JPH0811003Y2 - ド−ム型スピ−カ− - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は電気音響機器の分野におけるドーム型スピ
ーカーの振動系の改良に関する。

〔従来の技術〕

ドーム型スピーカーは一般的に第５図に示すごとく、
マグネット51,センターポール52,フロントプレート53,
およびバックプレート54よりなる磁気回路のセンターポ
ール52とフロントプレート53とで形成される磁気空隙に
振動板55の外周に固着したボイスコイル56が位置するご
とくにエッジ57により振動板を支持し、ボイスコイル56
に音声電流を通じて振動板55を駆動し音波を放射する。

振動板55は分割振動周波数を可及的に高くして周波数
特性を良好にするためジュラルミンの如き軽量で高剛性
の材料を使用するのが通例である。

ドーム型スピーカーの他の構成として、振動板に内部
損失が極めて大きい軟質材料を使用した、いわゆるソフ
トドーム型スピーカーが存在する。

〔解決すべき問題点〕

上記した従来例において高剛性材料を使用した振動板
は材料としての機械的内部損失が少ないため、ピストン
振動域より高域の周波数において、振動板周辺から伝達
された振動エネルギーと振動板中央で反射した振動エネ
ルギーとが干渉し、所謂***振により振動板外周附近に
振動節を生じる。この振動節の外部と内部とでは振動板
の振動位相が相互に逆となるため当該***振の周波数
（F_R）において周波数特性上にディップを生じる。また
その後の高域共振周波数（F_H）ではピークを生じて周波
数特性や過渡特性が劣化し、聴感を害していた。

また、後者のソフトドームスピーカーでは振動板の内
部損失が極めて大きいため共振や***振は生じにくい
が、振動板質量が大きく、且つ振動エネルギーが伝達し
にくいのでスピーカーとしての変換能率が極めて低い欠
点があった。

〔考案の目的〕

本考案は上記した従来例の欠点を除き、***振が生じ
にくいように改良した振動系を使用して、周波数特性や
能率を良好にしたドーム型スピーカーを得ることを目的
とする。

ドーム型の振動板１、当該振動板１の外周仮面に結合
されたボイスコイルボビン２、および当該ボイスコイル
ボビン２に巻回されたボイスコイル３、前記振動板１と
ボイスコイルボビン２との結合部近傍に接着されたエッ
ジ４とからなる振動系を有するドーム型スピーカーにお
いて、前記振動板１が硬質の材料で形成され、周方向の
幅が振動板１外周長の３〜33％である切欠部５が振動板
１の外周部近傍に生じる１次共振モードの節円を含むよ
うにして１箇所以上形成されていることを特徴とするド
ーム型スピーカーであり、更に前記振動板１が金属から
なり、当該振動板１の前記切欠部５の端部に折り返しに
より補強リブ６が一体成形されたドーム型スピーカーで
あり、前記振動板１が合成樹脂、もしくは高剛性の充填
材で強化された合成樹脂からなり、前記切欠部５の端部
に折り返しにより補強リブ６が一体成形されていること
を特徴とするドーム型スピーカーであり、前記振動板１
と前記エッジ４とが一体成形されているドーム型スピー
カーであり、前記切欠部５が粘弾性体７で閉鎖されてい
るドーム型スピーカーである。

〔作用〕

上記構成を有する振動系においては、振動板の外周辺
における剛性が周方向に沿って、振動板上に於ける高域
共振の波長とほぼ同程度のピッチで場所的に異なるの
で、前記従来例の如きF_RやF_Hにおける著しい***振や共
振は分散され、それらに起因して生じる周波数特性上の
ディップやピークは消失して平担な周波数特性となり、
同時に著しい共振が消失することにより過渡特性も良好
となるので、再生音質は著しく改善されることとなる。

〔実施例〕

第１図〜第４図により本考案の実施例を詳述する。第
１図は本考案に係はるドーム側スピーカーの振動系の基
本形態で、振動板１は金属、合成樹脂、高剛性充填材
（繊維状、鱗片状、粉末状等）で強化した合成樹脂、等
の軽量高剛性の硬質材料からなり、その外周辺に１箇所
以上（図においては２箇所）切欠部５が設けられてい
る。

当該切欠部５は振動板周辺に生じる著しい振動節を分
散させるためその剛性を不均一とすることが目的である
から、その大きさは、実験結果により、幅Ａは振動板１
の全周長の３〜33％、径方向深さｄは半径の１〜50％、
もしくは高さ方向の深さＨは振動板全高の10〜80％、程
度が適当である。

またその形状は限定されず、円弧であっても直線であ
っても同様な効果が得られる。

更に第２図、第３図の如く当該切欠部５の端部に補強
リブ６を設けることは切欠端部が自由端として異常振動
をするのを防止する効果を有する。

このような補強リブ６は金属振動板の場合はプレス成
形時に折曲げにより１体成形するのが適当であり、合成
樹脂等の場合は当該切欠端部が肉厚となるごとくに成形
することにより容易に成形することができる。

上記各実施例において、第４図に示す様に前記切欠部
５を粘弾性物質７によって閉塞してもよい。切欠部５を
閉塞することで共振板背面の空気の漏洩を防止し、且つ
機械的内部ロスにより過度特性を尚一層良好にする効果
を有する。これらの粘弾性物質は別部材であっても、或
は軟質材料（例えば粘弾性材料を含浸もしくは塗布した
布等）を用いてエッジと一体成形したものでもよい また、簡単な構成の実施例として、前記振動板１とエ
ッジ部４とを同一材料で一体に成形して得た振動系（図
面省略）も本考案の技術範囲に属する。

〔効果〕

第６図に本考案によるドーム型スピーカーと従来例と
の周波数特性を比較して示す。

実線は本考案のドーム型スピーカーで、点線は従来例
である。

従来例スピーカーの特性にはほぼ20KH_zに***振によ
るディップと、30KH_z付近に高域共振によるピークが見
られるのに対し、本考案ドーム型スピーカーにおいては
上記周波数帯域において著しいピークやディップが消失
していることから、本考案による振動系の構造が著しい
共振や***振を分散消失させるのに有効であることを示
している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案ドーム型スピーカーの振動系の一部切欠
き斜視図、第２〜第４図は他の実施例の断面図、第５図
は一般的なドーム型スピーカーの断面図、第６図は周波
数特性図である。 １は振動板、２はボイスコイルボビン、３はボイスコイ
ル、４はエッジ、５は切欠部、６は補強リブ、７は粘弾
性物質である。

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ドーム型の振動板（１）、当該振動板
   （１）の外周下面に結合されたボイスコイルボビン
   （２）、および当該ボイスコイルボビン（２）に巻回さ
   れたボイスコイル（３）、前記振動板（１）とボイスコ
   イルボビン（２）との結合部近傍に接着されたエッジ
   （４）とからなる振動系を有するドーム型スピーカーに
   おいて、 前記振動板（１）が硬質の材料で形成され、周方向の幅
   が振動板（１）外周長の３〜33％である切欠部（５）
   が、切欠部（５）の存在しない振動板（１）の外周部近
   傍に生じる１次共振モードの節円を含むようにして振動
   板（１）周辺に１箇所以上形成されていることを特徴と
   するドーム型スピーカー。
2. 【請求項２】前記振動板（１）が金属からなり、当該振
   動板（１）の前記切欠部（５）の端部に折り返しにより
   補強リブ（６）が一体成形されていることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項記載のドーム型スピーカ
   ー。
3. 【請求項３】前記振動板（１）が合成樹脂、もしくは高
   剛性の充填材で強化された合成樹脂からなり、前記切欠
   部（５）の端部に折り返しにより補強リブ（６）が一体
   成形されていることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項記載のドーム型スピーカー。
4. 【請求項４】前記振動板（１）と前記エッジ（４）とが
   一体成形されていることを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項記載のドーム型スピーカー。
5. 【請求項５】前記切欠部（５）が粘弾性体（７）で閉鎖
   されていることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項記載のドーム型スピーカー。