JPH078013U - 車両の親子ばね式サスペンション - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両の荷重変化に対応して軽荷重時に働く親
ばねとしてのメインリーフスプリングと、重荷重時にメ
インリーフスプリングを補助する子ばねとしてのサブリ
ーフスプリングとから構成される親子ばね式サスペンシ
ョンにおいて、キャンバの大小によってコンタクト部の
形状や取付位置を変更したり、座金を使用したりするこ
となく、サブリーフスプリングの片当たりを有効に回避
できるようにする。 【構成】 子ばね１１のみをそのアクスル位置を中心に
前端側と後端側が非対称のリーフ形状に形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は車両の親子ばね式サスペンションに関する。

【０００２】

【従来の技術】

トラックなど荷重変化の大きい車両に用いられるサスペンションの重ね板ばね （リーフスプリング）構造として従来から、軽荷重時に働く親ばねとしてのメイ ンリーフスプリングと、重荷重時にメインリーフスプリングを補助する子ばねと してのサブリーフスプリングとから構成する親子ばね式がよく知られている（実 開昭６１ー８７１０５号公報，実願平４ー２６７４９号）。その一例を図２で説 明すると、１はメインリーフスプリング、２はサブリーフスプリングで、これら の中央部にＵボルト３などを介してリヤアクスル４が結合される。メインリーフ スプリング１は目玉にピンを通してシャシフレーム５側に取り付けられるが、リ ーフに荷重が作用するとスパンが変化するため、両側固定でなく片側（後端側） にスパンの変化を逃がすシャックル６が設けられる。

【０００３】 シャシフレーム５にはサブリーフスプリング２の両端にそれぞれ対向するコン タクト部７ａ，７ｂ（バネ受け）が形成され、車両の重荷重時にサブリーフスプ リング２がコンタクト部７ａ，７ｂに接触、つまりメインリーフスプリング１を 補助するようになっている。なお、コンタクト部７ａ，７ｂはリヤアクスル４が 上下の振動に伴ってメインリーフスプリング１前端の目玉ピンを中心に円弧を描 くように挙動することから、その動きを含めてサブリーフスプリング２に対して その両端と同時に接触する位置関係に配置される。８は上下の振動を減衰するシ ョックアブソーバ、９は横揺れを防ぐスタビライザを示す。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、最近の車両はバリエーションが多く、車高の変化に応じてキャンバ （たわみ）の適合する親ばね１を選択することになるが、キャンバの大小によっ てサブリーフスプリング２とコンタクト部７ａ，７ｂとの隙間にリーフ前端側と 後端側で差異を生じるため、例えば図２のキャンバが大きくなるとサブリーフス プリング２がコンタクト部７ｂに片当たりするので、サスペンションのバネ特性 やアクスルの挙動に悪影響を及ぼすいう問題点があった。

【０００５】 そのため、従来から親ばね１のキャンバに応じてコンタクト部７ａ，７ｂの形 状や取付位置を変化させたり、メインリーフスプリング１とサブリーフスプリン グ２の間などに座金を入れる対策が講じられるが、これらで車両のバリエーショ ンにすべて対処するのは難しく、しかもフレームアッシイの種類や座金の管理工 数が増えてコストの上昇を招くという不具合があった。

【０００６】 この考案はこのような問題点に対する有効な解決手段を提供することを目的と する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

そのため、車両の荷重変化に対応して軽荷重時に働く親ばねとしてのメインリ ーフスプリングと、重荷重時にメインリーフスプリングを補助する子ばねとして のサブリーフスプリングとから構成される親子ばね式サスペンションにおいて、 子ばねのみをそのアクスル位置を中心に前端側と後端側が非対称のリーフ形状に 形成する。

【０００８】

【作用】

これによれば、子ばねのリーフ形状が非対称のため、親ばねのキャンバに応じ て子ばねのリーフ形状を調整することで、サブリーフスプリングとコンタクト部 との隙間が前後で均等に設定可能になる。したがって、コンタクト部の形状や取 付位置を変更したり、座金を使用したりすることなく、サブリーフスプリングの 片当たりを有効に回避できる。

【０００９】

【実施例】 図１は親子ばね式サスペンションの構成説明図で、１０は親ばねとしてのメイ ンリーフスプリング、１１は子ばねとしてのサブリーフスプリングを示す。メイ ンリーフスプリング１０は目玉にピンを通してシャシフレーム側に取り付けられ るが、従前と同じく両側固定でなく片側（後端側）にスパンの変化を逃がすシャ ックルが設けられる。なお、メインリーフスプリング１０としてリーフの中央に アクスルの中心が一致する対称ばね（Ｌ1＝Ｌ2)に設定される。

【００１０】 サブリーフスプリング１１はメインリーフスプリング１０と共にＵボルトなど を介してアクスルに結合され、そのアクスル位置を中心に前端側と後端側が親ば ねのキャンバに見合う非対称のリーフ形状に形成される。この例ではリーフ前端 側がアクスルの中心を通る垂線上に位置する中心点ｐを基準に半径Ｒ1のリーフ 形状に、後端側が中心点ｐに対する所定のオフセット点ｑを基準に半径Ｒ2のリ ーフ形状に形成され、これらリーフ前後端に対応するシャシフレーム側の各コン タクト部との隙間を均等に、つまりサブリーフスプリング１１両端がコンタクト 部に同時接触するように構成される。

【００１１】 このような構成により、車両のバリエーションから親ばね１０のキャンバが例 えば大きく変化する場合、アクスルは従前と同じくメインリーフスプリング１０ 前端の目玉ピンを中心に円弧を描くように上下動するので、サスペンション・ジ オメトリ上からサブリーフスプリング１１が後側のコンタクト部に片当たりする ことになるが、子ばね１１のリーフ形状が非対称なため、そのリーフ形状を親ば ね１０のキャンバに合わせて調整することで、コンタクト部との隙間を前後で均 等に設定可能になる。

【００１２】 したがって、従前のようにコンタクト部の形状や取付位置を変更したり、メイ ンリーフスプリング１０とサブリーフスプリング１１との間などに座金を入れた りすることなく、つまり低コストでサブリーフスプリング１１の片当たりを有効 に回避できる。なお、メインリーフスプリング１０は非対称ばねであっても、そ のキャンバの大小に合わせる非対称の子ばね１１を使用することで、対称ばねの 場合と同じ効果が得られる。

【００１３】

【考案の効果】

以上要するにこの考案によれば、車両の荷重変化に対応して軽荷重時に働く親 ばねとしてのメインリーフスプリングと、重荷重時にメインリーフスプリングを 補助する子ばねとしてのサブリーフスプリングとから構成される親子ばね式サス ペンションにおいて、子ばねのみをそのアクスル位置を中心に前端側と後端側が 非対称のリーフ形状に形成したので、親ばねのキャンバに合わせて子ばねのリー フ形状を調整することで、サブリーフスプリングとコンタクト部との隙間が前後 で均等に設定可能なため、キャンバの大小によってコンタクト部の形状や取付位 置を変更したり、座金を使用したりすることなく、サブリーフスプリングの片当 たりを有効に回避できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例を示す構成説明図である。

【図２】従来技術を説明する構成図である。

【符号の説明】

１０ メインリーフスプリング １１ サブリーフスプリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両の荷重変化に対応して軽荷重時に働
   く親ばねとしてのメインリーフスプリングと、重荷重時
   にメインリーフスプリングを補助する子ばねとしてのサ
   ブリーフスプリングとから構成される親子ばね式サスペ
   ンションにおいて、子ばねのみをそのアクスル位置を中
   心に前端側と後端側が非対称のリーフ形状に形成したこ
   とを特徴とする車両の親子ばね式サスペンション。