JP2004238791A - 微細炭素繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電性の良い400nm未満特に2〜300nmのフィラー材として樹脂等への接着性の良い微細な炭素繊維を量産規模で得ること、また、化学的及び熱的に安定で電子の放出特性に優れ寿命の長い電界電子放出材料を得ること。
【解決手段】 円筒状の炭素シートが重なり合い多層構造をなし、その中心軸が中空構造であり、外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000である微細炭素繊維であって、該炭素繊維の先端部において少なくとも1層の円筒状炭素シートが前記多層間で折り返して別の円筒状炭素シートと連続して、その折り返して連続する円筒状炭素シートが先端部で開いている円筒を形成していることを特徴とする微細炭素繊維。
【選択図】 図3

Description

本発明は特異な構造を持つ微細炭素繊維に関し、特に樹脂、ゴム等複合材のフィラー、半導体材料、触媒、あるいは電界電子放出材料として適した微細炭素繊維に関する。
炭素繊維は、その高強度、高弾性率、高導電性等の優れた特性から各種の複合材料に使用されている。従来から応用されてきた優れた機械的特性ばかりでなく、炭素繊維あるいは炭素材料に備わった導電性を生かし、近年のエレクトロニクス技術の発展に伴い、電磁波シールド材、静電防止材用の導電性樹脂フィラーとして、あるいは樹脂への静電塗装のためのフィラーとしての用途が期待されてきている。また、炭素材料としての化学的安定性、熱的安定性と微細構造との特徴を生かし、フラットディスプレー等の電界電子放出材料としての用途が期待されている。
従来の炭素繊維は、PAN、ピッチ、セルロース等の繊維を熱処理し炭化することにより製造するいわゆる有機系カーボンファイバーとして生産されている。これらを繊維強化複合材のフィラーとして用いる場合、母材との接触面積を大きくするために、径を細くすること、長さを長くすること等が補強効果を上げるために望ましい。また、母材との接着性を改善するためには、炭素繊維の表面が滑らかでなく、ある程度荒れている方が好ましく、このために空気中で高温に晒し酸化させたり、表面にコーティングを施こしたり等の表面処理が行なわれている。
しかし、これらの炭素繊維は、その原料となる有機繊維の糸径が5〜10μm程度であり、径の小さい、炭素繊維の製造は不可能であった。また、径に対する長さの比(アスペクト比)に限界があり、細くてアスペクト比の大きい炭素繊維が要望されていた。
また、自動車ボディーへの樹脂の使用、あるいは電子機器への樹脂・ゴム等の使用に関しては、金属並の導電性を要求され、これに伴い、フィラー材としての炭素繊維もこれら各種導電性塗料、導電性樹脂などの要求を満たすために導電性を上げる必要が出てきた。
そのための手段として、黒鉛化することでこれら特性を向上させる必要があり、このために更に高温での黒鉛化処理が行なわれるのが通例である。しかし、この黒鉛化処理によっても金属並の導電性は得られず、これを補うために配合量を多くすると加工性や機械的特性が低下するという問題が生じ、繊維自体の更なる導電性の改良、繊維の細径化による強度の向上等が必要とされてきた。
また、電界電子放出材料としては、従来スピント法による電界電子放出が研究開発されてきたが、その製法には多くの工程が必要であり、かつ、従来電子放出部にはMo等を用いて先端を針状に加工して用いているが、ディスプレーの電子放出材料として用いた場合には、化学的、熱的に不十分であった。
その後、1980年代後半に、これら有機系繊維と製法を全く異にするものとして、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;以下VGCFと略す。)が研究されるようになった。
このVGCFは、炭化水素等のガスを有機遷移金属系触媒の存在下で気相熱分解することによって直径1μm以下、数100nmまでの炭素繊維が得られることが知られている。
たとえば、ベンゼン等の有機化合物を原料とし、触媒としてのフェロセン等の有機遷移金属化合物をキャリアーガスとともに高温の反応炉に導入し、基盤上に生成させる方法(特許文献1)、浮遊状態でVGCFを生成させる方法(特許文献2)、あるいは反応炉壁に成長させる方法(特許文献3)等が開示されている。
これら製法によれば、比較的細くて導電性に優れ、アスペクト比の大きいフィラー材に適した炭素繊維が得られるようになり、100〜200nm程度の径で、アスペクト比10〜500程度のものが量産化され、導電性フィラー材として樹脂用フィラーや鉛蓄電池の添加材等に使用されるようになった。
これらVGCFは、形状や結晶構造に特徴があり、炭素六角網面の結晶が年輪状に円筒形に巻かれ積層した構造を示し、その中心部には極めて細い中空部を有する繊維である。
しかし、これらVGCFについては、量産規模では100nm未満の更に細い径のものは製造できなかった。
また、このVGCFよりも更に細い炭素繊維として、飯島らによりヘリウムガス中でアーク放電により炭素電極を蒸発させた煤の中から、多層カーボンナノチューブが発見された。この多層カーボンナノチューブの直径は、1nm〜30nmであり、VGCFと同様に炭素六角網面の結晶が繊維の軸を中心に年輪状に幾重にも重なり円筒状に閉じられており、その中心部に中空径を有する微細炭素繊維である。
このアーク放電を使用する方法については、その製法から量産には向かず実用化には至っていない。
一方、気相法によるものは大きなアスペクト比、高導電性の可能性があり、この方法を改良し、より細い炭素繊維を製造しようとする試みがなされている。特許文献4,5では、約3.5〜70nmの径でアスペクト比100以上の黒鉛質からなる円柱状の炭素フィブリルが開示されている。その構造は、規則的に配列した炭素原子の連続層が多層にわたり円柱軸に対し同心的に配列され、炭素原子の各層のC軸がフィブリルの円柱軸に実質的に直交しており、全体に熱分解により析出する熱炭素被膜を含まず、滑らかな表面を持っているものである。
同様に、特許文献6には、10〜500nmでアスペクト比2〜30000の気相法による炭素繊維が紹介されており、熱分解炭素層の厚みが直径の20%以下であることが記されている。
上述のこれらの炭素繊維は、いずれも表面が滑らかなため接着性、濡れ性、親和性に乏しく、複合材料として用いる場合には表面を十分酸化処理する等の表面処理が必要になってくる。また、電界電子放出材料として用いる場合には、先端を細くする必要がある。
特開昭60−27700号公報 特開昭60−54998号公報 特許第2778434号公報 米国特許第4663230号明細書 特公平3−64606号公報 特開昭61−70014号公報
本発明においては、導電性の良い400nm未満、特に2〜300nmのフィラー材として樹脂等への接着性の良い微細な炭素繊維を量産規模で得ること、また、化学的及び熱的に安定で電子の放出特性に優れ、寿命の長い電界電子放出材料を得ることが目的である。
本発明者らは、従来からのVGCFの製法を発展させ、従来とは違った構造を持つ新しい微細炭素繊維及びその製造方法を完成した。すなわち
(1)気相法で生成した微細炭素繊維を熱処理して黒鉛化して成る微細炭素繊維であって、円筒状の炭素シートが重なり合い多層構造をなし、その中心軸が中空構造であり、外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000である微細炭素繊維であって、該炭素繊維の先端部において少なくとも1層の円筒状炭素シートが前記多層間で折り返して別の円筒状炭素シートと連続して、その折り返して連続する円筒状炭素シートが先端部で開いている円筒構造を形成していることを特徴とする微細炭素繊維。
(2)折り返して連続する円筒状炭素シートが、多層構造の外周部に存在することを特徴とする(1)に記載の微細炭素繊維。
(3)折り返して連続する円筒状炭素シートが形成する円筒構造の内側に、先端部が閉じている円筒状炭素シートが存在することを特徴とする(2)に記載の微細炭素繊維。
(4)先端部が閉じた円筒状炭素シートの内側にさらに、先端部で折り返して連続し合い炭素繊維の先端部で開いた円筒状を成す円筒状炭素シートが存在することを特徴とする(3)に記載の微細炭素繊維。
(5)外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000の微細炭素繊維中に、(1)〜(4)に記載の微細炭素繊維が5質量%以上を占めることを特徴とする微細炭素繊維。
(6)外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000の微細炭素繊維中に、微細炭素繊維が、5〜90質量%を占めることを特徴とする(5)に記載の微細炭素繊維。
(7)外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000の微細炭素繊維中に、透過型電子顕微鏡にて観察される(1)〜(6)記載の微細炭素繊維が、3〜80体積%を占めることを特徴とする微細炭素繊維。
(8)微細炭素繊維が気相法炭素繊維であることを特徴とする(1)〜(7)記載の微細炭素繊維。
(9)ホウ素元素が炭素繊維に含まれたことを特徴とする(1)〜(8)に記載の微細炭素繊維。
(10)ホウ素元素が炭素繊維の炭素元素と一部置換したことを特徴とする(1)〜(9)に記載の微細炭素繊維。
(11)筒状の炭素シートが重なり合い多層構造をなし、その中心軸が中空構造である外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000の微細炭素繊維を熱処理することにより(1)〜(10)に記載の微細炭素繊維を製造する方法。
(12)熱処理温度が2000℃〜3500℃であることを特徴とする(11)に記載の微細炭素繊維の製造方法。
(13)筒状の炭素シートが重なり合い多層構造をなし、その中心軸が中空構造である外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000の微細炭素繊維とホウ素化合物とを混合して熱処理することを特徴とする(11)または(12)に記載の微細炭素繊維の製造方法。
本発明によれば、従来の炭素繊維や気相法炭素繊維と異なり、外径が2〜300nmであり、そのアスペクト比が10〜15000で、該炭素繊維の先端部において少なくとも1層の円筒状炭素シートが前記多層間で折り返して別の円筒状炭素シートと連続して、その折り返して連続する円筒状炭素シートが先端部で開いている円筒を形成していることを特徴とする微細炭素繊維を提供でき、電界電子放出、気体の吸蔵、樹脂用導電性フィラーとして有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、導電性の良い、外径400nm未満、特に2〜300nm、さらには1〜80nmのフィラー材として樹脂等への接着性の良い、微細な炭素繊維を得るために、検討を進める中で、微細なVGCFをホウ素化合物の存在下で高温熱処理して黒鉛化を図っていたとき、従来知られていない形態の微細な炭素繊維が得られ、これが導電性が高く、また樹脂等への接着性にも優れており、さらには化学的及び熱的に安定で電子の放出特性に優れ、寿命の長い電界電子放出材料を与えること、またこの新規な形態の微細炭素繊維は熱処理もホウ素化合物の存在下に限らず得られうるものであることを見出したものである。本発明の微細炭素繊維は基本的により微細でかつより黒鉛化度の高い炭素繊維を製造しようとする過程に得られる1形態の炭素繊維であると理解される。
本発明の微細炭素繊維について説明する。
本発明の微細炭素繊維の特徴を添付図面(図1〜4)を用いて説明する。これらの図において、模式的に炭素シート(黒鉛または黒鉛に近い結晶の層)を実線で表す。
先ず従来の100nm未満、アスペクト比10〜15000の微細炭素繊維は、図1の模式断面図に示すように、円筒状の炭素シートが重なり合い多層構造(年輪構造)をなし、その中心軸が中空構造であるものが知られているが、そのような公知の微細炭素繊維は繊維の先端部では多層構造を構成する円筒状炭素シートは全てがある曲率をもって閉じている。これに対して、本発明の微細炭素繊維は下記の如き構造を有する。
1)図2、図4に示す如く、円筒状の炭素シートが重なり合い多層構造をなし、その中心軸が中空構造であり、外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000である微細炭素繊維10において、該炭素繊維の先端部において少なくとも1層の円筒状炭素シート14(14a,14b)が前記多層間で折り返して別の円筒状炭素シート15(15a,15b)と連続して、その折り返して連続する円筒状炭素シート14、15が構成する円筒は炭素繊維の先端部で開いていることを特徴とする微細炭素繊維。従来の微細な炭素繊維を酸化すると繊維の先端が強制的に破壊されることがある(米国特許第5,641,466号明細書)が、その場合には黒鉛形成条件ではないので炭素シートが折り返して連続することはない。
2)図2を参照すると、上記1)の微細炭素繊維において、前記折り返して連続する円筒状炭素シート14,15が、多層構造の外周部に存在することを特徴とする微細炭素繊維。折り返して連続する炭素シートは一般的に多層構造の外周部に形成され易い。
3)図2を参照すると、上記2)の微細炭素繊維において、前記折り返して連続する円筒状炭素シート14、15が形成する円筒の内側に、先端部12Aが閉じている円筒状炭素シート13(13a,13b)が存在することを特徴とする微細炭素繊維。一般的に、折り返して連続する炭素シートが構成する円筒は多層構造の外周部に存在する傾向があるが、その内側にはさらに円筒状炭素シートが存在し、その先端部12Aは閉じていることが多い。
4)図3を参照すると、上記3)の微細炭素繊維において、前記先端部が閉じた円筒状炭素シート13の内側にさらに、先端部で折り返して連続し合い炭素繊維の先端部で開いた円筒状を成す円筒状炭素シート11,12が存在することを特徴とする微細炭素繊維。
5)図4を参照すると、微細炭素繊維は折り返して連続する炭素シートが構成する円筒だけからなり、炭素繊維の先端は開いている形態のものも得られうる。図4の場合に限らず、微細炭素繊維は折り返して連続する炭素シート14,15が構成する円筒において、その内部のどこかに折り返していない炭素シート16が存在してもよい。
6)外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000の微細炭素繊維中に、上記1)〜5)いずれか記載の微細炭素繊維が5質量%以上を占める微細炭素繊維。
以上、本発明の微細炭素繊維の代表的な形態を説明したが、本発明の微細炭素繊維は、炭素繊維の先端部において少なくとも1層の円筒状炭素シートが多層間で折り返して別の円筒状炭素シートと連続して、その折り返して連続する円筒状炭素シートが構成する円筒は炭素繊維の先端部で開いていることを特徴とするものであり、その他の変化は任意である。例えば、炭素繊維の先端部において多層間で折り返して別の円筒状炭素シートと連続する円筒状炭素シートの層数は、少なくとも1層であればよく、2層あるいは3層以上の隣接した円筒状炭素シートが折り返して別の円筒状炭素シートと連続していてもよい。また、折り返して連続する円筒状炭素シートどうしは隣接していても隣接していなくてもよい。例えば、図4では、円筒状炭素シート14と円筒状炭素シート15が折り返して連続するが、円筒状炭素シート14と円筒状炭素シート15とは間に円筒状炭素シート16が介在して相互に隣接していない。
また、炭素シートによって構成される炭素繊維の先端部や周囲に不定形炭素が存在しても、本発明の微細炭素繊維は影響されない。
本発明の微細炭素繊維は、微細炭素の繊維部分の構造としては、炭素原子からなる筒状の炭素シートが重なり合った多層構造であり、中心軸には中空の空洞部分が存在する。これらの炭素シートは規則的に配列した炭素原子が連続したもの、あるいは繊維の長手直角方向からこれを観察すると、おおむね繊維方向に直線状に、多重に重なりあっているが、筒状のシートが長手方向にて途切れて不連続になっている部分があり、また、中心軸の中空部の内径が一定していなくとも良い。
本発明の微細炭素繊維の上記のような形態は、従来の各種気相法による炭素繊維では報告されておらず、新規なものである。
これら本発明の微細炭素繊維は、先端に従来にない異なる特徴を持ち、従来の炭素繊維に対し更に先端が細くなった部分が存在し、先端が細い導電性物質の方が電子放出の方向性を持ち、印加電界を集中させることができ、電界電子放出特性が向上し、電界電子放出素子として適する。また、同様に先端部が異形をしているので導電性フィラー等として使用した場合、樹脂等への接着性が向上する効果がある。
また、本微細炭素繊維を5質量%以上さらに5〜90質量%、好ましくは10〜70質量%、特に10〜50質量%を含むとその構造の特徴により、電界電子放出特性が向上し、また導電性フィラー等として使用した場合は、樹脂等への接着性が向上する効果がある。また、透過型電子顕微鏡による観察にて、微細炭素繊維の構造は確認できるが、本発明の微細炭素繊維を3〜80体積%さらに、5〜70体積%、好ましくは10〜50体積%含むと電界電子放出特性が向上し、また導電性フィラー等として使用した場合は、樹脂等への接着性などが向上する効果がある。
本発明の微細炭素繊維は、外径が2〜300nmで、アスペクト比10〜15000の微細で長い繊維が得られるので、フィラー材として多量に添加が可能であり補強効果に優れるものである。
更に、上記の構造を有するものは炭素シートの端面が外部に出ていることから、電池の添加材として使用した場合に、イオンの補足性がよく、また導電性についても従来の気相法炭素繊維と変わらず、かつ表面が平滑でないため電池の電解液との濡れ性もよい。従って電池用の添加材として好適であるという特徴を有する。
本発明の特異な形態を有する微細な炭素繊維は、微細な炭素繊維であって黒鉛化の高いものを製造する方法であれば製造される可能性があるが、以下に本発明の微細な炭素繊維を製造するために好適な方法について説明する。
本発明の微細炭素繊維は、一般的には、遷移金属触媒を用いて有機化合物、特に炭化水素類を熱分解することにより粗微細炭素繊維を得、それを更に2000〜3500℃、好ましくは2500〜3500℃の熱処理を行うことにより得られる。微細炭素繊維が上記の折り返し構造をもつ理由は炭素シート間の距離が小さくなるためと考えられるので、できるだけ炭素シート間隔を小さくするような条件を採用することにより、本発明の微細炭素繊維はより容易に得られる。従って、粗微細炭素繊維を熱処理する際にホウ素化合物を存在させることが有利である。ホウ素化合物を共存させると、熱処理温度を無添加に比べ数百℃低くすることができ、また同じ熱処理温度では無添加に比べ繊維径に対する外周部分の比率を大きくすることができる。ホウ素化合物としては、加熱によりホウ素を生成する物質であればよく、例えば、炭化ホウ素、ホウ素酸化物、有機ホウ素酸化物等の固体、液体、さらには気体でもよい。
最初に遷移金属触媒を用いて有機化合物、特に炭化水素類を熱分解することにより粗微細炭素繊維を得る。
有機遷移金属化合物は、触媒となる遷移金属を含むものである。遷移金属としては、周期律表第IVa,Va,VIa,VIIa,VIII族の金属を含む有機化合物である。中でもフェロセン、ニッケルセン等の化合物が好ましい。触媒としての有機遷移金属化合物の含有量としては、有機化合物の炭素量に対して0.01〜15.0質量%、好ましくは0.03〜10.0質量%、好ましくは0.1〜5.0質量%が良い。
またその他、助触媒として硫黄化合物を用いるが、その形態は特に制限は無く、炭素源である有機化合物に溶解するものなら良い。その硫黄化合物として、チオフェンや各種チオールあるいは、無機硫黄等が用いられる。その使用量は有機化合物に対して0.01〜10.0質量%、好ましくは、0.03〜5.0質量%、さらに好ましくは0.1〜4.0質量%が良い。
炭素繊維の原料となる有機化合物は、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、ナフタレン、フェナントレン、シクロプロパン、シクロペンテン、シクロヘキサン有機化合物や揮発油、灯油等あるいはCO、天然ガス、メタン、エタン、エチレン、アセチレン等のガス及びそれらの混合物も可能である。中でもベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物が特に好ましい。
キャリヤーガスとしては、通常水素ガスをはじめとする還元性のガスが使用される。キャリヤーガスを予め500〜1300℃に加熱しておくことが好ましい。加熱する理由は、反応時に触媒の金属の生成と炭素化合物の熱分解による炭素源の供給を一致させ、反応を瞬時に起こすようにして、より微細な炭素繊維が得られるようにするためである。キャリアーガスを原料と混合した際に、キャリアーガスの加熱温度が500℃未満では、原料の炭素化合物の熱分解が起こりにくく、1300℃をこえると炭素繊維の径方向の成長が起こり、径が太くなりやすい。
キャリアーガスの使用量は、炭素源である有機化合物1.0モル部に対し1〜70モル部が適当である。炭素繊維の径は、炭素源とキャリアーガスの比率を変えることにより、制御することが出来る。
原料は、炭素源の有機化合物に遷移金属化合物及び助触媒の硫黄化合物を溶解し調整する。そして原料は液体のままキャリアーガスで噴霧して反応炉へ供給することも出来るが、キャリアーガスの一部をパージガスとして気化させて反応炉へ供給し反応させることも出来る。繊維径の細い炭素繊維を得る場合は原料は気化して反応炉へ供給した方が好ましい。
反応炉は、通常縦型の電気炉を使用する。反応炉温度は800〜1300℃、好ましくは1000〜1300℃である。所定の温度に昇温した反応炉へ、原料液とキャリアーガスあるいは原料を気化させた原料ガスとキャリアーガスとを供給し、反応させ炭素繊維を得る。
このようにして反応炉に吹き込まれたガスが熱分解し、有機化合物は炭素源となり、有機遷移金属化合物は触媒の遷移金属粒子となり、この遷移金属粒子を核とした微細炭素繊維の生成が行われる。
得られた微細炭素繊維は、さらに、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気化で、900〜1500℃の熱処理を行い、更に2000〜3500℃の熱処理を行う、あるいは、反応により得られた状態の微細炭素繊維を不活性ガス雰囲気化、直接2000〜3500℃の熱処理を行って、本発明の特異な微細炭素繊維を得ることが可能である。
しかし、反応により得られた状態の微細炭素に、あるいはその微細炭素繊維を不活性ガス雰囲気下で900〜1500℃の熱処理を行った後に、炭化ホウ素(B4C)、酸化ホウ素(B23)、元素状ホウ素、ホウ酸(H3BO3)、ホウ酸塩等のホウ素化合物と混合して、更に不活性ガス雰囲気下2000〜3500℃で熱処理を行うことにより、本発明の特異な微細炭素繊維をより容易に得ることが可能である。ホウ素化合物の添加量は、用いるホウ素化合物の化学的特性、物理的特性に依存するために限定されないが、例えば炭化ホウ素(B4C)を使用した場合には、微細炭素繊維に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲が良い。
微細炭素繊維にホウ素が含まれるとは、ホウ素が一部固溶して、炭素繊維の表面、炭素六角網面の積層体層間、中空部内に存在したり、炭素原子とホウ素原子が一部置換した状態をいう。
以下、本発明の実施例をあげて説明する。
概略図の図5に示すように縦型加熱炉1(内径170mm、長さ1500mm)の頂部に、原料気化器5を通して気化させた原料を供給する原料供給管4と、キャリアーガス供給配管6を取りつけた。
原料供給管4からは、フェロセン3質量%、チオフェン1質量%溶解したトルエンを気化させ20g/分で供給し、キャリアーガスとして水素を用い、75リットル/分で供給し反応させた。この反応で得られた微細炭素繊維の透過型電子顕微鏡写真を図6に示す。
この反応で得られた微細炭素繊維をAr(アルゴン)雰囲気下1300℃で熱処理し、更に1300℃処理品をAr雰囲気下2800℃で熱処理し重量回収率96%で微細炭素繊維を得た。
また、この微細炭素繊維のAr雰囲気下1300℃熱処理品に対してB4Cを4質量%混合してAr雰囲気下2800℃で熱処理し重量回収率94%で微細炭素繊維を得た。この透過型電子顕微鏡写真を図7に示す。
図6、図7ともに、炭素原子からなる筒状の炭素シートが重なりあった多層構造であり、その中心軸が中空構造である。しかし、図6では図1の模式図に対応し、先端が閉じているが、図7ではおおよそ図3の模式図に対応する形態を有する多層構造が見られる。
即ち、図7では、その先端が開いた円筒を形成している外周部(図3の14,15に対応)と、先端が閉じた中間部(図3の13に対応)と、さらにその内側に先端が開いた円筒(図3の11,12に対応)を有する。また、多層構造の外側と内側を構成するそれぞれの炭素シート(図3の14,15と11,12に対応)の末端がお互いに折り返して結合して連続している。多層構造の外側と内側の折り返した炭素シートの層の中間をなす炭素シート(図3の13に対応)は、先端(図3の12Aに対応)が閉じている。なお、図7では、炭素繊維の先端部において繊維の断面方向に炭素シートが見えるが、この炭素シートは外周部の炭素シートの折り返し部分が炭素シートとして見えているものであり、繊維の軸心部に炭素シートが存在するわけではない。また、同様に、炭素繊維の先端部において、中間部炭素シートの閉じた先端部の炭素シートの先が空洞でなく何か物質が存在するように見えるが、この部分は不定形炭素が付着しているものであり、炭素繊維の構造には関係ないものである。不定形炭素は炭素繊維の円周部表面にも存在するのが見られる。
このときの繊維の外径は、約10〜100nmでアスペクト比数10以上の繊維が生産された。また、透過型電子顕微鏡にて観察したところ、上記特徴を持った繊維が半数以上であった。
従来の微細炭素繊維の構造を説明するための模式断面図である。 本発明の微細炭素繊維の構造を説明するための模式断面図である。 本発明の微細炭素繊維の構造を説明するための模式断面図である。 本発明の微細炭素繊維の構造を説明するための模式断面図である。 本発明の実施例に示す製造のための装置の概略図である。 従来の微細炭素繊維の透過電子顕微鏡写真(倍率:20,000倍)である。 ホウ素化合物を用いて熱処理を行った本発明による微細炭素繊維の熱処理品の透過電子顕微鏡写真(倍率:20,000倍)である。
符号の説明
1…縦型加熱炉
2…加熱炉用ヒーター
3…原料回収系
4…原料供給管
5…原料気化器
6…キャリヤーガス供給管

Claims (10)

  1. 気相法で生成した微細炭素繊維を熱処理して黒鉛化して成る微細炭素繊維であって、円筒状の炭素シートが重なり合い多層構造をなし、その中心軸が中空構造であり、外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000である微細炭素繊維であって、該炭素繊維の先端部において少なくとも1層の円筒状炭素シートが前記多層間で折り返して別の円筒状炭素シートと連続して、その折り返して連続する円筒状炭素シートが先端部で開いている円筒構造を形成していることを特徴とする微細炭素繊維。
  2. 折り返して連続する円筒状炭素シートが、多層構造の外周部に存在することを特徴とする請求項1に記載の微細炭素繊維。
  3. 折り返して連続する円筒状炭素シートが形成する円筒構造の内側に、先端部が閉じている円筒状炭素シートが存在することを特徴とする請求項2に記載の微細炭素繊維。
  4. 先端部が閉じた円筒状炭素シートの内側にさらに、先端部で折り返して連続し合い炭素繊維の先端部で開いた円筒状を成す円筒状炭素シートが存在することを特徴とする請求項3に記載の微細炭素繊維。
  5. 外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000の微細炭素繊維中に、請求項1〜4のいずれかに記載の微細炭素繊維が5質量%以上を占めることを特徴とする微細炭素繊維。
  6. 外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000の微細炭素繊維中に、微細炭素繊維が、5〜90質量%を占めることを特徴とする請求項5に記載の微細炭素繊維。
  7. 外径2〜300nm、アスペクト比10〜15000の微細炭素繊維中に、透過型電子顕微鏡にて観察される請求項1〜6のいずれかに記載の微細炭素繊維が、3〜80体積%を占めることを特徴とする微細炭素繊維。
  8. 微細炭素繊維が気相法炭素繊維であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の微細炭素繊維。
  9. ホウ素元素が炭素繊維に含まれたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の微細炭素繊維。
  10. ホウ素元素が炭素繊維の炭素元素と一部置換したことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の微細炭素繊維。
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