JPH08123056A - 電荷輸送層用組成物、それを用いて得られる積層型電子写真用感光体およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 積層型電子写真用感光体の形成に使用される
塗布液として好適な電荷輸送層用組成物を提供し、その
塗布液を用いて得られる電子写真用感光体の静電特性、
耐摩耗性および機械的強度の向上を図る。 【構成】 導電性支持体２上に、少なくとも電荷発生層
４と電荷輸送層５とを積層してなる積層型電子写真用感
光体１の前記電荷輸送層５の形成の際に、塗布液として
用いられる電荷輸送層用組成物が、一般式（１）のフェ
ニルスチルベン化合物と、一般式（２）で表される繰り
返し単位と、一般式（３）で表される繰り返し単位とか
らなるバインダー樹脂としてのフルオレンポリカーボネ
ート樹脂とを、溶剤に溶解させて構成される。Ｒ₁は水
素あるいはメトキシ基を、Ｒ₂は水素、メチル基あるい
はエチル基を、Ｒ₃は水素、メチル基、エチル基あるい
はプロピル基を示している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、積層型電子写真用感光
体の製造に用いる電荷輸送層用組成物、それを用いて得
られる積層型電子写真用感光体および該感光体の製造方
法に関するものであり、より詳しくは、優れた機械的強
度及び電子写真特性を維持し、種々の電子写真分野に好
適に利用できる積層型電子写真用感光体に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】近年、電子写真用感光体として、有機光
導電性物質を含有する有機感光体が開発され実用化され
ている。これは、成膜が容易であり、安価で無公害であ
るなどの長所を有している。特に、半導体レーザーを光
源に用いたレーザービームプリンタなどの光プリンタ、
ファクシミリに適した長波長領域に高い感度を有する有
機感光体の発展がめざましい。

【０００３】その実用化されている有機感光体のほとん
どが、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物
質を含有する電荷輸送層とを積層してなる積層型有機感
光体であり、機能分離の構成によって大幅な特性の向上
が図られてきた。

【０００４】この積層型電子写真用感光体は、一般に、
導電性支持体上に薄膜の電荷発生層を形成し、その上に
比較的厚膜の電荷輸送層を形成して構成されており、電
荷発生層により光を吸収してキャリアを発生し、電荷輸
送層へ注入されたキャリアが電荷輸送層中を移動し、表
面電荷を中和することによって機能を発現するものであ
る。この場合に、電荷輸送層は注入されたキャリアを移
動させる機能とともに、感光体の帯電能（受容電位）を
保持することと、感光層の機械的強度を保つ機能を有し
ている。

【０００５】この電荷輸送層には電荷輸送物質として、
一般に、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ブタジ
エン化合物などの電荷輸送能の大きい物質が用いられて
いる。例えば、ヒドラゾン化合物については特開昭５４
−８１８４７号公報、特開昭５５−８４９４３号公報、
特開昭５７−１９０９５１号公報、特開昭５８−１５９
５３６号公報などに示され、スチルベン化合物について
は特開昭５８−１８９１４５号公報、特開昭５８−１９
０９５３号公報、特開昭５８−１９８４２５号公報、特
開昭５８−１９８０４３号公報等に示され、ブタジエン
化合物については特開昭６２−３０２５５号公報、特開
昭６２−２８７２５７号公報等に示されている。

【０００６】一方、電子写真用感光体には、当然ながら
適用される電子写真プロセスに応じた所定の静電特性、
光学特性を備えていることが要求されるとともに、特に
繰り返し使用可能な感光体にあっては、その感光体の表
面層には、電子写真装置の中で各種プロセスにおいてコ
ロナ帯電、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理
などの電気的、機械的外力が直接に加えられるため、そ
れらに対する耐久性が要求される。具体的には、コロナ
帯電時に発生するオゾンあるいはその窒素酸化物の作用
による感光層劣化のために起こる画ボケや、残留電位の
増加、またトナーやクリーニングブレードの摺擦による
表面の摩耗や傷の発生などに対する電気的、機械的耐久
性が要求されている。

【０００７】また、積層型電子写真用感光体では、通
常、電荷発生層上に電荷輸送層を積層した構成になって
いるので、最外層である電荷輸送層の耐久性が重要とな
る。通常、電荷輸送層は、電荷輸送物質をバインダー樹
脂中に均一分散して形成するため、機械的耐久性につい
てはバインダー樹脂の強度が大きく影響し、機械的強度
の優れたバインダー樹脂が要望されている。最近にな
り、これらを満足する樹脂としてポリカーボネート樹脂
が電荷輸送層のバインダーとして提案され、用いられる
ようになってきた（例えば、特開昭５９−７１０５７号
公報、特開昭６０−１７２０４５号公報、特開昭６０−
１９２９５０号公報など）。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】このように実際の使用
にあたっては、静電特性のみならず、上記のような機械
的耐久性によって電子写真用感光体の寿命が決定されて
いる。

【０００９】ところが、上記のように機械的耐久性向上
のためにバインダー樹脂改良のための検討および静電特
性向上のために電荷輸送物質の検討は種々なされている
ものの、バインダー樹脂と電荷輸送物質との相溶性にま
つわる種々の問題に対しては、ほとんど検討されていな
いのが現状である。

【００１０】例えば電荷輸送層を浸漬塗工法により形成
する場合には、ポットライフが長く、安定であることが
塗布液の特性として要求されるし、また電荷輸送層の形
成後に塗膜中に結晶化が起こらないようなバインダー樹
脂の特性も要求される。

【００１１】例えば、バインダー樹脂としてビスフェノ
ールＡを原料とするポリカーボネート樹脂を用いて電荷
輸送層を形成した場合には、下記の２つの問題点あるこ
とが明らかになっている。

【００１２】まず第１の問題点として、感光体作成時に
電荷輸送用塗料を塗布する際、用いる溶媒によっては塗
工液がゲル化したり、電荷輸送層が容易に結晶化を起こ
すことがある。この結晶化を起こした部分では光減衰が
なく、電荷は残留電位となって残り画像上でノイズとな
って現れる。

【００１３】また第２の問題点として、ビスフェノール
Ａを原料とするポリカーボネート樹脂を用いた電荷輸送
層は、下地との密着性が悪く剥離しやすかったり、表面
硬度が低いため傷ついたり、表面が摩耗して耐刷寿命が
短くなるという欠点が挙げられる。

【００１４】本発明は、上記従来の問題点に鑑み、バイ
ンダー樹脂と電荷輸送物質との相溶性に着目し、特定の
バインダー樹脂を用いることによって、積層型電子写真
用感光体の静電特性の向上と電荷輸送層の耐摩耗性およ
び機械的強度を向上させるだけでなく、塗布液の長寿命
化を可能にし、機械的かつ静電的特性の良好な積層型電
子写真用感光体を提供することを目的とするものであ
る。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本件発明者らは、上記の
ような観点で、特に電荷輸送物質とバインダー樹脂との
相溶性について種々検討し、本発明を完成した。

【００１６】すなわち、本発明の電荷輸送層用組成物
は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層と電荷輸
送層とを積層してなる積層型電子写真用感光体の前記電
荷輸送層の形成の際に用いられるものであって、一般式

【００１７】

【化１】

【００１８】（ただし、式中、Ｒ₁は水素あるいはメト
キシ基を示している）で表されるフェニルスチルベン化
合物と、一般式

【００１９】

【化２】

【００２０】（ただし、式中、Ｒ₂は水素、メチル基あ
るいはエチル基を示している） で表される繰り返し単位と、一般式

【００２１】

【化３】

【００２２】（ただし、式中、Ｒ₃は水素、メチル基、
エチル基あるいはプロピル基を示している） で表される繰り返し単位とからなるバインダー樹脂とし
てのフルオレンポリカーボネート樹脂とを、溶剤に溶解
させたものである。

【００２３】また、本発明の積層型電子写真用感光体
は、本発明の電荷輸送層用組成物を用いて電荷輸送層を
形成してなるものである。

【００２４】さらに、本発明の積層型電子写真用感光体
の製造方法は、本発明の電荷輸送層用組成物を塗布液と
して用いることにより、電荷輸送層を形成するものであ
る。

【００２５】

【作用】すなわち、本発明のフルオレンポリカーボネー
ト樹脂は、電荷輸送物質との相溶性が非常に高く、電荷
輸送層のバインダー樹脂として本発明のフルオレンポリ
カーボネート樹脂を用いることにより、積層型電子写真
用感光体の機械的強度および耐摩耗性ならびに静電特性
を向上させるだけでなく、電荷輸送層用組成物からなる
塗布液の長寿命化が可能となる。

【００２６】

【実施例】以下、図面によって本発明の実施例について
詳細に説明する。

【００２７】図１は、本発明の一実施例の積層型電子写
真用感光体の断面図である。

【００２８】積層型電子写真用感光体１は、導電性支持
体２上に、電荷発生層４と電荷輸送層５とからなる有機
感光層３を積層して構成されている。電荷輸送層５は、
少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂からなってい
る。

【００２９】本発明の電荷輸送層用組成物は、電荷輸送
層５を形成する際に用いられるものであり、以下の組成
を有するものである。

【００３０】すなわち、本発明の電荷輸送層用組成物
は、一般式

【００３１】

【化１】

【００３２】（ただし、式中、Ｒ₁は水素あるいはメト
キシ基を示している） で表されるフェニルスチルベン化合物と、一般式

【００３３】

【化２】

【００３４】（ただし、式中、Ｒ₂は水素、メチル基あ
るいはエチル基を示している） で表される繰り返し単位と、一般式

【００３５】

【化３】

【００３６】（ただし、式中、Ｒ₃は水素、メチル基、
エチル基あるいはプロピル基を示している） で表される繰り返し単位とからなるバインダー樹脂とし
てのフルオレンポリカーボネート樹脂とを、溶剤に溶解
させてなるものである。

【００３７】このフルオレンポリカーボネート樹脂は、
前記一般式

【００３８】

【化２】

【００３９】で表される繰り返し単位の含有割合が、該
一般式

【００４０】

【化２】

【００４１】で表される繰り返し単位と、前記一般式

【００４２】

【化３】

【００４３】で表される繰り返し単位との合計に対する
モル比で０.５を越えると、耐摩耗性が悪くなるので、
前記モル比が０.５以下であるのが好ましい。

【００４４】本発明に用いられるフルオレンポリカーボ
ネート樹脂は、一般式

【００４５】

【化４】

【００４６】（ただし、式中、Ｒ₂は水素、メチル基あ
るいはエチル基を示している） で表されるビスフェノールフルオレン化合物と、一般式

【００４７】

【化５】

【００４８】（ただし、式中、Ｒ₃は水素、メチル基、
エチル基あるいはプロピル基を示している） で表される二価フェノール化合物との混合物に、例えば
ジフェニルカーボネートを溶融状態で反応させるエステ
ル交換法によって、あるいは、ピリジンなどの塩化水素
結合剤の存在下に適当な溶剤中でホスゲンと反応させて
得ることができる。

【００４９】電子写真感光体としての特性上、電荷輸送
層中のバインダー樹脂の含有量が多いと、機械的強度は
向上するが感度が低下し、逆に少なすぎると、感度は向
上するが機械的強度は低下する。そこで、バインダー樹
脂の含有量は、電荷輸送層全量の４０重量％以上であっ
て６０重量％以下が好ましく、特に５０重量％程度が好
ましい。

【００５０】また、本発明の溶剤としては、電荷輸送物
質、バインダー樹脂を溶解するものであればよく、具体
的には、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケ
トン類、エステル類、エーテル類などを用いることがで
きる。

【００５１】電荷発生層４は、少なくとも電荷発生物質
とバインダー樹脂とからなる。電荷発生物質としては、
アゾ系、フタロシアニン系、スクエアリリウム系、シア
ニン系、キノン系、ペリレン系などの各種顔料あるいは
染料が挙げられ、静電特性を高めるためには、オキソチ
タニウムフタロシアニン顔料が好ましい。

【００５２】電荷発生層４のバインダー樹脂としては、
ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラー
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネートまたはこれらの
樹脂の共重合体などが挙げられる。また溶剤としては、
バインダー樹脂を溶解するものであればよく、具体的に
は、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン
類、エステル類、エーテル類、アルコール類などを用い
ることができる。

【００５３】導電性支持体２は、従来から知られている
導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウ
ム、鉄、銅等の金属材料や導電性プラスチック（フェノ
ール樹脂等も含む）あるいはヨウ化アルミニウム、ヨウ
化銅、酸化クロム、または酸化スズ等の導電性で被覆さ
れたガラス等が用いられる。

【００５４】次に、積層型電子写真用感光体１の製造方
法について説明する。

【００５５】電荷発生層４は、上述の電荷発生物質を、
バインダー樹脂を溶解した溶液中に分散した塗料を用い
て導電性支持体２上に、浸漬塗工法、スピンコート法、
スプレー塗工法、あるいは静電塗工法にて形成される。

【００５６】この電荷発生層４の膜厚は、特性上、０．
１〜１μｍ程度が好ましい。膜厚が薄すぎると、電荷発
生量が少なく十分な感度が得られず、逆に厚すぎると、
帯電性が低下したり、帯電性や感度の繰り返し安定性が
損なわれる。

【００５７】また、導電性支持体２上に電荷発生層４を
形成する場合に、導電性支持体２と電荷発生層４の接着
性向上あるいは導電性支持体２側からの電荷注入の防止
のために、ポリビニルブチラール樹脂、酢酸ビニル樹脂
あるいはポリアミド樹脂などからなる０.１〜１μｍの
層を設けることもできる。

【００５８】電荷輸送層５は、上述の電荷輸送層用組成
物を塗布液として用いて、電荷発生層４上に、好ましく
は浸漬塗工法にて形成される。電荷輸送層５の膜厚は、
特性上、５〜３０μｍ程度が好ましい。膜厚が薄すぎる
と、帯電性が低下し、逆に厚すぎると感度が低下する。

【００５９】以上、本発明の電荷輸送層用組成物および
この組成物を用いて得られる積層型電子写真用感光体並
びにこの感光体の製造方法について詳細に説明した。

【００６０】以下、具体的な実施例に基づいて、さらに
詳細に説明する。

【００６１】（実施例１）τ型無金属フタロシアニン
（東洋インキ製造株式会社製）４重量部、ブチラール樹
脂（積水化学工業株式会社製 商品名エスレックスＢＬ
−１）３重量部をテトラヒドロフラン８０重量部に分散
した。この塗液をアルミ板上に浸漬塗布し、１００℃に
て１時間乾燥して膜厚０．１μｍの電荷発生層を形成し
た。

【００６２】次に、４−Ｎ，Ｎ−ジフェニルアミノ−α
−フェニルスチルベン２重量部と、一般式が

【００６３】

【化６】

【００６４】で表される繰り返し単位と、一般式が

【００６５】

【化７】

【００６６】で表される繰り返し単位とからなり、前記
一般式

【００６７】

【化６】

【００６８】で表される繰り返し単位の含有割合が、全
体の２０モル％のフルオレンポリカーボネート樹脂２重
量部とを、ジクロロメタン２０重量部に溶解したものを
電荷輸送層用組成物とし、この組成物を塗布液として電
荷発生層上に浸漬塗工し、１００℃にて１時間乾燥して
膜厚２０μｍの電荷輸送層を形成した。

【００６９】このようにして得た電子写真用感光体サン
プルを用いて、室温環境（２０℃６０％ＲＨ）下でサン
ドペーパー摩耗試験および静電特性評価を行った。

【００７０】サンドペーパー摩耗試験は、摩耗試験機
（ヘイドン社製 Ｐｅｅｌｉｎｇ／Ｓｌｉｐｐｉｎｇ／
Ｓｃｒａｔｃｈｉｎｇ ＴＥＳＴＥＲ ＨＥＩＤＯＮ−
１４）を用い、感光体表面をサンドペーパー（１２００
番 ＳＡＮＫＹＯ社製）で３０ｍｍ／ｍｉｍで繰り返し
摺擦し、そのときの繰り返し回数と摩耗量の関係を評価
する。ただし、摩耗量は、この評価において電荷輸送層
が削られた時の幅と深さとの積である。

【００７１】また、静電特性は、電位特性評価装置（川
口電機株式会社製 ＥＰＡ−８１００）を用い、初期電
位特性および繰り返し特性の評価を行った。

【００７２】これは、暗所においてコロナ電流−３０μ
Ａによるコロナ放電にて感光体サンプルを帯電したとき
の帯電電位をＶ０とし、ついで８００ｎｍにピークをも
つ２．１μJ/cm²・secのエネルギーの単色光を照射し、
表面電位が１／２Ｖ０に減少するのに要した露光量Ｅ１
／２および露光から２秒後の残留電位ＶＲも測定した。

【００７３】その評価結果を下記の表１の第１段目に示
す。

【００７４】同時に、前記電荷輸送層用組成物の放置試
験を行い、塗料としての経時変化を目視観察により評価
した。

【００７５】その評価結果を下記の表２の第１段目に示
す。

【００７６】（実施例２）実施例１のフルオレンポリカ
ーボネート樹脂として、一般式が

【００７７】

【化８】

【００７８】で表される繰り返し単位と、前記一般式

【００７９】

【化７】

【００８０】で表される繰り返し単位とからなり、前記
一般式

【００８１】

【化８】

【００８２】で表される繰り返し単位の含有割合が、全
体の２０モル％のフルオレンポリカーボネート樹脂を用
いた以外は、実施例１と同様にして導電性支持体上に電
荷発生層、電荷輸送層を形成し、実施例１と同様にして
サンドペーパー摩耗試験、静電特性評価および塗料の経
時変化の評価を行った。

【００８３】その結果を表１および表２の第２段目にそ
れぞれに示す。

【００８４】（実施例３）実施例１の電荷発生層におい
て、電荷発生物質としてτ型無金属フタロシアニンの代
わりに、α型オキソチタニウムフタロシアニンを用いた
以外は、実施例１と同様にして導電性支持体上に電荷発
生層、電荷輸送層を形成し、実施例１と同様にして静電
特性の評価を行った。

【００８５】その結果を表１の第３段目に示す。

【００８６】（実施例４）実施例１の電荷輸送層におい
て、電荷輸送物質として、４−Ｎ，Ｎ−ジフェニルアミ
ノ−α−フェニルスチルベンに代えて、４−（Ｎ−ｐ−
メトキシフェニル−Ｎ−フェニル）アミノ−α−フェニ
ルスチルベンを用い、フルオレンポリカーボネート樹脂
として、前記一般式

【００８７】

【化６】

【００８８】で表される繰り返し単位の含有割合が、全
体の１０モル％のフルオレンポリカーボネート樹脂を用
いた以外は、実施例１と同様にして導電性支持体上に電
荷発生層、電荷輸送層を形成し、実施例１と同様にして
サンドペーパー摩耗試験、静電特性評価および塗料の経
時変化の評価を行った。

【００８９】その結果を表１の第４段目および表２の第
３段目にそれぞれに示す。

【００９０】（比較例１）また、本発明の比較例とし
て、電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例１のフ
ルオレンポリカーボネート樹脂に代えて、２，２−ビス
（４−ヒドロキシフェニル）プロパンから得られるビス
フェノールＡタイプポリカーボネート樹脂を用いた以外
は、実施例１と同様にして導電性支持体上に電荷発生
層、電荷輸送層を形成し、実施例１と同様にしてサンド
ペーパー摩耗試験、静電特性評価および塗料の経時変化
の評価を行った。

【００９１】その結果を表１の第５段目および表２の第
４段目にそれぞれ示す。

【００９２】

【表１】

【００９３】

【表２】

【００９４】表１から明らかなように、本発明の電荷輸
送層用組成物を用いて得られる積層型電子写真用感光体
は、機械的強度および耐摩耗性ならびに静電特性に優
れ、また、表２から明らかなように、本発明の電荷輸送
層用組成物は、ゲル化することなく、安定であり、塗布
液として用いた場合に、その長寿命化を図ることが可能
となる。

【００９５】

【発明の効果】以上のように本発明の電荷輸送層用組成
物は、積層型電子写真用感光体を形成する際の塗布液と
して用いた場合に、塗布液がゲル化したりすることがな
く安定した塗工を行うことができ、また、本発明の電荷
輸送層用組成物を用いて得られた積層型電子写真用感光
体は、静電特性、耐摩耗性および機械的強度が向上し、
耐刷性に優れたものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の積層型電子写真用感光体の
断面図である。

【符号の説明】

１ 積層型電子写真用感光体 ２ 導電性支持体 ３ 感光層 ４ 電荷発生層 ５ 電荷輸送層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｇ０３Ｇ 5/05 １０１ １０２

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生
   層と電荷輸送層とを積層してなる積層型電子写真用感光
   体の前記電荷輸送層の形成の際に用いられる電荷輸送層
   用組成物が、一般式 【化１】 （ただし、式中、Ｒ₁は水素あるいはメトキシ基を示し
   ている） で表されるフェニルスチルベン化合物と、一般式 【化２】 （ただし、式中、Ｒ₂は水素、メチル基あるいはエチル
   基を示している） で表される繰り返し単位と、一般式 【化３】 （ただし、式中、Ｒ₃は水素、メチル基、エチル基ある
   いはプロピル基を示している） で表される繰り返し単位とからなるバインダー樹脂とし
   てのフルオレンポリカーボネート樹脂とを、溶剤に溶解
   させたものであることを特徴とする電荷輸送層用組成
   物。
2. 【請求項２】 前記一般式 【化２】 で表される繰り返し単位の含有割合が、該一般式 【化２】 で表される繰り返し単位と、前記一般式 【化３】 で表される繰り返し単位との合計に対するモル比で０.
   ５以下である請求項１記載の電荷輸送層用組成物。
3. 【請求項３】 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生
   層と電荷輸送層とを積層してなる積層型電子写真用感光
   体において、前記電荷輸送層が、請求項１または請求項
   ２の電荷輸送層用組成物を用いて形成されていることを
   特徴とする積層型電子写真用感光体。
4. 【請求項４】 前記電荷発生層中の電荷発生物質が、オ
   キソチタニウムフタロシアニン顔料である請求項３記載
   の積層型電子写真用感光体。
5. 【請求項５】 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生
   層と電荷輸送層とを積層してなる積層型電子写真用感光
   体の製造方法において、請求項１または請求項２の電荷
   輸送層用組成物を塗布液として用いることにより、前記
   電荷輸送層を形成することを特徴とする積層型電子写真
   用感光体の製造方法。
6. 【請求項６】 前記電荷発生層中の電荷発生物質が、オ
   キソチタニウムフタロシアニン顔料である請求項５記載
   の積層型電子写真用感光体の製造方法。