JPH0790554A

JPH0790554A - 成膜装置

Info

Publication number: JPH0790554A
Application number: JP23197393A
Authority: JP
Inventors: Noriyuki Kitaori; 典之北折; Osamu Yoshida; 修吉田; Hirohide Mizunoya; 博英水野谷; Akira Shiga; 章志賀
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 1993-09-17
Filing date: 1993-09-17
Publication date: 1995-04-04

Abstract

(57)【要約】【目的】高性能な磁気記録媒体を効率良く得ることが
出来る技術を提供することにある。【構成】容器内の金属材料を蒸発させ、支持体に堆積
させることにより金属膜を構成する成膜装置であって、
前記金属材料の溶湯上に浮かべられる板体と、この板体
上に金属材料を供給する供給手段とを具備する成膜装
置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば磁気記録媒体の
製造装置に関するものである。

【０００２】

【発明の背景】磁気テープ等の磁気記録媒体において
は、高密度記録化の要請から、非磁性支持体上に設けら
れる磁性層として、バインダ樹脂を用いた塗布型のもの
ではなく、バインダ樹脂を用いない金属薄膜型のものが
提案されていることは周知の通りである。

【０００３】すなわち、無電解メッキといった湿式メッ
キ手段、真空蒸着、スパッタリングあるいはイオンプレ
ーティングといった乾式メッキ手段により磁性層を構成
した磁気記録媒体が提案されている。そして、この種の
磁気記録媒体は磁性体の充填密度が高いことから、高密
度記録に適したものである。特に、蒸着手段により磁性
膜を構成する手段は、スパッタリングによる場合よりも
成膜速度が速いことから好ましいものと言われている。

【０００４】このような蒸着手段による磁気記録媒体の
製造装置は、図５のように構成されているものが一般的
である。尚、図５中、２１は冷却キャン、２２はポリエ
チレンテレフタレート（ＰＥＴ）フィルムの供給側ロー
ル、２３はＰＥＴフィルムの巻取側ロール、２４は遮蔽
板、２５はルツボ、２６は磁性合金、２７は電子銃、２
８は真空容器、２９は供給装置である。すなわち、真空
容器２８内を所定の真空度のものに排気した後、電子銃
２７を作動させてルツボ２５内の磁性合金２６を蒸発さ
せ、ＰＥＴフィルムに対して磁性合金２６を堆積（蒸
着）させることによって磁気記録媒体が製造されてい
る。

【０００５】ところで、このような製造装置において長
尺状のＰＥＴフィルムに連続的に磁性材料を蒸着させる
為には、蒸発により失われた磁性金属を補給する必要が
ある。そこで、供給装置２９でルツボ２５に磁性合金の
塊３０を供給しているのである。しかし、従来にあって
は、磁性合金の塊３０がルツボ２５に瞬間的に落ち込む
ので、溶湯温度が瞬間的に低下し、蒸着レートが瞬間的
に下がったり、又、突沸が起きたりしたりしていた。更
に、磁性合金の塊３０が溶湯内に落下した際、液跳ねが
起き、又、溶湯に波が生じていた。この為、ＰＥＴフィ
ルム上に堆積する磁性膜に欠陥が引き起こされ、高性能
な磁気記録媒体の生産効率が著しく低下してしまうと言
う問題があった。

【０００６】

【発明の開示】本発明の目的は、高性能な磁気記録媒体
を効率良く得ることが出来る技術を提供することにあ
る。この本発明の目的は、容器内の金属材料を蒸発さ
せ、支持体に堆積させることにより金属膜を構成する成
膜装置であって、前記金属材料の溶湯上に浮かべられる
板体と、この板体上に金属材料を供給する供給手段とを
具備することを特徴とする成膜装置によって達成され
る。

【０００７】尚、前記板体は、耐熱性の観点からセラミ
ックスで構成されていることが好ましく、例えば２００
０℃以上の融点であり、かつ、低比重のセラミックス、
例えばＣｒ₂Ｏ₃、Ａｌ₂Ｏ₃、Ｓｉ₃Ｎ₄、ＭｇＯ、
ＢｅＯ、ＢＮ、Ｂ₄Ｃ₃、ＳｉＣなどで構成されている
ものが好ましい。又、前記供給される金属材料は、板状
に構成されていることが好ましく、特に、厚さが０．５
ｍｍ〜５ｍｍであることが好ましい。

【０００８】又、前記板体を所定の位置（蒸発部分以外
の位置、例えば蒸発部分から離れた位置）に規制する規
制手段を具備することが好ましい。そして、本発明によ
れば、磁性材料の供給に際して磁性材料が一度板体上に
乗り、この上で温められ、そしてゆっくりと溶湯内に入
るので、溶湯温度が急激に低下といった不都合は起きな
い。この為、蒸着レートも大幅に低下することはない。
又、従来のような液跳ねが起きることもなく、かつ、溶
湯に波が立つといったこともない。従って、溶湯の液面
は安定しており、磁性材料の蒸発が安定しており、支持
体上に堆積する磁性膜に欠陥が引き起こされ難く、高性
能な磁気記録媒体が生産効率良く得られ、磁気記録媒体
が低コストで得られる。

【０００９】以下、実施例を挙げて説明する。

【００１０】

【実施例】図１〜図４は本発明になる成膜装置の一実施
例を示す図であり、図１は磁気記録媒体の製造装置全体
の概略図、図２は要部の斜視図、図３は要部の平面図、
図４は要部の概略断面図である。各図中、１は冷却キャ
ン、２はＰＥＴフィルムなどの非磁性の支持体、３ａは
支持体２の供給側ロール、３ｂは支持体２の巻取側ロー
ル、４は遮蔽板、５はＣｏ−Ｎｉ磁性合金、６は電子
銃、７は真空容器、８はルツボである。尚、これらの部
分の構成は、既に周知であるから詳細な説明は省略す
る。

【００１１】９はルツボ８に供給されるＣｏ−Ｎｉ磁性
合金のペレットであり、特に円板状に形成されている。
又、後述する板体１０上で温まり易いよう、例えば０．
５ｍｍ〜５ｍｍといった薄い厚さに形成されている。１
０は磁性合金５の溶湯上に浮かべた板体であり、融点が
高く、低比重のセラミックス材料で構成され、その形状
は円板状に形成されている。そして、溶湯上に浮かべた
板体１０の上にペレット９を供給して乗せると、板体１
０はバランスを失い、ペレット９が溶湯内に沈んで行く
ようになっている。すなわち、一旦、ペレット９を板体
１０に乗せてペレット９を温め、それからペレット９を
溶湯内に入れるのである。尚、ペレット９が溶湯内に直
ちに沈まない場合であっても、ペレット９の重さで板体
１０が沈み、薄いペレット９が溶湯内に供給される。こ
のように、ペレット９は溶湯内に急激に落下するといっ
たものでないから、溶湯温度が急激に低下せず、又、突
沸するといったこともない。又、ペレット９が一度板体
１０上に乗り、それから沈むので、直接ペレット９が溶
湯内に落下する場合と比べ、液跳ねが起きず、かつ、溶
湯に波が立たず、蒸発部分の液面状態が安定している。

【００１２】１１は板体１０をルツボ８内の所定の位置
に規制する規制装置であり、融点が高いセラミックス材
料で構成されている。そして、図２，３に示す如く、規
制装置１１はルツボ８のペレット供給装置１２側に配設
されており、溶湯上に浮かんでいる板体１０を挟持し、
ペレット９が供給される位置（蒸発位置から離れた位
置）から移動しないようになっている。

【００１３】１２はペレット９を供給する供給装置であ
り、ペレット９の供給量を制御する本体１２ａとペレッ
ト９を板体１０上に導く供給路１２ｂとから構成されて
いる。尚、本体１２ａには、一辺がペレット９の直径と
ほぼ等しい十字形をしたシャッター１２ｃが設けられて
おり、モーター（図示せず）によりシャッター１２ｃが
１／４ずつ回転し、ペレット９を供給路１２ｂに一枚ず
つ送り出すようになっている。

【００１４】次に、上記のように構成させた装置を用い
て磁気記録媒体を製造する工程について説明する。ま
ず、真空容器７内を所定の真空度のものに排気した後、
電子銃６を作動させてルツボ８内の磁性合金５を蒸発さ
せ、支持体２に対して磁性合金の粒子を斜め蒸着させ
る。そして、蒸発により磁性合金５が減って行くと、シ
ャッター１２ｃが作動して一枚ずつペレット９が供給路
１２ｂに送り出される。すると、ペレット９は供給路１
２ｂに沿って移動し始め、板体１０上に供給される。供
給されたペレット９は、暫くの間板体１０上にあるが、
板体１０がバランスを失い、溶湯内にゆっくりと入って
行く。尚、ペレット９が板体１０上に乗っかたままで
も、板体１０がペレット９の重さで次第に沈み、ペレッ
ト９はゆっくり供給される。そして、この作業中におい
て、板体１０は規制装置１１により所定の位置に規制さ
れているので、蒸発部分に移動することはなく、蒸着作
業の邪魔をすることはない。

【００１５】このように、蒸着作業が行われている時に
磁性合金が溶湯内に絶えず供給されるので、磁性合金が
なくなった為に途中で蒸着作業を中断しなければならな
いといったことはなく、効率良く磁性膜を形成でき、し
かも材料供給によって溶湯面が変動を受けるといったも
のではないから、磁性膜は綺麗に形成できるようにな
り、高品質な磁気記録媒体が歩留り良く製造される。

【００１６】尚、上記の説明では、磁性膜の形成に用い
られた場合であるが、バックコート膜を金属薄膜で形成
する場合にも用いられる。

【００１７】

【効果】本発明によれば、材料が溶湯内に供給された
際、溶湯温度が急激に下がるといったことがなく、又、
液跳ねが起きず、しかも溶湯に波立ちも起きず、蒸発部
分での液面状態は極めて安定している。従って、安定し
た蒸発を長時間にわたって連続して行わせることが出
来、高品質な膜を効率よく得ることが出来、例えば高性
能な磁気記録媒体を低コストで得ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明になる磁気記録媒体の製造装置全体の概
略図

【図２】本発明になる磁気記録媒体の製造装置要部の斜
視図

【図３】本発明になる磁気記録媒体の製造装置要部の平
面図

【図４】本発明になる磁気記録媒体の製造装置要部の概
略断面図

【図５】従来の磁気記録媒体の製造装置の概略図

【符号の説明】

１冷却キャン２支持体３ａ供給側ロール３ｂ巻取側ロール５磁性合金６電子銃７真空容器８ルツボ９ペレット１０板体１１規制装置１２供給装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者志賀章栃木県芳賀郡市貝町大字赤羽2606 花王株式会社情報科学研究所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】容器内の金属材料を蒸発させ、支持体に
堆積させることにより金属膜を構成する成膜装置であっ
て、前記金属材料の溶湯上に浮かべられる板体と、この板体
上に金属材料を供給する供給手段とを具備することを特
徴とする成膜装置。
【請求項２】板体がセラミックスで構成されているこ
とを特徴とする請求項１の成膜装置。
【請求項３】供給される金属材料が板状に構成されて
いることを特徴とする請求項１の成膜装置。
【請求項４】板体を容器内の所定の位置に規制する規
制手段を具備することを特徴とする請求項１の成膜装
置。