JPH0797572A - 赤外励起発光体 - Google Patents

赤外励起発光体

Info

Publication number
JPH0797572A
JPH0797572A JP18792594A JP18792594A JPH0797572A JP H0797572 A JPH0797572 A JP H0797572A JP 18792594 A JP18792594 A JP 18792594A JP 18792594 A JP18792594 A JP 18792594A JP H0797572 A JPH0797572 A JP H0797572A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
rare earth
infrared
crystal
wavelength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18792594A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaharu Ishiwatari
正治 石渡
Etsuji Kimura
悦治 木村
Michihiro Tanaka
道広 田中
Yasuhiro Hanaue
康宏 花上
Uko Ou
宇湖 王
Shinobu Nagahama
忍 永濱
Shigeto Sawanobori
成人 沢登
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Sumita Optical Glass Inc
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Sumita Optical Glass Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp, Sumita Optical Glass Inc filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP18792594A priority Critical patent/JPH0797572A/ja
Publication of JPH0797572A publication Critical patent/JPH0797572A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lasers (AREA)
  • Luminescent Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式 R1 x R2 (1-x) BaCl3+2z ここで、R1 は希土類元素、0.01<x≦1、R2 は
R1 以外の希土類元素、1<z<4で表わされる赤外励
起発光体であって、好ましくは、希土類イオンの吸収波
長域を除いた400〜1500nmの波長域における透
過率が70%以上の透明結晶であるもの。 【効果】 上記発光体は、赤外光を青色から緑色の波長
域の可視光に変換することができ、光変換効率が高く、
しかも透明体なのでレーザ光の発振素子として用いるこ
とができ、赤外レーザ光を励起源としたコンパクトな実
用性の高い半導体可視光レーザを実現することができ
る。また、フォトダイオードの光変換フィルタや赤外ダ
イオードにおいて可視光への光変換素子などの用途が期
待できる。さらに赤外線検知や光アンプなどにも応用す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、赤外励起によって可視
光を発光する発光体に関し、特に赤外レーザ光を可視光
レーザに変換するレーザ発振素子として好適な透明質結
晶を含む赤外励起発光体に関する。
【0002】
【従来技術】現在、光通信の光源として半導体レーザが
実用化されているが、光通信で用いる半導体レーザは石
英ファイバでの光損失が少ない波長1.33μm 、1.
55μm を発振するように構成されている。またデジタ
ルオーデイオやレーザプリンタなどでも波長780nm程
度の半導体レーザが広く利用されている。他方、波長7
80nm以上の赤外光は目に見えないため、レーザ光を可
視光領域で利用できるように短波長のレーザ発振素子の
開発が進められている。例えば、高密度光メモリー、デ
ィスプレーなどではコンパクトな可視光レーザ光源が望
まれている。ところが現在実用化されている半導体レー
ザの波長は650nm程度の赤色レーザ光であり、これよ
り波長の短い緑色や青色のレーザ光を発振する発光素子
は実用化されていない。因みに、高調波発生器(SH
G)を使用して周波数を倍増し、短波長のレーザ光を得
る試みもあり、これによれば波長850nmの赤外レーザ
光を波長425nmの青色光に変換できるが、温度制御が
難しく、コストも高いので実用的なコンパクトレーザは
実現されていない。
【0003】そこで、アップコンバージョン現象を利用
して赤外半導体レーザ光を青・緑色光に変換するアップ
コンバージョンレーザの開発が期待されている。この種
の発光素子として、これまでに、YLiF4 :Erなど
のフッ化物単結晶あるいはZBLAN ガラスに代表される重
金属フッ化物ガラスなどの材料を用いてアップコンバー
ジョンレーザの発振に成功したことが報告されている
(Wilfried Lenth 他、Optics & Photonics News, 3,
[3], 8-15(1992) )が、発振強度は十分ではなく実用化
に遠い。レーザ発振強度を十分に強くするためにはより
光変換効率の優れた材料が要求され、このような要求に
応えるためにいくつかのガラス材料が開発されている
(特開平3-295828,特開平4- 12035,特開平4-328191な
ど)。
【0004】しかしながら、これらのガラス材料は発光
源であるEr3+などの希土類イオンの濃度を高めること
が本質的に難しいために光路長の短いコンパクトな発光
素子を得ることができない。また、仮に高濃度で希土類
イオンを含有させたとしても濃度消光と呼ばれる現象の
ために逆に発光効率が低下することが知られている。さ
らに、これらガラス材料は一般的に多成分であるので、
均質な組成の発光体を得るのが難しいという製造技術上
の問題もある。
【0005】また、上記ガラス材料はフッ化物ないし酸
化物であり、これらのガラス材料よりも塩化物のほうが
アップコンバージョンの発光効率が良いと指摘されてい
るものの(田部他,セラミックス,26(1991) 144)、塩
化物材料で、十分な発光強度を有し、レーザ光源用の光
変換素子として利用できる透明な発光体は現在得られて
いない。
【0006】
【発明の解決課題】本発明は、従来の上記問題を解決し
たレーザ光源用の光変換素子として利用できる透明な赤
外励起発光体を提供することを目的とする。一般に、多
結晶の固体材料は結晶粒界において光が散乱されるため
に透明にはならず、レーザ発振用素子として用いること
ができない。透明固体を得るためには単結晶化またはガ
ラス化させる必要がある。但し、通常の希土類塩化物は
ガラス化し難く、発光源となる希土類元素の濃度を高め
ることができないため発光効率の高い塩化物ガラスを得
ることは難しい。そこで本発明は希土類塩化物結晶につ
いて検討を進め、塩化バリウムと塩化希土の複合塩化物
において、良好な透明性を有し、しかもこの透明体はア
ップコンバージョンの発光効率に優れ、赤外レーザ光を
青・緑色の可視光レーザに変換する光変換素子として利
用できる化合物を見出した。本発明はかかる知見に基づ
き従来の課題を解決したものである。そこで本発明は希
土類塩化物結晶について検討を進め、塩化Baを母体と
した希土類含有塩化物は、良好な透明性を有し、しかも
この透明体はアップコンバージョンの発光効率に優れ、
赤外レーザ光を青・緑色の可視光レーザに変換する光変
換素子として利用できることを見出した。本発明はかか
る知見に基づき従来の課題を解決したものである。
【0007】
【発明の構成】本発明によれば以下の構成からなる赤外
励起発光体が提供される。 (1) 一般式 R1 x R2 (1-x) BaCl3+2z ここで、R1 は希土類元素、0.01<x≦1、R2 は
R1 以外の希土類元素、1<z<4で表わされる赤外励
起発光体。 (2) 上記一般式において、実質的にz=2であり、
希土類イオンの吸収波長域を除いた400〜1500n
mの波長域における透過率が70%以上である透明質の
上記(1) の赤外励起発光体。 (3)上記一般式において、R1がEr,Tm,Ho,
NdまたはPrから選択される1種または2種以上の希
土類元素である上記(1) の赤外励起発光体。 (4)上記一般式において、R2 がYb,Gd,Y,L
u,CeまたはLaから選択される1種または2種以上
の希土類元素である上記(1) の赤外励起発光体。 (5) 上記一般式において、R1がEr、Tmまたは
Hoであり、x=1である上記(1) の赤外励起発光体。 (6) 上記一般式において、R1がEr、Tmまたは
Hoであり、R2 がYbまたはGdであって、R1 とR
2 の合計量が1である上記(1)の赤外励起発光体。 (7) 上記一般式において、R1がErおよびTmで
あり、R2 がYbまたはGdであって、R1 とR2 の合
計量が1である上記(1) の赤外励起発光体。
【0008】
【具体的な説明】本発明は次の一般式で表わされる複合
塩化物からなる赤外励起発光体である。 R1 x R2 (1-x) BaCl3+2z (R1 は希土類元素、0.01<x≦1、R2 はR1 以
外の希土類元素、1<z<4) 上記化合物は原料粉末を加熱融解し、冷却させ、必要に
応じて再溶融することにより得られる。この化合物は、
X線回折によればBaCl2 およびRECl3(REは
希土類元素)とは異なる独自の回折ピークを有し、従っ
て、これらの単純な複合物ではなく、特に実質的にz=
2の化合物は良好な透明性を有する結晶質の化合物であ
る。
【0009】本発明に係る透明質の上記希土類含有塩化
Ba発光体について、その代表的な化合物であるErB
2 Cl7 の結晶解析結果によれば、本化合物はBa2
原子と1原子の希土類元素に対して7原子の塩素が配位
したREBa2 Cl7 (REは希土類元素)の一般式で
表される結晶質の化合物であり、その結晶学的特徴は空
間群P21 /aの単斜晶系に属する結晶である。従来、
このような希土類含有塩化Ba結晶について、その結晶
構造および赤外励起などの光学的特性は知られていな
い。
【0010】上記一般式において、R1 の希土類元素は
発光源であり、代表的にはEr,Tm,Hoが挙げら
れ、この他にNd,Pr,Dyなどが含まれる。これら
の希土類元素は赤外光が照射されたときに、そのイオン
のエネルギー準位が基底準位から励起準位へと段階的に
遷移し、この遷移エネルギーによって発光する。代表的
なErイオンおよびTmイオンは400nm〜550nmの
波長域でいくつかの発光ピークを有し、特に青色から緑
色の波長で強い発光ピークが得られる。なお、R1は1
種に限らず、2種以上含有しても良い。このR1を2種
以上含有する化合物は入射する励起光の波長に応じて各
々の希土類元素が発光源となり、これに対応した発光ス
ペクトルを生じる。
【0011】発光源であるR1の量比は0.01<x≦
1である。x<0.01の範囲ではErまたはTmなど
の発光源の含有量が少なく、実用に適う発光強度を得る
ことができない。発光源の希土類元素R1 は単独でも発
光するので、発光補助物質であるR2 は必ずしも含有し
なくてもよい。本発明は発光補助物質R2 を含有しない
R1 単独の化合物(上記一般式においてx=1)もその
範囲に含む。
【0012】R2 で示されるR1 以外の希土類元素は発
光補助物質であり、代表的にはY,Gd,Yb,Lu,
La,Euなどが用いられる。これらの希土類元素を単
独で含有するものは赤外光を照射しても発光せず、従っ
て、上記R1 と共に用いられる。R2 の発光補助物質は
主に発光強度を高めるために用いられるが、この他にレ
ーザ発振のしきい(閾)値を下げてレーザ発振し易い条
件を整え、あるいは母材の塩化Baに対して発光源元素
の相対濃度を調整して発光環境を整えるなどの作用を有
する。
【0013】具体的には、例えば、Er−YbおよびT
m−Ybの組合わせでは、吸収係数が大きく励起寿命も
長いYbの励起準位がErあるいはTmの励起準位を安
定化させる働きがあるものと考えられる。Tm−Gdの
組合わせでは、Tm単味の場合の濃度消光を緩和する効
果があると考えられる。
【0014】発光源の希土類元素R1と発光補助物質で
ある希土類元素R2 の合計量は実質的に1である。希土
類元素の量比がこれを外れると単結晶になり難く、透明
結晶が得られない。なお、結晶には多少の固溶や格子欠
陥がつきまとうので、このような僅かな量比の相違は許
容される。希土類元素の合計量は実質的に1であればよ
い。
【0015】本発明の発光体は塩化Baを母材とする。
Baと化学的性質の類似した同族元素のCa,Sr,M
gの塩化物を母材とするものは発光効率が極めて低く、
一部のものは全く発光せず、発光体として用いることが
できない。従って、母材の塩化Baの一部にこれらの同
族元素を積極的に添加する実益はない。なお希土類元素
原料および塩化Ba原料に不可避的に含まれる不純物
は、市販品の原料純度の範囲であれば許容される。
【0016】上記一般式において、Baの量比は1<z
<4の範囲である。特にBaの量比が実質的にz=2で
あるものは、上記結晶構造の透明な結晶体となり、従っ
て、レーザ光の発振素子として好適である。Baの量比
が1<z<4の範囲では、z=2の透明結晶と共に他の
結晶型の化合物が混在するので透明性が低下するが、発
光効率の低下は小さいので、赤外線検知体などの透明性
を必要としない用途に用いることができる。Baの量比
が1<z<4の範囲を外れるとアップコンバージョンの
発光効率が低下するので好ましくない。
【0017】本発明に係る上記希土類Ba複合塩化物結
晶は赤外光が入射すると、青色から緑色(450nm 〜550n
m )の波長域の可視光を発光する。例えば、上記R1が
Er,Tm,Hoの各結晶についてみると、ErBa2
Cl7 は、波長810nm付近の赤外光が入射すると55
0nm付近で最も強く発光する。またYbを添加した(E
r,Yb)Ba2 Cl7 系化合物は980nmあるいは1
500nmの赤外光によって波長550nm付近で強い発光
を有する。この化合物は同時に660nm付近および44
0nm付近にもやや弱い発光ピークを有する。また、Tm
Ba2 Cl7 は790nm付近の赤外光によって455nm
および550nm付近の緑色発光を生じ、これにYbを添
加した(Tm、Yb)Ba2 Cl7結晶は810nmおよ
び980nmの赤外光励起により、530nm、550nmま
たは490nm付近の緑色発光を生じる。同様に、HoB
2 Cl7 は650nm付近の励起光によって、主に49
0nmまたは550nm付近の緑色発光を生じる。
【0018】上記Er,Tm,Ho以外のR1を含有す
る化合物については、例えば、Ndは600nm付近の励
起光によって400nm付近の発光を示す。Ndを単独
(R1=Nd、x=1)で塩化Baに添加しても透明体
結晶を得るのは難しいが、GdまたはYbと併用し(R
1=Nd、R2 =GdまたはYb)、x=0.001〜
0.5の範囲で上記波長の発光ピークを有する透明体結
晶を得ることができる。また、Prは1010nmおよび
835nmの2波長励起によって青、緑、赤の各波長の発
光を生じるが、Prを単独(R1=Pr、x=1)で塩
化Baに添加しても透明体結晶を得るのは難しいので、
GdまたはYbと併用(R2 =GdまたはYb)するこ
とにより、上記色調の発光を生じる透明結晶を得ること
が期待できる。
【0019】Tmは480nmと450nmに発光ピークを
有するが、EuとTmを組合せることにより480nmの
発光が抑制され、450nmのレーザ発振が容易になるこ
とが期待できる。Sm、Tbも同様の効果がある。さら
にTbはエネルギー準位によれば380nmおよび500
nmでの発光が期待でき、発光源物質となる可能がある
が、励起途中の準位が欠けているので、これとEr、Y
b、Hoなどを組合せて中間準位を形成すれば発光が期
待できる。
【0020】なお、以上のように本発明の結晶体は、ア
ップコンバージョン現象による優れた波長変換特性を有
しており、赤外光を可視光に変換することはもとより、
赤色光などの比較的波長の長い可視光を紫色や紫外光な
どのより波長の短い光に変換することもでき、従って本
発明において赤外励起発光体とはこのような場合をも含
む。
【0021】
【実施例および比較例】本発明の実施例を以下に示す。
なお本実施例は例示であり本発明の範囲を限定するもの
ではない。
【0022】実施例1 純度99.9%のEr2 3 粉末28g、純度99.9%のBa
Cl2 粉末60gを、グラファイト微粉末3gと共にグ
ラッシーカーボン製のルツボに装入し、石英ガラス製の
反応容器内で200℃に加熱し、10-3torrまで真空引き
した後、Arガスを流しながら1000℃まで加熱して
BaCl2 主体の融体を形成させ、ここに塩素ガスを30
0ml/min の流量で90分間吹き込み、Er2 3 を完全
に塩素化した。塩素化の終了した試料は、未反応グラフ
ァイト粉末を分離するために750℃の温度下で1時間
静置し、さらに650℃から520℃まで毎時5℃の速
度で徐冷した後に室温まで完全に冷却した。
【0023】得られた化合物は約2mm角、長さ20mm程
度の針状あるいは4mm角程度の多面体状の透明結晶を含
んでいた。この幾つかの透明結晶を化学分析したとこ
ろ、ErとBaの量比は分析精度内で全て1:2であっ
た。また、これを粉砕し、粉末X線回折によって測定し
たところ、図1に示すように、ErCl3 およびBaC
2 の回折ピークは見当たらず、従って、この結晶はこ
れらの混合物ではなく、ErBa2 Cl7 の組成を有す
る単一化合物であることが確認された。(図1中(a)は
本実施例化合物、(b) はBaCl2 、(c) はErCl3
のピーク位置を示すX線回折チャートである。)さらに
上記結晶について、四軸ゴニオメータ(理学電機社製、
AFC5R 型)を用いて構造解析を行った。分析試料は上記
結晶の小片(約0.4 mm)を石英ガラス製キャピラリーに
封入したものを用いた。構造解析の結果によれば上記化
合物は、格子定数a=10.500Å、b=15.507Å、c=6.
804 Å、軸角β=90.48 ゜である空間群P21 /aの単
斜晶系に属する結晶である。この結晶解析データを表1
に示した。さらに、構造解析の結果に基づく結晶構造の
概念図を図3に示した。
【0024】
【表1】
【0025】また上記結晶(厚さ2mm)の透過率を40
0〜1500nmの波長域で測定したところ、Erイオン
の吸収波長以外では80%以上の透過率が得られた。な
お、上記結晶は空気中で吸湿により劣化し易いために、
試料の劣化および表面の反射や散乱を防ぐために試料表
面を透明フィルムで覆って透過率を測定した。具体的に
は透過率は、試料を不透明のワックスに埋め込み、表面
を研磨して試料を露出させ、この露出面に流動パラフィ
ンを薄く塗布して透明フィルムで覆い、分光光度計を用
い、各波長の入射光の強度を100としたとき、これに
対する試料を透過した後の透過光の強度の相対値(透過
光強度/入射光強度:%)によって測定した。この測定
方法によれば、試料表面を覆う透明フィルムによる吸収
が必然的に生じ、また界面での反射や散乱の影響のた
め、裸の試料に比べて15〜20%程度の透過率の減少
は避けられない。因みに本測定方法における透過率80
%は市販されている通常の透明ガラス(スライドガラ
ス)と同等である。
【0026】この透明結晶に規格値波長810nmの半導
体レーザ光(実測値807nm 、出力4mW)を照射したとこ
ろ、結晶内部で線状に緑色発光することが観察された。
この発光スペクトルを図5に示した。また、この透明結
晶に波長980nmのパルスレーザ光(約1mJ)を照射し
たところ、青色〜白色の発光が確認された。この発光ス
ペクトルを図4に併せて示した。
【0027】実施例2 純度99.9%のTm2 3 粉末28gをEr2 3 粉末に
代えて用いた他は実施例1と同様にして透明結晶を得
た。この結晶を化学分析したところ、TmとBaの量比
は分析精度内で全て1:2であった。また、これを粉砕
し、粉末X線回折によって測定したところ、図2に示す
ように、TmCl3 およびBaCl2 の回折ピークは見
当たらず、従って、この結晶はこれらの混合物ではなく
TmBa2Cl7 の組成を有する単一化合物であること
が確認された。(図2中 (a)は本実施例化合物、(b) は
BaCl2 、(c) はErCl3 のピーク位置を示すX線
回折チャート) また、厚さ2mmの上記結晶の透過率を400〜1500
nmの波長域で測定したところ、Tmイオンの吸収波長以
外では80%以上の透過率が得られた。更に、この透明
結晶に規格値波長785nmの半導体レーザ光(実測値79
0nm,出力18mW)を照射したところ、結晶内部で青緑色の
発光が観察された。この発光スペクトルを図5に示し
た。
【0028】実施例3 実施例1と同様にして表2に示す組成の透明結晶を製造
し、この結晶について表2に示す波長の光を入射し、そ
の発光状態を観察した。これらの結果を実施例1、2の
結果と共に表2に纏めて示した。また各試料について、
その発光スペクトルを図6(実施例3)、図7(実施例
4)、図8(実施例5)、図9(実施例6)、図10
(実施例7)に示した。表2に示すように、本実施例の
試料は何れも赤外光の励起により、緑色ないし青色の発
光を示し、その強度も強い。
【0029】
【表2】
【0030】実施例4 無水塩化エルビウム(ErCl3 )と無水塩化バリウム
(BaCl2 )をアルゴン雰囲気のグローボックス中で
混合し、石英アンプルに真空封入したものを電気炉で溶
融し、冷却固化させることにより次表に示す組成の試料
(1) 〜(6) を製造した。この試料に、波長810nm の半導
体レーザ光(約35mW)を照射したところ、すべての試
料について強い緑色発光が目視によって観察された。こ
こで、試料(2) 〜(6) については発光強度の相違は殆ど
なかったが、試料(1) および(6)の発光はやや低かっ
た。
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】本発明の発光体は、赤外光を青色から緑
色の波長域の可視光に変換することができ、光変換効率
が高く強い発光を得ることができる。さらに、Baの量
比が2前後の化合物は高い透明性を有するのでレーザ光
の発振素子として用いることができ、赤外レーザ光を励
起源としたコンパクトな実用性の高い半導体可視光レー
ザを実現することができる。また、フォトダイオードの
光変換フィルタや赤外ダイオードにおいて可視光への光
変換素子などの用途が期待できる。さらに赤外線検知や
光アンプなどにも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の化合物のX線回折チャート。
【図2】 実施例2の化合物のX線回折チャート。
【図3】 実施例1の化合物の結晶構造を示す立体模式
図。
【図4】(a)(b)実施例1の化合物の発光スペクト
ル図。
【図5】 実施例2の化合物の発光スペクトル図。
【図6】 実施例3の化合物の発光スペクトル図。
【図7】(a)(b)実施例4の化合物の発光スペクト
ル図。
【図8】(a)(b)実施例5の化合物の発光スペクト
ル図。
【図9】(a)(b)実施例6の化合物の発光スペクト
ル図。
【図10】(a)(b)実施例7の化合物の発光スペク
トル図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 道広 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社中央研究所内 (72)発明者 花上 康宏 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社中央研究所内 (72)発明者 王 宇湖 埼玉県浦和市針ケ谷4丁目7番25号 株式 会社住田光学ガラス内 (72)発明者 永濱 忍 埼玉県浦和市針ケ谷4丁目7番25号 株式 会社住田光学ガラス内 (72)発明者 沢登 成人 埼玉県浦和市針ケ谷4丁目7番25号 株式 会社住田光学ガラス内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 R1 x R2 (1-x) BaCl
    3+2z ここで、R1 は希土類元素、0.01<x≦1、R2 は
    R1 以外の希土類元素、1<z<4で表わされる赤外励
    起発光体。
  2. 【請求項2】 上記一般式において、実質的にz=2で
    あり、希土類イオンの吸収波長域を除いた400〜15
    00nmの波長域における透過率が70%以上である透
    明質の請求項1の赤外励起発光体。
  3. 【請求項3】 上記一般式において、R1がEr,T
    m,Ho,NdまたはPrから選択される1種または2
    種以上の希土類元素である請求項2の赤外励起発光体。
  4. 【請求項4】 上記一般式において、R2 がYb,G
    d,Y,Lu,CeまたはLaから選択される1種また
    は2種以上の希土類元素である請求項2の赤外励起発光
    体。
  5. 【請求項5】 上記一般式において、R1がEr、Tm
    またはHoであり、x=1である請求項2の赤外励起発
    光体。
  6. 【請求項6】 上記一般式において、R1がEr、Tm
    またはHoであり、R2 がYbまたはGdであって、R
    1 とR2 の合計量が1である請求項2の赤外励起発光
    体。
  7. 【請求項7】 上記一般式において、R1がErおよび
    Tmであり、R2 がYbまたはGdであって、R1 とR
    2 の合計量が1である請求項2の赤外励起発光体。
JP18792594A 1993-08-06 1994-07-19 赤外励起発光体 Pending JPH0797572A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18792594A JPH0797572A (ja) 1993-08-06 1994-07-19 赤外励起発光体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21493593 1993-08-06
JP5-214935 1993-08-06
JP18792594A JPH0797572A (ja) 1993-08-06 1994-07-19 赤外励起発光体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0797572A true JPH0797572A (ja) 1995-04-11

Family

ID=26504643

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18792594A Pending JPH0797572A (ja) 1993-08-06 1994-07-19 赤外励起発光体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0797572A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2241244A1 (en) 2008-06-04 2010-10-20 Fujifilm Corporation Illumination device for use in endoscope
US8790253B2 (en) 2008-06-13 2014-07-29 Fujifilm Corporation Light source device, imaging apparatus and endoscope apparatus

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2241244A1 (en) 2008-06-04 2010-10-20 Fujifilm Corporation Illumination device for use in endoscope
US8337400B2 (en) 2008-06-04 2012-12-25 Fujifilm Corporation Illumination device for use in endoscope
US8506478B2 (en) 2008-06-04 2013-08-13 Fujifilm Corporation Illumination device for use in endoscope
US8790253B2 (en) 2008-06-13 2014-07-29 Fujifilm Corporation Light source device, imaging apparatus and endoscope apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Qiu et al. Photostimulated luminescence in Eu 2+-doped fluoroaluminate glasses
Auzel et al. Rare earth doped vitroceramics: new, efficient, blue and green emitting materials for infrared up‐conversion
KR101538194B1 (ko) 중성자 검출용 신틸레이터 및 중성자 검출 장치
US6015765A (en) Rare earth soluble telluride glasses
Ribeiro et al. Optical spectroscopy of Er 3+ and Yb 3+ co-doped fluoroindate glasses
US5391320A (en) Terbium activated silicate luminescent glasses
JP5652904B2 (ja) 中性子シンチレータ用酸化物結晶及びこれを用いた中性子シンチレータ
US5439616A (en) Infrared light-excited light-emitting substance
Krol et al. Luminescence and absorption of Tb3+ in mo· Al2O3· B2O3· Tb2O3 glasses
JPH0797572A (ja) 赤外励起発光体
Arshad et al. Spectroscopic and photoluminescence properties of praseodymium doped potassium aluminum phosphate (P2O5-K2O-Al2O3) glasses for optoelectronics applications.
Anjaiah et al. Concentration dependent luminescence and energy transfer properties of samarium doped LLSZFB glasses
CN1391536A (zh) 氟亚碲酸盐放大器玻璃
US6623661B2 (en) Method for producing photostimulable phosphor
JP2002274882A (ja) 遷移金属含有カルコゲン化物ガラス発光体
CN114920460B (zh) 一种双相量子点微晶玻璃及其制备方法和应用
Yuan et al. Distinctive Ce 3+ luminescence from single-crystalline and glassy Ce: LaB 3 O 6
JP3396264B2 (ja) 赤外青色光波長上方変換蛍光体
JP3366365B2 (ja) 赤外可視波長上方変換材料
JP3529162B2 (ja) 赤外可視波長上方変換材料
RU2190704C2 (ru) Монокристаллический лазерный материал
Kozhevnikova Preparation, Absorption Spectra, and Luminescence Properties of Er2O3-and Yb2O3-Doped Oxyfluoride Glasses in the SrF2–SiO2–B2O3–Bi2O3–ZnO–Y2O3 System
Kozhevnikova Preparation, Absorption Spectra, and Luminescence Properties of Er2O3-and Yb2O3-Doped Oxyfluoride Glasses in the CaF2–SiO2–B2O3–Bi2O3–TiO2–ZnO–Y2O3 System
JPH04349141A (ja) 波長変換ガラス材料
JPH08217491A (ja) 波長変換ガラス材

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030506