JPH0789672B2 - 内視鏡装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、内視鏡装置特にその画像処理技術に関する。

（従来の技術） 近年、内視鏡スコープの先端にCCD等の固体撮像素子を
配置した内視鏡が開発されている。これは、例えば胃内
壁の様子をカラーTV画像としてカラーブラウン管などに
直接表示して観察できるもので、内視鏡検査が容易に
なる、画像が鮮明である等の有用性が認められてい
る。そして、この内視鏡により得られた画像を処理して
表示することで、新たな診断機能の向上も期待されてい
る。

（発明が解決しようとする問題点） 従来より内視鏡による画像診断では、臓器粘膜の構造
（ひだの凹凸等）と色の変化（発色，変色等）とによっ
て病変の変化を検出するが、例えば早期癌のような場合
には、ひだの微妙な性状変化しか呈しないために、しば
しば病変を見逃がすことがあった。

この場合、ひだの微細な構造や色の変化を強調できるな
らば異常の発見が容易となるが、内視鏡画像はカラーカ
メラから得られる通常R,G,Bの成分から成る画像情報で
表わされるため、R,G,Bから成る画像に例えば構造強調
を実施しようとすれば、色も変化してしまうという問題
がある。

このように、従来装置にあっては臓器粘膜の構造又は色
の強調処理を独立に実施することができなかった。

そこで、本発明の目的とするところは、構造の微細な変
化のみを強調したり、色の変化のみを強調したり、ある
いはその両者を強調して、粘膜等の異常の発見を容易に
行うことのできる内視鏡装置を提供することにある。

また、原画像と処理画像とを比較観察して診断に供する
ことのできる内視鏡装置を提供することにある。

［発明の構成］ （問題点を解決するための手段） 本発明は、R,G,B画像を明度，彩度，色相の各画像に変
換して第１の表示手段に出力する第１の変換手段と、明
度，彩度，色相のうちの１以上の画像について独立に強
調処理を実行する画像強調処理手段と、強調処理後の明
度，彩度，色相画像をR,G,B画像に変換して第２の表示
手段に出力する第２の変換手段とを設けて内視鏡装置を
構成している。

（作 用） 本発明では、R,G,B画像を色の三属性である明度，彩
度，色相の各画像に変換し、この三層性についての一以
上の画像について独立に強調処理を可能としている。R,
G,Bの画像は、カラー画像を表示するために形成される
色空間であり、強調処理操作にはなじまないものである
が、本発明のように色の三属性である３種の色空間を形
成することで、人間の視覚にマッチした強調処理が可能
となる。しかも、新たな色空間について独立に強調処理
が可能であるため、例えば明度を強調した時に（構造強
調に対応する）、色まで変化してしまうことがない。そ
して、このような強調処理後の画像を再度R,G,B画像に
変換することで、所望のカラー画像を表示することがで
きる。

また、原画像と処理画像とをそれぞれ別の表示部に表示
できるので比較観察が行える。

（実施例） 以下、本発明を図示の実施例に基づき説明する。

第１図は、本発明に係る内視鏡装置のブロック図であ
る。同図において、１は先端部に固定撮像素子であるCC
D2を配置した内視鏡スコープであり、３は前記CCD2から
の信号出力をカラービデオ信号に形成するTV回路部であ
る。尚、カラービデオ信号の生成に際しては、波長の異
なるR,G,Bの光で順次CCD2上に結像させるいわゆる面順
次方式は、あるいはCCD2上にモザイクフィルタを形成し
て同時にR,G,B情報を得るいわゆる点順次方式のいずれ
を採用してもよい。

４は前記カラービデオ信号を、R,G,B信号に変換するエ
ンコーダ、５はこのエンコーダ４からのR,G,B信号をそ
れぞれA/D変換するA/D変換器、6R,6G,6BはそれぞれＲ
用,G用,B用の画像メモリである。12はこの各画像メモリ
6R,6G,6BからのR,G,Bのディジタル信号をD/A変換するD/
A変換器であり、14は前記D/A変換器12からの信号に基づ
き画像を表示するディスプレイ（第１の表示手段）であ
る。

上記の構成は、内視鏡で得られた原画像をR,G,B変換し
てディスプレイ14に表示するという従来からの原画像表
示用のユニットである。本実施例では、この原画像表示
用ユニットに下記の構成の処理画像表示用ユニットを接
続することによって、構造、色を独立に強調処理するこ
とを可能としている。

第１の変換手段である第１の変換ユニット７は、前記各
画像メモリ6R,6G,6BからのR,G,B情報を入力し、これを
色の三属性である明度（Ｉ），彩度（Ｓ），色相（Ｈ）
の各画像に変換するユニットである。尚、色の三属性の
関係は第２図の模式図に示す通りであり、明度（Ｉ）
は、原画像の白黒情報（定量的には輝度情報に対応す
る）であり、壁の構造をよく表わす。彩度（Ｓ）は原画
像の各色についての色のあざやかさ（白で薄められる度
合）を表わし、色相（Ｈ）は原画像の赤，青等の色あい
で波長を表わすことができる。また、R,G,B情報を上記
I,S,H画像に変換する方式としては、カラーグラフィク
の分野で公知であり、その一例として米国ACM（The Ass
ociation For Computer Machinery）−SIGGRAPH（Speci
al Interest Group on Computer Graphiss）から1979年
に提案されたHSI変換モデル等がある。

20は上記I,S,H画像を独立に強調処理する画像強調処理
手段であり、I,S,H用の各画像メモリ8I,8S,8H、画像処
理ユニット９及びコントロールコンソール16から構成さ
れる。前記コントロールコンソール16は、例えば内視鏡
スコープの把持部に設けられ、オペレータの入力に基づ
き前記第１の変換ユニット７に変換指令を出力すると供
に、強調処理のための指令を前記画像処理ユニット９に
出力するものである。前記各画像メモリ8I,8S,8Hは、前
記第１の変換ユニット７で変換処理されたI,S,H像をそ
れぞれ記憶し、その後画像処理ユニット９で強調処理さ
れた画像を記憶するものである。前記画像処理ユニット
９は、前記コントロールコンソール16からの指令に基づ
き、前記画像メモリ8I,8S,8HからのI,S,H画像を入力
し、この各画像を独立して強調処理し、処理画像を各画
像メモリ8I,8S,8Hに記憶するようになっている。

第２の変換手段である第２の変換ユニット10は、前記画
像メモリ8I,8S,8Hに記憶された強調処理後のI,S,H画像
を入力し、これをR,G,B画像に変換するものである。

そして、第２の変換ユニット10で形成されたR,G,B画像
を表示するための構成として、画像メモリ11R,11G,11B,
D/A変換器13及びディスプレイ（第２の表示手段）15が
設けられている。

以上のように構成された装置の作用について説明する。

先ず、内視鏡スコープ１を患者の体腔内に挿入し、例え
ば胃内壁に照明光を照射してその反射光をCCD2で検出
し、電気信号に変換する。TV回路部３ではこれを標準ビ
デオ信号例えばNTSC信号に形成する。このNTSC信号はエ
ンコーダ４によってR,G,B信号に変換され、それぞれA/D
変換器５でディジタル信号に変換された後に各画像メモ
リ6R,6G,6Bに記憶される。この画像メモリ6R,6G,6Bに記
憶されたR,G,B信号は、D/A変換器12でアナログ信号に変
換され、原画像がディスプレイ14上にカラー表示される
ことになる。これによって、胃内壁の画像診断が可能に
なる。

＜画像強調処理例１＞ ここで、上記胃内壁の微細なひだの構造をより正確に診
断したい場合には、下記のような画像処理を行う。

先ず、オペレータの操作入力に基づきコントロールコン
ソール16より第１の変換ユニット７に対して画像処理実
行命令が出力される。そうすると、この第１の変換ユニ
ット７は前記画像メモリ6R,6G,6BよりR,G,B信号を入力
し、これを公知の（RGB）→（H,S,I）変換方式によって
H,S,I信号に変換して出力する。そして、このH,S,I画像
はそれぞれ画像メモリ8H,8S,8Iに記憶される。

一方、前記コントロールコンソール16は、オペレータの
操作入力に基づき、例えば構造強調の指令を画像処理ユ
ニット９に対して出力すると、この画像処理ユニット９
では画像メモリ8Iに記憶されたＩ画像について、例えば
第３図に示すバンドパスフィルタを施すことになる。

フィルタ処理されたＩ画像は、その後画像メモリ8Iに再
び記憶される。そして、画像メモリ8H,8S内の未処理の
H,S画像と、画像メモリ8I内のフィルタ処理後のＩ像
は、第２の変換ユニット10に入力され、ここでR,G,B画
像に変換される。その後、R,G,B画像は画像メモリ11R,1
1G,11Bに一旦記憶された後、D/A変換器13でアナログ信
号に変換されてディスプレイ15上に画像表示されること
になる。

ここで、このディスプレイ15上に表示されたカラー画像
と、ディスプレイ14上に表示された原画についてのカラ
ー画像とを比較すると、ディスプレイ15上の画像は先の
処理で明度（Ｉ）情報についてのみバンドパスフィルタ
が施されているため、胃内壁のひだの構造のみが強調さ
れ、色調については原画像の情報が保存された画像とな
っている。従って、色調を損なうことなくひだの構造の
みを強調処理でき、ひだの微細な変化をも診断可能とな
る。

＜画像強調処理例２＞ 同様に、第３図に示すバンドパスフィルタを色相（Ｓ）
画像についてのみ施すことができる。この場合、コント
ロールコンソール16より画像処理ユニット９に対して色
相強調の指令が出力されるようにすればよい。そうする
と、画像処理ユニット９では、画像メモリ8S内のＳ画像
についてのみバンドパスフィルタを施こし、ディスプレ
イ15上に表示される画像は、色のあざやかさに関する空
間上の変化のみ強調された画像となる。

このような強調処理の実用性としては、例えば胃粘膜は
一般に赤色を呈するが、その中で病変部は発赤して更に
赤味を帯びることがしばしば観察されるため、上記のフ
ィルタ処理を行うことにより発赤部分のみがより強調さ
れて診断能が向上する。

また、病変部が変色した場合にあっては、色相（Ｓ）画
像に上記のフィルタ処理を実行すると変色部分を強調し
た画像を得ることができる。

＜画像強調処理例３＞ 画像の強調処理は、H,S,I像についてそれぞれ独立に行
うことができるため、上述した処理例1,2のように３種
の画像のうちの１種についてのみ実行するものに限ら
ず、２種以上の画像について強調処理することも可能で
ある。

例えば、画像メモリ8I,8S内のＩ像,S像についてフィル
タ処理を行うことも可能であり、この場合には上記の処
理例1,2で得られた画像を複合した結果が表示される。

＜画像強調処理例４＞ 強調処理の変形例としては、フィルタ処理に限らず診断
能の向上に寄与する種々の強調処理を採用することがで
き、例えばＳ像に対して第４図に示すような非直線的な
ゲイン変換（ウインドウ処理）を行うことも有用であ
る。この場合、発赤部位，血管像を強調する効果が期待
できる。

このように、強調処理の例としては種々考えられる。そ
して、いずれの画像に対していかなる強調処理を実行す
るかについてはコントロールコンソール16によって画像
を選択し、かつ、各種強調処理に対応するための処理機
能を画像処理ユニット９に備えておけばよい。

尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本
発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。

上記実施例では原画像用の表示系（画像メモリ6R〜6B,D
/A変換器12及びディスプレイ14）の他に、処理画像用の
表示系（画像メモリ11R〜11B,D/A変換器13及びディスプ
レイ15）を別個に設けたが、一の表示系を兼用すること
もできる。この場合、原画像，処理画像を切り変えて表
示するか、あるいは一画面を２領域に分割して各領域に
同時に表示することもできる（第１と第２の表示手段を
兼用させる）。

また、画像の強調処理はフリーズスイッチと連動させ、
診断目的の画像が表示されたら該画像をフリーズさせ、
この画像に対して各種強調処理を行うようにしてもよ
い。

尚、本発明の応用例として、第１の変換手段７で色の三
属性である明度，彩度，色相の各画像が得られるため、
この各画像について数値解析を行い、この結果を表示あ
るいは記録出力することもできる。

［発明の効果］ 以上詳述したように、本発明によれば内視鏡カラー画像
の構造又は色のみを独立に強調処理することができ、か
つ、原画像と処理後の画像を比較観察できるから、粘膜
等の異常の発見を容易に行うことのできる診断能の高い
内視鏡装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の一実施例装置のブロック図、第２図は
色の三属性の関係を示す概略説明図、第３図は強調処理
の一例としてのバンドパスフィルタ特性の特性図、第４
図は強調処理の一例としてのウインドウ特性の特性図で
ある。 １……内視鏡スコープ、２……固体撮像素子、 ７……第１の変換手段、10……第２の変換手段、 20……画像強調処理手段。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内視鏡スコープの挿入先端に配置された固
   体撮像素子より得られた情報を、R,G,B画像に変換し、
   このR,G,B画像に基づいて内視鏡カラー画像を第１の表
   示手段に表示する内視鏡装置において、前記R,G,B画像
   を明度，彩度，色相の各画像に変換する第１の変換手段
   と、明度，彩度，色相のうち１以上の画像について独立
   に強調処理を実行する画像強調処理手段と、強調処理後
   の明度，彩度，色相画像をR,G,B画像に変換する第２の
   変換手段及び該画像を表示する第２の表示手段とを設け
   たことを特徴とする内視鏡装置。