JPH0798796B2 - イソカルバサイクリン類の製造方法 - Google Patents

イソカルバサイクリン類の製造方法

Info

Publication number
JPH0798796B2
JPH0798796B2 JP62139952A JP13995287A JPH0798796B2 JP H0798796 B2 JPH0798796 B2 JP H0798796B2 JP 62139952 A JP62139952 A JP 62139952A JP 13995287 A JP13995287 A JP 13995287A JP H0798796 B2 JPH0798796 B2 JP H0798796B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
reaction
bis
added
mmol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP62139952A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63303962A (ja
Inventor
篤夫 羽里
利男 田中
憲明 岡村
清 坂内
精二 黒住
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP62139952A priority Critical patent/JPH0798796B2/ja
Publication of JPS63303962A publication Critical patent/JPS63303962A/ja
Publication of JPH0798796B2 publication Critical patent/JPH0798796B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は新規なイソカルバサイクリン類の製造法に関す
る。
更に詳細には、本発明はプロスタグランジンI1の6,9位
の酸素原子がメチン基(−HC=)で置換された9(O)
−メタノ−△6(9α)−プロスタグランジンI1(イソ
カルバサイクリン)の合成中間体であり、それ自体も新
規なイソカルバサイクリン誘導体の製造法に関する。
〈従来技術〉 プロスタグランジンは生体において主として動脈の血管
内壁で産生される局所ホルモンであり、その強力な生理
活性例えば血小板凝集抑制活性,血管拡張活性等により
生体の細胞機能を調節する重要な因子であり、このもの
を直接医薬品として供する試みが行なわれている〔クリ
ニカル・フアーマコロジイー・オブ・プロスタサイクリ
ン(Clinical Pharmacology of Prostacyclin),Raven
Press,N.Y.,1981〕。
しかし天然プロスタサイクリンは分子内に非常に加水分
解されやすいエノールエーテル結合を有するため、中性
又は酸性条件では容易に失活し、医薬品としてはその化
学的不安定性のため好ましい化合物とはいえない。この
ため天然プロスタサイクリンと同様の生理活性を有する
化学的に安定な合成プロスタサイクリン誘導体が内外で
鋭意検討されている。
中でもプロスタサイクリンの6,9位の酸素原子をメチレ
ン基で置換した誘導体、すなわち9(O)−メタノプロ
スタサイクリン(カルバサイクリン)は化学的安定性を
十分に満足するプロスタサイクリン類として知られてお
り〔プロスタサイクリン(Prostacyclin),J.R.Vane an
d S.Bergstrom,E ds.Raven Press,N.Y.p31−41参照〕医
薬品として期待されている。しかしこの6,9(O)−メ
タノプロスタサイクリンはその生物活性が天然のプロス
タサイクリンよりも弱く、しかもその作用選択性は特異
的とは言えず、必ずしも好ましい化合物とは言えない。
近年、カルバサイクリンの二重結合異性体の一種である
イソカルバサイクリン、すなわち、9(O)−メタノ−
6(9α)−プロスタグランジンI1類がこの同族体の
中でも最も強い血小板凝集抑制作用を示すことが発見さ
れ、医薬品としての応用が期待されるようになつた〔池
上らテトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Let
t.),24,3493(1983),特開昭59−137445号公報〕。
従来かかる9(O)−メタノ−△6(9α)−プロスタ
グランジンI1(イソカルバサイクリン)の製造に関して
は以下のものが知られている。
(1)池上ら、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedro
n Letters),24,3493(1983)およびケミストリー・レ
ターズ(Chemistry Letters),1984,1069: (2)池上ら、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedro
n Letters),24,3497(1983): (3)池上ら、ジヤーナル・オブ・ザ・ケミカル・メソ
サイエテイー,ケミカル・コミユニケーシヨン(J.Che
m.Soc.,Chemical Communi−cations),1984,1602: (4)柴崎ら、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedro
n Letters),25,5087(1984): (5)柴崎ら、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedro
n hetters),25,1067(1984): (6)小島ら、ケミカル・アンド・フアーマシユーテイ
カル・ブレテイン(Chem.Pharm.Bull),32,2866(198
4): (7)小島ら特開昭60−28943号公報: これら7種類の方法のうち、方法(1)と方法(5)は
PGE2を出発原料とし、数工程を経て鍵中間体に導き、さ
らに数工程を経て目的物のイソカルバサイクリンを得る
もので工業的な製法とはいいがたい。
また、方法(2)と方法(3)は、いずれも、対応する
出発原料および鍵中間体を得るために高価なコーリーラ
クトンから多段階の工程を要し、通算収率も高くなく、
必ずしも工業的に有利な方法とはいえないという難点が
ある。なお方法(6)および方法(7)は最終生成物が
dl体でしか得られず医薬品化を意図する製法としては好
ましくない方法である。
最後に、方法(4)は、その出発原料が本発明者らの方
法により光学活性な(R)−4−ヒドロキシ−2−シク
ロペンテノンから容易に得られるばかりでなく(特開昭
57−155116号公報)、その出発原料から鍵中間体への誘
導も工業的に何ら問題もなくできる方法である。しか
し、鍵中間体から最終のイソカルバサイクリン類へ到る
工程において、有機水銀化合物の使用や、位置特異性の
喪失、さらには分離不可能の副生成物の混入等の数々の
難点のために全収率が低くなり実用的,工業的製造法と
はなりえないという大きな難点がある。
本発明者らは上述した諸点に着目し、9(O)−メタノ
−△6(9α)−プロスタグランジンI1類(イソカルバ
サイクリン類)およびその製造法を見出すべく鋭意研究
した結果、本発明に到達したものである。
本発明によれば、下記式〔I〕 で表わされる化合物,その鏡像体、あるいはそれらの任
意の割合の混合物である新規なイソカルバサイクリン類
の製造法が提供される。
上記式〔I〕においてR1は水素原子又はC1〜C4のアルキ
ル基もしくはアルケニル基を表わす。R1のC1〜C4のアル
キル基としてはメチル基,エチル基,プロピル基,ブチ
ル基などが挙げられ、アルケニル基としては2−プロペ
ン基,3−ブテン基などが挙げられるが、これらの中では
メチル基,2−プロペン基が好ましい。
上記式〔I〕においてR2およびR3は同一もしくは異な
り、水素原子,トリ(C1〜C7)炭化水素シリル基または
水酸基の酸素原子とともにアセタール結合を形成する基
を表わす。
トリ(C1〜C7)炭化水素シリル基としては、例えば、ト
リメチルシリル基,トリエチルシリル基,トリイソプロ
ピルシリル基,t−ブチルジメチルシリル基のようなトリ
(C1〜C4)アルキルシリル基;t/ブチルジフエニルシリ
ル基のようなジフエニル(C1〜C4)アルキルシリル基;
ジメチルフエニル基のようなジ(C1〜C4)アルキルフエ
ニル基;またはトリベンジルシリル基などを好ましいも
のとして挙げることができる。これらの中でもトリ(C1
〜C4)アルキルシリル基,フエニル(C1〜C4)アルキル
シリル基,フエニルジ(C1〜C4)アルキルシリル基が好
ましく、なかでもt−ブチルジメチルシリル基,トリメ
チルシリル基が特に好ましい。
また水酸基の酸素原子と共にアセタール結合を形成する
基としては、例えば、メトキシメチル基,1−エトキシエ
チル基,2−メトキシ−2−プロピル基,2−エトキシ−2
−プロピル基,(2−メトキシエトキシ)メチル基,ベ
ンジルオキシメチル基,2−テトラヒドロピラニル基,2−
テトラヒドロフラニル基、または6,6−ジメチル−3−
オキサ−2−オキソビシクロ〔3.1.0〕ヘキス−4−イ
ル基を挙げることができ。2−テトラヒドロピラニル
基,2−テトラヒドロフラニル基,1−エトキシエチル基,2
−エトキシ−2−プロピル基,(2−メトキシエトキ
シ)メチル基,6,6−ジメチル−3−オキサ−2−オキソ
ビシクロ〔3.1.0〕ヘキス−4−イル基が特に好まし
い。なかでも2−テトラヒドロピラニル基が特に好まし
い。
これらのシリル基およびアセタール結合を形成する基は
水酸基の保護基であると理解されるべきである。これら
の保護基は最終生成物の段階で弱酸性から中性の条件で
容易に除去されて薬剤として有用な遊離の水酸基とする
ことができる。
上記式〔I〕においてR4は水素原子,メチル基、または
ビニル基を表わす。
上記式〔I〕においてR5は酸素原子を含んでいてもよい
直鎖もしくは分枝鎖のC3〜C8のアルキル基;置換もしく
は非置換のフエニル基;置換もしくは非置換のフエノキ
シ基;置換もしくは非置換のC3〜C10シクロアルキル
基;またはC1〜C6フルコキシ基,置換されていてもよい
フエニル基,置換されていてもよいフエノキシ基もしく
は置換されていてもよいC3〜C10シクロアルキル基で置
換されている直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキル基を表
わす。尚ここで置換されていてもよい基が置換されたも
のである場合は、参考例として示すものである。
酸素原子で中断されていてもよい未置換の直鎖もしくは
分枝鎖C3〜C8アルキル基としては、プロピル基,ブチル
基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,2−ヘキシル
基,2−メチル−2−ヘキシル基,2−メチルブチル基,2−
メチルペンチル基,2−メチルヘキシル基,2,2−ジメチル
ヘキシル基が好ましい。
置換フエニル基,置換フエノキシ基、及びC3〜C10の置
換シクロアルキル基の置換基としては、例えばハロゲン
原子、保護された水酸基(例えばシリルオキシ基,C1
C6アルコキシ基など),C1〜C4アルキル基などが挙げら
れる。C3〜C10のシクロアルキル基としては、例えば、
シクロプロピル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル
基,シクロヘキセニル基,シクロヘプチル基,シクロオ
クチル基,シクロデシル基などを挙げることができる。
これらの中でもシクロペンチル基,シクロヘキシル基が
好ましい。
C1〜C6アルコキシ基,置換されていてもよいフエニル
基,置換されていてもよいフエノキシ基、もしくは置換
されていてもよいC3〜C10シクロアルキル基で置換され
ている直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキル基において、
C1〜C6アルコキシ基としては、例えばメトキシ基,エト
キシ基,プロピルオキシ基,イソプロピルオキシ基,ブ
トキシ基,t−ブトキシ基,ヘキシルオキシ基などが挙げ
られる。置換されていてもよいフエニル基,置換されて
いてもよいフエノキシ基,もしくは置換されていてもよ
いC3〜C10シクロアルキル基の置換基およびC3〜C10シク
ロアルキル基としては前述の例示と同じものを挙げるこ
とができる。直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキル基とし
ては、例えば、メチル基,エチル基,プロピル基,イソ
プロピル基,ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,t
−ブチル基,ペンチル基などを挙げることができる。か
かるR5としてはブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘ
プチル基,2−ヘキシル基,2−メチル−2−ヘキシル基,2
−メチルブチル基,2−メチルペンチル基,シクロペンチ
ル基,シクロヘキシル基,フエニル基,フエノキシ基,
シクロペンチルメチル基,シクロヘキシルメチル基など
を好ましいものとして挙げることができる。なお、置換
基はその任意の位置に結合していてもよい。
上記式〔I〕においてnは0または1を表わす。
Arは置換もしくは非置換のフエニル基を表わし、その置
換基の例としては前述したものが挙げられるが、好まし
くはフエニル基,p−トリル基などを挙げることができ
る。尚、置換フェノール基は、参考例として示すもので
ある。
また上記式〔I〕で表わされる化合物においてビシクロ
〔3.3.0〕オクタン環自身およびそのビシクロ〔3.3.0〕
オクタン環上に結合している置換基の結合している炭素
(ω鎖上の水酸基が置換した炭素)が不斉な環境のため
に立体異性体が存在するが、本発明ではいずれの立体異
性体をも含むものであり、またこれらの任意の割合の立
体異性体混合物でもさしつかえない。これらの中でも式
であらわされた立体構造を有する化合物が最も好ましい
ものとしてあげられる。
本発明において提供される上記式〔I〕で表わされる3,
6,7−三置換ビシクロ〔3.3.0〕−2−オクテン類の好ま
しい具体例としては下記に示した化合物を挙げることが
できる。
(1)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,3)−3−ヒドロキシ−1−オクテニル〕−7
−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2−オクテン (2)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,3)−3−ヒドロキシ−1−ノネニル〕−7−
ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2−オクテン (3)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,3)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オク
テニル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2−オ
クテン (4)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,3)−3−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1−
オクテニル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2
−オクテン (5)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,3)−3−ヒドロキシ−5−メチル−1−オク
テニル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2−オ
クテン (6)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,3)−3−ヒドロキシ−5−メチル−1−ノネ
ニル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2−オク
テン (7)(6)の6−〔(,3,5)………〕体 (8)(6)の6−〔(,3,5)………〕体 (9)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,3)−3−ヒドロキシ−3−シロクペンチル−
1−プロペニル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕
−2−オクテン (10)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,3)−3−ヒドロキシ−3−シロクヘキシル−
1−プロペニル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕
−2−オクテン (11)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,3)−3−ヒドロキシ−3−シロクヘキシル−
1−ブテニル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−
2−オクテン (12)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,3)−3−ヒドロキシ−5−フエノキシ−1−
ベンテニル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2
−オクテン (13)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,3)−3−ヒドロキシ−5−エトキシ−1−ペ
ンテニル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2−
オクテン (14)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,4)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オク
テニル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2−オ
クテン (15)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔(,4)−4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オク
テニル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2−オ
クテン (16)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔()−3−ヒドロキシ−4−ビニル−1−オクテニ
ル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2−オクテ
ン (17)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔()−3−ヒドロキシ−1−ヘプテン−7−イン−
1−イル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2−
オクテン (18)(1,5,6,7)−3−(4−カルボメトキ
シ−2,2−ビスフエニルスルホニルブチル)−6−
〔()−3−ヒドロキシ−1−オクテン−6−イン−
1−イル〕−7−ヒドロキシビシクロ〔3.3.0〕−2−
オクテン (19)(1)〜(18)の3−(4−カルボメトキシ−1
−p−トリスルホニルブチル)体 (20)(1)〜(19)のメチルエステルがカルボン酸で
ある化合物 (21)(1)〜(19)のメチルエステルがアリルエステ
ルである化合物 (22)(1)〜(21)の7位の水酸基および6位の置換
基上の水酸基がt−ブチルジメチルシリル基で保護され
た化合物 (23)(1)〜(21)の7位及び6位の置換基上の水酸
基が2−テトラヒドロピラニル基で保護された化合物 (24)(1)〜(23)の化合物の鏡像体 (25)(1)〜(13)の化合物の1位,5位,6位,7位及び
6位の置換基上の水酸基が置換した不斉炭素の立体異性
体 上記式〔I〕で表わされる新規なイソカルバサイクリン
類は下記式〔II〕 で表わされる化合物を塩基で処理し、次いで下記式〔II
I−a〕 で表わされる化合物,その鏡像体、あるいはそれらの任
意の割合の混合物である3,6,7−三置換ビシクロ〔3.3.
0〕−2−オクテン類を、パラジウム化合物の存在下、
位置特異的に反応せしめ、必要に応じて脱保護反応,加
水分解反応を行うことにより得られる。
同様に、上記式〔I〕で表わされる新規なイソカルバサ
イクリンは、下記式〔II〕 〔式中、R11,Arは前記定義に同じである。〕 で表わされる化合物を塩基で処理し、次いで下記式〔IV
−a〕 で表わされる化合物,その鏡像体、あるいはそれらの任
意の割合の混合物である3−メチレン−2,6,7−三置換
ビシクロ[3.3.0]−オクタン類をパラジウム化合物存
在下位置特異的に反応せしめ、さらに必要に応じて脱保
護反応,加水分解反応を行うことにより得られる。
本発明は、式〔III−b〕 で表わされる化合物,その鏡像体、あるいはそれらの任
意の割合の混合物である3,6,7−三置換ビシクロ[3.3.
0]−2−オクテン類を、前記式〔II〕 〔式中、Ar及びR11は前記の通り。〕 で表わされる化合物と、パラジウム化合物の存在下で、
位置特異的に反応せしめ、必要に応じて脱保護反応,加
水分解反応を行なうことによつて、前記式[I]のイソ
カルバサイクリン類を製造する方法を提供するものであ
る。
さらに本発明は、更に、式〔IV−b〕 で表わされる化合物、その鏡像体、あるいはそれらの任
意の割合の混合物である3−メチレン−2,6,7−三置換
ビシクロ〔3.3.0〕−オクタン類を、前記式〔II〕で表
わされる化合物と、パラジウム化合物の存在下で、位置
特異的に反応せしめ、必要に応じて脱保護反応,加水分
解反応を行なうことによつて、前記式[I]のイソカル
バサイクリン類を製造する方法を提供するものである。
本発明の原料である上記式〔II〕で表わされるビスアリ
ールスルホニル化合物においてR11はC1〜C4のアルキル
基もしくはアルケニル基を表わす。かかる基としては前
記式〔I〕のR1として例示したアルキル基もしくはアル
ケニル基と同じ基が好ましいものとしてあげることがで
きるが、特にメチル基が好ましい。
上記式〔II〕においてArは置換もしくは非置換のフエニ
ル基を表わす。かかる基としては前記式〔I〕のArとし
て例示したものと同じ基を挙げることができるが、特に
フエニル基,p−トリル基が好ましい。
本反応のもう一方の原料である上記式〔III−a〕また
は〔IV−a〕で表わされるアリルアシロキシ体及び〔II
I−b〕または〔IV−b〕で表わされるカルボネート体
において、R21およびR31は同一もしくは異なり、トリ
(C1〜C7)炭化水素シリル基または水酸基の酸素原子と
ともにアセタール結合を形成する基を表わす。かかるト
リ(C1〜C7)炭化水素シリル基または水酸基の酸素原子
とともにアセタール結合を形成する基としては、前記式
〔I〕のR2あるいはR3で例示したものと同じ基が好まし
いものとしてあげることができる。
上記式〔III−a〕,〔IV−a〕,〔III−b〕または
〔IV−b〕においてR4は水素原子,メチル基、またはビ
ニル基を表わし、R5は酸素原子で中断されていてもよい
直鎖もしくは分枝鎖のC3〜C9アルキル基;置換もしくは
非置換のフエニル基;置換もしくは非置換のフエニル
基;置換もしくは非置換のフエノキシ基;置換もしくは
非置換のC3〜C10シクロアルキル基;またはC1〜C8アル
コキシ基,置換されていてもよいフエニル基,置換され
ていてもよいC3〜C10シクロアルキル基で置換されてい
る直鎖もしくは分枝鎖C1〜C5アルキル基を表わし、いず
れも前述の式〔I〕のR5で例示したものと同様のものが
好ましくあげられる。
式〔III−a〕,〔IV−a〕,〔III−b〕または〔IV−
b〕においてnは0または1を表わす。
式〔III−a〕または〔IV−a〕におけるR6はC1〜C6
炭化水素基を表わし、メチル基,エチル基,n−プロピル
基,イソプロピル基,ブチル基,ペンチル基等を挙げる
ことができるがメチル基が好ましい。
式〔III−b〕または〔IV−b〕におけるR7はC1〜C4
炭化水素基を表わし、メチル基,エチル基,n−プロピル
基,イソプロピル基,ブチル基等を挙げることができる
が、メチル基が好ましくあげられる。
かかる式〔III−a〕,〔III−b〕で代表される3,6,7
−三置換ビシクロ〔3.3.0〕−2−オクテン類は、例え
ば、柴崎ら;テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron
Letters),25,5087(1984)記載の方法と同様にして又
は、それに準じて製造されるがその製造工程を簡単に紹
介すると次の工程図のようになる。すなわち、 の製造工程である。
一方、式〔IV−a〕又は〔IV−b〕で代表される3−メ
チレン−2,6,7−三置換ビシクロ〔3.3.0〕−オクタン類
は、たとえば、上述の引用文献(テトラヘドロン・レタ
ーズ,25,5087(1984))の方法およびそれに準じた方
法により製造される6,7−二置換−3−ヒドロキシメチ
ルビシクロ〔3.3.0〕−2−オクテン類を出発物質とす
る既知の合成経路(ルートA)によつて、または本発明
で提示する光学活性な4−ヒドロキシ−2−シクロペン
テノンを出発物として得られるアセチレン誘導体の環化
反応(ルートB)によつて、得られる。下記にその反応
経路を簡単に示す。
最終ステツプのアシル化反応はR6COCl〔R6は前記定義に
同じ〕ごとき酸クロリド又は(R6CO)2Oのごとき酸無水物
とアリルアルコール体とを塩基存在下反応せしめること
によつて得られる。一方カルボネート化反応はClCOOR7
〔R7は前記定義に同じ〕のごときクロル蟻酸誘導体とア
リルアルコール体とを塩基存在下反応せしめることによ
り得られる。塩基としてはピリジン,トリエチルアミ
ン,ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が好まし
く用いられる。かくして〔III−a〕,〔IV−a〕のア
ルコキシ体又は〔III−b〕,〔IV−b〕のカーボネー
ト体が得られる。
上記式〔III−a〕または〔IV−a〕で表わされるアシ
ロキシ体から前記式〔I〕で表わされる4,4−ビスアリ
ールスルホニルイソカルバサイクリン類への合成は、前
記式〔II〕で表わされるビスアリールスルホニル化合物
を塩基で処理したものを、パラジウム存在下で、上記式
〔III−a〕または〔IV−a〕で表わされるアシロキシ
体と、反応せしめることにより行なわれる。
かかる前記式〔II〕で表わされるビスアリールスルホニ
ル化合物は、上記式〔III−a〕または〔IV−a〕で表
わされるアシロキシ体に対し、0.5〜30当量、好ましく
は1〜5当量用いられる。ビスアリールスルホニル化合
物を処理するための塩基としては、有機アルカリ金属か
又は水素化アルカリ金属、例えばn−ブチルリチウム,s
ec−ブチルリチウム,t−ブチルリチウム,フエニルリチ
ウム,メチルリチウム,ナフチルリチウム,トリチルリ
チウム,水素化リチウム,水素化ナトリウム,水素化カ
リウム,ソジウムメトキシド,ソジウムエトキシドなど
が用いられるが、好ましくは水素化ナトリウムが用いら
れる。塩基の使用量は、上記式〔II〕で表わされるビス
アリールスルホニル化合物に対して0.5〜30当量、好ま
しくは1〜10当量であるが、原則的には1当量である。
かかる塩形成反応の反応温度は−100℃〜100℃、好まし
くは−78℃〜2℃であり、反応時間は5分から50時間で
あり、好ましくは10分〜2時間である。反応は有機溶媒
中で行なわれ、溶媒としては、エーテル,テトラヒドロ
フラン,ジオキサン等の如きエーテル系溶媒、n−ヘキ
サン,ベンゼンなどの如き炭化水素系溶媒、その他DMF,
DMSOなどが用いられるが、好ましくはテトラヒドロフラ
ンを用いる。
かくして得られた反応混合物は、その中からビスアリー
ルスルホニル化合物のアルカリ金属塩を単離することな
く、これに上記式〔III−a〕または〔IV−a〕で表わ
されるアリルアシロキシ体を添加して、反応を進行させ
ることができる。この反応はパラジウム存在下に行なう
が、パラジウム化合物としては例えばTetrahedron Vol.
42,No.16,pp.4361 to 4401,1986;Accounts of Chemical
Research Vol.13,No.11,pp385 to 393,1980;及び“Org
anic Synthesis with Pallaldium Compounds"J.Tsuji,S
pringer−Verlag(1980)記載の種々のパラジウム錯体
を用いることが可能である。好ましくはテトラキス(ト
リフエニルホスフイン)パラジウ(O),ビス〔ビス
(1,2−ジフエニルホスフイノ)−エタン〕パラジウ
ム)O,ビス〔ビス(1.3−ジフエニルホスフイン)−プ
ロパン〕パラジウム(O)を用いるが、これに限定され
るものではない。使用量は上記式〔III−a〕又は〔IV
−a〕で表わされるアセテート化合物ゆ対して0.001〜
1当量、好ましくは0.01〜0.2当量である。反応温度は
−30℃から200℃、好ましくは0℃〜100℃であり、反応
時間は10分から100時間であり、好ましくは1時間から2
4時間である。反応は有機溶媒中で行なわれるが、先の
塩形成反応時と同一溶媒で差しつかえ無い。
上記式〔III−b〕または〔IV−b〕で表わされるカル
ボネートから前記式〔I〕で表わされる4,4−ビスアリ
ールスルホニルイソカルバサイクリン類への合成は、前
記式〔II〕で表わされるビスアリールスルホニル化合物
を、パラジウム存在下で、上記式〔III−b〕または〔I
V−b〕で表わされるカルボネートと、反応せしめるこ
とにより行なわれる。
かかる前記式〔II〕で表わされるビスアリールスルホニ
ル化合物は、上記式〔III−b〕または〔IV−b〕で表
わされるカルボネート類に対し、0.5〜30当量、好まし
くは1〜5当量用いられる。この反応はパラジウム錯体
存在下に行なうが、用いるパラジウム化合物としては前
記したものが好ましく用いられる。
使用量は、上記式〔III−b〕又は〔IV−b〕で表わさ
れるカルボネート化合物に対して0.001〜1当量、好ま
しくは0.01〜0.2当量である。反応温度は−30℃から200
℃、好ましくは0℃〜100℃であり、反応時間は10分か
ら100時間であり、好ましくは0.5時間から24時間であ
る。溶媒としては、エーテル,テトラヒドロフラン,ジ
オキサン等の如きエーテル系溶媒、n−ヘキサン,ベン
ゼンなどの如き炭化水素系溶媒、その他DMF,DMSOなどが
用いられるが、好ましくはテトラヒドロフランを用い
る。
特に〔III−b〕または〔IV−b〕のごときカルボネー
ト体を用いる反応の利点は 1)Pa(O)による脱炭酸反応を伴うので反応が不可逆
的に進行し、反応条件が温和である。
2)脱炭酸に伴つてアルキルオキシアニオン(例えばMe
O )が発生し、これがメチル−4,4′−ビスフエニルス
ルホニルブタノエートの水素を引きぬき を発生せしめるので反応系にあらかじめ塩基(例えばNa
H)を加えなくても反応は進行すること にある。
かくして得られた反応液は、通常行なわれる方法に準じ
て後処理すればよい。例えばヘキサン,ペンタン,エチ
ルエーテル,酢酸エチルなどの如き水に難溶の有機溶媒
を加えて得た有機混合物を必要に応じて食塩水などで洗
浄し、無水硫酸マグネシウム,無水硫酸ナトリウムなど
の如き乾燥剤にて乾燥後、有機溶媒を減圧下除去して粗
生成物が得られる。粗生成物は、所望によりカラムクロ
マトグラフイー,薄層クロマトグラフイー,液体クロマ
トグラフイーなどの如き精製手段により、精製すること
ができる。
次いで、得られた生成物を必要に応じて脱保護反応,加
水分解に付すと、位置特異的に反応は進行し、最終的に
前記式〔I〕で表わされる新規なイソカルバサイクリン
類が得られる。
水酸基の保護基の除去は、保護基が水酸基の酸素原子と
共にアセタール結合を形成する基の場合には、例えば酢
酸,p−トルエンスルホン酸のピリジニウム塩または陽イ
オン交換樹脂等を触媒として使用し、and例えば水,テ
トラヒドロフラン,エチルエーテル,ジオキサン,アセ
トン,アセトニトリル等を反応溶媒として使用し、通常
−78℃〜+30℃の温度範囲で10分〜3日間程度処理する
ことによつて行われる。また、保護基がトリ(C1〜C7
炭化水素シリル基の場合には、例えば酢酸,テトラブチ
ルアンモニウムフルオライド,セシウムフルオライド,
フツ化水素水orピリジン−フツ化水素の存在下に、上記
したような反応溶媒中で同様の温度で同様の時間処理す
ることによつて、保護基は除去される。
エステル類の加水分解は通常の方法、すなわち水または
水を含む溶媒中で水酸化リチウム,水酸化ナトリウムor
水酸化カリウムと−40℃〜100℃、好ましくは0℃〜50
℃の温度範囲で10分〜24時間反応せしめることにより行
なわれる。
かくしてイソカルバサイクリン骨格を有する上記式
〔I〕で表わされる化合物が製造される。
式〔IV−a〕の3−メチレン−2,6,7−3置換ビシクロ
〔3.3.0〕−オクタン類の製法として前記したルートB
の方法は特にプロパルギルシクロペンタン類の環化反応
以降の合成工程は工業的に重要であるので、以下にこれ
について詳述する。
下記式〔V〕 で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
任意の割合の混合物であるプロパルギルシクロペンタン
類は、金属種を用いる還元剤によつて環化反応せしめら
れ、また必要により脱保護反応せしめられることによ
り、下記式〔VI〕 で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
任意の割合の混合物である6,7−二置換−2−ヒドロキ
シ−3−メチレンビシクロ〔3.3.0〕オクタン類を生成
する。
環化反応に用いられる還元剤の金属種として、アルカリ
金属のリチウムナトリウム,カリウムなどをあげること
ができるが、ナトリウムとリチウムが特に好ましい。ま
た、還元剤の金属種として、アルカリ土類金属のカルシ
ウム,マグネシウムなどもあげることができる。かかる
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の使用量は、式
〔V〕で代表されるプロパルギルシクロペンタン類1モ
ルに対して1.0〜20.0倍モル、好ましくは1.2〜10.0倍モ
ルである。
かかるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の還元剤
は、アニオンラジカル溶液として環化反応に用いられ
る。アニオンラジカル溶液の溶媒としては、ナフタレ
ン,1−(N,N−ジメチルアミノ)−ナフタレンまたは4,
4′−ジ−t−ブチルビフエニルをアルカリ金属または
アルカリ土類金属と等モル以上に含有している、ジエチ
ルエーテル,テトラヒドロフラン,ジメトキシエタンな
どの如き、エーテル系溶媒、或いは液体アンモニアが好
ましく、なかでもナフタレンまたは4,4′−ジ−t−ブ
チルビフエニルを含有しているテトラヒドロフランが最
も好ましい。その使用量は反応を円滑に進行させるに十
分な量があれば良く、通常は原料化合物の1〜100倍容
量、好ましくは2〜20倍容量が用いられる。
反応温度は−100℃〜100℃、好ましくは−78℃〜50℃、
特に好ましくは−78℃〜0℃程度の温度範囲が採用され
る。反応時間は反応温度によつて異なるが、通常−78℃
〜0℃で数時間以内に反応は終了する。
また還元剤として用いられる金属種として亜鉛も好まし
く用いられる。かかる亜鉛による環化反応は通常トリメ
チルクロルシランと塩基の共存下に実施される。かかる
亜鉛の使用量は、式〔V〕で代表されるプロパルギルシ
クロペンタン類1モルに対して1〜50倍モル、好ましく
は10〜30倍モルである。また亜鉛は塩酸や銅,銀,水銀
等によつて活性化されたものが用いられる。またトリメ
チルクロルシランは式〔V〕で代表される化合物に対し
1〜20倍モル好ましくは5〜10倍モル用いられる。また
塩基としては2,6−ルチジンが好ましく用いられる。塩
基は式〔V〕で代表される化合物に対して1〜10倍モ
ル、好ましくは1〜5倍モル用いられる。
かかる環化反応の溶媒としてはジエチルエーテル,テト
ラヒドロフラン,ジメトキシエタンなどの如きエーテル
系溶媒が好ましく、なかでもテトラヒドロフランが最も
好ましい。その使用量は、反応を円滑に進行させるに充
分な量があればよく、通常は原料化合物の1〜100倍容
量、好ましくは2〜20倍容量が用いられる。
反応温度は0℃〜100℃、好ましくは20℃〜80℃程度の
温度範囲が採用される。反応時間は反応温度によつて異
なるが通常20℃〜80℃で30分から24時間以内で反応は終
了する。
かくして得られた生成物は飽和塩化アンモニウム水を用
いたクエンチ,抽出等を行なうことによつて粗生成物と
して反応系からとり出すことができる。粗生成物は所望
により、カラムクロマトグラフイー,薄層クロマトグラ
フイー,液体クロマトグラフイー,再結晶等の精製手段
により精製することができる。
かくして亜鉛を用いた環化反応によつて得られた生成物
は下記式 で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
任意の割合の混合物となつている。
このようにして生成した6,7−二置換−3−メチレン−
2−トリメチルシリルオキシビシクロ〔3.3.0〕オクタ
ン類の2位のトリメチルシリルエーテルを加水分解して
2−ヒドロキシ体にする方法としては、通常のトリメチ
ルシリルエーテル切断用試剤たとえばテトラブチルアン
モニウムフロリド(溶媒テトラヒドロフラン),p−トル
エンスルホン酸(溶媒メタノール),炭酸カリウム(溶
媒メタノール),クエン酸(溶媒メタノール),p−トル
エンスルホン酸−ピリジン(溶媒メタノール)などを用
いて実施することができる。すなわち、下記する脱保護
反応と同様に反応を行うことにより目的とする化合物に
変換することができる。
式〔V〕で代表されるプロパルギルシクロペンタン類お
よび6,7−二置換−2−ヒドロキシ−3−メチレンビシ
クロ〔3.3.0〕オクタン類の7位および6位の3′位
(あるいは4′位)が保護された水酸基の場合には、必
要に応じて脱保護することによつて遊離の水酸基とする
ことができる。
水酸基の保護基の除去は、保護基が水酸基の酸素原子と
共にアセタール結合を形成する基の場合には、例えば酢
酸,p−トルエンスルホン酸のピリジニウム塩または陽イ
オン交換樹脂等を触媒とし、例えば水,テトラヒドロフ
ラン,エチルエーテル,ジオキサン,アセトン,アセト
ニトリル等を反応溶媒とすることにより好適に実施され
る。反応は通常−78℃〜+30℃の温度範囲で10分〜3日
間程度行なわれる。また、保護基がトリ(C1〜C7)炭化
水素シリル基の場合には、例えば酢酸,テトラブチルア
ンモニウムフルオライド,セシウムフルオライド,フツ
化水素,ピリジン−フツ化水素の存在下に、上記したよ
うな反応溶媒中で同様の温度で同様の時間実施される。
また上記式〔V〕および〔VI〕で表わされる化合物にお
いてシクロペンタン環およびビシクロ〔3.3.0〕オクタ
ン環自身およびそれらの環上に結合している置換基の結
合している炭素は不斉な環境のために立体異性体が存在
するが、本発明はいずれの立体異性体をも包含するもの
であり、またこれらの任意の割合の立体異性体混合物で
もさしつかえない。また式で代表される化合物とはこれ
らの立体異性体すべて、およびそれらの異性体の任意の
割合の混合物をあらわすが、式であらわされた立体構造
を有する化合物が最も好ましいものとしてあげられる。
かくして、前記式〔I〕で表わされるイソカルバサイク
リン類を得る本発明の方法は、 (1)工業的に入手容易な出発原料が用いられる。
(2)本発明方法の骨格合成が位置特異的に進行し、高
収率である。
などの利点を有している。さらに本発明で得られる上記
式〔I〕で表わされる新規なイソカルバサイクリン類は
それ自体イソカルバサイクリン様活性例えば血小板凝集
抑制作用,血管拡張作用,降圧作用,細胞保護作用等を
有することが期待されるし、また医薬品として有望視さ
れているイソカルバサイクリンを合成する中間体として
も有用な化合物である。
即ち、前記式〔I〕で表わされる化合物,その鏡像体、
あるいはそれらの任意の割合の混合物である4,4−ビス
(アリールスルホニル)イソカルバサイクリン類は、そ
れを還元剤と反応せしめ、必要に応じて脱保護反応及び
/又は加水分解反応に附することにより、下記式〔VI
I〕 で表わされる化合物、その鏡像体あるいはそれらの割合
の混合物である9(O)−メタノプロスタサイクリン類
に変換することができる。
この脱スルホン反応は、上記式〔I〕の化合物を還元剤
としてのアルカリ金属アマルガムと反応せしめることに
より達成される。この反応は基本的には、トロスト(Tr
ost)ら、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Let
t.),3477(1976)の方法に準じて実施される。すなわ
ち、アルカリ金属アマルガムとしてはナトリウムアマル
ガムが好適に用いられ、ナトリウム含量が1〜20%、好
ましくは2〜10%のものがとくに好適に用いられる。そ
の使用量は上記式〔I〕で代表される5−アリールスル
ホニルイソカルバサイクリン類1モルに対してナトリウ
ムとして5〜500モル倍、好ましくは50〜500モル倍用い
る。反応温度は−78℃〜100℃、好ましくは−40℃〜30
℃の範囲で行なわれ、反応時間は反応温度により異な
り、例えば−10℃では4時間程度反応せしめれば十分で
ある。この反応においては1〜10モル倍のリン酸2ナト
リウムを共存させて行う。
かかる反応は有機媒体中で行なわれる。かかる有機媒体
としてはヘキサン,ベンゼン,トルエン,エーテル,テ
トラヒドロフラン,ジメトキシエタン,ジオキサン,N,N
−ジメチルホルムアミド,メタノール,エタノールなど
が用いられるが、メタノールが好ましく用いられる。そ
の使用量は反応が円滑に進行する量であれば良く、通
常、反応物質の容量に対して1.0〜100容量、好ましくは
5.0〜50容量用いる。
かくして得られた反応液は、通常行なわれる方法に準じ
て後処理すればよい。例えばヘキサン,ペンタン,石油
エーテル,エチルエーテル,酢酸エチルなどの如き水に
難溶の有機溶媒を加えて得られた混合物を、必要に応じ
て食塩水などで洗浄し、無水硫酸マグネシウム,無水硫
酸ナトリウム,無水塩化カルシウムなどの如き乾燥剤に
て乾燥後、有機媒体を減圧除去して粗生成物が得られ
る。粗生成物は、所望により、カラムクロマトグラフイ
ー,薄層クロマトグラフイー,液体クロマトグラフイー
などの精製手段により、精製することが出来る。
一方、前記したような、前記式〔I〕から前記式〔VI
I〕への脱スルホン化反応は、アルカリ金属アマルガム
の代わりにマグネシウム金属を用いる方法〔基本的には
A.C.Brown,et,al.,J.Org.Chem.,50,1749(1985)に準じ
る〕によつても行なうことができる。この場合、反応液
の後処理も前記の場合と同様に行なえばよい。
本発明方法では、さらにここで得られた生成物を、必要
に応じて脱保護反応,加水分解反応に付することにより
最終的に前記式〔VII〕で表わされる化合物,その鏡像
体あるいはそれらの任意の割合の混合物であるイソカル
バサイクリン類が製造される。
R12がC1〜C4のアルキル基またはアルケニル基であると
きの具体例は、上記式〔I〕におけるR1に例示したもの
と同一である。
R22,R32が水酸基の保護基であるときの具体例は上記式
〔I〕におけるR2,R3に例示したものと同一である。
水酸基の保護基の除去は、保護基が水酸基の酸素原子と
共にアセタール結合を形成する基の場合には、例えば酢
酸,p−トルエンスルホン酸のピリジニウム塩または陽イ
オン交換樹脂等を触媒とし、例えば水,テトラヒドロフ
ラン,エチルエーテル,ジオキサン,アセトン,アセト
ニトリル等を反応溶媒とすることにより好適に実施され
る。反応は通常−78℃〜+30℃の温度範囲で10分〜3日
間程度行なわれる。また、保護基がトリ(C1〜C7)炭化
水素シリル基の場合には、例えば酢酸,テトラブチルア
ンモニウムフルオライド,セシウムフルオライド,フツ
化水素水,ピリジン−フツ化水素の存在下に、上記した
ような反応溶媒中で同様の温度で同様の時間実施され
る。
かくして上記式〔I〕で代表されるアリールスルホニル
イソカルバサイクリン類を出発物質として本発明方法に
より上記式〔II〕で代表されるイソカルバサイクリン類
が得られる。
〈実施例〉 以下、本発明を実施例及び参考例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、
実施例及び参考例中−OZは−OSi・tBuMe2(t−ブチル
・ジメチルシリルオキシ基)を表わし、−OZ′は−OSiM
e3(トリメチルシリルオキシ基)を表わす。
〈4,4−ビス(フエニルスルホニル)イソカルバサイク
リン類の製造〉 参考例1 メチル−4,4−ビス(フエニルスルホニル)ブタノエー
ト59mg(1.05mmol)の0.8mlTHF溶液に窒素気流下NaH(6
0%in oil)6.2mg(0.15mmol)を0℃にて加え1時間攪
拌した。ここに上記式(1)で表わされるアセテート体
68mg(0.12mmol)の0.8mlTHF溶液を加え、次いでビス
〔ビス(1,2−ジフエニルフオスフイノ)エタン〕パラ
ジウム(O)6.3mg(0.007mmol)を加え、室温で3時
間,60℃で4時間攪拌した。反応後飽和塩化アンモン水
溶液で反応を終結させ、酢酸エチルにて抽出した。有機
層を水,飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上
で乾燥し、減圧下濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフイー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1→
10:1)に供し、4,4−ビス(フエニルスルホニル)イソ
カルバサイクリン−11,15−ビス(t−ブチルジメチル
シリル)エーテルメチルエステル(2)を64mg(59
%),回収アセテート23mg(34%)を得た。
IR(cm-1,neat); 2950,2860,1740,1580,1460,1440,1330,1310,1255,1140 NMR(δppm,CDCl3): 0.9(s+m,21H), 1.2〜2.4(m,14H), 2.6〜3.1(m,7H),3.7(s,3H), 3.75(m,1H),4.05(m,1H), 5.4(m,2H),5.55(m,1H), 7.1〜8.0(m,10H) 参考例2 ジシリル体(2)87mg(0.10mmol)を2mlの乾燥テトラ
ヒドロフラン(2ml)溶液にし、テトラブチルアンモニ
ウムフルオライド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)を47
0μl(0.47mmol)を加え、室温で10時間攪拌した。水
を加えて酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウム上
で乾燥したのち溶媒を減圧下留去した。シリカゲルカラ
ムクロマトグラフイー(酢酸エチル,2%メタノール)に
供し脱シリル体(3)51mg(79%)を得た。
NMR(δppm,CDCl3); 0.9(m,3H),1.2〜2.4(m,14H), 2.6〜31(m,7H),3.65(s,3H), 3.65〜4.05(m,2H), 5.4(m,2H),5.55(m,1H), 7.1〜8.0(m,10H) 参考例3 窒素気流下NaH8.8mg(60%in oil,0.22mmol)で処理し
たメチル−4,4−ビス(フエニルスルホニル)ブタノエ
ート(4)84mg(0.22mmol)の1mlTHF溶液に上記式
(5)で表わされるアセテート116mg(0.2mmol)の1mlT
HF溶液を加え、次いでテトラキストリフエニルホスフイ
ンパラジウム(O)13mg(0.011mmol)を加え、60℃で
7時間攪拌した。反応後飽和塩化アンモン水溶液で反応
を終結させ、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水,飽
和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、
減圧下濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフイー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1→10:1)に供
し、17(),20−ジメチル−4,4−ビス(フエニルスル
ホニル)イソカルバサイクリンのジシリルエーテル,メ
チルエステル体(5)を128mg(71%)得た。
NMR(δppm,CDCl3); 0.9(s+m,21H), 1.0〜2.4(m,18H), 2.6〜3.1(m,7H),3.65(s,3H), 3.7〜4.1(m,2H), 5.3〜5.6(m,3H), 7.1〜8.0(m,10H) 参考例4 窒素気流下NaH6.8mg(60%in oil,0.17mmol)で処理し
たメチル−4,4−ビス(フエニルスルホニル)ブタノエ
ート(6)65mg(0.17mmol)の1mlTHF溶液に対し、上記
式(7)で表わされるアセテート78mg(0.15mmol)の1m
lTHF溶液、次いでビス〔ビス(1.2−ジフエニルフオス
フイノ)エタン〕パラジウム(O)7.2mg(0.008mmol)
を加えて80℃で10時間攪拌した。途中、5時間目にさら
に上記パラジウム(O)7.2mg(0.008mmol)を加えた。
反応後飽和塩化アンモン水溶液で反応を終結させ、酢酸
エチルにて抽出した。有機層を水,飽和食塩水で洗浄
後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下濃縮し
た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフイー
(n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1→10:1)に供し、成
績体(7)92mg(73%)を得た。
NMR(δppm,CDCl3): 0.9(s+m,12H), 1.1〜2.4(m,14H), 1.1(s,3H),2.6〜3.1(m,7H), 3.65(s,3H),3.8(m,1H), 5.3〜5.6(m,3H), 7.1〜8.0(m,10H) 参考例5 窒素気流中、NaH9mg(0.23mmol,60%in oil)で処理し
たメチル−4,4−ビス(フエニルスルホニル)ブタノエ
ート(8)84mg(0.22mmol)の1mlTHF溶液に対し、上記
式(9)で表わされるアセテート体110mg(0.2mmol)の
1mlDMF溶液を加え、次いでビス〔ビス(1,2−ジフエニ
ルフオスフイノ)エタン〕パラジウム(O)9mg(0.01m
mol)を加え、60℃で5時間攪拌した。反応後飽和塩化
アンモン水溶液で反応を終結させ、酢酸エチルにて抽出
した。有機層を水,飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグ
ネシウム上で乾燥し、減圧下濃縮した。粗生成物をシリ
カゲルカラムクロマトグラフイー(n−ヘキサン:酢酸
エチル=20:1→10:1)に供し、成績体(9)113mg(65
%)を得た。
NMR(δppm,CDCl3): 0.9(s,18H),1.0〜2.4(m,15H), 2.6〜3.0(m,7H),3.70(s,3H), 3.6〜4.1(m,2H), 5.3〜5.6(m,3H), 7.1〜8.0(m,10H) 参考例6 4,4−ビス(フエニルスルホニル)イソカルバサイクリ
ンメチルエステル(3)48mg(0.075mmol)をテトラヒ
ドロフラン(3ml),メタノール(1.5ml),水(1ml)
の混合溶媒に溶かし、その中に水酸化リチウム水和物60
mgを加えて室温で20時間攪拌した。塩化アンモニウム水
溶液を加えた後、溶媒を減圧留去し、希塩酸で酸性(pH
3〜4)とした後、酢酸エチルで抽出した。得られた有
機層を食塩水で洗浄後、乾燥(MgSO4),濃縮して粗生
成物を得た。このものをカラムクロマトグラフイー(ヘ
キサン:酢酸=1:4)に付して精製し、カルボン酸体(1
0)40mg(85%)を得た。
NMR(δppm,CDCl3): 0.9(m,3H),1.2〜2.4(m,14H), 2.6〜3.1(m,7H), 3.6〜4.1(m,2H),5.4(m,2H), 5.6(m,1H),7.1〜8.0(m,10H) 参考例7 窒素気流下NaH6mg(60%in oil,0.15mmol)で処理した
メチル−4,4−ビス(フエニルスルホニル)ブタノエー
ト(11)57mg(0.15mmol)の0.8mlTHF溶液に対し、上記
式( )で表わされるアセテート体70mg(0.13mmol)の
0.8mlTHF溶液を加え、次いでビス〔ビス(1,2−ジフエ
ニルホスフイノ)エタン〕パラジウム(O)6.3mg(0.0
07mmol)を加えた。反応混合物を70℃で15時間攪拌し
た。反応後飽和塩化アンモン水溶液で反応を終結させ、
酢酸エチルにて抽出した。有機層を水,飽和食塩水で洗
浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下濃縮し
た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフイー
(n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1→5:1)に供し、成
績体(12)89mg(79%)を得た。
NMR(δppm,CDCl3); 0.9(s+m,12H), 1.1〜2.4(m,14H), 2.6〜3.1(m,7H),3.65(s,3H), 3.8(m,1H),4.7〜5.6(m,6H), 7.1〜8.0(m,10H) 参考例8〜10 参考例7と同様にして、それぞれ相当するアセテート体
とメチル−4,4−ビス(フエニルスルホニル)ブタノエ
ートより下記の化合物を合成した。
参考例8 NMR(δppm,CDCl3); 0.9(s+m,21H), 1.0〜2.4(m,16H),1.13(s,6H), 3.65(s,3H),3.7〜4.1(m,2H), 5.3〜5.6(m,3H), 7.1〜8.0(m,10H) 参考例9 NMR(δppm,CDCl3); 0.9(s,18H),1.0〜2.4(m,17H), 2.6〜3.0(m,7H),3.70(s,3H), 3.6〜4.1(m,2H), 5.3〜5.6(m,3H), 7.1〜8.0(m,10H) 参考例10 NMR(δppm,CDCl3); 0.9(s+m,21H), 1.0〜2.4(m,18H), 2.6〜3.1(m,7H),3.65(s,3H), 3.7〜4.1(m,2H),5.3〜5.6(m,3H), 7.1〜8.0(m,10H) 実施例1 メチルカルボニルジオキシ体(16)73mg(0.13mmol)及
びメチル−4,4−ビス(フエニルスルホニル)ブタノエ
ート57mg(0.15mmol)とビス〔ビス(1,2−ジフエニル
フオスフイノ)−エタン〕パラジウム(O)5.8mg(0.0
065mmol)の1mlTHF溶液を窒素気流下50℃で4時間攪拌
した。反応後飽年塩化アンモン水溶液で反応を終結さ
せ、酢酸エチルにて抽出した。有機層を水,飽和食塩水
で洗浄後無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下濃縮
した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフイー
(ヘキサン:酢酸エチル=20:1→10:1)に供し、4,4−
ビス(フエニルスルホニル)イソカルバサイクリン−1
1,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル)エーテルメチ
ルエステル(2)を76mg(68%)得た。
IR(cm-1,neat); 2950,2860,1740,1580,1460,1440,1330,1310,1255,1140 NMR(δppm,CDCl3); 0.9(s+m,21H), 1.2〜2.4(m,14H), 2.6〜3.1(m,7H),3.7(s,3H), 3.75(m,1H),4.05(m,1H), 5.4(m,2H),5.55(m,1H), 7.1〜8.0(m,10H) 参考例11 メチル−4,4−ビス(フエニルスルホニル)ブタノエー
ト(17)400mg(1.05mmol)の2mlTHF溶液に窒素気流下N
aH(60%in oil)44mg(1.1mmol)を0℃にて加え1時
間攪拌した。ここに上記式(1)で表わされるアセテー
ト体450mg(0.82mmol)の2mlTHF溶液を加え、次いでビ
ス〔ビス(1,2−ジフエニルフオスフイノ)−エタン〕
パラジウム(O)80mg(0.09mmol)を加え、60℃に加熱
して5時間攪拌した。反応後飽和塩化アンモン水溶液で
反応を終結させ、酢酸エチルにて抽出した。有機層を
水,飽和食塩水で洗浄後無水硫酸マグネシウム上で乾燥
し、減圧下濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフイー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1→10:1)
に供し、4,4−ビス(フエニルスルホニル)イソカルバ
サイクリン−11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリ
ル)エーテルメチルエステル(2)を493mg(70%)得
た。
IR(cm-1,neat); 2950,2860,1740,1580,1460,1440,1330,1310,1255,1140 NMR(δppm,CDCl3); 0.9(s+m,21H), 1.2〜2.4(m,14H), 2.6〜3.1(m,7H),3.7(s,3H), 3.75(m,1H),4.05(m,1H), 5.4(m,2H),5.55(m,1H), 7.1〜8.0(m,10H) 実施例2 上記式(18)で表わされるアリルアルコール225mg(0.4
4mmol)の2ml塩化メチレン溶液を0℃に冷却し、ピリジ
ン約160μl(2mmol)を加え、次いでクロロ蟻酸メチル
78μl(1mmol)を加え、そのまま1時間攪拌し、次い
で室温で2時間攪拌した。水にて反応を終結させ、エー
テルで抽出した。有機層を硫酸水素カリウム水溶液,飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液,飽和食塩水の順で洗浄
し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。減圧下溶媒を
留去した後シリカゲルカラムクロマトグラフイー(ヘキ
サン:酢酸エチル=20:1)に供し、メトキシカルボニル
オキシ体(19)246mg(98%)を得た。
IR(cm-1,neat); 2950,2860,1755,1460,1440,1360,1260,1120 NMR(δppm,CDCl3); 0.85(s,9H),0.9(s,9H), 0.8〜1.0(m,3H), 1.0〜1.8(m,8H), 1.8〜2.5(m,6H),3.0(m,1H), 3.8(s,3H),3.7〜4.2(m,2H), 4.7(br.s,2H),5.5(m,2H), 5.7(br.s,1H) 次いで得られたメトキシカルボニルオキシ体(19)340m
g(0.6mmol)と、メチル−4,4−ビス(フエニルスルホ
ニル)ブタノエート298mg(0.78mmol)とビス〔ビス
(1,2−ジフエニルホスフイノ)エタン〕パラジウム
(O)45mg(0.05mmol)の混合物のTHF(4ml)溶液を窒
素気流下50℃で6時間攪拌した。反応後飽和塩化アンモ
ン水溶液で反応を終結させ、酢酸エチルにて抽出した。
有機層を水,飽和食塩水で洗浄後無水硫酸マグネシウム
上で乾燥し、減圧下濃縮した。粗生成物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフイー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1
→10:1)に供し、4,4−ビス(フエニルスルホニル)イ
ソカルバサイクリン−11,15−ビス(t−ブチルジメチ
ルシリル)エーテルメチルエステル(2)を157mg(30
%)得た。
IR(cm-1,neat); 2950,2860,1740,1580,1460,1440,1330,1310,1255,1140 NMR(δppm,CDCl3); 0.9(s+m,21H), 1.2〜2.4(m,14H), 2.6〜3.1(m,7H), 3.7(s,3H),3.75(m,1H), 4.05(m,1H),5.4(m,2H), 5.55(m,1H),7.1〜8.0(m,10H) 実施例3〜10 実施例13と同様にして、実施例2における化合物の水酸
素の保護基(t−ブチルジメチルシリル基)とは異なる
保護基を有する化合物でも同様に反応が進行した。保護
基の例を表1に示す。
〈アセチレンアルデヒド類の環化反応〉 参考例12 金属リチウム15mgとナフタレン266mgをテトラヒドロフ
ラン7mlに加えて、室温で2時間攪拌し濃緑色のアニオ
ンラジカル溶液を調製する。これを−50℃に冷却し、こ
こに(20)50mgのテトラヒドロフラン3ml溶液を加え
る。5分後塩化アンモニウム飽和水溶液を加えてクエン
チし、酢酸エチルでの抽出も飽和食塩水での有機相洗浄
後、硫酸マグネシウムでの乾燥後溶媒を減圧濃縮して粗
生成物346mgを得た。これをシリカゲルカラムクロマト
グラフイーによりヘキサン−酢酸エチル9:1の混合溶媒
で溶出させ(21)34mgを得た。収率67%。この(21)は
下記の〔(21)α〕14mgと〔(21)β〕20mgよりなる。
スペクトルデータ 0.8〜1.0(21H,m), 3.5〜4.2(4H,br),4.91(1H,brs), 5.01(1H,brs),5.43(2H,m) Rf値(シリカゲル薄層クロマト,展開溶媒n−ヘキサン
−酢酸エチル4:1)〔(21)α〕0.43,〔(21)β〕0.30 参考例13 金属リチウム15mgと4,4′−ジ−t−ブチルビフエニル5
53mgとテトラヒドロフラン5mlを0℃で18時間攪拌し、
濃緑色のアニオンラジカル溶液を調製する。これを−50
℃に冷却し(20)50.6mgのテトラヒドロフラン3ml溶液
を加える。5分後参考例1と同様にクエンチ後処理,精
製し、(21)30mg(〔(21)α〕11mg,〔(21)β〕19m
g)を得た。収率59%。
参考例14 金属ナトリウム14mgとナフタレン85mg,テトラヒドロフ
ラン2mlを室温で2.5時間攪拌しアニオンラジカル溶液を
調製する。これを−70℃に冷却後(20)51mgのテトラヒ
ドロフラン1.2ml溶液を加えた。−70℃で1時間攪拌
後、飽和塩化アンモニウム水でクエンチし、参考例1と
同じ操作で後処理,精製して(21)25mg(〔(21)α〕
7mg,〔(21)β〕18mg)を得た。収率42%。
参考例15 窒素ガス雰囲気下金属ナトリウム28mgを入れたフラスコ
を−70℃に冷却し液体アンモニア約7mlをとり攪拌しな
がら濃縮した。−45℃で(20)51mgのテトラヒドロフラ
ン3.5ml溶液をこれに加え、そのまま50分攪拌した。こ
の後安息香酸ナトリウム432mgを加えて室温で20分攪拌
しアンモニア気化させた。水を加え、エーテルで2回抽
出後有機相を飽和重曹水,飽和塩化アンモニウム水,食
塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を
減圧濃縮して48mgの粗生成物を得た。シリカゲルカラム
クロマトグラフイーにより、n−ヘキサン−酢酸エチル
97.5:2.5の混合溶媒で溶出させ(21)(〔(21)β〕の
み)10mgを得た。収率20%。
参考例16 亜鉛末を10%塩酸中5分攪拌する。上澄みをデカンテー
シヨンで除いた後、水(1回),アセトン(3回),エ
ーテル(2回)で洗浄後真空で2時間乾燥活性化させ
た。(20)53mgにこの亜鉛末138mgを加えさらにトリメ
チルクロルシラン68mgのテトラヒドロフラン1ml溶液を
加える。更に2,6−ルチジン32mgを加えて4時間加熱還
流させる。デカンテーシヨンで固体と液体を分離し、液
体側にジエチルエーテル10mlを加える。有機層を飽和硫
酸水素カリウム水,飽和重曹水,食塩水の順で洗い、硫
酸マグネシウムで乾燥後、減圧で溶媒を除去した。こう
して得た(22)を含む粗生成物をメタノール3mlに溶解
し、p−トルエンスルホン酸ピリジン少々を加えて室温
で10分間攪拌する。ここに飽和重曹水を加え、メタノー
ルを減圧濃縮した後エーテル抽出を行なう。有機相を食
塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧濃
縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフイ
ーでn−ヘキサン−酢酸エチル19対1の混合溶媒を用
い、溶出させ(21)11.8mgを得た。収率23%。
参考例17 亜鉛末を3%塩酸で1分間攪拌する。この洗浄を4回繰
返す。蒸留水で5回洗浄した後、2%硫酸銅水溶液で2
回洗浄、次いで蒸留水(5回),無水エタノール(4
回),ジエチルエーテル(5回)の順序で洗い窒素ガス
気流下にガラスフイルターで過し、減圧で4時間乾燥
させて活性化した。
(20)53mgに、この亜鉛末138mgとトリメチルクロルシ
ラン68mgのテトラヒドロフラン1ml溶液,2,6−ルチジン3
2mgを加え、4時間加熱還流させた。
参考例5と同様の後処理,脱シリル化,精製を行なつて
(21)を16mg得た。収率31%。
参考例18 亜鉛末350mgを10%塩酸で4分間攪拌後デカンテーシヨ
ンで上澄みを除く。アセトン,エーテルの順で洗浄した
後酢酸銀12mgの1.7ml沸騰酢酸懸濁液を加え1分間攪拌
した。注射器で上澄みを除いた後、酢酸1ml,エーテル2m
l(3回),メタノール2ml,エーテル2ml(4回),テト
ラヒドロフラン2ml(4回)の順で洗浄後、真空で3時
間乾燥させて活性化した。
(20)53mgに、この亜鉛末138mgとトリメチルクロルシ
ラン68mgのテトラヒドロフラン1ml溶液,2,6−ルチジン3
2mgを加え、4時間加熱還流させた。参考例5と同様の
後処理、脱シリル,精製を行なつて(21)を18mg得た。
収率34%。
参考例19 亜鉛末4.12gを10%塩酸で2分間攪拌し、上澄みを除去
した。蒸留水5mlによる洗浄を4回行なつた後塩化第2
水銀0.8gを5mlの沸騰水に溶液を加えて10分間攪拌し
た。上澄みを除いた後、蒸留水5ml,エタノール5ml(7
回)エーテル5ml(7回)の順で洗浄した。3時間真空
乾燥させて活性化亜鉛を調製した。
(20)53mgに、この亜鉛末138mgとトリメチルクロルシ
ラン68mgのテトラヒドロフラン1ml溶液,2,6−ルチジン3
2mgを加え4時間加熱還流させた。参考例5と同様の後
処理,脱シリル,精製を行なつて(21)を17mgを得た。
収率32%。
参考例20 ピリジン5.05mlを50mlの塩化メチレンに溶解し、三酸化
クロム3.12gを加え20分間室温で攪拌した。ここに(2
3)1.30gの塩化メチレン3ml溶液を加え、室温で15分攪
拌した。エーテル150mlを加え、セライト吸引過し固
体を除去した。有機相を飽和硫酸水素カリウム水,飽和
重曹水,食塩水(2回)の順で洗浄した。硫酸マグネシ
ウムで乾燥後減圧で溶媒を濃縮して1.32gの粗生成物を
得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフイーで精
製するとn−ヘキサン−酢酸エチル(19対1)の溶出部
に(21)1.01gを得た。収率77%。
(21)のNMRスペクトルデータ 0.88(21H),2.87(1H,m), 3.7〜4.3(2H,m),5.43(2H,m), 9.97(1H,d,J=3Hz) 参考例21 リチウムのミネラルオイルデイスパージヨン(含量25
%;1%のナトリウムを含む)15.3g(552mmol)にテトラ
ヒドロフラン550mlを加え、氷冷、窒素雰囲気下ナフタ
レン70.3g(550mmol)を加えた。氷冷下2時間攪拌し濃
緑色のアニオンラジカル溶液を調製した。アセチレンア
ルデヒド(21)25.1g(50mmol)およびt−ブタノール1
8.7ml(320mmol)をテトラヒドロフラン120mlに溶解し
−70℃に冷却した後、−70℃に冷却した上記アニオンラ
ジカル溶液に加えた。−70℃で15分間攪拌後、塩化アン
モニウム50gを加え、さらにエタノールをアニオンラジ
カルの暗緑色が消えるまで加えた。飽和塩化アンモニウ
ム水溶液900mlを加えた後、酢酸エチルで抽出(2×700
ml)した。合わせた有機層を飽和食塩水で2回洗浄後、
硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得ら
れた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフイーに
より分離精製すると、ヘキサン−酢酸エチル=19:1溶出
部に5.34g(収率21%)の〔(21)α〕を、またヘキサ
ン−酢酸エチル=9:1溶出部に12.95g(収率51%)の
〔(21)β〕を得た。
スペクトルデーター 0.8〜1.0(21H), 3.86(1H,q,J=6Hz), 4.05(1H,br), 4.38(1H,bt,J=8Hz), 4.96(1H,brs), 5.08(1H,brs),5.45(2H,m) IR(液膜) 3350,3080,1662,1255,1115,1002,968,935,835,772cm-1 MS 508(M+),491(M−17),451(M−57) 0.8〜1.0(21H), 3.77(1H,m), 4.05(1H,br), 4.15(1H,brs), 4.95(1H,brs), 5.07(1H,brs), 5.46(2H,m) IR(液膜) 3350,3080,1662,1255,1115,1002,968,937,835,772cm-1 MS 508(M+),491(M−17),451(M−57) <カーボネートからのイソカルバサイクリンの合成> 参考例22 (1,5,6,7)−2−ヒドロキシ−3−メチレン
−6−〔(,3)−3−t−ブチルジメチルシリルオ
キシ−1−オクテニル〕−7−t−ブチルジメチルシリ
ルオキシビシクロ〔3.3.0〕オクタン(21)400mg(0.79
mmol)の塩化メチレン溶液(4ml)に窒素気流下−20℃
にてピリジン約250μl(約4当量)を加え、次いでク
ロロ蟻酸メチル122μl(1.6mmol)を加えそのまま1時
間攪拌し、次いで0℃にて30分間攪拌した。水にて反応
を終結させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸水素
カリウム水溶液,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液,飽和
食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し
た。減圧下溶媒を留去した後シリカゲルカラムクロマト
グラフイー(ヘキサン:酢酸エチル=15:1)に供し、2
−メチルカルボニルジオキシ体(16)377mg(85%)を
得た。
IR(cm-1,neat); 2950,2860,1750,1460,1440,1360,1260,1120 NMR(δppm,CDCl3); 0.85(s,9H),0.87(s,9H), 0.8〜2.6(m,18H),3.75(m,1H), 3.8(s,3H),4.07(m,1H), 5.0(s,1H),5.15(s,1H), 5.3(s,1H),5.5(m,1H) 参考例23 参考例21に従い、式〔VI〕の が異なる化合物を合成した。
参考例24 参考例22に従い、式〔IV−b〕の が異なる化合物を合成した。
実施例11 実施例1に従い、式〔I〕の が異なる化合物を合成した。
〈脱スルホン化反応によるイソカルバサイクリンの合
成〉 実施例12 4,4−ビス(フエニルスルホニル)イソカルバサイクリ
ンメチルエステル−11,15(t−ブチルジメチルシリ
ル)エーテル(2)62mg(0.071mmol)の無水メタノー
ル(1.5ml)溶液に窒素気流下無水リン酸2ナトリウム4
1mg(0.29mmol)を加え、−30℃に冷却した。ここにナ
トリウムアマルガム(6%in Hg)600mgを加え、2時間
攪拌した。さらにナトリウムアマルガム200mgを加えて
3時間攪拌した。反応を塩化アンモニウム水溶液で終結
させ、エーテル抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄
後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を減圧して
留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフ
イー(n−ヘキサン:酢酸エチル=50:1→10:1)に供
し、イソカルバサイクリンメチルエステル−11,15−ビ
ス(t−ブチルジメチルシリル)エーテル36mg(86%)
を得た。このものは別途合成した標品をTLC,スペクトル
データーが一致した。
NMR(δppm,CDCl3): 0.9(s+m,21H), 1.2〜2.5(m,22H),3.0(m,1H), 3.7(s,3H),3.7〜4.1(m,2H), 5.3(m,1H),5.55(m,2H) TLC:Rf=0.75(n=ヘキサン:酢酸エチル=4:1) かくして得られたイソカルバサイクリンメチルエステル
−11,15−ビス(t−ブチルジメチルシリル)エーテル3
5mg(0.06mmol)の乾燥THF(3ml)溶液に、0℃にてテ
トラブチルアンモニウムフルオライト(1M in THF)400
μl(0.4mmol)を加え、30分後室温にして14時間攪拌
した。水で反応を終結させ、酢酸エチルで抽出した。有
機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で
乾燥し、溶媒を減圧下留去した。粗生成物をシリカゲル
カラムクロマトグラフイー(n−ヘキサン:酢酸エチル
=1:1→1:2)に供し、イソカルバサイクリンメチルエス
テル(23)18mg(85%)を得た。このものは別途合成し
た標品とHPLC,TLC,スペクトルデーターが一致した。
NMR(δppm,CDCl3): 0.9(m,3H),1.2〜2.5(m,24H), 3.0(m,1H),3.7(s,3H), 3.7〜4.1(m,2H),5.3(m,1H), 5.55(m,2H) TLC:Rf=0.5(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:4) HPLC:(Zorbax−SIL2.5%エタノールヘキサン1.3ml/
分) 保持時間24分 参考例25 17(),20−ジメチル−4,4−ビス(フエニルスルホニ
ル)イソカルバサイクリンメチルエステル−11,15ビス
(t−ブチルジメチルシリル)エーテル(5)45mg(0.
05mmol)の無水メタノール(1.5ml)溶液に窒素気流下
無水リン酸2ナトリウム28mg(0.2mmol)を加え、−30
℃に冷却した。ここにナトリウムアマルガム(6%in H
g)600mgを加え、6時間攪拌した。
反応を塩化アンモニウム水溶液で終結させ、エーテル抽
出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネ
シウム上で乾燥し、溶媒を減圧下留去した。粗生成物を
シリカゲルカラムクロマトグラフイー(n−ヘキサン:
酢酸エチル=50:1→10:1)に供し、17(S),20−ジメ
チルイソカルバサイクリンメチルエステル−11,15−ビ
ス(t−ブチルジメチルシリル)エーテル(24)24mg
(79%)を得た。このものは別途合成した標品をTLC,ス
ペクトルデーターが一致した。
NMR(δppm,CDCl3): 0.9(s+m,21H), 1.0〜2.5(m,26H),3.0(m,1H), 3.7(s,3H),3.7〜4.1(m,2H), 5.3(m,1H),5.55(m,2H) TLC:Rf=0.75(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1) 参考例26 15−デオキシ−16−メチル−16−ヒドロキシ−4,4−ビ
ス(フエニルエルホニル)イソカルバサイクリンメチル
エステル−11−t−ブチルジメチルシリルエーテル−16
−トリメチルシリルエーテル(6)34mg(0.04mmol)の
無水メタノール(1ml)溶液に窒素気流下無水リン酸2
ナトリウム24mg(0.17mmol)を加え、−30℃に冷却し
た。ここにナトリウムアマルガム(6%in Hg)400mgを
加え、7時間攪拌した。反応を塩化アンモニウムム水溶
液で終結させ、エーテル抽出した。有機層を飽和食塩水
で洗浄後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を減
圧して留去した。粗生成物をシリカゲルトカラムクロマ
トグラフイー(n−ヘキサン:酢酸エチル=50:1→10:
1)に供し、15−デオキシ−16−メチル−16−ヒドロキ
シイソカルバサイクリンメチルエステル−11−t−ブチ
ルジメチルシリルエーテル−16−トリメチルシリルエー
テル(25)17mg(75%)を得た。このものは別途合成し
た標品とTLC,スペクトルデーターが一致した。
NMR(δppm,CDCl3): 0.9(s+m,12H),1.1(s,3H), 1.2〜2.5(m,22H),3.0(m,1H), 3.65(s,3H),3.8〜4.0(m,1H), 5.3(m,1H),5.55(m,2H) TLC:Rf=0.75(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1) 参考例27 16,17,18,19,20−ペンタノル−15−シクロペンチル−4,
4−ビス(フエニルスルホニル)イソカルバサイクリン
メチルエステル−11,15−ビス(t−ブチルジメチルシ
リル)エーテル(9)15mg(0.059mmol)の無水メタノ
ール(1.5ml)溶液に窒素気流下無水リン酸2ナトリウ
ム26mg(0.25mmol)を加え、−30℃に冷却した。ここに
ナトリウムアマルガム(6%in Hg)600mgを加え、5時
間攪拌した。反応を塩化アンモニウム水溶液で終結さ
せ、エーテル抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、
無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒を減圧下留去し
た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフイー
(n−ヘキサン:酢酸エチル=50:1→10:1)に供し、1
6,17,18,19,20−ペンタノル−15−シクロペンチルイソ
カルバサイクリンメチルエステル−11,15−ビス(t−
ブチルジメチルシリル)エーテル(26)25mg(72%)を
得た。このものは別途合成した標品とTLC,スペクトルデ
ーターが一致した。
NMR(δppm,CDCl3): 0.9(s,18H),1.0〜2.5(m,23H), 3.0(m,1H),3.7(s,3H), 3.7〜4.1(m,2H),5.3(m,1H), 5.55(m,2H) TLC:Rf=0.75(n−ヘキサン:酢酸エチル= : ) 参考例28 参考例25〜27で得られたジシリル体を実施例11と同様に
して脱保護した。
以下にそのNMRスペクトルを記す。
(δppm,CDCl3) 0.9(m,3H),1.0〜2.5(m,28H), 0.3(m,1H),3.7(s,3H), 3.0〜4.1(m,2H),5.3(m,1H), 5.55(m,2H) 0.9(m,3H),1.1(s,3H), 1.2〜2.5(m,24H),3.0(m,1H), 3.65(s,3H),3.8〜4.0(m,1H), 5.3(m,1H),5.55(m,1H) 1.0〜2.5(m,25H),3.0(m,1H), 3.7(s,3H),3.7〜4.1(m,2H), 5.3(m,1H),5.55(m,1H) 参考例29 金属マグネシウム3.31g(0.14グラム原子)に乾燥メタ
ノール90mlを加え窒素雰囲気下室温で攪拌後、ビススル
ホン体(2)11.9g(13.6mmol)の乾燥メタノール(180
ml)溶液を加えた。オイルバスで温めながら攪拌し、溶
媒がリフラツクスするようになつたらオイルバスを取り
除き、室温で溶媒を自然にリフラツクスさせながら30分
間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液450mlを加
え、酢酸エチルで抽出(2×600ml)した。合わせた有
機層を飽和硫酸水素カリウム水溶液(300ml),飽和重
曹水(300ml),飽和食塩水(300ml)で洗浄後、硫酸マ
グネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた粗生成
物(8.23g)をシリカゲルカラムクロマトグラフイーで
分離精製するとヘキサン−酢酸エチル=9:1溶出部に6.5
2g(収率81%)の脱スルホン体(27)を得た。
スペクトルデーター 0.8〜1.0(21H),2.88(1H,m), 3.67(3H,s),3.74(1H,m), 4.06(1H,br),5.25(1H,brs), 5.48(2H,m)
フロントページの続き (72)発明者 坂内 清 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社生物医学研究所内 (72)発明者 黒住 精二 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社生物医学研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−77853(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式[II] で表わされる化合物と、下記式[IV−b] で表わされる化合物,その鏡像体、あるいはそれらの任
    意の割合の混合物である3−メチレン−2,6,7−三置換
    ビシクロ[3.3.0]−オクタン類を、パラジウム化合物
    存在下、位置特異的に反応せしめ、さらに必要に応じて
    脱保護反応、加水分解反応を行うことを特徴とする下記
    式[I] で表わされる化合物,その鏡像体、あるいはそれらの任
    意の割合の混合物であるイソカルバサイクリン類の製造
    方法。
  2. 【請求項2】下記式[II] で表わされる化合物と、下記式[III−b] で表わされる化合物,その鏡像体、あるいはそれらの任
    意の割合の混合物である3,6,7−三置換ビシクロ[3.3.
    0]−2−オクテン類をパラジウム化合物存在下、位置
    特異的に反応せしめ、必要に応じて脱保護反応,加水分
    解反応を行うことを特徴とする下記式[I] で表わされる化合物,その鏡像体、あるいはそれらの任
    意の割合の混合物であるイソカルバサイクリン類の製造
    方法。
JP62139952A 1987-06-05 1987-06-05 イソカルバサイクリン類の製造方法 Expired - Fee Related JPH0798796B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62139952A JPH0798796B2 (ja) 1987-06-05 1987-06-05 イソカルバサイクリン類の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62139952A JPH0798796B2 (ja) 1987-06-05 1987-06-05 イソカルバサイクリン類の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63303962A JPS63303962A (ja) 1988-12-12
JPH0798796B2 true JPH0798796B2 (ja) 1995-10-25

Family

ID=15257497

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62139952A Expired - Fee Related JPH0798796B2 (ja) 1987-06-05 1987-06-05 イソカルバサイクリン類の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0798796B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5206416A (en) * 1985-09-13 1993-04-27 Teijin Limited Isocarbacyclin derivative

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61219118A (ja) * 1985-03-25 1986-09-29 Matsushita Electric Works Ltd 電磁装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63303962A (ja) 1988-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR940003361B1 (ko) 이소카르바시클린류 및 그의 제조방법
WO2014094511A1 (zh) 一种制备曲前列尼尔的中间体、其制备方法以及通过其制备曲前列尼尔的方法
JPH0798796B2 (ja) イソカルバサイクリン類の製造方法
JP3035658B2 (ja) シクロペンテノール誘導体
US5283349A (en) 2,6,7-trisubstituted-3-methylenebicyclo(3.3.0)-octanes, and process for production thereof
JPH0455422B2 (ja)
JPH0645575B2 (ja) 3―メチレン―2,6,7―三置換ビシクロ[3.3.0オクタン類
JPH0220616B2 (ja)
JP2664841B2 (ja) 6,7―二置換―2―ヒドロキシ―3―メチレンビシクロ[3.3.0]オクタン類の製造法
JPH0660155B2 (ja) イソカルバサイクリン類
JP2703392B2 (ja) イソカルバサイクリン類の製造法
JP2774381B2 (ja) α鎖修飾イソカルバサイクリン類およびその製造法
JPH0351695B2 (ja)
JPH0660154B2 (ja) イソカルバサイクリン類
JPH03220158A (ja) 光学活性カルバサイクリン誘導体の製造方法
JPH0655715B2 (ja) 9―デオキソ―6,9―ジメチレンプロスタグランジンe1類
JPH0680024B2 (ja) イソカルバサイクリン類の製造法
JPH07233175A (ja) 金属置換シクロプロピルメタノール誘導体の不斉製造法
JPH0351694B2 (ja)
JPH0714948B2 (ja) イソカルバサイクリン類の製法
JPS6377839A (ja) イソカルバサイクリン類及びその製造法
JPH053863B2 (ja)
JPH0617331B2 (ja) 9―デオキシ―9―ヒドロキシメチルプロスタグランジンF1α類の6―トシルヒドラゾン誘導体
JPH02167A (ja) 5‐チア‐△↑7‐プロスタグランジンe類およびその製造法
JPH0141145B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees