JPH079067Y2 - ミクロフロ−セル測定装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 （産業上の利用分野） 本考案は液体クロマトグラフィーの検出器等として使わ
れる分光蛍光光度計等のミクロフローセル測定装置に関
し、特に水平配置のフローセルを用い励起する光を水平
に照射する場合に液の淀みとそれに伴うコンタミネーシ
ョンが少なく、高感度の測定を可能とするミクロフロー
セル測定装置に関するものである。

（従来の技術） 分光蛍光光度計は高感度測定が主なる目的のため、いろ
いろな工夫が成されている。つまり、従来は励起光を垂
直に試料に照射し蛍光を水平に取り出す方式が主流であ
ったが、最近は励起光も水平に照射する方式が多くなっ
ている。本出願人は先にこの種の分光蛍光光度計で用い
るのに適したミクロフローセルの取付装置を提案してい
る（実公昭59−12594号）。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、こうした方式のミクロフローセルを液体クロマ
トグラフィーの検出器としての分光蛍光光度計で用いる
と、セルの容量を小さくしなければならいとともに垂直
方向に流れる液に対して励起光が水平に入射するため、
光が照射される実質のセル容量が少なくなる結果感度の
点で問題となる。そこで効率を良くするために、フロー
セル自身も水平配置とするのが好ましく、例えば第１図
に示すようなセルが一般に考えられる。第１図のフロー
セル21において、22は入口孔、23は流通路、24は出口孔
であり、液は矢印のごとく下側の入口孔22からセルに入
って流通路を通り出口孔24からセルの外へ出る。

このような構成が最も簡単であるが、水平配置であるた
め液の流れが悪く、特に図中Ａで示した隅の部分に液が
淀みやすくコンタミネーションの原因となって、高感度
の測定が妨げられる。

従って本考案の目的は、水平配置のフローセルを用い励
起する光を水平に照射する場合にも液の淀みとそれに伴
うコンタミネーションが少なく、高感度の測定を可能と
するミクロフローセル測定装置を提供することにある。

考案の構成 （問題点を解決する手段） 上記の目的を達成するため、本考案によるミクロフロー
セル測定装置は、励起する光を水平に照射し高感度測定
を目的とする分光蛍光光度計用などの水平配置式ミクロ
フローセル測定装置において、ミクロフローセルを出口
孔を有する上板と、流通路を有する中板と、入口孔を有
する下板とを重ね一体状に溶着して構成し、上記出入口
孔のそれぞれの一部を流通路の各端と連通せしめ該連通
部を介して液が流路れるようにしたことを特徴とするも
のである。

これによって、流通路内で液の淀みが生じるのを避けら
れ、従ってコンタミネーションも防ぐことができる。液
の流通管は一般に断面が円形であるから、上記出入口孔
をそれぞれ円形とし、その各半円を流通路の各端と連通
せしめるのが好ましい。

また散乱光を少なくしてその影響を弱め、より高い感度
の測定を可能とするため、上記の上下板は黒色の石英板
で形成するのが好ましい。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を第２図以下に沿って詳しく説
明する。

まず、断面図と分解斜視図である第2a,b図を参照し、本
考案で用いるミクロフローセル１の構成を説明すれば、
ミクロフローセル１は３枚の石英製板材つまり片側部分
（図中左側）に出口孔11を有する上板１−１と、中央部
分に縦長の流通路12を有する中板１−２と、他側部分
（図中右側）に入口孔13を有する下板１−３とから成
る。これら３枚の板を重ね一体状に溶着してミクロフロ
ーセル１が構成されるが、ここで上記出入口孔11、13は
流通路12に対して部分的にずらして形成配置されてい
る。すなわち第2a図から明らかなように、各孔11、13は
その開口域全体が流通路12と連通しているのでなく、そ
れぞれの一部が流通路の各端と連通せしめられる。図示
例では、出口孔11の右側半分が流通路12の左端と連通さ
れ、また入口孔13の左側半分が流通路12の右端の連通さ
れ、これらの連通部を介して矢印のごとく液が流れるよ
うにする。

このように構成したミクロフローセル１では、出入口孔
11,13の断面と流通路12との間の連通部において液の流
通路両端に出入口孔の一部分のみを流路断面幅の全長に
互って位置させることによって、液は流通断面幅全長に
互って流れるため流通路にこれまでのような隅部分が存
在し得なくなり、液は流通路12の左右それぞれの端部で
淀みを生ずることなく流れる。尚、液の流通管は一般に
断面が円形であるから、出入口孔11、13も円形とし、各
々の半分を流通路12の各端と連通しそこを通って液が流
れるようにするのが好ましい。

次に、上記のミクロフローセルを組み込んだ測定装置に
ついて第３、４図を参照して説明する。第3b図に示すご
とく、ミクロフローセル１は上下のセルホルダー５、６
間にテフロンパッキン２をそれぞれ介して水平に保持さ
れ、液は矢印で示したように下方セルホルダー６の図中
右側から入り、ミクロフローセル１を通って上方セルホ
ルダー５の図中左側へと流出する。このミクロフローセ
ル１を通って流れる液に対し、平面図である第3a図に示
すように、励起光Ｅが照射され、これと直角な方向に蛍
光Ｆが取り出される。

ミクロフローセル１の上下セルホルダー５、６間におけ
る取付け状態は、第４図の詳しく示してあり、図中４は
マスク、７はその締付けネジである。図には示してない
が、励起側にもマスク４と同様のマスクが取付けられて
いる。尚、上方ホルダー５は下方ホルダー６に対して締
付けネジ８で上下にスライド可能であり、この点に関す
る具体的な構成については、前出の実公昭第59−12594
号等を参照のこと。

また、本考案のミクロフローセルを液体クロマトグラフ
ィーで用いる場合には、セル容量が小さく蛍光強度が制
限され迷光の影響を受けやすいため、上下の石英板を黒
色の石英で形成すれば、散乱光を少なくできより高い感
度の測定が可能となって好ましい。

（考案の効果） 以上述べたように本考案によれば、水平配置のフローセ
ルを用い励起する光を水平に照射する場合にも、簡単な
改良によって液の淀みとそれに伴うコンタミネーション
を有効に減少し、高感度の測定を可能とするミクロフロ
ーセル測定装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はミクロフローセルを水平配置した場合の問題点
を説明するための図、第2a,b図はそれぞれ本考案による
ミクロフローセルの断面図と分解斜視図、第3a,bはそれ
ぞれミクロフローセルを組み込んだ測定装置の平面図と
Ａ−Ａ′線断面図、第４図はミクロフローセルの取付け
状態を示す詳細図である。 １…ミクロフローセル、１−１…上板、１−２…中板、
１−３…下板、11…出口孔、12…流通路、13…入口孔。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】励起する光を水平に照射し高感度測定を目
   的とする分光螢光光度計用などの水平配置ミクロフロー
   セル測定装置において、ミクロフローセルを出口孔を有
   する上板と、流通路を有する中板と、入口孔を有する下
   板とを重ね一体状に溶着して構成し、上記出入口孔をそ
   れぞれほぼ円形とし、その半円状部分のみを液が流れる
   ようにして流通路の各端と連通せしめたことを特徴とす
   るミクロフローセル測定装置。
2. 【請求項２】上記液の出入口孔を設けた上下板を黒色の
   石英板としたことを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項記載のミクロフローセル測定装置。