JPH0790446B2 - 工作機械のタレット工具台の割出制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、工作機械のタレット工具台に関する。更に詳
しくは、タレット工具台を高速で割出すためのタレット
工具台の割出制御装置を提供することにある。

［従来技術］ 工作機械の加工で複数個の工具を使う場合、タレット工
具台を使用し、これを順次旋回させて割り出すことによ
り、工具をいちいち取り換えることなしに各種の加工作
業を能率的に行っている。例えば、旋盤のタレット工具
台であれば正面削り、きりもみ、中ぐり、ねじ切りなど
の作業を順次工具を割出すことにより能率的に行ってい
る。工具台の形式から分類すると、六角形、平形、ドラ
ム形などが知られている。タレット工具台の割り出しの
速度が遅いと実切削時間が短くなり、切削能率が悪くな
る。

一方、タレット工具台の割り出し位置決め機構は、カー
ビックカップリング機構、ノックピンを挿入して位置決
めする方法などが知られている。特開昭62−9853号公報
には、切削、研削などの工作機械ではないが、間欠割出
し装置として鼓状の形をしたカムで、軸の周面に放射状
に取り付けられている複数のカムフォロアを間欠的に回
転駆動させる割り出し回転式自動作業装置が記載されて
いる。カムの形状と、テーブルの位置を対応させて記憶
しておき正確に位置決めするものである。

［発明が解決しようとする問題点］ 前記した従来のタレット工具台の割り出し位置決めは、
回転させる割り出し動作とクランプ動作との２動作が必
要である。タレット工具台を回転させて所望位置に割り
出した後、タレット工具台を動かないように次の動作で
油圧などの手段で固定するものである。このためタレッ
ト工具台の回転割り出し時間を短縮するには前記２動作
を含み限界があった。

特開昭62−9853号公報のような割出制御装置はカム軸、
カムフォロア両軸から回転角度を検出しなければならな
い。このため制御装置が複雑になる。また、位置決め精
度も要求されるためスピードが上げられない問題もあ
る。

本発明の目的は、クランプ動作なしで割出しするだけで
必要なタレット面を使用できる割出機構に最適な工作機
械のタレット工具台の割出制御装置を提供することにあ
る。

更に、本発明の他の目的は、高速の割出しができるよう
に最適に制御する工作機械のタレット工具台の割出し機
構を提供することである。

［前記問題点を解決するための手段］ 前記問題点を解決するために本発明は以下のような手段
を採る。

a.機械加工のために複数のタレット面にそれぞれ工具を
備えたタレット（７）と、 b.前記タレット（７）に固定されたタレット軸（３）
と、 c.前記タレット軸（３）を軸方向に不動に支持しスラス
ト方向の荷重を支えるためのベアリング（４）と、 d.前記タレット軸（３）に設けられたカムフォロア
（８）と、 e.前記カムフォロア（８）を回転させるために、前記カ
ムフォロア（８）に係合するカム面を有するカム（20）
と、 f.前記タレット面を割出しするのに前記カム（20）を駆
動するための割出し用モータ（26）と、 g.前記カム面（21）には前記カムフォロア（８）を回転
駆動しない軌道面を形成する直線部（30）とを有する工
作機械において、 h.前記カム（20）に固定された第１ドッグ（45）と、 i.前記カム（20）に固定された第２ドッグ（46）と、 j.前記第２ドッグ（46）を検知し、前記タレット（７）
が所定角度に割りだされたかを確認するための停止確認
センサ（44）と、 k.前記第１ドッグ（45）を検知し、割出停止信号を前記
割出し用モータ（26）に発する停止指令センサ（43）
と、 l.前記停止指令センサ（43）の出力信号を受け前記直線
部（30）の位置で前記カム面（21）と前記カムフォロア
（８）とがかみ合って停止するように時定数を設定した
制御装置と m.からなる工作機械のタレット工具台の割出制御装置で
ある。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。第１図
に示すものは、タレット工具台１の一部断面である。タ
レット本体２は、箱型の形状をして内部は空間を有して
おり鋳物材で作られている。タレット本体２は往復台
（図示せず）に載置されており、切削加工時に往復台の
移動によりタレット７に設けた工具で加工される。タレ
ット本体２には、タレット軸３がスラスト方向の荷重に
耐えるベアリング４、４により両端が回転自在に支持さ
れている。

タレット軸３の一端には、フランジ面６が設けてある。
フランジ面６には、出力軸５が設けてあり、出力軸５と
フランジ面６に密着してタレット７が固定してある。両
ベアリング４、４の間のタレット軸３には、中心軸線が
タレット軸３の軸線の垂直方向の向きに複数個カムフォ
ロア８が設けてある。カムフォロア８は、カムフォロア
軸９にベアリングなどを介して回転自在に設けてある。
カムフォロア軸９はタレット軸３に固定されている。カ
ムフォロア軸9,カムフォロア８は、タレット軸３の外周
に等間隔に複数個設けてある。

一方、ローラギアカム20の外周には、螺旋状の断面が台
形の突起21が形成してある（第２図）。この突起21にカ
ムフォロア８がかみ合っている。ローラギアカム20は、
軸線29を中心に回転する。第３図に示した図は、ローラ
ギアカム20を展開した図を示す。突起21をカムフォロア
８で挾んでタレット軸３を回転させるものである。突起
21は、傾斜部31、直線部30、急傾斜部32からなる。傾斜
部31、急傾斜部32はローラギアカム20の軸線29に沿っ
て、あるピッチを有し螺旋形状をないているが、そのピ
ッチが一定でない。直線部30は、ローラギアカム20が多
少角度位置決め精度が悪くてもタレット軸３の停止位置
に影響を与えないという利点がある。タレット軸３の割
出し位置決めはこの部分を使う。このためローラギアカ
ム20の回転スピードをあげることができる。軸22には、
外周に一定ピッチの歯が形成してあるタイミングプーリ
23が固定されている。タイミングプーリ23には歯付ベル
ト25がかみ合っている。歯付ベルト25の他方にはもう一
方のタイミングプーリ24がかみ合っている。タイミング
プーリ24は、割出し用モータ26に直結され駆動される。

第４図に示す図は、前記工具タレット刃物台の機能ブロ
ック図である。NC制御装置40は、公知の数値制御工作機
械である。NC制御装置40からのタレット工具台の割出し
指令であるＴコードの指令がでると、コントローラ41に
伝達される。コントローラ41は、この指令が出ると、
刃物台制御装置42に指令し、正／逆転指令、起動指令な
どを送出する。刃物台制御装置42は、割出し用モータ
26に電力を出力して割出し用モータ23を回転駆動させる
。

割出し用モータ26の回転は、タレット軸３に伝えられタ
レット７を割り出しする。ローラギアカム20にはドッグ
45、46が設けてある。（第５図）このドッグ45、46に
は、それぞれ対応して停止指令LS43、停止確認LS44がタ
レット本体２に設けてあり、タレット７の割出面に対応
して作動する。すなわち、停止指令LS43は、割出面が割
りだされる位置に位置するように設けてある。停止指令
LS43が作動すると信号をコントローラ41に送る。停止確
認LS44は、タレット７が所定角度に割りだされた角度位
置を確認できる位置に設けてある。停止確認LS44が作動
すると信号をコントローラ41に送る。ローラギアカム20
にドッグ45、46を設けて角度位置を検出したので回転範
囲が広いため多少ラフでも位置決めができる。

タレット工具台の動作フロー 第６図に示すタイムチャートは、割出し用モータ26の、
ローラギアカム20、停止指令LS43の作動を示すタイムチ
ャートである。割出し用モータ26とローラギアカム20と
は、歯付ベルト25で直結されているので同時に作動す
る。tMは、割出し用モータ26の電源を切断した時であ
る。tBは、割出し用モータ26の電源を切断後のローラギ
アカムの停止時間である。ローラギアカム20は直ちに停
止しない。これは、モータのロータの慣性、ローラギア
カム20の慣性など時定数によって決まる遅れがあるため
である。停止指令信号を出力する開始点であるtA点は、
停止指令LS43の終了点である。

|tM−tA|は、停止指令を受けて割出し用モータ26の起動
指令を切るまでの処理遅れによる時間である。|tB−tM|
は、割出し用モータ26が停止しきるまでの時間（時定
数）である。第５図のＡ点が停止指令LS43を通過し|tB
−tA|後に、ローラギアカム20がＢ点にて停止する。こ
の停止点は、第３図で説明するとカムフロア８と直線部
30とが接触している点である。前記時定数を考慮して最
大限高速で作動するように設計を行う。

第７図に示すフロー図は、タレット工具台１の動作を示
すものである。ステップでNC制御装置40からＴコード
指令すなわち、タレット工具台１の割出指令が出され
る。ステップでアラームを出す。YESであれば、任意
近回りの判断を行う。この判断を行う技術は、従来から
公知の技術である。このステップで正転か逆転かの判
断を行う。逆転であればステップで逆転指令を行う。
正転であればステップで正転指令を行う。

ステップでタレット７の面数をカウントする。このカ
ウントの方法は、正転は＋1,逆転時は−１カウントす
る。ステップで前記カウンとされた数が一致すると割
出面が一致したと判断しステップに進む。割出面が一
致しないときは終了する。ステップで停止指令LS43の
信号を待、ステップに進む。ステップでタレット停
止指令をコントローラ41は行う。

ステップで停止確認LS44からの停止確認信号の受け取
りを確認し、YESであればステップでＴコードの完了
を行う。この割出し時間は、１面割出しが0.1秒と極め
て短時間である。ステップで確認できなければステッ
プに進み、で確認できなければステップに進み、
インデックスアラームを出す。

［他の実施例］ 前記した割出機構は、ローラギアカムとカムフォロアを
用いたものであるが、これに限定されるものではない。
前記したように、カムフォロア間に遊びが生じない機構
であれば他の類似したカム機構で良い。

［発明の効果］ 以上、詳記したように本発明は、クランプ機構、変速機
構もないので比較的簡単な構造で極めて高速の割出しが
可能になった。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のタレット工具台の一部断面図、第２図
はローラギアカムとカムフォロア部分の側面図、第３図
はローラギアカムの展開図、第４図は制御ブロック図、
第５図はローラギアカムの角度を検出する検出機構、第
６図はタイムチャート、第７図はタレット工具台のイン
デックス動作図である。 １…タレット工具台、２…タレット本体、３…タレット
軸、７…タレット、８…カムフォロア、９…カムフォロ
ア軸、26…割出し用モータ、41…コントローラ、43…停
止指令LS、44…停止確認LS、45,46…ドッグ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長沢 孝行 千葉県我孫子市我孫子１番地 日立精機株 式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−169752（ＪＰ，Ａ) 特開 昭52−81681（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−85340（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】a.機械加工のために複数のタレット面にそ
   れぞれ工具を備えたタレット（７）と、 b.前記タレット（７）に固定されたタレット軸（３）
   と、 c.前記タレット軸（３）を軸方向に不動に支持しスラス
   ト方向の荷重を支えるためのベアリング（４）と、 d.前記タレット軸（３）に設けられたカムフォロア
   （８）と、 e.前記カムフォロア（８）を回転させるために、前記カ
   ムフォロア（８）に係合するカム面を有するカム（20）
   と、 f.前記タレット面を割出しするのに前記カム（20）を駆
   動するための割出し用モータ（26）と、 g.前記カム面（21）には前記カムフォロア（８）を回転
   駆動しない軌道面を形成する直線部（30）とを有する工
   作機械において、 h.前記カム（20）に固定された第１ドッグ（45）と、 i.前記カム（20）に固定された第２ドッグ（46）と、 j.前記第２ドッグ（46）を検知し、前記タレット（７）
   が所定角度に割りだされたかを確認するための停止確認
   センサ（44）と、 k.前記第１ドッグ（45）を検知し、割出停止信号を前記
   割出し用モータ（26）に発する停止指令センサ（43）
   と、 l.前記停止指令センサ（43）の出力信号を受け前記直線
   部（30）の位置で前記カム面（21）と前記カムフォロア
   （８）とがかみ合って停止するように時定数を設定した
   制御装置と m.からなる工作機械のタレット工具台の割出制御装置。