JPH08101384A - 反射型液晶表示装置とその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鮮やかな黒色表示とコントラストの高い画面
表示ができしかも表示欠陥のない高信頼性の反射型液晶
表示装置とその製造方法を提供すること。 【構成】 この反射型液晶表示装置は、背面電極板１と
この背面電極板に対向して配向された観察者側電極板２
とこれ等両電極板を周辺部で一体化させるシール材３と
これ等両電極板の間に封入された液晶物質４とで主要部
が構成され、かつ背面電極板は、ガラス基板11と、給電
を行う端子部を各端部側に有するストライプ形状の複数
のＩＴＯ薄膜12と、このＩＴＯ薄膜上の画素部に対応す
る部位に設けられた矩形状のアルミニウム薄膜13とで構
成されている。そしてアルミニウム薄膜が端子部に設け
られてないためその腐食を防止でき、またアルミニウム
薄膜が画素間部位に存在しないためこの部位からの光反
射が抑制され鮮やかな黒色表示とコントラストの高い画
面表示が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は反射型液晶表示装置とそ
の製造方法に係り、特に、鮮やかな黒色表示が可能でコ
ントラストの高い画面表示ができ、しかも表示欠陥のな
い高信頼性の反射型液晶表示装置とその製造方法に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置は、画素毎に電圧の印加を
行える電極が配設された一対の電極板とこれ等電極板間
に封入された液晶物質とでその主要部が構成され、上記
両電極間に電圧を印加することにより液晶物質の配向状
態を画素毎に変化させてこの液晶物質を透過する光の偏
光面を制御すると共に、偏光フィルムによりその透過・
不透過を制御して画面表示を行うものである。そして、
上記一対の電極板の内の一方にカラーフィルター層を有
する電極板を適用することによりカラー画面の表示が可
能となる。

【０００３】ところで、この種の液晶表示装置として
は、液晶表示装置の背面側に位置する電極板（以下背面
電極板と称する）の裏面若しくは側面に光源（ランプ）
を配置し、背面電極板側から光線を入射させるバックラ
イト型あるいはライトガイド型のランプ内蔵式透過型液
晶表示装置が広く普及している。

【０００４】しかし、このランプ内蔵式透過型液晶表示
装置においてはそのランプによる消費電力が大きくＣＲ
Ｔやプラズマディスプレイ等他の種類のディスプレイと
略同等の電力を消費するため、液晶表示装置本来の低消
費電力といった特徴を損ない、かつ、携帯先での長時間
の利用が困難となるという欠点を有していた。

【０００５】他方、このようなランプを内蔵することな
く装置の観察者側に位置する電極板（観察者側電極板と
称する）から室内光や自然光等の外光を入射させ、か
つ、この入射光を光反射性背面電極板で反射させると共
に、この反射光で画面表示する反射型液晶表示装置も知
られている。そして、この反射型液晶表示装置ではラン
プを利用しないことから消費電力が小さく、携帯先での
長時間駆動に耐えるという利点を有している。

【０００６】そして、このような反射型液晶表示装置と
しては、例えば、図７に示すように背面電極板ａの電極
ａ２を金属薄膜で構成し、この金属電極ａ２により入射
光を反射させて画面表示するものが知られている。この
金属電極ａ２としては、銀、アルミニウム等の薄膜が知
られているが、銀は高価な上その表面が硫化されて反射
率が低下し易く、また銀元素のマイグレーションによる
汚染が生じ易いため、一般にはアルミニウム薄膜若しく
はアルミニウム合金の薄膜が利用されている。尚、図７
中、ｂは観察者側電極板、ｃは液晶物質、ｄは背面電極
板ａと観察者側電極板ｂとを周辺部で一体化させるシー
ル部材、ｂ２Ｒ、ｂ２Ｇ、ｂ２Ｂは画素部に対応する部
位に設けられ各部位を透過する光をそれぞれ赤、緑、青
色に着色させるカラーフィルター層、ｂ３は遮光膜を示
している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記金属電
極ａ２は、入射光を反射させると共にこの金属電極ａ２
と観察者側電極板の透明電極との間に電圧を印加して液
晶物質を駆動させるものである。このため、この金属電
極ａ２は、図８の部分平面図に示すように画面表示に利
用される画素部Ｐ₂ を含んだストライプ状に形成されて
おり、かつ、各金属電極ａ２の端部には給電を行う端子
部（図示せず）が設けられている。

【０００８】このように上記金属電極ａ２はストライプ
状に形成されているため、画面表示に利用される画素部
Ｐ₂ の他に画素部と画素部の間の部位（画素間部）Ｐ'₂
にも金属電極が存在しこの部位に入射した光も反射させ
る。このため、この反射光が表示画面を全体的に明るく
しこれに伴い黒色の表示が困難となり表示画面のコント
ラストを低下させてしまう問題点があった。

【０００９】また、金属電極をアルミニウム若しくはそ
の合金で構成した場合、銀等の金属に較べて上述したよ
うに安価でかつ通常の保存条件で反射率の低下が起こり
難い利点を有するが、その反面、アルミニウム若しくは
その合金はアルカリや酸に溶け易いため、液晶セルの外
部において外気に触れる部位、特に、液晶を駆動するた
めに給電を行う端子部が腐食され易い欠点があり、腐食
の進行に伴い導電性が低下して表示欠陥を起こし易い問
題点があった。

【００１０】本発明はこのような問題点に着目してなさ
れたもので、その課題とするところは、鮮やかな黒色表
示が可能でコントラストの高い画面表示ができ、しかも
表示欠陥がなく信頼性の高い反射型液晶表示装置とその
製造方法を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】すなわち、請求項１に係
る発明は、ストライプ状に配列されかつその端部に給電
を行う端子部を有する複数の光反射性電極を備えた背面
電極板と、この背面電極板に対向して配置されかつスト
ライプ状に配列された透明電極を備えた観察者側電極板
と、これ等両電極板間に封入された液晶物質とを具備
し、上記光反射性電極と透明電極間に電圧を印加して液
晶物質を駆動させ画面表示する反射型液晶表示装置を前
提とし、上記背面電極板の光反射性電極が、この光反射
性電極の形成部位に設けられた透明導電膜と、画素間部
と端子部に対応した部位を除く上記透明導電膜上に設け
られたアルミニウム若しくはその合金薄膜とで構成され
ていることを特徴とするものである。

【００１２】そして、この請求項１記載の発明に係る反
射型液晶表示装置においては、上記背面電極板の光反射
性電極における画素間部に対応した部位に光反射性を有
するアルミニウム若しくはその合金薄膜が存在しないた
め、この画素間部位からの光反射が抑制されて鮮やかな
黒色表示を可能にすると共にコントラストの高い高品質
の画面表示が可能となる。

【００１３】また、上記背面電極板の光反射性電極にお
ける端子部に対応した部位にもアルミニウム若しくはそ
の合金薄膜が存在しないため、上述した端子部での腐食
が起こり難くなり腐食に起因した表示欠陥の発生も防止
することが可能となる。

【００１４】このため、請求項１記載の発明に係る反射
型液晶表示装置においては、表示欠陥が少なくしかもコ
ントラストの高い画面表示が可能なため、その表示品質
に対する信頼性を著しく向上させる利点を有する。

【００１５】また、各画素部に対応する部位に設けられ
たアルミニウム若しくはその合金薄膜は光反射性電極の
形成部位に設けられた透明導電膜にて互いに電気的に接
続されているため、各々のアルミニウム若しくはその合
金薄膜への給電に支障を来すこともない。

【００１６】尚、上記アルミニウム若しくはその合金薄
膜については画素間部と端子部に対応した部位を除くそ
れ以外の任意な部位に設けられてもよく、例えば、画面
表示領域の外側に通常配置される配線引き回し部に上記
アルミニウム若しくはその合金薄膜を設けることも可能
である。この場合、上記配線引き回し部のアルミニウム
若しくはその合金薄膜をエポキシ樹脂等で覆いパシベー
ションを行うこともできる。

【００１７】次に、上記背面電極板の製造に際しては、
結晶粒径が小さくエッチング適性に優れた低導電率の透
明導電膜とアルミニウム若しくはその合金薄膜を成膜
し、これ等両薄膜をエッチングによりパターニングした
後に加熱アニーリングして上記透明導電膜の導電率を増
大させる方法を採用することが望ましい。仮に、結晶粒
径が大きい高導電性の透明導電膜とアルミニウム若しく
はその合金薄膜を成膜し、これ等両薄膜をエッチングに
よりパターニングする方法を採用した場合、結晶粒径の
大きい透明導電膜はエッチング適性に劣るため過酷なエ
ッチング条件が必要となり、アルミニウム若しくはその
合金薄膜がエッチャントに侵されて損傷され易くなるか
らである。請求項２に係る発明はこのような技術的理由
に基づいてなされたものである。

【００１８】すなわち、請求項２に係る発明は、ストラ
イプ状に配列されかつその端部に給電を行う端子部を有
する複数の光反射性電極を備えた背面電極板と、この背
面電極板に対向して配置されかつストライプ状に配列さ
れた透明電極を備えた観察者側電極板と、これ等両電極
板間に封入された液晶物質とを具備し、上記光反射性電
極と透明電極間に電圧を印加して液晶物質を駆動させ画
面表示する反射型液晶表示装置の製造方法を前提とし、
上記背面電極板の基板を１５０℃以下の温度に保持した
状態でこの基板上に透明導電膜とアルミニウム若しくは
その合金薄膜を一様に成膜する成膜工程と、上記透明導
電膜とアルミニウム若しくはその合金薄膜を上記光反射
性電極形状にパターニングした後、上記アルミニウム若
しくはその合金薄膜の画素間部と端子部に対応した部位
を除去してアルミニウム若しくはその合金薄膜を矩形状
にパターニングするパターニング工程と、光反射性電極
形状にパターニングされた上記透明導電膜を１８０℃以
上で加熱アニーリングするアニーリング工程、を具備す
ることを特徴とするものである。

【００１９】そして、この請求項２記載の発明に係る製
造方法によれば、１５０℃以下の温度に保持された基板
上に結晶粒径が小さくエッチング適性に優れた透明導電
膜とアルミニウム若しくはその合金薄膜を一様に成膜
し、これ等両薄膜をエッチングによりパターニングした
後、１８０℃以上で加熱アニーリングし透明導電膜の導
電性を増大させているため、上記両薄膜のパターニング
が容易に行えしかもこれ等両薄膜が損傷されることなく
パターニングすることが可能となる。

【００２０】このため、画素部位からの光反射が確実と
なり表示画面の明るさが向上された反射型液晶表示装置
を製造することが可能になる。

【００２１】次に、上記両薄膜のパターニング工程にお
いて、両薄膜の成膜後、これ等両薄膜の上にポジ型の感
光性レジストを塗布し、このポジ型レジストを所定パタ
ーンに露光して露光部位の上記レジストを現像・除去
し、レジストから露出した両薄膜をエッチングして上記
光反射性電極形状にパターニングした場合、このパター
ニングの後に残留する上記レジストをそのまま利用して
上記アルミニウム若しくはその合金薄膜のパターニング
が可能となる。請求項３に係る発明はこのような技術的
理由に基づいてなされたものである。

【００２２】すなわち、請求項３に係る発明は、請求項
２に記載の発明に係る反射型液晶表示装置の製造方法を
前提とし、上記成膜工程により一様に成膜されたアルミ
ニウム若しくはその合金薄膜上にポジ型の感光性レジス
トを塗布し、この感光性レジストに対し上記光反射性電
極パターンと同一パターンの遮光膜を有するフォトマス
クを介して露光し、かつ、現像して露光部位の感光性レ
ジストを除去する第一工程と、部分的に除去された感光
性レジストから露出するアルミニウム若しくはその合金
薄膜と透明導電膜をエッチングしてこれ等アルミニウム
若しくはその合金薄膜と透明導電膜とを上記光反射性電
極形状にパターニングする第二工程と、残留する上記感
光性レジストに対し光反射性電極のストライプパターン
と直交するストライプパターンの遮光膜を有する第二の
フォトマスクを介して露光し、かつ、現像して露光部位
の感光性レジストを除去する第三工程と、画素間部と端
子部に対応する部位が除去された上記感光性レジストか
ら露出するアルミニウム若しくはその合金薄膜をエッチ
ングしてこのアルミニウム若しくはその合金薄膜を矩形
状にパターニングする第四工程、とで上記パターニング
工程が構成されることを特徴とするものである。

【００２３】この請求項３記載の発明に係る反射型液晶
表示装置の製造方法によれば、第二工程において透明導
電膜のパターニングに使用された感光性レジストを残留
させると共に、第三工程においてこの感光性レジストの
画素間部と端子部に対応する部位を除去して別形状の感
光性レジストに変化させ、第四工程においてこの感光性
レジストを再利用してアルミニウム若しくはその合金薄
膜のパターニングを行っているため、透明導電膜とアル
ミニウム若しくはその合金薄膜を互いに位置精度良くパ
ターニングすることが可能となる。

【００２４】このため、画素部位からの光反射が確実に
なると共に画素間部位からの光反射が抑制され画面表示
のコントラストを向上させることが可能となる。

【００２５】尚、請求項３記載の発明において上記ポジ
型の感光性レジストとしては、紫外線や電子線照射によ
り分解されて現像液溶解性を増大させるものが利用で
き、具体的には東京応化（株）製；商品名ＰＭＥＲ等が
挙げられる。

【００２６】次に、請求項１〜３記載の発明において上
記透明導電膜としては、酸化錫、酸化亜鉛又は酸化イン
ジウムから構成される薄膜が適用できる。また、これ等
酸化錫、酸化亜鉛又は酸化インジウムを主成分とし、こ
れに他の金属元素をドーパントとして添加して構成され
る薄膜を適用することも可能である。例えば、酸化イン
ジウムを主成分としこれに酸化錫をドーパントとして添
加して成るＩＴＯ薄膜、あるいは酸化インジウムを主成
分としこれに酸化ジルコニウムをドーパントとして添加
して成る薄膜等である。

【００２７】他方、アルミニウムの合金としては、透明
導電膜との密着性やアルミニウムの信頼性を向上させる
ため、３０％以下の添加率で他の金属元素や非金属元素
をアルミニウムに添加して構成されるものが利用でき
る。アルミニウムに添加できる金属元素としては、例え
ば、チタンやタングステン等の遷移金属元素；錫、亜
鉛、インジウム等の単純金属元素が適用できる。また、
アルミニウムに添加できる非金属元素としては、例えば
シリコン等が挙げられる。尚、これ等の金属元素や非金
属元素の添加量が３０％を越えると光反射率や導電性が
低下して表示画面の品質を低下させてしまうことがあ
る。

【００２８】尚、これ等透明導電膜及びアルミニウム若
しくはその合金薄膜については、それぞれ別の真空室を
使用して成膜することも可能であるが、その生産性を考
慮して同一の真空室内でこの真空を破ることなく透明導
電膜及びアルミニウム若しくはその合金薄膜を連続して
成膜することが好ましい。

【００２９】また、アルミニウム若しくはその合金薄膜
を保護するため、このアルミニウム若しくはその合金薄
膜を透明で電気絶縁性の無機保護膜で被覆することも可
能である。このような無機保護膜としては、例えば、Ｓ
ｉＯ₂ 、Ａｌ₂Ｏ₃ 、ＭｇＯ、ＺｒＯ₂ 、ＨｆＯ₂ 、Ｔ
ａ₂Ｏ₅ 、ＣｅＯ₂ 等の薄膜が適用できる。

【００３０】また、請求項１〜３記載の発明において上
記背面電極板の基板としては、例えばガラス基板が挙げ
られ、この他にプラスチックフィルム、プラスチックボ
ード等の適用も可能である。この基板は透明に限らず、
黒色、白色、その他の色に着色したものであってもよ
い。基板が黒色のものや裏面に黒色の光吸収材を適用し
た透明基板である場合には、液晶表示装置の画素間部位
に遮光膜を形成することなくその部位の光反射を防止し
て表示画面のコントラスト向上を図ることが可能にな
る。

【００３１】尚、この基板上に上記薄膜を成膜するに当
たっては、成膜前にこの基板表面を洗浄することが望ま
しい。洗浄の方法としては、イオンボンバート、逆スパ
ッタリング、アッシング、紫外線洗浄、グロー放電処理
等が例示できる。

【００３２】また、背面電極板は、液晶表示装置の有効
表示領域（端子部やシール部を除いた領域）において上
記電極を覆ってこれを保護する無機酸化物の透明薄膜を
備えるものであってもよい。このような無機酸化物の透
明薄膜としては、ＳｉＯ₂ 、ＺｒＯ₂ 、ＴｉＯ₂ 、Ｔａ
₂Ｏ₅ 、ＨｆＯ₂ 、ＣｅＯ₂ 、Ａｌ₂Ｏ₃ 等が例示でき
る。

【００３３】次に、上記観察者側電極板を構成する基板
としては、ガラス基板、プラスチックフィルム、プラス
チックボード等の透明基板が適用でき、また、透明電極
としてはＩＴＯやネサ膜等の透明導電膜が適用できる。

【００３４】尚、この観察者側電極板に光散乱層を設け
て表示光を散乱させ表示画面の視野角を拡大させること
も可能である。この光散乱層は上記観察者側電極板を構
成する基板の液晶物質と接触する内側、あるいは偏光フ
ィルムと接触する外側のいずれに設けてもよい。また、
観察者側電極板にカラーフィルター層を設けて表示光を
着色してカラー表示することも可能である。

【００３５】尚、本発明に係る反射型液晶表示装置は、
単純マトリクス駆動方式（液晶物質又はその配向状態が
ＳＴＮ、ＥＣＢ、ＯＣＢ、ホメオトロピック若しくは反
強誘電性液晶の場合に主に適用されている）の他、画素
毎に駆動素子（ＴＦＴ、ＭＩＭ等）を備えるアクティブ
マトリクス駆動方式の反射型液晶表示装置に適用するこ
とも可能である。

【００３６】

【作用】請求項１に係る発明によれば、背面電極板の光
反射性電極における画素間部に対応した部位に光反射性
を有するアルミニウム若しくはその合金薄膜が存在しな
いためこの画素間部位からの光反射が抑制されて鮮やか
な黒色表示を可能にすると共にコントラストの高い高品
質の画面表示が可能となる。

【００３７】また、上記背面電極板の光反射性電極にお
ける端子部に対応した部位にもアルミニウム若しくはそ
の合金薄膜が存在しないため、端子部での腐食が起こり
難くなり腐食に起因した表示欠陥の発生も防止すること
が可能となる。

【００３８】また、各画素部に対応する部位に設けられ
たアルミニウム若しくはその合金薄膜は光反射性電極の
形成部位に設けられた透明導電膜にて互いに電気的に接
続されているため、各々のアルミニウム若しくはその合
金薄膜への給電に支障を来すこともない。

【００３９】また、請求項２に係る発明によれば、１５
０℃以下の温度に保持された基板上に結晶粒径が小さく
エッチング適性に優れた透明導電膜とアルミニウム若し
くはその合金薄膜を一様に成膜し、これ等両薄膜をエッ
チングによりパターニングした後、１８０℃以上で加熱
アニーリングし透明導電膜の導電性を増大させているた
め、上記両薄膜のパターニングが容易に行えしかもこれ
等両薄膜が損傷されることなくパターニングすることが
可能となる。

【００４０】また、請求項３に係る発明によれば、第二
工程において透明導電膜のパターニングに使用された感
光性レジストを残留させると共に、第三工程においてこ
の感光性レジストの画素間部と端子部に対応する部位を
除去して別形状の感光性レジストに変化させ、第四工程
においてこの感光性レジストを再利用してアルミニウム
若しくはその合金薄膜のパターニングを行っているた
め、透明導電膜とアルミニウム若しくはその合金薄膜を
互いに位置精度良くパターニングすることが可能とな
る。

【００４１】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て詳細に説明する。

【００４２】この実施例に係る反射型液晶表示装置は、
図１に示すように背面電極板１と、この背面電極板１に
対向して配向された観察者側電極板２と、これ等両電極
板１、２を周辺部で一体化させるシール材３と、これ等
両電極板１、２の間に封入された液晶物質４とでその主
要部が構成されている。

【００４３】そして、上記背面電極板１は、厚さ０．７
mmのガラス基板１１と、このガラス基板１１上に設けら
れかつ給電を行う端子部（図示せず）を各端部側に有す
るストライプ形状（幅２３０μｍ、ピッチ２４０μｍ）
の複数のＩＴＯ薄膜（厚さ；０．１μｍ）１２と、この
ＩＴＯ薄膜１２上の画素部に対応する部位に設けられ一
辺２３０μｍの矩形状に形成されたアルミニウム薄膜
（厚さ；０．１５μｍ）１３とでその主要部が構成され
ており、他方、観察者側電極板２は、厚さ０．７mmのガ
ラス基板２１と、このガラス基板２１上に幅２３０μ
ｍ、ピッチ２４０μｍのストライプ形状（上記ＩＴＯ薄
膜１２と直交する方向のストライプパターン）に設けら
れかつＩＴＯから成る厚さ０．２４μｍの透明電極２２
とでその主要部が構成されている。

【００４４】そして、上記背面電極板１は以下の工程に
より形成されたものである。

【００４５】まず、ガラス基板１１の表面をアルカリ系
界面活性剤と水とで洗浄した後、真空槽内に収容し、グ
ロー放電と呼ばれるプラズマ処理を施して表面の付着水
を除去した。

【００４６】次に、図２に示すようにガラス基板１１を
真空槽中から取り出すことなく、このガラス基板１１を
室温に維持した状態で、スパッタリング法によりＩＴＯ
薄膜１２とアルミニウム薄膜１３とを成膜した。

【００４７】次に、図３に示すようにアルミニウム薄膜
１３上にポジ型フォトレジスト（東京応化（株）製；商
品名ＰＭＥＲ）５を塗布し、９０℃の温度で乾燥させた
後、このフォトレジスト５にストライプパターンの遮光
膜６１を備えたフォトマスク６を重ね、このフォトマス
ク６を介して上記フォトレジスト５をパターン状に露光
させた。そして、上記フォトレジスト５を現像して露光
部位を除去し、上記遮光膜６１に対応したストライプパ
ターンのフォトレジスト５を選択的に残存させた。

【００４８】次に、残存するフォトレジスト５の間隙か
ら露出したアルミニウム薄膜１３を燐酸、酢酸、硝酸及
び水から成る混酸を用いたエッチング処理により除去
し、かつ、アルミニウム薄膜１３が除去された部位から
露出したＩＴＯ薄膜１２を燐酸、臭化水素酸及び水から
成る混酸を使用してエッチングにより除去した。

【００４９】次に、残存する上記フォトレジスト５の上
にストライプパターン（但し、上記フォトマスク６の遮
光膜６１と直交する方向のストライプパターン）の遮光
膜７１を備えたフォトマスク７を重ね、このフォトマス
ク７を介して上記フォトレジスト５をパターン状に露光
させた（図４参照）。そして、上記フォトレジスト５を
現像して露光部位を除去し、上記遮光膜６１と７１に対
応した矩形状のフォトレジスト５を選択的に残存させ
た。

【００５０】次に、残存するフォトレジスト５の間隙か
ら露出したアルミニウム薄膜１３を燐酸、酢酸、硝酸及
び水から成る混酸を用いたエッチング処理により除去
し、上記フォトレジスト５に正確に対応した矩形状のア
ルミニウム薄膜１３を残存させた（図４参照）。

【００５１】そして、残存するフォトレジスト５を剥膜
して除去した後、２２０℃、１時間の条件で加熱アニー
リング処理を施して背面電極板を製造した。

【００５２】こうして得られた背面電極板は、図５の部
分断面図及び図６の部分平面図に示すように表示画面を
構成する画素Ｐ₁ の部位に選択的に光反射性のアルミニ
ウム薄膜１３とＩＴＯ薄膜１２が配設され、他方、これ
等画素と画素との間の部位（画素間部位）Ｐ'₁にＩＴＯ
薄膜１２が配設されており、このＩＴＯ薄膜１２を介し
て上記端子部（図示せず）とアルミニウム薄膜１３とが
電気的に接続されている。

【００５３】そして、この背面電極板１を使用し、観察
者側電極板２と重ね、周辺でシールして一体化させると
共に、これ等両電極板１、２の間に液晶物質を封入して
上記液晶表示装置とした。

【００５４】

【発明の効果】請求項１に係る発明によれば、背面電極
板の光反射性電極における画素間部に対応した部位に光
反射性を有するアルミニウム若しくはその合金薄膜が存
在しないためこの画素間部位からの光反射が抑制されて
鮮やかな黒色表示を可能にすると共にコントラストの高
い高品質の画面表示が可能となる。

【００５５】また、上記背面電極板の光反射性電極にお
ける端子部に対応した部位にもアルミニウム若しくはそ
の合金薄膜が存在しないため、端子部での腐食が起こり
難くなり腐食に起因した表示欠陥の発生も防止すること
が可能となる。

【００５６】また、各画素部に対応する部位に設けられ
たアルミニウム若しくはその合金薄膜は光反射性電極の
形成部位に設けられた透明導電膜にて互いに電気的に接
続されているため、各々のアルミニウム若しくはその合
金薄膜への給電に支障を来すこともない。

【００５７】従って、反射型液晶表示装置の表示品質に
対する信頼性を著しく向上させる効果を有している。

【００５８】また、請求項２に係る発明によれば、１５
０℃以下の温度に保持された基板上に結晶粒径が小さく
エッチング適性に優れた透明導電膜とアルミニウム若し
くはその合金薄膜を一様に成膜し、これ等両薄膜をエッ
チングによりパターニングした後、１８０℃以上で加熱
アニーリングし透明導電膜の導電性を増大させているた
め、上記両薄膜のパターニングが容易に行えしかもこれ
等両薄膜が損傷されることなくパターニングすることが
可能となる。

【００５９】従って、画素部位からの光反射が確実とな
り表示画面の明るさが向上された反射型液晶表示装置を
製造できる効果を有している。

【００６０】また、請求項３に係る発明によれば、第二
工程において透明導電膜のパターニングに使用された感
光性レジストを残留させると共に、第三工程においてこ
の感光性レジストの画素間部と端子部に対応する部位を
除去して別形状の感光性レジストに変化させ、第四工程
においてこの感光性レジストを再利用してアルミニウム
若しくはその合金薄膜のパターニングを行っているた
め、透明導電膜とアルミニウム若しくはその合金薄膜を
互いに位置精度良くパターニングすることが可能とな
る。

【００６１】従って、画素部位からの光反射が確実にな
りかつ画素間部位からの光反射も確実に抑制されたされ
るため、鮮やかな黒色表示が可能でコントラストの高い
画面表示ができしかも表示欠陥のない高信頼性の反射型
液晶表示装置を製造できる効果を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例に係る反射型液晶表示装置の断面図。

【図２】実施例に係る反射型液晶表示装置の製造工程を
示す説明図。

【図３】実施例に係る反射型液晶表示装置の製造工程を
示す説明図。

【図４】実施例に係る反射型液晶表示装置の製造工程を
示す説明図。

【図５】実施例に係る背面電極板の部分断面図。

【図６】実施例に係る背面電極板の部分平面図。

【図７】従来例に係る反射型液晶表示装置の断面図。

【図８】従来例に係る背面電極板の部分平面図。

【符号の説明】

１ 背面電極板 １１ ガラス基板 １２ ＩＴＯ薄膜 １３ アルミニウム薄膜 ２ 観察者側電極板 ２１ ガラス基板 ２２ 透明電極 ３ シール材 ４ 液晶物質

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ストライプ状に配列されかつその端部に給
   電を行う端子部を有する複数の光反射性電極を備えた背
   面電極板と、この背面電極板に対向して配置されかつス
   トライプ状に配列された透明電極を備えた観察者側電極
   板と、これ等両電極板間に封入された液晶物質とを具備
   し、上記光反射性電極と透明電極間に電圧を印加して液
   晶物質を駆動させ画面表示する反射型液晶表示装置にお
   いて、 上記背面電極板の光反射性電極が、この光反射性電極の
   形成部位に設けられた透明導電膜と、画素間部と端子部
   に対応した部位を除く上記透明導電膜上に設けられたア
   ルミニウム若しくはその合金薄膜とで構成されているこ
   とを特徴とする反射型液晶表示装置。
2. 【請求項２】ストライプ状に配列されかつその端部に給
   電を行う端子部を有する複数の光反射性電極を備えた背
   面電極板と、この背面電極板に対向して配置されかつス
   トライプ状に配列された透明電極を備えた観察者側電極
   板と、これ等両電極板間に封入された液晶物質とを具備
   し、上記光反射性電極と透明電極間に電圧を印加して液
   晶物質を駆動させ画面表示する反射型液晶表示装置の製
   造方法において、 上記背面電極板の基板を１５０℃以下の温度に保持した
   状態でこの基板上に透明導電膜とアルミニウム若しくは
   その合金薄膜を一様に成膜する成膜工程と、 上記透明導電膜とアルミニウム若しくはその合金薄膜を
   上記光反射性電極形状にパターニングした後、上記アル
   ミニウム若しくはその合金薄膜の画素間部と端子部に対
   応した部位を除去してアルミニウム若しくはその合金薄
   膜を矩形状にパターニングするパターニング工程と、 光反射性電極形状にパターニングされた上記透明導電膜
   を１８０℃以上で加熱アニーリングするアニーリング工
   程、を具備することを特徴とする反射型液晶表示装置の
   製造方法。
3. 【請求項３】上記成膜工程により一様に成膜されたアル
   ミニウム若しくはその合金薄膜上にポジ型の感光性レジ
   ストを塗布し、この感光性レジストに対し上記光反射性
   電極パターンと同一パターンの遮光膜を有するフォトマ
   スクを介して露光し、かつ、現像して露光部位の感光性
   レジストを除去する第一工程と、 部分的に除去された感光性レジストから露出するアルミ
   ニウム若しくはその合金薄膜と透明導電膜をエッチング
   してこれ等アルミニウム若しくはその合金薄膜と透明導
   電膜とを上記光反射性電極形状にパターニングする第二
   工程と、 残留する上記感光性レジストに対し光反射性電極のスト
   ライプパターンと直交するストライプパターンの遮光膜
   を有する第二のフォトマスクを介して露光し、かつ、現
   像して露光部位の感光性レジストを除去する第三工程
   と、 画素間部と端子部に対応する部位が除去された上記感光
   性レジストから露出するアルミニウム若しくはその合金
   薄膜をエッチングしてこのアルミニウム若しくはその合
   金薄膜を矩形状にパターニングする第四工程、とで上記
   パターニング工程が構成されることを特徴とする請求項
   ２記載の反射型液晶表示装置の製造方法。