合はキャリヤガス成分中20%以内である。この種
の少量成分ガスとしては、硫化水素、二硫化炭素、酸
素、オゾンが好ましい。水素ガス以外のガスをキャリヤ
ガスとして使用する場合、一般に炭素化合物の熱分解が
促進されすぎ、かえって炭素繊維の生成を阻害する要因
になるため、炭素化合物の濃度を大幅に低下させる必要
性が出てくる。
【0020】本発明における有機遷移金属化合物とは、
遷移金属を含む有機化合物全般を対象としている。具体
的にはアルキル基と金属が結合したアルキル金属、アリ
ル基と金属が結合したアリル錯体、炭素間2重結合や3
重結合等と金属とが結合した化合物に代表されるπ結合
が関与する錯体とキレート型化合物およびカルボニル化
合物等に代表される有機遷移金属化合物である。
【0021】また、ここで遷移金属としては、スカンジ
ウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コ
バルト、ニッケル、イットリウム、ジルコニウム、ニオ
ブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、
タンタル、タングステン、レニウム、イリジウムまたは
白金を指すものであるが、これらの内特に周期律表VI
II族に属するもの、その内で特に鉄、ニッケル、コバ
ルトが好適であって、鉄が最も好適である。
【0022】有機遷移金属化合物の一部具体的例を挙げ
ると、アルキル金属として(CTi,
【0023】
【化1】
【0024】(CFeBr,(C)F
eBr; アリル錯体として(CPtI;π結合が関与
する錯体として(CFe,(C
o,(CFe,〔CFe(CO)
,〔CFe(CO)〕Cl,〔CFe
(CO)〕CN,
【0025】
【化2】
【0026】
【化3】
【0027】キレート型化合物として
【0028】
【化4】
【0029】カルボニル化合物として Fe(CO),Fe(CO),Ni(CO)
Cr(CO),W(CO)等である。また、有機遷
移金属化合物の混合物の使用も可能である。
【0030】本発明における製造方法を具体的に説明す
ると、有機遷移金属化合物のガスとキャリヤガスと必要
に応じて炭素化合物のガスとの混合ガスを、好ましくは
600℃〜1300℃より好ましくは800℃〜125
0℃、更に好適には1000℃〜1200℃に加熱す
る。炭素化合物、有機遷移金属化合物がガス状ならばそ
のまま、液体または固体の場合は加熱蒸発または昇華さ
せて得られるガスを使用し、炭素化合物のガスおよび有
機遷移金属化合物のガスの全混合ガスに占める割合は、
好ましくは各々炭素化合物のガス0〜40%、有機遷移
金属化合物のガス0.01%〜40%、更に好ましくは
各々炭素化合物のガス5.0%〜20%、有機遷移金属
化合物のガス0.05%〜5.0%である。ここで、炭
素化合物の濃度が0でも良いのは有機遷移金属化合物中
に十分な炭素を含有している場合は、必ずしも炭素化合
物のガスを必要としないという意味である。混合ガスの
加熱方法としては電気炉による方法が簡便であるが、そ
の他、レーザ加熱、高周波加熱、赤外線ヒーター加熱、
プラズマ加熱等も可能である。
【0031】本発明は、炭素供給源としての炭素化合物
のガスと、従来気相成長炭素繊維の生成に不可欠な触媒
となっている金属からなる有機金属化合物のガスとを反
応炉内で同時に熱分解させる方法で実施できるが、この
方法により炭素繊維が得られたという事実から反応管内
部では2段階の反応が起っていると考える。まず、反応
管の内部温度が比較的低い部分で有機金属化合物のみが
熱分解し、20〜60Å程度の金属超微粒子が生成し
(第1段階)、次に炭素繊維が流動状態で気相生成する
(第2段階)。
【0032】
【作用】流動気相成長法においては、有機遷移金属化合
物の熱分解によって有機遷移金属化合物の濃度に依存し
た大きさの触媒の気相生成が起り、気相中によく分散さ
れた発生期の金属超微粒子触媒によって炭素繊維が浮遊
状態で気相生成される。すなわち、高い温度域で発生し
た金属超微粒子は、凝集二次粒子を形成しにくいため、
発生期の小さい触媒径に依存した形で炭素繊維生成が行
われ、それ故中空内径の小さい炭素繊維が得られる。ま
た、触媒粒子径が小さいほど炭素繊維の成長速度が速い
ため生産性の増加につながって炭素繊維が高収率で得ら
れる。
【0033】
【実施例】
実施例1 次に、この発明に係る流動気相成長法による中空炭素繊
維につきその製造及び観察の実施例を添付図面を参照し
ながら以下説明する。
【0034】図1は実施例1に使用した装置の概略系統
図である。実施例1においては、有機金属化合物として
(CFe(フェロセン)を、炭素化合物とし
てC(ベンゼン)を、キャリヤガスとして3%の
硫化水素を含むHガスを用いた。反応管はアルミナ製
で内径50mm、長さ1500mmであり、加熱装置の
加熱部の有効長は900mm、均熱帯域は約300mm
である。まず、気化器42及び46には、それぞれ(C
Fe及びCを貯えた。ガス導入管49
から500ml/minの流量で反応管内にNガスを
送りながら、加熱器52を昇温した。温度が一定に達し
てから、ガス導入管49よりHガスを1000ml/
minの流量で反応管に送りガス置換を行った。30分
のガス置換後、キャリヤガス導入管40及び44にH
ガスを導入しガス導入管49よりHSガスを導入し
た。反応管に入る直前におけるガスの組成は、H:H
S:(CFe:C=85.3:2.
6:0.3:11.8で、総流量は1168ml/mi
n(常温、常圧換算)であった。均熱部の温度は110
0℃であり、生成した炭素繊維は繊維捕集装置54とし
て金属繊維フィルターを使用し、そこで捕集した。反応
管内及びステンレス繊維フィルターで捕集された炭素繊
維の高分解能透過型電子顕微鏡観察を行ったところ、直
径0.1μm、長さ約40μm、中空径約40Åの微細
炭素繊維が得られた。またこの時の収率は58%であっ
た。繊維20本につき中空径を計測したところ、全て6
0Å以下であり値を統計的に処理すると、39ű5Å
(95%信頼限界)であった。
【0035】比較例1 図2は比較例1に使用した装置の概略系統図である。図
2に示した加熱器72及び反応管68は実施例1で使用
したものと同様のものを用いた。また気化器60にはC
を貯えた。反応管の中心には、内径45mm、長
さ300mmのアルミナ製パイプを2つに割って半円状
にした基板70を置いた。この基板には予め次のような
処理をした。平均粒径100Åの鉄の超微粒子約1gを
1000mlのアルコールに懸濁し、上澄液を採取しス
プレーにて基板表面に該上澄液を散布して乾燥した。
【0036】まず、ガス導入管66よりNガスを50
0ml/minの液量で送りながら加熱器72を昇温し
た。一定温度に達してからガス導入管66にはNガス
のかわりにHガス500ml/minを流した。30
分のガス置換後ガス導入管66は閉めて、キャリヤガス
導入管62よりHガスを100ml/minの流量で
送った。ガス導出管64におけるガス組成は、H:C
=97.6:2.4で、総流量は102.5ml
/minであった。均熱部の温度は、1090℃とし
て、20分間運転した。加熱器が冷却してから基板を取
出したところ、基板表面に直径0.2μm長さ5mmの
炭素繊維が生成していた。基板より炭素繊維を削りとり
高分解能透過型電子顕微鏡で中空内径を20本につき測
定したところ、170ű42Å(95%信頼限界)で
あった。
【0037】比較例2 Fe(NO1gを1000mlのアルコールに溶
解し、比較例1に使用した。アルミナ製基板に塗り、比
較例1と同様の手順で炭素繊維を作った。生成した繊維
は直径0.2μm長さ約6mmで20本の繊維について
高分解能透過型電子顕微鏡で中空内径を測定したとこ
ろ、81ű23Å(95%信頼限界)であった。
【0038】実施例2 H:HS:(CFe:C=74:
3.0:3.0:15.2 総流量1350ml/minとした他実施例1と同様。
得られた繊維は直径0.3μm、長さ13μmであり、
20本の繊維の中空内径の測定結果は48ű7Å(9
5%信頼限界)であった。60Å以上は1本であった。
【0039】実施例3 実施例1で得られた炭素繊維をそれぞれJIS.K−7
113に従う引張試験法により試験した。引張試験は次
の条件で行った。
【0040】(1) マトリックスプラスチック:シェアケ
ミカル社製のエポキシエピコート828の100重量部
に対し5重量部のBFMEAを混合したものを使用し
た。
【0041】(2) 炭素繊維の表面処理:アルゴス中で2
900℃30分の熱処理後リフラックス濃硝酸で5時間
にわたり表面処理をした。
【0042】(3) V(複合材料中の繊維の占める体積
割合)25%
【0043】(4) 硬化法:125℃かつ圧力10kg/
mmの条件下で1時間硬化させた。
【0044】比較例3 比較例2で得た炭素繊維につき、実施例2と同様の方法
で試験した。試験の結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】上記の結果から、中空内径90%以上が6
0Å以下である本発明による浮遊気相成長炭素繊維は優
れた機械的性質を有することが判る。
【0047】実施例4 混合ガスとして水素:アセチレン:(CNi
=84.5:15.0:0.5、総流量1100ml/
分(25℃換算)、電気炉温度1080℃の条件で実施
し、炭素繊維(径×長さ)0.2μm×36μmの流動
気相成長炭素繊維が得られた。繊維20本につき中空径
を計測したところ、全て60Å以下であり値を統計的に
処理すると、41ű5Å(95%信頼限界)であっ
た。
【0048】実施例5 混合ガスとして窒素:ベンゾチオフエン:〔C
e(CO)=95.6:3.4:1.0、総流量
1080ml/分(25℃換算)、電気炉温度1065
℃の条件で実施し、炭素繊維(径×長さ)0.1μm×
27.0μmの流動気相成長炭素繊維が得られた。繊維
20本につき中空径を計測したところ、全て60Å以下
であり値を統計的に処理すると、47ű6Å(95%
信頼限界)であった。
【0049】実施例6 混合ガスとしてアルゴン:CH:C15ScC
10O=93.2:6.1:0.7、総流量1100
ml/分(25℃換算)、電気炉温度1065℃の条件
で実施し、炭素繊維(径×長さ)0.2μm×2.0μ
mの流動気相成長炭素繊維が得られた。繊維20本につ
き中空径を計測したところ、全て60Å以下であり値を
統計的に処理すると、51ű5Å(95%信頼限界)
であった。
【0050】実施例7 混合ガスとして水素:チオフエン:C1010Br
Zr=93.4:6.1:0.5、総流量1200ml
/分(25℃換算)、電気炉温度1080℃の条件で実
施し、炭素繊維(径×長さ)0.2μm×1.3μmの
流動気相成長炭素繊維が得られた。繊維20本につき中
空径を計測したところ、全て60Å以下であり値を統計
的に処理すると、48ű7Å(95%信頼限界)であ
った。
【0051】実施例8 混合ガスとして水素:ベンゼン:C1010V=8
1.9:18.0:0.1、総流量1100ml/分
(25℃換算)、電気炉温度1080℃の条件で実施
し、炭素繊維(径×長さ)0.5μm×2.5μmの流
動気相成長炭素繊維が得られた。繊維20本につき中空
径を計測したところ、全て60Å以下であり値を統計的
に処理すると、38ű5Å(95%信頼限界)であっ
た。
【0052】実施例9 混合ガスとして水素:アセチレン:(CMo
=89.0:10.0:1.0、総流量1130ml/
分(25℃換算)、電気炉温度1070℃の条件で実施
し、炭素繊維(径×長さ)0.3μm×3.0μmの流
動気相成長炭素繊維が得られた。繊維20本につき中空
径を計測したところ、19本が60Å以下であり値を統
計的に処理すると、51ű4Å(95%信頼限界)で
あった。
【0053】実施例10 混合ガスとして水素:COH:(C
eH=89.3:10.0:0.7、総流量1060m
l/分(25℃換算)、電気炉温度1090℃の条件で
実施し、炭素繊維(径×長さ)0.3μm×3.5μm
の流動気相成長炭素繊維が得られた。繊維20本につき
中空径を計測したところ、全て60Å以下であり値を統
計的に処理すると、50ű4Å(95%信頼限界)で
あった。
【0054】実施例11 混合ガスとして水素:酸素:(CFe:Cb
=82.3:0.5:0.2:17.0、総流量109
0ml/分(25℃換算)、電気炉温度1065℃の条
件で実施し、収率60%、炭素繊維(径×長さ)0.1
μm×5μmの流動気相成長炭素繊維が得られた。繊維
20本につき中空径を計測したところ、全て60Å以下
であり値を統計的に処理すると、37ű4Å(95%
信頼限界)であった。
【0055】実施例12 混合ガスとして、水素:酸素:(CFe:C
=80.0:0.5:2.5:17.0とした他、
実施例10と同様で行った。この結果、収率38%、
0.3μm×17μm、中空径55ű6Å(95%信
頼限界)であった。
【0056】
【発明の効果】炭素繊維の中空内径を、その90%以上
が30〜60Åにすることにより、炭素繊維の緻密度を
高め、機械的特性が上昇する。また、中空内径が本発明
の実施例のように小さくなることによって、比表面積の
大きい微細な炭素繊維の製造も可能となり、複合材料用
素材としてのメリットが増大する。
【0057】実施例1〜12で得られた炭素繊維を透過
型電子顕微鏡写真によって観察した結果、該炭素繊維は
先端に30〜60Åの球形超微粒子を有し、繊維の中央
に繊維軸にそって中空を有することがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流動気相成長法による中空炭素繊
維の製造に使用する装置の一実施例を示す概略系統図で
ある。
【図2】従来の気相法による炭素繊維の製造に使用する
一般的装置の概略系統図である。
【符号の説明】
40,44 キャリヤガス導入管 42 有機金属化合物用気化器 46 炭素化合物用気化器 48 混合ガス供給管 49 ガス導入管 50 反応管 52 加熱器 54 繊維捕集装置 56 管 60 気化器 62 キャリヤガス導入管 64 ガス導出管 66 ガス導入管 68 反応管 70 基板 72 加熱器 74 ガス導出管

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一群の流動気相成長炭素繊維において、
    その90%以上が30〜60Åの中空内径を有すること
    を特徴とする中空炭素繊維。
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