JPH0790396A - 予備造粒物を一部使用する焼結原料装入方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱量不足の補償及び焼結時の通気性に有効な
粒度偏析を原料充填層に付け、高い生産性で焼結鉱を製
造する。 【構成】 予備造粒物２ｃを配合した焼結原料２をホッ
パー１に収容する。ホッパー１から切り出された焼結原
料２は、傾斜シュート４を経て回転体５に向けて送り出
される。焼結原料２は、回転体５によって広範囲に広が
った分散流として原料充填層７の傾斜面７ａに送り出さ
れる。予備造粒物２ｄは、傾斜面７ａを転動し易い球形
に近い形状であるため、原料充填層７の下層部に分配さ
れる。 【効果】 回転体５と予備造粒物２ｃの配合との組合せ
によって、原料充填層７は、迅速な焼結反応に好適な大
きな粒度偏析をもったものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、大きな粒度偏析が付け
られた原料充填層を形成する焼結原料装入方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】高炉装入原料である粉鉱石等の鉄鉱石
は、高炉内部の反応性，通気性等を高め、ひいては高炉
の生産性を上げるために、所定の粒径，強度等をもった
焼結鉱に加工されている。焼結鉱は、通常連続走行する
ベルトに搭載したパレットに焼結主原料をコークスや副
原料と共に装入し、原料充填層の上から下に向けて焼結
反応を進めることによって製造される。焼結原料は、パ
レット上に形成された原料充填層の斜面を転動しながら
パレットに装入される。このとき、細粒区分の転動距離
が短く、粗粒区分の転動距離が長くなる。その結果、原
料充填層は、上から下に向けて大きくなる粒径分布をも
つ。また、焼結原料が傾斜シュートを滑走している間で
も、細粒区分及び粗粒区分がそれぞれ下層及び上層とな
った滑走流が形成され、この滑走流の粒度分布も原料充
填層に反映される。

【０００３】上から下に向けて大きくなる粒径分布は、
焼結時の通気性を改善し、均一な焼結反応を確保する上
で必要である。この点、単に傾斜シュートを滑走した焼
結原料を原料充填層の斜面に沿って転動させるだけでは
不十分である。そこで、原料充填層の粒度偏析を強化さ
せることが要求され、種々の原料装入方式が提案されて
いる。たとえば、特開昭６２−１３０２２６号公報で
は、粒度構成が異なる焼結原料を２段に積層する方法が
紹介されている。また、特公平４−４３７８号公報，特
公平４−６７７６号公報等では、モーゲン篩に属する複
数の棒条材からなるフルイを傾斜シュートの下位側に配
置している。本発明者等も、粒度偏析が強化された原料
充填層を形成するように、回転体を使用して焼結原料を
装入する方法を開発し、特願平５−６７８４７号として
出願した。

【０００４】この方法では、図１に示す設備構成の装置
を使用する。ホッパー１に収容されている焼結原料２
は、ホッパー１の下部に設けられているドラムフィーダ
３で定量切り出され、傾斜シュート４上に落下する。焼
結原料２は、傾斜シュート４上を滑走し、傾斜シュート
４の下位側に配置した回転体５によってパレット６上に
分散供給される。焼結原料２は、傾斜シュート４を滑走
している間に、粒径が下から上に向かって大きくなった
粒度分布をもつ流れとなる。粒度偏析が付けられた焼結
原料２は、傾斜シュート４から回転体５に送られ、パレ
ット６の進行方向に関して広い範囲で原料充填層７の傾
斜面７ａに分配される。

【０００５】広範囲に分配された焼結原料２は、傾斜シ
ュート４を滑走するときの運動エネルギー及び回転体５
で付与された運動エネルギーにより傾斜面７ａを転動す
る。このとき、粗粒ほど転動距離が長くなるため、原料
充填層７の高さ方向に関する偏析が強化される。また、
焼結原料２が安息角を超えて局部的に堆積することがな
いので、傾斜面７ａに送り込まれた焼結原料２のナダレ
現象に起因した粒度偏析の不連続や圧密化が防止され
る。原料充填層７は、均し板８でパレット６の幅方向に
関する厚み分布が調整された後、点火炉９で表層部が点
火される。パレット６の下方に配置した風箱（図示せ
ず）により、空気，酸素富化空気等を上から下に吸引し
ているので、原料充填層７の表層部から下層部に向けて
焼結反応が漸次進行する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】回転体５によって焼結
原料２を広範囲に広がった分散流として原料充填層７の
傾斜面７ａに送り出すとき、原料充填層７に高さ方向に
関して大きな粒度偏析を付けることができる。本発明者
等は、焼結原料２の分散流による作用を効果的に発揮さ
せるため、種々の観点から調査・研究した。その過程
で、装入される原料粒子の形状も、原料充填層７の粒度
偏析に大きな影響を与えることを見い出した。焼結原料
は広範囲な粒度分布をもっているが、粒径の大きな原料
粒子ほど不規則で鋭角的な角部をもつ形状になってい
る。異形粒子は、傾斜面７ａを転動する傾向が低く、落
下地点或いはその近傍に留まり易い。そのため、回転体
５による分散効果が十分に発揮されず、傾斜面７ａの上
部においても比較的粒径の大きな異形粒子が分配された
原料充填層が形成される。本発明は、このような問題を
解消すべく案出されたものであり、予備造粒物を配合し
た焼結原料を使用することにより、原料充填層の傾斜面
に沿って大径の原料粒子を積極的に転動させ、迅速な焼
結反応に好適なように粒度偏析が強化された原料充填層
を形成することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の焼結原料装入方
法は、その目的を達成するため、予備造粒物と配合した
焼結原料をホッパーから傾斜シュートに切り出し、傾斜
シュートの下位側端部近傍に配置した回転体によって、
前記焼結原料を広範囲に広がった分散流として原料充填
層の傾斜面に送り出すことを特徴とする。予備造粒物
は、平均粒径６〜８ｍｍのほぼ球形に近い形状に造粒さ
れたものであり、大径の鉱石粒子を中心核とし、微粉原
料や微粉副原料等が表面に付着している。予備造粒物
は、たとえばパン型造粒機等を使用し、水分，バインダ
ー等を添加しながら各種粒径の焼結原料を１種又は２種
以上混練し、目標粒径になるように造粒することにより
調製される。

【０００８】予備造粒物が配合される焼結原料は、平均
粒径３．５ｍｍ以下の比較的小径の原料粒子であること
が好ましい。焼結原料の粒子が大きいと、鋭角的な角部
をもった原料粒子の割合が多くなり、予備造粒物を配合
する長所が損なわれる。平均粒径３．５ｍｍ以下の小径
粒子は、比較的球形に近いものが多く、原料充填層７の
傾斜面７ａに沿った転動も良好である。予備造粒物の配
合比率は、焼結原料の銘柄や粒度分布にもよるが、焼結
原料１重量部に対し０．１〜２．５重量部の割合にする
ことが好ましい。予備造粒物の配合比率が少ないと、原
料充填層の偏析強化に与える影響が小さく、予備造粒物
を配合する意義が十分でない。しかし、予備造粒物の配
合比率が２．５重量部を超えるとき、原料充填層の表層
部にまで予備造粒物が混入し、熱補償に必要なコークス
分を増加させた表層部が得られない。

【０００９】回転体としては、たとえば図２（ａ）に示
すように、軸方向に延びた複数の羽根５ａを円周方向に
等間隔で円柱状基体５ａに取り付けた回転体５が使用さ
れる。円柱状基体５ｂの端面から回転軸５ｃが軸方向に
突出しており、回転軸５ｃに伝達される動力によって回
転体５が回転する。羽根５ａの間には、焼結原料２を一
次的に収容する原料収容部５ｄが設けられる。予備造粒
物２ｃが配合された焼結原料２は、図２（ｂ）に示すよ
うに、傾斜シュート４を滑走して回転体５の原料収容部
５ｄに送り込まれ、広範囲に広がった分散流として原料
充填層７の傾斜面７ａに分配される。広範囲への分配
は、原料充填層７の表層部を起点としたナダレ現象を効
果的に抑制する。

【００１０】予備造粒物２ｃは、傾斜面７ａの下位側に
送り出され、転がり易い形状を持っていることから傾斜
面７ａに沿って選択的に転動する。その結果、傾斜面７
ａの下側では、予備造粒物２ｄを主とする充填構造が得
られる。他方、焼結原料２の大径粒子は、予備造粒物２
ｄに比較して早い段階で転動しなくなり、傾斜面７ａの
下位側から中位側にかけて広く分布する。原料充填層７
の上層部には、更に小径の原料粒子が分布する。このよ
うにして回転体５を使用した原料装入では、原料充填層
７の下部から上部にかけて原料粒度が粗粒から細粒に変
化した充填構造が形成される。そのため、原料充填層７
は、迅速な焼結反応に適した粒度偏析をもったものとな
る。

【００１１】また、図２（ｂ）に示すように、傾斜シュ
ート４の下位側近傍にスリットバー１０を組み込んでも
良い。この場合、焼結原料２のうち、少量の細粒区分２
ａがスリットバー１０の間隙を通過して、原料充填層７
の上層部に供給される。大部分の粗粒区分２ｂは、傾斜
シュート４から回転体５の原料収容部５ｄに送り込ま
れ、回転体５の回転力によって傾斜面７ａの広い範囲に
分配される。回転体５は、図３に示すように中間部を支
持アーム５ｅで回転可能に支持することができる。この
場合、支持アーム５ｅに動力伝達機構を内蔵させると、
回転体５をパレット６の内部空間まで低下できる。ま
た、中間部を支持することによって回転体５の撓み変形
が抑制され、傾斜シュート４の下位側端部４ａとの位置
関係が長手方向に一定化する。その結果、焼結原料５
は、傾斜シュート４の幅方向に均一な状態で回転体５に
供給される。羽根付きの回転体５に代え、種々の形状を
もった回転体も使用可能である。図４は、波板１１ａを
円柱状基体１１ｂに固定することにより、複数の波状凹
凸を形成した回転体１１である。複数の凸部１１ｃが円
周方向に形成されており、隣接する凸部１１ｃの間が焼
結原料２を一次的に収容する原料収容部１１ｄとなる。
この構造は、焼結原料２が付着堆積し易い鋭角的な凹部
がないため、耐久性に優れている。

【００１２】図５に示すように一体的な角型断面をもつ
回転体１２も使用される。図５（ａ）では、三角形状の
回転体１０を示しているが、四角形，六角形，平板等の
角型回転体も使用される。回転体１２の平面部１２ａが
焼結原料２を一次的に収容する部分として働き、角部１
２ｂにより傾斜面７ａに向けて送り出される。回転体１
２に回転軸１２ｃを設けることなく、図５（ｂ）に示す
ように、回転可能なクランプ１２ｄで回転体１２を把持
しても良い。角型回転体１０では、原料粒子の捕捉力を
増すため平面部を内側に湾曲させることもできる。更
に、ワイヤ１３ａを円柱状基体１３ｂに植設した回転体
１３（図６），エキスパンドメタル１４ａや金網を円柱
状基体１４ｂに巻き付けて周面に孔部１４ｃ２１を形成
した回転体１４（図７）も使用可能である。これらの回
転体では、ワイヤ１３ａや孔部１４ｃが分級作用を呈す
るので、より一層粒径に応じて分散された状態で焼結原
料２が原料充填層７に送り出される。

【００１３】

【実施例】

実施例１：回転体５として、取付け外周径３００ｍｍ及
び羽根深さ５０ｍｍの羽根を回転軸に８枚取り付けたも
のを使用した。回転体５と傾斜シュート４との位置関係
を、傾斜シュート４の下位側端部４ａから回転体５の中
心軸までの距離が水平方向で１５０ｍｍ，垂直方向で１
５０ｍｍとなるように設定した。粒度分布を表１に示す
焼結原料及び予備造粒物を１：１の重量比で配合し、所
定粒度分布をもつ配合原料を得た。なお、予備造粒物
は、パン型造粒機を使用し造粒水分約９．５％で調製
し、ほぼ球形で平均粒度７．２ｍｍの形状をもったもの
を使用した。

【００１４】

【表１】

【００１５】予備造粒物が配合された焼結原料２を、表
２の装入条件でホッパー１から傾斜シュート４及び回転
体５を介して焼結機のパレット６に装入した。回転体５
は、毎分１２４回転の速度で回転させた。焼結原料２
は、傾斜シュート４から回転体５上に落下し、回転体５
の回転によりパレット６の走行方向上流側に強制的に送
り出された。

【００１６】

【表２】

【００１７】連続装入試験後に、上層部から下層部に向
かう垂直方向に沿って連続的に原料充填層７から試料を
採取し、原料充填層７の高さ方向に関する平均粒度を調
査した。調査結果を示す図８から明らかなように、表層
部から下層部に向けて連続的に粒径が大きくなった原料
充填層７が形成されていた。高さ方向に関する平均粒径
の変化率を表す粒度偏析指数αは、６．４２×１０^-3と
大きな値を示した。また、原料充填層７の内部に粒径変
化が不連続が検出されず、ナダレ現象を起こすことなく
原料充填層が形成されたことが確認された。

【００１８】比較のため、予備造粒物を配合することな
く焼結原料を同一条件下で装入したところ、粒度偏析指
数αが２．９４×１０^-3と小さく、一部に粒径が不連続
に変化する原料充填層７が形成された。この対比から明
らかなように、予備造粒物を配合した焼結原料２を使用
するとき、回転体５の作用が効果的に発揮され、粒度偏
析が強化された原料充填層が得られる。

【００１９】実施例２：下面に開口率１５％で直径５ｍ
ｍの通風孔が形成された焼成ボックスを使用し、底面に
予め床敷き鉱を敷いた。各種鉄鉱石を、表３に示す配合
割合で副原料，コークス，返鉱等と配合し、実施例１と
同様な条件下でパレット６に装入した。使用した焼結原
料は、表１の配合原料と同様な粒度構成をもっていた。

【００２０】

【表３】

【００２１】パレット６に装入された原料充填層７の充
填密度及び粒度分布が変化しないように、パレット６の
所定位置で原料充填層７を垂直方向に切断し、前後のパ
レット６を分離した。切断面に耐火物を内装した耐火壁
を取り付け、ボックス状に組み立てて焼成ボックスとし
た。焼結原料２が充填された焼成ボックスを風箱の上に
載せ、原料充填層７の表層部に着火し、吸引負圧１０．
７９ｋＰａの一定条件下でブロアーにより空気を下方吸
引しながら焼結反応を原料充填層７の上層から下層に進
行させる焼結試験を行った。試験結果を、表４に示す。
なお、表４における比較例は、回転体５を配置すること
なく、傾斜シュート４からパレット６に焼結原料２を直
接装入した場合である。また、焼結時の通気性は、通気
指数（ＪＰＵ）及び焼成速度（ＦＦＳ）で評価した。

【００２２】

【表４】

【００２３】表４から明らかなように、本発明例では、
原料充填層７の通気性が改善され、焼結時間が短くなっ
ていることが判る。また、歩留りが向上し、結果として
焼結鉱の生産性が向上した。焼結鉱の品質を示すＪＩＳ
還元率（ＲＩ）及び低温還元粉化指数（ＲＤＩ）は、回
転体５を使用することなく焼結原料を装入した比較例に
比べて若干高い値を示しているが、本質的に大差のない
ものであった。

【００２４】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、予備造粒物と配合した焼結原料を使用することによ
り、焼結原料を広範囲に広がった分散流として送り出す
回転体の作用を十分に活用している。予備造粒物は、回
転体から放出された後、原料充填層の傾斜面を転動し、
下層部に優先的に送り込まれる。そのため、粒度偏析が
強化された原料充填層が焼結機パレットの上に形成され
る。この原料充填層は、焼結反応を迅速に進行させ、一
定した高品質の焼結鉱が高い歩留りで製造するのに適し
ている。

【図面の簡単な説明】

【図１】 傾斜シュートの下位側に回転体を配置した焼
結原料装入装置

【図２】 傾斜シュートの下位側に本発明に従った回転
体を配置した斜視図（ａ）及び焼結原料の落下状態
（ｂ）

【図３】 傾斜シュートの下位側に配置された中間部が
支持された回転体

【図４】 傾斜シュートの下位側に配置された波状の凹
凸をもつ回転体

【図５】 角型断面をもつ回転体（ａ）及び両端を回転
自在なクランプで把持した平板状回転体

【図６】 ワイヤを植設した回転体

【図７】 孔部を形成した回転体

【図８】 本発明実施例で形成された原料充填層の粒度
偏析を示すグラフ

【符号の説明】

１：ホッパー ２：焼結原料 ２ａ：細粒区分
２ｂ：粗粒区分 ２ｃ：予備造粒物 ２ｄ：傾斜面
７ａを転動している予備造粒物 ３：ドラムフィーダ
（定量切出し機構） ４：傾斜シュート ４ａ：傾
斜シュートの下位側端部 ５：回転体 ５ａ：羽根
５ｂ：円柱状基体 ５ｃ：回転軸 ５ｄ：焼結原料の一次的な収容部 ６：パレット
７：原料充填層 ７ａ：傾斜面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 予備造粒物と配合した焼結原料をホッパ
   ーから傾斜シュートに切り出し、傾斜シュートの下位側
   端部近傍に配置した回転体によって、前記焼結原料を広
   範囲に広がった分散流として原料充填層の傾斜面に送り
   出す焼結原料装入方法。