JPH08129747A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH08129747A
JPH08129747A JP26787694A JP26787694A JPH08129747A JP H08129747 A JPH08129747 A JP H08129747A JP 26787694 A JP26787694 A JP 26787694A JP 26787694 A JP26787694 A JP 26787694A JP H08129747 A JPH08129747 A JP H08129747A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄い膜厚でも十分な耐久性を確保できる保護
膜を形成する。 【構成】 真空薄膜形成技術により強磁性金属薄膜が形
成された非磁性支持体1上にDLC膜を保護膜として形
成する際に、反応管6(又は反応室)内部の一部を二室
6a,6b以上に間仕切りし、これら間仕切りされた室
6a,6b内にそれぞれ炭化水素ガス、フッ化炭素ガス
を導入して、上記強磁性金属薄膜近傍部に水素を多く含
有するDLC膜が形成され、表面近傍にフッ素を多く含
有するDLC膜が形成されるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非磁性支持体上に強磁
性金属薄膜を磁性層として有する、いわゆる金属磁性薄
膜型の磁気記録媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に酸化物磁性粉末或いは合金磁性粉末等の磁
性粉末材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系強重合体、ポリ
エステル樹脂、ウレタン樹脂等の有機バインダー中に分
散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥することにより製造さ
れる、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広く使用されて
いる。
【0003】これに対して、高密度磁気記録への要求の
高まりとともにCo−Ni合金、Co−Cr合金、Co
−O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段
(真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティン
グ法等)によってポリエステルフィルムやポリアミド、
ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着し
た、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案され
注目を集めている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、抗
磁力や角形比等に優れ、磁性層の厚みを極めて薄くでき
る為、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく短波
長での電磁変換特性に優れるばかりでなく、磁性層中に
非磁性材であるバインダーを混入する必要がないため磁
性材料ん充填密度を高めることができる等、数々の利点
を有している。このため、この金属磁性薄膜型の磁気記
録媒体は、磁気特性的な優位さ故に高密度磁気記録の主
流になると考えられる。
【0005】このような金属磁性薄膜型の磁気記録媒体
においては、更に電磁変換特性を向上させ、より大きな
出力を得ることができるようにするために、該磁気記録
媒体の磁性層を形成する際に、磁性層を斜めに蒸着す
る、いわゆる斜方蒸着が提案され実用化されている。と
ころで、この種の磁気記録媒体では、上記磁性層の形成
に際し、蒸着時に酸素ガスを導入することによって磁気
特性の向上を図り、高密度磁気記録に適した電磁変換特
性を確保するとともに、媒体表面が金属酸化物に覆われ
ることによる耐久性の向上を図っている。
【0006】また、耐久性の向上を図る有効な手段とし
て、例えば磁性層に予め微細な凹凸を設けて摩擦の低下
を図る方法や、潤滑剤の塗布による媒体表面の膜質を改
善する方法、硬質保護膜を設ける方法等が検討されてお
り、とりわけダイヤモンド状硬質炭素(DLC)膜を用
いた保護膜の形成が注目されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ダ
イヤモンド状硬質炭素膜(以下、DLC膜と省略す
る。)を保護膜としてCo単体やCo−Ni合金等から
なる強磁性金属薄膜上に直接形成した場合、得られる耐
久性を実用水準まで高めるためには、上記DLC膜の膜
厚を厚くしなければならない。このため、今後更なる高
密度記録化に伴って短波長化が進められると、スペーシ
ング損失による出力低下が無視できなくなり、重大な問
題となる。
【0008】そこで、本発明は、このような実情に鑑み
て提案されたものであって、保護膜としてDLC膜を使
用した場合において、該DLC膜の膜厚を薄くしても十
分な耐久性を確保することができる磁気記録媒体及びそ
の製造方法を提供する事を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと鋭意研究の結果、保護膜として使用
されるDLC膜を形成する際に、反応管又は反応室を間
仕切りすることによって導入する炭化水素及びフッ化炭
素等のガス組成を連続的に変化させ、磁性層側に水素リ
ッチなDLC膜を形成し、表面側にフッ素リッチなDL
C膜を形成することにより、耐久性が向上し、良好な結
果が得られることを見いだし、本発明を完成するに至っ
たものである。
【0010】即ち、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支
持体上に真空薄膜形成技術により形成された強磁性金属
薄膜上にダイヤモンド状硬質炭素膜が形成されてなる磁
気記録媒体において、上記強磁性金属薄膜近傍部に水素
を多く含有するダイヤモンド状硬質炭素膜が形成され、
表面近傍にフッ素を多く含有するダイヤモンド状硬質炭
素膜が形成されてなる構造を有することを特徴とするも
のである。
【0011】また、本発明の磁気記録媒体の製造方法
は、非磁性支持体上に真空薄膜形成技術により強磁性金
属薄膜を形成した後、該強磁性金属薄膜上にダイヤモン
ド状硬質炭素膜を形成する磁気記録媒体の製造方法にお
いて、上記ダイヤモンド状硬質炭素膜を形成する際に、
反応管又は反応室内部の一部を二室以上に間仕切りし、
これら間仕切りされた室内にそれぞれ炭化水素ガス、フ
ッ化炭素ガスを導入することを特徴とするものである。
【0012】本発明においては、非磁性支持体上に磁性
層として形成される強磁性金属薄膜上に保護膜としてダ
イヤモンド状硬質炭素膜が設けられる。カーボンのラマ
ン分光スペクトルでは、ダイヤモンド構造に由来するピ
ークと、グラファイト構造に由来するピークが観測され
るが、ここで言うダイヤモンド状硬質炭素膜とは、前記
ダイヤモンド構造に由来するピークが存在するものを言
う。
【0013】このダイヤモンド状硬質炭素膜を形成する
方法としては、例えばスパッタリング法、CVD法等が
使用可能である。本発明では、このダイヤモンド状硬質
炭素膜を形成する際に、反応管又は反応室内部の一部を
二室以上に間仕切りし、これら間仕切りされた室内にそ
れぞれ炭化水素ガス、フッ化炭素ガスを導入する。ここ
で、炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、トルエ
ン、プロパン、アセチレン、ブタン等を用いることがで
き、またフッ化水素ガスとしては、フッ化エチレン、フ
ッ化エタン、オクタフルオロシクロブタン、フロン23
等を用いることができる。
【0014】これにより、上記強磁性金属薄膜側は水素
を多く含有するDLC膜が形成され、表面近傍はフッ素
を多く含有するDLC膜が形成されるようになる。この
ように導入ガスの組成を変化させて得られるDLC膜中
の水素とフッ素の含有量を制御することにより、耐久性
の向上が図られる。ここで、上記水素とフッ素の含有量
は、保護膜の厚み方向で連続的に変化することが好まし
い。これにより、膜自体の強度が向上し、膜厚が薄くて
も十分な耐久性を確保することができる。
【0015】また、このダイヤモンド状硬質炭素膜の形
成に際し、例えばヘキサメチルジシロキサン、オクタメ
チルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタ
シロキサン等の有機シリコン化合物(シリコーン)ガス
又は有機フッ化シリコンガスを導入してもよい。これに
より、得られるダイヤモンド状硬質炭素膜中に珪素が取
り込まれ、より顕著な効果を期待することができる。
【0016】本発明が適用される磁気記録媒体として
は、非磁性支持体上に真空薄膜形成技術により強磁性金
属薄膜が磁性層として形成される、いわゆる金属磁性薄
膜型の磁気記録媒体が挙げられる。上記金属磁性薄膜型
の磁気記録媒体において、上記非磁性支持体や強磁性金
属薄膜を構成する金属磁性材料等は従来よりこの種の磁
気記録媒体において使用されているものがいずれも使用
可能であり、特に限定されるものではない。
【0017】具体的に例示するならば、金属磁性材料と
してはFe,Co,Ni等の強磁性金属、Fe−Co,
Co−O,Fe−Co−Ni,Fe−Cu,Co−C
u,Co−Au,Co−Pt,Mn−Bi,Mn−A
l,Fe−Cr,Co−Cr,Ni−Cr,Fe−Co
−Cr,Co−Ni−Cr,Fe−Co−Ni−Cr等
の強磁性合金等が挙げられる。
【0018】これらの単層膜であっても良いし、多層膜
であっても良い。また、上記非磁性支持体と上記強磁性
金属薄膜間、或いは多層膜の場合には、各層間の付着力
の向上、並びに抗磁力の制御等のために、下地層、又は
中間層を設けても良い。更に、例えば磁性層表面近傍が
耐食性の改善等のために酸化物となっていても良い。
【0019】この強磁性金属薄膜を形成する手段として
は、真空下で上述の金属磁性材料を加熱蒸発させ上記非
磁性支持体上に被着せしめる真空蒸着法や、上記金属磁
性材料の蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、
アルゴンを主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こし
生じたアルゴンイオンでターゲット表面の原子をたたき
出すスパッタ法等、いわゆるPVD技術がいずれも使用
可能である。
【0020】勿論、本発明が適用される磁気記録媒体の
構成としては、これに限定され留ものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲での変更、例えば必要に応じて
バックコート層を形成したり、上記非磁性支持体上に下
塗り層を形成したり、潤滑剤層等の各種層を形成するこ
とはなんら差し支えない。この場合、上記バックコート
層に含まれる非磁性顔料、樹脂結合剤、或いは上記潤滑
剤層に含まれる材料等としては、従来公知のものがいず
れも使用可能である。
【0021】
【作用】非磁性支持体上に真空薄膜形成技術により形成
された強磁性金属薄膜上に保護膜としてDLC膜を形成
する際に、反応管又は反応室内部の一部を二室以上に間
仕切りし、これら間仕切りされた室内にそれぞれ炭化水
素ガス、フッ化炭素ガスを導入する。これにより、得ら
れる保護膜において、上記強磁性金属薄膜側では水素を
多く含有し、表面近傍ではフッ素を多く含有するような
構成となる。この結果、上記強磁性金属薄膜に対して水
素リッチなDLC膜が強固に付着し、一方表面近傍では
フッ素の効果により優れた潤滑性が得られ、且つ摩擦係
数が低減する。従って、十分な耐久性が得られる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例により説明す
るが、本発明がこの実施例に限定されるものでないこと
は言うまでもない。先ず、本実施例の磁気テープを作製
する際に、保護膜の形成工程において使用したプラズマ
CVD連続膜形成装置の構成について説明する。
【0023】このプラズマCVD連続膜形成装置は、図
1に示すように、頭部に取り付けられた排気系12によ
り内部が所定の真空度に保たれた真空槽11内におい
て、CoやCo−Ni膜等からなる磁性層が蒸着法等に
より形成されてなるテープ状の非磁性支持体(被処理
体)1が、図1中の反時計回り方向に定速回転する送り
ロール4から反時計回り方向に定速回転する巻き取りロ
ール5に向かって順次走行するようになされている。
【0024】これら送りロール4側から巻き取りロール
5側に亘って上記非磁性支持体1が走行する中途部に
は、該非磁性支持体1を図1中下方に引き出すように設
けられるとともに、上記各ロール4,5の径よりも大径
となされた回転支持体3が図1中時計回り方向に定速回
転するように設けられている。また、これら送りロール
4と回転支持体3及び該回転支持体3と巻き取りロール
5間には、ガイドロール2a,2bがそれぞれ配設され
ており、上記送りロール4と回転支持体3及び該回転支
持体3と巻き取りロール5間を走行する上記非磁性支持
体1に適当なテンションを与えつつ、円滑な走行がなさ
れるようになされている。
【0025】なお、上記送りロール4、巻き取りロール
5及び回転支持体3は、それぞれ上記非磁性支持体1の
幅と略同じ長さからなる円筒状をなすものである。従っ
て、このプラズマCVD連続膜形成装置においては、上
記非磁性支持体1が、上記送りロール4から順次送り出
され、上記回転支持体3の外周面に沿って通過し、更に
上記巻き取りロール5に巻き取られていくようになされ
ている。
【0026】一方、上記真空槽11内には、上記回転支
持体3の下方に反応管6が設けられ、これら回転支持体
3と反応管6の間を通過する際に、表面に磁性層を有す
る上記非磁性支持体1上に保護膜が形成されるようにな
されている。この反応管6としては、例えば石英管パイ
レックスガラス、プラスチック等が使用可能である。
【0027】この反応管6の内部には、プラズマを発生
させる加速電極10が組み込まれている。この加速電極
10としては、ガスを透過しやすく、且つ電界を均一に
かけることができ、柔軟性に富んだ材質であることが望
ましく、例えば金網のような金属メッシュ等が好適であ
る。このような加速電極10の構成材料としては、例え
ば銅等が代表的であるが、導電性から言えば例えば金等
も使用可能である。
【0028】この加速電極10には、上記真空槽11の
外部に配設された直流電源13が接続されており、該直
流電源13により基板電位よりも高い電圧が供給され
る。この加速電極10に印可される電圧としては、+5
00V〜2000Vであることが好ましい。また、上記
反応管6内には、仕切り板7が配設されており、該仕切
り板7によりその内部が二室6a,6bに間仕切りされ
ている。
【0029】これら間仕切りされた二室6a,6bに
は、それぞれ炭化水素ガス導入口8、フッ化炭素ガス導
入口9がそれぞれ形成されている。これら炭化水素ガス
導入口8、フッ化炭素ガス導入口9は、上記真空槽11
の底部を貫通して設けられており、該炭化水素ガス導入
口8、フッ化炭素ガス導入口9を介して上記間仕切りさ
れた二室6a,6b内に炭化水素ガス、フッ化炭素ガス
がそれぞれ導入され、所定の雰囲気に制御されるように
なされる。
【0030】これにより、上記加速電極10に所定の電
圧を印加してプラズマCVDを行い保護膜の成膜を行う
に際し、上記送りロール4より送り出され、上記回転支
持体3の外周面に沿って走行する上記非磁性支持体1が
上記回転支持体3と上記間仕切りされた室6a間を通過
する時点で該非磁性支持体1上の磁性層上に水素を多く
含有するDLC膜が形成され、上記回転支持体3と上記
間仕切りされた室6b間を通過する時点で上記水素を多
く含有するDLC膜上にフッ素を多く含有するDLC膜
が形成される。この結果、上記磁性層と上記水素を多く
含有するDLC膜が強固に付着し、一方表面近傍に形成
された上記フッ素を多く含有するDLC膜により優れた
潤滑性が得られるとともに、摩擦係数の低減が図られ
る。故に、良好な耐久性を確保することができる。
【0031】そこで、このような構成を有するのプラズ
マCVD連続膜形成装置を使用して、以下のようにして
磁気テープを作製した。先ず、厚さ10μmのポリエチ
レンテレフタレートからなる非磁性支持体上に直径12
0オングストロームのシリカ微粒子を12個/μm2
る割合で塗布し下塗り層を設けた後、該下塗り層上に真
空蒸着法によりCoからなる強磁性金属薄膜を膜厚が
0.15μmとなるように形成して単層膜からなる磁性
層を設けた。
【0032】続いて、上記図1に示すプラズマCVD連
続膜形成装置(上記回転支持体の直径は60cm、反応
管は20×10cmの直方体のものを用いた。)を使用
し、上記強磁性金属薄膜が形成された上記非磁性支持体
を上述の送りロールに装着した後、所定の条件にてプラ
ズマCVDを行って、上記強磁性金属薄膜上に膜厚50
Åのダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。
【0033】このプラズマCVDを行うに際し、上述の
炭化水素ガス導入口からトルエンを、フッ化炭素ガス導
入口からはフッ化エチレンを4:1の割合となるように
導入した。また、反応時の圧力は、0.1Torrと
し、上記加速電極として金メッシュを使用して、該加速
電極に1.5kVの直流電圧を印加した。そして、この
ようなグロー放電でトルエンとフッ化エチレンを分解
し、上記強磁性金属薄膜表面にフッ素を含有するDLC
膜を形成した。
【0034】その後、フッ素化フォスファジン(ダウケ
ミカル社製)を潤滑剤層として膜厚20オングストロー
ムとなるように上記DLC膜上に塗布形成し、更にこれ
を8ミリ幅に裁断してサンプルテープを得た。以上のよ
うにして作製したサンプルテープ1と、比較例として上
述のプラズマCVD装置における炭化水素ガス導入口の
みからトルエン単体を導入し、その他は上記実施例と同
様にして作製した比較テープ1、及び炭化水素ガス導入
口のみからトルエンとフッ化エチレンの混合ガス(4:
1の割合)を導入し、その他は上記実施例と同様にして
作製した比較テープ2について、市販の8ミリビデオデ
ッキ(ソニー社製、商品名:CVD−1000)を用
い、ギャップ長20μmのセンダストヘッドにより最短
記録波長が0.5μmとなるようにして記録再生を行っ
た。
【0035】そして、これらサンプルテープ1及び比較
テープ1,2を温度20℃、相対湿度60%の環境下で
100回記録した後、再生して、初期の出力値に対する
100回後の出力値の劣化量を調べた。この結果、本実
施例では、繰り返し記録後の劣化量は1dB以内に止ま
った。これに対して、比較テープ1では4〜5dB、比
較テープ2では2〜3dBも劣化した。
【0036】また、同様の環境下にてスチル再生を行っ
たところ、再生出力が3dB低下するまでの時間は、本
実施例は任意の20点について2時間以上安定したのに
対して、比較テープ1では5〜20分とバラツキも大き
く、時間も短かった。また、比較テープ2では、30〜
60分であり、いずれにしても本実施例には及ばなかっ
た。
【0037】さらに、各テープの摩擦係数を測定したと
ころ、サンプルテープ1では0.20、比較テープ1で
は0.30、比較テープ2では0.25であり、やはり
サンプルテープ1が優位にあることがわかった。このこ
とから、DLC膜を保護膜として形成するだけでは耐久
性が不足し、またフッ素をただ含有するDLC膜でも十
分な走行性、耐久性を確保することはできないが、磁性
層側は水素を多く含有するDLC膜とし、表面近傍のみ
をフッ素を多く含有するDLC膜とすることにより、5
nm程度の薄い膜厚においても良好な耐久性が得られる
ことが判った。
【0038】次に、先のサンプルテープ1と同様の条件
で、フッ化エチレンの代わりにヘキサメチルジシロキサ
ンを用いてサンプルテープ2を作成した。このサンプル
テープ2の繰り返し記録後の劣化量は1dB以内、スチ
ル再生において再生出力が3dB低下するまでの時間は
2時間以上、摩擦係数は0.18であり、先のサンプル
テープ1よりさらに改善が認められた。
【0039】以上のように、本実施例のように、DLC
膜からなる保護膜を形成する際に、反応管(或いは反応
室)内の一部を間仕切りし、通常導入ガスとして使用さ
れる炭化水素ガスを一方の部屋内に導入する他に、フッ
化炭素ガスを他方の部屋に導入し、これら導入ガスの組
成を連続的に変化させることにより、潤滑性に優れ、且
つ磁性層に対して強固に付着したDLC膜を得ることが
でき、耐久性の向上を図ることができる。
【0040】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
においては、磁性層を有する非磁性支持体上に保護膜と
してDLC膜を形成する際に、反応管又は反応室内の一
部を間仕切りして、これら間仕切りされた室内に炭化水
素ガスとフッ化炭素ガスをそれぞれ導入し、ガス組成が
連続的に変化するようにしているので、得られる膜が磁
性層側で水素リッチになり、表面近傍でフッ素リッチに
なるような構造とされる。このため、硬質で自己潤滑性
に優れた保護膜が得られるとともに、磁性層に対する付
着力を強固にすることができ、耐久性を改善することが
できる。
【0041】従って、本発明によれば、高密度記録特性
を損なうことなく、良好な耐久性を有する磁気記録媒体
を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用して磁気テープを製造するに際
し、ダイヤモンドライクカーボン膜の成膜時に使用した
プラズマCVD装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体(被処理体) 3 回転支持体 4 送りロール 5 巻き取りロール 6 反応管 7 仕切り板 8 炭化水素ガス導入口 9 フッ化炭素ガス導入口 10 加速電極 11 真空槽 12 排気系

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に真空薄膜形成技術によ
    り形成された強磁性金属薄膜上にダイヤモンド状硬質炭
    素膜が形成されてなる磁気記録媒体において、 上記強磁性金属薄膜近傍部に水素を多く含有するダイヤ
    モンド状硬質炭素膜が形成され、表面近傍にフッ素を多
    く含有するダイヤモンド状硬質炭素膜が形成されてなる
    構造を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記ダイヤモンド状硬質炭素膜におい
    て、水素とフッ素の含有量が厚み方向で連続的に変化す
    る構造を有することを特徴とする請求項1記載の磁気記
    録媒体。
  3. 【請求項3】 上記ダイヤモンド状硬質炭素膜中に珪素
    を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体上に真空薄膜形成技術によ
    り強磁性金属薄膜を形成した後、該強磁性金属薄膜上に
    ダイヤモンド状硬質炭素膜を形成する磁気記録媒体の製
    造方法において、 上記ダイヤモンド状硬質炭素膜を形成する際に、反応管
    又は反応室内部の一部を二室以上に間仕切りし、これら
    間仕切りされた室内にそれぞれ炭化水素ガス、フッ化炭
    素ガスを導入することを特徴とする磁気記録媒体の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 上記ダイヤモンド状硬質炭素膜を形成す
    る際に、有機シリコン化合物ガス又は有機フッ化シリコ
    ンガスを導入して上記ダイヤモンド状硬質炭素膜中に珪
    素を含有せしめることを特徴とする請求項4記載の磁気
    記録媒体の製造方法。
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US8980448B2 (en) 2010-11-02 2015-03-17 Fuji Electric Co., Ltd. Magnetic recording medium including an amorphous carbon protective film

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US8980448B2 (en) 2010-11-02 2015-03-17 Fuji Electric Co., Ltd. Magnetic recording medium including an amorphous carbon protective film

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