JPH0788991A - 金属波形コアパネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡単かつ製造が容易で、コルゲートコ
アパネルと平板の接合時に押圧力が変化しても平坦度が
高く、平板に対し垂直方向および水平方向の圧力に対し
ても強度の大きい金属波形コアパネル。 【構成】 コルゲートコアパネルの上下に金属平板４
を、接合してなる波形コアパネルにおいて、波形稜線と
平衡な方向の起伏が、実質的に垂直な側面１と、傾斜し
た側面２とによって形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、金属波形コアパネルに
関し、特にパネル面の全方向に対して高剛性の構造材用
金属波板コアパネルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】コルゲート板あるいはハニカム等を二枚
の平板間にサンドイッチした金属パネルは、比較的軽量
であるにもかかわらず剛性が高いため、従来から航空
機、陸上車両、建築用、電気機器等の構造用材として広
い範囲に使用されている。

【０００３】このうち金属製のコルゲート（波板）コア
パネルはハニカムコアに比して構造が簡単であり、製造
が容易なためコストパフォーマンスが良く、トラック、
鉄道車両の車体材料、建築用の足場板、建造物のドア材
等として広く用いられている。この場合波形コアは周知
のごとく波形の稜線方向と直交する方向（以下幅方向と
いう。）断面は上下平板と併せて図３に例示するように
（１）三角形、（２）台形、（３）連続曲面、（４）矩
形等が知られている。

【０００４】これらのコアと平板との接合は、パネルの
用途により使用温度、機械的特性を考慮してろう付け、
溶接、または樹脂系接着剤等によるものがあるが、特に
耐熱性を必要としない汎用パネルには樹脂系接着剤のも
のが多く用いられている。

【０００５】このような一方向だけの波形コルゲートを
用いた波形コアパネルは、波形の稜線に平行な方向（以
下長手方向という。）に対する曲げ強度（たわみ性）は
強いのに対し、これに直交する幅方向に対する曲げ強度
は弱く、構造にもよるが一般に前者の１０分の１程度に
過ぎない。

【０００６】このような問題に対して、たわみ強度の方
向性をなくすための改良された波形コアパネルが数多く
提案されている。

【０００７】例えば、（１）コルゲートコアパネル波形
面上に波形と直交するように一定幅の***を連続的に設
けてコルゲート幅方向の強度を高めた波形コアパネル
（米国特許３，２１７，８４５号）、（２）コルゲート
コアパネルを長手方向を直交させながら積層した波形コ
アパネル（米国特許３，３０９，０４２号）、（３）コ
ルゲートコアパネルの稜線方向を斜めに交差して複数枚
積層し、強度における方向性の解消したコルゲートコア
パネル（米国特許３，０３７，５９２号）、あるいは
（４）コルゲートコアパネルの波形を同一平面内で蛇行
させ、幅方向に対する曲げ強度の改善を図った波形コア
パネル（特公昭６０−５４６２号）などがある。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、これらのパネ
ルはいずれも複雑な構造を有し、コルゲート製造のため
には特殊な装置を必要とするためコストパフォーマンス
に欠けている。

【０００９】例えば（１）のパネルにおいては、一枚の
コルゲートコアパネルに対しコルゲートをそれぞれ直角
方向から加工する必要があるため張出成形に頼らざるを
得ず、ステンレス鋼や鋼においてはともかくアルミニウ
ム材等にあっては成形困難な問題がある。このように複
雑な構造とした割には幅方向の強度アップの効果が少な
く、加工方法、加工設備などコストパフォーマンスに劣
ったものである。

【００１０】（２）のパネルはコルゲートの波の方向の
曲げ強度の方向性の平均化、剛性の向上に効果がある
が、コルゲートコアパネルを複数枚積層することと同じ
であり、厚さが厚くなること、重量が増すこと、コスト
アップを招くことなど、特殊な場合にのみ可能なコルゲ
ートパネルである。

【００１１】（３）のパネルは平板を使用せず単にコル
ゲートコアパネルを直接積層してあるため、すべて点接
合となり、接合面積の減少により意図した強度は得がた
いのみでなく、接合自体困難性を増し、実現性に乏し
い。

【００１２】（４）のパネルは波形を蛇行させることに
より強度の方向性をなくす提案であるが、幅方向の曲げ
強度は向上するが、長手方向の剛性が大きく低下するこ
とは避けられず、特に波形の蛇行が同一となるため屈曲
点の剛性が低下することは明らかである。また、このコ
ルゲートコアパネルの製造は複雑で加工設備費も高価に
なり、コストアップは避けられない。

【００１３】一方、金属波形コアパネルの製造工程には
従来共通した課題として、接合時の押圧による波形コア
の幅方向への拡伸変形による高さの減少、同時に平板の
歪みによる平坦度劣化が起こり易いことであり、これに
よって製品パネルの厚みの正確性が損なわれ、しかも強
度低下、外観不良を招くことになる。これを改善するた
め押圧力を緩和すれば、接合力の減少を伴い、しかもパ
ネルの平坦度も低下する等の問題があった。

【００１４】これを図３に示す波形コアについて説明す
ると、コアを上下の平板と接合する際、接着剤が固化す
るまでには垂直方向から平板を押圧固定する必要がある
が、必要な押圧力を加えると（ａ），（ｂ），（ｃ）の
波形は容易に水平方向へ伸びて高さを変え易く、一方
（ｄ）の波形では垂直方向の押圧に対しては安定する
が、わずかの水平方向からの力が含まれるとこれも水平
方向に傾斜して変形しいずれも高さを減少する。かかる
変形は、波形コアの折曲部の曲げモーメントの強度と押
圧力の平衡関係によって決まり、従ってこの部分の曲げ
モーメントを増強するには、コルゲート板厚の増加ある
いは更に板素材の弾性率向上とが必要となるが、前者は
パネルの重量増加に直結し、後者は素材の選択、改良に
かかわるが、成形加工性の低下を余儀なくされること、
いずれもコスト上昇を招く等実現は困難な状況にある。

【００１５】上記の波形コアパネルの長手方向の剛性、
強度は通常の用途に対して充分な値が得られるのに反
し、幅方向の剛性、強度は不十分でこの改善が求められ
ている。特にこの種のパネルの用途対象である車両、建
造物等の床、壁、収納ドア等、本質的にコルゲートの波
の幅方向から荷重を受けた場合に問題があり、幅方向に
たわみ易く、折れ曲がり易い欠点を内在していた。

【００１６】かかる欠点を解消する手段として、前記の
波形コアパネル等を使用することも考えられるが、製品
表面の平滑性を維持しつつ、安価な波形コアパネルは今
もって知られていない。

【００１７】本発明は製造が容易で、平坦度、厚さの精
度が高く、パネルの上下方向の圧縮強度が高く、波形の
幅方向のたわみ強度の比較的高い、安価に製造可能な波
形コアパネルの開発を目的とする。

【００１８】

【課題を解決するための手段】本発明は、波形の起伏を
連続的に折曲成形した金属波板の上下端に、金属平板を
接合してなる波形コアパネルにおいて、前記波形長手方
向の起伏が、前記金属平板の少なくとも一面に対して実
質的に垂直な側面と、傾斜した側面とによって形成され
てなることを特徴とする波形コアパネルを開発すること
により、上記の目的を達成した。

【００１９】本発明の波形コアパネルの材質としては、
その用途、目的から、特にＡｌ，Ｍｇ，Ｔｉ等の軽金
属、また銅、鉄、およびそれらの合金板が対象となる。

【００２０】波形コアパネルの波形コアは、波形長手方
向の起伏がコアの上下に接着される面に対して垂直であ
る面と、傾斜した面から形成されていることが必要であ
る。

【００２１】従来の波形コアは、その多くは図３の
（ａ），（ｂ）または（ｃ）に示すごとく上下の平板に
対して傾斜した面だけで構成されているか、あるいは図
３の（ｄ）のごとく上下の平板に対して垂直である面の
みで構成されているかのいずれかである。

【００２２】このため（ａ），（ｂ）または（ｃ）のタ
イプのものはパネルの水平方向に対してはともかく、垂
直方向に対する圧縮に弱く、接着をする場合に垂直方向
から押圧をして金属平板へ確実に接触させて接着をしよ
うとするとき、波形コアがつぶれ易く、厚さのバラツ
キ、平坦度、厚さの精度を失い易い。

【００２３】一方、図３の（ｄ）のタイプは上下方向の
圧縮に対しては強く、接着に際して垂直方向から押圧を
して接着することも容易である利点はあるが、上下の平
板に平行な水平方向からの力に対しては上下の平板に対
して垂直である面のみで対抗するため弱くゆがみ易い欠
点がある。

【００２４】これに対し、本発明の波形コアは図１、
（ａ）、（ｂ）、（ｃ）および（ｄ）などに示すごと
く、上下の平板に対して垂直な面および傾斜した面との
両者を有するため、上下方向の圧縮に対してもまた上下
の平板に対して平行な横方向からの力に対しても共に対
抗できる特徴を有する。

【００２５】以下図面により本発明を詳細に説明する。
図１の（ａ）は、上下の平板に対して垂直な面１と傾斜
した面（２）のみからなる波形コアの上下を平板４，４
で上下の接点を接着したものである。

【００２６】この接着は通常の波形コアパネルと同様、
ろう付け溶接または樹脂系接着剤による接着で良い。

【００２７】図１の（ｂ）は、上下の平板４に対して垂
直な面１と傾斜した面２のそれぞれの間に接着強度向上
をはかるための平板に平行な面３を設けた波形コアを用
いた波形コアパネルである。このタイプは樹脂系接着剤
で接着するタイプに有利なタイプである。

【００２８】図１の（ｃ）および（ｄ）は波形コアの方
向性を減らすための変形である。

【００２９】図２の波形コアは図１の（ｂ）のタイプの
強度を高めるため平板に平行な面３に剛性を向上させる
ためリブ５を設けたものである。

【００３０】このリブ５を設けることにより長手方向の
剛性を失わず、接着面積もわずかの減少で理想のトラス
状態に近付けることができ、剛性アップに寄与すること
ができる。

【００３１】

【作用】波形コアを上下の平板に対して垂直な面と傾斜
した面を組み合わせたため、上下の圧縮だけでなく、上
下の平板に平行な横方向の力に対しての対抗性を有し、
また驚くべきことにパネルのたわみに対する抵抗力も併
せて有することである。

【００３２】

【発明の効果】本発明の波形コアパネルは、上下の平板
に対して実質的に垂直な面と傾斜した面の両者を有する
波形コアを有することにより、平坦度、厚さの精度を高
くすることが容易であり、パネルの上下方向の圧縮強度
が高く、波形の幅方向のたわみ強度が比較的高い、構造
が簡単でコストパフォーマンスの優れたものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ），（ｂ），（ｃ）および（ｄ）はともに
本発明の波形コアパネルの断面を示す例である。

【図２】図１（ｂ）のタイプの波形コアの改良された形
状の一例。

【図３】（ａ），（ｂ），（ｃ）および（ｄ）は従来の
波形コアの断面を示す。

【符号の説明】 １ 上下の平板に対して垂直な面 ２ 上下の平板に対して傾斜した面 ３ 上下の平板に対して平行な面 ４ 上下の平板 ５ リブ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 波形の起伏を連続的に折曲成形した金属
   波板の上下端に、金属平板を接合してなる波形コアパネ
   ルにおいて、前記波形稜線と平行な方向の起伏が、前記
   金属平板の少なくとも一面に対して実質的に垂直な側面
   と、傾斜した側面とによって形成されてなることを特徴
   とする金属波形コアパネル。
2. 【請求項２】 前記波形稜線と平行な方向の起伏が、前
   記金属平板の少なくとも一面に対して傾斜した側面上に
   おいて、間欠的に凹部が形成されてなる請求項１記載の
   金属波形コアパネル。