JPH08109227A - 改質プロピレン系重合体の製造法及び改質プロピレン系重合体組成物 - Google Patents

改質プロピレン系重合体の製造法及び改質プロピレン系重合体組成物

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JPH08109227A
JPH08109227A JP24617094A JP24617094A JPH08109227A JP H08109227 A JPH08109227 A JP H08109227A JP 24617094 A JP24617094 A JP 24617094A JP 24617094 A JP24617094 A JP 24617094A JP H08109227 A JPH08109227 A JP H08109227A
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propylene
based polymer
vinyl monomer
modified propylene
polymer
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JP24617094A
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English (en)
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Masashi Kinoshita
正史 木之下
Toshio Niwa
俊夫 丹羽
Ou Shibata
欧 柴田
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 溶融温度以上で混練してビニル系単量体を重
合反応する改質プロピレン系重合体の製造方法におい
て、プロピレン系重合体とビニル系単量体とを予備混合
し、スクリューの長さ(L)と口径(D)との比が30
以上である同方向型二軸押出機を用いることを特徴とす
る改質プロピレン系重合体の製造法。 【効果】 本発明は、比表面積の大きいプロピレン系重
合体にビニル系単量体を予備混合し、特定の二軸押出機
を用い混練溶融重合する事により、ビニル単量体による
変性量を多くする事ができ、反応押出成形性が優れ、又
得られる改質プロピレン系重合体が相溶性に優れてお
り、そのため特に、透明性、剛性ならびに防湿性などに
も優れる、極めて実用性の高い、包装容器用材料として
有用なる、熱可塑成形材料を提供することが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビニル単量体による変
性量を多くする事ができ、透明性、剛性、押出成形性に
優れる改質プロピレン系重合体の製造法に関し、特に食
品包装、容器等材料として有用な剛性、透明性、透湿性
に優れる改質プロピレン系重合体組成物を提供するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは、低コストで、機械的
強度、耐熱性、耐油性、電気特性等に優れているため、
フィルム、繊維、成形品などとして多種の用途に広く用
いられている。
【0003】しかしながら、ポリプロピレンは、剛性、
シート加工性、表面特性等の点で他のビニル重合体、特
にポリスチレンに比べて劣っている。例えば、包装容器
分野においてポリプロピレンはポリスチレンと比較する
と剛性が低く、シート加工がやりにくい等の欠点があ
る。ところが一方では耐熱性、耐油性、防湿性の点では
ポリスチレンより優れるなどの長所がある。従って、ポ
リプロピレンの長所とポリスチレンの長所をバランス良
く合わせ持つ成形材料ができれば、従来使用不可能であ
った用途分野へも使用が可能となるものと期待される。
【0004】そこでポリプロピレンにポリスチレンをブ
レンドしたり、またはプロピレン重合体存在下でスチレ
ンを重合する事が試みられている。特開昭59‐217
742号公報には、プロピレン系重合体の存在下スチレ
ン系単量体を水性懸濁系で重合した改質ポリプロピレン
が開示されている。また特開平4ー213313号公報
には、粒状のプロピレン系重合体を過酸化物で活性化し
た後にスチレン系単量体を添加し、固相系により粒状を
保持できる条件で重合した改質ポリプロピレンが開示さ
れている。
【0005】しかしながら、ポリプロピレンとポリスチ
レンとは相互に非相溶性であり、単にブレンドしただけ
では両樹脂の界面接着が乏しい為、ポリスチレン部分の
分散が不十分となり相分離をおこし、得られる成形品の
透明性、剛性、耐衝撃性などの機械的性質は不満足なも
のとなり実用性に乏しい。又 粉粒状のプロピレン系重
合体の存在下スチレン系単量体を水性懸濁系、あるいは
固相系で重合する場合、ブロック化防止、重合温度の制
御、更には生成物の乾燥など工程が複雑となり汎用ポリ
マーとしては工業化する上で困難な点があった。
【0006】上述のように従来方法によるプロピレン系
重合体へのスチレン系重合体の導入はポリマー性能上、
或いは製造上満足できるものではなかった。これはプロ
ピレン系重合体へのポリスチレンの分散が不十分である
事に起因する。そしてポリスチレンの分散を十分行うた
めにはプロピレン系重合体とポリスチレンとのグラフト
重合体の存在が望ましいけれども、ポリプロピレンが、
そもそも、高結晶性のものであるところから、まず、融
点が高いこと、次いで、スチレン系単量体に溶解しない
ことなどといった性質の故に、上述のような方法では、
グラフト重合体が出来にくい為のものであると考えられ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、本発明の課
題は、従来技術における諸欠点を解決し、とりわけ、透
明性、機械的強度(剛性)ならびに押出成形加工性など
に優れる極めて実用性の高い改質プロピレン系重合体の
製造方法、組成物を提供することである。
【0008】そこで、本発明者らは、上述したような従
来法における欠点、つまり、透明性、機械的強度ならび
に成形性などを解決すべく、上述した如き発明が解決し
ようとする課題に照準を当てて、鋭意研究を重ねた結
果、先に、押出機中などに於いて、溶融状態にあるプロ
ピレン系重合体の存在下で、芳香族ビニル系単量体を重
合せしめることによって、諸性質に優れるグラフト重合
体が得られることを見い出して出願を行っている。(特
開平4−359910号公報、特開平5−155947
号公報、特開平5−239158号公報)
【0009】しかし、更に検討した結果、これらの押出
機の中で溶融混練重合を行なう方法として、押出機が一
軸押出機であると、液状のビニル単量体を予備混合した
プロピレン系重合体混合物を押出し機へ供給する際、ス
クリューが滑って押出機への噛込みが困難であったり、
混合分散力が不足するためポリプロピレン中のグラフト
ポリマー成分の分散粒子径が大きくなって透明性等の物
性が劣る事が判った。
【0010】又、押出機が異方向型二軸押出機である場
合は勿論、同方向型二軸押出機でも滞留時間が1分未満
で有れば、重合反応時間が短いためビニル単量体の反応
率が低かったり、改質プロピレン系重合体が不均一にな
り透明性が不十分であったり、改質プロピレン系重合体
中のビニル重合体含量を増やして剛性を高くする事がで
きなかったりした。
【0011】更に、同方向型二軸押出機を用いてもプロ
ピレン系重合体を供給してポリマー溶融後、ビニル単量
体を押出機の途中から溶融ポリマーに液注ポンプで注入
して溶融混練重合する方法である場合は、得られる改質
プロピレン系重合体が相溶性が不十分で透明性が劣った
り、フィッシュアイが発生しやすい等の問題点がある事
が判った。
【0012】本発明は、透明性、剛性に優れる改質プロ
ピレン系重合体の押出成形性に優れた製造法、特に食品
包装、容器等材料として有用な剛性、透明性、透湿性に
優れる改質プロピレン系重合体組成物を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、詳細に研
究した結果、該改質プロピレン系重合体を製造する際
に、プロピレン系重合体とビニル系単量体とを予備混合
し、スクリューの長さ(L)と口径(D)との比が30
以上である同方向型二軸押出機を用いて、プロピレン系
重合体とビニル系単量体混合物を溶融混練重合反応せし
めることによって、ビニル単量体のポリマー転換率およ
びグラフト率が高く、透明性や剛性の優れた物性のバラ
ンス化と押出成形性に優れることを見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0014】即ち、本発明は、溶融温度以上で混練して
ビニル系単量体を重合反応する改質プロピレン系重合体
の製造方法において、プロピレン系重合体とビニル系単
量体とを予備混合し、スクリューの長さ(L)と口径
(D)との比が30以上である同方向型二軸押出機を用
いることを特徴とする改質プロピレン系重合体の製造
法、好ましくは、スクリューの長さ(L)と口径(D)
との比が40から70であること、好ましくは混合物を
滞留時間が1分以上である同方向型二軸押出機を用いる
こと、好ましくは滞留時間が、3分〜10分であるこ
と、好ましくは同方向型二軸押出機が、好ましくは比表
面積0.1m2/g以上の粉粒状プロピレン系重合体に対し
て芳香族ビニルを主成分とするビニル系単量体を、必要
によりラジカル重合開始剤を添加して予備混合すること
を特徴とする改質プロピレン系重合体の製造法、及び
(a)滞留時間が1分以上である同方向型二軸押出機を
用いて、(b)比表面積が0.1m2/g以上である粉粒状
プロピレン系重合体、(c)芳香族ビニル単量体を主成
分とするビニル系単量体 5重量%以上(該プロピレン
系重合体との合計重量において)および(d)ラジカル
重合開始剤を混合し、該重合体にビニル系単量体および
ラジカル重合開始剤を実質的に含浸せしめた後、溶融混
練してビニル系単量体を重合反応することにより得られ
ることを特徴とする改質プロピレン系重合体組成物を提
供する。
【0015】(構成)本発明を実施するに当たって用い
られる同方向型二軸押出機を概略図を図1に示す。該同
方向型二軸押出機は、そのスクリューの長さ(L)と口
径(D)との比が30以上、好ましくは35以上、より
好ましくは40から70である押出機であって、好まし
くは滞留時間が1分以上、更に好ましくは3分から10
分である。
【0016】該同方向型二軸押出機は、図1に示すよう
に計量フィーダー1、液注ポンプ3、真空ライン4、モ
ーター5、ギアボックス6、シリンダーC1〜C12、
ダイスDからなり、スクリューがセグメント方式になっ
ている。又、スクリューにニーディングディスク部や逆
フライト部を設ける事によって混合分散能力を向上した
り、更に滞留時間を長くする事ができる。
【0017】該同方向型二軸押出機は、一軸押出機や異
方向型二軸押出機と比べてフィード能力が安定している
事、及び滞留時間が長く取れる事、更にはシリンダー内
における樹脂の切り返し効果、表面更新性がよく脱揮性
能やセルフクリーニング性に優れるため本発明の改質プ
ロピレン系重合体の製造に好適である。該同方向型二軸
押出機はスクリュー口径(D)が、20mmのものから
400mmのものまであるが、L/Dが30未満のもの
は、滞留時間が短くなるのでビニル単量体の反応率が低
くなったり、不均質な透明の低い改質プロピレン系重合
体が生成したり、押出量が不安定になったりして、押出
成形性に劣るので好ましくない。
【0018】スクリューには、2条タイプや3条タイプ
があり、又2本のスクリューの噛み合いが完全噛み合い
型と部分的或いは非噛み合い型とあるが目的とする改質
プロピレン系重合体のグレードに応じて何れも用いられ
る。
【0019】真空ライン4は、未反応モノマーを除去す
ること等に使用される。
【0020】本発明に用いるビニル単量体は、プロピレ
ン系重合体が溶融する前に混合すること、予備混合する
ことが相溶性の優れた均質な改質プロピレン系重合体を
得る為に必要であり、予備混合物を計量フィーダーを通
して押出し機の出口から最も遠い供給口から投入する
か、プロピレン系重合体のみを計量フィーダーを通じて
投入し、ビニル単量体はプロピレン系重合体が未溶融で
ある2番目、3番目迄の供給口からポンプで注入する事
ができる。
【0021】本発明の押出機には、付帯設備として原料
を定量的に押出機に供給する計量フィーダー、後添加の
ビニル単量体や共沸剤を添加するための液注ポンプ、不
活性ガス雰囲気下で混練重合を行うための不活性ガス供
給装置、重合後の残留単量体や分解副生物を除去するた
めのベントポート及び真空ポンプ、改質プロピレン系重
合体を冷却、ペレット化するための水槽及びカッター又
はそれらが一体化したペレタイザー等が必要であり、更
に品質管理のための粘度測定や組成分析装置等を設置し
ても良い。
【0022】押出機での溶融混練温度は、好ましくは1
70〜230℃で行われる。
【0023】本発明に用いる粉粒状プロピレン系重合体
は、プロピレンの単独重合体、およびこのプロピレンを
主体とする、他のオレフィン類またはエチレン性不飽和
単量体類との共重合体(いずれも、プロピレンが75重
量%以上からなる共重合体である。)を指称するもので
あり、チーグラー・ナッタ触媒やカミンスキー触媒など
何れの触媒系で重合されたものでも良く、具体的には、
アイソタクチックポリプロピレン、結晶性プロピレン−
エチレン共重合体、結晶性プロピレン−ブテン共重合体
または無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどが、当該
プロピレン系重合体の代表例である。これらのプロピレ
ン系重合体の2種以上を混合して使用することもでき
る。プロピレン系重合体の結晶性が低かったり、共重合
比率が高いとビニル単量体に溶解しやすくなり予備混合
物が粘着して塊状に成り、押出機等に供給しにくくなる
ので好ましくない。
【0024】該プロピレン系重合体は、粉粒状であり、
粒子としては細かく、粒径は好ましくは50〜1000
μ、粒径が大きい場合はポーラスであることが望まし
い。又、ビニル系単量体に溶解せず、それらを吸着する
ために比表面積が大きい事、好ましくは比表面積が0.
1m2/g以上であること、より好ましくは0.2m2/g以上
である。比表面積が0.1m2/gより小さいと改質プロピ
レン重合体が不均一となりやすく透明性、剛性に劣り好
ましくない。比表面積の大きい粉粒状のプロピレン系重
合体は、例えば出光石油化学などのポリプロピレンメー
カーが生産しており、比表面積の特に大きいプロピレン
系重合体としては、例えばAKZO社(オランダ国)の
アキュレルPPやHIMONT社(イタリア国)のスフ
ェリポールPP等が挙げられる。
【0025】また、本発明では、粉粒状プロピレン系重
合体の性質を損なわない範囲内で、他の粉末状重合体を
使用することもできる。但し、ポリエチレンのようなラ
ジカル架橋性の粉末状重合体は、溶融混練時に網状化に
より混練トルクの上昇を招くので、原料ポリプロピレン
の半分以下にすることが好ましい。
【0026】本発明で粉粒状プロピレン系重合体に含浸
されるビニル系単量体は、常温で液状のものであり、芳
香族ビニル単量体を主成分とし、他のビニル単量体を含
有していてもよい。芳香族ビニル単量体としては、例え
ば、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニ
ルキシレン、エチルビニルベンゼン、イソプロピルスチ
レン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチ
レン等が挙げられ、単独または混合して用いられる。か
かる芳香族ビニル単量体は溶融混練重合した際に問題と
なるプロピレン系重合体の分子量低下を抑制し、剛性な
ど機械的物性を向上させるメリットがある。
【0027】上記ビニル系単量体には、主成分である芳
香族ビニル単量体以外に該芳香族ビニルと共重合可能で
ある、他のビニル単量体、例えば、アクリロニトリルの
如き、各種のシアン化ビニル類;酢酸ビニルの如き、各
種のビニルエステル類;アクリル酸もしくはメタクリル
酸あるいはそれらのアルキルエステル類またはグリシジ
ルエステル類と、さらには、マレイン酸を併用しても良
い。
【0028】特にグラフトポリマーの極性を上げて印刷
性・接着性等を向上させるため水素結合を作り得る官能
基を有するビニル単量体を芳香族ビニル単量体を併用す
る事は好ましい。併用される極性官能基含有ビニル単量
体としては、共重合可能なエポキシ基含有ビニル単量
体、水酸基含有ビニル単量体、カルボキシル基含有ビニ
ル単量体、オキサゾリン基含有ビニル単量体、シラノー
ル基含有ビニル単量体等が挙げられる。好ましくは、エ
ポキシ基含有ビニル単量体あるいはカルボキシル基含有
ビニル単量体である。
【0029】エポキシ基含有ビニル単量体としては、例
えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレ
ート、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジ
ルエーテル等が挙げられ単独または混合して用いられ
る。特にグリシジルメタクリレートが好ましい。
【0030】水酸基含有ビニル単量体としては、例え
ば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2
−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられ単独ま
たは混合して用いられる。
【0031】シリル基含有ビニル単量体としては、例え
ば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリブトキシシラン、3−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(2−メト
キシエトキシ)シラン等が挙げられ単独または混合して
用いられる。
【0032】カルボキシル基含有ビニル単量体とは、例
えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マ
レイン酸等及びそれらのアルキルエステルが挙げら、こ
れらの単独または混合物を適用して用いられる。
【0033】オキサゾリン基含有ビニル単量体として
は、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−
メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニルー2ー
オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−オキサゾリン
等がある。
【0034】ビニル系単量体の使用量は、粉末状プロピ
レン系重合体との重量和において5重量%以上であり、
好ましくは5〜50重量%である。ビニル系単量体中の
芳香族ビニルの量は、50重量%以上、好ましくは80
重量%以上である。芳香族ビニル単量体の量は改質プロ
ピレン系重合体の低分子量化を防止するため、他のビニ
ル単量体を併用する場合にはその添加量よりも多く、好
ましくは1〜5倍量であることが好ましい。尚、芳香族
ビニル以外の他の単量体は、得られる改質プロピレン系
重合体の低分子量化、粘着性、吸湿性、機械的物性等の
悪影響が大きくならない程度に用いるべきである。
【0035】また、前記したラジカル重合開始剤として
は、本発明の特徴から、芳香族ビニルに溶解し易く、ま
た、プロピレン系重合体の溶融混練温度で重合を行うた
めに、1分間の半減期を得るための分解温度が130℃
以上であり、好ましくは、175〜250℃なる範囲内
のものである。
【0036】当該ラジカル重合開始剤のうちでも特に代
表的なる具体例を挙げれば、t−ブチルパーオクテー
ト、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーベ
ンゾエート、ジメチル−ジ(tert−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、ビス(tert−ブチルパーオキシイソ
プロピル)ベンゼン、ジメチル−ジ(tert−ブチル
パーオキシ)ヘキシン、ジイソプロピルベンゼンハイド
ロパーオキサイドまたはキュメンハイドロパーオキサイ
ドなどである。
【0037】当該ラジカル重合開始剤の使用量として
は、ビニル系単量体の100重量部に対して、好ましく
は、0.1〜10重量部なる範囲内、特に好ましくは、
1〜5重量部なる範囲内が適切である。
【0038】さらに、ポリプロピレンが、ポリエチレン
に比して、そのラジカル崩壊性が大きく異なる処から、
グラフト重合を行う上で、いわゆる安定剤を添加するこ
とが望ましい。ただし、使用に際しては、ビニル系単量
体の重合を妨げないような、種類および添加量を考慮す
る必要があることは、言う迄も無い。
【0039】この種の安定剤として特に代表的なものの
みを例示するにとどめれば、ペンタエリスリチル−テト
ラキス((ジ−tert−ブチル−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート)、オクデシル(ジ−tert−ブ
チル−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオビス
(メチルt−ブチルフェノール)またはトリメチル−ト
リス(ジ−tert−ブチルヒドロキシベンジル)ベン
ゼンの如き、各種のヒンダードフェノール系安定剤類;
テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニ
レンフォスファイトまたはトリス(ジ−tert−ブチ
ルフェニル)フォスファイトの如き、各種の燐系安定剤
類;ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウムの
如き、各種の金属石鹸類;あるいは酸化マグネシウムま
たはハイドロタルサイトの如き、各種の制酸吸着剤類な
どである。
【0040】当該安定剤の使用量としては、粉末状プロ
ピレン系重合体の100重量部に対して、通常、0.0
1〜1重量部なる範囲内が、好ましくは、0.05〜
0.5重量部なる範囲内が適切である。
【0041】さらにまた、添加剤類として、単量体類ま
たはラジカル開始剤類の希釈用ないしは脱気用の目的
で、少量の溶剤または水を添加しても良い。
【0042】本発明では、ビニル系単量体およびラジカ
ル重合開始剤は粉粒状プロピレン系重合体に実質的に含
浸せしめられる。この含浸は、ビニル系単量体が重合し
ない温度および時間の条件下で行われ、ラジカル重合開
始剤を併用する場合にはその分解が実質的に起こらない
ような温度および時間の条件下で行われる必要があり、
そのために同方向型二軸押出機の出口から最も離れた供
給口又はプロピレン系重合体が溶融される前にビニル単
量体を添加する必要がある。
【0043】本発明でのプロピレン系重合体へのビニル
単量体の予備混合は、混合温度としては、100℃以
下、好ましくは80〜20℃なる範囲であり、ビニル単
量体の揮散を防ぐためには50〜20℃なる範囲内がよ
り適切であるし、混合時間としては、5分以上が好まし
く、10〜60分間なる範囲内がより適切である。ま
た、かかる予備混合の際には、混合機、例えばヘンシェ
ルミキサーなどで密閉系か、あるいは押出機中でプロピ
レン系重合体が未溶融である圧縮ゾーン前搬送ゾーンで
の混合が好ましい。それらの予備混合にあたっては窒素
等不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0044】本発明では、通常ビニル系単量体がラジカ
ル開始剤の存在下に重合反応する場合、溶融状態にある
プロピレン系重合体がビニル系単量体と充分に接触し混
合されることによって、プロピレン系重合体にビニル系
単量体から生じる重合体がグラフトした重合体(グラフ
ト重合体)が生じ得る。通常プロピレン系重合体は、エ
チレン系重合体と異なり、ラジカル崩壊性のポリマーで
ある処から、単に溶融加熱すると、分子切断が起き易い
けれども、芳香族ビニルを含むビニル系単量体等の存在
下で溶融加熱を行うことにより、逆に、網状化を防ぎな
がらグラフト反応を起こし易い。
【0045】得られる改質プロピレン系重合体は、プロ
ピレン系重合体成分と主として芳香族ビニル系重合体成
分とから成っているものであるが、均質であり、そのま
ま、成形品として、あるいは、ペレットとして取り出す
ことが出来る。
【0046】かくて、改質プロピレン系重合体は、それ
自身が、とりわけ、耐熱性、剛性、防湿性ならびに表面
性などに優れた熱可塑樹脂であるため、食品包装、容
器、各種ハウジングなどの用途に使用できる。さらに、
当該改質プロピレン系重合体は極性および非極性部分か
ら成ることものである処から、各種のポリマー類(重合
体類ないしは樹脂類)同志の相溶性向上剤としても、あ
るいは、無機フィラー(無機質充填剤)類との相溶性向
上剤としても優れている。
【0047】本発明で得られた改質プロピレン系重合体
には、ガラス繊維、炭素繊維、ケブラー繊維などの補強
繊維、炭酸カルシウム、シリカ、雲母、水酸化アルミニ
ウムなどの無機充填剤、有機・無機顔料、染料などを添
加することができる。これらの添加剤は、本発明の効果
を損なわない限り、予め粉末状プロピレン系重合体に混
合しておいてもよく、またビニル系重合体を含浸した粉
末状プロピレン系重合体を溶融混練する際に添加しても
よい。
【0048】
【実施例】次に、本発明を、実施例および比較例によ
り、具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例の
みに限定されるものではない。以下において、部および
%は特に断りの無い限り、すべて重量基準である。
【0049】(実施例1)75リットルヘンシェルミキ
サーに、比表面積が0.24m2/gなる「出光ポリプロ
E−100G」[出光石油化学社製の、粉粒状のポリプ
ロピレン]の10000部、「イルガノックス 101
0」(スイス国チバ・ガイギー社製安定剤)の5部、
「フォスファイト 168」(チバ・ガイギー社製安定
剤)の10部およびステアリン酸カルシウムの5部を秤
取して室温で2分間混合した。これを「安定剤配合PP
−1」とする。スチレン1000部に「パーヘキシン
25B」[日本油脂(株)製重合開始剤]の10部を混
合せしめたものを、先の粉末状「安定剤配合PP−1」
9000部に添加して、上記ヘンシェルミキサーにて4
0℃で30分間、混合含浸せしめた。
【0050】次いで、スクリュー径が44mmでL/D
が42である(12ブロックからなり、ブロック毎に供
給口を設ける事ができる)定量フィーダー付きの同方向
型二軸押出機(TEX44XCT 日本製鋼所社製)を
シリンダー温度が180℃(ただし、フィーダー部は1
60℃)、ダイス温度が200℃に設定した後、該配合
物を、該押出機に時間当たり2000部の割合で上記混
合物を供給し、毎分150回転なる速度で溶融混練して
スチレンの重合を行って、改質プロピレン系重合体を得
てペレットとして取り出した。押出ストランドは、表面
平滑、透明であり、脈動もなかった。該押出機の滞留時
間は3分15秒であった。得られたペレットを、東芝機
械(株)製のIS50AM射出成形機を用いて、樹脂温
度が230℃なる条件で以て試片(試験片)を作製し
た。この試片について、種々の物性を測定し評価を行っ
た。
【0051】また、上記ペレットについて、赤外線分光
分析を用いて、700cm-1(スチレンに帰属)と13
80cm-1(ポリプロピレンに帰属)との比に基づく検
量線から、スチレン含量を測定し、その値を用いること
によって、スチレンの重合率を求めた。さらに、ポリス
チレンのグラフトの有無を判断をするために、ポリプロ
ピレンは溶解しないが、ポリスチレンは溶解するような
溶剤としてのテトラヒドロフランにペレットを入れ、還
流下でソックスレー抽出せしめて、ペレット中のスチレ
ン部分の残留率から、グラフト率をも測定した。以上の
測定結果を、第1表に示した。
【0052】重合率の方は、モノマー回収処理を特に必
要とすることの無いような、95%以上であったし、ま
た、剛性率の方も、単独ポリプロピレン(未改質ポリプ
ロピレン)よりも20%以上アップしようとする目標値
が達成され、剛性の改善効果があったことが知れる。ま
た、透明性の方もまた、包装材料として許容できる、6
5%以上の透過率であったし、熱変形性の方も、電子レ
ンジ再加熱用容器として必要である、130℃以上であ
った。なお、透湿性に付いては、単独ポリプロピレンと
ほぼ同等であり、勿論、ポリスチレンよりも遥かに良好
であった。
【0053】(比較例1)実施例1に於いてスクリュー
径が44mmでL/Dが42である定量フィーダー付き
の同方向型二軸押出機(TEX44XCT 日本製鋼所
社製)の代わりにスクリュー径が44mmであるがL/
Dが21である定量フィーダー付きの同方向型二軸押出
機(TEX44XCT 日本製鋼所社製)を用いた以外
は実施例1と全く同様に溶融混練してスチレンの重合を
行って改質プロピレン系重合体をペレットとして取り出
した。該押出機の滞留時間は45秒であった。得られた
ペレットを、実施例1と同様に射出成形機を用いて、樹
脂温度が230℃なる条件で以て試片(試験片)を作製
した。この試片について、種々の物性を測定し評価を行
った。
【0054】その配合物についても、実施例1と同様に
して押出機中で溶融混練して改質プロピレン系重合体を
得、それについて分析ならびに諸物性の測定を行った。
それらの測定結果を第1表に示した。
【0055】得られた重合体の重合率は90%未満で、
グラフト率も20%未満であった。加えて、包装材料と
して必要なる透明性もまた、65%未満であった。その
ためかインフレーションフィルムは実施例1〜5の物に
比較してフィッシュアイが多かったし、剛性にしても、
単独ポリプロピレンに比して、1割以内という、低度の
改善効果しか無かった。
【0056】(比較例2)実施例1に於いてスクリュー
径が44mmでL/Dが42である定量フィーダー付き
の同方向型二軸押出機(TEX44XCT 日本製鋼所
社製)の代わりにスクリュー径が30mmでありL/D
が28である一軸押出機(田辺鉄工所社製)を用いた以
外は実施例1と同様にして配合物を押出機のフィーダー
部から供給して溶融混練重合を行なおうとしたが液状物
を含むせいかフィーダー部において滑ってプロピレン系
重合体配合物をスクリューが噛み込まないので、止むな
く、溶融混合を断念し中止した。
【0057】(比較例3)実施例1において用いたスチ
レンを含まない「安定剤配合PP−1」9000部を実
施例1と同様の温度条件に設定したスクリュー径が44
mmでL/Dが42である定量フィーダー付きの同方向
型二軸押出機(TEX44XCT 日本製鋼所社製)に
定量フィーダーにて時間当たり18000部の速度で供
給し、150回転なる速度で溶融混練しながら、押出機
の出口から遠い方から6番目の供給口から「パーヘキシ
ン 25B」[日本油脂(株)製品]の1%を混合せし
めたスチレンを溶融状態のプロピレン系重合体中に液注
ポンプにて時間当たり200部の速度で注入した。実施
例1と同様に溶融混練してスチレンの重合を行って改質
プロピレン系重合体をペレットとして取り出した。押出
ストランドは、表面平滑性に劣り、白っぽく半透明であ
った。得られたペレットを、実施例1と同様に射出成形
機を用いて、樹脂温度が230℃なる条件で以て試片
(試験片)を作製した。この試片について、種々の物性
を測定し評価を行った。
【0058】その配合物についても、実施例1と同様に
して押出機中で溶融混練して改質プロピレン系重合体を
得、それについて分析ならびに諸物性の測定を行った。
それらの測定結果を第1表に示した。
【0059】得られた重合体の重合率は、90%未満
で、グラフト率も20%未満であった。加えて、包装材
料として必要なる透明性もまた、65%未満であった。
そのためか、インフレーションフィルムは実施例1〜5
の物に比較してフィッシュアイが多かったし、剛性にし
ても、単独ポリプロピレンに比して、1割以内という、
低度の改善効果しか無かった。
【0060】(比較例4)実施例1において用いた「安
定剤配合PP−1」9000部の代わりに比表面積が
0.01m2/g未満の「徳山ポリプロ MS230」[徳
山曹達社製の、ペレット状のポリプロピレン]を同量用
いた以外は実施例1と同様に混合を行として、ヘンシェ
ルミキサーでスチレン1000部に、「パーヘキシン
25B」[日本油脂(株)製品]の30部を混合せしめ
たものを、先のペレット状ポリプロピレン配合物に添加
して、40℃で30分間、混合しようとしたがペレット
状のポリプロピレンがスチレンを吸収しないためスチレ
ン等が分離して流失し始めたので、止むなく、混合を断
念し中止した。
【0061】(実施例2)実施例1において用いた「安
定剤配合PP−1」9000部とスチレン1000部に
「パーヘキシン 25B」[日本油脂(株)製重合開始
剤]の30部の代わりに「安定剤配合PP−1」800
0部とスチレン2000部に「パーヘキシン 25B」
[日本油脂(株)製重合開始剤]の30部を用いた以外
は実施例1と全く同様に溶融混練してスチレンの重合を
行って改質プロピレン系重合体をペレットとして取り出
した。得られたペレットを、実施例1と同様に射出成形
機を用いて、樹脂温度が230℃なる条件で以て試片
(試験片)を作製した。この試片について、種々の物性
を測定し評価を行った。
【0062】次いで、該配合物についても、実施例1と
同様にして改質プロピレン系重合体を得、それらについ
て分析ならびに諸物性の測定を行った。それらの測定結
果を、まとめて第1表に示した。
【0063】得られた改質プロピレン系重合体はその重
合率が90%以上であった。剛性も単独ポリプロピレン
より1割以上と、遥かに改善されていた。透明性の方
も、包装材料として許容できるという、65%以上の透
過率であったし、加えて、熱変形性の方もまた、電子レ
ンジ再加熱用容器として必要である130℃以上であっ
た。
【0064】(実施例3)実施例1において「安定剤配
合PP−1」9000部とスチレン1000部に「パー
ヘキシン 25B」[日本油脂(株)製重合開始剤]の
30部を予備混合する代わりに実施例1と同様の温度条
件に設定したスクリュー径が44mmでL/Dが42で
ある定量フィーダー付きの同方向型二軸押出機(TEX
44XCT日本製鋼所社製)に定量フィーダーにて時間
当たり18000部の速度で供給し、150回転なる速
度で溶融混練しながら、「パーヘキシン 25B」[日
本油脂(株)製品]の3%を混合せしめたスチレンを液
注ポンプにて時間当たり2000部の速度で押出機の出
口から遠い方から2番目の供給口から注入した。実施例
1と同様に溶融混練してスチレンの重合を行って改質プ
ロピレン系重合体をペレットとして取り出した。得られ
たペレットを、実施例1と同様に射出成形機を用いて、
樹脂温度が230℃なる条件で以て試片(試験片)を作
製した。この試片について、種々の物性を測定し評価を
行った。
【0065】その配合物についても、実施例1と同様に
して押出機中で溶融混練して改質プロピレン系重合体を
得、それについて分析ならびに諸物性の測定を行った。
それらの測定結果を第2表に示した。
【0066】得られた改質プロピレン系重合体はその重
合率が90%以上であった。剛性も単独ポリプロピレン
より1割以上と、遥かに改善されていた。透明性の方
も、包装材料として許容できるという、65%以上の透
過率であったし、加えて、熱変形性の方もまた、電子レ
ンジ再加熱用容器として必要である130℃以上であっ
た。
【0067】(実施例4)実施例1において用いた「安
定剤配合PP−1」9000部とスチレン1000部の
代わりに「安定剤配合PP−1」9000部とスチレン
700部とグリシジルメタクリレート300部を用いた
以外は実施例1と全く同様に溶融混練してスチレンの重
合を行って改質プロピレン系重合体をペレットとして取
り出した。得られたペレットを、実施例1と同様に射出
成形機を用いて、樹脂温度が230℃なる条件で以て試
片(試験片)を作製した。この試片について、種々の物
性を測定し評価を行った。
【0068】次いで、該配合物についても、実施例1と
同様にして改質プロピレン系重合体を得、それらについ
て分析ならびに諸物性の測定を行った。それらの測定結
果を、まとめて第2表に示した。
【0069】得られた改質プロピレン系重合体は、その
重合率が90%以上であった。剛性も単独ポリプロピレ
ンより1割以上と、遥かに改善されていた。透明性の方
も、包装材料として許容できるという、65%以上の透
過率であったし、加えて、熱変形性の方もまた、電子レ
ンジ再加熱用容器として必要である130℃以上であっ
た。
【0070】(実施例5)75リットルヘンシェルミキ
サーに比表面積が0.20m2/gなる「ハイポールJ34
0P」[三井石油化学社製の、粉粒状のブロックポリプ
ロピレン]の10000部、「イルガノックス 101
0」(スイス国チバ・ガイギー社製安定剤)の5部、
「フォスファイト 168」(チバ・ガイギー社製安定
剤)の10部およびステアリン酸カルシウムの5部を秤
取して室温で2分間混合した。これを「安定剤配合PP
−2」とする。実施例1において「安定剤配合PP−
1」9000部とスチレン1000部及び「パーヘキシ
ン 25B」[日本油脂(株)製重合開始剤]10部の
代わりに「安定剤配合PP−1」9400部とスチレン
500部と無水マレイン酸100部及び「パーヘキシン
25B」[日本油脂(株)製重合開始剤]18部を用
いた以外は実施例1と全く同様に溶融混練してスチレン
の重合を行って改質プロピレン系重合体をペレットとし
て取り出した。押出ストランドは、溶融粘度が低く融着
してペレット化しにくかった。得られたペレットを、実
施例1と同様に射出成形機を用いて、樹脂温度が230
℃なる条件で以て試片(試験片)を作製した。この試片
について、種々の物性を測定し評価を行った。
【0071】次いで、該配合物についても、実施例1と
同様にして改質プロピレン系重合体を得、それらについ
て分析ならびに諸物性の測定を行った。それらの測定結
果を、まとめて第2表に示した。
【0072】得られた改質プロピレン系重合体は、その
重合率が90%以上であった。剛性も単独ポリプロピレ
ンより1割以上と、遥かに改善されていた。透明性の方
も、包装材料として許容できるという、65%以上の透
過率であったし、加えて、熱変形性の方もまた、電子レ
ンジ再加熱用容器として必要である130℃以上であっ
【0073】(比較例5)実施例4における改質プロピ
レン系重合体の製造においてスチレン700部を添加し
ない他は「安定剤配合PP−1」9000部とグリシジ
ルメタクリレート300部はそのままにしてパーヘキシ
ン25B(日本油脂社製)18部とした以外は実施例1
と全く同様に溶融混練して混練溶融重合を行って改質プ
ロピレン系重合体をペレットとして取り出した。得られ
たペレットを、実施例1と同様に射出成形機を用いて、
樹脂温度が230℃なる条件で以て試片(試験片)を作
製した。この試片について、種々の物性を測定し評価を
行った。
【0074】次いで、該配合物についても、実施例1と
同様にして改質プロピレン系重合体を得、それらについ
て分析ならびに諸物性の測定を行った。それらの測定結
果を、まとめて第2表に示した。
【0075】得られた改質プロピレン系重合体はその重
合率が90%以下であった。剛性も単独ポリプロピレン
よりむしろ1割以上低下した。透明性は、包装材料とし
て許容できるという、65%以上の透過率であったが、
熱変形性の方もまた、電子レンジ再加熱用容器として必
要である130℃以下であった。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】 《第1表中の脚注》表中の「PP」は、「ポリプロピレ
ン」、「S」は「スチレン」の略号である。
【0078】また、「S仕込み比率」はスチレンとポリ
プロピレンとの重量和における「%」である。
【0079】さらに、諸物性の評価法としては、大略、
以下の通りである。 比表面積……測定は、モノソーブ(表面積測定機:ユ
アサ・アイオニクス社)を用いて行った。
【0080】熱変形性…測定は、JIS K−720
2に準拠して、Vicat温度(℃)で以て表示し、そ
のさいの荷重を1kgとして実施した。 剛性率 …測定は、JIS K−7203に準拠して
行い、(104kg/cm2)で表示した。
【0081】透明性……熱プレスで作製した、300
μm厚のシートを、ヘーズメーターで測定し、(%)で
表示した。 押出成形性……押出成形機中でのトラブルの程度につ
いて、評価した。
【0082】○:問題なし、△:やや問題あり、×:問
題あり
【0083】
【発明の効果】本発明の製造法は、溶融温度以上で混練
してビニル系単量体を重合反応する改質プロピレン系重
合体の製造方法において、プロピレン系重合体とビニル
系単量体とを予備混合し、スクリューの長さ(L)と口
径(D)との比が30以上である同方向型二軸押出機を
用いることによって、ビニル単量体による変性量を多く
する事ができ、しかも押出機等での反応押出成形性が優
れており、又得られる改質プロピレン系重合体は相溶性
に優れており、そのため特に、透明性、剛性ならびに防
湿性などにも優れる、極めて実用性の高い包装容器用材
料として有用な熱可塑性成形材料を提供することが出来
る。
【0084】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に使用する二軸押出機の断面フ
ローシート(L/D=42でシリンダーは12ブロック
から成る。但しスクリューは断面表示しない)である。
【0000】
【符号の説明】
1:計量フィーダー、 2,3:液注ポンプ、 4:真空ライン、 5:モーター(M) 6:ギアボックス(GB)、 C1〜C12:シリンダーブロック、 D:ダイス

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融温度以上で混練してビニル系単量体
    を重合反応する改質プロピレン系重合体の製造方法にお
    いて、プロピレン系重合体とビニル系単量体とを予備混
    合し、スクリューの長さ(L)と口径(D)との比が3
    0以上である同方向型二軸押出機を用いることを特徴と
    する改質プロピレン系重合体の製造法。
  2. 【請求項2】 同方向型二軸押出機が、スクリューの長
    さ(L)と口径(D)との比が40から70であること
    を特徴とする請求項1の改質プロピレン系重合体の製造
    法。
  3. 【請求項3】 同方向型二軸押出機での滞留時間が、1
    分以上であることを特徴とする請求項1の改質プロピレ
    ン系重合体の製造法。
  4. 【請求項4】 滞留時間が、3分〜10分であることを
    特徴とする請求項1の改質プロピレン系重合体の製造
    法。
  5. 【請求項5】 プロピレン系重合体が、比表面積0.1m
    2/g以上の粉粒状のプロピレン系重合体であることを特
    徴とする改質プロピレン系重合体の製造法。
  6. 【請求項6】 プロピレン系重合体が、比表面積0.2m
    2/g以上の粉粒状のプロピレン系重合体であることを特
    徴とする請求項1の改質プロピレン系重合体の製造法。
  7. 【請求項7】 ビニル系単量体が、芳香族ビニル単量体
    であることを特徴とする請求項1の改質プロピレン系重
    合体の製造法。
  8. 【請求項8】 該ビニル系単量体が、芳香族ビニル単量
    体とそれと同量以下の他のビニル単量体とからなること
    を特徴とする請求項1の改質プロピレン系重合体の製造
    法。
  9. 【請求項9】 (a)スクリューの長さ(L)と口径
    (D)との比が30以上である同方向型二軸押出機を用
    いて、(b)比表面積が0.1m2/g以上である粉粒状プ
    ロピレン系重合体、(c)芳香族ビニル単量体を主成分
    とするビニル系単量体 5重量%以上(該プロピレン系
    重合体との合計重量において)および(d)ラジカル重
    合開始剤を混合し、該重合体にビニル系単量体およびラ
    ジカル重合開始剤を実質的に含浸せしめた後、溶融混練
    してビニル系単量体を重合反応することにより得られる
    ことを特徴とする改質プロピレン系重合体組成物。
JP24617094A 1994-03-28 1994-10-12 改質プロピレン系重合体の製造法及び改質プロピレン系重合体組成物 Pending JPH08109227A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004058838A1 (ja) * 2002-12-25 2004-07-15 Toagosei Co., Ltd. ポリオレフィングラフト共重合体の製造方法
WO2014148329A1 (ja) * 2013-03-19 2014-09-25 株式会社カネカ グラフト変性プロピレン-エチレン共重合体組成物及びその製造方法

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