JPH0779781A - 蛋白排出遺伝子 - Google Patents

蛋白排出遺伝子

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JPH0779781A
JPH0779781A JP5260312A JP26031293A JPH0779781A JP H0779781 A JPH0779781 A JP H0779781A JP 5260312 A JP5260312 A JP 5260312A JP 26031293 A JP26031293 A JP 26031293A JP H0779781 A JPH0779781 A JP H0779781A
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JP
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gene
protein
dna
expression vector
sequence
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JP5260312A
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Junichi Sekiguchi
順一 関口
Akio Kuroda
章夫 黒田
Ichiro Kojima
一郎 小島
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Oil Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 産生蛋白質の菌体外への排出を促進せしめる
遺伝子(蛋白排出遺伝子)、該遺伝子を組み込んだ発現
ベクター及び該発現ベクターで形質転換または形質導入
せしめられた形質転換体または形質導入体の取得。 【構成】 Bacillus licheniform
is FD0120株の遺伝子ライブラリーを作成し、
該遺伝子ライブラリーよりクローン選別を行い、陽性ク
ローンから蛋白排出遺伝子発現に関与するDNA領域を
取得し、次にこのDNA配列を利用してDNA発現ベク
ターを作成し、さらにこの発現ベクターを用いて形質転
換体または形質導入体を作成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物によって産生さ
れる有用な蛋白質を、菌体外に排出せしめることを促進
する遺伝子に関する。
【0002】さらに、本発明は蛋白質の菌体外排出を促
進する遺伝子(以下、簡単に「蛋白排出遺伝子」とい
う)を用いる有用蛋白質の製造法、該蛋白質排出遺伝子
を組み込んだ発現ベクターあるいはこうして得られた発
現ベクターで形質転換または形質導入した形質転換体ま
たは形質導入体に関する。
【0003】
【従来の技術とその課題】従来微生物を用いて酵素など
を産生させる際に、その酵素などを分泌生産させること
は古くから知られている。
【0004】この点に着目して、特定の微生物において
は遺伝子操作の手法を用いて有用物質の遺伝子を導入し
て分泌生産させることをめざし、分泌ベクターの構築が
試みられているが必ずしも満足すべき発現あるいは分泌
能を有するものは得られていないのが現状である。
【0005】組換えDNA技術によって遺伝子工学的に
有用物質を生産する方法は、ある特定の物質については
既に確立されてきている。
【0006】しかし、このような手法による物質の生産
方法は、通常、ベクターに所望物質をコードしている遺
伝子を組込んで構築された組換えDNAを用いて、宿主
微生物などを形質転換または形質導入して、ついで得ら
れた形質転換体または形質導入体を培養したのち、その
所望とする物質を回収することによりなされるものであ
る。
【0007】ところが、このような方法によって非分泌
性の蛋白質の生産を行うと、微生物細胞内で産生された
蛋白質は、宿主菌のプロテアーゼによって分解され、そ
の目的とする所望蛋白質を安定かつ大量に得ることがで
きないという問題点がある。さらに、所望有用物質が宿
主微生物にとっては異種あるいは外来の蛋白質に該当す
る場合、その使用する宿主微生物によっては凝集塊(i
nclusion body)を形成し、単純な分離精
製処理を施しても何ら活性を有した目的物が得られない
などという問題点も指摘されてきている。
【0008】さらに、このような非分泌性の蛋白質を回
収するに際しては、宿主微生物を物理的に破壊したの
ち、所望の蛋白質の分離及び精製処理を行なわなければ
ならないが、一般にこのように一旦宿主微生物を破壊し
てのちに回収操作を施すことは、その操作をより複雑に
し、そのため目的蛋白質の収率が低かったり、活性を有
するものについてはその回収操作中に失活するなどとい
う問題点もあった。さらにこのようにして回収操作を行
なうとコスト的にも大変に問題であった。
【0009】上記問題点を解決する手法としては、蛋白
質の膜通過に関与するシグナル配列の作用を利用するも
のがある。この方法は宿主微生物細胞内で産生された蛋
白質を細胞外あるいは細胞質膜外に分泌させる方法を含
むものである。ところでこのようなシグナル配列を利用
した遺伝子組換え手法による所望蛋白質の製造において
は、大腸菌が広く用いられて来た。大腸菌はその宿主・
ベクター系の開発が進んでいることから組換えDNAに
より形質転換するにあたり広く用いられている宿主微生
物である。
【0010】大腸菌はグラム陰性菌に属する微生物であ
り、細胞質膜と外膜とを有している。
【0011】普通大腸菌を用いて組換えDNAを導入し
て形質転換体を得、この形質転換体を通常の培養に付す
と、所望の外来蛋白質は細胞質膜と外膜との間に蓄積さ
れる。こうして蓄積された蛋白質は浸透圧ショック法に
よって外膜のみを破壊することにより菌体外へ放出され
て、回収される。しかしこのような方法は、その操作が
繁雑であり、さらに得られた所望蛋白質がそのままで有
用性を持たない場合が多いという問題点もある。
【0012】従って、微生物を宿主細胞として用いて、
効率よくしかも大量に所望の蛋白質を製造する方法の開
発が求められている。
【0013】一方、特定の微生物、例えばグラム陽性菌
などでは、組換えDNA技術を用いて産生させた蛋白質
を細胞外に分泌させて得ることができる場合もある。し
かしながら、そのような蛋白質を分泌する遺伝子を持っ
た微生物は極く限られており、いかなる種類の蛋白質に
も適用できるものではない。さらに、組換えDNAをそ
の宿主微生物内で安定に保持することができない場合が
多く、また宿主・ベクター系の開発も不充分なものが多
い。またその微生物自体の取扱いの困難なものが多い。
【0014】従って、利用しうる宿主・ベクター系の開
発のすすんだ微生物を宿主細胞として用いて、大量且つ
安価に、そして簡単な操作で目的蛋白質を得る方法の開
発が求められていた。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記のような問題点を解
決すべく、本発明者等は遺伝子組換技術においてその利
用が最も行い易い大腸菌等のグラム陰性菌に属する微生
物について研究を広範に行い、微生物によって産生され
る有用な蛋白質を菌体外に排出することを促進する遺伝
子を見出し、本発明を完成した。
【0016】本発明の蛋白排出遺伝子は、配列番号1ま
たは配列番号2に示された塩基配列またはそれと実質的
に同等の活性を示すDNA配列を有している。
【0017】本発明に従えば、上記蛋白排出遺伝子は、
発現ベクターあるいはプラスミドないしは染色体の有用
蛋白質をコードする遺伝子と共存して用いられる。
【0018】本発明に従えば、こうして構築された発現
ベクターを用いて適切な宿主細胞を形質転換させて得ら
れた組換え微生物が提供される。
【0019】さらに本発明によれば、大腸菌を用いた遺
伝子発現系において、有用蛋白質を細胞外に有効に排出
させて容易に産生取得する遺伝子操作技術を行うに適す
る改良された技術が提供される。
【0020】本発明における蛋白排出遺伝子を取得し、
その全塩基配列を決定するにあたってはまずBacil
lus licheniformis FD0120株
を、通常の方法で培養増殖した後、得られた菌体から、
慣用される方法を適用して、例えばリゾチームによる細
胞溶解法などを用いて染色体DNAを回収し、次いで通
常の方法、例えばエタノール沈殿処理によって染色体D
NAを精製したのち、適切な制限酵素、例えば制限酵素
Sau3AIによる部分分解をして適当な断片とし、得
られた断片を用いて遺伝子ライブラリーを作製する。遺
伝子ライブラリーを作製するために用いられるベクター
としては、目的に応じて当該分野で知られた慣用される
ものあるいは市販のものの中から選んで適宜用いること
ができる。また遺伝子ライブラリーを作製するのに用い
られる方法は、当該分野で知られた慣用される方法ある
いは市販キットの中から選んで適宜用いることができ
る。
【0021】こうして得られた遺伝子ライブラリーより
蛋白排出遺伝子を含むクローン選別を行うためには、先
ず適切な分泌蛋白質として知られている遺伝子の制限領
域から適切な核酸塩基配列を切出し、PCR法により、
蛋白排出遺伝子の一部を増幅し、得られたDNA断片を
プローブとして用いるスクリーニングを複数回、例えば
3〜4回繰り返す。陽性クローンを選別した後、DNA
を回収し、制限酵素切断によって得られる蛋白排出遺伝
子を含むDNA断片をプラスミドに挿入する。大量に調
製された組換えプラスミドを適当な制限酵素で消化した
後、当該分野で知られた慣用される方法あるいは市販の
キットの中から選んだ方法、例えばエキソヌクレアーゼ
を用いるディレーションミュータント法あるいはジデオ
キシヌクレオタイドシークエンス法により塩基配列を解
析した。以上の操作によってもその塩基配列を決定でき
ない領域については、プライマーを化学合成してプライ
マーエクステンション法も利用し、その塩基配列を決定
して解析した。こうして得られた蛋白質排出遺伝子を含
むDNA断片の代表的なものの全塩基配列は、配列番号
1または配列番号2で示される。配列番号1で示される
遺伝子の典型はBacillus lichenifo
rmisのxpaF1,xpaF2遺伝子であり、配列
番号2で示される遺伝子の典型はB.lichenif
ormisのxpaG1,xpaG2遺伝子であり、と
もに大腸菌からクローン化されたものではない。さらに
xpaF1遺伝子から生成する蛋白はxpaF2遺伝子
から生成する蛋白を補う作用があることが知られている
ので、xpaF2のみでも蛋白が排出できると考えても
よい。同様にxpaG1,xpaG2遺伝子においても
xpaG2のみでも蛋白が排出できると考えてもよい。
Bacillus subtilisでも枯草菌xpa
遺伝子があるので同様な機能を持つと考えられる。本発
明に従えば、上記と同様な方法あるいは類似の方法を適
用して種々の蛋白排出遺伝子に関連した遺伝子のDNA
配列を決定することができ、こうして得られたものも本
発明の思想に従うかぎりその範囲内のものであることは
理解されよう。
【0022】本発明の蛋白排出遺伝子は、その活性を実
質的に保持したままそのDNA配列を当該分野で知られ
た慣用される方法あるいは市販のキットの中から選んだ
方法を用いて切り出し、その断片を利用してその実質的
に活性なDNA配列を有する発現ベクターを構築する。
この発現ベクターを構築するのに使用しうるプラスミド
としては、大腸菌をはじめとしたグラム陰性菌に属する
微生物由来のプラスミドなどが挙げられる。この発現ベ
クターを構築するのに適したプラスミドとしては、大腸
菌由来のプラスミドなどが挙げられ、例えばpUC系プ
ラスミド;pHSG398、pMW系プラスミド;pK
P1500、pHY300PLKなどがあげられる。こ
うして蛋白排出遺伝子をその活性を保持したまま有する
DNA配列を含有する発現ベクターが構築される。もち
ろん蛋白排出遺伝子挿入域には、発現し、菌体外に排出
されることを目ざす蛋白質をコードする遺伝子挿入域を
有する発現ベクターが提供される。これは該挿入域の下
流例が一般的だが勿論これに限定されない。
【0023】本発明によれば、上記蛋白排出遺伝子は、
種々の遺伝子産物である蛋白質を効率よく菌体外に排出
させる作用を有することから、たとえその蛋白質が宿主
にとって異種であったりあるいは外来蛋白質であっても
宿主に負担がかからず、その蛋白質の産生を効率よく行
うことができる。さらに宿主細胞外は通常培養液等の単
純な組成環境のものであることから得られた蛋白質の分
離精製も非常に効率よく行うことが可能である。
【0024】次に本発明によれば特に配列番号1または
配列番号2で示されるDNA配列またはそれと実質的に
同等の蛋白排出活性を示すことのできるDNA配列を含
有することを特徴とする発現ベクターが開発提供され、
さらにその発現ベクターで形質転換された形質転換体が
提供される。特に本発明によれば、大腸菌を宿主細胞と
して用いて遺伝子操作技術を行う改良技術が提供され
る。
【0025】配列表中の配列番号1または配列番号2で
示されるDNA配列は、その機能を実質的に有する限り
そこに含まれる塩基を置換したり、付加したり、あるい
は欠失処理してその配列以外のものに改変することが可
能である。このような改変法としては、適当な制限酵素
及びDNA合成酵素、リガーゼを用いる方法、オリゴヌ
クレオチド指定変異法(oligonucleotid
e directedmutagenesis)として
知られた方法、たとえばM.Smith及びS.Gil
lam「Genetic Engineering」,
Vol.3,p.1(1981),J.K.Setlo
w及びA.Hollaender eds「Metho
ds in Enzymology」,Vol.153
−155(1987),Academic Pres
s,CA.に記載のものあるいはそのうちに引用された
文献に記載のものなど、あるいは化学修飾法などが挙げ
られる。
【0026】そしてこうして得られたDNA配列は配列
番号1または配列番号2で示されるDNA配列と実質的
に同等の蛋白排出遺伝子活性を示す限り、それを含有す
る発現ベクターの開発に同様にして用いることが可能で
ある。
【0027】本発明の蛋白排出遺伝子DNA配列または
それと実質的に同等の蛋白排出制御活性を示すDNA配
列を含有することを特徴とする発現ベクターは、その蛋
白排出遺伝子領域中その活性を実質的に有するDNA配
列を含有する限り特に制限がない。
【0028】この発現ベクターのうちには上記DNA配
列に加えて、通常用いられる制御あるいはコントロール
のための配列を有していてよい。このような制御あるい
はコントロールのための配列としては、たとえばターミ
ネーター、エンハンサーなどが挙げられる。この発現ベ
クターのうちには、複製起源、選択マーカーなどを有し
ていてよく、蛋白排出遺伝子と目的発現遺伝子とを同じ
制御下(同一のプラスミドに載せる)におくほうが、特
定の時期に高発現させてすぐに排出させるので有利であ
るが、異なる制御下(異なるプラスミドに載せる)にお
いて発現させても本質的な機能は変わらない。また同一
のプラスミドにおいても発現遺伝子の挿入部位は蛋白排
出遺伝子の下流、上流を問わない。
【0029】この発現ベクターの選択マーカーとしては
各種抗生物質耐性遺伝子、例えば、アンピシリン耐性遺
伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性
遺伝子などが挙げられる。これらのものは、各種微生物
由来のもの、バクテリオファージ由来のもの、昆虫や哺
乳動物細胞を含む動物ウイルス由来の各種の通常用いら
れる制御あるいはコントロールのための配列を有してい
てよい。制御あるいはコントロールのための配列として
は、各種ウイルスベクター、各種プラスミドベクター、
コスミドベクター、シャトルベクターなどで用いられて
いるものが挙げられる。これらベクターとしては、大腸
菌、特にEK型プラスミドベクター、λgtタイプファ
ージベクターなどが挙げられる。
【0030】これら遺伝子制御配列は、適宜それらを組
み合わせたり、あるいは化学的に修飾したりしてベクタ
ーに組み込んで、外来遺伝子をコードする塩基配列を含
むcDNA発現用のベクター構築に用いることができ
る。
【0031】本発明の蛋白排出遺伝子またはそれと実質
的に同等の活性を示すDNA配列を含有する発現ベクタ
ーとしては、例えば、pHSGKH,pLA3,pD1
4等があげられる。なおプラスミド中のxpa遺伝子も
同様の活性を示すと考えられる。
【0032】本発明の蛋白排出遺伝子は、pUC118
の上流の制限酵素KpnI,HindIII部位に挿入
されることにより、遺伝子発現用ベクターが構築でき
る。更に外来遺伝子の挿入部位は、その蛋白排出遺伝子
の3′下流に、例えば、BamHI,XbaI,Sma
I,PstIなどの制限酵素切断部位を新たに設け、外
来遺伝子の発現が好ましくなされるようにデザインする
ことができる。
【0033】本発明のDNA配列またはそれと実質的に
同等の蛋白排出制御活性を示すDNA配列を含有する発
現ベクターは、これを適当な宿主、特に使用する宿主細
胞に通常知られた方法に従って導入し、その宿主細胞を
形質転換させ、次のそのようにして形質転換された宿主
細胞を培養等の方法によって増殖させることなどによ
り、大量に形質転換体と呼ばれる外来遺伝子をも有し、
それがコードする蛋白質産生能を有し且つその蛋白質を
細胞外に排出することのできる細胞を得ることができ
る。
【0034】ここで使用される宿主、特に宿主細胞とし
ては、大腸菌などのグラム陰性菌が好適に使用できる。
上記宿主への発現ベクターの導入法としては、通常遺伝
子組換え技術の分野で使用せられている方法を用いるこ
とができ、例えばコンピテント細胞と上記ベクターとを
混合したり、細胞をプロトプラスト化したのち、上記ベ
クターを担体に結合させて取り込ませるか、あるいは電
気パルス法、形質導入法、レーザーによるポーレーショ
ン法などを用いて行うことができる。
【0035】このようにして得られた形質転換の増殖あ
るいは培養は、通常の各種細胞培養用培地を用いておこ
なうことができ、そのようなものとしては、例えば炭素
源、窒素源、ビタミン、アミノ酸、核酸、無機塩、有機
化合物などを含有し、適宜肉汁、ペプトン、カザミノ
酸、酵母エキス、魚肉エキス、バレイショ、麦芽汁、抗
生物質などを加えたものが挙げられるが、好適な培地は
一般に広く市販されているものを使用してそれをそのま
まあるいは適当に改変して用いることができる。
【0036】上記形質転換体の増殖または培養にあたっ
ては、該形質転換体の生産に適したpH、温度、通気、
光(照度)、攪拌、二酸化炭素濃度、培地交換の頻度な
どの条件は適宜選択され、好ましくは実験などにより決
定することができる。
【0037】上記形質転換体を増殖または培養すること
により、本発明の蛋白排出遺伝子の制御をうけた外来遺
伝子発現に基づく蛋白質は、細胞外に出されることか
ら、通常の操作によりより簡単に分離採取することがで
きる。
【0038】この分離採取法としては、先ず培養物から
細胞と培養上清とを遠心分離、膜濾過法などにより分離
し、得られた培養上清から、例えばタンパク質沈澱剤を
用いて沈澱処理するなどして分離する方法が挙げられ
る。
【0039】このような分離精製法としては、各種塩類
を含んだ緩衝液による抽出処理、酸またはアルカリによ
る可溶化あるいは沈澱処理、さらには有機溶媒による抽
出あるいは沈澱処理、硫安などの蛋白質沈澱剤を用いる
塩析、透析、メンブレンフィルターなどを用いる限外濾
過、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフ
ィー、向流分配クロマトグラフィー、アフィニティーク
ロマトグラフィー、高速流体クロマトグラフィー、等電
点あるいはゲル電気泳動などが挙げられ、それらは単独
あるいは適宜組合わせて用いられる。
【0040】さらにまた、上記したような形質転換体か
ら採取された蛋白質は、必要に応じ適当な変性あるいは
再生処理など、例えば、グアニジン溶液で処理後透析す
るなどの、当該分野で知られた方法で、より好適な形態
のものにすることができる。
【0041】その変性方法としては、ジチオスレイトー
ルなどによる還元法を利用し、透析するなどして行なう
ことができる。上記のようにして精製分離して得られた
蛋白質は、塩酸、硫酸などの酸、臭化シアン及びペプシ
ン、キモトリプシン、カルボキシペプチダーゼ、アミノ
ペプチダーゼなどの蛋白質分解酵素などで加水分解した
後、得られたペプチド断片をイオン交換クロマトグラフ
ィーなどのクロマトグラフィーにかけて、精製したりあ
るいはそのアミノ酸組成などを分析すると共にそのアミ
ノ酸配列を決定することができる。
【0042】上記遺伝子組換技術に用いられる方法は、
T.Maniatis,et al.,「Molecu
lar Cloning」,Cold Spring
Harbor Laboratory,New Yor
k(1982)に記載された方法あるいはそこに引用さ
れた文献に記載された方法、さらにはそれらを適宜改変
した方法によって行うことができるが、本発明の目的及
び作用効果を果たす範囲内で適宜改変して適用すること
も許容される。
【0043】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0044】実施例1 LB培地100mlで37℃1晩培養したBacill
us licheniformis FD0120の菌
体を5mlの0.1M EDTA(pH8.8)に懸濁
後、凍結融解処理(−70℃、30分放置→37℃、3
0分放置)し遠心分離によって菌体を回収した。次にリ
ゾチーム(2mg/ml)を含む上記緩衝液に懸濁して
37℃で30分間放置後、SDSを最終濃度0.5%に
なるように加え、67℃、15分インキュベイトしたの
ち、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール
(25/24/1,v/v/v)を全容量の25%加
え、10分間インキュベイトし、この操作を蛋白質が完
全に無くなるまで繰り返し行った。その後遠心分離し上
清に2倍量のエタノールを攪拌しながら加えてガラス棒
で染色体を巻き取った。これを70%、80%、90%
のエタノールに各々2〜3分浸し精製水1.5mlに懸
濁した。
【0045】実施例2 実施例1で得られたB.licheniformis染
色体DNA 20μgを制限酵素Sau3AI(宝酒造
(株)製)で15〜23キロ塩基対程度の大きさになる
ように部分分解し、エタノール沈殿処理によって精製し
た。部分分解した染色体DNA 1μgに対し制限酵素
BamHI,EcoRIで2重切断されたλEMBL3
(Stratagene社製)2μgを加えた後、T4
DNAリガーゼ(宝酒造(株)製)を用いて4℃、一晩
反応させた。9−23キロ塩基対の挿入断片をもつλE
MBL3が選択的にパッケージされるキット(GIGA
PACK GOLD;Stratagene社製)を用
いて大腸菌中にB.licheniformisゲノム
の遺伝子ライブラリーを作製した。
【0046】実施例3 既に分泌蛋白質として知られているB.licheni
formis FD0120の細胞壁溶解酵素の遺伝子
(cwlL遺伝子)を含む染色体断片をベクターpUC
19に連結し、細胞壁溶解性を指標にしてショットガン
法によりクローン化した。その上流の蛋白分泌調節領域
を含む断片をE.coli MV1184にサブクロー
ニングした。このプラスミドより0.96kbのPst
I断片(87アミノ酸をコードするxpaF2以外にc
wlL’の3’側をさらに削りとられたcwlL”を含
む)を取り出し、pUC118のPstI部位にlac
と方向性が合うように連結し、プラスミドpPPを作製
した。このプラスミドpPPを使ってE.coli M
V1184を形質転換し、アンピシリン耐性で選択し
た。得られた形質転換体をB.subtilis 16
8Sの細胞壁(0.6mg/ml),IPTG(40m
M),およびアンピシリン(100μg/ml)を含む
LB培地で細胞壁の溶解をメルクマールにして観察した
ところ、細胞壁溶解酵素CwlL”の菌体外排出の増加
が認められた。
【0047】次にその0.96kb PstI断片をプ
ラークハイブリダイゼーションのプローブとして用いる
ためランダムプライマーDNAラベリングキット(宝酒
造(株)製)を用いて32P標識を行った。
【0048】実施例4 実施例2で得られた大腸菌中のB.lichenifo
rmisゲノム遺伝子ライブラリー合計1,000個の
λプラークを既知の方法に従ってナイロンメンブレン
(Micron separation社製)に固定化
し実施例3で得られたプローブを用いてプラークハイブ
リダイゼーションを行った。
【0049】実施例2で得られた遺伝子ライブラリー合
計1,000個のプラークを50%のホルムアミドを含
むハイブリダイゼーション溶液中で37℃、4時間プレ
ハイブリダイゼーションを行ったのち実施例3で得られ
た標識プローブを加えてプラークハイブリダイゼーショ
ンを行った。37℃で一晩保温した後20mlの2×S
SCと1gのSDSを含む200mlの溶液を用いて室
温で10分間、4回洗浄を繰り返した。風乾後RXフィ
ルム(フジ社製)を用いて−70℃で一晩オートラジオ
グラフィーを行った結果、約4個の陽性クローンを得
た。得られた4個の陽性クローンについて同様な操作を
再度繰り返し最終的に2個の陽性クローンを得た。得ら
れた2種類の陽性クローンより既知の方法に従ってファ
ージDNAを調製した。
【0050】実施例5 大腸菌中にクローン化した蛋白排出遺伝子の塩基配列を
解析するため実施例4で調製した1種類の陽性クローン
のファージ遺伝子を制限酵素(HindIII、宝酒造
(株)製)で切断した。続いて実施例3に示したプラス
ミドpPPのPstI断片をプローブとしてサザンハイ
ブリダイゼーションを行ったところ1種類のハイブリダ
イズしたDNAバンドが観察された。このサイズに対応
する2.2kbのHindIII断片を低融点アガロー
スゲル電気泳動を用いてDNA断片を既知の方法に従っ
て単離精製した。蛋白排出遺伝子が含まれていると推定
される配列についてディレーションミュータント法およ
びプライマーエクステンション法を用いて全塩基配列
〔配列番号2〕を決定した。
【0051】実施例6 B.licheniformisの蛋白排出遺伝子xp
aF2と、枯草菌細胞壁溶解酵素遺伝子cwlAをそれ
ぞれ含むプラスミドを共存させることにより細胞壁溶解
酵素CwlAの大腸菌での菌体外排出を次のとおり行っ
た。
【0052】実施例3のプラスミドpPPからB.li
cheniformis xpaF2遺伝子(蛋白排出
遺伝子)を含む0.34kbのEcoRI−DraI断
片を取り出し、ベクターpHSG398(宝酒造、クロ
ラムフェニコール耐性)のEcoRI,DraI部位に
連結したプラスミドpHSGPDを作成した。この結果
1acプロモーターの下流に同じ方向性でxpaF2が
位置することとなった。一方cwlA遺伝子を含むプラ
スミドpBA3B4から1.7kbのEcoRI−Ba
mHI断片を切り出し、ベクターpMW119(日本ジ
ーン、アンピシリン耐性)のEcoRI,BamHI部
位に挿入したプラスミドpMWB1を作成した。pMW
B1中ではcwlA遺伝子は1acプロモーターの方向
性とは逆向きに位置していた。これら2つのプラスミド
を使ってE.coli JM109を形質転換し、アン
ピシリンとクロラムフェニコール耐性で選択しpHSG
PDとpMWB1を共に持つ形質転換体を取得した。こ
の形質転換体をB.subtilis 168S細胞壁
(0.6mg/ml),IPTG(40mM),アンピ
シリン(100μg),およびクロラムフェニコール
(30μg)を含むLB寒天培地に塗り付け、CwlA
の菌休外排出を調べたところ、顕著な排出(ハロー)が
認められた。
【0053】実施例7 B.licheniformis FD0120の蛋白
排出遺伝子を含む断片xpaG1,xpaG2をベクタ
ーpHSG398に連結したプラスミドpHSGKH
と、枯草菌細胞壁溶解酵素遺伝子cwlAをベクターp
MW119に連結したプラスミドpMWB1の共存によ
り細胞壁溶解酵素CwlAの大腸菌での菌体外排出を次
のとおり行なった。
【0054】λEMBLファージに連結したB.lic
heniformis FD0120のDNA断片から
最初に2.2kbのHindIII断片をジーンクリー
ンにより取り出し、KpnI,HindIIIで消化し
た後、生じた1.9kbの断片(xpaG1,xpaG
2を含む)をベクターpHSG398のKpnI,Hi
ndIII部位に連結し、これを使ってE.coli
JM109を形質転換した。形質転換体から調製したプ
ラスミドpHSGKHは1.9kbのKpnI−Hin
dIII断片を含んでおり、1acプロモーターの下流
に同じ方向性でxpaG1,xpaG2が位置すること
を確認した。そこでpHSGKHと実施例6に示したc
wlA遺伝子を持つプラスミドpMWB1を使ってE.
coliJM109を形質転換し、アンピシリン、クロ
ラムフェニコール耐性で選択した。得られた形質転換体
はpHSGKHとpMWB1を共に含んでいた。そこで
この株をB.subtilis 168S細胞壁(0.
5mg/ml),IPTG(40mM),アンピシリン
(100μg/ml),およびクロラムフェニコール
(30μg/ml)を含むLB寒天培地に塗り付け、C
wlAの菌体外排出を調べたところ、顕著な蛋白排出
(ハロー)が認められた。
【0055】実施例8 B.licheniformis FD0120の蛋白
排出遺伝子を含む断片xpaG1,xpaG2をpUC
118DNA断片に連結し、これを使ってβ−gala
ctosidase遺伝子(1ac)を染色体上に持つ
E.coliC600を形質転換し、生じた形質転換体
によるβ−galactosidaseの菌体外排出を
次のとおり行なった。
【0056】実施例7で示した2.2kb HindI
II断片中のKpnI部位からおよそ0.9kbまでの
長さのDNA断片(XPaGl,XPaG2遺伝子を含
む)をベクターPUC118のマルチクローニング部位
に連結し、このプラスミドをpD14と名づけた。この
プラスミド(アンピシリン耐性を持つ)を使ってlac
+であるE.coli C600を形質転換し、アンピ
シリン耐性で選択した。得られた形質転換体をアンピシ
リン(100μg/ml),およびIPTG(1mM)
を含むLB液体培地に植菌し増殖させた。増殖ならびに
β−galactosidase活性の経時変化を調べ
たところ、分泌しないことが知られているβ−gala
ctosidaseが菌体外に排出された。一方コント
ロールとしてE.coli C600(pUC118)
を同じ条件で培養したところ、排出はまったく認められ
なかった。
【0057】〔配列表〕配列番号1はBacillus
licheniformis FD0120株由来の
xpaF1,xpaF2を含むDNAの配列を示す。配
列番号2はBacillus licheniform
is FD0120株由来のxpaG1,xpaG2を
含むDNAの配列を示す。
【配列表】
【0058】配列番号:1 名称:xpaF1,xpaF2 配列の長さ:1000 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:染色体DNA 起源生物名:Baciilus lichenifor
mis 株名:FD0120
【0059】配列番号:2 名称:xpaG1,xpaG2 配列の長さ:2202 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:染色体DNA 起源生物名:Bacillus lichenifor
mis 株名:FD0120
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:10) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/00 C12R 1:19) C12R 1:10)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1または配列番号2で示される
    DNA配列またはそれと実質的に同等の蛋白排出活性を
    有する遺伝子。
  2. 【請求項2】 配列番号1または配列番号2で示される
    DNA配列またはそれと実質的に同等の蛋白排出活性を
    有する遺伝子を含有することを特徴とする発現ベクタ
    ー。
  3. 【請求項3】 配列番号1または配列番号2で示される
    DNA配列またはそれと実質的に同等の蛋白排出活性を
    有する遺伝子を含有する発現ベクターで形質転換または
    形質導入せしめられた形質転換体または形質導入体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5995140A (en) * 1995-08-28 1999-11-30 Ultrak, Inc. System and method for synchronization of multiple video cameras

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5995140A (en) * 1995-08-28 1999-11-30 Ultrak, Inc. System and method for synchronization of multiple video cameras

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