JPH08119984A - ストレプトミセス属放線菌及びこの菌由来のTGF−β 阻害剤 - Google Patents

ストレプトミセス属放線菌及びこの菌由来のTGF−β 阻害剤

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JPH08119984A
JPH08119984A JP7209783A JP20978395A JPH08119984A JP H08119984 A JPH08119984 A JP H08119984A JP 7209783 A JP7209783 A JP 7209783A JP 20978395 A JP20978395 A JP 20978395A JP H08119984 A JPH08119984 A JP H08119984A
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actinomyces
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streptomyces
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Mayumi Shimizu
真由美 清水
Katsumasa Iijima
克昌 飯島
Takashi Suzuki
隆 鈴木
Haruto Yokota
治人 横田
Takeshi Yago
毅 矢後
Yasuko Yao
泰子 八尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 TGF−β阻害活性物質を産生する放線菌を
提供し、同時にこの微生物を培養した培養物から安価で
効率的にTGF−β阻害活性物質を得る方法を提供し、
各種のTGF−β阻害剤を提供する。 【解決手段】 ストレプトミセス属に属しTGF−β阻
害物質産生能を有する放線菌ストレプトミセスsp.N
KK−908(Streptomyces sp. NKK-908)。この菌株
を培養してTGF−β阻害活性物質を生成蓄積させ、該
培養物、特に培養液から採取する方法。この方法で得ら
れたTGF−β阻害活性物質を有効成分として含有する
TGF−β阻害剤。 【効果】 本発明の医薬は、TGF−βが発症に関連す
る糖尿病性腎症、糸球体腎炎、肝硬化、肺繊維症、増殖
性硝子体網膜症などの治療薬として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ストレプトミセス
(Streptomyces)属に属し、TGF−β阻
害物質産生能を有する放線菌、及びその放線菌の培養物
から得られるTGF−β阻害活性作用をもつ物質の製造
方法に関する。更に本発明は、得られた物質を有効成分
とするTGF−β阻害剤に関する。TGF−β阻害剤
は、TGF−βが関与する疾病、例えば糖尿病性腎症、
糸球体腎炎、肝硬化、肺繊維症、増殖性硝子体網膜症な
どの治療薬として有用である。
【0002】
【従来の技術】TGF−β(Transforming Growth Fact
or−β)は、生体内ペプチドホルモンの一種であり、細
胞の接着性を高め、コラーゲン、フィブロネクチン、デ
コリンなどの細胞外マトリックスの調節を介して細胞の
増殖や分化を制御する。TGF−βの細胞増殖、分化に
対する作用は、細胞の種類によって促進的にも阻害的に
も作用する。生体(in vivo )におけるTGF−βの作
用は、主に創傷治癒や血管新生の促進である。しかし、
一方でTGF−βは、種々の臓器の繊維化を伴う疾患、
例えば、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、肝硬化、肺繊維
症、増殖性硝子体網膜症の原因ともなっている。従っ
て、TGF−βを阻害することで、上記の疾患の治療が
可能となる。
【0003】これまで、TGF−β阻害物質として、抗
TGF−β抗体(Nature;1990, vol.346, p371-374)及
び生体由来のタンパク質であるデコリン(Nature;1990,
vol.346, p281-284)及びTGF−βレセプター(Cel
l; 1992, vol.69, p1067-1070)が知られている。この
うち、デコリンは、TGF−βで産生が促進される、分
子量は約120キロダルトン(kD)のプロテオグリカ
ン(ムコ多糖の結合したタンパク質)の一種である。デ
コリンは、TGF−βと結合することができ、TGF−
βを不活性化する作用を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術におけ
るTGF−β阻害物質は、いずれも動物及び動物細胞由
来であり、且つ高分子タンパク質であるため、取扱も煩
雑で安定性に欠ける。
【0005】更に、動物体から、微量のタンパク質を抽
出、精製するのは、時間や費用がかかり、経済的に実用
化が困難である。また、動物細胞を使用する場合にも、
培地に血清を使用すること、培養時間が長いことから経
済的に不利である。
【0006】本発明は、以上のような事情に鑑みてなさ
れたもので、高分子タンパク質以外のTGF−β阻害物
質を提供することを目的とする。更に詳しくは、本発明
は、質素な培地で生育可能で、TGF−β阻害活性物質
を産生する放線菌を提供し、同時にこの微生物を培養し
た培養物から安価で効率的にTGF−β阻害作用物質を
得る方法を提供することを目的とする。その結果、各種
のTGF−β阻害剤が提供されうる。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、ストレプトミセス属に属し、基生菌系の色が灰色系
で、気菌系の胞子柄に鍵状又はらせん状の長い胞子連鎖
を形成し、胞子の表面が平滑であり、プリドハム・ゴト
リーブ寒天培地上でL−アラビノース、D−キシロー
ス、D−フラクトース、L−ラムノース、シュークロー
ス、ラフィノースを資化し、かつTGF−β阻害物質産
生能を有する放線菌である。
【0008】請求項2に記載の発明は、上記に加え、前
記ストレプトミセス属に属し、TGF−β阻害物質産生
能を有する放線菌が、ストレプトミセスsp.NKK−
908(Streptomyces sp. NKK-908)である放線菌であ
る。
【0009】請求項3の発明は、ストレプトミセス属に
属し、TGF−β阻害物質産生能を有する菌株、特に
は、ストレプトミセスsp.NKK−908を培養して
TGF−β阻害活性物質を生成蓄積させ、該培養物から
分離、採取することを特徴とするTGF−β阻害活性物
質の製造方法である。
【0010】請求項4に記載の発明は、上記請求項第3
項に記載の方法で得られたTGF−β阻害活性物質を有
効成分として含有するTGF−β阻害剤である。
【0011】以下に、本発明の詳細を説明する。 <菌株>本発明に用いられるNKK−908株は、静岡
県南伊豆町富戸の浜の土壌より下記の培地を用いて常法
により分離されたものである。具体的には、分離培地
(%W/V):グリセリン0.1 、グルコース0.1 、L−
アルギニン0.03、K2 HPO40.03、NaCl 0.03 、MgSO4 ・7H
2O 0.02、寒天1.5 、Fe(SO4)3 0.001、CuSO4 ・5H 2O 0.
0001 、ZnSO4 ・7H2O 0.0001 (pH 6.4)で28℃7日
間培養後、コロニーを次の寒天培地(%W/V):酵母
エキス 0.1、肉エキス 0.1、N.Z.アミンA 0.2 、グルコ
ース 1.0、寒天 1.5(pH 7.3)で28℃7日間培養し、
得られたコロニーをISP(International Streptomyc
es Project) No.2培地にて分離した。
【0012】NKK-908 株は、以下に示すような菌体学的
性質を有する。 (a)形態的性質 基生菌糸はイースト・麦芽寒天培地、オートミール寒天
培地、スターチ・無機塩寒天培地、又はグリセリン・ア
スパラギン寒天培地等でよく発達し、分断は観察されな
い。気菌糸は上記の培地で豊富に着生し、色調は灰色系
を呈し、分断は観察されない。顕微鏡下の観察では、気
菌糸上の胞子柄に鍵状または不完全ならせん状をした1
0個以上の胞子連鎖の形成が認められる。胞子の大きさ
は直径0.7-1.0 μm 、長さ0.6-1.2 μm であり、表面は
平滑で、運動性、鞭毛は認められない。なお、胞子の
う、菌核、遊走子などは観察されない。
【0013】(b)培養的性質 NKK-908 株のイースト・麦芽寒天培地(ISP No2 )、オ
ートミール寒天培地(ISP No3 )、スターチ・無機塩寒
天培地(ISP No4 )、又はグリセリン・アスパラギン寒
天培地(ISP No5 )上での生育状態は表1に示す通りで
ある。
【0014】
【表1】
【0015】色の記載に付いては、A. Kornerup and J.
H. Wanscher, "Methuen handbookof colour" third ed
ition; 1978, Eyre Methuenに記載された方法を参考に
し、色標名と共にそのコードを併せて記した。観察は3
0℃で7〜14日間培養後に行った。
【0016】なお、表1ではNKK-908 株と共に、ストレ
プトミセス・ガードネリ(Streptomyces gardneri IFO
12865 T )及びストレプトミセス・ナーボネンシス(Str
eptomyces narbonensis IFO 12801T ) の各種培地上で
の特徴も参考のために示す。
【0017】(c)生理学的性質 (1)生育温度範囲:イースト・麦芽寒天培地(ISP No
2 )において11〜35℃で生育した。また、生育至適
温度は23〜31℃であった。 (2)メラニン様色素の生成:認められない (3)炭素源の利用:炭素の資化性はプリドハム・ゴト
リーブ寒天培地(ISP No9 )を使用して行われた。以下
にその結果を示す。 利用する:L-アラビノース、D-キシロース、D-フラクト
ース、L-ラムノース、シュークロース、ラフィノース 利用しない:イノシトール、D-マンニトール
【0018】(d)化学分類学的性質 (1)細胞壁組成 Beckerらの方法( B. Becker, et. al., Appl. Microbio
l.;1964, vol.12, p421-423 )に従って、細胞壁組成成
分を分析した。なお、アラビノース、ガラクトースの存
在は、全菌体の硫酸加水分解物を用いて推定した。結果
は表2に示す通りである。
【0019】
【表2】
【0020】(2)菌体脂質の種類 菌体内のキノン系はメナキノンで、その側鎖のイソプレ
ン単位数と水素飽和度はMK-9(H8)、MK-9(H6)であった。
【0021】(3)DNA の塩基組成 菌体内DNA のGC含量を薮内英子他、新しい分類学に伴走
する細菌同定法;1987に記載された細菌同定法を参考に
決定した。結果を表3に示す。
【0022】
【表3】
【0023】(4)近縁菌種とのDNA-DNA 相同性 マイクロプレートを用いたフォトビオチン標識方法(江
崎孝行他、日本細菌学雑誌;1990, vol 45、p851)によ
るDNA-DNA ハイブリダイゼーション試験を結果を表4に
示す。
【0024】
【表4】
【0025】以上、NKK-908 株の菌体学的性質を詳しく
記載したが、要約すると、細胞壁中のジアミノピメリン
酸がLL型で、基生菌糸を形成し、気菌糸の胞子柄に長い
胞子連鎖を形成するのが特徴である。栄養上の諸性質と
しては、基生菌糸は灰色系の色調を呈し、気菌糸も灰色
系の色調を呈する。なお、本菌はメラニン色素は産生し
ない。
【0026】以上の結果から、本菌株は放線菌中でスト
レプトミセス属に属すると考えるのが妥当である。Nono
muraの文献(H. Nonomura, J. Ferment. Technol.; 197
4, vol 52, p78)を参考にして種の検索を行ったが、本
菌体の性状と完全に一致する菌種の記載はなかった。
【0027】そこで、集落表面の色調と資化性のみに注
目して検索したところ、ストレプトミセス・ガードネリ
(Streptomyces gardneri IFO 12865 T ) やストレプト
ミセス・ナーボネンシス(Streptomyces narbonensis I
FO 12801 T) に比較的近いと考えられたので、この2菌
を基準菌として選び、培養性状、菌体内DNA のGC含量、
DNA-DNA ハイブリダイゼーション試験を行って比較検討
した。その結果、表に示すように、本菌株は基準菌と集
落の色調等が異なった。GC含量は近い値を示したが、DN
A 相同性試験では基準菌との相同性は低かった。よっ
て、NKK-908 株を新種と同定するのが妥当であると考え
る。
【0028】以上の結果から、本菌株は放線菌中でスト
レプトミセス属に属する菌種であり、ストレプトミセス
・ガードネリやストレプトミセス・ナーボネシスとは異
なる新菌種である。尚、本菌体NKK-908 株は通産省工業
技術院生命工学工業技術研究所に、寄託番号 FERM P-14
410 として寄託されている。
【0029】本発明のNKK-908 株は、他のストレプトミ
セス属の菌株で見られるように、その性状が変化しやす
く、例えばX 線、紫外線、放射線等の照射処理、例えば
ナイトロジェン・マスタード、アゼセリン、亜硝酸、2
−アミノプリン、N −メチル−N ’−ニトロ−N −ニト
ロソグアニジン等の変異誘起剤、ファージ接触、形質転
換、形質導入、接合等の通常用いられる菌種変異処理法
により変異しやすく、自然的、人工的いずれの変異株
も、TGF −β阻害活性物質の生産能を有する菌株は全て
本発明の方法に使用することができる。
【0030】<培養方法>本発明のTGF−β阻害剤の
有効成分となるTGF−β阻害活性物質を得るにあた
り、まず、NKK−908株を栄養源含有培地に接種し
て好気的に培養する。栄養源としては、放線菌の栄養源
として公知のものが使用できる。例えば、炭素源として
は、市販されているグルコース、グリセリン、マルトー
ス、デンプン、サッカロース、糖蜜又はデキストリンな
どが単独又は混合物として使用できる。窒素源として
は、市販されているコーンスティープリカー、ソイビー
ンミール、肉エキス、酵母エキス、綿実粉、ペプトン、
小麦胚芽、魚粉、無機アンモニウム塩、又は硝酸ナトリ
ウムなどが単独又は混合物として使用できる。無機塩と
しては、市販されている塩化ナトリウム、硫酸マグネシ
ウム、塩化カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸マンガ
ン、塩化コバルト、硫酸鉄、塩化カリウムなどを使用す
ることができる。その他、必要に応じて、コバルト、モ
リブデンなどの金属塩を微量添加することもできる。以
下に目的のTGF−β阻害活性物質の生産に好ましい培
地の1例を挙げる。
【0031】培養用培地 1% グルコース 0.5% コットンシードオイル 1.5% コーンスティープリカー 1% ソイビーンミール 0.2% CaCO3 100μl トレースソルトソリューション* (pH 7.0) *:トレースソルトソリューション組成(単位:g/
l) NaOH 15 EDTA Na 60 MgSO4 ・7H2 O 20 CaCl2 ・6H2 O 5 ZnSO4 ・7H2 O 2 MnSO4 ・4H2 O 2 CuSO4 ・5H2 O 0.5 CoCl2 ・6H2 O 0.05 FeSO4 ・7H2 O 10(あらかじめ1.75mlの硫
酸で溶解) H3 BO4 0.031 Na2 MoO4 ・2H2 O 0.002 KCl 75
【0032】培養方法としては、一般の微生物代謝産物
の生産方法と同様に行えばよく、特に液体培養が好まし
い。液体培養の場合は、静置培養、攪拌培養、振盪培養
又は通気培養などのいずれも行えるが、特に振盪培養ま
たは深部通気攪拌培養が好ましい。培養温度は、低温側
で25℃以上、好ましくは27℃以上、高温側で37℃
以下、好ましくは30℃以下である。培地のpHは6〜
8が適当であるが、pH6.5〜7.5が好ましい。培
養時間は、24時間〜10日間、好ましくは3〜7日間
である。
【0033】<分離・精製方法>培養物から目的とする
TGF−β阻害活性物質を採取するには、微生物の培養
物から採取するのに通常使用される分離手段が適宜利用
される。本発明の医薬の有効成分となるTGF−β阻害
活性物質は、培養液中及び菌体中に蓄積されるが、分
離、精製の効率を考慮すると、培養液中から採取するこ
とが好ましい。前記で得られた培養液は、遠心分離又は
ろ過などによって菌体と分離する。例えば、2000r
pmで20〜30分間遠心分離する。得られた培養上清
のTGF−βの阻害活性は、後述のTGF−β阻害活性
試験を用いて測定する。
【0034】実施例1<ii>に示した通り、培養上清
は、TGF−β阻害活性を有する。この培養上清及びそ
の凍結乾燥物を本活性物質Aとし、更に以下のSTEP
に沿って分離、精製する。
【0035】STEP1 まず、前記培養上清を有機溶媒で抽出して水層を得る。
有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、酢酸エチル、ク
ロロホルムが使用できる。抽出の方法としては、例え
ば、培養上清と等容量のヘキサンで2回抽出し、その水
層を更に等容量の酢酸エチルで2回抽出し、得られた水
層をクロロホルムで2回抽出するのが好ましい。
【0036】溶媒抽出を終えた水層を凍結乾燥し、適量
の水に溶解する。適量とは、培養上清の1/20〜1/
2、好ましくは1/10程度の量である。この溶解液を
イオン交換クロマトグラフィーで分画する。例えば、合
成樹脂イオン交換体の1つであるDIAION WA−
30(商品名、三菱化成工業社製、内径1cm×25cm)
カラムを使用し、上記溶解液を供した後、約3倍容の水
で洗浄して非吸着物質を取り除き、1M−NH4 Clで
溶出する。溶出した各画分は、後述する方法でTGF−
β阻害活性の測定を行う。
【0037】実施例1に例示した通り、溶出画分のTG
F−β阻害活性は1ピークを示す。この活性画分を集
め、そのまま又はその凍結乾燥物を本活性物質Bとし、
下記のSTEP2に進める。
【0038】STEP2 STEP1で得られた本活性物質Bの画分を、エタノー
ル等の有機溶媒で沈澱を生じさせ、生じた沈澱を遠心分
離で集める。例えば、TGF−β阻害活性画分40ml
に80mlのエタノールを加えて沈澱を生じさせ、50
ml容の遠沈管を用いて15000rpmで遠心分離す
るのが好ましい。得られた沈澱を水で溶解し、ろ過によ
り不溶物を除く。その後、この溶解液を、セルロースイ
オン交換体カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)に供する。次に、NaClの濃度勾配を漸
増する同緩衝液で溶出する。例えば20mMHEPES
(N-(2- ヒドロキシエチル) ピペラジン-N'-2-エタンス
ルホン酸)緩衝液で平衡化したTSKgel DEAE
−2SW(商品名、東ソー社製、内径2.15cm×25
cm)カラムに、前記溶解液を供し、0M〜1MのNaC
lの濃度勾配で溶出するのが好ましい。溶出した各画分
は、後述するTGF−β阻害活性測定を行う。活性画分
又はその凍結乾燥物を、本活性物質Cとする。
【0039】実施例1にも示した通り、本活性物質C
は、後述するTGF−β阻害活性試験であるMv1lu
細胞試験系において、そのTGF−β阻害活性が3つの
ピークに別れる。3ピークの画分は、それぞれ、つぎの
濃度範囲のNaClで溶出される。即ち、0.35〜
0.5M(本活性物質C−I)、0.5〜0.6M(本
活性物質C−II)、0.6〜0.9M(本活性物質C−
III)である。このうち、後述する第二のTGF−β阻
害活性試験においても、TGF−β阻害活性を示したの
は本活性物質C−IIIの画分であり、これを下記のST
EP3に進める。
【0040】STEP3 本活性物質C−IIIの画分を集め、凍結乾燥により数m
lに濃縮した後、ゲルろ過HPLCに供する。例えば、
TSKgel G3000PXXLカラム(商品名、東ソ
ー社製、内径0.78×30cm)にて20mMHEP
ES緩衝液で溶出すると、分子量2000の付近の分画
にTGF−β阻害活性が確認できる。この画分を集め、
そのまま又は凍結乾燥して、本活性物質Dとする。
【0041】実施例1に示す通り、本活性物質Dは、分
子量約2000である。本活性物質DのTGF−βに対
する阻害活性は、還元剤の存在下(例えば、1Mのジチ
オトレイトールで一夜処理)で安定で、熱、酸、アルカ
リによって失活する。例えば、100℃で10分間保温
した場合、1N HCl中で22℃において3時間処理
した場合、及び10%アンモニア存在下、22℃にて3
時間処理した場合、試料DのTGF−βに対する阻害活
性は失われる。
【0042】<TGF−β阻害活性の測定法>TGF−
β阻害活性は、次の2つの試験系で測定することができ
る。
【0043】第一の試験系は、ミンク肺上皮細胞(Mv
1lu細胞)を用いる試験系である。Mv1lu細胞に
は、例えば、ATCC No.CCL64を用いること
ができる。TGF−βは、Mv1lu細胞の増殖を抑制
する効果を持っている。そこで、TGF−β阻害活性を
もつ物質を添加すれば、TGF−β存在下でもMv1l
u細胞の増殖は阻害されない。細胞はクリスタルバイオ
レットによって染色できるので、クリスタルバイオレッ
トの吸光である415nmの吸光度は、細胞数を反映す
る。従って、本活性物質の効果は、TGF−β存在下で
Mv1lu細胞を増殖させたとき、415nmの吸光度
が薬剤無添加群よりも大きいことによって確認できる。
【0044】第二の試験系は、ラット骨格筋筋芽細胞
(L6細胞)を用いる試験系である。L6細胞には、例
えば、ATCC No.CRL1458を用いることが
できる。TGF−βは、L6細胞に対し、細胞外マトリ
ックス合成を促進する作用をもっている。前述したデコ
リンは、その糖鎖の構造がコンドロイチン硫酸であるた
め、TGF−βと35S−SO4 2- をL6細胞培養系に添
加すれば、デコリンに〔 35S〕−SO4 2- が取り込まれ
る。培養上清をポリアクリルアミドゲル電気泳動にか
け、オートラジオグフィーを行うと、デコリンの位置、
即ち分子量約120kDの位置にバンドが出現する。従
って、本活性物質の効果は、TGF−β存在下でL6細
胞を培養し、その上清から上記のごとく検出する分子量
約120kDのバンドが、小さくなるか出現しなくなる
ことにより、確認することが可能である。尚、対照実験
としては、培養上清を添加せずに、TGF−βを添加
(+)又は添加しない(−)系を同様に測定する。細胞
内にも内因性のTGF−βが存在するので、この対照実
験(−)においても、このTGF−βの作用で生じる分
子量100kD付近の薄いバンドが観察される。
【0045】実施例1表1に示す通り、本発明の菌株の
培養物から得られた実施例物質A〜Dは、上記の2つの
試験系のいずれか又は両方において、TGF−β阻害活
性を有していた。
【0046】<毒性>本活性物質の毒性は、4〜5週齢
のICR系雄性マウスに500mg/kg腹腔内投与す
ることで評価できる。実施例2に示す通り、実施例1で
調製した実施例物質では、すべての投与群において死亡
例は認められなかった。
【0047】また、これらの実施例物質には、上記2つ
の試験系によるTGF−β阻害活性試験において細胞毒
性は観察されなかった。
【0048】<用法(製剤を含む)、容量>本発明のT
GF−β阻害剤は、本活性物質を有効成分として含有す
る。その投与経路は、特に限定されず、経口投与または
非経口投与(例えば、筋注、静注、皮下注、直腸投与、
粘膜吸収、経皮投与、点眼)することができる。また、
投与形態(剤型)については、製薬上許容される補助剤
を配合して、注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散
剤、丸剤、細粒剤、直腸投与剤、坐剤、点眼剤、噴霧
剤、塗布剤、局所組織内投与剤とすることができる。製
薬上許容される補助剤としては、例えば希釈剤、賦形
剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、緩衝剤、保存剤、溶解補
助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤、着色
剤が挙げられ、これらを常法により、適宜組み合わせて
使用することができる。
【0049】希釈剤の例としては、無菌水、無菌生理的
食塩水が挙げられる。賦形剤の例としては、乳糖、白
糖、ブドウ糖、ソルビット、コーンスターチ、結晶セル
ロースが挙げられる。結合剤の例としては、セルロース
誘導体、アラビアゴム、ゼラチン、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルエーテルが挙げられる。崩壊剤の例とし
ては、カルボキシメチルセルロースカルシウムが挙げら
れる。滑沢剤の例としては、タルク、ステアリン酸マグ
ネシウム、ポリエチレングリコールが挙げられる。緩衝
剤の例としては、ホウ酸、ホウ酸−亜硫酸ナトリウム、
リン酸二水素ナトリウム−リン酸水素ナトリウムなどが
挙げられる。保存剤の例としては、パラオキシ安息香酸
メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェ
ノール、クレゾール、クロロクレゾールなどが挙げられ
る。溶解補助剤の例としては、ポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マグロゴ
ールが挙げられる。防腐剤の例としては、グリセリンが
挙げられる。矯味矯臭剤の例としては、ココア末、ハッ
カ油、桂皮末が挙げられる。無痛化剤の例としては、ベ
ンジルアルコールが挙げられる。安定化剤の例として
は、亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、エーテ
ルが挙げられる。着色剤の例としては、タール色素、三
二酸化鉄、酸化チタン、β−カロチン、クロロフィルが
挙げられる。
【0050】実施例3に、実施例1で調製した実施例物
質を用いた本活性物質の製剤例を示した。
【0051】本発明のTGF−β阻害剤の投与量は、年
齢、体重、性別、症状、投与方法、投与期間等によって
異なるが、本抽出画分の量に換算して、通常1日当たり
大人では0.5〜5000mg、小人では0.5〜10
00mgであり、これを1日1〜5回に分けて投与すれ
ばよい。
【0052】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例の限定されるもので
はない。
【0053】
【実施例】
実施例1:本活性物質の採取、TGF−β阻害活性試験 <i>菌株の培養 前述の培養用培地100mlを、500ml容のフラス
コに入れ、121℃にて15分間、高温高圧蒸気滅菌を
行った。このフラスコに寒天培地で培養した放線菌NK
K−908菌株を植菌し、28℃の恒温にて、ロータリ
ーシェーカー(回転数:120rpm)上で5日間培養
を行った。
【0054】<ii>分離・精製と各分画のTGF−β阻
害活性 図3に、本活性物質を、培養液から採取する方法のスキ
ームを示した。
【0055】<ii-1>培養上清の分離 上記<i>で得られた培養液を、50mlの遠沈管に分
注し、2000rpmで30分間遠心分離し、菌体を除
いた。
【0056】図1に、この培養上清を、下記<iii-1 >
のTGF−β阻害活性試験系に10μlずつ添加した結
果を示した。図1に示すとおり、NKK−908株の培
養上清は、TGF−βのMv1lu細胞の増殖抑制作用
を阻害し、TGF−β無添加対照と同等の細胞増殖が確
認された。この培養上清及びその乾燥物を本活性物質A
とした。
【0057】図2に、この培養上清を、下記<iii-2 >
のTGF−β阻害活性試験系に10μlずつ添加した結
果を示した。図2に示すとおり、NKK−908株の培
養上清は、TGF−βが促進するL6細胞のデコリン産
生を抑制した。
【0058】<ii-2>STEP1:溶媒抽出とイオン交換ク
ロマトグラフィー 上記<ii-1>で得られた培養上清300mlに対し、溶
媒抽出を行い水層を得た。溶媒抽出は、ヘキサン2回、
酢酸エチル2回、クロロホルム2回の順で行い、各々3
00mlの有機溶媒を使用した。
【0059】得られた水層を、常法により凍結乾燥し
た。この凍結乾燥物に30mlの水を加え、10倍濃縮
液とした。DIAION WA−30(商品名、三菱化
成工業社製、内径1cm×25cm)カラムを水で平衡化
し、前記10倍濃縮液を供した。約100mlの水で洗
浄して非吸着物を除いた後、1M−NH4 Clで溶出し
た。分画のサイズは、5mlとした。尚、溶出パターン
は、280nmの吸光度で検出した。
【0060】図4に、上記カラムから得た画分を、下記
<iii-1 >のTGF−β阻害活性試験系に10μlずつ
添加した結果を示した。図4に示すとおり、TGF−β
阻害活性は、1つのピークとして溶出された。この活性
画分40ml(フラクションNo.26〜32)及びこ
の凍結乾燥物を本活性物質Bとした。
【0061】<ii-3>STEP2:エタノール沈澱とDEA
E−HPLC 本活性物質Bの画分40mlに、2倍容のエタノール
(80ml)を加えると白い沈澱物を生じた。この懸濁
液を50mlの遠沈管に入れ、15000rpmにて遠
心分離して沈澱物を集めた。上清を捨て、沈澱物を30
mlの水で溶解した後、0.2μmのフィルターでろ過
した。
【0062】20mMHEPES(N-(2- ヒドロキシエ
チル) ピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸)緩衝液(p
H7.2)で平衡化したTSKgel DEAE−2S
W(商品名、東ソー社製、内径2.15cm×25cm)カ
ラムに、前記溶解液を供した。流速5ml/分で20分
間20mMHEPES緩衝液(pH7.2)で流した
後、80分かけてNaClの濃度勾配を0〜1Mに直線
的に漸増する同緩衝液で溶出した。画分のサイズは5m
lとした。
【0063】図5に、上記カラムから得た画分を、下記
<iii-1 >のMv1lu細胞試験系に10μlずつ添加
した結果を示した。図5に示す通り、活性を示す画分
(本活性物質C)は、そのTGF−β阻害活性が3つの
ピークに別れ、それぞれ、次の濃度範囲のNaClで溶
出された。即ち、0.35〜0.5M(本活性物質C−
I)、0.5〜0.6M(本活性物質C−II)、0.6
〜0.9M(本活性物質C−III)である。
【0064】図6に、活性物質C−I、C−II、C−II
Iを、後述する<iii-2 >のL6細胞における試験系に
10μlずつ添加し、TGF−β阻害活性を測定した結
果を示した。図6の通り、本活性物質Cのうち、C−II
Iのみに、TGF−βが促進するL6細胞のデコリン産
生を抑制する作用が認められた。
【0065】<ii-4>STEP3:ゲルろ過−HPLC 本活性物質C−IIIの画分20mlを、常法により凍結
乾燥し、水1mlに溶解した。この濃縮液を、TSKg
el G3000PXXLカラム(商品名、東ソー社製、
内径0.78×30cm)を用いるゲルろ過HPLCに
供した。20mMHEPES緩衝液(pH7.2)に
て、流速1ml/分、分画サイズ1mlで溶出した。
【0066】図7に、上記カラムから得た画分を、下記
<iii-1 >のTGF−β阻害活性試験系に10μlずつ
添加した結果を示した。図7に示すとおり、TGF−β
阻害活性は、分子量2000の付近の分画に1つのピー
クとして溶出された。この活性画分又はその凍結乾燥物
を本活性物質Dとした。
【0067】<iii >薬理活性試験方法 <iii-1 >ミンク肺上皮細胞(Mv1lu細胞)を用い
る試験系 培地に浮遊させたMv1lu細胞(ATCC No.C
CL64)を、96穴マイクロプレートに細胞数が30
00/ウエルになるよう、50μlずつ分注した。培地
には、5%ウシ胎児血清(FBS)を含有したDMEM
(Dulbecco's Modified Eagle Media 、商品名、GIBCO
BRL 製カタログNo.12800-017)を使用した。上記の細胞
を、37℃、5%CO2 /95%airの条件下で2時
間培養した後、同培地に1ng/mlになるよう溶解し
たTGF−β(TGF−β +)又は培地のみ(TGF
−β無添加対照:TGF−β −)を各々50μl/ウ
エル添加した。ここに、被験物質の培地溶解液(化合物
添加)又は培地(化合物無添加対照:図中ではCont
rolと表示)を各々10μl/ウエル添加した後、上
記と同様の条件下で4日間培養した。
【0068】培養後、クリスタルバイオレットにより次
のように細胞染色を行った。まず、培養上清を捨て、
0.2%クリスタルバイオレットの20%メタノール溶
液を100μl/ウエルずつ添加した。20分後、染色
液を捨て、水で2回洗浄してから0.1N NaH2PO4/メタノ
ール(1:1)液を各ウエル100μl添加した。1時
間放置後、マイクロプレート検出器(東ソー社製)にて
415nmの吸光度を測定した。
【0069】<iii-2 >ラット骨格筋筋芽細胞(L6細
胞)を用いる試験系 <iii-1 >で用いた培地と同様の培地に浮遊させたL6
細胞(ATCC No. CRL1458)を、96穴
マイクロプレートに細胞数が5×105 /ウエルになる
よう100μlずつ分注した。<iii-1 >の培養条件下
で、3時間培養した後、培地を無血清培地に換えた。無
血清培地には、RPMI−1640(三光純薬社製 カ
タログNo.SS610−0101)を使用した。TG
F−βを、SO4 2--free RPMI−1640培地(日
研生物医学研究所製)に100ng/mlとなるよう溶
解し、各ウエルに10μlずつ添加した。TGF−β無
添加対照としては、SO4 2--free RPMI−1640
培地のみを添加した。ここに、被験物質の培地溶解液
(化合物添加)又は培地(化合物無添加対照:図中では
Controlと表示)を各々10μl/ウエル添加し
た後、更に〔35S〕−Na2 SO4を20μCi/ウェ
ル添加し、上記と同様の培養条件下で16時間培養し
た。
【0070】培養後、各ウェルに10μlのプロテアー
ゼインヒビター混合液(1%ロイペプチン、1%アンチ
パイン、10%トリプシンインヒビター)を添加した。
培養上清をマイクロチューブに回収し、1200rpm
にて3分間遠心分離した。この上清90μlとサンプル
バッファー(125μM Tris(トリヒドロキシメ
チルアミノメタン)−HCl、4%SDS(ドデシル硫
酸ナトリウム)、10mMβ−メルカプトエタノール、
25%グリセロール、pH6.8)30μlを混合し
て、4〜20%の勾配をかけたSDS−PAGE(ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動)を行った。
【0071】泳動後、オートラジオグフィーを行い、〔
35S〕−SO4 2-の取込みを、分子量約120kDの位
置にバンドの出現で検出した。尚、対照実験(TGF−
β−)において、内因性TGF−β由来の分子量100
kD付近の薄いバンドが観察された。
【0072】以上、実施例1の結果をまとめると、表5
のようになる。
【0073】
【表5】
【0074】実施例2:毒性試験 本活性物質を、4〜5週齢のICR系雄性マウス(チャ
ールスリバー社)に500mg/kg腹腔内投与した。
各化合物につき10匹のマウスを使用した。その結果、
実施例1で調製した実施例物質では、すべての投与群に
おいて死亡例は認められなかった。
【0075】また、これらの実施例物質には、培養細胞
を用いた前述の2つの試験系による薬理試験において
も、細胞毒性は観察されなかった。
【0076】実施例3:製剤例 以下に、上記実施例1で得られた実施例物質A〜Dを用
いて、これを有効成分として含有するTGF−β阻害剤
の例を示す。
【0077】製剤例1 実施例1本活性物質A(凍結乾燥物) 20g 乳糖 100g トウモロコシデンプン 36g 微結晶セルロース 30g カルボキシメチルセルロースカルシウム 10g ステアリン酸マグネシウム 4g 上記組成の成分を均一に混合し、本活性物質として1錠
当たり200mgを含有する錠剤とした。
【0078】製剤例2 実施例1本活性物質B(凍結乾燥物) 20g 乳糖 315g トウモロコシデンプン 125g 微結晶セルロース 25g 上記組成の成分を均一に混合した後、顆粒化し、顆粒剤
とした。
【0079】製剤例3 実施例1本活性物質C−III(凍結乾燥物)20g 乳糖 100g 微結晶セルロース 70g ステアリン酸マグネシウム 10g 上記の成分を均一に混合後、顆粒化した。これを本活性
物質として1カプセル当たり200mgを含有するよう
にゼラチンカプセルに充填し、カプセル剤とした。
【0080】製剤例4 実施例1本活性物質D(凍結乾燥物)5gを全量100
0mlになるように注射用蒸留水に溶解した。これを1
mlずつアンプルに封入し、本活性物質として5mgを
含有する注射剤とした。
【0081】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明のTGF−β阻
害物質は、安全で優れたTGF−β阻害作用を有する。
従って、これらを有効成分として含有する本発明のTG
F−β阻害剤は、取扱が容易で、安価なTGF−βが発
症及び病状の進行に関与している疾病、例えば糖尿病性
腎症の治療に有用である。
【0082】また、本発明のTGF−β阻害物質は、ス
トレプトミセス属の放線菌由来の低分子物質である。従
って、高分子タンパク質に比べ取扱が容易で、放線菌の
培養物から得られることから安価で短時間に製造が可能
であり、経済的にも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】NKK−908株の培養上清がTGF−βに及
ぼす阻害効果を、Mv1lu細胞試験系で測定した415n
m の吸光度で示した図である。
【図2】NKK−908株の培養上清がTGF−βに及
ぼす阻害効果を、L6細胞試験系で測定したときのオー
トラジオグラフで示した図である。
【図3】本発明のTGF−β阻害活性物質を、培養液か
ら採取する方法のスキームを示した図である。
【図4】NKK−908株の培養上清を、有機溶媒抽出
後、WA−30オープンカラムクロマトグラフィーにか
けた時の各溶出画分のTGF−β阻害効果を、Mv1l
u細胞試験系で測定した415nm の吸光度で示した図であ
る。
【図5】WA−30オープンカラムクロマトグラフィー
においてTGF−β阻害活性が認められた画分を更にD
EAE−HPLCに供したときの、各溶出画分のTGF
−β阻害効果を、Mv1lu細胞試験系で測定した415n
m の吸光度で示した図である。
【図6】DEAE−HPLCにおいてMv1lu細胞試
験系でTGF−β阻害効果を示した3画分をL6細胞に
よる試験系に供したときのオートラジオグラフで示した
図である。
【図7】DEAE−HPLCにおいて、L6細胞による
試験系でTGF−β阻害活性を示した画分を更にゲルろ
過−HPLCに供したときの各溶出画分のTGF−β阻
害効果を、Mv1lu細胞試験系で測定した415nm の吸
光度で示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 35/74 ACS 7431−4C ACV ADN G 7431−4C (C12N 1/20 C12R 1:465) (C12P 1/06 Z C12R 1:465) (72)発明者 横田 治人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 矢後 毅 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 八尾 泰子 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ストレプトミセス属に属し、基生
    菌系の色が灰色系で、気菌系の胞子柄に鍵状又はらせん
    状の長い胞子連鎖を形成し、胞子の表面が平滑であり、
    プリドハム・ゴトリーブ寒天培地上でL−アラビノー
    ス、D−キシロース、D−フラクトース、L−ラムノー
    ス、シュークロース、ラフィノースを資化し、かつTG
    F−β阻害物質産生能を有する放線菌。
  2. 【請求項2】 ストレプトミセス属に属し、TG
    F−β阻害物質産生能を有する放線菌が、ストレプトミ
    セスsp.NKK−908(Streptomyces sp. NKK-90
    8)である特許請求の範囲第1項に記載の放線菌。
  3. 【請求項3】 特許請求の範囲第1項又は第2項
    に記載の菌株を培養してTGF−β阻害活性物質を生成
    蓄積させ、該培養物から分離、採取することを特徴とす
    るTGF−β阻害活性物質の製造方法。
  4. 【請求項4】 特許請求の範囲第3項に記載の方
    法で得られたTGF−β阻害活性物質を有効成分として
    含有するTGF−β阻害剤。
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