JPH0788204B2 - 酸化物超電導体用保護膜およびその形成法 - Google Patents
酸化物超電導体用保護膜およびその形成法Info
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- JPH0788204B2 JPH0788204B2 JP63310040A JP31004088A JPH0788204B2 JP H0788204 B2 JPH0788204 B2 JP H0788204B2 JP 63310040 A JP63310040 A JP 63310040A JP 31004088 A JP31004088 A JP 31004088A JP H0788204 B2 JPH0788204 B2 JP H0788204B2
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- Japan
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- film
- hydrogen
- oxide superconductor
- oxide
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E40/00—Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
- Y02E40/60—Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、酸化物超電導体用の保護膜に係り、特に耐
湿,耐炭酸化特性に優れた高強度の酸化物超電導体用保
護膜に関する。
湿,耐炭酸化特性に優れた高強度の酸化物超電導体用保
護膜に関する。
1986年初めにランタン・バリウム・銅の酸化物超電導体
がベドノルツとミユラーによつて発見されて以来、酸化
物超電導体に関する研究活動が活発化した。1987年春に
は90K級の転移温度を有するイツトリウム・バリウム・
銅の酸化物(Y−Ba−Cu−Oと略称する)が米国ヒユー
ストン大学のチユーらによつて、1988年初めには105K級
の転移温度を有するビスマス・ストロンチウム・カルシ
ウム・銅の酸化物(Bi−Sr−Ca−Cu−Oと略称する)が
金材技研の前田らによつて、120K級の転移温度を有する
タリウム・バリウム・カルシウム・銅の酸化物(Tl−Ba
−Ca−Cu−Oと略称する)がアーカンサス(Arkansas)
大のハーマンらによつて発見された。これら酸化物系超
電導体は、臨界温度が液体窒素の沸点である77Kを大き
く上まわつており、高価な液体ヘリウムを用いなくても
安価な液体窒素で超電導状態が得られるため注目されて
いる。これら酸化物超電導体は、特にY−Ba−Cu−O系
のものは大気中に存在する水分と反応して分解したり、
炭酸ガスと反応して炭酸塩となり超電導体が壊れる。こ
のため、酸化物超電導材料を用いた線材やデバイス等へ
の応用に当つては、大気中の水分や炭酸ガスとの接触を
さけるための保護膜の形成が必須の条件となる。
がベドノルツとミユラーによつて発見されて以来、酸化
物超電導体に関する研究活動が活発化した。1987年春に
は90K級の転移温度を有するイツトリウム・バリウム・
銅の酸化物(Y−Ba−Cu−Oと略称する)が米国ヒユー
ストン大学のチユーらによつて、1988年初めには105K級
の転移温度を有するビスマス・ストロンチウム・カルシ
ウム・銅の酸化物(Bi−Sr−Ca−Cu−Oと略称する)が
金材技研の前田らによつて、120K級の転移温度を有する
タリウム・バリウム・カルシウム・銅の酸化物(Tl−Ba
−Ca−Cu−Oと略称する)がアーカンサス(Arkansas)
大のハーマンらによつて発見された。これら酸化物系超
電導体は、臨界温度が液体窒素の沸点である77Kを大き
く上まわつており、高価な液体ヘリウムを用いなくても
安価な液体窒素で超電導状態が得られるため注目されて
いる。これら酸化物超電導体は、特にY−Ba−Cu−O系
のものは大気中に存在する水分と反応して分解したり、
炭酸ガスと反応して炭酸塩となり超電導体が壊れる。こ
のため、酸化物超電導材料を用いた線材やデバイス等へ
の応用に当つては、大気中の水分や炭酸ガスとの接触を
さけるための保護膜の形成が必須の条件となる。
かかる保護膜として、第35回応用物理学関係連合講演会
予稿集P151,31P−Y−2に見られるフツ化ビニルのプラ
ズマ重合膜がある。この膜はフツ素を含有しているため
疎水性が強く大気中の水分に対して安定であり、酸化物
超電導体を保護することができる。
予稿集P151,31P−Y−2に見られるフツ化ビニルのプラ
ズマ重合膜がある。この膜はフツ素を含有しているため
疎水性が強く大気中の水分に対して安定であり、酸化物
超電導体を保護することができる。
しかし、前記予稿集には、保護膜の硬度や強度,原料ガ
スの公害性の点については充分配慮されていない。すな
わち、一般のプラズマ重合膜は硬度,強度が小さいため
プラズマ重合膜をコートした線材やデバイスでは取扱い
時に傷がつき易く、原料ガスフルオロエチレンは大気圏
のオゾン層破壊のもとになるフツ素を含有しているため
使用が好ましくない。
スの公害性の点については充分配慮されていない。すな
わち、一般のプラズマ重合膜は硬度,強度が小さいため
プラズマ重合膜をコートした線材やデバイスでは取扱い
時に傷がつき易く、原料ガスフルオロエチレンは大気圏
のオゾン層破壊のもとになるフツ素を含有しているため
使用が好ましくない。
本発明の目的は、硬度及び強度が大きく、耐水及び耐炭
酸化特性に優れた酸化物超電導体用の保護膜を提供する
にある。他の目的は前記保護膜を形成する方法を提供す
るにある。
酸化特性に優れた酸化物超電導体用の保護膜を提供する
にある。他の目的は前記保護膜を形成する方法を提供す
るにある。
炭化水素1〜2vol%と水素99〜98vol%との混合ガスを
基板温度600〜1000℃の条件下でプラズマ分解して得ら
れる膜は、ダイヤモンド、又はダイヤモンド状炭素膜と
称せられ、硬度が非常に大きい疎水性膜であるが脆いた
め酸化物超電導体用の保護膜としては適しない。この膜
は水素の含有率が小さく、水素と炭素との原子数比(H/
C)は0.05以下程度である。一方、炭化水素と水素との
混合ガスを基板温度200℃以下の低温条件下でプラズマ
分解して得られる膜(プラズマ重合膜)は、密着力に富
んでいるが硬度が小さく傷つき易い。また、疎水性も前
記ダイヤモンド状炭素膜に比べかなり小さい。この膜の
H/Cは1ないし2以上で水素の含有率が大きい。
基板温度600〜1000℃の条件下でプラズマ分解して得ら
れる膜は、ダイヤモンド、又はダイヤモンド状炭素膜と
称せられ、硬度が非常に大きい疎水性膜であるが脆いた
め酸化物超電導体用の保護膜としては適しない。この膜
は水素の含有率が小さく、水素と炭素との原子数比(H/
C)は0.05以下程度である。一方、炭化水素と水素との
混合ガスを基板温度200℃以下の低温条件下でプラズマ
分解して得られる膜(プラズマ重合膜)は、密着力に富
んでいるが硬度が小さく傷つき易い。また、疎水性も前
記ダイヤモンド状炭素膜に比べかなり小さい。この膜の
H/Cは1ないし2以上で水素の含有率が大きい。
発明者らは、炭化水素と水素との混合比,基板温度,基
板とプラズマとの位置など成膜条件を種種変化させて膜
形成を行ない、得られた膜の特性を評価した。その結
果、膜中のH/Cを0.33を越え1.0未満とすれば、密着力,
硬度及び疎水性に優れた膜が形成できることを実験的に
見い出し本発明に至つた。
板とプラズマとの位置など成膜条件を種種変化させて膜
形成を行ない、得られた膜の特性を評価した。その結
果、膜中のH/Cを0.33を越え1.0未満とすれば、密着力,
硬度及び疎水性に優れた膜が形成できることを実験的に
見い出し本発明に至つた。
〔作用〕 前記炭化水素としては、メタン,エタン,エチレン,ア
セチレン,プロパン等の脂肪族炭化水素及びベンゼン,
トルエン等の芳香族炭化水素を用いることができるが、
常温・常圧下でガス状の炭化水素がプラズマ反応器への
供給等の点で便利である。炭化水素と水素との混合ガス
のプラズマを形成する手段としては、マイクロ波,高周
波等の電磁波エネルギーを使用することができる。保護
膜を形成したい酸化物超電導体は、炭化水素と水素との
混合ガスプラズマのアフターグロー部を置くのがよい。
これは、プラズマ密度の高い位置に置くと酸化物超電導
体の表面がエツチングされたり、原子状水素によつて還
元されたりするのをさけるためである。酸化物超電導体
の保護膜形成時における加熱温度は、400〜600℃がよ
い。これは、加熱温度を上げ過ぎるとH/Cが小さくなつ
てダイヤモンドライクとなり、低く過ぎるとプラズマ重
合膜的になるためである。炭化水素と水素ガスとの混合
比は、炭化水素の種類によつても変わるがおおむね炭化
水素の濃度10〜50%がよい。また、本発明になる保護膜
は、Y−Ba−Cu−O系に限らず、Bi−Sr−Ca−Cu−O及
びTl−Ca−Ba−Cu−O系超電導体のいずれにも用いるこ
とができる。
セチレン,プロパン等の脂肪族炭化水素及びベンゼン,
トルエン等の芳香族炭化水素を用いることができるが、
常温・常圧下でガス状の炭化水素がプラズマ反応器への
供給等の点で便利である。炭化水素と水素との混合ガス
のプラズマを形成する手段としては、マイクロ波,高周
波等の電磁波エネルギーを使用することができる。保護
膜を形成したい酸化物超電導体は、炭化水素と水素との
混合ガスプラズマのアフターグロー部を置くのがよい。
これは、プラズマ密度の高い位置に置くと酸化物超電導
体の表面がエツチングされたり、原子状水素によつて還
元されたりするのをさけるためである。酸化物超電導体
の保護膜形成時における加熱温度は、400〜600℃がよ
い。これは、加熱温度を上げ過ぎるとH/Cが小さくなつ
てダイヤモンドライクとなり、低く過ぎるとプラズマ重
合膜的になるためである。炭化水素と水素ガスとの混合
比は、炭化水素の種類によつても変わるがおおむね炭化
水素の濃度10〜50%がよい。また、本発明になる保護膜
は、Y−Ba−Cu−O系に限らず、Bi−Sr−Ca−Cu−O及
びTl−Ca−Ba−Cu−O系超電導体のいずれにも用いるこ
とができる。
以下、本発明を具体的実施例を用いてさらに詳細に説明
する。第1図は本発明になる保護膜を形成する装置の概
略構成図を示したものである。炭化水素と水素との混合
ガス1は減圧にされた反応器2に供給される。この混合
ガスにRF電源3からの高周波を誘導コイル4を通して印
加し、プラズマ5を形成する。このプラズマのアフタグ
ロー部に酸化物超電導ペレツト6を置き、必要に応じて
電気炉7により加熱し、ペレツトを炭素と水素とから成
る保護膜でコーテイングする。ペレツトに前記保護膜が
均一に付着するよう、ペレツトは時折り裏がえしにす
る。排ガス8は真空ポンプにより排気する。
する。第1図は本発明になる保護膜を形成する装置の概
略構成図を示したものである。炭化水素と水素との混合
ガス1は減圧にされた反応器2に供給される。この混合
ガスにRF電源3からの高周波を誘導コイル4を通して印
加し、プラズマ5を形成する。このプラズマのアフタグ
ロー部に酸化物超電導ペレツト6を置き、必要に応じて
電気炉7により加熱し、ペレツトを炭素と水素とから成
る保護膜でコーテイングする。ペレツトに前記保護膜が
均一に付着するよう、ペレツトは時折り裏がえしにす
る。排ガス8は真空ポンプにより排気する。
[実施例1] 第1図に概略構成を示した実験装置を用い、表1に示す
条件下でY−Ba−Cu−Oペレツトの表面コーテイングを
行なつた。Y−Ba−Cu−Oペレツトの設定位置はプラズ
マ発光部下流側数cmとした。
条件下でY−Ba−Cu−Oペレツトの表面コーテイングを
行なつた。Y−Ba−Cu−Oペレツトの設定位置はプラズ
マ発光部下流側数cmとした。
膜厚は約2μmであつた。この膜のH/Cは約0.5,ビツカ
ース硬度は80であつた。保護膜を形成したペレツトと形
成しないペレツトについて次に耐候試験を行なつた。耐
候試験条件は、40℃の飽和湿度,炭酸ガス濃度1%の雰
囲気中で5時間放置とした。放置後のペレツトの抵抗率
の温度依存性を第2図に示した。保護膜を被覆してペレ
ツトの耐候試験後の抵抗率の温度依存性aは、耐候試験
前の抵抗率の温度依存性bとほぼ同じであつたのに対
し、保護膜を被覆しないペレツトの耐候試験後の抵抗率
の温度依存性cは大きく変化し、全く超電導性を失なつ
ている。以上の結果より炭素と水素とから成る保護膜を
被覆することによつて酸化物超電導体の耐候性は著しく
改善されることがわかる。
ース硬度は80であつた。保護膜を形成したペレツトと形
成しないペレツトについて次に耐候試験を行なつた。耐
候試験条件は、40℃の飽和湿度,炭酸ガス濃度1%の雰
囲気中で5時間放置とした。放置後のペレツトの抵抗率
の温度依存性を第2図に示した。保護膜を被覆してペレ
ツトの耐候試験後の抵抗率の温度依存性aは、耐候試験
前の抵抗率の温度依存性bとほぼ同じであつたのに対
し、保護膜を被覆しないペレツトの耐候試験後の抵抗率
の温度依存性cは大きく変化し、全く超電導性を失なつ
ている。以上の結果より炭素と水素とから成る保護膜を
被覆することによつて酸化物超電導体の耐候性は著しく
改善されることがわかる。
[実施例2] 実施例1と同じ装置を用い、酸化物超電導体のペレツト
をプラズマ中に固定して実施例1と同じ条件下で保護膜
の形成を行なつた後、保護膜を機械的に剥離し抵抗率の
温度依存性を測定した。結果を第3図に示したが超電導
特性がかなり劣化していた。dは保護膜を被覆しない耐
候試験後のペレツト、eは保護膜を被覆した耐候試験後
のペレツトを示す。次にMgO基板上にY−Ba−Cu−Oの
薄膜をスパツタ法により形成した試料をプラズマ中呼び
アフターグロー部に置いて、前記した方法と同様にして
保護膜の形成を行ない、SIMSによつて膜厚さ方向の酸素
分析を行なつた。その結果、アフターグロー部に置いた
試料では酸素濃度の分布が膜厚さ方向でほぼ均一であつ
たのに対し、プラズマ中で保護膜を形成した試料では、
膜表面層で酸素の不足が認められた。これは、プラズマ
中では解離した原子状の水素濃度が高いため保護膜形成
の初期において酸化物超電導体の表面が還元されたこと
を意味する。以上の結果より、保護膜を形成する位置は
プラズマ中よりアフターグロー部が好ましいと言える。
をプラズマ中に固定して実施例1と同じ条件下で保護膜
の形成を行なつた後、保護膜を機械的に剥離し抵抗率の
温度依存性を測定した。結果を第3図に示したが超電導
特性がかなり劣化していた。dは保護膜を被覆しない耐
候試験後のペレツト、eは保護膜を被覆した耐候試験後
のペレツトを示す。次にMgO基板上にY−Ba−Cu−Oの
薄膜をスパツタ法により形成した試料をプラズマ中呼び
アフターグロー部に置いて、前記した方法と同様にして
保護膜の形成を行ない、SIMSによつて膜厚さ方向の酸素
分析を行なつた。その結果、アフターグロー部に置いた
試料では酸素濃度の分布が膜厚さ方向でほぼ均一であつ
たのに対し、プラズマ中で保護膜を形成した試料では、
膜表面層で酸素の不足が認められた。これは、プラズマ
中では解離した原子状の水素濃度が高いため保護膜形成
の初期において酸化物超電導体の表面が還元されたこと
を意味する。以上の結果より、保護膜を形成する位置は
プラズマ中よりアフターグロー部が好ましいと言える。
[実施例3] 実施例1と同じ装置を用い種々のプロパンと水素との濃
度比の条件下で保護膜の形成を行ない、膜の水素と炭素
の比(H/C)と膜のビツカース硬度及び膜の密着力を評
価した。膜の密着力は、酸化物超電導体ペレツトの表面
を2mm間隔で切り込みを入れて保護膜を形成したのち、
保護膜にスコツチテープをはり、はがした時の剥離頻度
で評価(ピール試験)した。実験結果を第4図と第5図
に示した。第4図の結果より、通常の取扱いで傷がつか
ない硬度50kg/mm2以上を得るにはH/Cを1.0未満にする必
要のあることがわかる。また、第5図の結果より、通常
の取扱いで剥離しないピール試験残存率50%以上を得る
ためにはH/Cを0.33を越える必要のあることがわかる。
以上2つの結果より、H/Cは0.33を越え1.0未満にするこ
とが好ましいと言える。
度比の条件下で保護膜の形成を行ない、膜の水素と炭素
の比(H/C)と膜のビツカース硬度及び膜の密着力を評
価した。膜の密着力は、酸化物超電導体ペレツトの表面
を2mm間隔で切り込みを入れて保護膜を形成したのち、
保護膜にスコツチテープをはり、はがした時の剥離頻度
で評価(ピール試験)した。実験結果を第4図と第5図
に示した。第4図の結果より、通常の取扱いで傷がつか
ない硬度50kg/mm2以上を得るにはH/Cを1.0未満にする必
要のあることがわかる。また、第5図の結果より、通常
の取扱いで剥離しないピール試験残存率50%以上を得る
ためにはH/Cを0.33を越える必要のあることがわかる。
以上2つの結果より、H/Cは0.33を越え1.0未満にするこ
とが好ましいと言える。
また、以上の結果から、酸化物超電導体側に硬度は小さ
くなるが密着力の大きい相対的に水素含有率の多い膜を
形成し、反対側に密着力は小さいが硬度の大きい相対的
に水素含有率の小さい膜を形成し、二層構造とすればさ
らに特性の向上が期待できることがわかる。
くなるが密着力の大きい相対的に水素含有率の多い膜を
形成し、反対側に密着力は小さいが硬度の大きい相対的
に水素含有率の小さい膜を形成し、二層構造とすればさ
らに特性の向上が期待できることがわかる。
[実施例4] 実施例1と同じ装置を用い、実施例1と同じ条件下で種
々の膜厚の炭素と水素とからなる保護膜を形成し、実施
例1と同じ条件下で耐候試験を実施した。試験の結果、
保護膜の膜厚が0.01μm以下では酸化物超電導体の超電
導特性が全く消失した。0.01μm〜0.05μm膜厚では超
電導特性を示したが劣化は大きかつた。0.05μm以上の
膜厚ではほとんど劣化は認められなかつた。以上の結果
より、保護膜の膜厚は0.05μm以上が好適となる。
々の膜厚の炭素と水素とからなる保護膜を形成し、実施
例1と同じ条件下で耐候試験を実施した。試験の結果、
保護膜の膜厚が0.01μm以下では酸化物超電導体の超電
導特性が全く消失した。0.01μm〜0.05μm膜厚では超
電導特性を示したが劣化は大きかつた。0.05μm以上の
膜厚ではほとんど劣化は認められなかつた。以上の結果
より、保護膜の膜厚は0.05μm以上が好適となる。
以上の実験では、いずれもY−Ba−Cu−O系の超電導酸
化物を用いて行なつたが、Bi−Sr−Ca−Cu−O及びTl−
Ba−Ca−Cu−O系でも保護膜の保護作用がピンホールフ
リーと疎水性にもとづく大気中の水分及び炭酸ガスと超
電導酸化物との接触防止にあるため適用可能である。
化物を用いて行なつたが、Bi−Sr−Ca−Cu−O及びTl−
Ba−Ca−Cu−O系でも保護膜の保護作用がピンホールフ
リーと疎水性にもとづく大気中の水分及び炭酸ガスと超
電導酸化物との接触防止にあるため適用可能である。
本発明によれば、硬度が大きく密着性に富んだ疎水性の
大きい膜を酸化物超電導体の表面に形成できるので、大
気中の水分及び炭酸ガスと酸化物超電導体の反応による
劣化が防止でき寿命を著しく延長することができる。ま
た、接触等による傷がつきにくくなるので取扱いが容易
となる。さらに、原料ガスがフツ素を含有していないの
で大気中にフツ素系のガスを排気することがなく、大気
圏オゾン層破壊などの公害の心配もない。
大きい膜を酸化物超電導体の表面に形成できるので、大
気中の水分及び炭酸ガスと酸化物超電導体の反応による
劣化が防止でき寿命を著しく延長することができる。ま
た、接触等による傷がつきにくくなるので取扱いが容易
となる。さらに、原料ガスがフツ素を含有していないの
で大気中にフツ素系のガスを排気することがなく、大気
圏オゾン層破壊などの公害の心配もない。
第1図は、本発明になる保護膜を形成するため一装置概
略図、第2図は、本発明になる保護膜の保護性能を示す
特性図、第3図は、プラズマ中で保護膜を形成すると超
電導特性が劣化することを示す特性図、第4図は、保護
膜のH/Cと膜のビツカース硬度との関係を示す特性図、
第5図は、保護膜のH/Cと膜の密着力との関係を示す特
性図である。 1……炭化水素−水素混合ガス、2……反応管、3……
RF電源、5……プラズマ、6……酸化物超電導ペレツ
ト。
略図、第2図は、本発明になる保護膜の保護性能を示す
特性図、第3図は、プラズマ中で保護膜を形成すると超
電導特性が劣化することを示す特性図、第4図は、保護
膜のH/Cと膜のビツカース硬度との関係を示す特性図、
第5図は、保護膜のH/Cと膜の密着力との関係を示す特
性図である。 1……炭化水素−水素混合ガス、2……反応管、3……
RF電源、5……プラズマ、6……酸化物超電導ペレツ
ト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加茂 友一 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 松田 臣平 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−281316(JP,A) 特開 昭63−299008(JP,A) 特開 昭64−45011(JP,A) 特開 平1−197308(JP,A)
Claims (4)
- 【請求項1】炭素と水素とから構成された酸化物超電導
体用保護膜において、水素と炭素との原子数比(H/C)
が0.33を越え1未満の範囲であることを特徴とする酸化
物超電導体用保護膜。 - 【請求項2】請求項第1項に記載の保護膜において、膜
厚が0.05μm以上であることを特徴とする酸化物超電導
体用保護膜。 - 【請求項3】請求項第1項に記載の保護膜の形成法にお
いて、炭化水素と水素混合ガスプラズマのアフターグロ
ー部で形成することを特徴とする酸化物超電導体用保護
膜の形成法。 - 【請求項4】請求項第1項に記載の保護膜において、超
電導体に接触する側を相対的に水素を多くし、反対側を
水素の含有率を小さくしたことを特徴とする酸化物超電
導体用保護膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63310040A JPH0788204B2 (ja) | 1988-12-09 | 1988-12-09 | 酸化物超電導体用保護膜およびその形成法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63310040A JPH0788204B2 (ja) | 1988-12-09 | 1988-12-09 | 酸化物超電導体用保護膜およびその形成法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02243502A JPH02243502A (ja) | 1990-09-27 |
JPH0788204B2 true JPH0788204B2 (ja) | 1995-09-27 |
Family
ID=18000437
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63310040A Expired - Fee Related JPH0788204B2 (ja) | 1988-12-09 | 1988-12-09 | 酸化物超電導体用保護膜およびその形成法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0788204B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20140086500A (ko) * | 2012-12-28 | 2014-07-08 | 엘지디스플레이 주식회사 | 유기발광장치 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10044841B4 (de) * | 2000-09-11 | 2006-11-30 | Osram Opto Semiconductors Gmbh | Plasmaverkapselung für elektronische und mikroelektronische Bauelemente wie OLEDs sowie Verfahren zu dessen Herstellung |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01197308A (ja) * | 1988-02-01 | 1989-08-09 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 炭素膜で保護された酸化物超伝導体およびその作製方法 |
JPS63281316A (ja) * | 1987-05-13 | 1988-11-17 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 超電導ケ−ブル |
JPS63299008A (ja) * | 1987-05-29 | 1988-12-06 | Hitachi Cable Ltd | 電流制御電線 |
JPS6445011A (en) * | 1987-08-13 | 1989-02-17 | Tdk Corp | Superconductive oxide ceramic material |
-
1988
- 1988-12-09 JP JP63310040A patent/JPH0788204B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR20140086500A (ko) * | 2012-12-28 | 2014-07-08 | 엘지디스플레이 주식회사 | 유기발광장치 |
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JPH02243502A (ja) | 1990-09-27 |
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