JPH0779731A - 発酵食品の風味改善方法 - Google Patents

発酵食品の風味改善方法

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JPH0779731A
JPH0779731A JP23202393A JP23202393A JPH0779731A JP H0779731 A JPH0779731 A JP H0779731A JP 23202393 A JP23202393 A JP 23202393A JP 23202393 A JP23202393 A JP 23202393A JP H0779731 A JPH0779731 A JP H0779731A
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JP
Japan
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acid
flavor
weight
fermented
fermented food
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JP23202393A
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Takashi Onishi
隆志 大西
Hiroaki Koiso
博昭 小磯
Toshinaga Tamiya
敏呂 田宮
Toshihiro Ishii
敏宏 石井
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SANEI GEN F F I Inc
San Ei Gen FFI Inc
Original Assignee
SANEI GEN F F I Inc
San Ei Gen FFI Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発酵食品の風味を任意に改善する。 【構成】 発酵食品に又はそれを含有する製品に、一般
式(I) 【化1】 (式中、Rは同一又は異なって水素原子、ハロゲン原
子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルカノイル
基又は低級アルコキシ基であり、nは0〜4の整数であ
り、Aは炭素数1〜5の直鎖又は分枝鎖の低級アルキレ
ン基である。)で示されるフェノキシアルカン酸もしく
はその塩の風味改善量を添加して風味を改善することを
特徴とする発酵食品の風味改善方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、発酵食品の風味改善
方法に関する。さらに詳しくは、酒類、酢類、醤油類、
味噌類、水畜産発酵食品、漬物類、乳又は大豆発酵食
品、小麦発酵食品及び食用酵母、及びこれらの各々の発
酵食品を組み合せた食品やこれらの各々の発酵食品を原
料として使用した食品の風味を改善する方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】発酵
食品は、農林産物、水産物、畜産物を原料とし、微生物
の作用を利用して作られた食品と定義されている。発酵
食品には、酵母類を主体に利用したぶどう酒類、果実酒
類、蒸溜酒類等の酒類、ビール類、パン及びまんじゅう
類;糸状菌類を主体に利用した鰹節類、甘味噌類、テム
ペ類及びあま酒類;細菌類を主体に利用した納豆類、チ
ーズ類、発酵乳類、漬け物類、しおから類及びソーセー
ジ類;二種以上の微生物を利用した清酒類、焼酎類、カ
マンベールチーズ類、乳腐類、味噌類、醤油類及び酢類
等がある。 これらの発酵食品においては、微生物と酵
素の作用によって生成される風味、あるいは発酵終了後
の加熱等による物理化学的反応によって生成される風味
が生命になっている。そのため、使用する原料の選択、
微生物又は酵素の種類及び混合割合、培養温度及び時
間、発酵によって生成した風味及び風味前駆物質等の発
酵終了後の加熱温度と時間によるアミノカルボニル反応
の度合等の複雑多岐な調整が必要とされる。それと共
に、雑菌等の混入による異常発酵で生成されるアミン類
及びケトン類に由来する腐敗臭・味の生成が不快感を与
え、目的とする好ましい風味が得られない場合がある。
【0003】異常発酵を防止し、嗜好性の高い好ましい
風味を得るために、使用する微生物を遺伝子工学で組換
え、培養温度と時間とを調整して生成する風味及び風味
の前駆物質の組成比を変えたり、クエン酸等を加えて風
味を増強したり、アミノカルボニル反応の度合を調整す
る等、種々の改善策が講じられている。しかしながら、
基本的に、微生物によって炭水化物、脂肪及びタンパク
質等を加水分解して生成される風味及び風味の前駆物質
を調整することは非常に難しく、従って、任意に消費者
の多種多様な嗜好性に調和した風味を有する発酵食品を
製造することは困難であった。
【0004】一方、甘味性を有する糖又は糖アルコール
を含有する摂食性製品の甘味を抑制するために、フェノ
キシアルカン酸誘導体を添加することが知られている
(米国特許第4567053号及び米国特許第5045336号)。ま
た、食塩代用顆粒を製造するに当たって、その賦形剤と
しての糖又は糖アルコールの甘味を減少させるために、
フェノキシアルカン酸誘導体を使用することも知られて
いる(ヨーロッパ特許出願第0414550A2号)。更に、苦
味減少剤として実質的に無味の甘味抑制剤又は甘味減少
剤として実質的に無味の苦味抑制剤としてフェノキシア
ルカン酸誘導体を使用することが知られている(米国特
許第5232735号)。
【0005】本発明の発明者等は、フェノキシアルカン
酸誘導体について鋭意検討した結果、意外にも、糖又は
糖アルコールの甘味及び苦味の抑制以外に、発酵食品の
風味を任意に改善する性質を見出し本発明を完成するに
至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明によれば、発酵
食品又はそれを含有する製品に、一般式(I)
【0007】
【化2】 (式中、Rは同一又は異なって水素原子、ハロゲン原
子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルカノイル
基又は低級アルコキシ基であり、nは0〜4の整数であ
り、Aは炭素数1〜5の直鎖又は分枝鎖の低級アルキレ
ン基である。)で示されるフェノキシアルカン酸もしく
はその塩の風味改善量を添加して風味を改善することを
特徴とする発酵食品の風味改善方法が提供される。
【0008】上記の一般式(I)の各定義において、詳
細は次の通りである。「ハロゲン原子」の好ましい例と
しては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
「低級アルキル基」の好ましい例としては、炭素数1〜
3の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基が挙げられ、例え
ばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル等が挙げら
れる。
【0009】「低級アルカノイル基」の好ましい例とし
ては、炭素数2〜4のアルカノイル基が挙げられ、例え
ばアセチル、プロピオニル、ブチリル等が挙げられる。
「低級アルコキシ基」の好ましい例としては、炭素数1
〜3の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ基が挙げられ、
例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポ
キシ等が挙げられる。
【0010】「低級アルキレン基」の好ましい例として
は、炭素数1〜5の直鎖又は分枝鎖のアルキレン基が挙
げられ、例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テ
トラメチレン、ペンタメチレン、ブチレン、アミレン等
が挙げられる。また、一般式(I)中、nは1〜4の整
数であり、好ましくは、nが1の場合である。更に好ま
しくは、nが1であり、かつ置換基がp位に結合してい
る場合である。
【0011】一般式(I)で示されるフェノキシアルカ
ン酸の塩としては、無毒性の、食品、医薬品等の分野で
許容される全ての塩を用いることができ、例えばナトリ
ウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグ
ネシウム等のアルカリ土類金属塩、又はアンモニウム塩
等が挙げられる。これらのうち、好ましい塩は、ナトリ
ウム、カリウム等のアルカリ金属塩である。
【0012】一般式(I)の化合物の多くは、カルボキ
シル基に隣接する炭素にキラル中心を有し、通常2種の
光学異性体を生じる。本発明には、これら光学異性体や
ラセミ混合物も包含される。これらの異性体のうち一方
は強い活性をもち、他方は弱い活性を有している。ま
た、上記化合物のラセミ混合物は、通常2種の光学異性
体の中間活性を示す。そこで、光学分割によって活性が
より強い方の化合物を分離し、その化合物を使用するこ
とによって、発酵食品の風味改善作用を向上させること
ができる。
【0013】一般式(I)に属する化合物としては、次
のものが挙げられる。(±)−2−フェノキシプロピオ
ン酸、S−(−)−2−フェノキシプロピオン酸、
(±)−2−フェノキシ酪酸、S−(−)−2−フェノ
キシ酪酸、(±)−2−p−メトキシフェノキシ酪酸、
(±)−2−p−メチルフェノキシプロピオン酸、S−
(−)−2−p−メチルフェノキシプロピオン酸、
(±)−2−p−エチルフェノキシプロピオン酸、
(±)−2−p−メトキシプロピオン酸、S−(−)−
2−p−メトキシフェノキシプロピオン酸、2−p−メ
トキシフェノキシ−2−メチルプロピオン酸、(±)−
2−p−エトキシフェノキシプロピオン酸、p−メチル
フェノキシ酢酸、フェノキシ酢酸、p−メトキシフェノ
キシ酢酸、p−エトキシフェノキシ酢酸、(±)−2−
p−クロロフェノキシプロピオン酸、S−(−)−2−
p−クロロフェノキシプロピオン酸、(±)−2−フェ
ノキシ−2−メチルプロピオン酸、2,4−ジメチルフ
ェノキシ酢酸、p−イソプロピルフェノキシ酢酸、p−
エチルフェノキシ酢酸、2−(p−クロロフェノキシ)
−2−メチルプロピオン酸、3,4−ジクロロフェノキ
シ酢酸、p−クロロフェノキシ酢酸、2−(2−メチル
−4−クロロフェノキシ)−酢酸、2−(3−クロロフ
ェノキシ)−プロピオン酸、4−フルオロフェノキシ酢
酸、2,3−ジクロロフェノキシ酢酸、3−メチルフェ
ノキシ酢酸、2−(3,4−ジメトキシフェノキシ)−
プロピオン酸、2−(2,3,4−トリメトキシフェノ
キシ)−酪酸、2−メチルフェノキシ酢酸、2−ホルミ
ルフェノキシ酢酸、p−エチルフェノキシ酢酸、2−ヒ
ドロキシフェノキシ酢酸、4−ヨードフェノキシ酢酸、
2−メトキシフェノキシ酢酸、2−プロピル−2−エチ
ルフェノキシ酢酸、ジフェニル酢酸、ジフェニルヒドロ
キシ酢酸(ジフェニルグリコール酸)、2−p−クロロ
フェニルプロピオン酸、2−p−イソプロピルフェニル
プロピオン酸、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−
2−メトキシ酢酸、2−(2,4−ジメチルフェニル)
−プロピオン酸、2−(2−メチルフェニル)−プロピ
オン酸、2−(2−メチルフェニル)−3−メチル酪酸
等が挙げられる。
【0014】これらのうち好ましい化合物としては、フ
ェノキシ酢酸、2−フェノキシプロピオン酸、2−フェ
ノキシ酪酸、p−メチルフェノキシ酢酸、p−エチルフ
ェノキシ酢酸、p−メトキシフェノキシ酢酸、p−エト
キシフェノキシ酢酸、2−p−メチルフェノキシプロピ
オン酸、2−p−エチルフェノキシプロピオン酸、2−
p−メトキシフェノキシプロピオン酸、2−p−エトキ
シフェノキシプロピオン酸、2−p−メチルフェノキシ
酪酸、2−p−エチルフェノキシ酪酸、2−p−メトキ
シフェノキシ酪酸、2−p−エトキシフェノキシ酪酸の
ナトリウムあるいはカリウム塩が挙げられる。これら化
合物は、1種又は2種以上を組み合わせることによっ
て、発酵食品の所望の風味を得ることができる。
【0015】一般式(I)の化合物は、縮合等による既
知の方法により合成することができる。例えばジャーナ
ル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティ(J. Ame
r. Chem. Soc.), 53, 304 (1931)、ジャーナル・オブ・
ケミカル・ソサエティ(J. Chem. Soc.), 1891 (1956)
に記載の方法で合成することができるが、アルドリッチ
社から入手可能な化合物もある。
【0016】フェノキシアルカン酸もしくはその塩は、
そのまま使用することもできるが、一般にそれらを溶解
しうる媒体に溶解あるいは懸濁させることが好ましい。
このような媒体としては、水、エタノール、プロパノー
ル等のアルコール類やプロピレングリコール等を用いる
ことができる。フェノキシアルカン酸もしくはその塩
は、対象とする発酵食品を製造する際に、大豆、乳、
鰹、豆乳、クリーム、小麦粉、穀類、ライ麦粉、野菜、
いも類、米、果実、麦芽、糖蜜及びアルコール等に微生
物を加えて発酵させる時に一緒に添加して発酵させる
か、又は発酵生成物に直接添加してもよい。また、発酵
物を加熱処理する場合には、加熱前又は加熱後に添加し
てもよい。更に、これらの発酵食品を使用した製品を作
る場合には、発酵食品を使用する製品素材かあるいは発
酵食品のいずれかに、又はこれらの混合物に添加しても
よい。添加方法は特に限定されるものでない。
【0017】フェノキシアルカン酸もしくはその塩の添
加量は、各々の発酵風味に対する嗜好性に適する濃度に
なるように適宜設定される。一般的には、発酵食品100
重量部に対し、0.00001〜5重量部、好ましくは0.0001
〜1重量部で風味改善効果を得ることができる。
【0018】本発明の風味改善方法は、各種の発酵食品
又はそれを含有する製品に使用することができる。例え
ば酒類、酢類、醤油類、味噌類、水畜産発酵食品、漬物
類、乳又は大豆発酵食品、小麦発酵食品、及びこれらの
各々の発酵食品を組み合せた食品、例えば酢類と醤油
類、味噌類又は醤油類と漬物類、酒類と水畜産発酵食
品、及び大豆発酵食品と醤油類等に用いることができ
る。これらの発酵食品を含有する製品には、例えば巻き
ずし等の炊飯類、赤だし及びけんちん汁等の汁もの、か
つをのたたき等の生もの、五色なます等の酢のもの、み
ぞれあえ等のあえもの、煮豆等の煮もの、ぶりの照り焼
き等の焼もの、風味揚げ等の揚げもの、卵豆腐等の蒸し
もの、ごま豆腐(でん粉寄せ)等の寄せもの、おでん
(関東煮)等の鍋もの、鍋焼きうどん等のめん類、みた
らしだんご等の和菓子、即席甘酒等の飲みもの、中華
麺、うどん及びそば用の調味料、その他ソース類、ドレ
ッシング類、たれ類及びマヨネーズ類等がある。
【0019】発酵食品に対するフェノキシアルカン酸の
添加量について、さらに詳細に説明する。酒類について
は、酒100重量部に対してフェノキシアルカン酸誘導体
を0.0001〜0.01重量部添加することによって、フーゼル
油臭をともなった重い風味が遮蔽され、添加量が少い時
は軽いトップノートの優れたアルコール臭とエステル臭
が共存した軽い風味が強調され、添加量が多い時はこく
味のある風味に富み、しかもすっきりとした味の酒類が
得られる。
【0020】酢類については、酢100重量部に対してフ
ェノキシアルカン酸誘導体を0.01〜1重量部添加するこ
とによって、使用濃度の増加と共に酢酸の揮発性の刺激
臭・味が緩和され、芳香性のエステル臭を有するさわや
かな風味の酢が得られる。
【0021】醤油類については、醤油100重量部に対し
てフェノキシアルカン酸誘導体を0.001〜1重量部添加
することによって、アミノカルボニル反応で生成したカ
ラメル臭・味が遮蔽され、添加濃度の増加と共にアルコ
ール、エステル、アルデヒド及びケトン体の匂いを有す
る軽い風味からマルトール等に由来すると考えられる甘
味のある嗜好性に富む風味の醤油が得られる。
【0022】味噌については、味噌100重量部に対して
フェノキシアルカン酸誘導体を0.001〜0.5重量部添加す
ることによって、カラメル臭・味の重い風味が減少し、
代りにアルコール、アルデヒド、ケトン、エステル等に
由来する軽い発酵風味が添加濃度の増加と共に増強さ
れ、後味がすっきりした味噌が得られる。
【0023】水産発酵食品、例えばしおから類について
は、しおから100重量部に対してフェノキシアルカン酸
誘導体を0.1〜5重量部添加することによって、アンモ
ニアやトリメチルアミン等のアミン類に起因すると言わ
れているいか特有の生ぐさい風味が遮蔽され、添加濃度
が低い時はアルコール及び軽いエステル臭等に起因する
風味が増強され、添加濃度の増加と共に芳香性のある発
酵性の風味のあるおいしいしおからが得られる。
【0024】漬物類については、漬物100重量部に対し
てフェノキシアルカン酸誘導体を0.05〜1重量部添加す
ることによって、メチルメルカプタンに由来すると言わ
れている硫黄臭・味と揮発性の酸臭・味が遮蔽され、添
加濃度の増加と共にすっきりとした塩っからみのある漬
物が得られる。牛乳を発酵させてつくるヨーグルトにつ
いては、ヨーグルト100重量部に対してフェノキシアル
カン酸誘導体を0.001〜0.1重量部添加することによっ
て、バター様の油っぽい風味が遮蔽され、添加濃度の増
加と共にすっきりした風味のヨーグルトが得られる。
【0025】小麦粉発酵食品、例えばパンについては、
パン100重量部に対してフェノキシアルカン酸誘導体を
0.001〜0.5重量部添加することによって、焙焼工程中に
おこる糖アミノ反応等による過剰な加熱臭・味及び酸臭
・味が遮蔽され、添加濃度の増加と共に発酵によって醸
成されたやや甘い軽い芳香性のあるパンの風味が増強さ
れる。
【0026】本発明によるフェノキシアルカン酸もしく
はその塩が発酵食品の風味を任意に改善できる性質を見
い出したことは、極めて意外なことと考えられる。
【0027】
【作用】発酵食品を鼻でかいた時には、空気中に揮散し
た匂い分子が前鼻孔を経由して吸気時に固有鼻腔から嗅
粘膜に到達し、一方発酵食品を口の中に入れて咀嚼した
時には、匂いは上咽頭を経由して呼気時に後鼻孔から嗅
粘膜に到達する。匂い分子が嗅粘膜のタンパク質と脂質
に吸着されると嗅受容器電位の電圧変化がおこって電気
的信号が発生し、それが嗅球を経由して大脳皮質に伝え
られ、そこで匂いを認知すると言われている。本発明の
フェノキシアルカン酸もしくはその塩の作用は、匂い分
子を嗅粘膜の嗅覚受容体に吸着され易い分子配座に変化
せしめるか、又は嗅覚受容体を匂い分子と吸着しやすい
分子配座に変化せしめることにより、フェノキシアルカ
ン酸もしくはその塩を添加しない場合と比較して、フェ
ノキシアルカン酸もしくはその塩の添加濃度によって種
々異なる嗅受容器電位の電気変化をおこし、発酵食品の
風味を任意に改善すると考えられる。一方発酵食品を口
の中に入れて咀嚼した時には、それが舌の味細胞の受容
膜に吸着されて味細胞の電位変化がおこり、受容膜の配
座が変化すると共に味神経に電気的信号が発生する。こ
の電気的信号により刺激情報が大脳に伝えられて味を感
ずると言われている。本発明のフェノキシアルカン酸も
しくはその塩の作用は、それを添加しないときの味受容
膜及び嗅覚受容体の配座の変化と異なる配座の変化をお
こすことによって、相剰的に風味を改善すると考えられ
る。
【0028】
【実施例】本発明の効果を試験例で説明するが、本発明
はこれらに限定されない。 試験例1 大豆500重量部を蒸煮後すりぶして冷却し、その後麺500
重量部、食塩12重量部及び表1に示すような各重量部の
(±)−2−p−メトキシフェノキシプロピオン酸ナト
リウムを添加して混合した後水分量を50%(w/w)に
なるように調整したサンプルを25℃で28日間発酵させ
た。食塩濃度が1%(w/w)になるように味噌汁を調
製し、(±)−2−p−メトキシフェノキシプロピオン
酸ナトリウム添加区と無添加区との風味の相違を10名の
専門パネラー(男性5名、女性5名、平均年齢30才)に
てp<0.05で官能検査し、以下の表1に示す結果を得
た。
【0029】
【表1】 また、(±)−2−p−メトキシフェノキシプロピオン
酸ナトリウム無添加区の味噌汁に(±)−2−p−メト
キシフェノキシプロピオン酸ナトリウムを別個に添加し
ても、表1と類似の結果が得られた。
【0030】試験例2 小麦粉100重量部、砂糖3重量部、油脂4重量部、イー
スト1重量部、水75重量部、食塩1.5重量部及び表2に
示すような各重量部の(±)−2−p−エトキシフェノ
キシプロピオン酸ナトリウムを添加し常法により発酵焼
成した。(±)−2−p−エトキシフェノキシプロピオ
ン酸ナトリウム添加区と無添加区との風味の相違を試験
例1と同じように官能検査し、以下の表2に示す結果を
得た。
【0031】
【表2】
【0032】試験例3 白菜の四つ割り各1700重量部に対し、表3に示すような
各重量部のフェノキシ酢酸カリウムを添加し、3%(w
/w)の食塩水を散布した。さらに、差し水として3%
(w/w)の食塩水を添加し、同量の重石をし、4日間
漬けこんだ。フェノキシ酢酸カリウム添加区と無添加区
との風味の相違を試験例1と同様に官能検査し、以下の
表3に示す結果を得た。
【0033】
【表3】 また、フェノキシ酢酸カリウム無添加区の白菜漬けにフ
ェノキシ酢酸カリウムを別個に添加しても、表3と類似
の結果が得られた。
【0034】試験例4 塩蔵したいか身100重量部、塩蔵したいか腑15重量部、
グルタミン酸ナトリウム1重量部、食塩1.5重量部、み
りん2.8重量部及び表4に示すような各重量部の(±)
−2−p−エチルフェノキシプロピオン酸を添加して混
合した後、容器に詰めて冷蔵で14日間保存した。(±)
−2−p−エチルフェノキシプロピオン酸添加区と無添
加区との風味の相違を試験例1と同様に官能検査し、以
下の表4に示す結果を得た。
【0035】
【表4】 また、(±)−2−p−エチルフェノキシプロピオン酸
無添加区のしおからに(±)−2−p−エチルフェノキ
シプロピオン酸を別個に添加しても、表4と類似の結果
が得られた。
【0036】試験例5 12%の全脂肪乳溶液100重量部に表5に示すような各重
量部の(±)−2−p−メトキシフェノキシ酪酸ナトリ
ウムを添加して混合した後、殺菌して38℃まで冷却し、
ラクトバチルスブルガリカスの乳酸菌スターターを1重
量部添加して38℃で液性pH3.8になるまで発酵させ
た。(±)−2−p−メトキシフェノキシ酪酸ナトリウ
ム添加区と無添加区との風味の相違を試験例1と同様に
官能検査し、以下の表5に示す結果を得た。
【0037】
【表5】 また、(±)−2−p−メトキシフェノキシ酪酸ナトリ
ウム無添加区のヨーグルトに(±)−2−p−メトキシ
フェノキシ酪酸ナトリウムを別個に添加しても、表5と
類似の結果が得られた。
【0038】実施例1 市販の食酢100重量部にp−メトキシフェノキシ酢酸0.1
重量部を添加して溶解すると、揮発性の刺激性のある酢
酸臭・味が減少し、芳香性のエステル臭を有する温和な
風味の食用酢が得られた。
【0039】この食用酢を使用してドレッシング、マヨ
ネーズ及びソースを調製した結果、いずれも刺激性ある
酢酸臭・味が存在しないため、風味のよい嗜好性の高い
調味料が得られた。これらのドレッシング、マヨネーズ
を使用して野菜サラダを調製した結果、嗜好性の高い野
菜サラダが得られた。
【0040】実施例2 市販の清酒100重量部に(±)−2−p−メチルフェノ
キシプロピオン酸0.01重量部を添加して溶解すると、濁
った発酵風味が消失し、軽いトップノートの強い澄んだ
発酵風味を有する清酒が得られた。この清酒を使用して
酢みそあえ及びかす汁を調製した結果、あっさりした後
味のきれの良いおいしい食品が得られた。
【0041】実施例3 溶融した市販のナチュラルチーズ100重量部に0.01重量
部の(±)−2−p−エチルフェノキシ酪酸ナトリウム
を添加して混和すると、濁った重い臭味が消失し、嗜好
性に富んだ澄んだ軽い風味のチーズが得られた。このチ
ーズを使ってチーズケーキを調製した結果、澄んだ軽い
風味の嗜好性の高いチーズケーキが得られた。
【0042】実施例4 市販の鰹節4重量部にp−メトキシフェノキシ酢酸ナト
リウム0.005重量部と(±)−2−p−エトキシフェノ
キシ酪酸ナトリウム0.005重量部を水96重量部に加えて
沸騰させて濾過した鰹節だしは、やや生臭い、ほこりっ
ぽく重い臭・味が減少し、やや甘い特殊な香りの軽い燻
製風味を有する澄んだ風味の鰹節だしが得られた。この
鰹節を冷しそうめんのつけ汁に使用した結果、澄んだ軽
い風味のつけ汁が得られた。
【0043】実施例5 市販の醤油100重量部に(±)−2−フェノキシプロピ
オン酸ナトリウム0.001重量部、(±)−2−フェノキ
シ酪酸ナトリウム0.001重量部及び(±)−2−p−メ
トキシフェノキシプロピオン酸ナトリウム0.001重量部
を加えて溶解すると、濁って重いカラメル臭・味が消失
し、澄んだ軽い風味の芳香性に富む醤油が得られた。こ
の醤油を使って切干しだいこんのはりはり漬(醤油漬)
及びのりの佃煮を調製した結果、あっさりした爽快な軽
い風味の製品が得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23B 4/044 7/10 A 9162−4B A23C 19/09 A23L 1/00 H J 1/03 1/20 D 1/218 1/238 A 1/24 C12G 3/02 119 Z C12J 1/00 A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発酵食品又はそれを含有する製品に、一
    般式(I) 【化1】 (式中、Rは同一又は異なって水素原子、ハロゲン原
    子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルカノイル
    基又は低級アルコキシ基であり、nは0〜4の整数であ
    り、Aは炭素数1〜5の直鎖又は分枝鎖の低級アルキレ
    ン基である。)で示されるフェノキシアルカン酸もしく
    はその塩の風味改善量を添加して風味を改善することを
    特徴とする発酵食品の風味改善方法。
  2. 【請求項2】 一般式(I)において、Aがメチレン、
    エチレン又はトリメチレンである請求項1記載の発酵食
    品の風味改善方法。
  3. 【請求項3】 一般式(I)において、nが1であり、
    Rがパラ位に位置し、かつRがメチル、エチル、メトキ
    シ又はエトキシである請求項1または2に記載の発酵食
    品の風味改善方法。
  4. 【請求項4】 風味改善量が、発酵食品100重量部に対
    し、0.00001〜5重量部である請求項1〜4のいずれか
    1つに記載の発酵食品の風味の改善方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000116011A (ja) * 1998-10-01 2000-04-21 Mitsumi Electric Co Ltd 二次電池保護回路
JP4876259B2 (ja) * 2005-09-02 2012-02-15 国立大学法人 鹿児島大学 魚醤油の製造方法

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JP2000116011A (ja) * 1998-10-01 2000-04-21 Mitsumi Electric Co Ltd 二次電池保護回路
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