JPH0812387A - 高硫酸塩スラグセメントおよびその製造方法 - Google Patents

高硫酸塩スラグセメントおよびその製造方法

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JPH0812387A
JPH0812387A JP6149413A JP14941394A JPH0812387A JP H0812387 A JPH0812387 A JP H0812387A JP 6149413 A JP6149413 A JP 6149413A JP 14941394 A JP14941394 A JP 14941394A JP H0812387 A JPH0812387 A JP H0812387A
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cement
sio
cao
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mgo
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JP6149413A
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Yoshitaka Masuda
義高 益田
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B7/00Hydraulic cements
    • C04B7/14Cements containing slag
    • C04B7/147Metallurgical slag
    • C04B7/153Mixtures thereof with other inorganic cementitious materials or other activators
    • C04B7/21Mixtures thereof with other inorganic cementitious materials or other activators with calcium sulfate containing activators
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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    • Y02P40/10Production of cement, e.g. improving or optimising the production methods; Cement grinding

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  • Materials Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 急速凝結、硬化、早強性にすぐれ、中性化速
度の抑制ができ、安定した硬化体が得られる高硫酸塩ス
ラグセメントを安価に提供する。 【構成】 アルミナ、カルシウムが減少し、マグネシア
が増加した高炉スラグのセメント素地に、前記高炉スラ
グ、石炭灰、石膏、石灰石、苦灰石および蛍石を原料と
し、SiO2 12.0〜21.0%、Al2O3 7.0〜26.0%、Fe2O3 0.
2 〜7.3 %、CaO50.0〜67.0%、MgO 5.5 〜18.0%、SO
3 4.0〜18.0%、Na2O 0.03〜0.38%、K2O0.24〜0.35
%、MnO 0.10〜0.43%、f 〜CaO 0.6 〜2.8 %、F 0.7
〜1.5 %を主要構成成分範囲としたクリンカーからなる
刺激剤と、無水石膏と、硫酸アルミニウムまたはクエン
酸ナトリウムとを加え、混合微粉砕し高硫酸塩スラグセ
メントにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高炉スラグをセメン
ト素地とする、高硫酸塩スラグセメントおよびその製造
方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高炉スラグの潜在水硬性を利用し
石灰系刺激剤と伴用し、これらを混合、粉砕して使用す
るものに、高炉セメントおよび高硫酸塩スラグセメント
があった。しかし、一般的な高硫酸塩スラグセメント
は、硬化時の発熱が小さく、対硫酸性がすぐれている反
面、凝結硬化に長時間を要し、初期強度が小さく、硬化
体の表面に劣化を生じる。
【0003】そこで、発明者は、先に特公昭60−50
738号公報に示す高硫酸塩スラグセメントおよびその
製造方法を発明し、この発明では、水溶性高分子などを
添加、混合することで、セメントの凝結硬化に要する時
間を短縮し、初期硬度が大きくなるようにし、実用化を
可能にしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、発明者が先に
発明した従来のスラグセメントおよびその製造方法で
は、原料の変化に伴い、その物性に大きな影響を与える
要因として、以下に述べる問題点が生じるようになっ
た。
【0005】(1)近時、製鉄の高炉操業プロセスは、
各工場での原料事情、操業条件によって変化し、本邦で
は、高炉操業のフラックス成分が、アルミナ、カルシウ
ムを従来に比べて低く抑えているために、高炉スラグの
組成が変化し、アルミナやカルシウムが減少し、マグネ
シアが増加し、高炉スラグの主要成分が、一般にCaO38
〜42%、Al2O3 12〜14%弱、MgO 5〜5.5 、SiO2 31 〜
36%程度であり、現状では、高硫酸塩スラグセメントの
強度を支配する、エトリンガイトの生成に関連をもつス
ラグ成分中のAl2O3 の含有量が理論値を下回っている。
なお、この明細書において、%はすべて重量%である。
そして、継続する真の硫酸塩反応を起こす高硫酸塩スラ
グセメントの強度発現性や凝結性からみると、目標強度
の達成に必要不可欠の成分範囲が存在し、CaOやAl2O3
の減少は、セメントの硬化エネルギーの低下となり、硬
化体の劣化を引き起し、一定の製品の品質管理に支障を
生じる原因となる。
【0006】(2)添加するアルカリ刺激剤は、限られ
た配合範囲に対し、僅かに増減することで、強度発現性
が著しく低下し、限られた配合範囲でしか所要の強度が
得られない。従って、前記刺激剤の添加に伴う強度等高
線の幅は、きわめて狭くなり、製造時および貯蔵時の品
質管理が非常に困難である。そして、添加するアルカリ
刺激剤として、ポートランドセメントクリンカーを用い
ているが、これの最適添加量は2〜3%であり、この範
囲を超えてずれるに従って強度発現性が不安定となり、
強度低下が著しくなる。
【0007】(3)高硫酸塩スラグセメントの硬化体の
大気中における養生面および暴露面では、空気中の炭酸
ガスが硬化体の表面から内部に浸透拡散することで、中
性化の進行が比較的速やかであり、表面劣化や長期材令
での曲げ強度の低下を生ずる傾向があり、これらの対策
が困難である。
【0008】(4)前記硬化体は、凍結融解に対する耐
久性が劣り、その対策としてエントレンドエア導入を行
なっても、硬化体が安定する領域までエアの導入を行な
うと、硬化体が比例的に強度低下を招くため、凍結融解
が生じやすい寒冷地における構造用セメントとして高硫
酸塩スラグセメントは不利である。
【0009】(5)前記硬化体は、有筋の構造体に用い
ると、鉄筋を構成する鋼材が腐食しやすい傾向がある。
【0010】前述した(1)〜(5)の性能に及ぼす点
は、高硫酸塩スラグセメントの本質的な問題点であり、
前述した通り、その製造に適する不可欠な構成成分範囲
を満たす高炉スラグが容易に得にくくなる傾向に伴い、
暴露箇所が劣化、脆弱化する傾向にある。
【0011】この発明は、従来から実用化に対する内,
外国でのプロジェクトの結果、そのデータに基づいて鋭
意検討、研究を重ね、前述の(1)〜(5)の問題点を
解決した高硫酸塩スラグセメントおよびその製造方法を
提供することを目的とするものである。すなわち、この
発明は、製鉄プロセスによって副産される高炉スラグの
化学成分 CaO, Al2O3 の低下にかかわらず、セメント素
地およびクリンカーなどの刺激剤に使用でき、すぐれた
高硫酸塩スラグセメントを安価に得ることを目的として
いる。
【0012】潜在水硬性を有する高炉水砕スラグの刺激
剤としては、ポートランドセメントおよびそのクリンカ
ーが用いられているが、この発明では、従来の各種アル
カリ刺激剤に代替するものとして、生成系を変化させ、
各性状の改善と強度発現領域、つまり強度等高線の広い
要領において、安定した強度が発現できるアルカリ、硫
酸塩刺激機能をもつクリンカー、フリットまたは水砕を
安価に得ることを見出して、この発明を完成させたもの
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る高
硫酸塩スラグセメントは、高炉スラグのセメント素地
に、高炉スラグ、石炭灰、石膏、石灰石、苦灰石などの
マグネシア供給源、および蛍石を原料としたクリンカ
ー、フリット、水砕の1種類または複数種類の刺激剤
と、無水石膏と、硫酸アルミニウムまたはクエン酸ナト
リウムとを加えた混合微粉末からなるものである。
【0014】請求項2の発明は、請求項1の高硫酸塩ス
ラグセメントにおいて、セメント素地は、SiO2 31.00〜
36.00 %、Al2O3 12.30 〜14.47 %、Fe2O3 0.03〜0.26
%、CaO 38.30 〜42.42 %、MgO 5.20〜5.49%、SO3 0.
88〜1.03%、MnO 0.16〜0.48%、TiO2 0.46 〜0.82%を
構成成分として含み、CaO/SiO2比が1.16〜1.38の高炉ス
ラグとし、刺激剤は、SiO2 12.0 〜21.0%、Al2O3 7.0
〜26.0%、Fe2O3 0.2〜7.3 %、CaO 50.0〜67.0%、MgO
5.5 〜18.0%、SO3 4.0 〜18.0%、Na2O 0.03 〜0.38
%、K2O 0.20〜0.35%、MnO 0.10〜0.43%、f 〜CaO 0.
6 〜2.8 %、F0.7 〜1.5 %を主要構成成分範囲とした
ものである。
【0015】請求項3の発明に係る高硫酸塩スラグセメ
ントの製造方法は、SiO2 31.00〜36.00 %、Al2O3 12.3
0 〜14.47 %、Fe2O3 0.03〜0.26%、CaO 38.30 〜42.4
2 %、MgO 5.20〜5.49%、SO3 0.88〜1.03%、MnO 0.16
〜0.48%、TiO2 0.46 〜0.82%を構成成分として含み、
CaO/SiO2比が1.16〜1.38の高炉スラグと、SiO2 34.18〜
55.06 %、Al2O3 12.20 〜30.11 %、Fe2O3 3.75〜14.3
3 %、R2O 1.65〜4.80%を構成成分として含む火力発電
所から排出副産された石炭灰20〜57%と、化合水20.92
〜21.12 %、SiO2+不溶成分0.2 〜3.66%、Al2O3 +Fe
2O3 0.11〜2.03%、CaO 23.42 〜35.25 %、MgO 0.20〜
0.37%、SO3 32.82 〜46.5%を構成成分として含む二水
石膏10〜35%と、灼熱減量42.21 〜45.71 %、SiO2 0.2
4 〜4.68%、Al2O3 0.01〜0.25%、Fe2O3 0.01〜0.68
%、CaO 41.65 〜55.90 %、MgO 0.02〜0.91%、MnO 0.
01〜0.027 %を構成成分として含む石灰石40〜58%と、
灼熱減量44.34 〜47.17 %、SiO2 0.04 〜1.97%、Al2O
3 0.08〜0.26%、Fe2O3 0.08〜0.49%、CaO 31.52 〜3
5.59 %、MgO 17.75 〜20.92 %を構成成分として含
み、CaO/MgO が1.07〜1.36の苦灰石5〜20%とに、灼熱
減量5.06〜5.90%、不溶成分3.00〜3.10%、SiO2 2.82
〜8.16%、MgO 1.00〜1.41%、CaF2 74.67〜77.88%を
構成成分として含む蛍石0.5 〜5%を媒熔剤として添加
し、1200〜1300℃に加熱焼成して冷却し、クリンカー、
フリット、または水砕からなる刺激剤を製造し、この刺
激剤に用いた高炉スラグと同じ高炉スラグからなるセメ
ント素地をセメント総量の40〜85%、無水石膏を4〜18
%、硫酸アルミニウムまたはクエン酸ナトリウムを0.1
〜5%、前記刺激剤の1種類または複数種類を残余と
し、これらを混合粉砕あるいは粉砕混合して、4000〜55
00cm2/g のブレーン比表面積の微粉末混合物にするもの
である。
【0016】請求項4の発明は、請求項3の高硫酸塩ス
ラグセメントの製造方法において、セメント素地をセメ
ント総重量の60〜80%、無水石膏を4.5 〜10.5%、硫酸
アルミニウムまたはクエン酸ナトリウムを0.5 〜2.5
%、刺激剤を残余とするものである。
【0017】
【作用】請求項1の発明に係る高硫酸塩スラグセメント
は、製鉄プロセスによって副産された高炉スラグ、火力
発電所から排出副産された石炭灰、石膏、石灰石、苦灰
石などのマグネシア供給源、および蛍石を原料としたク
リンカー、フリットまたは水砕からなる刺激剤を単独ま
たは複数種類で用い、セメント素地である高炉スラグに
前記刺激剤、無水石膏および硫酸アルミニウムまたはク
エン酸ナトリウムを加えた混合微粉末からなるので、ア
ルミナ、カルシウムが減少し、マグネシアが増加した高
炉スラグをセメント素地として、急速凝結、硬化、早強
性にすぐれ、しかも中性化速度の抑制ができ、安定した
硬化体が得られる。
【0018】また、高炉スラグおよび石炭灰は、クリン
カー、フリットまたは水砕からなる刺激剤の構成成分と
して多量に用いる。すなわち、高炉スラグおよび石炭灰
は、粘土の代替、高アルミナ源、およびカルシウムの供
給源として用いており、前記アルミナ源として硬質粘土
類があるが、本邦などでは、高炉スラグ、石炭灰が比較
的安定し、経済性も伴って入手しやすいので、これらを
多量に用いることで、刺激剤および高硫酸塩スラグセメ
ントを安価にできる。
【0019】さらに、石灰石は石灰飽和度を高めるため
に用い、苦灰石などはマグネシアの供給源として用い、
これらに石膏と蛍石とを加え、乾式または湿式で微粉砕
し、例えば10〜20mmφ以下の円柱状に湿式成形して乾燥
させ、あるいはスラリーにして加熱焼成するが、この際
に媒熔剤として蛍石を加えてあるので、加熱温度を低く
でき、高硫酸塩、高アルミナ、高石灰、富マグネシヤ型
のクリンカー、フリットまたは水砕からなる刺激剤を容
易に得ることができる。
【0020】なお、前記石炭灰は、飛灰、炉底灰、粗粒
灰、スラッジケーキを用いることができ、高炉スラグは
急冷した水砕スラグ、徐冷した自然冷却スラグのいずれ
でもよい。刺激剤に用いる石膏は、天然石膏、化学石
膏、排脱石膏にかかわらず、また無水石膏、焼石膏、二
水石膏を用いることができる。さらに、マグネシア源と
しては、苦灰石のほかに焼成ドロマイト、マグネシアク
リンカーなどの原料として用い得るが、経済性の理由で
苦灰石が最適である。
【0021】そして、セメント素地としての高炉スラグ
は、最近の組成変化によって請求項2に記載した構成成
分になっているので、クリンカー、フリットまたは水砕
として用いる刺激剤を請求項2に記載した構成成分範囲
にすることが好ましく、刺激剤はクリンカー、フリッ
ト、水砕をそれぞれ単独で用い、あるいはこれらの3者
を混合して用いるなど、1種類または複数種類を適宜使
用できる。
【0022】請求項3の発明に係る高硫酸塩スラグセメ
ントの製造方法では、原料として、高炉スラグ20〜57
%、石炭灰20〜57%、二水石膏10〜35%、石灰石40〜58
%、苦灰石5〜20%に蛍石0.5 〜5%を媒熔剤として添
加した配合比とし、これらに請求項3に記載した構成成
分のものを用い、加熱焼成してクリンカー、フリット、
または水砕とした刺激剤を得ていることで、刺激剤の構
成成分範囲が請求項2に示した通りになり、刺激剤の原
料配合に伴う高石灰、高アルミナは、加熱焼成過程にお
いて、アルミン酸化合物 C3AとC12A7 とを生成し、また
石膏は外1系の3成分系の化合物アウイン3(CA) ・CaSO
4 として安定化する。
【外1】
【0023】蛍石は、これを用いないものに比べて焼成
温度を約200 ℃引き下げ、C3S を多量に生成し、ベリッ
トC2S またはシーライトC4AFを生成する。苦灰石は富マ
グネシア化により強塩基度の組成を急冷時に結晶化傾向
を抑え、ガラス化率を容易に高めることができるように
する。また、ガラス相中のメリライト2CaO・Al2O3 ・Si
O2・2CaO・MgO ・2SiO2 系をオケルマナイト2CaO・MgO
・2SiO2 およびメルヴィナイトC3MS2 リッチとし、液相
中のAl2O3 を濃縮してさらに高アルミナ相にする。
【0024】請求項3の発明による高硫酸塩スラグセメ
ントの製造方法では、セメント素地である水砕スラグな
どの高炉スラグに、クリンカー、フリット、水砕の3種
類の前記刺激剤の1種類または複数種類と、無水石膏Ca
SO4 と、硫酸アルミニウムAl(SO4)3またはオキシカルボ
ン酸の金属塩としてのクエン酸ナトリウムNa3C6H5O7・2
H2Oとを加えて混合粉砕または粉砕混合することによ
り、4000〜5500cm2/g の比表面積を有する微粉末混合物
からなる高硫酸スラグセメントを得る。
【0025】前述のようにして得た高硫酸スラグセメン
トが従来の高炉セメントや高硫酸スラグセメントに比べ
て、なぜすぐれた急速凝結、硬化、早強性、耐中性化で
きるのか、その理由、機構の詳細についてはまだ充分に
解明されていないが、次のように考えられる。
【0026】すなわち、請求項3の発明による製造方法
によって得た高硫酸塩スラグセメントは、これに適量の
水を加えて混練すると、添加されている硫酸アルミニウ
ムが加水分解し、弱酸性で吸着性の強い水酸化アルミニ
ウムAl(OH)3 を生成し、セメントの粉砕時に添加した無
水石膏の溶解度を速やかに増大させ、アルミン酸化合物
C3A の水和を抑制し、凝結を正常にし、また高炉スラグ
の溶解度を促進させることで、液相の飽和を高め、数時
間安定な過飽和溶液を生成し、初期強度を司るエトリン
ガイトの生成を促進させる。
【0027】これと同時に、遊離石灰と多量に存在する
高石灰型のアリットC3S の水和によって直接的あるいは
間接的に生ずる多量の水酸化カルシウムCa(OH)2 による
液相の高アルカリ化によって、さらに高炉スラグの潜在
水硬性を刺激し、液相中への高炉スラグのAl2O3 、Si
O2、CaO および石膏の溶出に伴い、継続して珪酸カルシ
ウム水和物C-S-H 、アルミン酸カルシウム水和物C3AC12
A7、アルミン酸硫酸カルシウム、アウイン3(CA)・CaSO
4 の水和物による溶液濃度が増大し、分子間の衝突を確
実にして反応を促進させることで、大量のC3A-CaSO4-H2
O 系の高硫酸塩型のエトリンガイト3CaO・Al2O3 ・3CaS
O4・32H2O および一硫酸塩型3CaO・Al2O3・CaSO4 ・12H
2O の複合生成を促進させる。
【0028】同時に、カルシウム水和物の生成を次々に
進め、C-S-H ゲルは微細細孔、空隙を満たし、早期から
水和物と未水和物とが一体となった緻密な水和組織を形
成するために、初期強度を発現し、水和の進行に伴い石
膏が消費された場合、および時間の経過によって、高硫
酸塩型エトリンガイトが安定なC3A ・CaSO4 ・12H2Oへ
転移する。
【0029】その後もC-S-H ゲルは水和物の間隙や毛細
管空隙に生成を続け、さらに組織が緻密化し、強度が増
進し、中長期的には高炉スラグおよび刺激剤に固溶体と
して存在するオケルマイトC2MS2、メルヴィナイトC3MS2
の水和物や高炉スラグの水和時に放出される余剰の酸性
成分である外2や外3が毛細管細孔内まで相互に拡散し
て行く段階で、不溶性の化合物を造るポゾラン反応を起
こし、C-S-H やC4AH13 が沈析し、毛細管細孔を満たし、
安定した化学抵抗性がある硬化体を与える。
【外2】
【外3】
【0030】前述した一連の水和反応は、熔解温度を下
げるために刺激剤の原料に添加した蛍石の媒熔効果によ
り比較的低温度において原料の分解が始まり、焼成反応
過程において液相の粘性度と飽和度とが低温度の範囲内
から高まり、高石灰型のC3Sが多量に生成することと、
原料がマグネシアに富むように配合され、ガラス状刺激
剤に固溶されるCaO ・MgO ・SiO2系はオケルマナイト・
メルヴィナイトよりの組成となり、長期間にわたってア
ルカリ性を持続し、硬化体の表面硬化によい結果を与
え、組成がオケルマナイトよりになるに従い、水和熱が
低下し、またガラス状刺激剤に固溶するMgO はかなり多
量であっても、トポケミカルな挙動をせず、従って膨張
が起こらず安定である。
【0031】硫酸アルミニウムまたはクエン酸ナトリウ
ムの加水分解による溶媒作用は、溶質の急速分解に伴う
液相の飽和が速められることによって水和反応が促進さ
れ、従って、凝結時間の短縮をもたらし、一方、C3S の
水和によって生成する多量のCa(OH)2 は炭酸ガスCO2
浸透拡散に対し、大気中に暴露する硬化体面において、
Ca(OH)2 とCO2 との反応による不動体を構成し、以後の
CO2 の浸透拡散を抑制し、脆弱質部分の生成と中性化速
度を抑制して、安定な高硫酸塩スラグセメントの硬化体
を与えるものと考えられる。
【0032】なお、前述した作用は、セメント素地とし
て用いる高炉スラグを、高硫酸塩スラグセメントの総量
の40〜85%、仕上りセメントの粉砕時に添加する硫酸ア
ルミニウムまたはクエン酸ナトリウムを0.1 〜5%、添
加する無水石膏は4.5 〜10.5%をすることで得られる
が、請求項4の発明に示したように、セメント素地とし
て用いる高炉スラグを60〜80%、硫酸ナトリウムまたは
クエン酸ナトリウムを0.5 〜2.5 %、無水石膏を4.5 〜
10.5%、残余を刺激剤にすることが好ましい。
【0033】
【実施例】以下、この発明の実施例1〜9について説明
する。実施例1〜3は刺激剤としてクリンカー(A)を
用いるもので、このクリンカー(A)は次のようにして
製造する。
【0034】SiO2 31.00〜36.00 %、Al2O3 12.30 〜1
4.47 %、Fe2O3 0.03〜0.26%、CaO38.30 〜42.42 %、
MgO 5.20〜5.49%、SO3 0.88〜1.03%、MnO 0.16〜0.48
%、TiO2 0.46 〜0.82%を構成成分として含み、CaO/Si
O2比が1.16〜1.38の高炉スラグ20〜45%。SiO2 34.18〜
55.06 %、Al2O3 12.20〜30.11 %、Fe2O3 3.75〜14.33
%、R2O1.65〜4.80%を構成成分として含む火力発電所
から排出副産される石炭灰20〜45%。灼熱減量42.21〜4
5.71 %、SiO2 0.24〜4.68%、Al2O3 0.01〜0.25%、Fe
2O30.01〜0.68%、CaO 41.65〜55.90 %、MgO 0.02〜0.
91%、MnO 0.01〜0.027 %を構成成分として含む石灰石
40〜58%。灼熱減量44.34〜47.17 %、SiO2 0.04〜1.97
%、Al2O3 0.08〜0.26%、Fe2O30.08〜0.49%、CaO 31.
52 〜35.59 %、MgO 17.75 〜20.92 %を構成成分とし
て含み、CaO/MgO が1.07〜1.36の苦灰石5〜20%。化合
水20.92 〜21.12 %、SiO2+不溶成分0.20〜3.66%、Al
2O3 +Fe2O3 0.11〜2.03%、CaO 23.42 〜35.25 %、Mg
O 0.20〜0.37%、SO3 32.82 〜46.59 %を構成成分とし
て含む二水石膏10〜35%。灼熱減量5.06〜5.90%、不溶
分3.00〜3.10%、SiO2 2.82 〜8.16%、MgO 1.00〜1.41
%、CaF2 74.67〜77.88 %を構成成分として含む蛍石0.
5 〜5%を原料として、水硬率2.0 、珪酸率1.4 、水硬
係数0.49、活動係数1.4 になるように配合する。
【0035】前記原料から予め粉体原料を除き粉体原料
以外の各原料1〜3mmの粗粒とし、これに粉体原料を混
合し、試験用ボールミルで乾式にて微粉砕し、88ミクロ
ン篩での残分が4〜10%になる程度に調整する。調整し
た原料粉末を湿状にして10〜15mmφの団子状に成形し、
乾燥させて坩堝に納め、電気炉によって上限1270℃に加
熱焼成した後、炉外に出して冷風を吹き付け、急冷して
刺激剤用のクリンカー(A)を合成した。この際、粉化
現象はみられなかった。
【0036】得られた供試試料クリンカー(A)の化学
成分は、SiO2 16.3 %、Al2O3 11.66 %、Fe2O3 0.3
%、CaO 57.22 %、MgO 8.00%、SO3 4.5 %、Na2O 0.2
5 %、K2O 0.22%、MnO 0.11%、f 〜CaO 0.8 %、F 0.
7 %、灼熱減量0.40%、水硬率(HM) 2.03 、珪酸率(SM)
1.37 、水硬係数(HI) 0.49 、活動係数(AI) 1.41 であ
った。
【0037】実施例1 SiO2 31.00〜36.00 %、Al2O3 12.30 〜14.47 %、Fe2O
3 0.03〜0.26%、CaO38.30 〜42.42 %、MgO 5.20〜5.4
9%、SO3 0.88〜1.03%、MnO 0.16〜0.48%、TiO2 0.46
〜0.82%の構成成分として含み、CaO/SiO2比が1.16〜
1.38の高炉水砕スラグ83%に、前記クリンカー(A)5
%、無水石膏CaSO4 10.5%、硫酸アルミニウムAl2(SO4)
3 1〜5%(好ましくは1〜2%)を添加、混合し、こ
れらを試験用ボールミルで微粉砕し、ブレーン比表面積
4180cm2/g の高硫酸塩スラグセメントを製造した。
【0038】このスラグセメントを、試験用電動式練り
混ぜ機を用い、W/C 比42%で加水混練してモルタルと
し、4cm×4cm×16cmの型枠に注型し、室温20℃±3
℃、湿度80%以上の条件下で供試体を作成し、湿気箱内
を温度20℃±3℃、湿度80%以上にして養生し、24時間
後に脱型し、さらに水中養生を水槽の水温20℃±2℃に
調節して行なった。なお、前記練り混ぜ機は、本体、パ
ドル、練り鍬が規定の形状、寸法のものである。
【0039】供試体は、凝結時間が始発35分、終結1時
間55分であった。また、供試体の強度試験結果は後記の
通りであった。 曲げ強さ(Kg/cm2) 圧縮強さ(Kg/cm2) 材令 3日 58.65 281.52 7日 71.91 397.80 28日 76.50 498.27 安定性試験 良 パットを作成し、直ちに湿気箱で24時間養生したもの
を、ガラス板が付いたまま煮沸容器内の水中に沈めて加
熱し、90分沸騰させた後、徐冷したが、ひび割れや反り
は認められなかった。
【0040】実施例2 実施例1のものと同じ高炉水砕スラグ66%に、実施例1
のものとそれぞれ同じクリンカー(A)26.5%、無水石
膏6.0 %および硫酸アルミニウム1〜5%(好ましくは
1〜2%)を添加、混合し、これらをボールミルで微粉
砕し、ブレーン比表面積4500cm2/g の高硫酸塩スラグセ
メントを製造した。このスラグセメントを練り混ぜ機を
用い、W/C 比42%で加水混練してモルタルとし、実施例
1と同様に供試体を作成し、湿空養成を行ない、脱型し
て水中養成を行なった。
【0041】供試体は、凝結時間が始発41分、終結1時
間44分であった。また、供試体の強度試験結果は後記の
通りであった。 曲げ強さ(Kg/cm2) 圧縮強さ(Kg/cm2) 材令 3日 68.34 318.24 7日 88.74 495.72 28日 94.85 659.94 安定性試験 良 実施例1に準じた。
【0042】実施例3 実施例1のものと同じ高炉水砕スラグ53%に、実施例1
のものとそれぞれ同じクリンカー(A)40%および無水
石膏5.5 %と、クエン酸ナトリウム1〜5%(好ましく
は0.5 〜2%)を添加、混合し、これらをボールミルで
微粉砕し、プレーン比5440cm2/g の高硫酸塩スラグセメ
ントを製造した。このスラグセメントを練り混ぜ機を用
い、W/C 比40%で加水混練してモルタルとし、実施例1
と同様に供試体を作成し、湿空養生を行ない、脱型して
水中養生を行なった。
【0043】供試体は、凝結時間が始発35分、終結1時
間45分であった。また、供試体の強度試験結果は後記の
通りであった。 曲げ強さ(Kg/cm2) 圧縮強さ(Kg/cm2) 材令 3日 88.74 423.81 7日 122.40 607.92 28日 126.48 759.90 安定性試験 良 実施例1に準じた。
【0044】実施例4〜6は刺激剤としてフリット
(B)を用いるもので、このフリット(B)は次のよう
にして製造する。前記クリンカー(A)の場合と同じ高
炉スラグ20〜45%、石炭灰20〜45%、石灰石40〜58%、
二水石膏10〜35%、苦灰石5〜20%、蛍石0.5 〜5%を
原料として、水硬率2.0 、珪酸率1.5 、水硬係数0.45、
活動係数1.5 になるように配合する。
【0045】前記原料をクリンカー(A)の場合と同様
に調整した原料粉末を、電気炉で予め1200℃で灼熱状態
に加熱して炉外に取り出した坩堝に投入し、この坩堝を
直ちに前記電気炉に戻し、1300℃に再加熱して原料粉末
を完全に熔融物にする。炉外に準備された鉄板上に坩堝
から前記熔融物を薄層状に流出させて急冷し、ガラス状
の固形物とした。この際、ダスチング現象はみられなか
った。前記固形物を粉砕して刺激剤用のフリット(B)
を合成した。
【0046】得られた供試試料フリット(B)の化学成
分は、SiO2 17.20%、Al2O3 11.62%、Fe2O3 0.47%、C
aO 55.35 %、MgO 8.61%、SO3 4.3 %、Na2O 0.24
%、K2O 0.23%、MnO 0.09%、f 〜CaO 1.0 %、F 0.9
%、灼熱減量0.08%であった。
【0047】実施例4 実施例1で用いたものと同じ高炉水砕スラグ77%に、前
記フリット(B)10%、無水石膏11%、硫酸アルミニウ
ム1〜5%(好ましくは1〜2%)を添加、混合し、こ
れらをボールミルで微粉砕し、ブレーン比表面積4400cm
2/g の高硫酸塩スラグセメントを製造した。このスラグ
セメントを練り混ぜ械を用い、W/C 比42%で加水混練し
てモルタルとし、実施例1と同様に供試体を作成し、湿
空養生を行ない脱型して水中養生を行なった。
【0048】供試体は、凝結時間が始発36分、終結1時
間48分であった。また、供試体の強度試験結果は後記の
とおりであった。 曲げ強さ(Kg/cm2) 圧縮強さ(Kg/cm2) 材令 3日 47.94 224.40 7日 65.28 413.10 28日 81.60 557.94 安定性試験 良 実施例1に準じた。
【0049】実施例5 実施例1で用いたものと同じ高炉水砕スラグ62%に、前
記フリット(B)30%、無水石膏7%、硫酸アルミニウ
ム1〜5%( 好ましくは1〜2%)を添加、混合し、こ
れらをボールミルで微粉砕し、ブレーン比表面積5400cm
2/g の高硫酸塩スラグセメントを製造した。このスラグ
セメントを練り混ぜ機を用い、W/C 比40%で加水混練し
てモルタルとし、実施例1と同様に供試体を作成し、湿
空養生を行ない、脱型して水中養生を行なった。
【0050】供試体は凝結時間が始発17分、終結1時間
17分であった。また、供試体の強度試験結果は後記のと
おりであった。 曲げ強さ(Kg/cm2) 圧縮強さ(Kg/cm2) 材令 3日 115.36 438.6 7日 124.44 617.1 28日 126.48 745.0 安定性試験 良 実施例1に準じた。
【0051】実施例6 実施例1で用いたものと同じ高炉水砕スラグ48%に、前
記フリット(B)45%、無水石膏6%、クエン酸ナトリ
ウム1〜5%(好ましくは0.5 〜2%)を添加、混合
し、これらをボールミルで微粉砕し、ブレーン比表面積
5380cm2/g の高硫酸塩スラグセメントを製造した。この
スラグセメントを練り混ぜ機を用い、W/C 比40%で加水
混練してモルタルとし、実施例1と同様に供試体を作成
し、湿空養生を行ない、脱型して水中養生を行なった。
【0052】供試体は、凝結時間が始発40分、終結1時
間30分であった。また、供試体の強度試験結果は後記の
通りであった。 曲げ強さ(Kg/cm2) 圧縮強さ(Kg/cm2) 材令 3日 99.96 435.54 7日 122.91 608.94 28日 128.38 758.88 安定性試験 良 実施例1に準じた。
【0053】実施例7,8は刺激剤として水砕(C)を
用いるもので、この水砕(C)は次のようにして製造す
る。前記クリンカー(A)の場合と同じ高炉スラグ20〜
45%、石炭灰20〜45%、石灰石40〜58%、二水石膏10〜
35%、苦灰石5〜20%、蛍石0.5 〜5%を原料として、
水硬率1.9 、珪酸率1.45、水硬係数0.5 、活動係数1.5
になるように配合する。
【0054】前記原料をクリンカー(A)の場合と同様
に調整した原料粉末を、電気炉で予め1200℃で灼熱状態
に加熱して炉外に取り出した坩堝に投入し、この坩堝を
前記電気炉に戻し、1300℃に再加熱し、原料粉末を完全
に熔融物にする。高層建築物の1階の配水管の蛇口から
これの直下に配置した円塔状の水槽へ放水を続けなが
ら、この水槽へ電気炉から取り出した坩堝内の熔融物を
適量ずつ連続投入する。熔融物は適量の水と3Kg/cm2
後の水圧とによって急冷し、粒状に破砕し、薄黄色でガ
ラス質の刺激剤用の水砕(C)を得た。
【0055】この水砕(C)の化学成分は、SiO2 16.22
%、Al2O3 10.85%、Fe2O3 0.3%、CaO 57.85%、MgO
7.96%、SO3 4.4%、Na2O 0.25%、K2O 0.23%、MnO 0.
1%、f〜CaO 0.80%、F 0.80%、灼熱減量 0.13%であ
った。
【0056】実施例7 実施例1で用いたものと同じ高炉水砕スラグ83%に、前
記水砕5%、無水石膏10.5%、硫酸アルミニウム1〜5
%(好ましくは1〜2%)を添加、混合し、これらをボ
ールミルで微粉砕し、ブレーン比表面積4450cm2/g の高
硫酸塩スラグセメントを製造した。このスラグセメント
を練り混ぜ機を用い、W/C 比42%で加水混練してモルタ
ルとし、実施例1と同様に供試体を作成し、湿空養生を
行ない、脱型して水中養生を行なった。
【0057】供試体は、凝結時間が始発43分、終結1時
間55分であった。また、供試体の強度試験結果は後記の
通りであった。 曲げ強さ(Kg/cm2) 圧縮強さ(Kg/cm2) 材令 3日 58.14 258.6 7日 75.48 380.46 28日 75.48 435.54 安定性試験 良 実施例1に準じた。
【0058】実施例8 実施例1で用いたものと同じ高炉水砕スラグ78%に、前
記水砕14%、無水石膏7%、クエン酸ナトリウム0.5 〜
5%(好ましくは0.5 〜2%)を添加、混合し、これら
を微粉砕し、ブレーン比表面積4530cm2/g の高硫酸塩ス
ラグセメントを製造した。このスラグセメントをW/C 比
42%で加水混練してモルタルとし、実施例1と同様に供
試体を作成し、湿空養生を行ない脱型して水中養生を行
なった。
【0059】供試体は、凝結時間が始発22分、終結1時
間15分であった。また、供試体の強度試験結果は後記の
通りであった。 曲げ強さ(Kg/cm2) 圧縮強さ(Kg/cm2) 材令 3日 114.75 347.82 7日 120.36 425.34 28日 126.48 499.80 安定性試験 良 実施例1に準じた。
【0060】実施例9 実施例1で用いたものと同じ高炉水砕スラグ64%に、前
記クリンカー(A)8%、フリット(B)8%、水砕
(C)8%、無水石膏10%、硫酸アルミニウム1〜5%
(好ましくは1〜2%)を添加、混合し、これらを微粉
砕し、ブレーン比表面積4970cm2/g の高硫酸塩スラグセ
メントを製造した。このスラグセメントをW/C 比40%で
加水混練してモルタルとし、実施例1と同様に供試体を
作成し、湿空養生を行ない脱型して水中養生を行なっ
た。
【0061】供試体は、凝結時間が始発38分、終結1時
間18分であった。また、供試体の強度試験結果は後記の
通りであった。 曲げ強さ(Kg/cm2) 圧縮強さ(Kg/cm2) 材令 3日 121.38 433.50 7日 113.22 554.37 28日 113.22 700.74 安定性試験 良 実施例1に準じた。
【0062】実施例1〜9に準じて、請求項3の発明の
原料を用いて得た他の15例の高硫酸塩スラグセメントつ
いても、前述した実施例とほぼ同様な成績が得られた。
すなわち、凝結試験、強度試験および安定性試験の結果
は次のとおりであった。 凝結時間 始発22分〜1時間12分 終結1時間19分〜2時間48分 強度試験 曲げ強さ(Kg/cm2) 材令 3日 49.98〜121.38 7日 66.30〜126.48 28日 82.62〜126.48 圧縮強さ(Kg/cm2) 材令 3日 282.54〜495.72 7日 390.66〜585.48 28日 497.50〜739.50 安定性試験 良 実施例1に準じた。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
係る高硫酸塩スラグセメントは、製鉄プロセスによって
副産された高炉スラグ、火力発電所から排出副産された
石炭灰、石膏、石灰石、苦灰石などのマグネシア供給
源、および蛍石を原料としたクリンカー、フリットまた
は水砕からなる刺激剤を単独または複数種類で用い、セ
メント素地である高炉スラグに前記刺激剤、無水石膏お
よび硫酸アルミニウムまたはクエン酸ナトリウムを加え
た混合微粉末からなるので、アルミナ、カルシウムが減
少し、マグネシアが増加した高炉スラグをセメント素地
として、急速凝結、硬化、早強性にすぐれ、しかも中性
化速度の抑制ができ、安定した硬化体が得られる。
【0064】また、高炉スラグおよび石炭灰は、クリン
カー、フリットまたは水砕からなる刺激剤の構成成分と
して多量に用いる。すなわち、高炉スラグおよび石炭灰
は、粘土の代替、高アルミナ源、およびカルシウムの供
給源として用いており、前記アルミナ源として硬質粘土
類があるが、本邦などでは、高炉スラグ、石炭灰が比較
的安定し、経済性も伴って入手しやすいので、これらを
多量に用いることで、刺激剤および高硫酸塩スラグセメ
ントを安価にできる。
【0065】さらに、石灰石は石灰飽和度を高めるため
に用い、苦灰石などはマグネシアの供給源として用い、
これらに石膏と蛍石とを加え、乾式または湿式で微粉砕
し、例えば10〜20mmφ以下の円柱状に湿式成形して乾燥
させ、あるいはスラリーにして加熱焼成するが、この際
に媒熔剤として蛍石を加えてあるので、加熱温度を低く
でき、高硫酸塩、高アルミナ、高石灰、富マグネシヤ型
のクリンカー、フリットまたは水砕からなる刺激剤を容
易に得ることができる。
【0066】そして、セメント素地としての高炉スラグ
は、最近の組成変化によって請求項2に記載した構成成
分になっているので、クリンカー、フリットまたは水砕
として用いる刺激剤を請求項2に記載した構成成分範囲
にすることが好ましく、刺激剤はクリンカー、フリッ
ト、水砕をそれぞれ単独で用い、あるいはこれらの3者
を混合して用いるなど、1種類または複数種類を適宜使
用できる。
【0067】請求項3の発明に係る高硫酸塩スラグセメ
ントの製造方法では、原料として、高炉スラグ20〜57
%、石炭灰20〜57%、二水石膏10〜35%、石灰石40〜58
%、苦灰石5〜20%に蛍石0.5 〜5%を媒熔剤として添
加した配合比とし、これらに請求項3に記載した構成成
分のものを用い、加熱焼成してクリンカー、フリット、
または水砕とした刺激剤を得ていることで、刺激剤の構
成成分範囲が請求項2に示した通りになり、請求項1,
2に示した高硫酸塩スラグセメントを製造するのに好適
し、また媒熔剤として蛍石を添加したことで、これを用
いないものに比べ、焼成温度を引き下げることができ
る。
【0068】なお、この明細書において、f〜CaOは遊離
石灰(フリーライム)、R2O はNa2O・K2O 、C3A は3CaO
・Al2O3 、C12A7 は12CaO・7Al2O3 、3(CA)・CaSO4
3CaO・3Al2O3・Fe2O3、C3S は3CaO・SiO2、C2S は2CaO
・SiO2、C4AFは4CaO・Al2O3・Fe2O3、外4はCaO・3Al2O
3・CaSO4、C2MS2は2CaO・MgO・2SiO2、C3MS2は3CaO・MgO
・2SiO2、C-S-HはCaO・SiO2・H2O、C4AH13は4CaO・Al2O
3・13H2Oである。
【外4】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年9月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正内容】
【0068】なお、この明細書において、f〜CaOは遊離
石灰(フリーライム)、R2O はNa2O・K2O 、C3A は3CaO
・Al2O3 、C12A7 は12CaO・7Al2O3 、3(CA)・CaSO4
3CaO・3Al2O3CaSO4 、C3S は3CaO・SiO2、C2S は2CaO
・SiO2、C4AFは4CaO・Al2O3・Fe2O3、外4はCaO・Al2O3
・SO3 、C2MS2は2CaO・MgO・2SiO2、C3MS2は3CaO・MgO・2S
iO2、C-S-HはCaO・SiO2・H2O、C4AH13は4CaO・Al2O3・1
3H2Oである。
【外4】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高炉スラグのセメント素地に、高炉スラ
    グ、石炭灰、石膏、石灰石、苦灰石などのマグネシア供
    給源、および蛍石を原料としたクリンカー、フリット、
    水砕の1種類または複数種類の刺激剤と、無水石膏と、
    硫酸アルミニウムまたはクエン酸ナトリウムとを加えた
    混合微粉末からなることを特徴とした高硫酸塩スラグセ
    メント。
  2. 【請求項2】 セメント素地は、SiO2 31.00〜36.00
    %、Al2O3 12.30 〜14.47 %、Fe2O3 0.03〜0.26%、Ca
    O 38.30 〜42.42 %、MgO 5.20〜5.49%、SO30.88〜1.0
    3%、MnO 0.16〜0.48%、TiO2 0.46 〜0.82%を構成成
    分として含み、CaO/SiO2比が1.16〜1.38の高炉スラグと
    し、 刺激剤は、SiO2 12.0 〜21.0%、Al2O3 7.0 〜26.0%、
    Fe2O3 0.2 〜7.3 %、CaO 50.0〜67.0%、MgO 5.5 〜1
    8.0%、SO3 4.0 〜18.0%、Na2O 0.03 〜0.38%、K2O
    0.24〜0.35%、MnO 0.10〜0.43%、f 〜CaO 0.6 〜2.8
    %、F 0.7 〜1.5%を主要構成成分範囲としたことを特
    徴とした請求項1に記載の高硫酸塩スラグセメント。
  3. 【請求項3】 SiO2 31.00〜36.00 %、Al2O3 12.30 〜
    14.47 %、Fe2O3 0.03〜0.26%、CaO 38.30 〜42.42
    %、MgO 5.20〜5.49%、SO3 0.88〜1.03%、MnO 0.16〜
    0.48%、TiO2 0.46 〜0.82%を構成成分として含み、Ca
    O/SiO2比が1.16〜1.38の高炉スラグと、 SiO2 34.18〜55.06 %、Al2O3 12.20〜30.11 %、Fe2O
    3 3.75〜14.33%、R2O1.65〜4.80%を構成成分として含
    む火力発電所から排出副産された石炭灰20〜57%と、 化合水20.92 〜21.12 %、SiO2+不溶成分0.2 〜3.66
    %、Al2O3 +Fe2O3 0.11〜2.03%、CaO 23.42 〜35.25
    %、MgO 0.20〜0.37%、SO3 32.82 〜46.5%を構成成分
    として含む二水石膏10〜35%と、 灼熱減量42.21〜45.71 %、SiO2 0.24 〜4.68%、Al2O
    3 0.01〜0.25%、Fe2O3 0.01〜0.68%、CaO 41.65 〜55.
    90 %、MgO 0.02〜0.91%、MnO 0.01〜0.027%を構成成
    分として含む石灰石40〜58%と、 灼熱減量44.34 〜47.17 %、SiO2 0.04〜1.97%、Al2O
    3 0.08〜0.26%、Fe2O3 0.08〜0.49%、CaO 31.52 〜35.
    59 %、MgO 17.75 〜20.92 %を構成成分として含み、C
    aO/MgO が1.07〜1.36の苦灰石5〜20%とに、 灼熱減量5.06〜5.90 %、不溶成分3.00〜3.10 %、SiO2
    2.82 〜8.16%、MgO1.00〜1.41%、CaF2 74.67〜77.88
    %を構成成分として含む蛍石0.5 〜5%を媒熔剤とし
    て添加し、1200〜1300℃に加熱焼成して冷却し、クリン
    カー、フリット、または水砕からなる刺激剤を製造し、 この刺激剤に用いた高炉スラグと同じ高炉スラグからな
    るセメント素地をセメント総量の40〜85%、無水石膏を
    4〜18%、硫酸アルミニウムまたはクエン酸ナトリウム
    を0.1 〜5%、前記刺激剤の1種類または複数種類を残
    余とし、これらを混合粉砕あるいは粉砕混合して、4000
    〜5500cm2/g のブレーン比表面積の微粉末混合物にする
    ことを特徴とした高硫酸塩スラグセメントの製造方法。
  4. 【請求項4】 セメント素地をセメント総重量の60〜80
    %、無水石膏を4.5〜10.5%、硫酸アルミニウムまたは
    クエン酸ナトリウムを0.5 〜2.5 %、刺激剤を残余とす
    ることを特徴とした請求項3に記載の高硫酸塩スラグセ
    メントの製造方法。
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