JPH0790385A - 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板 - Google Patents

磁気特性の優れた方向性電磁鋼板

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JPH0790385A
JPH0790385A JP5229143A JP22914393A JPH0790385A JP H0790385 A JPH0790385 A JP H0790385A JP 5229143 A JP5229143 A JP 5229143A JP 22914393 A JP22914393 A JP 22914393A JP H0790385 A JPH0790385 A JP H0790385A
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laser
irradiation
pulse
grain
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JP5229143A
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Katsuhiro Minamida
勝宏 南田
Naoya Hamada
直也 浜田
Atsushi Sugibashi
敦史 杉橋
Takamichi Kobayashi
尊道 小林
Keisuke Yamochi
啓介 矢持
Hirohiko Sato
博彦 佐藤
Toshitaka Ota
敏隆 太田
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は鉄損特性、磁歪特性に優れた方向性
電磁鋼板に関し、特にパルスCO2 レーザビーム照射の
鋼板幅方向に均一で連続パターンの痕跡を作り、その磁
気特性を大幅に改善した方向性電磁鋼板を提供する。 【構成】 方向性電磁鋼板の表面にQスイッチCO2
ーザの周波数が30kHz以上のパルスレーザビームを照
射して痕跡を圧延方向に3〜10mmの間隔で、鋼板幅方
向に0.3〜1.0mmの間隔で150mm以上を完全な連
続パターン照射とすることを特徴とした磁気特性の優れ
た方向性電磁鋼板で、鋼板全幅を複数の領域に分割し、
その1領域のレーザ照射による痕跡を前記と同条件とな
ることを特徴とした磁気特性の優れた方向性電磁鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄損特性、磁歪特性に
優れた方向性電磁鋼板に関し、特にパルスCO2 レーザ
ビーム照射の鋼板幅方向に均一で連続パターンの痕跡を
作り、その磁気特性を大幅に改善した方向性電磁鋼板に
係わる。
【0002】
【従来の技術】従来、レーザビームによる磁気特性の優
れた方向性電磁鋼板とその製造方法として、多くの手段
が提唱されてきており、なかでも特開昭55−1856
6号公報(以下公報〔1〕とする)に開示されているレ
ーザビーム照射による鉄損値の改善方法は、その改善効
果の大きさ、ならびに非接触加工であることに起因する
信頼性の高さや制御性の良さから、この方法による磁気
特性の優れた方向性電磁鋼板が広く実用に供されてい
る。この方法はレーザビームを照射することによって生
じる熱衝撃波の反力によって方向性電磁鋼板の磁区を細
分化することにより、ヒステリシス損失の増加を抑えた
まま渦電流損失の低下を図るものである。
【0003】図5に示すように、電磁鋼板の表面にパル
スレーザビームを、圧延方向にほぼ直角に瞬時的に照射
し、鋼板に局部的なレーザ照射痕を形成させることによ
り、方向性電磁鋼板の鉄損の改善を図ろうとするもので
ある。そしてレーザビームの照射条件をレーザビームの
鋼板幅方向の照射間隔d(mm)、圧延方向の照射間隔l
(mm)、エネルギー密度P(J/cm2 )を下記式(1)
の関係を満足するように照射する。 0.005≦(d/l)P2 ≦1.0 ……………………(1) (d/l)P2 =Ua ……………………(2) この式(1)によって、レーザ照射の入熱範囲である単
位面積当たりの照射エネルギー密度Uaを条件化してい
る。この照射エネルギー密度を式(2)によりUaとす
る。
【0004】また、この公報〔1〕では、図6に示すよ
うに、レーザビームの照射条件と鉄損改善率としての鉄
損減少値の関係を示している。図6の横軸はパルスレー
ザビームのエネルギー密度Pと照射間隔dおよび照射幅
lからの単位面積当たりの照射エネルギー密度Uaに相
当するパラメータ(d/l)P2 を、そして縦軸は鉄損
減少値ΔWを示している。この図6から明らかなのは照
射エネルギー密度Uaが変化すると鉄損減少値が大きく
変化するということで、公報〔1〕でも照射エネルギー
密度Uaが0.005から0.01に変化すると、鉄損
減少値0.01から0.03と大きく変化している。こ
のようにレーザビームの照射条件での照射エネルギー密
度の均一化は、電磁特性の優れた電磁鋼板の製造で極め
て重要であるが、この公報〔1〕ではレーザビームを鋼
板全面に照射エネルギー密度Uaを均一にして照射する
方法については全く開示がなされていない。
【0005】また、特開昭58−19440号公報(以
下公報〔2〕とする)の電磁鋼板の鉄損特性改善方法で
はレーザビームの照射方法としてのスキャニング方法を
開示している。この方法は、レーザ発振器の大型化(高
周波数化、高出力化)ができない状況から、均一照射を
確保するためには、スキャン幅に限界があり複数レーザ
ビームによる複数照射が必要であることを述べている。
すなわち、図7に示すように公報〔2〕は複数のレーザ
ビームと複数の照射光学系を用いて、鋼板全幅を複数の
領域に分割し、鋼板の走行速度およびレーザ出力に対応
して鋼板全幅にわたって所望の間隔で、かつ一様な大き
さの照射痕を得て鉄損特性の改善を適切に行い得るよう
にする方法である。
【0006】図7の光学系で照射した照射痕の代表的な
パターンを図8に示す。ここで、このような複数領域で
の照射においては、鋼板幅方向で非照射領域が発生する
ことを防止するために、それぞれの領域の端部で一部が
オーバーラップするような構成にせざるを得ない。この
オーバーラップ領域Lpはスキャニング光学系の長時間
安定性を勘案した場合、5〜10mm程度を確保すること
が必要になる。従って、スキャニング幅が100mmの場
合、鋼板幅方向全体の5〜10%は二重照射が行われる
ことになる。ここで、図6を参照すると(d/l)P2
の値として、0.4程度の条件が鉄損改善の最適値を与
えるが、これより高い領域では急激に鉄損改善幅が劣化
することが示されており、二重照射領域の存在は鉄損改
善幅を大きく劣化させるものである。
【0007】以上の劣化は、鋼板全体としての鉄損改善
幅の劣化のみならず、変圧器鉄芯に使うために鋼板を切
り出した場合、二重照射領域の比率が高くなる可能性も
あり、さらに鉄損値が悪い状況で変圧器を組まなくては
ならない、もしくは二重照射領域をさけて鋼板を切り出
す必要があり、その場合は歩留りが大きく低下するとい
った実用的な大きな問題点がある。
【0008】公報〔2〕の実施例としての条件は、全幅
W=1000mmの仕上げ焼鈍済の方向性電磁鋼板が走行
速度V=500mm/secで走行している時、10台(N)
のレーザ照射ユニットを幅方向に設置し、それぞれの照
射幅w=100mmで、圧延方向の照射間隔l=5mm、鋼
板幅方向の照射間隔d=0.5mmとなるように、反射ミ
ラーの振動周波数fm を71Hzで往復運動させて、レー
ザビームをfQ =20kHz のパルス発振でスキャニング
照射している。そして、その時のパルス当たりの照射エ
ネルギーはE=4mJとしている。
【0009】しかし、この条件では照射エネルギー密度
(d/l)P2 のPであるピークパワー密度も不明で、
また公報〔1〕と同様に鋼板面での単位面積当たりの照
射エエルギー密度の均一化照射に問題がある。すなわ
ち、公報〔2〕でレーザビームの照射による鋼板表面の
痕跡について開示してあるが、図8に示すように波状ま
たは直線上に鋼板表面の痕跡となり、何れも各照射境界
にて痕跡パターンの不連続部分すなわち照射エネルギー
密度の不均一部分が発生している。複数ビームの必要性
に対する技術的な限界は鋼板の処理速度に対するパルス
レーザビームの発振周波数に限界があるからとしてい
る。
【0010】実ラインの速度に対応するためには、スキ
ャニング速度とパルス繰返し周波数の高速化の必要性が
あるが、公報〔2〕では鋼板全幅W=1000mmを10
台のレーザ照射ユニットを幅方向に設置し、それぞれが
w=100mmの幅を照射領域としている。これはレーザ
発振器の発振周波数fQ =20kHz のパルス発振が現状
のレーザ発振器では限界であることに基づくからであ
る。その理由として、高周波パルスレーザとしては連続
励起のQスイッチNd−YAGレーザがあるが、その発
振周波数の限界はレーザ技術の刊行物に明記されてい
る。
【0011】図9と図10は朝倉書店刊,池田正幸他著
「レーザプロセス技術ハンドブック」(1992)P6
9に示された連続励起のQスイッチNd−YAGレーザ
の繰返し周波数と、Qスイッチ発振特性としての尖頭出
力と、平均出力そしてパルス幅の関係を示したものであ
る。連続レーザのQスイッチパルス尖頭出力はCW発振
出力レベルの103 〜104 倍であり、パルス繰返し周
波数は50kHz 前後迄可能であるが、実際の装置では図
9と図10に示すように連続励起のQスイッチNd−Y
AGレーザのパルス発振には要求パルスエネルギー、尖
頭出力から限界があり、その発振周波数は10〜20kH
z である。繰返し周波数が2kHz 以上でパルス幅が増大
し、尖頭値が急激に減少する。例えば、発振周波数が1
0kHz の場合、パルス幅が170ns、尖頭値が4kWとな
る。この条件では、パルス個々のエネルギーは0.6mJ
となる。
【0012】ここで、公報〔1〕の特許にて示されてい
る安定な磁気特性の向上効果を得るためには、l=5m
m、d=0.5mmで照射エネルギー密度(d/l)P2
を0.4とするとピークパワーpは2J/cm2 となる。
パルスレーザの集光径を0.4mmとすると、パルス当た
りの必要とするエネルギーは2.5mJとなり、前記の値
0.6mJは必要パルスエネルギーのほぼ4分の1とな
る。また、集光径を0.6mmとした場合、パルス当たり
の必要とするエネルギーは5.7mJとなり、前記の値
0.6mJは、必要エネルギーのほぼ9分の1と小さくな
りレーザの照射による磁気特性の改善効果が得られな
い。
【0013】実用に供し得る一般的な連続励起のQスイ
ッチNd−YAGレーザの能力は図9のそれを一桁程度
まで向上することが可能であるが、それでもパルスレー
ザのエネルギーは10kHz 周波数にて6.0mJ/Pであ
る。このように連続波励起QスイッチNd−YAGレー
ザを用いる場合、400μmにビームを集光しても、そ
の発振能力の限界からパルス周波数の上限は20kHz と
なり、連続稼働の安定性も考えると実用的にはその半分
の10kHz が上限となる。
【0014】以上の如く、従来法ではパルス発振の周波
数に限界があり、その値も10kHz以下と低いため、実
用上で、500mm/sec程度の処理速度を確保するために
は、パルスレーザの均一照射が可能な最大幅は50mmと
なっている。ゆえに、それ以上の幅の均一照射による磁
気特性の優れた電磁鋼板の製造は困難であった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従来の電磁鋼板は、レ
ーザ発振器のパルス発振の周波数に限界がありその値も
10kHz 以下と低いため、レーザビームの均一照射が可
能な最大幅は50mmとなり、広幅の電磁鋼板での磁気特
性の均一性に問題があった。本発明の目的は、この従来
のレーザ発振器の限界周波数に起因する問題点を解決
し、幅の広い高い信頼性と高い鉄損改善特性を同時に持
つレーザ照射方法を実現し、極めて優れた電磁鋼板を提
供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】この発明は、磁気特性の
優れた電磁鋼板の製品を提供するもので、方向性電磁鋼
板の表面にQスイッチパルス発振レーザの周波数が30
kHz 以上のパルスレーザを照射して照射エネルギー密度
Uaが0.3〜0.4になるように痕跡を圧延方向にl
=3〜10mmの間隔で、鋼板幅方向にd=0.3〜1.
0mmの間隔で150mm以上を完全な連続パターン照射と
することで磁気特性の均一化と向上を可能にしている。
Qスイッチパルス発振レーザはパルス半値幅が10nsec
以上、1μsec 以下の初期スパイクを持ち、さらに10
0nsec以上、10μsec 以下のパルステイルを有するパ
ルスQスイッチCO2 レーザである。そして、式(3)
のようにパルスのピーク値PP(W)と照射点での集光
径DOにて決まるパルスピーク部のピークパワー密度E
dを1×105 〜1×108 w/cm2 の領域に設定する。 Ed=PP/DO …………………………………………(3)
【0017】このようにして、従来の電磁鋼板は、従来
のレーザ発振器のパルス発振の周波数の限界によりレー
ザビームの均一照射が可能な最大幅が50mmと限界で、
広幅の電磁鋼板での磁気特性の均一性に問題があった
が、本発明によりこの問題を解決し、従来の3倍以上の
幅の広い高い信頼性と高い鉄損改善特性を同時に持つレ
ーザ照射方法を実現し、極めて優れた電磁鋼板を提供す
ることができた。
【0018】以下に本発明を詳細に説明する。図1は、
本発明を達成するパルスCO2 レーザを用いた方向性電
磁鋼板の鉄損改善方法において、本発明の主たる構成要
素であるQスイッチパルスCO2 レーザ共振器の構成
と、その出力パルスの電磁鋼板への照射光学系を示した
ものである。レーザ放電部2は、CO2 レーザ媒質であ
るレーザガスに連続的な放電励起によってエネルギーを
供給する部分であり、レーザ共振器を構成する全反射鏡
3とテレスコープレンズ4によって大気と遮断されてい
る。
【0019】大気中に設置された出力鏡7とテレスコー
プレンズ4との間には、回転チョッパ6によって構成さ
れるQスイッチング装置が設置される。回転チョッパ6
は一定間隔でレーザビームを透過させるスリットを有
し、レーザ光軸上にスリットがきた時にのみ共振器の性
能指数であるQ値が上昇することで、Qスイッチングが
実現される。ここで、CO2 レーザの回転チョッパによ
るQスイッチングの場合、YAGレーザにおいて問題と
なった音響光学素子による平均出力上限が原理的にない
ことから、高平均出力化が可能であり、1kW以上の平均
出力が得られている。これは、典型的なQスイッチYA
Gレーザの10台分以上の出力値であり、それゆえパル
ス繰返し周波数fQ を高くしても、磁気特性改善に必要
なパルスエネルギー値の確保が可能となる。
【0020】QスイッチCO2 レーザ共振器から取り出
されたパルスレーザビーム1は平面全反射鏡11で反射
してポリゴンミラー8による回転スキャナによって電磁
鋼板10の板幅方向に走査され、fθ集光光学系を構成
する放物面鏡9によって集光された後、電磁鋼板10に
照射される。
【0021】図3および図4に本発明と従来法(特開昭
55−18566号公報)のパルスレーザ照射による鋼
板表面での痕跡のパターンの差異を示している。図3の
(a)は本発明の発振周波数が30kHz パルスレーザ照
射による鋼板表面での痕跡のパターンを示し、図3の
(b)は従来法の発振器3台による3分割パルスレーザ
照射による鋼板表面での痕跡のパターンを示している。
図4の(a)は本発明の発振周波数60kHz のパルスレ
ーザの2分割による鋼板表面での痕跡のパターンを示
し、図4の(b)は従来法の発振器6台による6分割パ
ルスレーザ照射による鋼板表面での痕跡のパターンを示
している。
【0022】図2は、パルス繰返し周波数30kHz でQ
スイッチ発振した場合の、QスイッチCO2 レーザのパ
ルス波形を示したものである。初期スパイク部はQスイ
ッチレーザ特有のジャイアントパルス発振部であり、そ
の半値幅は放電励起強度、レーザ共振器、パルス繰返し
周波数によって逐次変化するがその範囲は、10nsec以
上、1μsec 以下である。さらにこのQスイッチCO2
レーザのパルスビームの初期スパイク後に長いテイル部
分を伴っている。これは主としてレーザ媒質中に含まれ
るN2 の励起分子から、CO2 分子のレーザ上準位への
衝突によるエネルギー移乗によって発振しているレーザ
パルスの一部である。
【0023】このテイル部の最大長さは衝突エネルギー
移乗の時定数によって決定され、およそ10μsec であ
る。これは、YAGレーザにはないQスイッチCO2
ーザに特有のパルステイルである。なお、回転チョッパ
を用いたQスイッチングにおいては、レーザビームの透
過スリット幅を適宣変更することによりパルステイル長
を制御することが可能である。
【0024】Qスイッチ発振時のパルス繰返し周波数の
最大値は、共振器Q値の上昇後、Qスイッチパルス発振
に至る迄の遅延時間と、共振器Q値が低い間にレーザ上
準位へエネルギーが蓄積される時間の兼ね合いによって
決定されるが、一般の連続波発振CO2 レーザを用いて
Qスイッチ発振させる場合、100kHz 程度までの周波
数が実現可能である。以上に示したようなQスイッチパ
ルスCO2 レーザビームを方向性電磁鋼板に照射し、優
れた鉄損特性を有する電磁鋼板を製造する方法に関して
以下に詳細を説明する。
【0025】本発明は30kHz 以上の高繰返し周波数を
有するQスイッチパルスCO2 レーザビーム1は平面全
反射鏡11で反射し、ポリゴンミラー8による回転スキ
ャナによって電磁鋼板10の板幅方向に走査され、放物
面鏡9によって集光された後、電磁鋼板10に照射され
る。幅をW(mm)の電磁鋼板10が走行速度をV(mm/se
c)で通板方向RDの矢印方向に走行している状態で、ス
キャニング装置8でレーザビームを照射する。時間t(s
ec)の間の鋼板の移動距離をl(mm)とすると、次式
(4)になる。 t=l/V …………………………………………(4)
【0026】この時間の間に、パルス発振周波数をfQ
(Hz)でレーザを発振させて幅W(mm)をスポット間隔d
(mm)でスキャニング照射すると次式(5)になる。 t=(W/d)/fQ …………………………………………(5) そしてポリゴンミラー8の1秒間の回転数M(rps)と面
数Nとすると、次式(6)になる。 t=l/(M・N) …………………………………………(6) この(4),(5),(6)式から、鋼板の走行速度V
(mm/sec)、照射点間隔d(mm)、パルス発振周波数f
Q (Hz)、ポリゴンミラー8の1秒間の回転数M(rps)
と面数N、鋼板の移動距離l(mm)の間には次式(7)
の関係が成立する。 l/V=W/(fQ ・d)=l/(M・N) ………………(7)
【0027】従って、この式(7)の関係を満たすよう
に諸元を選択しなければならない。特に実際の製造ライ
ンに適用する場合には、鋼板の走行速度Vを速くする必
要があるが、走行速度Vが速くなると移動距離lとスポ
ット間隔d等のレーザ照射効果を保持しながら走行速度
Vに対応し、鋼板全幅Wを処理するためには、パルスレ
ーザの発振周波数fQ を高める必要がある。なお、照射
エネルギー密度Ua=(d/l)P2 を0.3〜0.4
になるように鋼板移動方向のスポット間隔lを5〜7m
m、レーザ走査方向のスポット間隔dを0.3〜1.0m
mにする。
【0028】
【実施例】
(実施例1)鋼板の走行速度Vが650mm/secで、幅1
50mmの電磁鋼板にパルス繰返し周波数30kHz 、波長
10.6μmのレーザで初期スパイク部のパルス半値幅
250nsec、パルステイル2μsec で単パルスのエネル
ギーは7.5mJのQスイッチCO2 レーザパルスを、集
光径0.4mmと集光し、初期スパイク部のピークパワー
密度Edを2×107w/cm2 として、照射エネルギー密
度Ua=(d/l)P2を0.3〜0.4となるように電
磁鋼板に照射した。この時の照射位置条件は、レーザ走
査方向のスポット間隔dを0.5mmに、鋼板の移動方向
のスポット間隔lを6.5mmに設定した。
【0029】また比較のため、パルス繰返し周波数10
kHz 、波長1.06μmのQスイッチNd−YAGレー
ザにて電磁鋼板の照射幅方向の範囲を3分割し、他のレ
ーザ照射条件を同一にしてレーザ照射を行った。その結
果、全鋼板幅を均一に照射したQスイッチCO2 レーザ
による照射材は磁気歪みの増加を極めて少なく抑え、全
鉄損値(W17/50 )を11%改善とし、3分割照射のY
AGレーザの照射材の全鉄損値改善幅8%を大きく超え
る鉄損改善効果が判明した。ここで鉄損改善率1%の向
上は、大容量の変圧器鉄心に利用する場合、大幅な変圧
器の効率向上につながるため、実用上極めて大きな効果
である。
【0030】(実施例2)鋼板の走行速度Vが650mm
/secで、幅300mmの電磁鋼板の照射域を2分割にしそ
れぞれの照射域を幅約150mmを走査幅として、パルス
繰返し周波数60kHz 、波長10.6μmのレーザで、
初期スパイク部のパルス半値幅250nsec、パルステイ
ル2μsec で単パルスのエネルギーは7.5mJのQスイ
ッチCO2レーザパルスを、集光径0.4mmと集光し、
初期スパイク部のピークパワー密度Edを2×107 w/
cm2 で照射エネルギー密度Ua=(d/l)P2 を0.3
〜0.4となるように電磁鋼板に照射した。照射位置条
件はレーザ走査方向のスポット間隔dを0.5mm、鋼板
圧延方向のスポット間隔lを6.5mmに設定した。
【0031】その結果、全鋼板幅を均一に照射したQス
イッチCO2 レーザによる照射材は、磁気歪みの増加は
極めて少ない状況で全鉄損値(W17/50 )を10%改善
できることが判明した。従来のパルス繰返し周波数10
kHz 、波長1.06μmのQスイッチYAGレーザに
て、この幅300mmの電磁鋼板の照射処理には6分割以
上の照射が必要となり、設備の複雑さおよび鉄損改善効
果等を比較すると、本発明の鉄損改善効果および経済効
果も多大で、実用上極めて大きな効果である。
【0032】以下に、鉄損改善に関する具体的な効果の
試算結果を示す。本発明の実施例で用いた方向性電磁鋼
板の全鉄損は約0.84w/kgであるので、実施例1の結
果を用いると、本発明により改善される全鉄損値ΔWは
全体の3%で0.025w/kgとなる。方向性電磁鋼板の
最も一般的な用途は送電用の柱状トランスであるが、こ
の場合1kVA の電力量当たり2.0kgの電磁鋼板を必要
とする。従って本発明により柱状トランスにおいて1kV
A の電力に対し約0.05Wの省エネルギーが実現でき
る。
【0033】現在、電力コストは20円/kWhr程度であ
り、力率を0.8とすると、本発明により0.05W/
0.8kW×20円/kWhr=1.26×10-3円/kWhrの
電力コスト削減が可能となる。日本国内での総消費電力
は年間6000〜7000億kWhrであることから、本発
明を適用することで削減される電力コストは年間で1.
26×10-3円/kWhr×6000〜7000億kWhr/年
=7.6〜8.8億円/年となる。
【0034】
【発明の効果】本発明のQスイッチCO2 レーザを用い
たレーザ照射効果によって150mm以上の均一レーザ痕
のパターンを可能にしたことで磁気特性の優れた電磁鋼
板となった。この電磁鋼板は磁気歪みを抑制し、鉄損減
少と安定な磁気特性の大きな改善効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を可能とするパルスQスイッチCO2
ーザ発振器とその照射光学系の構成図である。
【図2】パルスQスイッチCO2 レーザの発振波形の典
型的な測定結果の図表である。
【図3】(a)と(b)は本発明と従来法(特開昭55
−18566号公報)のレーザ照射痕跡の代表的なそれ
ぞれのパターンである。
【図4】(a)と(b)は本発明の複数領域照射例と従
来法(特開昭55−18566号公報)のレーザ照射痕
跡の代表的なパターンである。
【図5】従来法によるレーザ照射方法の概要図である。
【図6】従来法のレーザ照射方法による鉄損値減少とそ
の変化の実例を示す図表である。
【図7】従来法による複数レーザビームと複数照射光学
系によるレーザ照射方法の概要図である。
【図8】(a)と(b)は図6の方法による電磁鋼板の
レーザ照射痕跡の代表的なパターンである。
【図9】連続励起のQスイッチNd−YAGレーザの繰
返し周波数とQスイッチ発振特性の尖頭出力と平均出力
の関係を示した図表である。
【図10】連続励起のQスイッチNd−YAGレーザの
繰返し周波数とパルス幅の関係を示した図表である。
【符号の説明】
1 パルスレーザビーム 2 レーザ放電部 3 全反射鏡 4 テレスコープレンズ 5 回転チョッパ用モータ 6 回転チョッパ 7 出力鏡 8 ポリゴンミラー 9 放物面鏡 10 電磁鋼板 11 平面全反射鏡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 尊道 相模原市淵野辺5−10−1 新日本製鐵株 式会社エレクトロニクス研究所内 (72)発明者 矢持 啓介 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製 鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 佐藤 博彦 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製 鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 太田 敏隆 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本製 鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 方向性電磁鋼板の表面にQスイッチCO
    2 レーザビームを照射して圧延方向に3〜10mmの間隔
    で、鋼板幅方向に0.3〜1.0mmの間隔で150mm以
    上を重なりのない連続パターンの痕跡を有することを特
    徴とする磁気特性の優れた方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板全幅を複数の領域に分割し、その1
    領域のレーザ照射による痕跡を請求項1の条件となるこ
    とを特徴とする磁気特性の優れた方向性電磁鋼板。
  3. 【請求項3】 QスイッチCO2 レーザの繰返し周波数
    が30kHz 以上のパルスによって照射したレーザ照射痕
    跡を持つ請求項1記載の磁気特性の優れた方向性電磁鋼
    板。
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