JPH078649A

JPH078649A - 刺繍データ作成装置

Info

Publication number: JPH078649A
Application number: JP5141847A
Authority: JP
Inventors: Masao Futamura; 正生二村; Mitsuyasu Kuno; 光康久野; Yukiyoshi Muto; 幸好武藤; Masahiro Mizuno; 雅裕水野
Original assignee: Brother Industries Ltd
Current assignee: Brother Industries Ltd
Priority date: 1993-06-14
Filing date: 1993-06-14
Publication date: 1995-01-13
Anticipated expiration: 2018-07-07
Also published as: JP3424956B2; US5386789A

Abstract

(57)【要約】【目的】不要な刺繍データを作成することなく、多色
の刺繍に係る刺繍データを容易に作成できる。【構成】イメージスキャナにより図柄から画像データ
が読取られ、図柄は、色毎に複数の領域に分割された
後、オペレータの操作により背景等の刺繍不要領域が指
定される。そして、刺繍不要領域を除く残りの領域から
図柄に基づいた刺繍データが作成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、加工布に対し所定の図
柄の刺繍を形成するミシンにおける、刺繍の形成に必要
な刺繍データを作成する刺繍データ作成装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、加工布に対する刺繍形成動作
を自動的に実行する刺繍ミシンが供されている。この刺
繍ミシンは、例えば一針毎の加工布のＸ，Ｙ方向移動量
を指示するステッチデータに基づいて動作するようにな
っている。本出願人は、かかる刺繍ミシンにおける刺繍
データ（前記ステッチデータあるいはブロックデータ）
の作成を自動的に行う刺繍データ作成装置を開発し、先
に出願している。

【０００３】この刺繍データ作成装置は、例えばパーソ
ナルコンピュータ本体に、イメージスキャナ、キーボー
ド、ハードディスクドライブ、ＣＲＴディスプレイ等を
接続して構成されている。そして、例えば刺繍図柄の形
状を描いた単色（白黒）原画から、次のようにしてステ
ッチデータを作成するようになっている。

【０００４】即ち、まず、前記原画をイメージスキャナ
により読取らせることにより、イメージデータが作成さ
れ、次に、そのイメージデータから、刺繍図柄の輪郭を
画定するアウトラインデータが作成される。そして、こ
のアウトラインデータから、輪郭の内部が刺繍進行方向
に連なる複数個の四角形等のブロックに分割されてそれ
ら各ブロックの頂点の位置座標を示すブロックデータが
作成され、最後に、このブロックデータからいわゆる一
針展開がなされることにより、ステッチデータが作成さ
れるのである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、近年では、
刺繍に対する需要者の嗜好が多様化，高級化し、また、
刺繍ミシンの性能も向上してきており、これに伴い、刺
繍の多色化，巧緻化が図られてきている。特に、家庭用
の刺繍ミシンにあっても、予め記憶されている刺繍デー
タに基づく図柄の刺繍形成だけでなく、使用者の所望す
る図柄の刺繍を形成することを可能とする等の機能の向
上が望まれてきている。

【０００６】この場合、異なった色の刺繍糸により多色
の刺繍を行うには、刺繍図柄を色毎に複数の領域に分割
し、各領域に関して夫々刺繍データを作成する必要があ
る。しかしながら、上記のような従来の刺繍データ作成
装置では、原画から読取られるイメージデータは、刺繍
図柄の形状（黒か白か）に関するデータに過ぎず、最終
的に作成される刺繍データも、どの部分を縫うのか（ど
の部分を縫わないのか）に関するデータに過ぎなかっ
た。

【０００７】このため、従来の刺繍データ作成装置で
は、多色の刺繍を行う場合には、１個の図柄を色毎に複
数の図柄に分割した複数の原画を使用して別個に刺繍デ
ータを作成する必要があり、オペレータの手間が極めて
多くなり、また刺繍の色ずれが起りやすい等の不具合が
あった。

【０００８】そこで、カラーイメージスキャナを使用し
て彩色された図柄の原画を読取り、そのカラー画像デー
タを色空間にマッピングすることにより、図柄を色毎に
複数の領域に分割し、各領域に対して刺繍データを作成
することが考えられる。ところが、この方法では、例え
ば原画が白い紙に図柄を描いたようなものの場合、背景
の部分も白色の領域として刺繍データが作成されてしま
う等、実際に刺繍を形成しなくても良い部分まで刺繍デ
ータが作成されて刺繍が行われてしまう不具合が起って
しまう。

【０００９】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、多色の刺繍に係る刺繍データを容易に
作成することができると共に、不要部の刺繍データを作
成せずに済ませることができる刺繍データ作成装置を提
供するにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第１の刺繍データ作成装置は、加工布に対
し所定の図柄の刺繍を形成するミシンにおける、前記刺
繍の形成に必要な刺繍データを作成するものにあって、
図柄の彩色原画から図柄画像データを読取る画像読取手
段と、前記図柄画像データに基づいて前記図柄を色毎に
複数の領域に分割する領域分割手段と、前記分割された
領域のうち刺繍の形成が不要な刺繍不要領域を指定する
ための指定手段と、前記刺繍不要領域を除く各領域に関
する刺繍データを作成する刺繍データ作成手段とを具備
している。

【００１１】そして、本発明の第２の刺繍データ作成装
置は、図柄の彩色原画から図柄画像データを読取る画像
読取手段と、前記図柄画像データに基づいて前記図柄を
色毎に複数の領域に分割する領域分割手段と、前記分割
された領域のうち前記図柄の背景である背景領域を判別
する判別手段と、前記背景領域を除く各領域に関する刺
繍データを作成する刺繍データ作成手段とを具備してい
る。また、これらの場合、刺繍不要領域又は背景領域を
修正する修正手段を設けるようにすれば、より効果的で
ある。

【００１２】

【作用】上記構成を有する本発明の第１の刺繍データ作
成装置によれば、画像読取手段により図柄の彩色原画か
ら図柄画像データが読取られ、領域分割手段によりその
図柄画像データに基づいて前記図柄が色毎に複数の領域
に分割される。そして、色毎に分割された各領域に関す
る刺繍データが刺繍データ作成手段により作成されるの
であるが、このとき、オペレータは、指定手段により、
刺繍の形成が不要な刺繍不要領域を指定することがで
き、その領域に関しては、刺繍データの作成から除かれ
るようになる。従って、オペレータがさほど手間をかけ
ることなく、彩色原画に基づいた色毎の別個の刺繍デー
タが自動で作成されるようになり、しかも、背景等の刺
繍の形成が不要である領域に関しては刺繍データを作成
せずに済ませることができる。

【００１３】そして、本発明の第２の刺繍データ作成装
置によれば、画像読取手段により図柄の彩色原画から図
柄画像データが読取られ、領域分割手段によりその図柄
画像データに基づいて前記図柄が色毎に複数の領域に分
割される。そして、色毎に分割された各領域に関する刺
繍データが刺繍データ作成手段により作成されるのであ
るが、このとき、判別手段により、図柄の背景である領
域が判別され、その領域に関しては、刺繍データの作成
から除かれるようになる。従って、オペレータがさほど
手間をかけることなく、彩色原画に基づいた色毎の別個
の刺繍データが自動で作成されるようになり、しかも、
刺繍の形成が不要である背景の領域に関しては刺繍デー
タを作成せずに済ませることができる。

【００１４】また、この場合、上記刺繍不要領域又は背
景領域を修正する修正手段を設けるようにすれば、同色
の領域に含まれる部分部分について、刺繍データを作成
するかしないかを、より緻密に設定することが可能とな
る。

【００１５】

【実施例】以下、本発明を家庭用刺繍ミシンの刺繍デー
タ作成に適用した第１の実施例について、図１乃至図７
を参照して説明する。尚、本実施例では、図５に示すよ
うな、図柄Ａ（丘の上に家があり、空に雲が浮かんでい
る図柄）における刺繍データを作成する場合を具体例と
してあげながら説明する。この場合、ハッチングの形態
を変えて示すように、図柄Ａの原画のうち、「丘」，
「家」，「雲」の部分Ｂ，Ｃ，Ｄに夫々異なる彩色がな
され、残りの部分（「空」及び「家の窓」の部分Ｅ及び
Ｆ）は地の色（原画が描かれている紙の色）そのままの
状態とされている。

【００１６】まず、図示はしないが、家庭用刺繍ミシン
について簡単に触れておく。刺繍ミシンは、ミシンベッ
ド上に配置され加工布を保持する刺繍枠を、水平移動機
構により装置固有のｘ，ｙ座標系で示される所定位置に
移動させつつ、縫針及び釜機構による縫い動作を行うこ
とにより、その加工布に所定の図柄Ａの刺繍を施すよう
になっている。

【００１７】この場合、前記水平移動機構や針棒など
は、マイコン等から構成される制御装置により制御され
るようになっており、従って、一針毎の加工布のｘ，ｙ
方向の移動量（針落ち位置）を指示する刺繍データ（ス
テッチデータ）が与えられることにより、制御装置は、
刺繍動作を自動的に実行することが可能となるのであ
る。また、本実施例では、刺繍ミシンにはフラッシュメ
モリ装置が設けられ、後述するフラッシュメモリ（カー
ドメモリ）により、外部から刺繍データが与えられるよ
うに構成されている。本実施例に係る刺繍データ作成装
置は、このような刺繍データを作成する機能を備えるも
のである。

【００１８】次に、本実施例に係る刺繍データ作成装置
の全体構成について、図３及び図４を参照して述べる。
図３は刺繍データ作成装置の外観を示し、図４は電気的
構成を示しており、ここで、作成装置本体１は、マイコ
ンを主体として成り、ＣＰＵ２，ＲＯＭ３，ＲＡＭ４，
フラッシュメモリ装置（ＦＭＤ）５，入出力インターフ
ェイス６をバスを介して相互に接続して構成されてい
る。

【００１９】この作成装置本体１の上面部には、図柄Ａ
等を画面７ａにカラー表示するための液晶ディスプレイ
（ＬＣＤ）７が設けられている。この液晶ディスプレイ
７は、表示制御装置（ＬＣＤＣ）８により制御されるよ
うになっており、この表示制御装置８には表示記憶装置
９が接続されている。また、前記フラッシュメモリ装置
５には、フラッシュメモリ１０が着脱可能にセットされ
るようになっている。そして、作成装置本体１には、オ
ペレータが各種の指示を行うためのマウス１１、及び、
図柄Ａの原画の画像データを取込むためのイメージスキ
ャナ１２が、前記入出力インターフェイス６を介して接
続されている。

【００２０】この場合、前記イメージスキャナ１２は、
カラーの読取りが可能なハンドスキャナからなり、オペ
レータがその上部を手で持って、下部の読取部を原画上
に宛がい、ボタンを押しながら原画に沿ってなぞるよう
に一方向に移動させることにより、図柄Ａをラスター形
式のデジタル画像データとして読取るようになってい
る。従って、このイメージスキャナ１２が、本発明にい
う画像読取手段として機能する。読取られた図柄画像デ
ータは、画素毎に、８ビットデータで表される原画の色
に応じた色相値を備え、ＲＡＭ４に記憶されるようにな
っている。

【００２１】さて、前記作成装置本体１は、そのソフト
ウエア構成により、図柄Ａの原画に基づいて、刺繍デー
タを自動的に作成するようになっている。刺繍データを
作成するにあたっては、まず、前記イメージスキャナ１
２により図柄Ａの画像データを読取り、この図柄画像デ
ータに基づいて、図柄Ａを色毎に複数の単色領域に分割
し、各単色領域に関して、刺繍データを作成するように
なっている。

【００２２】このとき、詳しくは後述するように、作成
装置本体１は、分割した各単色領域の画像を液晶ディス
プレイ７に表示し、オペレータのマウス１１の操作によ
る刺繍不要領域の指定操作を待ち、オペレータにより刺
繍不要領域が指定された場合には、その領域を除いて刺
繍データを作成するようになっている。従って、作成装
置本体１が本発明にいう領域分割手段及び刺繍データ作
成手段として機能し、また、マウス１１等から本発明に
いう指定手段が構成されるのである。

【００２３】さらに、特に本実施例では、オペレータに
より刺繍不要領域が指定された場合に、作成装置本体１
は、刺繍不要領域の画像を液晶ディスプレイ７に表示
し、オペレータによる修正の操作を待つようになってい
る。本実施例では、刺繍不要領域のうちでも、オペレー
タが刺繍データを作成したい部分があれば、修正操作に
よりその部分領域を刺繍不要領域から除いて刺繍データ
を作成することができるようになっているのである。こ
れにて、本発明にいう修正手段の機能が実現されるよう
になっている。

【００２４】次に、このように構成された刺繍データ作
成装置の動作について、図１及び図２並びに図５乃至図
７も参照して述べる。ここでは、図５に示した図柄Ａを
具体例としながら説明する。また、図１のフローチャー
トは、刺繍データの作成手順の全体の概略を示してお
り、図２は、図１のフローチャートにおける、ステップ
Ｓ２の処理内容を示している。

【００２５】作成装置本体１において刺繍データ作成の
プログラムが起動されると、図１のフローチャートに示
す処理が実行される。まず、ステップＳ１では、図柄Ａ
を描いた原画を、イメージスキャナ１２により読取らせ
ることにより、図柄画像データが読込まれる。この場
合、上述のように、原画には所定の彩色がなされてお
り、図柄画像データは、読込み画像の各画素毎に色に応
じた色相値を備えることになる。また、この図柄画像デ
ータに基づいて、液晶ディスプレイ７の画面７ａに図柄
Ａが表示されるようになっている。

【００２６】次のステップＳ２では、前記図柄画像デー
タから、図柄Ａを色毎に複数の領域（単色領域）に分割
する処理が行われる。この処理は、例えば図２のフロー
チャートに示すように、図柄画像データから、色相値が
０から６３までの画素を取出して（ステップＳ１１）そ
の画素の集合を赤色の単色領域とし（ステップＳ１
２）、色相値が６４から１２７までの画素を取出して
（ステップＳ１３）その画素の集合を青色の単色領域と
し（ステップＳ１４）、色相値が１２８から１９１まで
の画素を取出して（ステップＳ１５）その画素の集合を
黄色の単色領域とし（ステップＳ１６）、残り（色相値
が１９２以上）の画素の集合を白色の単色領域とする
（ステップＳ１７）ことにより行われる。

【００２７】図５の図柄Ａの例では、図柄Ａは、「丘」
の部分Ｂ、「家」の部分Ｃ、「雲」の部分Ｄ、「空」及
び「家の窓」の部分Ｅ及びＦの４色（４個）の単色領域
に分割されるようになる。このように分割された単色領
域のデータは、一旦ＲＡＭ４に格納される。

【００２８】ここで、上記４個の単色領域の中には、背
景等の実際に刺繍を形成しなくても良い部分が存在する
場合があり、必ずしも全ての単色領域に関して刺繍デー
タを作成する必要はない。そこで、ステップＳ３及びＳ
４にて、オペレータが刺繍の形成が不要な領域を指定す
ることができるようになっている。即ち、各単色領域の
画像が液晶ディスプレイ７の画面７ａに表示される（ス
テップＳ３）。この場合、図柄Ａの例では、図６に示す
ように、４個の単色領域の画像が一画面に表示されるよ
うになる（四角の枠内にハッチングで示す部分が単色領
域）。オペレータは、その画面を見ながらマウス１１を
操作して、刺繍不要領域を指定する（ステップＳ４）。
この場合、オペレータは「空」及び「家の窓」の部分Ｅ
及びＦの画像を、刺繍不要領域として指定する。

【００２９】このような指定により、指定された刺繍不
要領域に関して、刺繍データの作成の対象から除かれる
のであるが、その領域の中でもオペレータが刺繍を形成
したい部分が存在する場合がある。図柄Ａの例では、
「空」の部分Ｅは背景のため刺繍形成が不要であるが、
「家の窓」の部分Ｆは、オペレータが刺繍を形成したい
にも拘らず、「空」の部分Ｅと同色であったため「空」
の部分Ｅと共に一つの単色領域とされ、オペレータの要
望に反して刺繍不要領域に含まれてしまっていることに
なる。

【００３０】そこで、本実施例では、ステップＳ５及び
Ｓ６にて、刺繍不要領域のうちでも、オペレータが刺繍
データを作成したい部分があれば、その部分を指定する
ことができるようになっている。即ち、図７に示すよう
に、上記ステップＳ４にて指定された刺繍不要領域が液
晶ディスプレイ７の画面７ａに拡大表示され（ステップ
Ｓ５）、オペレータはマウス１１の操作により、刺繍デ
ータを作成したい部分を指示することができるのである
（ステップＳ６）。図柄Ａの例では、オペレータ「家の
窓」の部分Ｆを指示することにより、この部分だけは刺
繍データの作成の対象とされるようになるのである。

【００３１】これにて、ステップＳ７では、「空」の部
分Ｅを除く各領域（「丘」，「家」，「雲」，「家の
窓」の部分Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｆ）に関する刺繍データが作成
される。詳しい説明は省略するが、この刺繍データの作
成は、この場合４個の各領域に対して、夫々、領域の輪
郭を抽出してアウトラインデータが作成され、その領域
内が複数個の四角形等のブロックに分割されてブロック
データが作成され、このブロックデータからいわゆる一
針展開がなされることにより行われる。作成された刺繍
データは、フラッシュメモリ１０に記憶される（ステッ
プＳ８）。そして、このフラッシュメモリ１０を刺繍ミ
シンにセットすることにより、図柄Ａの多色（４色）の
刺繍形成が可能となるのである。

【００３２】このように本実施例の刺繍データ作成装置
によれば、イメージスキャナ１２により彩色された原画
から画像データを読込むことに基づいて、図柄Ａが色毎
に複数の領域に分割されて各領域に関する刺繍データが
自動的に作成される。従って、色毎の複数の図柄に分割
した複数の原画を使用するような場合と異なり、オペレ
ータがさほど手間をかけることなく、多色の刺繍に係る
刺繍データを容易に作成することができる。そして、オ
ペレータが背景等の刺繍の形成が不要な刺繍不要領域を
指定することができ、その領域に関しては、刺繍データ
の作成から除かれるようになるので、不要部の刺繍デー
タを作成せずに済ませることができるものである。

【００３３】さらに、特に本実施例では、刺繍不要領域
の領域の中でもオペレータが刺繍を形成したい部分が存
在する場合には、その部分を指定して刺繍データ作成の
対象とする修正を行うことができるようにしたので、同
色の領域に含まれる部分部分について、刺繍データを作
成するかしないかを、より緻密に設定することが可能と
なるものである。

【００３４】次に、本発明の第２の実施例について、図
８及び図９を参照して説明する。本実施例が上記第１の
実施例と異なる点は、作成装置本体１のソフトウエア構
成にある。即ち、本実施例では、作成装置本体１は、分
割された単色領域のうち、図柄Ａの背景である背景領域
を自動判別し、その背景領域を除く各単色領域に関して
刺繍データを作成するように構成されている。さらに、
特に本実施例では、背景領域と判別された単色領域の中
に、実際には背景でない部分があるかどうかをやはり自
動判別し、その部分を刺繍データ作成の対象とする修正
を行うように構成されている。

【００３５】図８のフローチャートは、本実施例におけ
る刺繍データの作成手順の全体の概略を示している。ス
テップＳ２１及びＳ２２では、上記第１実施例のステッ
プＳ１及びＳ２と同様に、イメージスキャナ１２により
図柄Ａを描いた彩色原画から図柄画像データが読込ま
れ、その図柄画像データから図柄Ａを色毎に複数の単色
領域に分割する処理が行われる。

【００３６】さて、ステップＳ２３では、単色領域のう
ち、図柄Ａの背景である背景領域を判別する処理が行わ
れる。この判別は、例えば次のようにして行われる。即
ち、図９に示すように、まず、各単色領域の画像に、二
次元アドレス（ｘ，ｙ）を付し（但し、１≦ｘ≦Ｗ、１
≦ｙ≦Ｈ）、縁辺領域Ψｍを次のように定める。 Ψｍ＝｛（ｘ，ｙ）｜１≦ｘ≦ｗｌ，Ｗ−ｗｒ＋１≦ｘ
≦Ｗ，１≦ｙ≦ｈｕ，Ｈ−ｈｄ＋１≦ｙ≦Ｈ｝ここで、ｗｌ，ｗｒ，ｈｕ，ｈｄはそれぞれ縁辺領域の
左，右，上，下の幅に相当する。

【００３７】そして、縁辺領域Ψｍ中の全画素に対し
て、画素が有効（黒レベル）であるものの数を算出する
ことにより、ｎ面の各単色領域の画像の縁辺有効画素数
Ｎｉ（ｉ＝１，２，…，ｎ）がそれぞれ求められる。こ
こで、縁辺領域の全画素数をＮ（Ψｍ）、しきい値をＫ
（０．５＜Ｋ＜１）としたとき、Ｎｉ／Ｎ（Ψｍ）＞Ｋである単色領域を背景領域であると判断するのである。
また、Ｎｉの値が最も大きい単色領域を背景領域である
と判断するようにしても良い。これにより、図５の図柄
Ａの例では、「空」及び「家の窓」の部分Ｅ及びＦの単
色領域が背景であると判別される。

【００３８】このようにして背景領域が自動判別される
と、次のステップＳ２４にて、背景領域とされた単色領
域の中で、刺繍を形成すべきところがあるかどうかが判
別される。この処理は、任意の有効画素を選び、その４
近傍あるいは８近傍を逐次探索することにより孤立した
連結成分を取出し、全ての連結成分Φｉ（ｉ＝１，２，
…，ｎ）に対して（図９の例ではΦ１及びΦ２の２成
分）以下の判別基準、

【数１】を適用し、それを満たすΦｉの部分を刺繍を形成するよ
うに修正することにより行われる。

【００３９】また、別の方法として、連結成分図形が縁
辺領域にかかっている画素数のしきい値をＰ、連結成分
図形の画素数のしきい値をＱとし、

【数２】であれば、Φｉの部分を刺繍を形成するように修正する
ようにしても良い。図５の図柄Ａの例では、「家の窓」
の部分Ｆが刺繍を形成するように修正されるようになる
のである。

【００４０】この後、ステップＳ２５及びＳ２６では、
上記第１実施例のステップＳ７及びＳ８と同様に、各領
域（「丘」，「家」，「雲」，「家の窓」の部分Ｂ，
Ｃ，Ｄ，Ｆ）に関する刺繍データが作成され、作成され
た刺繍データがフラッシュメモリ１０に記憶される。

【００４１】このように本実施例によれば、上記第１の
実施例と同様に、多色の刺繍に係る刺繍データを容易に
作成することができると共に、不要部の刺繍データを作
成せずに済ませることができる。そして、図柄の背景で
ある領域が自動で判別されるので、オペレータの手間を
より一層低減することができる。しかも、特に本実施例
では、背景領域と判断された単色領域のうち、刺繍を形
成すべき部分を自動で判別して修正するようにしたの
で、同色の領域に含まれる部分部分について、刺繍デー
タを作成するかしないかがより緻密に設定されるように
なるのである。

【００４２】尚、上記各実施例においては、刺繍不要領
域の修正（ステップＳ５及びＳ６）あるいは背景領域の
修正（ステップＳ２４）を行うようにしたが、これらの
修正処理を必ずしも行わなくとも、所期の目的を達成す
ることができる。また、第２の実施例の背景領域の自動
修正（ステップＳ２４）に代えて、第１の実施例の手動
修正（ステップＳ５及びＳ６）を採用したり、第１の実
施例の刺繍不要領域の手動修正（ステップＳ５及びＳ
６）に代えて、第２の実施例の自動修正（ステップＳ２
４）を採用するようにすることもできる。

【００４３】また、白黒イメージスキャナを使用し、白
黒濃淡画像データを読取り、濃度値（明度）の違いを利
用して複数の領域に分割する構成としても良い。

【００４４】その他、本発明は上記した各実施例に限定
されるものではなく、例えば単色領域をもっと細かい色
毎に分割するようにしても良く、さらには、作成装置本
体のハードウエア構成としても汎用のパーソナルコンピ
ュータや、イメージスキャナを採用するようにしても良
いなど、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し
得るものである。

【００４５】

【発明の効果】以上の説明にて明らかなように、本発明
によれば、次のような優れた実用的効果を得ることがで
きる。

【００４６】即ち、請求項１の刺繍データ作成装置によ
れば、図柄の彩色原画から図柄画像データを読取る画像
読取手段と、前記図柄画像データに基づいて前記図柄を
色毎に複数の領域に分割する領域分割手段と、前記分割
された領域のうち刺繍の形成が不要な刺繍不要領域を指
定するための指定手段と、前記刺繍不要領域を除く各領
域に関する刺繍データを作成する刺繍データ作成手段と
を具備するので、多色の刺繍に係る刺繍データを容易に
作成することができると共に、不要部の刺繍データを作
成せずに済ませることができるものである。

【００４７】また、請求項２の刺繍データ作成装置によ
れば、図柄の彩色原画から図柄画像データを読取る画像
読取手段と、前記図柄画像データに基づいて前記図柄を
色毎に複数の領域に分割する領域分割手段と、前記分割
された領域のうち前記図柄の背景である背景領域を判別
する判別手段と、前記背景領域を除く各領域に関する刺
繍データを作成する刺繍データ作成手段とを具備するの
で、多色の刺繍に係る刺繍データを容易に作成すること
ができると共に、不要部の刺繍データを作成せずに済ま
せることができるものである。

【００４８】さらには、請求項３の刺繍データ作成装置
によれば、前記請求項１又は２において、刺繍不要領域
又は背景領域を修正する修正手段を設けるようにしたの
で、同色の領域に含まれる部分部分について、刺繍デー
タを作成するかしないかを、より緻密に設定することが
可能となるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示すもので、刺繍デー
タの作成手順を示すフローチャート

【図２】図１のステップＳ２の処理の内容を示すフロー
チャート

【図３】刺繍データ作成装置の外観を示す斜視図

【図４】電気的構成を示すブロック図

【図５】図柄の一例を示す図

【図６】刺繍不要領域の指定時の画面を示す図

【図７】刺繍不要領域の修正時の画面を示す図

【図８】本発明の第２の実施例を示す図１相当図

【図９】背景領域の自動判断方法の説明のための図

【符号の説明】

図面中、１は作成装置本体、２はＣＰＵ、３はＲＯＭ、
４はＲＡＭ、５はフラッシュメモリ装置、７は液晶ディ
スプレイ、１０はフラッシュメモリ、１１はマウス、１
２はイメージスキャナを示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者水野雅裕名古屋市瑞穂区苗代町15番１号ブラザー工業株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】加工布に対し所定の図柄の刺繍を形成す
るミシンにおける、前記刺繍の形成に必要な刺繍データ
を作成するものであって、前記図柄の彩色原画から図柄画像データを読取る画像読
取手段と、前記図柄画像データに基づいて前記図柄を色毎に複数の
領域に分割する領域分割手段と、前記分割された領域のうち刺繍の形成が不要な刺繍不要
領域を指定するための指定手段と、前記刺繍不要領域を除く各領域に関する刺繍データを作
成する刺繍データ作成手段とを具備することを特徴とす
る刺繍データ作成装置。
【請求項２】加工布に対し所定の図柄の刺繍を形成す
るミシンにおける、前記刺繍の形成に必要な刺繍データ
を作成するものであって、前記図柄の彩色原画から図柄画像データを読取る画像読
取手段と、前記図柄画像データに基づいて前記図柄を色毎に複数の
領域に分割する領域分割手段と、前記分割された領域のうち前記図柄の背景である背景領
域を判別する判別手段と、前記背景領域を除く各領域に関する刺繍データを作成す
る刺繍データ作成手段とを具備することを特徴とする刺
繍データ作成装置。
【請求項３】前記刺繍不要領域又は背景領域を修正す
る修正手段を具備することを特徴とする請求項１又は２
記載の刺繍データ作成装置。