JPH08113155A - 作業車のパワーステアリング制御構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 操向操作自在な前輪及び後輪で支持された機
体の後部に対地作業装置を連結し、前輪用のパワーステ
アリング機構を備えた作業車において、対地作業装置の
重量の変化により機体が前上がり姿勢になって、前輪用
の操縦ハンドルが軽くなり過ぎるのを防止する。 【構成】 機体の前後方向での傾斜を検出する傾斜セン
サー１１を備えて、傾斜センサー１１の検出により機体
が前上がり姿勢になると、前輪１用のパワーステアリン
グ機構８のアシスト力を弱める。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は乗用型田植機や農用トラ
クタ等の作業車において、前輪のパワーステアリング機
構の制御に関する。

【０００２】

【従来の技術】作業車の一例である乗用型田植機におい
ては、走行抵抗の大きな水田内を走行するので、操向操
作自在な前輪に対してパワーステアリング機構を装備し
て、作業者が操縦ハンドルにより前輪を軽く操向操作で
きるようにしているものが多くある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述のような乗用型田
植機では機体の後部に苗植付装置（対地作業装置に相
当）を連結しており、苗植付装置の苗のせ台に載置され
るマット苗の消費や、新しいマット苗の苗のせ台への補
給等により苗植付装置の重量が変化する。

【０００４】これにより、多くの新しいマット苗を苗の
せ台に一度に載せた場合には、苗植付装置の重量が特に
重くなり機体が前上がり気味になるので、このように機
体が前上がり気味になると、機体から前輪に掛かる荷重
負荷が小さくなる。このように機体から前輪に掛かる荷
重負荷が小さくなると、前輪の耕盤（地面）への接地圧
も小さくなるので、前輪用のパワーステアリング機構を
装備している場合、操縦ハンドルによる前輪の操向操作
が軽くなり過ぎて、直進時に前輪が容易に操向操作され
て過ぎてしまい直進性が低下することがある。本発明は
機体の後部に対地作業装置を装備し前輪用のパワーステ
アリング機構を装備した作業車において、直進性の低下
を防止することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の特徴は以上のよ
うな作業車のパワーステアリング制御構造において、次
のように構成することにある。つまり、 〔１〕操向操作自在な前輪及び後輪で支持された機体の
後部に、対地作業装置を連結し、前輪用のパワーステア
リング機構を備えるとともに、機体の前後方向での傾斜
を検出する傾斜センサーを備え、傾斜センサーの検出に
より機体が前上がり姿勢になると、パワーステアリング
機構のアシスト力を弱める制御手段を備えてある。

【０００６】〔２〕操向操作自在な前輪及び後輪で支持
された機体の後部に、対地作業装置を連結し、前輪用の
パワーステアリング機構を備えるとともに、機体から前
輪に掛かる荷重負荷を検出する負荷センサーを備え、負
荷センサーの検出により機体から前輪に掛かる荷重負荷
が小さくなると、パワーステアリング機構のアシスト力
を弱める制御手段を備えてある。

【０００７】

【作用】

〔Ｉ〕前項〔１〕のように構成すれば、機体の後部の対
地作業装置の重量が変化したことによって、機体が前上
がり姿勢になったことが傾斜センサーによって検出され
ると、前輪の地面への接地圧が小さくなったと判断でき
るので、これに基づいてパワーステアリング機構のアシ
スト力が弱められる。このようにパワーステアリング機
構のアシスト力が弱められると、その分だけ前輪の操向
操作時に操縦ハンドルに掛かる負荷が大きくなるので、
前輪の地面への接地圧が小さくなっても、操縦ハンドル
が軽くなり過ぎると言う状態にはならない。

【０００８】〔ＩＩ〕前項〔２〕のように構成すれば、
機体の後部の対地作業装置の重量が変化したことによっ
て、機体から前輪に掛かる荷重負荷が小さくなったこと
が負荷センサーによって検出されると、前輪の地面への
接地圧が小さくなったと判断できるので、これに基づい
てパワーステアリング機構のアシスト力が弱められる。
このようにパワーステアリング機構のアシスト力が弱め
られると、その分だけ前輪の操向操作時に操縦ハンドル
に掛かる負荷が大きくなるので、前輪の地面への接地圧
が小さくなっても、操縦ハンドルが軽くなり過ぎると言
う状態にはならない。

【０００９】この場合、負荷センサーにより機体から前
輪に掛かる荷重負荷を検出すれば、負荷センサーによっ
て前輪の地面への接地圧を直接に検出していることにな
るので、パワーステアリング機構のアシスト力を弱め過
ぎたり弱め方が不十分であったりすることなく、パワー
ステアリング機構のアシスト力を適切に弱めることがで
きる。

【００１０】

【発明の効果】請求項１のように構成すると、機体が前
上がり姿勢になれば前輪の地面への接地圧が小さくなっ
ていると判断されて、パワーステアリング機構のアシス
ト力が自動的に弱められるので、操縦ハンドルが軽くな
り過ぎて容易に操向操作され過ぎると言う状態を回避し
て、作業車の直進性の低下を未然に防止することができ
た。このように直進性の低下を抑えることができれば、
機体の直進状態が乱れることによる作業の不具合（乗用
型田植機において苗の植付列が乱れること等）を未然に
防止できる。

【００１１】請求項２のように構成すると、機体から前
輪に掛かる荷重負荷が小さくなれば前輪の地面への接地
圧が小さくなっていると判断されて、パワーステアリン
グ機構のアシスト力が自動的に弱められるので、操縦ハ
ンドルが軽くなり過ぎて容易に操向操作され過ぎると言
う状態を回避して、作業車の直進性の低下を未然に防止
することができた。このように直進性の低下を抑えるこ
とができれば、機体の直進状態が乱れることによる作業
の不具合（乗用型田植機において苗の植付列が乱れるこ
と等）を未然に防止できる。そして、負荷センサーによ
り前輪の地面への接地圧を直接に検出することになるの
で、パワーステアリング機構のアシスト力が適切に弱め
られ、直進性の低下をさらに抑えることができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１に示すように、操向操作自在な前輪１及び後
輪２で支持された機体の後部に、リンク機構３を油圧シ
リンダ４により昇降操作自在に連結し、リンク機構３に
苗植付装置５（対地作業装置に相当）を連結して、作業
車の一例である乗用型田植機を構成している。

【００１３】図２及び図１に示すように、機体の操縦部
６に配置された操縦ハンドル７の下部に、インテグラル
型のパワーステアリング機構８が連結されており、パワ
ーステアリング機構８の下部にピットマンアーム９が左
右に揺動操作自在に支持されている。ピットマンアーム
９と左右の前輪１とがタイロッド１０により連結されて
おり、操縦ハンドル７を左右に操作することによって、
パワーステアリング機構８を介してピットマンアーム９
により前輪１を左右に操向操作する。

【００１４】エンジン１２で駆動される油圧ポンプ１３
からの作動油が、パワーステアリング機構８に供給され
ており、パワーステアリング機構８に供給される作動油
の流量を制御可能な電磁操作式の可変絞り弁１４（制御
手段に相当）が備えられている。機体の前後方向での傾
斜を検出する重垂式の傾斜センサー１１が備えられてお
り、傾斜センサー１１の検出値が制御装置１５（制御手
段に相当）に入力されている。

【００１５】以上の構造により、傾斜センサー１１の検
出によって機体が前後方向において水平、及び機体の前
後方向での傾斜が水平から前下がりになっている場合に
は、図２の可変絞り弁１４は全開状態に操作されてお
り、パワーステアリング機構８のアシスト力は最大とな
っている。そして、図３に示すように機体の前後方向で
の傾斜が水平から前上がり側に変化していくと（機体が
前上がり姿勢になる状態）、これに伴って制御装置１５
により可変リリーフ弁１４が閉側に操作されて、パワー
ステアリング機構８のアシスト力が弱められていく。こ
の場合、機体の前後方向での傾斜が水平から前上がりに
なる程、パワーステアリング機構８のアシスト力が弱め
られるように、機体の前後方向での傾斜とパワーステア
リング機構８のアシスト力とが略線型関係に設定されて
いる。

【００１６】図２に示すように、エンジン１２からの動
力が静油圧式無段変速装置１６を介して、前輪１及び後
輪２、苗植付装置５に伝達されるように構成している。
静油圧式無段変速装置１６に低圧リリーフ弁１７及び高
圧リリーフ弁１８が内装されており、通常の走行時では
低圧リリーフ弁１７により静油圧式無段変速装置１６の
作動圧の上限が設定されている。そして、強湿田内での
脱出時や高い畦の乗り越え時等に、操縦部６に備えられ
た切換スイッチ１９を操作すれば、静油圧式無段変速装
置１６内の切換弁２０が操作されて、高圧リリーフ弁１
８により静油圧式無段変速装置１６の作動圧の上限が高
められる。

【００１７】〔別実施例〕図２に示す構成に代えて図４
に示すように構成してもよい。図４に示すように左右の
前輪１を支持する前車軸ケース２１において、機体の前
部のフレーム（図示せず）と前車軸ケース２１との連結
部分に、機体から前車軸ケース２１（前輪１）に掛かる
荷重負荷を検出する負荷センサー２２を備えている。こ
れにより、負荷センサー２２の検出により機体から前車
軸ケース２１（前輪１）に掛かる荷重負荷が小さくなる
と、可変絞り弁１４を閉側に操作して図３に示すよう
に、パワーステアリング機構８のアシスト力を弱めてい
くように構成する。

【００１８】図１に示す構成において、機体に対するリ
ンク機構３の上下角度を検出する角度センサー（図示せ
ず）を設けて、角度センサーの検出により機体に対する
リンク機構３の上下角度が大きくなると（リンク機構３
及び苗植付装置５が上昇操作されていくと）、図２の可
変絞り弁１４を閉側に操作して、図３に示すようにパワ
ーステアリング機構８のアシスト力を弱めていくように
構成してもよい。このようにリンク機構３の上下角度を
検出するのは、機体が前上がり姿勢（後下がり姿勢）に
なって苗植付装置５が下がると、これを補う為にリンク
機構３を上昇側に操作するので、リンク機構３の上下角
度を検出すれば機体の前後方向での傾斜を検出できるか
らである。本発明は乗用型田植機ばかりでなく、ロータ
リ耕耘装置等の対地作業装置を機体の後部に昇降操作自
在に連結した農用トラクタにも適用できる。

【００１９】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】乗用型田植機の全体側面図

【図２】パワーステアリング機構の制御系を示す図

【図３】パワーステアリング機構のアシスト力と機体の
前後方向での傾斜との関係を示す図

【図４】別実施例におけるパワーステアリング機構の制
御系を示す図

【符号の説明】

１ 前輪 ２ 後輪 ５ 対地作業装置 ８ パワーステアリング機構 １１ 傾斜センサー １４，１５ 制御手段 ２２ 負荷センサー

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 操向操作自在な前輪（１）及び後輪
   （２）で支持された機体の後部に対地作業装置（５）を
   連結し、前記前輪（１）用のパワーステアリング機構
   （８）を備えるとともに、 機体の前後方向での傾斜を検出する傾斜センサー（１
   １）を備え、前記傾斜センサー（１１）の検出により機
   体が前上がり姿勢になると、前記パワーステアリング機
   構（８）のアシスト力を弱める制御手段（１４），（１
   ５）を備えてある作業車のパワーステアリング制御構
   造。
2. 【請求項２】 操向操作自在な前輪（１）及び後輪
   （２）で支持された機体の後部に対地作業装置（５）を
   連結し、前記前輪（１）用のパワーステアリング機構
   （８）を備えるとともに、 機体から前記前輪（１）に掛かる荷重負荷を検出する負
   荷センサー（２２）を備え、前記負荷センサー（２２）
   の検出により機体から前記前輪（１）に掛かる荷重負荷
   が小さくなると、前記パワーステアリング機構（８）の
   アシスト力を弱める制御手段（１４），（１５）を備え
   てある作業車のパワーステアリング制御構造。