JPH08121104A - 高耐食被覆層を備えたタービンブレード及びガスタービン - Google Patents

高耐食被覆層を備えたタービンブレード及びガスタービン

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JPH08121104A
JPH08121104A JP25496394A JP25496394A JPH08121104A JP H08121104 A JPH08121104 A JP H08121104A JP 25496394 A JP25496394 A JP 25496394A JP 25496394 A JP25496394 A JP 25496394A JP H08121104 A JPH08121104 A JP H08121104A
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JP
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blade
turbine blade
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metal layer
alloy
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JP25496394A
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Tetsuo Fujiwara
徹男 藤原
Takeshi Obana
健 尾花
Yoshiyuki Kojima
慶享 児島
Hiroshi Fukui
寛 福井
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】MCrAlY合金にかわる900℃以上のメタ
ル温度でも優れた耐食性を示す被覆層を備えたタービン
ブレード、及び該ブレードを用いたガスタービンを提供
する。 【構成】Niを主成分とする耐熱合金基材の表面の一部
に被覆層を備えたタービンブレードにおいて、前記被覆
層のうち少なくとも1層が、厚さ0.5μm 以上100
μm以下で純度30%以上のIrよりなるメタル層10
2であり、前記メタル層102の上部にZrO2 系柱状
セラミックスTBC層104が20〜600μm幅で被
覆されていることを特徴とするタービンブレード。 【効果】優れた耐食性を示す被覆層を備えたタービンブ
レードを供給することが可能となり、さらに該ブレード
を用いることにより燃焼温度の高いガスタービンが可能
となり、タービンの効率を高めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高耐食性被覆層を備え
た、ガスタービン用タービンブレードに係り、特に、該
タービンブレードを設けた高効率ガスタービンに関す
る。
【0002】
【従来の技術】発電用のガスタービンは効率向上を目的
とした運転温度の高温化が進められており、その結果、
耐熱部品であるタービン動翼(タービンブレード)の高
温耐久性の向上が強く要望されている。このような背景
のもとで、高温強度が高く信頼性に優れた耐熱合金の開
発が進んでいるが、その耐熱温度には限界がある。高温
条件下で使用される部品の温度を低減する方法として、
熱伝導率の小さいセラミック(たとえばZrO2 系セラ
ミックス)で部品の表面を被覆する熱遮蔽コーティング
(Thermal Barrier Coating:TBCと略す)が知られて
いる。TBCでは部品の基材メタル温度を50〜100
℃低減することができる。
【0003】一方で前記TBCと併用して、耐高温腐
食,耐高温酸化を目的に部品表面にMCrAlY合金コ
ーティングを行う技術が広く用いられている。通常は、
部品表面にまずMCrAlY層を被覆して、その上部に
セラミックスのTBC層を被覆した構造をもつ。MCr
AlY合金は、MをFe,Co,Niから選ばれた1種
以上のバルクとして、Cr15〜30%,Al5〜15
%,Y0.1〜1% で構成される高耐食性合金である。
例えば、特開平4−266889 号には、Ni基超合金基材表
面にMCrAlY合金(Co−32%Ni−21%Cr
−8%Al−0.5%Y)層を設け耐食性を確保し、さ
らに二層構造のZrO2−6%Y23層のTBCを施し
たセラミック被覆タービンブレードが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、ガス
タービンブレードの基材メタル温度が約850℃程度ま
でを対象としており、それ以上の基材メタル温度を必要
とする高温ガスタービンについて考慮されていない。特
に高温腐食,酸化に対して考慮されていない。
【0005】前述したように、効率向上のため発電用ガ
スタービンの運転温度の高温化が進められているが、燃
焼ガス温度が上昇すると、タービンブレード等に代表さ
れる高温部材には以下のような対応が求められる。
【0006】(1)翼冷却及びTBCによる遮熱効果を
強化してメタル温度の上昇を最小限に押さえる。
【0007】(2)運転温度向上に対応して、基材合金
の耐用温度を向上させ、従来より高いメタル温度で運転
する。
【0008】ここで、翼冷却を強化することは、増加し
た冷却空気により圧損が増大し、ガスタービンの発電効
率を減少させるため、望ましくない。また、TBCによ
る熱遮蔽効果にも限界があるため、上記(1)(2)のう
ち、(2)による対応が必須となる。ところが、従来技術
で高温耐食,耐酸化性を向上させていたMCrAlY合
金層は、900℃を大きく超える温度では優れた耐食
性,耐酸化性を示さなくなる。従って、仮に耐用温度す
なわち高温強度の点で優れた耐熱合金が開発されても、
従来の耐熱,耐食コーティング技術の単純な適用ではさ
らに高温となる苛酷なガスタービン燃焼ガス雰囲気には
対応できない。
【0009】本発明の目的は、MCrAlY合金にかわ
る900℃以上のメタル温度でも優れた耐食性を示す被
覆層を備えたタービンブレード、及び該ブレードを用い
たガスタービンを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明ではNiを主成分とする耐熱合金基材の表面
の一部に被覆層を備えたタービンブレードにおいて、前
記被覆層のうち少なくとも1層を、重量比で、純度30
%以上のIrよりなるメタル層とするものである。Ir
は貴金属の1種であり、融点が2400℃以上と高い。
高温耐食性及び高温耐酸化性に優れており、1500℃
を超える超高温においても安定している。このIrを被
覆層のメタル層として用いればタービンブレードのメタ
ル温度が900℃以上であっても、必要十分な高温耐
食,耐酸化特性が得られる。
【0011】また、上記目的を達成するために、本発明
ではNiを主成分とする耐熱合金基材の表面の一部に被
覆層を備えたタービンブレードにおいて、前記被覆層の
うち少なくとも1層が、重量で30%以上90%以下の
Irを含む合金よりなるメタル層とするものである。こ
れらのメタル層は厚さが0.5μm 以上300μm以下
の範囲で特に有効である。
【0012】また、本発明では前記メタル層の上部に、
ZrO2を主成分としY23,MgO,CaOから選ばれ
た1種以上の安定化剤を含む安定化ZrO2 系セラミッ
ク層を20〜600μm幅で被覆するものである。この
セラミックス層はTBCとして熱遮蔽効果を発揮し、メ
タル温度を低減させる。
【0013】さらに、上記目的を達成するために、本発
明ではNiを主成分とする耐熱合金基材の表面の一部に
被覆層を備えたタービンブレードにおいて、前記被覆層
のうち少なくとも1層が、Fe,Co,Niから選ばれ
た1種以上をバルクとして、重量比でCr15〜30
%,Al5〜15%,Y0.1〜1%,Ir0.1〜10
%からなる合金で構成されるメタル層とするものであ
る。これは、従来耐食性向上のためのメタル層として用
いられてきたMCrAlY合金をベースに、Irを添加
し高温耐食性,高温酸化特性を向上させたものである。
【0014】また、このようなメタル層を用いる場合、
前記メタル層と耐熱合金基材の間に金属間化合物あるい
はセラミックスを主成分とする拡散防止層を設けること
が望ましい。
【0015】本発明ではこれらのタービンブレードを構
成する基材メタルは、Niを主成分とする一方向凝固
材,単結晶材、または酸化物分散強化材であり、前記合
金の14kgf/mm2,105時間耐用温度が900℃以上
であることが望ましい。
【0016】また、上記目的を達成するために、発電用
ガスタービンにおいて、少なくとも1つは前記タービン
ブレードを使用するものである。
【0017】
【作用】現用の高温ガスタービンでは初段タービンブレ
ードのメタル温度は800℃〜900℃であり、この温
度範囲における材料損傷は、高温酸化よりも燃料に含ま
れる硫黄成分からの高温腐食が支配的となる。一方、将
来の運転温度上昇にともないメタル温度が900℃〜1
000℃以上に上昇した場合、材料損傷は高温腐食より
もむしろ高温酸化が支配的となる。MCrAlYは現用
温度範囲で十分な耐食性を示すが、900℃〜1000
℃以上では不十分である。特に1000℃以上の高温酸
化雰囲気では、MCrAlY層は酸素を遮断する機能を
急激に失う。
【0018】本発明ではガスタービンブレードの高耐食
性被覆層として、IrあるいはIr合金を用いた。Ir
は貴金属の1種であり、融点が2400℃以上と高い。
高温耐食性及び高温耐酸化性は優れており、1500℃
を超える超高温においても安定している。このIrを被
覆層のメタル層として用いればタービンブレードのメタ
ル温度が900〜1000℃以上であっても、必要十分
な高温耐食,耐酸化特性が得られる。
【0019】前記Irを主成分とするメタル層の成分
は、Irが30〜100%含まれることで効果が得られ
るものである。Irは資源的に希少であり、また比重が
22.4と大きく重い元素である。従って、安価で軽い他の
元素と合金化して使用することは、経済的にも機器の軽
量化の点からも有効である。その場合、合金化してもそ
の高温耐食,耐酸化特性が低下しないことが条件であ
る。Irの比率を重量比30%以下で合金化した場合
は、合金元素の選択範囲が極めて少なくなり、高温耐
食,耐酸化の効果が得られにくくなることから不適であ
る。
【0020】前記Irを主成分とするメタル層の膜厚は
0.5μm 以上300μm以下が望ましい。膜厚が0.
5μm 以下では基材への拡散、あるいは基材から合金
成分の拡散等によりメタル層の成分が消滅,変質してし
まい十分な高温耐食,耐酸化の効果が得られない。一方
膜厚が300μm以上の場合は、剥離,クラック等の問
題が生じ易くなり不適である。
【0021】また本発明では、Fe,Co,Niから選
ばれた1種以上をバルクとして、重量比でCr15〜3
0%,Al5〜15%,Y0.1〜1%,Ir0.1〜1
0%からなる合金を用いてもよい。これは、従来のMC
rAlY合金をベースに、Irを添加し高温耐食性,高
温酸化特性を向上させたものであり、特に1000℃以
上で顕著になる高温酸化に対して改良したものである。
この場合、Irの量は10%以下で十分な効果を示す。
1000℃以上での使用をさらに確実にするために、こ
の改良したMCrAlY層の上部により耐酸化性に優れ
た層を被覆してもよい。さらに、この改良MCrAlY
を使用する場合には、メタル温度が900〜1000℃
以上になるとMCrAlYが基材へ拡散して長時間使用
で消滅することがある。そこで基材とメタル層の間に拡
散防止層を設けることが好ましい。この拡散防止層はN
iAl等の金属間化合物が好ましい。
【0022】本発明ではメタル層の上部に、ZrO2
主成分としY23,MgO,CaOから選ばれた1種以
上の安定化剤により立方晶(cubic)ジルコニアに安定化
されたZrO2 系セラミック層を20〜600μm幅で
被覆することも有効である。安定化剤の種類に応じて、
添加量を加減し、完全安定化ジルコニアとすることが重
要である。このセラミックス層はTBCとして熱遮蔽効
果を発揮し、メタル温度を低減させる。すなわち、より
高い運転温度での使用が可能となる。
【0023】これらのタービンブレードを構成する基材
メタルは、Niを主成分とする一方向凝固材,単結晶
材、または酸化物分散強化材である。これらは、従来の
多結晶Ni基超合金に比べ高い高温強度を有し、ガスタ
ービンの運転温度上昇にともなうメタル温度の上昇に耐
えうるものである。特に14kgf/mm2,105時間耐用
温度が900℃以上であることが望ましい。基材にこの
ような合金を用いるとともに、被覆層として前述したよ
うなIrあるいはIr合金メタル層を備えたタービンブ
レードを特に初段ブレードとして使用することにより、
運転温度の高い高効率ガスタービンがはじめて可能にな
る。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0025】<実施例1>本発明におけるタービンブレ
ードの被覆層の断面模式図を図1に、作製したタービン
ブレードの斜視図を図2に示す。基材となる合金はNi
基超合金単結晶合金であるCMSX−4を用い、一方向
凝固法を用いて単結晶に鋳造した。燃焼ガスに曝される
部分である翼部200及びプラットフォーム部202に
本発明の被覆層90を設けた。本発明によるタービンブ
レードの作製方法は以下のとおりである。まず一方向凝
固鋳造法により単結晶ブレードを得る。このブレードの
被覆部分に先ずIr単体粉末を用いて減圧雰囲気中プラ
ズマ溶射法で50μmの厚さのメタル層102を設け
る。その条件としては、Ar−7%H2 混合ガスを用い
て形成したプラズマジェット(50kW)中に上記の合金
粉末を投入し、溶射するもので、溶射中の雰囲気圧力は
約50Torrである。なお、この前処理として試験片基材
の脱脂洗浄さらにAl23製グリットによるブラスチン
グを行っている。その後、メタル層102を設けたブレ
ードの表面に、蒸着源とイオンビーム源を備えた成膜装
置を用いてZrO2 系柱状セラミックスTBC層104
を作製した。蒸着材料としてZrO2−6%Y23 を用
い、イオンビームとして酸素イオンを用いた。イオンビ
ーム照射はセラミックス被膜の密着性向上のために用い
る。電子ビームによる蒸着源と酸素イオン照射により密
着性の高い柱状組織のZrO2系柱状セラミックスTBC
層104を300μm設けた。
【0026】<実施例2>図3は本発明による、別の被
覆層を備えた本発明によるタービンブレードのコーティ
ング部の断面模式図を示す。基材はNi基の一方向凝固
材とした。燃焼ガスに曝される部分である翼面及びプラ
ットフォーム部に被覆層90を設けた。本実施例による
作製方法は以下のとおりである。まず一方向凝固鋳造法
により一方向凝固組織ブレードを得る。このブレードの
被覆部分にIr−30%Fe合金粉末を用いて減圧雰囲
気中プラズマ溶射法で100μmの厚さのIr合金層1
03を設ける。その条件は実施例1と同様である。その
後、Ir合金層103を設けたブレードの表面に、蒸着
源を備えた成膜装置を用いてZrO2 系セラミックTB
C層105を300μm作製した。蒸着材料としてZr
2−6%Y23を用いた。
【0027】本実施例では、Ir合金層103の合金組
成をIr−30%Feとしたが、Irが30%〜90%
であれば、合金成分はいずれでもかまわない。
【0028】<実施例3>図4は本発明による、別の被
覆層を備えた本発明によるタービンブレードのコーティ
ング部の断面模式図を示す。基材はNi基単結晶材とし
た。燃焼ガスに曝される部分である翼面及びプラットフ
ォーム部に被覆層90を設けた。本実施例による作製方
法は以下のとおりである。まず一方向凝固鋳造法により
単結晶ブレードを得る。このブレードの被覆部分にIr
−30%Fe合金粉末を用いて減圧雰囲気中プラズマ溶
射法で200μmの厚さのIr合金層103を設ける。
その条件は実施例1と同様である。本実施例の場合は、
セラミックス層のTBCは設けない。
【0029】<実施例4>図5は本発明による、別の被
覆層を備えた本発明によるタービンブレードのコーティ
ング部の断面模式図を示す。基材はNi基の単結晶材と
した。燃焼ガスに曝される部分である翼面及びプラット
フォーム部に被覆層90を設けた。本実施例による作製
方法は以下のとおりである。まず一方向凝固鋳造法によ
り単結晶ブレードを得る。このブレードの被覆部分にM
CrAlY合金(Co−32%Ni−21%Cr−8%
Al−0.5%Y)粉末を用いて減圧雰囲気中プラズマ溶
射法で60μmの厚さのMCrAlY層108を設け
る。さらに同様にIr単体粉末を用いて減圧雰囲気中プ
ラズマ溶射法で10μmの厚さのメタル層102を設け
る。溶射条件は実施例1と同様である。その後、MCr
AlY層(メタル層)108,102を設けたブレード
の表面に、蒸着源とイオンビーム源を備えた成膜装置を
用いて実施例1と同様のZrO2 系柱状セラミックスT
BC層104を作製する。
【0030】<実施例5>図6は本発明による、別の被
覆層を備えた本発明によるタービンブレードのコーティ
ング部の断面模式図を示す。基材はNi基の一方向凝固
材とした。燃焼ガスに曝される部分である翼面及びプラ
ットフォーム部に被覆層90を設けた。本実施例による
作製方法は以下のとおりである。まず一方向凝固鋳造法
により一方向凝固ブレードを得る。このブレードの被覆
部分にIr単体粉末を用いて減圧雰囲気中プラズマ溶射
法で20μmの厚さのIrのメタル層102を設ける。
さらに同様にIr−30%Fe粉末を用いて減圧雰囲気
中プラズマ溶射法で60μmの厚さのIr合金層103
を設ける。溶射条件は実施例1と同様である。その後、
メタル層102,103を設けたブレードの表面に、蒸
着源とイオンビーム源を備えた成膜装置を用いて実施例
1と同様のZrO2 系柱状セラミックスTBC層104
を作製する。
【0031】<実施例6>図7は本発明による、その他
の被覆層を備えた本発明によるタービンブレードのコー
ティング部の断面模式図を示す。基材はNi基の酸化物
分散強化型合金とした。このブレードの被覆部分に金属
間化合物NiAl合金粉末(Ni−50at.%Al)を
用いて減圧雰囲気プラズマ溶射法で20μmの拡散防止
層を被覆する。次にCo−32%Ni−21%Cr−8
%Al−0.5 %Y−5%Ir合金粉末を用いて同様の
方法で100μmの被覆層を設ける。溶射条件は実施例
1と同様である。本実施例ではセラミックスTBC層は
設けないが、メタル温度を低減するために実施例1に示
したTBC層を設けてもよい。
【0032】<実施例7>本実施例では、発明の効果を
説明するためにMCrAlYとIrの高温耐酸化特性を
比較した。図8は代表的なMCrAlYであるCoNiCrAl
Y8426(Co−32%Ni−21%Cr−8%Al−0.
5%Y)の粉末を酸化試験した結果である。試験は熱天
秤(TG−DTA)で行い、雰囲気は流量100ccの大
気、温度条件は毎分20℃で1300℃まで昇温後、1
時間保持し酸化による重量変化を調べた。試料粉末0.
17g はアルミナ製の坩堝に入れ、標準試料はアルミ
ナの粉末とした。CoNiCrAlY8426 は、1300℃までの
昇温過程である910℃付近から酸化による重量増加が
開始し、その後大きな重量増加を示した。最終的には全
体の約16%にあたる約27mgもの重量増加を示し、9
00℃〜1000℃以上の温度域では十分な耐酸化性を
示さないことがわかった。
【0033】一方、図9にはIr単体の酸化試験結果を
示すが、1500℃大気中においてもほとんど酸化して
いないことがわかり、十分な高温耐酸化性を示すことが
明らかとなった。
【0034】<実施例8>図10に、実施例1〜6記載
のガスタービンブレードをガスタービン初段ブレードに
用いた本発明による発電用ガスタービンの回転部分の断
面図を示す。
【0035】3は初段ブレード、5は第2段ブレード、
7は第3段ブレード、20は初段ノズル、25は第2段
ノズル、27は第3段ノズル、4はタービンディスク、
10はタービンスタブシャフト、13はタービンスタッ
キングボルト、18はタービンスペーサ、19はディス
タントピース、6はコンプレッサディスク、8はコンプ
レッサスタッキングボルド、9はコンプレッサスタブシ
ャフト、11は穴である。本発明のガスタービンはター
ビンブレード及びタービンノズルがそれぞれ3段ずつあ
る。
【0036】本実施例におけるガスタービンは、主な形
式がヘビーテューティ形,一軸形,水平分割ケーシン
グ,スタッキング式ロータからなり、圧縮機が17段軸
流形,タービンが3段インパルス形,燃焼器はバースフ
ロー形,16缶,スロットクール方式を有するものであ
る。
【0037】本実施例におけるガスタービンの初段ブレ
ード3は、実施例1または実施例2に示した被覆層を有
したものである。その基材部分はNi基超合金の単結晶
鋳造物であり、重量でCr6〜8%,Mo0.5〜1
%,W6〜8%,Re1〜4%,Al4〜6%,Ta6
〜9%,Co0.5〜10%,Hf0.03〜0.13
%、および残部不可避の不純物とNiからなる合金で構
成する。初段ブレードの翼部の全長は約220mmであ
る。この単結晶鋳造物の105時間14kgf/mm2 の耐
用温度は930℃〜940℃であり、内部に複雑な空気
冷却孔を設けており運転中は圧縮空気により冷却する。
冷却方式はクローズド方式,冷却構造はスタッガードリ
ブ方式である。
【0038】第2段ブレード5および第3段ブレード7
は重量で、Cr12〜16%,Mo0.5〜2%,W2
〜5%,Al2.5〜5%,Ti3〜5%,Ta1.5〜
3%,Co8〜10%,C0.05〜0.15%,B0.0
05〜0.02%、および残部不可避の不純物とNiか
らなるNi基超合金で構成する。これらのブレードは通
常の鋳造により得られる等軸晶組織を有する。それぞれ
内部冷却孔を有しており、圧縮空気により冷却する。こ
れらの材料の105時間14kgf/mm2 の耐用温度は8
40℃〜860℃である。ブレード表面には、Crある
いはAlの拡散コーティングを施し、耐食性を高めた。
【0039】初段ノズル20には重量で、Cr24〜3
0%,Ni8〜12%,W6〜9%,Ti0.1〜0.4
%,Co8〜10%,C0.2〜0.4%,B0.005
%以下,Fe1.0%以下,Z1.0%以下,Nb0.3
%以下,Hf1.0%以下,Ta2.0 %以下、および
残部不可避の不純物とCoからなるCo基超合金の普通
鋳造材(等軸晶組織)を用いる。この合金の105時間
6kgf/mm2 の耐用温度は900℃〜910℃である。
冷却は、クローズド方式のインピンジ冷却である。初段
ノズルの外表面の火炎に接する部分には、遮熱コーティ
ング層を設ける。これは、柱状晶組織を有するY23
定化ジルコニア層と,ベース金属とジルコニア層との間
の結合層とからなる。該結合層は重量でAl2〜5%,
Cr20〜30%,Y0.1〜1 %を含み残部Ni又は
Ni+Coからなる合金からなり、耐食性を向上させる
効果も併せもつ。
【0040】第2段ノズル25および第3段ノズル27
には重量で、Cr21〜24%,Co18〜23%,C
0.05〜0.20%,W1〜8%,Al1〜2%,Ti
2〜3%,Ta0.5〜1.5%,B0.05〜0.15
%、および残部不可避の不純物とNiからなる合金Ni
基超合金で構成する。これらのノズルは通常の鋳造によ
り得られる等軸晶組織である。特に遮熱コーティング層
を設ける必要はないが、第2段ノズルには耐食性を高め
るためにCrあるいはAlの拡散コーティングを施す。
それぞれ内部冷却孔を有しており、圧縮空気により冷却
される。これらの材料の105時間6kgf/mm2 の耐用
温度は840℃〜860℃である。
【0041】本実施例ではタービンディスク4に重量
で、C0.05〜0.2%,Si0.5%以下,Mn1%以
下,Cr8〜13%,Ni3%以下,Mo1.5 〜3
%,V0.05%〜0.3%,Nb0.02〜0.2%,N
0.02〜0.1%及び残部が実質的にNiからなるNi
基鍛造合金を用いる。該Ni基鍛造合金は、450℃,
10hクリープ破断強度が50kg/mm2 以上,20℃V
ノッチシャルピー衝撃値が7kg−m/cm以上であり、高
温ガスタービン用材として必要な強度を十分満足する。
【0042】コンプレッサーブレードは17段で、得ら
れる空気圧縮比は18である。
【0043】使用燃料として、天然ガス,軽油が使用さ
れる。
【0044】以上の構成によって、総合的により信頼性
が高くバランスされたガスタービンが得られ、初段ター
ビンノズルへのガス入り口温度が1500℃,初段ター
ビンブレードのメタル温度が920℃、ガスタービンの
排ガス温度は650℃であり、発電効率がLHV表示で
37%以上の発電用ガスタービンが達成できる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、900℃以上のメタル
温度でも優れた耐食性を示す被覆層を備えたタービンブ
レードを供給することが可能となり、さらに該ブレード
を用いることにより燃焼温度の高いガスタービンが可能
となり、タービンの効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高耐食被覆層の断面模式図。
【図2】ガスタービンブレードの斜視図。
【図3】高耐食被覆層の断面模式図。
【図4】高耐食被覆層の断面模式図。
【図5】高耐食被覆層の断面模式図。
【図6】高耐食被覆層の断面模式図。
【図7】高耐食被覆層の断面模式図。
【図8】MCrAlY(CoNICrAlY8426)の酸化試験結
果。
【図9】Irの酸化試験結果。
【図10】ガスタービンの回転部分の断面図。
【符号の説明】
3…初段ブレード、4…タービンディスク、5…第2段
ブレード、6…コンプレッサディスク、7…第3段ブレ
ード、8…コンプレッサスタッキングボルド、9…コン
プレッサスタブシャフト、10…タービンスタブシャフ
ト、11…穴、13…タービンスタッキングボルト、1
7…コンプレッサブレード、18…タービンスペーサ、
19…デイスタントピース、20…初段ノズル、25…
第2段ノズル、27…第3段ノズル、90…被覆層、9
9…Ni基酸化物分散強化型ブレード、100…Ni基
超合金一方向凝固ブレード、101…Ni基超合金単結
晶ブレード、102…Irメタル層、103…Ir合金
層、104…柱状セラミックスTBC層、105…セラ
ミックTBC層、107…MCrAlY+Ir層、10
8…MCrAlY層、109…拡散防止層、200…翼
部、202…プラットホーム部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福井 寛 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比で、純度30%以上のIrを含むメ
    タル層を、Niを主成分とする耐熱合金からなる基材の
    表面の少なくとも一部に有することを特徴とするタービ
    ンブレード。
  2. 【請求項2】重量比で、純度90%以上のIrを含むメ
    タル層を、Niを主成分とする耐熱合金からなる基材の
    表面の少なくとも一部に有することを特徴とするタービ
    ンブレード。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のタービンブレード
    において、前記メタル層の厚さが0.5μm 以上300
    μm以下であることを特徴とするタービンブレード。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のタービン
    ブレードにおいて、前記メタル層の上部に、安定化Zr
    2 からなるセラミック層を20〜600μmの厚さで
    有することを特徴とするタービンブレード。
  5. 【請求項5】重量比で、Cr15〜30%,Al5〜1
    5%,Y0.1〜1%,Ir0.1〜10%と残部がF
    e,Co,Niから選ばれた1種以上からなる合金で構
    成されるメタル層を、Niを主成分とする耐熱合金から
    なる基材の表面の少なくとも一部に有することを特徴と
    するタービンブレード。
  6. 【請求項6】請求項5記載のタービンブレードにおい
    て、前記メタル層と前記耐熱合金からなる基材の間に金
    属間化合物あるいはセラミックスを主成分とする拡散防
    止層を設けることを特徴とするタービンブレード。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載のタービン
    ブレードにおいて、前記耐熱合金からなる基材が、一方
    向凝固材,単結晶材、または酸化物分散強化材であり、
    前記合金の14kgf/mm2,105時間耐用温度が900
    ℃以上であることを特徴とするタービンブレード。
  8. 【請求項8】コンプレッサによって圧縮された空気によ
    り燃焼された燃焼ガスをノズルを通して複数のディスク
    に各々植設されたブレードに衝突させて該ブレードを回
    転させるガスタービンにおいて、前記ブレードのうち少
    なくとも1つは請求項1〜7のいずれかに記載のタービ
    ンブレードであることを特徴とするガスタービン。
JP25496394A 1994-10-20 1994-10-20 高耐食被覆層を備えたタービンブレード及びガスタービン Pending JPH08121104A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100419219C (zh) * 2006-12-22 2008-09-17 西安陕鼓动力股份有限公司 一种透平机械转子叶片的表面复合涂层及其制备方法
JP2009522443A (ja) * 2005-12-28 2009-06-11 アンサルド エネルジア エス.ピー.エー. 保護コーティングを製造するための合金組成物、その使用、適用方法、及び該組成物でコーティングされた超合金物品

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