JPH0787073B2 - 貯蔵形ディスペンサー陰極及びその製造方法 - Google Patents

貯蔵形ディスペンサー陰極及びその製造方法

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JPH0787073B2
JPH0787073B2 JP29094089A JP29094089A JPH0787073B2 JP H0787073 B2 JPH0787073 B2 JP H0787073B2 JP 29094089 A JP29094089 A JP 29094089A JP 29094089 A JP29094089 A JP 29094089A JP H0787073 B2 JPH0787073 B2 JP H0787073B2
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Description

【発明の詳細な説明】 《発明の利用分野》 本発明はブラウン管及び撮像管等の電子管に使用される
ディスペンサー陰極、特に貯蔵形ディスペンサー陰極及
びその製造方法に係るものである。
《発明の背景》 ディスペンサー陰極は含浸形と多貯蔵形とで大別され、
含浸形陰極は多孔性の金属基体の空孔部にアルカリ稀土
類化合物等の電子放出物質が含浸されてあるものであ
り、貯蔵形陰極は多孔性基体と電子放出物質が貯蔵槽
(カップ)に積層内蔵されてあるものである。これらの
ディスペンサー陰極に使用される電子放出物質としては
BaO,CaO,Al2O3を焼結処理してなるバリウム,カルシウ
ム,アルミン酸塩又はBaOを主成分としてMgO,SrO,Sc2O3
及び稀土類金属酸化物を混合した化合物が主に使用さ
れ、上記多孔性金属基体の材料としては、融点が高く、
耐イオン性及び耐衝撃性が強いW,Mo,Ir,Re,Os,Ru等の金
属粉末及びこれらの合金粉末が使用される。かかるディ
スペンサー陰極の多孔性の金属基体はプレスジグによる
成形段階と、水素又は真空雰囲気での焼結段階と、電子
放出物質の含浸段階を介して製作される。
このようなディスペンサー陰極は高い熱電子放出性質を
長時間の間維持しうる長所を有し、多様な用途の電子管
用の陰極として継続的な研究開発がされている。
しかし、かかる従来のディスペンサー陰極は1050〜1200
℃程度の高い温度でのみ動作されるので、これの部品設
計上の各種の制限がある。
即ち、一般的な酸化物陰極に使用されるヒーターより多
い熱量のヒーターが提供されなければならないし、それ
にともない周辺部品としてカップ,スリーブ等の材料も
耐熱性金属に変更されなければならない。更に、この問
題点としては高温動作時に高温加熱された多孔性金属基
体から電子放出物質が容易に蒸発され、寿命が短縮され
る点と、蒸発された電子放出物質が周辺部品等に付着さ
れることによって、電子管の性能を低下させるという点
を挙げることができる。
一方、陰極の動作温度を低くすることができるように改
良されたものとして、多孔性金属基体の熱電子放出面に
Os,Os合金又はIr等からなった薄いコーティング層が形
成された含浸形ディスペンサー陰極があるが、動作温度
が約150℃程低められた反面、コーティング層がイオン
衝撃に弱くなり寿命が短い問題点がある(米国特許第4,
417,173号参照)。
また、Wを主材とする多孔性基体にSc成分を添加すると
か、多孔性基体の表面にWとSc2O3からなったコーティ
ング層を形成した含浸形ディスペンサー電極もあるが、
まだ、満足し得る状態には至っていない(米国特許第4,
783,613号参照)。
そして、貯蔵形ディスペンサー陰極としては第1図に図
示されているように、バリウム,カルシウム,アルミン
酸塩及びWを混合した第1ペレット1をスリーブ4の上
端部に固定された貯蔵槽2に蔵入した後にタングステン
またはタングステンの混合体からなる第2ペレット3を
もって密封したものが米国特許第4,823,044号に開示さ
れている。この動作温度は850〜1000℃で酸化物陰極動
作温度(≒750℃)に比べて、150℃以上高いので、程度
の差異はあるが、前記のような設計の制限とこれによる
問題点もやはり有する。
《発明の目的》 本発明は製造が簡便し、寿命長久するのはもちろん酸化
陰極の動作温度帯においても動作可能な貯蔵形ディスペ
ンサー陰極を提供することにその目的がある。
また、本発明は上記の目的を達成するディスペンサー陰
極を製造するのに一番適合する貯蔵形ディスペンサー陰
極の製造方法を提供することにまた他の目的がある。
《発明の概要》 上記の第1の目的を達成するために、本発明に係わる貯
蔵形ディスペンサー陰極は、W,Mo,Ta及びこれらの合金
からなるグループ中から選択される少なくとも1種以上
の金属粉末と、Os,Ir,Ru,Re及びこれらの合金からなる
グループ中から選択される少なくとも1種以上の金属粉
末と、Sc2O3を混合して成形、焼結した電子放出面を有
する第1ペレットと、該第1ペレットに覆われ、バリウ
ム、カルシウム,アルミン酸塩及びIn2O3を混合して成
形した第2ペレットと、上記第1ペレット及び第2ペレ
ットが嵌め込まれて固定されるカップ及びこれを支持す
るスリーブを具備してなることを特徴とする。
そして、上記の第2の目的を達成するために、本発明に
係わる貯蔵形ディスペンサー陰極の製造方法は、Os,Ir,
Ru,Re及びこれらの合金からなるグループ中から選択さ
れる少なくとも1種以上の金属を粒径が2〜3μmの粉
末状に加工し、W,Mo,Ta及びこれらの合金からなるグル
ープ中から選択される少なくとも1種以上の金属を粒径
が3〜8μmの粉末状に加工して前記粉末等をSc2O3
一緒に混合してプレス成形した後に真空雰囲気で加熱
し、水素雰囲気又は真空雰囲気で加熱しながら焼結して
電子放出面を有する多孔性第1ペレットを得、 バリウム,カルシウム,アルミネートとIn2O3を混合
し、非水溶性バインダーで圧縮成形して上記第1ペレッ
トに覆われる第2ペレットを得、 上記第1ペレット及び第2ペレットをカップに嵌め込ん
で溶接した後にスリーブの上端部にカップを溶接して製
造することを特徴とする。
《発明の実施例》 以下、第2図ないし第4図の図面を参照して本発明の貯
蔵形ディスペンサー陰極及びその製造方法を詳細に説明
する。
第2図は本発明の貯蔵形ディスペンサー陰極を示した断
面図である。
ここで、符号11は、Os,Ir,Ru,Re及びこれらの合金中か
ら選択される少なくとも1種以上の金属とW,Mo,Taこれ
らの合金中から選択される少なくとも1種以上の金属
と、適量のSc2O3を混合して成形、焼結された多孔性第
1ペレットである。そして、符号12はバリウム,カルシ
ウム,アルミン酸塩とIn2O3を混合、成形した第2ペレ
ットである。符号13は第1ペレット11及び第2ペレット
12を内蔵して固定するW,MoまたはTaからなるカップであ
り、符号14は第1ペレット11及び第2ペレット12が固定
されたカップ13を支持するW,MoまたはTaからなるスリー
ブであり、符号15は第1ペレット11及び第2ペレット12
を加熱して熱電子が放出されるためのAl2O3が被覆され
たW−3%Reからなるヒーターである。
このような構成を持つ本発明の貯蔵形ディスペンサー陰
極の製造方法を次に説明する。
粒径3〜8μmのW粉末と粒径2〜3μmのSc2O3の粉
末を適当量に秤量する。この時、Sc2O3の粉末はW粉末
の1〜16wt%になるようにする。
そして、W粉末及びSc2O3の粉末を充分に混合し、円管
状のプレスジグに入れてプレス成形した後に、1000〜13
00℃の真空雰囲気で加焼し、水素雰囲気または真空雰囲
気で1700〜2000℃の温度で加熱しながら30分〜1時間程
度焼結して15〜30%の気孔を持つ多孔性金属基体の第1
ペレット11を得る。
ここで、Sc2O3の粉末は価格及び特性を考慮する場合
に、多孔性金属基体容積の50%以下である約16wt%以下
が望ましく、顕著な効果を得るためには20%以上である
約2wt%以上がよい。一方Sc2O3にOs,Ir,Ru,Re及びこれ
らの合金中から少なくとも1種以上の金属を混合した混
合物を使用しても、また上記W粉末の代わりにMoまたは
Ta粉末を使用してもよい。この時、Os,Ir,Ru,Reまたは
これらの合金の混合比はWに対して10〜40wt%である。
第2ペレット12はバリウム,カルシウム,アルミン酸塩
にIn2O3を20〜50%程度混合し、円管状のプレスジグに
入れた後に1〜10t/cm2の圧力で圧縮して成形する。こ
こで、円管状のプレスジグは焼結された第1ペレット11
の直径と同一な内径を持つようにし、このプレス成形に
は水を溶媒に使用せず、フェノール樹脂のような非水溶
性バインダーを使用する。
このようにして製造された第1ペレット11及び第2ペレ
ット12はW,MoまたはTaからなる略U形のカップ13内に内
蔵し、第1ペレット11の側面部とカップ13の上部をレー
ザービーム溶接または電気溶接等で溶接して固定させた
後にW,MoまたはTaからなるスリーブ14の上部に嵌め込ん
でレーザービーム溶接または電気溶接等で溶接し、スリ
ーブ14の内部にはW−3%ReにAl2O3を被覆したヒータ
ー15を設置して製造する。
《発明の効果》 このように製造された本発明の貯蔵形ディスペンサー陰
極において第2ペレット12に混合されているIn2O3は遊
離Baの生成を促進するのに寄与するものである。
これを通じて生成された遊離Baは、第1ペレット11に空
孔部を通じて拡散されて、第1ペレット11の表面、即ち
電子放出面に至るようになるとBa-Sc-Oに表現される単
分子層を形成する。この単分子層は仕事関数を大幅的に
低下させるようになるが、結論的に低いエネルギーの下
でも熱電子の放出が可能になる。
以下、本発明の貯蔵形ディスペンサー陰極と従来の含浸
形陰極及びOsを被覆した従来含浸形陰極の飽和電流密度
の特性を2極管パルス方式で測定して第3図のグラフの
ような結果を得た。
第3図のグラフで知ることができるように本発明のディ
スペンサー陰極は750〜800℃の温度範囲で10A/cm2の飽
和電流密度特性を持つもので従来のOsを被覆した含浸形
陰極に比べて約150〜200℃の低い温度で動作される。
そして、本発明の貯蔵形ディスペンサー陰極と従来の含
浸形陰極のBa蒸発比を測定して第4図のグラフのような
結果を得た。
第4図のグラフで知ることができるように、本発明のデ
ィスペンサー陰極はBa蒸発比が均一であり、非常に安定
する。
以上のように本発明に係る陰極は、約750〜800℃の低い
温度で、約10A/cm2以上の高い飽和電流密度特性を持つ
ので、高温動作によって発生される周辺部品の変形及び
ヒーターの寿命の短縮を除去することができ、酸化物陰
極に使用されるヒーターをそのまま採用して使用し得る
のはもちろん、超大型ブラウン管及びHDテレビジョン受
像機においても高輝度及び高解像度を得ることができる
ばかりでなく、含浸工程等のような複雑な工程を経るこ
となく、簡単に製造し得るので製造原価を節減し、大量
生産する場合に従来の含浸形陰極よりよい品質を持つ効
果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来の貯蔵形(Cavity Reservoir Type)のデ
ィスペンサー陰極の断面図、第2図は本発明の一実施例
である貯蔵形ディスペンサー陰極の断面図、第3図は本
発明のディスペンサー陰極と従来の含浸形の陰極及びOs
を被覆した従来の含浸形陰極の飽和電流密度を比較して
示したグラフ図、第4図は本発明のディスペンサー陰極
と従来の含浸形陰極のBa蒸発比を比較して示したグラフ
図である。 11……第1ペレット 12……第2ペレット 13……カップ 14……スリーブ 15……ヒーター

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】W,Mo,Ta及びこれらの合金からなるグルー
    プ中から選択される少なくとも1種以上の金属粉末と、
    Os,Ir,Ru,Re及びこれらの合金からなるグループ中から
    選択される少なくとも1種以上の金属粉末と、Sc2O3
    混合して成形、焼結した電子放出面を有する第1ペレッ
    トと、該第1ペレットに覆われ、バリウム、カルシウ
    ム,アルミン酸塩及びIn2O3を混合して成形した第2ペ
    レットと、上記第1ペレット及び第2ペレットが嵌め込
    まれて固定されるカップ及びこれを支持するスリーブを
    具備してなることを特徴とする貯蔵形ディスペンサー陰
    極。
  2. 【請求項2】上記第1ペレットのSc2O3が第1ペレット
    の総重量の1〜16wt%であることを特徴とする請求項1
    記載の貯蔵形ディスペンサー陰極。
  3. 【請求項3】上記第2ペレットのIn2O3がバリウム,カ
    ルシウム,アルミン酸塩に対して20〜50wt%混合される
    ことを特徴とする請求項1記載の貯蔵形ディスペンサー
    陰極。
  4. 【請求項4】Os,Ir,Ru,Re及びこれらの合金からなるグ
    ループ中から選択される少なくとも1種以上の金属を粒
    径が2〜3μmの粉末状に加工し、W,Mo,Ta及びこれら
    の合金からなるグループ中から選択される少なくとも1
    種以上の金属を粒径が3〜8μmの粉末状に加工して前
    記粉末等をSc2O3と一緒に混合してプレス成形した後に
    真空雰囲気で加熱し、水素雰囲気又は真空雰囲気で加熱
    しながら焼結して電子放出面を有する多孔性第1ペレッ
    トを得、 バリウム,カルシウム,アルミネートとIn2O3を混合
    し、非水溶性バインダーで圧縮成形して上記第1ペレッ
    トに覆われる第2ペレットを得、 上記第1ペレット及び第2ペレットをカップに嵌め込ん
    で溶接した後にスリーブの上端部にカップを溶接して製
    造することを特徴とする貯蔵形ディスペンサー陰極の製
    造方法。
JP29094089A 1988-11-11 1989-11-08 貯蔵形ディスペンサー陰極及びその製造方法 Expired - Fee Related JPH0787073B2 (ja)

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