JPH0776641A - ポリプロピレン樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

ポリプロピレン樹脂組成物およびその用途

Info

Publication number
JPH0776641A
JPH0776641A JP6164385A JP16438594A JPH0776641A JP H0776641 A JPH0776641 A JP H0776641A JP 6164385 A JP6164385 A JP 6164385A JP 16438594 A JP16438594 A JP 16438594A JP H0776641 A JPH0776641 A JP H0776641A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypropylene
propylene
absorption intensity
insoluble component
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6164385A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3330733B2 (ja
Inventor
Masaya Yamada
田 雅 也 山
Michio Chokai
海 道 生 鳥
Yasuo Futami
見 靖 男 二
Tetsunori Shinozaki
崎 哲 徳 篠
Mamoru Kioka
岡 護 木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Petrochemical Industries Ltd filed Critical Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority to JP16438594A priority Critical patent/JP3330733B2/ja
Publication of JPH0776641A publication Critical patent/JPH0776641A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3330733B2 publication Critical patent/JP3330733B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 立体規則性の高い結晶性ポリプロピレンと、
極性基を含まないテルペン樹脂および/または極性基を
含まない石油樹脂とからなるポリプロピレン樹脂組成
物。該組成物から形成されたポリプロピレン延伸フィル
ム。該組成物からなる基材層と、プロピレン系重合体か
らなる表層とを有するポリプロピレン多層延伸フィル
ム。立体規則性の高い結晶性ポリプロピレンと、水素化
石油樹脂とからなるポリプロピレン樹脂組成物。前記ポ
リプロピレン樹脂組成物から形成されるプレススルーパ
ック包装用ポリプロピレンシート。該組成物からなる基
材層と、プロピレン系重合体からなる表層とを有するプ
レススルーパック包装用ポリプロピレン多層シート。 【効果】 水蒸気バリア性、透明性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、立体規則性の高い結晶性
ポリプロピレンと極性基を含まないテルペン樹脂および
/または極性基を含まない石油樹脂とからなるポリプロ
ピレン樹脂組成物、該組成物からなる延伸フィルム、お
よび該組成物からなる基材層を有する多層延伸フィル
ム、ならびに立体規則性の高い結晶性ポリプロピレンと
水素化石油樹脂とからなるポリプロピレン樹脂組成物、
該組成物からなるプレススルーパック包装用ポリプロピ
レンシート、および該組成物からなる基材層を有するプ
レススルーパック包装用ポリプロピレン多層シートに関
するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】結晶性ポリプロピレンなどのポリ
オレフィンは、周期律表第IV〜VI族の遷移金属の化合物
と、周期律表第I〜III族の金属の有機金属化合物とか
らなる、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒を用いオレフ
ィンを重合することによって得られることはよく知られ
ている。そしてこのような触媒を用いて、立体規則性の
高い結晶性ポリオレフィンを高い重合活性で得る方法
が、たとえば、特開昭61-209207号公報、特開昭62-1048
10号公報、特開昭62-104811号公報、特開昭62-104812号
公報、特開昭62-104813号公報、特開平1-311106号公
報、特開平1-318011号公報、特開平2-166104号公報など
に開示されている。
【0003】このような立体規則性の高い結晶性ポリプ
ロピレンは、剛性が高く、一般に高い熱変形温度、融
点、結晶化温度を有するため、優れた耐熱性を示し、結
晶化速度が速く、透明性が高いなどの優れた性質を示
す。そのため、容器やフィルムなどの種々の用途に好適
に用いられている。
【0004】ところで前記のような結晶性ポリプロピレ
ンからなるフィルムは、ポリアミドやポリエステルから
なるフィルムに比べて、優れた水蒸気バリア性を有して
いるが、極めて高い水蒸気バリア性を要求される用途、
たとえばタバコの包装用フィルムなどの用途に対して
は、水蒸気バリア性が必ずしも充分ではなかった。この
ためこのような極めて高い水蒸気バリア性を要求される
用途には、通常ポリプロピレン二軸延伸フィルム(OP
Pフィルム)の表面にポリ塩化ビニリデン(PVDC)
がコーティングされた、いわゆるK−OPフィルムが使
用されている。しかし、K−OPフィルムはPVDCを
含んでいるため、焼却時に塩素ガスを発生するという問
題があり、またPVDCは、ポリプロピレンとの相溶性
が悪いため再押出によるリサイクルができないなどの問
題があった。
【0005】このような問題を解決するため、特公平3
−47177号公報には、ポリプロピレンと、極性基を
含まない石油樹脂あるいは極性基を含まない石油樹脂テ
ルペン樹脂とからなり、ガラス転移温度(Tg)が10
℃以上80℃以下であるポリプロピレン延伸フィルムが
提案されている。しかし、このフィルムの水蒸気バリア
性は、前記K−OPフィルムに比べ劣るため、極めて高
い水蒸気バリア性を要求される用途に使用することは困
難であった。
【0006】本発明者らはこのような状況のもと鋭意検
討した結果、特定の立体規則性の高い結晶性ポリプロピ
レンと、極性基を含まないテルペン樹脂および/または
極性基を含まない石油樹脂とからなるプロピレン樹脂組
成物から形成される延伸フィルムは、水蒸気バリヤ性に
優れることを見出した。
【0007】また近年、薬品などの包装として、プラス
チックシートに熱成形により複数の凹部を形成し、この
凹部に錠剤、カプセルなどを充填し、これをアルミ箔で
シールしてなるプレススルーパック包装(以下「PTP
包装」ということがある)が盛んに使用されている。そ
してこのようなPTP包装用プラスチックシートには、
従来から硬質塩化ビニル樹脂シートが使用されている。
しかしながら抗生物質などの湿気によって変質しやすい
医薬品などの包装用としては、硬質塩化ビニル樹脂シー
トの水蒸気バリヤ性は必ずしも充分ではない。このため
特に高い水蒸気バリヤ性が要求される用途には、硬質塩
化ビニル樹脂シートの表面にPVDCがコーティングさ
れた積層シートが使用されている。しかしこのような積
層シートは、高価であるという問題がある。また硬質塩
化ビニル樹脂やPVDCは、焼却時に塩素ガスを発生す
るという問題があった。
【0008】一方、従来のポリプロピレンからなるシー
トは、焼却時に塩素ガスを発生するという問題はない
が、透明性、熱成形性に問題があるため、PTP包装用
としてはほとんど使用されていない。
【0009】従来のポリプロピレンシートの透明性を改
良する方法としては、ポリプロピレンにジベンジリデン
ソルビトールなどの造核剤を添加する方法が知られてい
るが、この方法によるとPTP包装する際のシートの熱
成形性が悪くなるという問題点がある。また、従来のポ
リプロピレンシートの熱成形性を改良する方法として
は、ポリプロピレンにポリエチレンをブレンドする方法
が知られているが、この方法によるとシートの透明性が
著しく低下するという問題点がある。
【0010】本発明者らはこのような状況のもと鋭意検
討した結果、特定の立体規則性の高い結晶性ポリプロピ
レンと、水素化石油樹脂とからなるプロピレン樹脂組成
物から形成されるシートは、水蒸気バリヤ性に優れ、か
つ剛性、透明性に優れ、しかも熱加工性に優れることを
見出して、本発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の目的】本発明は上記のような状況に鑑みてなさ
れたのもであって、水蒸気バリア性に優れたフィルムが
得られるようなポリプロピレン樹脂組成物、水蒸気バリ
ヤ性に優れたポリプロピレン延伸フィルムおよびポリプ
ロピレン多層延伸フィルムを提供することを目的とする
とともに、水蒸気バリヤ性に優れ、かつ剛性、透明性に
優れたシートが得られるようなポリプロピレン樹脂組成
物、水蒸気バリヤ性に優れ、かつ剛性、透明性に優れた
プレススルーパック包装用ポリプロピレンシートおよび
プレススルーパック包装用ポリプロピレン多層シートを
提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】本発明に係る第1のポリプロピレン樹脂
組成物は、(A) 230℃、2.16kg荷重におけ
るメルトフローレートが0.1〜500g/10分の範囲
にあり、沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクト
ルにおけるPmmmm、Pw の吸収強度から下記式(1)に
より求められる立体規則性指標[M5]の値が0.97
0〜0.995の範囲にあり、沸騰ヘプタン不溶成分の
13C−NMRスペクトルにおけるPmmrm、Pmrmr、Pmr
rr、Prmrr、Prmmr、Prrrr、Pw の吸収強度から下記
式(2)により求められる立体規則性指標[M3]の値
が0.0020〜0.0050の範囲にあり、沸騰ヘプ
タン不溶成分の結晶化度が60%以上であるプロピレン
重合体:80〜95重量%と、(B) 極性基を含まな
いテルペン樹脂および/または極性基を含まない石油樹
脂:20〜5重量%とからなることを特徴としている。
【0013】
【数15】
【0014】(式中、 [Pmmmm]:プロピレン単位が5単位連続してイソタク
チック結合した部位における第3単位目のメチル基に由
来する吸収強度であり、 [Pw ] :プロピレン単位のメチル基に由来する吸収
強度である。)
【0015】
【数16】
【0016】本発明に係るポリプロピレン延伸フィルム
は、前記第1のポリプロピレン樹脂組成物から形成さ
れ、かつ、ガラス転移温度(Tg)が0〜10℃の範囲
にあることを特徴としている。
【0017】本発明に係るポリプロピレン多層延伸フィ
ルムは、[I]前記第1のポリプロピレン樹脂組成物か
らなり、かつ、ガラス転移温度(Tg)が0〜10℃の
範囲にある基材層と、[II]沸騰ヘプタン不溶成分の13
C−NMRスペクトルにおけるPmmmm、Pw 、Sαγ、
Sαδ+、Tδ+δ+ の吸収強度から下記式(3)により
求められる立体規則性指標[M5]の値が0.925〜
0.975の範囲にあり、沸騰ヘプタン不溶成分の13
−NMRスペクトルにおけるPmmrm、Pmrmr、Pmrrr、
Prmrr、Prmmr、Prrrr、Pw 、Sαγ、Sαδ+、T
δ+δ+ の吸収強度から下記式(4)により求められる
立体規則性指標[M3]の値が0.0020〜0.00
50の範囲にあるプロピレン系重合体(C)からなる表
層とからなり、前記基材層の厚さが、フィルムの全厚さ
に対して80%以上であることを特徴としている。
【0018】
【数17】
【0019】(式中、[Pmmmm]、[Pw ]は、前記式
(1)と同様であり、 [Sαγ] :主鎖中の2級炭素であって、該2級炭素
から最も近い2個の3級炭素のうち、一方がα位にあ
り、他方がγ位にあるような2級炭素に由来する吸収強
度であり、 [Sαδ+] :主鎖中の2級炭素であって、該2級炭素
から最も近い2個の3級炭素のうち、一方がα位にあ
り、他方がδ位またはδ位より離れた位置にあるような
2級炭素に由来する吸収強度であり、 [Tδ+δ+]:主鎖中の3級炭素であって、該3級炭素
から最も近い2個の3級炭素のうち、一方がδ位または
δ位より離れた位置にあり、他方がδ位またはδ位より
離れた位置にあるような3級炭素に由来する吸収強度で
ある。)
【0020】
【数18】
【0021】(式中、 [Pmmrm]、[Pmrmr]、[Prm
rr]、[Prmmr]、[Prrrr]および[Pw ]は、前記
式(2)と同様であり、[Sαγ]、[Sαδ+]、
[Tδ+δ+]は前記式(3)と同様である。)。
【0022】本発明に係る第1のポリプロピレン樹脂組
成物、ポリプロピレン延伸フィルムおよびポリプロピレ
ン多層延伸フィルムでは、プロピレン重合体(A)は、
下記式(i)または(ii)で表される化合物から誘導さ
れる構成単位からなる重合体を10〜10000ppm
の割合で含有していることが望ましい。
【0023】
【化7】
【0024】本発明に係る第2のポリプロピレン樹脂組
成物は、(A) 230℃、2.16kg荷重における
メルトフローレートが0.1〜500g/10分の範囲に
あり、沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトル
におけるPmmmm、Pw の吸収強度から上記式(1)によ
り求められる立体規則性指標[M5]の値が0.970
〜0.995の範囲にあり、沸騰ヘプタン不溶成分の13
C−NMRスペクトルにおけるPmmrm、Pmrmr、Pmrr
r、Prmrr、Prmmr、Prrrr、Pw の吸収強度から上記
式(2)により求められる立体規則性指標[M3]の値
が0.0020〜0.0050の範囲にあり、沸騰ヘプ
タン不溶成分の結晶化度が60%以上であるプロピレン
重合体:70〜95重量%と、(D) 水素化石油樹
脂:30〜5重量%とからなることを特徴としている。
【0025】本発明に係るプレススルーパック包装用ポ
リプロピレンシートは、前記第2のポリプロピレン樹脂
組成物から形成されることを特徴としている。本発明に
係るプレススルーパック包装用ポリプロピレン多層シー
トは、[I]前記第2のポリプロピレン樹脂組成物から
形成される基材層と、[II]プロピレン系重合体(E)
から形成される表層とからなり、前記基材層の厚さの割
合がシートの全厚さに対して50%以上であり、かつ、
シートの全厚さT(μm)と、シートの全厚さTに対す
る前記基材層の厚さの割合H(%)とが 3.4≦log (T×H)≦5.0 で示される関係を満たすことを特徴としている。
【0026】本発明に係る第2のポリプロピレン樹脂組
成物、プレススルーパック包装用ポリプロピレンシート
およびプレススルーパック包装用ポリプロピレン多層シ
ートでは、プロピレン重合体(A)は、下記式(i)ま
たは(ii)で表される化合物から誘導される構成単位か
らなる重合体を10〜10000ppmの割合で含有し
ていることが望ましい。
【0027】
【化8】
【0028】
【発明の具体的説明】以下本発明に係るポリプロピレン
樹脂組成物およびその用途について具体的に説明する。
【0029】本発明に係る第1のポリプロピレン樹脂組
成物は、後述するようなプロピレン重合体(A)と、極
性基を含まないテルペン樹脂および/または極性基を含
まない石油樹脂(B)とから形成されている。また、本
発明に係る第2のポリプロピレン樹脂組成物は、後述す
るようなプロピレン重合体(A)と、水素化石油樹脂
(D)とから形成されている。
【0030】まず本発明に係るポリプロピレン樹脂組成
物を形成するプロピレン重合体(A)、極性基を含まな
いテルペン樹脂、極性基を含まない石油樹脂(B)およ
び水素化石油樹脂(D)について順次説明する。
【0031】プロピレン重合体(A) 本発明で用いられるプロピレン重合体(A)は、プロピ
レンの単独重合体である。
【0032】このようなプロピレン重合体では、230
℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが
0.1〜500g/10分、好ましくは0.2〜300g
/10分の範囲にあることが望ましい。
【0033】なおメルトフローレートは、ASTM D1
238-65T に従い230℃、2.16kg荷重の条件下に
測定される。本発明で用いられるプロピレン重合体は、
沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
るPmmmm、Pw の吸収強度から下記式(1)により求め
られる立体規則性指標[M5]の値が0.970〜0.
995、好ましくは0.980〜0.995、より好ま
しくは0.982〜0.995の範囲にある。
【0034】
【数19】
【0035】(式中、 [Pmmmm]:プロピレン単位が5単位連続してイソタク
チック結合した部位における第3単位目のメチル基に由
来する吸収強度であり、 [Pw ] :プロピレン単位のメチル基に由来する吸収
強度である。) 以下本発明においてプロピレン重合体(A)および後述
するプロピレン系重合体(C)の立体規則性の評価に用
いられる立体規則性指標[M5]について具体的に説明
する。
【0036】重合体の立体規則性指標[M5]は、該重
合体の沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトル
における吸収強度から求める。沸騰ヘプタン不溶成分が
プロピレンの単独重合体である場合、該不溶成分は、た
とえば下記式(A)のように表すことができる。
【0037】
【化9】
【0038】で表されるプロピレン単位5連鎖中の3単
位目のメチル基(たとえばMe3、Me4)に由来する13
−NMRスペクトルにおける吸収強度をPmmmmとし、プ
ロピレン単位中の全メチル基(Me1、Me2、Me3…)に
由来する吸収強度をPw とすると、上記式(A)で表さ
れる沸騰ヘプタン不溶成分の立体規則性は、PmmmmとP
w との比、すなわち上記式(1)から求められる値[M
5]により評価することができる。したがって、本発明
で用いられるプロピレン重合体(A)の立体規則性は、
該不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけるPmmmm、
Pw の吸収強度から上記式(1)により求められる立体
規則性指標[M5]の値により評価することができる。
【0039】また、沸騰ヘプタン不溶成分が、プロピレ
ン単位以外の他のオレフィンから誘導される構成単位
(たとえばエチレン単位)を少量含む場合、該不溶成分
は、下記式(B-1)または(B-2)のように表すことが
できる。なお式(B-1)は、プロピレン単位連鎖中に1
個のエチレン単位が含まれる場合を示し、式(B-2)
は、プロピレン単位連鎖中に、2個以上のエチレン単位
からなるエチレン単位連鎖が含まれる場合を示してい
る。
【0040】
【化10】
【0041】このような場合、プロピレン単位5連鎖中
の3単位目のメチル基以外のメチル基(上記式(B-
1)、(B-2)では、Me4、Me5、Me6およびMe7)に
由来する吸収強度は立体規則性を評価する際、原理的に
除外すべきものである。しかしこれらのメチル基の吸収
は他のメチル基の吸収と重なって観測されるため、定量
することは困難である。
【0042】そこで、沸騰ヘプタン不溶成分が式(B-
1)で示されるような場合には、エチレン単位中の2級
炭素であって、プロピレン単位中の3級炭素(Ca )と
結合している2級炭素(C1 )に由来する13C−NMR
スペクトルにおける吸収強度(Sαγ)、およびプロピ
レン単位中の2級炭素であって、エチレン単位中の2級
炭素(C2 )と結合している2級炭素(C3 )に由来す
る吸収強度(Sαγ)を用いてこれを除外する。
【0043】すなわち、主鎖中の2級炭素であって、該
2級炭素(C1 またはC3 )から最も近い2個の3級炭
素のうち、一方(Ca またはCb )がα位にあり、他方
(C b またはCa )がγ位にあるような2級炭素に由来
する吸収強度(Sαγ)を2倍したものをPw から引く
ことにより、プロピレン単位5連鎖中の3単位目のメチ
ル基以外のメチル基(Me4、Me5、Me6およびMe7)に
由来する吸収強度を除外する。
【0044】また、沸騰ヘプタン不溶成分が式(B-2)
で示されるような場合は、2個以上のエチレン単位から
なるエチレン単位連鎖中の2級炭素であって、プロピレ
ン単位中の3級炭素(Cd )と結合している2級炭素
(C4 )に由来する13C−NMRスペクトルにおける吸
収強度(Sαδ+)、およびプロピレン単位中の2級炭
素であって、2以上のエチレン単位連鎖中の2級炭素
(C5 )と結合している2級炭素(C6 )に由来する吸
収強度(Sαδ+)を用いてこれを除外する。
【0045】すなわち、主鎖中の2級炭素であって、該
2級炭素(C4 またはC6 )から最も近い2個の3級炭
素のうち、一方(Cd またはCe )がα位にあり、他方
(C e またはCd )がδ位またはδ位より離れた位置に
あるような2級炭素に由来する吸収強度(Sαδ+)を
2倍したものをPw から引くことにより、プロピレン単
位5連鎖中の3単位目のメチル基以外のメチル基(M
e4、Me5、Me6およびMe7)に由来する吸収強度を除外
する。
【0046】したがって、上記式(B-1)、(B-2)で
表される沸騰ヘプタン不溶成分の立体規則性は、下記式
(1B)から求められる値により評価することができ
る。
【0047】
【数20】
【0048】さらに、沸騰ヘプタン不溶成分がエチレン
単位を含み、かつ、エチレン単位連鎖中に1個のプロピ
レン単位が含まれる場合、該不溶成分は、たとえば下記
式(C)のように表すことができる。
【0049】
【化11】
【0050】このような場合、上記(1B)式をそのま
ま適用すると、除外すべきメチル基が5個(Me4、M
e5、Me6、Me7およびMe8)であるにもかかわらず、S
αγまたはSαδ+ に該当するメチル基が4個あるた
め、プロピレン単位5連鎖中の第3単位目のメチル基以
外のメチル基を、3個多く除外することになるため、さ
らに補正が必要となる。
【0051】そこで、エチレン単位連鎖中に含まれるプ
ロピレン単位中の3級炭素に由来する13C−NMRスペ
クトルにおける吸収強度を用いてこれを補正する。すな
わち、主鎖中の3級炭素であって、該3級炭素から最も
近い2個の3級炭素(Cf、Cg)のうち、一方(Cf
がδ位またはδ位より離れた位置にあり、他方(Cg
がδ位またはδ位より離れた位置にあるような3級炭素
(C7 )に由来する吸収強度(Tδ+δ+)を3倍したも
のをPw に加えることによりこれを補正する。
【0052】よって、上記式(C)で表される沸騰ヘプ
タン不溶成分の立体規則性は、下記式(3)により求め
た立体規則性指標[M5]の値により評価することがで
きる。
【0053】したがって、後述するプロピレン系重合体
(C)の立体規則性は、下記式(3)により求められる
立体規則性指標[M5]の値により評価することができ
る。
【0054】
【数21】
【0055】(式中、[Pmmmm]、[Pw ]は、前記式
(1)と同様であり、 [Sαγ] :主鎖中の2級炭素であって、該2級炭素
から最も近い2個の3級炭素のうち、一方がα位にあ
り、他方がγ位にあるような2級炭素に由来する吸収強
度であり、 [Sαδ+ ]:主鎖中の2級炭素であって、該2級炭素
から最も近い2個の3級炭素のうち、一方がα位にあ
り、他方がδ位またはδ位より離れた位置にあるような
2級炭素に由来する吸収強度であり、 [Tδ+δ+]:主鎖中の3級炭素であって、該3級炭素
から最も近い2個の3級炭素のうち、一方がδ位または
δ位より離れた位置にあり、他方がδ位またはδ位より
離れた位置にあるような3級炭素に由来する吸収強度で
ある。) なお、(1)式および(1B)式は(3)式と異なるも
のではなく、(3)式の特殊なケースと位置づけられ
る。また、沸騰ヘプタン不溶成分に含まれるプロピレン
単位以外の構成単位の種類によっては、上記の補正が不
要となる場合もある。
【0056】本発明で用いられるプロピレン重合体
(A)は、沸騰ヘプタン不溶成分の上記式(1)により
求められる立体規則性指標[M5]の値が0.970〜
0.995の範囲内であると共に、沸騰ヘプタン不溶成
分の13C−NMRスペクトルにおけるPmmrm、Pmrmr、
Pmrrr、Prmrr、Prmmr、Prrrr、Pw の吸収強度から
下記式(2)により求められる立体規則性指標[M3
の値が0.0020〜0.0050、好ましくは0.0
023〜0.0045、より好ましくは0.0025〜
0.0040の範囲にある。
【0057】
【数22】
【0058】上記のように沸騰ヘプタン不溶成分がプロ
ピレンの単独重合体である場合には、立体規則性指標
[M3 ]の値は、上記式(2)により求められるが、沸
騰ヘプタン不溶成分がプロピレン単位以外のモノマー単
位を少量含む場合には、立体規則性指標[M3 ]の値
は、下記式(4)により求められる。
【0059】
【数23】
【0060】(式中、 [Pmmrm]、[Pmrmr]、[Pmr
rr]、[Prmrr]、[Prmmr]、[Prrrr]、[Pw
]、[Sαγ]、[Sαδ+ ]、[Tδ+δ+]は前記
式(2)、式(3)と同様である。) 上記式(2)および式(4)中、 [Pmmrm]、[Pmrm
r]、[Pmrrr]、[Prmrr]、[Prmmr]、[Prrr
r]は、プロピレン単位連鎖中における5個の連続する
プロピレン単位のメチル基のうち、3個が同一方向、2
個が反対方向を向いた構造(以下「M3 構造」というこ
とがある)を有するプロピレン単位5連鎖中の第3単位
目のメチル基に由来する吸収強度を示している。すなわ
ち上記式(2)により求められる立体規則性指標
[M3]の値は、プロピレン単位連鎖中におけるM3
造の割合を示し、上記式(4)により求められる立体規
則性指標[M 3]の値は、プロピレン単位以外のモノマ
ー単位を少量含むプロピレン単位連鎖中におけるM3
造の割合を示している。
【0061】本発明で用いられるプロピレン重合体
(A)は、沸騰ヘプタン不溶成分の上記式(1)により
求められる立体規則性指標[M5]の値が0.970〜
0.995の範囲にあり、沸騰ヘプタン不溶成分の上記
式(2)により求められる立体規則性指標[M3]の値
が0.0020〜0.0050の範囲にあるため極めて
長いメソ連鎖(α-メチル炭素が同一方向に向いている
プロピレン単位連鎖)を有している。
【0062】一般にポリプロピレンは、立体規則性指標
[M3]の値が小さい方がメソ連鎖が長い。しかし立体
規則性指標[M5]の値が極めて大きく、立体規則性指
標[M3]の値が非常に小さい場合には、立体規則性指
標[M5]の値がほぼ同じであれば立体規則性指標
[M3]の値が大きい方がメソ連鎖が長くなる場合があ
る。
【0063】たとえば下記に示すような構造(イ)を有
するポリプロピレンと、構造(ロ)を有するポリプロピ
レンとを比較すると、M3 構造を有する構造(イ)で表
されるポリプロピレンは、M3 構造を有しない構造
(ロ)で表されるポリプロピレンに比べ長いメソ連鎖を
有している。(ただし下記構造(イ)、構造(ロ)は、
いずれも1003単位のプロピレン単位からなるものと
する。)
【0064】
【化12】
【0065】上記構造(イ)で表されるポリプロピレン
の立体規則性指標[M5]の値は0.986であり、上
記構造(ロ)で表されるポリプロピレンの立体規則性指
標[M5]の値は0.985であり、構造(イ)で表さ
れるポリプロピレンおよび構造(ロ)で表されるポリプ
ロピレンの立体規則性指標[M5]の値は、ほぼ等しい
値である。しかしながら、M3 構造を有する構造(イ)
で表されるポリプロピレンでは、メソ連鎖に含まれるプ
ロピレン単位は、平均497単位であり、M3構造を含
有しない構造(ロ)で表されるポリプロピレンでは、メ
ソ連鎖に含まれるプロピレン単位は、平均250単位と
なる。すなわち、立体規則性指標[M5]の値が極めて
大きいポリプロピレンでは、プロピレン単位連鎖中に含
まれるr(racemo)で示される構造の割合が極めて小さ
くなるので、r(racemo)で示される構造が集中して存
在するポリプロピレン(M3 構造を有するポリプロピレ
ン)は、r(racemo)で示される構造が分散して存在す
るポリプロピレン(M3 構造を有しないポリプロピレ
ン)より長いメソ連鎖を有することになる。
【0066】本発明で用いられるプロピレン重合体
(A)は、上記構造(イ)で示されるようなM3 構造を
有する高結晶性ポリプロピレンであり、沸騰ヘプタン不
溶成分の立体規則性指標[M5]の値が0.970〜
0.995の範囲にあり、沸騰ヘプタン不溶成分の立体
規則性指標[M3]の値が0.0020〜0.0050
の範囲にある。このようなプロピレン重合体(A)は、
理由は定かではないが従来の高結晶性ポリプロピレンに
比べて高い剛性、耐熱性および防湿性を有している。な
お、沸騰ヘプタン不溶成分の立体規則性指標[M3]の
値が、0.0020〜0.0050の範囲からはずれる
と、上記の特性が低下することがある。
【0067】本発明では沸騰ヘプタン不溶成分は、以下
のようにして調製される。すなわち、攪拌装置付1リッ
トルのフラスコに、重合体試料3g、2,6-ジ tert-ブチ
ル-4-メチルフェノール20mg、n-デカン500ml
を入れ、145℃の油浴上で加熱溶解させる。重合体試
料が溶解した後、約8時間かけて室温まで冷却し、続い
て23℃の水浴上で8時間保持する。析出した重合体
(23℃デカン不溶成分)を含むn-デカン懸濁液をG-4
(またはG-2)のグラスフィルターで濾過分離し、減圧
乾燥した後、重合体1.5gを6時間以上ヘプタンを用
いてソックスレー抽出した沸騰ヘプタン不溶成分が試料
となる。本発明で用いられるプロピレン重合体の沸騰ヘ
プタン不溶成分の割合は、通常80重量%以上、好まし
くは90重量%以上、より好ましくは94重量%以上、
さらに好ましくは95重量%以上、特に好ましくは96
重量%以上である。なお、上記の沸騰へプタン不溶成分
の割合は、23℃デカン可溶成分は、沸騰ヘプタンにも
可溶と仮定して算出されるものである。
【0068】本発明において沸騰ヘプタン不溶成分のN
MR測定は、たとえば次のようにして行われる。すなわ
ち、該不溶成分0.35gをヘキサクロロブタジエン
2.0ml に加熱溶解させる。この溶液をグラスフィル
ター(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5m
l を加え、内径10mmのNMRチューブに装入する。
そして日本電子製GX−500型NMR測定装置を用
い、120℃で13C−NMR測定を行う。積算回数は、
10,000回以上とする。立体規則性指標[M5]お
よび[M3]の値は、上記測定によって得られる各々の
構造に基づくピーク強度あるいはピーク強度の総和とか
ら求めることができる。
【0069】本発明で用いられるプロピレン重合体
(A)の沸騰ヘプタン不溶成分の結晶化度は、60%以
上、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上
であることが望ましい。
【0070】結晶化度は、次のようにして測定される。
すなわち、試料を180℃の加圧成形機にて厚さ1mm
の角板に成形した後、直ちに水冷して得たプレスシート
を用い、理学電機(株)製ローターフレックス RU3
00測定装置を用いて測定することにより決定される
(出力50kV、250mA)。この際の測定法として
は、透過法を用い、またサンプルを回転させながら測定
を行う。
【0071】本発明で用いられるプロピレン重合体
(A)は、下記式(i)または(ii)で表される化合物
から誘導される構成単位からなる重合体を10〜100
00ppm、好ましくは100〜5000ppmの範囲
の量で含有していることが望ましい。
【0072】
【化13】
【0073】上記式(i)において、Xで示されるシク
ロアルキル基しては、シクロペンチル基、シクロヘキシ
ル基、シクロヘプチル基などが挙げられ、アリール基と
しては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル
基などが挙げられる。
【0074】上記式(i)または(ii)において、
1 、R2 およびR3 で示される炭化水素基としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアル
キル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、あ
るいはノルボルニル基などが挙げられる。さらにR1
2 およびR3 で示される炭化水素基には、ケイ素、ハ
ロゲンが含まれていてもよい。
【0075】このような上記式(i)または(ii)で表
される化合物として具体的には、3-メチル-1-ブテン、3
-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-
1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘ
キセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセ
ン、3-エチル-1-ヘキセン、アリルナフタレン、アリル
ノルボルナン、スチレン、ジメチルスチレン類、ビニル
ナフタレン類、アリルトルエン類、アリルベンゼン、ビ
ニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタン、ビニルシ
クロヘプタン、アリルトリアルキルシラン類などが例示
できる。これらの中では3-メチル-1-ブテン、3-メチル-
1-ペンテン、3-エチル-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキ
サン、アリルトリメチルシラン、ジメチルスチレンなど
を含有していることが好ましく、3-メチル-1-ブテン、
ビニルシクロヘキサン、アリルトリメチルシランを含有
していることがより好ましく、3-メチル-1-ブテンを含
有していることが特に好ましい。
【0076】また本発明で用いられるプロピレン重合体
は、プロピレン以外の炭素原子数20以下のオレフィ
ン、あるいは、炭素原子数4〜20のジエン化合物から
誘導される構成単位を少量含有していてもよい。
【0077】このようにプロピレン重合体が、プロピレ
ン以外のモノマー成分を少量含んでいても、上記立体規
則性指標[M5]の値および立体規則性指標[M3]の値
に実質的に影響を与えるものではない。
【0078】本発明で用いられるプロピレン重合体は、
密度が0.900〜0.936g/cm3 、好ましくは
0.910〜0.936g/cm3 の範囲にあることが
望ましい。
【0079】また本発明で用いられるプロピレン重合体
は、23℃デカン可溶成分量は、3.0%以下、好まし
くは2.5%以下、より好ましくは2.0%以下、特に
好ましくは1.5%以下であることが望ましい。
【0080】なお、プロピレン重合体の23℃デカン可
溶成分量は、以下のようにして測定される。すなわち、
攪拌装置付1リットルのフラスコに、重合体試料3g、
2,6-ジ tert-ブチル-4-メチルフェノール20mg、n-
デカン500ml を入れ、145℃の油浴上で加熱溶解
させる。重合体試料が溶解した後、約8時間かけて室温
まで冷却し、続いて23℃の水浴上で8時間保持する。
析出した重合体と、溶解ポリマーを含むn-デカン懸濁液
とをG-4 (またはG-2)のグラスフィルターで濾過分離
する。得られた溶液を10mmHg、150℃で、恒量
になるまで乾燥し、その重量を測定して、前記混合溶媒
中への重合体の可溶成分量とし、試料重合体の重量に対
する百分率として算出する。
【0081】本発明で用いられるプロピレン重合体の沸
騰ヘプタン不溶成分の135℃での半結晶化時間は、5
00秒以下、好ましくは100秒以下、より好ましくは
80秒以下、特に好ましくは70秒以下であることが望
ましい。
【0082】なお、プロピレン重合体の沸騰ヘプタン不
溶成分の135℃での半結晶化時間は、以下のようにし
て測定される。すなわちパーキンエルマー社製示差熱計
を用いて、135℃における重合体の沸騰ヘプタン不溶
成分の結晶化による発熱量と時間との関係を測定し、発
熱量が総発熱量の50%に達するまでに要する時間をも
って半結晶化時間とする。
【0083】本発明で用いられるプロピレン重合体で
は、沸騰ヘプタン不溶成分の融点と結晶化温度との差
は、45℃以下、好ましくは43℃以下、より好ましく
は40℃以下であることが望ましい。
【0084】本発明で用いられるプロピレン重合体の1
35℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]は、通
常0.001〜30dl/g、好ましくは0.01〜1
0dl/g、特に好ましくは0.05〜8dl/gの範
囲にあることが望ましい。
【0085】このような本発明で用いられるプロピレン
重合体は、たとえば、[Ia]マグネシウム、チタン、
ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固
体状チタン触媒成分(a)と、[II]有機金属触媒成分
(b)と、[III]下記式(iii)で示されるケイ素化合
物(c)または複数の原子を介して存在する2個以上の
エーテル結合を有する化合物(d)と Ra nSi(ORb4-n … (iii) (式中、nは1、2または3であり、nが1のとき、R
a は2級または3級の炭化水素基を示し、nが2または
3のとき、Ra の少なくとも1つは2級または3級の炭
化水素基であり、Ra は同一であっても異なっていても
よく、Rb は炭素原子数1〜4の炭化水素基であって、
4−nが2または3であるとき、Rb は同一であっても
異なっていてもよい。)から形成されるオレフィン重合
触媒の存在下に、好ましくは[Ib]マグネシウム、チ
タン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有
する固体状チタン触媒成分(a)と、有機金属触媒成分
(b)との存在下に、下記式(i)または(ii)で表さ
れるオレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィ
ンを予備重合してなる予備重合触媒成分と、
【0086】
【化14】
【0087】[II]有機金属触媒成分(b)と、[II
I]上記式(iii)で示されるケイ素化合物(c)または
複数の原子を介して存在する2個以上のエーテル結合を
有する化合物(d)とから形成されるオレフィン重合触
媒の存在下に、プロピレンを重合させることにより製造
することができる。
【0088】以下に本発明で用いられるプロピレン重合
体の製造に使用されるオレフィン重合触媒を形成する各
成分について具体的に説明する。固体状チタン触媒成分
(a)は、下記のようなマグネシウム化合物、チタン化
合物および電子供与体を接触させることにより調製する
ことができる。
【0089】固体状チタン触媒成分(a)の調製に用い
られるチタン化合物として具体的には、たとえば、次式
で示される4価のチタン化合物を挙げることができる。 Ti(OR)g4-g (式中、Rは炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示
し、gは0≦g≦4である。)このようなチタン化合物
として、具体的には、TiCl4、TiBr4、TiI4
などのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH3)C
3、Ti(OC25)Cl3、Ti(On-C49)Cl
3、Ti(OC25)Br3、Ti(O-iso-C49)B
3 などのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(O
CH32Cl2、Ti(OC252Cl2、Ti(On-
492Cl 2、Ti(OC252Br2 などのジハ
ロゲン化ジアルコキシチタン;Ti(OCH33Cl、
Ti(OC253Cl、Ti(On-C493Cl、T
i(OC253Br などのモノハロゲン化トリアルコ
キシチタン;Ti(OCH34、Ti(OC254
Ti(On-C494、Ti(O-iso-C494、Ti
(O-2-エチルヘキシル)4 などのテトラアルコキシチ
タンなどを例示することができる。
【0090】これらの中ではハロゲン含有チタン化合物
が好ましく、さらにテトラハロゲン化チタンが好まし
く、特に四塩化チタンが好ましい。これらチタン化合物
は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用
いてもよい。さらにこれらのチタン化合物は、炭化水素
化合物あるいはハロゲン化炭化水素化合物などに希釈さ
れていてもよい。
【0091】固体状チタン触媒成分(a)の調製に用い
られるマグネシウム化合物としては、還元性を有するマ
グネシウム化合物および還元性を有しないマグネシウム
化合物を挙げることができる。
【0092】ここで還元性を有するマグネシウム化合物
としては、たとえばマグネシウム−炭素結合あるいはマ
グネシウム−水素結合を有するマグネシウム化合物を挙
げることができる。このような還元性を有するマグネシ
ウム化合物の具体的な例としては、ジメチルマグネシウ
ム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、
ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキ
シルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化
マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化
マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化
マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブ
チルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドな
どを挙げることができる。これらマグネシウム化合物
は、単独で用いることもできるし、後述する有機金属化
合物と錯化合物を形成していてもよい。また、これらマ
グネシウム化合物は、液体であってもよく、固体あって
もよいし、金属マグネシウムと対応する化合物とを反応
させることで誘導してもよい。さらに触媒調製中に上記
の方法を用いて金属マグネシウムから誘導することもで
きる。
【0093】還元性を有しないマグネシウム化合物の具
体的な例としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウ
ム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムのような
ハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、
エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネ
シウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マ
グネシウムのようなアルコキシマグネシウムハライド;
フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マ
グネシウムのようなアリロキシマグネシウムハライド;
エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、
ブトキシマグネシウム、n-オクトキシマグネシウム、2-
エチルヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグ
ネシウム;フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキ
シマグネシウムのようなアリロキシマグネシウム;ラウ
リン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムのよう
なマグネシウムのカルボン酸塩などを例示することがで
きる。
【0094】これら還元性を有しないマグネシウム化合
物は、上述した還元性を有するマグネシウム化合物から
誘導した化合物あるいは触媒成分の調製時に誘導した化
合物であってもよい。還元性を有しないマグネシウム化
合物を、還元性を有するマグネシウム化合物から誘導す
るには、たとえば、還元性を有するマグネシウム化合物
を、ハロゲン、ポリシロキサン化合物、ハロゲン含有シ
ラン化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、アルコ
ール、エステル、ケトン、アルデヒドなどの活性な炭素
−酸素結合を有する化合物と接触させればよい。
【0095】なお、本発明において、マグネシウム化合
物は上記の還元性を有するマグネシウム化合物および還
元性を有しないマグネシウム化合物の外に、上記のマグ
ネシウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物ある
いは他の金属化合物との混合物であってもよい。さら
に、上記の化合物を2種以上組み合わせて用いてもよ
い。
【0096】固体状チタン触媒成分(a)の調製に用い
られるマグネシウム化合物としては、上述した以外にも
多くのマグネシウム化合物が使用できるが、最終的に得
られる固体状チタン触媒成分(a)中において、ハロゲ
ン含有マグネシウム化合物の形をとることが好ましく、
従ってハロゲンを含まないマグネシウム化合物を用いる
場合には、調製の途中でハロゲン含有化合物と接触反応
させることが好ましい。
【0097】上述したマグネシウム化合物の中では、還
元性を有しないマグネシウム化合物が好ましく、ハロゲ
ン含有マグネシウム化合物がさらに好ましく、塩化マグ
ネシウム、アルコキシ塩化マグネシウム、アリロキシ塩
化マグネシウムが特に好ましい。
【0098】本発明で用いられる固体状チタン触媒成分
(a)は、上記のようなマグネシウム化合物と、前述し
たようなチタン化合物および電子供与体を接触させるこ
とにより形成される。
【0099】固体状チタン触媒成分(a)の調製の際に
用いられる電子供与体としては、具体的には下記のよう
な化合物が挙げられる。メチルアミン、エチルアミン、
ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、
テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ト
リブチルアミン、トリベンジルアミンなどのアミン類;
ピロール、メチルピロール、ジメチルピロールなどのピ
ロール類;ピロリン;ピロリジン;インドール;ピリジ
ン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジ
ン、ジメチルピリジン、エチルメチルピリジン、トリメ
チルピリジン、フェニルピリジン、ベンジルピリジン、
塩化ピリジンなどのピリジン類;ピペリジン類、キノリ
ン類、イソキノリン類などの含窒素環状化合物;テトラ
ヒドロフラン、1,4-シネオール、1,8-シネオール、ピノ
ールフラン、メチルフラン、ジメチルフラン、ジフェニ
ルフラン、ベンゾフラン、クマラン、フタラン、テトラ
ヒドロピラン、ピラン、ジテドロピランなどの環状含酸
素化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、ペ
ンタノール、ヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘ
キサノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、
オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエ
チルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルアル
コール、イソプロピルベンジルアルコールなどの炭素原
子数1〜18のアルコール類;フェノール、クレゾー
ル、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノ
ール、ノニルフェノール、クミルフェノール、ナフトー
ルなどの低級アルキル基を有してもよい炭素原子数6〜
20のフェノール類;アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェ
ノン、アセチルアセトン、ベンゾキノンなどの炭素原子
数3〜15のケトン類;アセトアルデヒド、プロピオン
アルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、
トルアルデヒド、ナフトアルデヒドなどの炭素原子数2
〜15のアルデヒド類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸
エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢
酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、
吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチ
ル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘ
キサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エ
チル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オ
クチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、
安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチ
ル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス
酸メチル、マレイン酸n-ブチル、メチルマロン酸ジイソ
ブチル、シクロヘキセンカルボン酸ジn-ヘキシル、ナジ
ック酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジイソプロピ
ル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル
酸ジn-ブチル、フタル酸ジ2-エチルヘキシル、γ-ブチ
ロラクトン、δ-バレロラクトン、クマリン、フタリ
ド、炭酸エチルなどの炭素原子数2〜30の有機酸エス
テル;アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイ
ル酸クロリド、アニス酸クロリドなどの炭素原子数2〜
15の酸ハライド類;メチルエーテル、エチルエーテ
ル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエ
ーテル、アニソール、ジフェニルエーテルエポキシ-p-
メンタンなどの炭素原子数2〜20のエーテル類;2-イ
ソペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-イソプ
ロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシルメ
チル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-イ
ソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソブチル-2-
イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキ
シル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シク
ロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、1,2-
ビス-メトキシメチル-ビシクロ-[2,2,1]-ヘプタン、ジ
フェニルジメトキシシラン、イソプロピル-t-ブチルジ
メトキシシラン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシシ
クロヘキサン、2-イソペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジ
メトキシシクロヘキサンなどのジエーテル類;酢酸アミ
ド、安息香酸アミド、トルイル酸アミドなどの酸アミド
類;アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリルな
どのニトリル類;無水酢酸、無水フタル酸、無水安息香
酸などの酸無水物などが用いられる。
【0100】また電子供与体として、後述するような一
般式(iii)で示されるケイ素化合物を用いることもで
きる。また上記のようなチタン化合物、マグネシウム化
合物および電子供与体を接触させる際に、下記のような
担体化合物を用い、担体担持型の固体状チタン触媒成分
(a)を調製することもできる。
【0101】このような担体化合物としては、Al
23、SiO2、B23、MgO、CaO、TiO2、Z
nO、ZnO2、SnO2、BaO、ThOおよびスチレ
ン−ジビニルベンゼン共重合体などの樹脂などを挙げる
ことができる。これら担体化合物の中でも、好ましくは
SiO2、Al23、MgO、ZnO、ZnO2などを挙
げることができる。
【0102】なお、上記の成分は、たとえばケイ素、リ
ン、アルミニウムなどの他の反応試剤の存在下に接触さ
せてもよい。固体状チタン触媒成分(a)の製造方法
は、上記したようなチタン化合物、マグネシウム化合物
および電子供与体を接触させることなどにより製造する
ことができ、公知の方法を含むあらゆる方法を採用する
ことができる。
【0103】これら固体状チタン触媒成分(a)の具体
的な製造方法を数例挙げて以下に簡単に述べる。 (1) マグネシウム化合物、電子供与体および炭化水素溶
媒からなる溶液を、有機金属化合物と接触反応させて固
体を析出させた後、または析出させながらチタン化合物
と接触反応させる方法。
【0104】(2) マグネシウム化合物と電子供与体から
なる錯体を有機金属化合物と接触、反応させた後、チタ
ン化合物を接触反応させる方法。 (3) 無機担体と有機マグネシウム化合物との接触物に、
チタン化合物および好ましくは電子供与体を接触反応さ
せる方法。この際、あらかじめ該接触物をハロゲン含有
化合物および/または有機金属化合物と接触反応させて
もよい。
【0105】(4) マグネシウム化合物、電子供与体、場
合によっては更に炭化水素溶媒を含む溶液と無機または
有機担体との混合物から、マグネシウム化合物の担持さ
れた無機または有機担体を得、次いでチタン化合物を接
触させる方法。
【0106】(5) マグネシウム化合物、チタン化合物、
電子供与体、場合によっては更に炭化水素溶媒を含む溶
液と無機または有機担体との接触により、マグネシウ
ム、チタンの担持された固体状チタン触媒成分を得る方
法。
【0107】(6) 液状状態の有機マグネシウム化合物を
ハロゲン含有チタン化合物と接触反応させる方法。この
とき電子供与体を少なくとも1回は用いる。 (7) 液状状態の有機マグネシウム化合物をハロゲン含有
化合物と接触反応後、チタン化合物を接触させる方法。
このとき電子供与体を少なくとも1回は用いる。
【0108】(8) アルコキシ基含有マグネシウム化合物
をハロゲン含有チタン化合物と接触反応する方法。この
とき電子供与体を少なくとも1回は用いる。 (9) アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子供
与体からなる錯体をチタン化合物と接触反応する方法。
【0109】(10)アルコキシ基含有マグネシウム化合物
および電子供与体からなる錯体を有機金属化合物と接触
後チタン化合物と接触反応させる方法。 (11)マグネシウム化合物と、電子供与体と、チタン化合
物とを任意の順序で接触、反応させる方法。この反応
は、各成分を電子供与体および/または有機金属化合物
やハロゲン含有ケイ素化合物などの反応助剤で予備処理
してもよい。なお、この方法においては、上記電子供与
体を少なくとも一回は用いることが好ましい。
【0110】(12)還元能を有しない液状のマグネシウム
化合物と液状チタン化合物とを、好ましくは電子供与体
の存在下で反応させて固体状のマグネシウム・チタン複
合体を析出させる方法。
【0111】(13)(12)で得られた反応生成物に、チタン
化合物をさらに反応させる方法。 (14)(11)あるいは(12)で得られる反応生成物に、電子供
与体およびチタン化合物をさらに反応させる方法。
【0112】(15)マグネシウム化合物と好ましくは電子
供与体と、チタン化合物とを粉砕して得られた固体状物
を、ハロゲン、ハロゲン化合物および芳香族炭化水素の
いずれかで処理する方法。なお、この方法においては、
マグネシウム化合物のみを、あるいはマグネシウム化合
物と電子供与体とからなる錯化合物を、あるいはマグネ
シウム化合物とチタン化合物を粉砕する工程を含んでも
よい。また、粉砕後に反応助剤で予備処理し、次いでハ
ロゲンなどで処理してもよい。反応助剤としては、有機
金属化合物あるいはハロゲン含有ケイ素化合物などが挙
げられる。
【0113】(16)マグネシウム化合物を粉砕した後、チ
タン化合物と接触・反応させる方法。この際、粉砕時お
よび/または接触・反応時に電子供与体や、反応助剤を
用いることが好ましい。
【0114】(17)上記(11)〜(16)で得られる化合物をハ
ロゲンまたはハロゲン化合物または芳香族炭化水素で処
理する方法。 (18)金属酸化物、有機マグネシウムおよびハロゲン含有
化合物との接触反応物を、好ましくは電子供与体および
チタン化合物と接触させる方法。
【0115】(19)有機酸のマグネシウム塩、アルコキシ
マグネシウム、アリーロキシマグネシウムなどのマグネ
シウム化合物を、チタン化合物および/またはハロゲン
含有炭化水素および好ましくは電子供与体と反応させる
方法。
【0116】(20)マグネシウム化合物とアルコキシチタ
ンとを少なくとも含む炭化水素溶液と、チタン化合物お
よび/または電子供与体とを接触させる方法。この際ハ
ロゲン含有ケイ素化合物などのハロゲン含有化合物を共
存させることが好ましい。
【0117】(21)還元能を有しない液状状態のマグネシ
ウム化合物と有機金属化合物とを反応させて固体状のマ
グネシウム・金属(アルミニウム)複合体を析出させ、
次いで、電子供与体およびチタン化合物を反応させる方
法。
【0118】固体状チタン触媒成分(a)を調製する際
に用いられる上記各成分の使用量は、調製方法によって
異なり一概に規定できないが、たとえばマグネシウム化
合物1モル当り、電子供与体は0.01〜10モル、好
ましくは0.1〜5モルの量で用いられ、チタン化合物
は0.01〜1000モル、好ましくは0.1〜200
モルの量で用いられる。
【0119】このようにして得られる固体状チタン触媒
成分(a)は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび
電子供与体を必須成分として含有している。この固体状
チタン触媒成分(a)において、ハロゲン/チタン(原
子比)は約2〜200、好ましくは約4〜100の範囲
にあり、前記電子供与体/チタン(モル比)は約0.0
1〜100、好ましくは約0.02〜10の範囲にあ
り、マグネシウム/チタン(原子比)は約1〜100、
好ましくは約2〜50の範囲にあることが望ましい。
【0120】このような固体状チタン触媒成分(a)
(触媒成分[Ia])は、該固体状チタン触媒成分
(a)と下記有機金属触媒成分(b)との存在下、オレ
フィンの予備重合を行うことにより得られる[Ib]予
備重合触媒成分として重合に用いることが望ましい。
【0121】[Ib]予備重合触媒成分の調製に用いら
れる有機金属触媒成分(b)としては、周期律表第I族
〜第III族金属の有機金属化合物が用いられ、具体的に
は、下記のような化合物が用いられる。
【0122】(b-1) 一般式 R1 mAl(OR2npq (式中、R1およびR2は炭素原子を通常1〜15個、好
ましくは1〜4個含む炭化水素基を示し、これらは互い
に同一でも異なってもよい。Xはハロゲン原子を示し、
0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0
≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3であ
る。)で表される有機アルミニウム化合物。
【0123】(b-2) 一般式 M1AlR1 4 (式中、M1 はLi 、Na 、Kであり、R1 は前記と同
じである。)で表される第I族金属とアルミニウムとの
錯アルキル化物。
【0124】(b-3) 一般式 R1 2 2 (式中、R1 およびR2 は上記と同様であり、M2 はM
g、ZnまたはCdである。)で表される第II族または
第III族のジアルキル化合物。
【0125】前記の(b-1) に属する有機アルミニウム化
合物としては、次のような化合物を例示できる。 一般式 R1 mAl(OR23-m (式中、R1 およびR2 は前記と同様であり、mは好ま
しくは1.5≦m≦3の数である。)で表される化合
物、 一般式 R1 mAlX3-m (式中、R1 は前記と同様であり、Xはハロゲンであ
り、mは好ましくは0<m<3である。)で表される化
合物、 一般式 R1 mAlH3-m (式中、R1 は前記と同様であり、mは好ましくは2≦
m<3である。)で表される化合物、 一般式 R1 mAl(OR2nq (式中、R1 およびR2 は前記と同様であり、Xはハロ
ゲン、0<m≦3、0≦n<3、0≦q<3であり、か
つm+n+q=3である。)で表される化合物などを挙
げることができる。
【0126】(b-1) に属するアルミニウム化合物として
は、より具体的には、トリエチルアルミニウム、トリブ
チルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;ト
リイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアル
ミニウム;ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチル
アルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウム
アルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、
ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルア
ルミニウムセスキアルコキシド;R1 2.5Al(OR2
0.5 などで表される平均組成を有する部分的にアルコキ
シ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウ
ムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチル
アルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハ
ライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルア
ルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキ
ブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウム
ジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアル
キルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化
されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒ
ドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキ
ルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリ
ド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルア
ルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化され
たアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシ
クロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチ
ルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコ
キシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムを
挙げることができる。
【0127】また(b-1) に類似する化合物としては、酸
素原子や窒素原子を介して2以上のアルミニウムが結合
した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。こ
のような化合物としては、たとえば、(C252Al
OAl(C252 、(C492AlOAl(C
492 、(C252AlN(C25)Al(C
252などの他に、メチルアルミノオキサンなどのア
ルミノオキサン類を挙げることができる。
【0128】前記(b-2) に属する化合物としては、Li
Al(C254 、LiAl(C7154 などを挙げ
ることができる。
【0129】これらの中では有機アルミニウム化合物が
好ましく用いられる。[Ib]予備重合触媒成分の調製
に用いられるオレフィンとしては、上記式(i)または
(ii)で表される化合物が好ましく用いられ、具体的に
は3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル
-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキ
セン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペン
テン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、ア
リルナフタレン、アリルノルボルナン、スチレン、ジメ
チルスチレン類、ビニルナフタレン類、アリルトルエン
類、アリルベンゼン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシ
クロペンタン、ビニルシクロヘプタン、アリルトリアル
キルシラン類などの分岐構造を有するオレフィンが挙げ
られる。これらの中では3-メチル-1-ブテン、3-メチル-
1-ペンテン、3-エチル-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキ
サン、アリルトリメチルシラン、ジメチルスチレンなど
が好ましく、3-メチル-1-ブテン、ビニルシクロヘキ
ン、アリルトリメチルシランがより好ましく、3-メチル
-1-ブテンが特に好ましい。
【0130】これらの他、エチレン、プロピレン、1-ブ
テン、1-オクテン、1-ヘキサデセン、1-エイコセンなど
の直鎖状のオレフィンを併用することができる。予備重
合では、プロピレンの本重合における系内の触媒濃度よ
りもかなり高濃度で触媒を用いることができる。
【0131】予備重合における固体状チタン触媒成分
(a)の濃度は、後述する不活性炭化水素媒体1リット
ル当り、チタン原子換算で、通常約0.01〜200ミ
リモル、好ましくは約0.05〜100ミリモルの範囲
にあることが望ましい。
【0132】有機金属触媒成分(b)の量は、固体状チ
タン触媒成分(a)1g当り0.1〜1000g、好ま
しくは0.3〜500gの重合体が生成するような量で
あればよく、固体状チタン触媒成分(a)中のチタン原
子1モル当り、通常約0.1〜100ミリモル、好まし
くは約0.5〜50ミリモルの範囲とすることが望まし
い。
【0133】また予備重合を行う際には、固体状チタン
触媒成分(a)、有機金属触媒成分(b)の他に電子供
与体(e)を用いてもよい。この電子供与体(e)とし
て、具体的には、先に固体状チタン触媒成分(a)を調
製する際に用いた電子供与体、後述する式(iii)で示
されるケイ素化合物(c)および複数の原子を介して存
在する2個以上のエーテル結合を有する化合物(d)、
さらには下記式(c-i)で表される有機ケイ素化合物を
挙げることができる。
【0134】 RnSi(OR’)4-n … (c-i) (式中、RおよびR’は炭化水素基を示し、0<n<4
である) なお、この式(c-i)で示される有機ケイ素化合物とし
ては、後述する式(iii)で示されるケイ素化合物
(c)は含まれない。
【0135】このような一般式(c-i)で示される有機
ケイ素化合物としては、具体的には、トリメチルメトキ
シシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメト
キシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピ
ルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フ
ェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシ
シラン、ビスo-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリル
ジメトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビ
スp-トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメ
トキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリ
エトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルト
リメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デ
シルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、γ-クロルプロピルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルト
リエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、n-ブチ
ルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、
γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエ
トキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニ
ルトリブトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、
トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシ(a
llyloxy)シラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ
シラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテト
ラエトキシジシロキサンなどが挙げられる。
【0136】これらの電子供与体(e)は、単独である
いは2種以上併用して用いることができる。この電子供
与体(e)は、固体状チタン触媒成分(a)中のチタン
原子1モル当り0.1〜50モル、好ましくは0.5〜
30モル、さらに好ましくは1〜10モルの量で用いら
れる。
【0137】予備重合は、不活性炭化水素媒体に上記式
(i)または(ii)で表されるオレフィンおよび上記触
媒成分を加え、温和な条件下で行うことが好ましい。こ
の際用いられる不活性炭化水素媒体としては、具体的に
は、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭
化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシク
ロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリ
ド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、あるい
はこれらの接触物などを挙げることができる。これらの
不活性炭化水素媒体のうちでは、特に脂肪族炭化水素を
用いることが好ましい。
【0138】予備重合の際の反応温度は、生成する予備
重合体は実質的に不活性炭化水素媒体中に溶解しないよ
うな温度であればよく、通常約−20〜+100℃、好
ましくは約−20〜+80℃、さらに好ましくは0〜+
40℃の範囲にあることが望ましい。なお、予備重合に
おいては、水素のような分子量調節剤を用いることもで
きる。
【0139】予備重合は、上記のような固体状チタン触
媒成分(a)1g当り約0.1〜1000g、好ましく
は約0.3〜500gの重合体が生成するように行うこ
とが望ましい。予備重合量をあまり多くすると、本重合
における(共)重合体の生成効率が低下することがあ
り、得られる(共)重合体からフィルムなどを成形した
場合に、フィッシュアイが発生し易くなることがある。
【0140】このような予備重合は回分式や連続式で行
うことができる。本発明で用いられるプロピレン重合体
の製造に用いられるオレフィン重合触媒は、上記[I
a]固体状チタン触媒成分または[Ib]予備重合触媒
成分と、[II]有機金属触媒成分と、[III]ケイ素化
合物(c)または複数の原子を介して存在する2個以上
のエーテル結合を有する化合物(d)とから形成されて
いる。
【0141】[II]有機金属触媒成分としては、前述し
た[Ib]予備重合触媒成分の調製に用いた(b)有機
金属触媒成分と同様のものを使用することができる。 [III]ケイ素化合物(c)は、下記式(iii)で示され
る化合物である。
【0142】 Ra n−Si−(ORb4-n … (iii) (式中、nは1、2または3であり、nが1のとき、R
a は2級または3級の炭化水素基を示し、nが2または
3のとき、Ra の少なくとも1つは2級または3級の炭
化水素基示しり、Ra は同一であっても異なっていても
よく、Rb は炭素原子数1〜4の炭化水素基を示し、4
−nが2または3であるとき、Rb は同一であっても異
なっていてもよい。)この式(iii)で示されるケイ素
化合物(c)において、2級または3級の炭化水素基と
しては、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シク
ロペンタジエニル基、置換基を有するこれらの基あるい
はSiに隣接する炭素が2級または3級である炭化水素
基が挙げられる。より具体的に、置換シクロペンチル基
としては、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロ
ペンチル基、2-エチルシクロペンチル基、2-n-ブチルシ
クロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、2,4-
ジメチルシクロペンチル基、2,5-ジメチルシクロペンチ
ル基、2,3-ジエチルシクロペンチル基、2,3,4-トリメチ
ルシクロペンチル基、2,3,5-トリメチルシクロペンチル
基、2,3,4-トリエチルシクロペンチル基、テトラメチル
シクロペンチル基、テトラエチルシクロペンチル基など
のアルキル基を有するシクロペンチル基を例示すること
ができる。
【0143】置換シクロペンテニル基としては、2-メチ
ルシクロペンテニル基、3-メチルシクロペンテニル基、
2-エチルシクロペンテニル基、2-n-ブチルシクロペンテ
ニル基、2,3-ジメチルシクロペンテニル基、2,4-ジメチ
ルシクロペンテニル基、2,5-ジメチルシクロペンテニル
基、2,3,4-トリメチルシクロペンテニル基、2,3,5-トリ
メチルシクロペンテニル基、2,3,4-トリエチルシクロペ
ンテニル基、テトラメチルシクロペンテニル基、テトラ
エチルシクロペンテニル基などのアルキル基を有するシ
クロペンテニル基を例示することができる。
【0144】置換シクロペンタジエニル基としては、2-
メチルシクロペンタジエニル基、3-メチルシクロペンタ
ジエニル基、2-エチルシクロペンタジエニル基、2-n-ブ
チルシクロペンテニル基、2,3-ジメチルシクロペンタジ
エニル基、2,4-ジメチルシクロペンタジエニル基、2,5-
ジメチルシクロペンタジエニル基、2,3-ジエチルシクロ
ペンタジエニル基、2,3,4-トリメチルシクロペンタジエ
ニル基、2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル基、2,
3,4-トリエチルシクロペンタジエニル基、2,3,4,5-テト
ラメチルシクロペンタジエニル基、2,3,4,5-テトラエチ
ルシクロペンタジエニル基、1,2,3,4,5-ペンタメチルシ
クロペンタジエニル基、1,2,3,4,5-ペンタエチルシクロ
ペンタジエニル基などのアルキル基を有するシクロペン
タジエニル基をを例示することができる。
【0145】またSiに隣接する炭素が2級炭素である
炭化水素基としては、i-プロピル基、s-ブチル基、s-ア
ミル基、α-メチルベンジル基などを例示することがで
き、Siに隣接する炭素が3級炭素である炭化水素基と
しては、t-ブチル基、t-アミル基、α,α'-ジメチルベ
ンジル基、アドマンチル基などを例示することができ
る。
【0146】このような式(iii)で示されるケイ素化
合物(c)は、nが1である場合には、シクロペンチル
トリメトキシシラン、2-メチルシクロペンチルトリメト
キシシラン、2,3-ジメチルシクロペンチルトリメトキシ
シラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、iso-ブチ
ルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、
シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルト
リエトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラ
ン、2-ノルボルナントリエトキシシランなどのトリアル
コキシシラン類が例示される。
【0147】nが2である場合には、ジシクロペンチル
ジエトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、
t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエ
トキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シ
クロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシル
メチルジエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメト
キシシランなどのジアルコキシシラン類が例示される。
【0148】nが2である場合には、式(iii)で示さ
れるケイ素化合物(c)は、下記式(iv)で示されるジ
メトキシ化合物であることが好ましい。
【0149】
【化15】
【0150】式中、Ra およびRc は、それぞれ独立
に、シクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロ
ペンテニル基、置換シクロペンテニル基、シクロペンタ
ジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、あるいは、
Siに隣接する炭素が2級炭素または3級炭素である炭
化水素基を示す。
【0151】このような式(iv)で示されるケイ素化合
物としては、たとえば、ジシクロペンチルジメトキシシ
ラン、ジシクロペンテニルジメトキシシラン、ジシクロ
ペンタジエニルジメトキシシラン、ジt-ブチルジメトキ
シシラン、ジ(2-メチルシクロペンチル)ジメトキシシ
ラン、ジ(3-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラ
ン、ジ(2-エチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,3-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,4-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,5-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,3-ジエチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,3,4-トリメチルシクロペンチル)ジメトキシシラ
ン、ジ(2,3,5-トリメチルシクロペンチル)ジメトキシ
シラン、ジ(2,3,4-トリエチルシクロペンチル)ジメト
キシシラン、ジ(テトラメチルシクロペンチル)ジメト
キシシラン、ジ(テトラエチルシクロペンチル)ジメト
キシシラン、ジ(2-メチルシクロペンテニル)ジメトキ
シシラン、ジ(3-メチルシクロペンテニル)ジメトキシ
シラン、ジ(2-エチルシクロペンテニル)ジメトキシシ
ラン、ジ(2-n-ブチルシクロペンテニル)ジメトキシシ
ラン、ジ(2,3-ジメチルシクロペンテニル)ジメトキシ
シラン、ジ(2,4-ジメチルシクロペンテニル)ジメトキ
シシラン、ジ(2,5-ジメチルシクロペンテニル)ジメト
キシシラン、ジ(2,3,4-トリメチルシクロペンテニル)
ジメトキシシラン、ジ(2,3,5-トリメチルシクロペンテ
ニル)ジメトキシシラン、ジ(2,3,4-トリエチルシクロ
ペンテニル)ジメトキシシラン、ジ(テトラメチルシク
ロペンテニル)ジメトキシシラン、ジ(テトラエチルシ
クロペンテニル)ジメトキシシラン、ジ(2-メチルシク
ロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(3-メチルシ
クロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(2-エチル
シクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(2-n-ブ
チルシクロペンテニル)ジメトキシシラン、ジ(2,3-ジ
メチルシクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ
(2,4-ジメチルシクロペンタジエニル)ジメトキシシラ
ン、ジ(2,5-ジメチルシクロペンタジエニル)ジメトキ
シシラン、ジ(2,3-ジエチルシクロペンタジエニル)ジ
メトキシシラン、ジ(2,3,4-トリメチルシクロペンタジ
エニル)ジメトキシシラン、ジ(2,3,5-トリメチルシク
ロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(2,3,4-トリ
エチルシクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ
(2,3,4,5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメト
キシシラン、ジ(2,3,4,5-テトラエチルシクロペンタジ
エニル)ジメトキシシラン、ジ(1,2,3,4,5-ペンタメチ
ルシクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(1,2,
3,4,5-ペンタエチルシクロペンタジエニル)ジメトキシ
シラン、ジt-アミル-ジメトキシシラン、ジ(α,α'-ジ
メチルベンジル)ジメトキシシラン、ジ(アドマンチ
ル)ジメトキシシラン、アドマンチル-t-ブチルジメト
キシシラン、シクロペンチル-t-ブチルジメトキシシラ
ン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジs-ブチルジメ
トキシシラン、ジs-アミルジメトキシシラン、イソプロ
ピル-s-ブチルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0152】nが3である場合には、トリシクロペンチ
ルメトキシシラン、トリシクロペンチルエトキシシラ
ン、ジシクロペンチルメチルメトキシシラン、ジシクロ
ペンチルエチルメトキシシラン、ジシクロペンチルメチ
ルエトキシシラン、シクロペンチルジメチルメトキシシ
ラン、シクロペンチルジエチルメトキシシラン、シクロ
ペンチルジメチルエトキシシランなどのモノアルコキシ
シラン類などが挙げられる。
【0153】これらのうち、ジメトキシシラン類特に式
(iv)で示されるジメトキシシラン類が好ましく、具体
的に、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-t-ブチ
ルジメトキシシラン、ジ(2-メチルシクロペンチル)ジ
メトキシシラン、ジ(3-メチルシクロペンチル)ジメト
キシシラン、ジ-t-アミルジメトキシシランが好まし
い。
【0154】これらケイ素化合物(c)は、2種以上併
用して用いることができる。本発明で用いられる複数の
原子を介して存在する2個以上のエーテル結合を有する
化合物(d)(以下ポリエーテル化合物ということもあ
る)では、これらエーテル結合間に存在する原子は、炭
素、ケイ素、酸素、硫黄、リン、ホウ素からなる群から
選択される1種以上であり、原子数は2以上である。こ
れらのうちエーテル結合間の原子に比較的嵩高い置換
基、具体的には炭素原子数2以上であり、好ましくは3
以上で直鎖状、分岐状、環状構造を有する置換基、より
好ましくは分岐状または環状構造を有する置換基が結合
しているものが望ましい。また2個以上のエーテル結合
間に存在する原子に、複数の、好ましくは3〜20、よ
り好ましくは3〜10、特に好ましくは3〜7の炭素原
子が含まれた化合物が好ましい。
【0155】このようなポリエーテル化合物としては、
たとえば下記式で示される化合物を挙げることができ
る。
【0156】
【化16】
【0157】式中、nは2≦n≦10の整数であり、R
1 〜R26は炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒素、硫黄、
リン、ホウ素およびケイ素から選択される少なくとも1
種の元素を有する置換基を示し、任意のR1 〜R26、好
ましくはR1 〜R2nは共同してベンゼン環以外の環を形
成していてもよく、主鎖中に炭素以外の原子が含まれて
いてもよい。
【0158】上記のようなポリエーテル化合物として、
具体的には、2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシ
プロパン、2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2
-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-s-ブチル-1,3-ジ
メトキシプロパン、2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシ
プロパン、2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ク
ミル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-フェニルエチ
ル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-シクロヘキシル
エチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-クロロフェ
ニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(ジフェニルメチ
ル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-ナフチル)-1,3-
ジメトキシプロパン、2-(2-フルオロフェニル)-1,3-
ジメトキシプロパン、2-(1-デカヒドロナフチル)-1,3
-ジメトキシプロパン、2-(p-t-ブチルフェニル)-1,3-
ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメ
トキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメトキ
シプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソ
プロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-
ジメトキシプロパン、2-メチル-2-プロピル-1,3-ジメト
キシプロパン、2-メチル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプ
ロパン、2-メチル-2-エチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-
メチル-2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル
-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス
(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-
ビス(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロ
パン、2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパ
ン、2-メチル-2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシ
プロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパ
ン、2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ
ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロ
ヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイ
ソブチル-1,3-ジエトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-
1,3-ジブトキシプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピ
ル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-メチルブチル)-2-
イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-メチル
ブチル)-2-s-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ
-s- ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ-t- ブチ
ル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジネオペンチル-1,3-
ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-
1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-イソプロピル-
1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-s-ブチル-1,3-
ジメトキシプロパン、2-ベンジル-2-イソプロピル-1,3-
ジメトキシプロパン、2-ベンジル-2-s-ブチル-1,3-ジメ
トキシプロパン、2-フェニル-2-ベンジル-1,3-ジメトキ
シプロパン、2-シクロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジ
メトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-s-ブチル-1,3-
ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-イソプロピ
ル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-s-ブ
チル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-s-ブ
チル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-シ
クロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,3-ジ
フェニル-1,4-ジエトキシブタン、2,3-ジシクロヘキシ
ル-1,4-ジエトキシブタン、2,2-ジベンジル-1,4-ジエト
キシブタン、2,3-ジシクロヘキシル-1,4-ジエトキシブ
タン、2,3-ジイソプロピル-1,4-ジエトキシブタン、2,2
-ビス(p-メチルフェニル)-1,4-ジメトキシブタン、2,
3-ビス(p-クロロフェニル)-1,4-ジメトキシブタン、
2,3-ビス(p-フルオロフェニル)-1,4-ジメトキシブタ
ン、2,4-ジフェニル-1,5-ジメトキシペンタン、2,5-ジ
フェニル-1,5-ジメトキシヘキサン、2,4-ジイソプロピ
ル-1,5-ジメトキシペンタン、2,4-ジイソブチル-1,5-ジ
メトキシペンタン、2,4-ジイソアミル-1,5-ジメトキシ
ペンタン、3-メトキシメチルテトラヒドロフラン、3-メ
トキシメチルジオキサン、1,3-ジイソブトキシプロパ
ン、1,2-ジイソブトキシプロパン、1,2-ジイソブトキシ
エタン、1,3-ジイソアミロキシプロパン、1,3-ジイソネ
オペンチロキシエタン、1,3-ジネオペンチロキシプロパ
ン、2,2-テトラメチレン-1,3-ジメトキシプロパン、2,2
-ペンタメチレン-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ヘキサ
メチレン-1,3-ジメトキシプロパン、1,2-ビス(メトキ
シメチル)シクロヘキサン、2,8-ジオキサスピロ[5,
5]ウンデカン、3,7-ジオキサビシクロ[3,3,1]ノナ
ン、3,7-ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン、3,3-ジ
イソブチル-1,5-オキソノナン、6,6-ジイソブチルジオ
キシヘプタン、1,1-ジメトキシメチルシクロペンタン、
1,1-ビス(ジメトキシメチル)シクロヘキサン、1,1-ビ
ス(メトキシメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、1,1
-ジメトキシメチルシクロペンタン、2-メチル-2-メトキ
シメチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-
2-エトキシメチル-1,3-ジエトキシプロパン、2-シクロ
ヘキシル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-
イソプロピル-2-イソアミル-1,3-ジメトキシシクロヘキ
サン、2-シクロヘキシル-2-メトキシメチル-1,3-ジメト
キシシクロヘキサン、2-イソプロピル-2-メトキシメチ
ル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-イソブチル-2-メ
トキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-シク
ロヘキシル-2-エトキシメチル-1,3-ジエトキシシクロヘ
キサン、2-シクロヘキシル-2-エトキシメチル-1,3-ジメ
トキシシクロヘキサン、2-イソプロピル-2-エトキシメ
チル-1,3-ジエトキシシクロヘキサン、2-イソプロピル-
2-エトキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-
イソブチル-2-エトキシメチル-1,3-ジエトキシシクロヘ
キサン、2-イソブチル-2-エトキシメチル-1,3-ジメトキ
シシクロヘキサン、トリス(p-メトキシフェニル)ホス
フィン、メチルフェニルビス(メトキシメチル)シラ
ン、ジフェニルビス(メトキシメチル)シラン、メチル
シクロヘキシルビス(メトキシメチル)シラン、ジ-t-
ブチルビス(メトキシメチル)シラン、シクロヘキシル
-t-ブチルビス(メトキシメチル)シラン、i-プロピル-
t-ブチルビス(メトキシメチル)シランなどが挙げられ
る。
【0159】これらのうち、1,3-ジエーテル類が好まし
く用いられ、特に、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシ
プロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメト
キシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシ
プロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジ
メトキシプロパンが好ましく用いられる。
【0160】これらポリエーテル化合物(d)は、2種
以上併用して用いることができる。次に本発明で用いら
れるプロピレン重合体の製造方法について説明する。本
発明で用いられるプロピレン重合体は、たとえば前記
[Ia]固体状チタン触媒成分と、[II]有機金属触媒
成分と、[III]上記式(iii)で示されるケイ素化合物
(c)またはポリエーテル化合物(d)とから形成され
るオレフィン重合触媒の存在下、好ましくは、前記[I
b]予備重合触媒成分と、[II]有機金属触媒成分と、
[III]上記式(iii)で示されるケイ素化合物(c)ま
たはポリエーテル化合物(d)とから形成されるオレフ
ィン重合触媒の存在下に、プロピレンの重合(本重合)
を行うことにより得ることができる。
【0161】なお、プロピレンの重合を行う際に、プロ
ピレンに加えて、少量のプロピレン以外の他のオレフィ
ンあるいは少量のジエン化合物を重合系内に共存させる
こともできる。
【0162】このようなプロピレン以外の他のオレフィ
ンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキ
セン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-
オクテン、3-メチル-1-ブテンなどの炭素数3〜8のオ
レフィンが挙げられる。
【0163】ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、
1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエ
ン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、4-メチル-
1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、6-メ
チル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、
6-エチル-1,6-オクタジエン、6-プロピル-1,6-オクタジ
エン、6-ブチル-1,6-オクタジエン、6-メチル-1,6-ノナ
ジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナ
ジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、6-メチル-1,6-デカ
ジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、6-メチル-1,6-ウン
デカジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、イソ
プレン、ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニル
ノルボルネンおよびジシクロペンタジエンなどの炭素数
4〜20のジエン化合物を挙げることができる。
【0164】プロピレンの重合は、通常、気相あるいは
液相で行われる。重合がスラリー重合または溶解重合の
反応形態を採る場合、反応溶媒として、上述の[Ib]
予備重合触媒成分の調製に用いられる不活性炭化水素と
同様の不活性炭化水素を用いることができる。
【0165】重合系内においては、前記[Ia]固体状
チタン触媒成分または[Ib]予備重合触媒成分は、重
合容積1リットル当り[Ia]固体状チタン触媒成分中
のチタン原子または[Ib]予備重合触媒成分中のチタ
ン原子に換算して、通常は約0.0001〜50ミリモ
ル、好ましくは約0.001〜10ミリモルの量で用い
られる。また、[II]有機金属触媒成分は、重合系中の
チタン原子1モルに対し、[II]有機金属触媒成分に含
まれる金属原子が、通常約1〜2000モル、好ましく
は約2〜500モルとなるような量で用いられる。さら
に[III]ケイ素化合物(c)またはポリエーテル化合
物(d)は、[II]有機金属触媒成分中の金属原子1モ
ル当り、通常約0.001〜50モル、好ましくは約
0.01〜20モルとなるような量で用いられる。
【0166】重合時に水素を用いると、メルトフローレ
イトの大きいプロピレン重合体が得られ、水素添加量に
よって得られるプロピレン重合体の分子量を調節するこ
とができる。この場合においても、本発明においては得
られるプロピレン重合体の結晶化度や立体規則性指数が
低下したりすることがなく、また触媒活性が低下するこ
ともない。
【0167】本発明において、プロピレンの重合温度
は、通常、約−50〜200℃、好ましくは約20〜1
00℃であり、圧力は、通常、常圧〜100kg/cm
2、好ましくは約2〜50kg/cm2に設定される。重
合は回分式、半連続式、連続式の何れの方法においても
行うことができる。
【0168】このようにしてプロピレン重合体を製造す
ると、固体触媒成分単位量当りの、プロピレン重合体の
収率を高くすることができるため、プロピレン重合体中
の触媒残渣、特にハロゲン含量を相対的に低減させるこ
とができる。したがって、プロピレン重合体中の触媒を
除去する操作を省略できるとともに、得られたプロピレ
ン重合体を用いて成形体を成形する際に、金型の発錆を
防止し易くなる。
【0169】また、このようなプロピレン重合体は、ア
モルファス成分が極めて少なく、したがって炭化水素可
溶成分が少なく、このプロピレン重合体から成形したフ
ィルムは、その表面粘着性が低い。
【0170】本発明で用いられるプロピレン重合体の製
造は、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともで
きる。この場合は、2〜10器の重合器を用いて、気相
あるいは液相で行われる。
【0171】重合がスラリー重合または溶解重合の反応
形態を採る場合、反応溶媒として、上述の[Ib]予備
重合触媒成分の調製に用いられる不活性炭化水素と同様
の不活性炭化水素を用いることができる。
【0172】このような重合方法においては、前記2器
以上の重合器の内、少なくとも1器以上の重合器におい
て、プロピレンを重合し(該重合において、以下「A重
合」ということがある)、極限粘度[η]が、3〜40
dl/g、好ましくは5〜30dl/g、特に好ましく
は7〜25dl/gの重合体を製造する。
【0173】このA重合で得られる重合体の沸騰ヘプタ
ン不溶成分のNMR測定で決定されるアイソタクチック
ペンタッド値([M5])は、0.960〜0.99
5、好ましくは0.970〜0.995、より好ましく
は0.980〜0.995、さらに好ましくは0.98
2〜0.995であることが望ましい。
【0174】また前記重合体の沸騰ヘプタン不溶成分量
は、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましく
は94%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ま
しくは96%以上であることが望ましい。
【0175】このような該A重合で得られる重合体は、
最終的に得られるプロピレン重合体中で0.1〜55
%、好ましくは2〜35%、特に好ましくは5〜30%
の割合で存在するように製造されることが望ましい。
【0176】プロピレン重合体を2器以上の重合器を用
いて製造する場合には、前記2器以上の重合器の内、残
りの重合器でもプロピレンの重合を行い(以下「B重
合」ということがある)、最終製品として、メルトフロ
ーレートが0.1〜500g/10分のプロピレン重合体
を得る。
【0177】該A重合およびB重合の重合系内において
は、前記[Ia]固体状チタン触媒成分または[Ib]
予備重合触媒成分は、重合容積1リットル当り[Ia]
固体状チタン触媒成分中のチタン原子または[Ib]予
備重合触媒成分中のチタン原子に換算して、通常は約
0.0001〜50ミリモル、好ましくは約0.001
〜10ミリモルの量で用いられる。また、[II]有機金
属触媒成分は、重合系中のチタン原子1モルに対し、
[II]有機金属触媒成分に含まれる金属原子が、通常約
1〜2000モル、好ましくは約2〜500モルとなる
ような量で用いられる。さらに[III]ケイ素化合物
(c)またはポリエーテル化合物(d)は、[II]有機
金属触媒成分中の金属原子1モル当り、通常約0.00
1〜50モル、好ましくは約0.01〜20モルとなる
ような量で用いられる。
【0178】また、必要に応じて、いずれの重合器にお
いても[Ia]固体状チタン触媒成分または[Ib]予
備重合触媒成分、[II]有機金属触媒成分、[III]ケ
イ素化合物(c)またはポリエーテル化合物(d)を供
給してもよい。さらに、いずれの重合器においても固体
状チタン触媒成分(a)を調製する際に用いた電子供与
体および/または上記式(c-i)で表される有機ケイ素
化合物を供給してもよい。
【0179】また、該A重合およびB重合いずれにおい
ても、水素を供給もしくは排除することにより得られる
重合体の分子量を容易に調整することができる。この場
合に、本発明においては、得られるプロピレン重合体の
結晶化度や立体規則性指数が低下したりすることがな
く、また触媒活性が低下することもない。水素の供給量
は、諸条件によって異なるが、最終的に得られるポリマ
ーのメルトフローレートが0.1〜500g/10分の範
囲となるような量であれば良い。
【0180】また、沸騰ヘプタン不溶成分の[M5]の
値は、0.975〜0.995、好ましくは0.980
〜0.995、より好ましくは0.982〜0.995
の範囲にあり、[M3]の値は、0.0020〜0.0
050、好ましくは0.0023〜0.0045、より
好ましくは0.0025〜0.0040の範囲になるよ
うにすればよい。
【0181】該A重合およびB重合におけるプロピレン
の重合温度は、いずれも通常約−50〜200℃、好ま
しくは20〜100℃であり、圧力は、通常常圧〜10
0kg/cm2、好ましくは2〜50kg/cm2に設定
される。重合は回分式、半連続式、連続式のいずれの方
法においても行うことができる。
【0182】本発明で用いられるプロピレン重合体は、
後述するような核剤が配合されていてもよい。プロピレ
ン重合体に核材を配合することによって、結晶粒子の微
細化が図れるとともに、結晶化速度の向上し、高速成形
が可能になる。
【0183】核剤としては、従来知られている種々の核
剤が特に制限されることなく用いられる。中でも、好ま
しい核剤としては、下記に挙げる核剤を例示することが
できる。
【0184】
【化17】
【0185】(式中、R1 は酸素、硫黄または炭素数1
〜10の炭化水素基を示し、R2 、R 3 は水素または炭
素数1〜10の炭化水素基を示し、R2 、R3 は同種で
あっても異種であってもよく、R2 同士、R3 同士また
はR2 とR3 が結合して環状となっていてもよく、M
は、1〜3価の金属原子を示し、nは1〜3の整数であ
る。)具体的には、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス
(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリ
ウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニ
ル)フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス-
(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム
-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フ
ォスフェート、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4-i
-プロピル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、リチ
ウム-2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニ
ル) フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス(4
-エチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、カルシ
ウム-ビス[2,2'-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェ
ニル) フォスフェート] 、カルシウム-ビス[2,2'-チオ
ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート]
、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス-(4,6-ジ-t-ブチ
ルフェニル) フォスフェート] 、マグネシウム-ビス
[2,2'-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフ
ェート] 、マグネシウム-ビス[2,2'-チオビス-(4-t-
オクチルフェニル) フォスフェート] 、ナトリウム-2,
2'-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル) フォス
フェート、ナトリウム-2,2'-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-
t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,2'-
t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル) フ
ォスフェート、ナトリウム-2,2'-t-オクチルメチレン-
ビス(4,6-ジ-t- ブチルフェニル) フォスフェート、カ
ルシウム- ビス-(2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチ
ルフェニル)フォスフェート) 、マグネシウム-ビス[2,
2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォス
フェート] 、バリウム-ビス[2,2'-メチレン-ビス(4,6
-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、ナトリウム
-2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)
フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4-
エチル-6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリ
ウム(4,4'-ジメチル-5,6'-ジ-t-ブチル-2,2'-ビフェニ
ル) フォスフェート、カルシウム-ビス[(4,4'-ジメチ
ル-6,6'-ジ-t-ブチル-2,2'-ビフェニル) フォスフェー
ト] 、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4-m-ブチル-
6-t-ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム-2,
2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル) フォスフ
ェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-エチ
ルフェニル) フォスフェート、カリウム-2,2'-エチリデ
ン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート、
カルシウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブ
チルフェニル) フオスフェート] 、マグネシウム-ビス
[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)
フォスフェート] 、バリウム-ビス[2,2'-エチリデン-
ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) フォスフェート] 、
アルミニウム-トリス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-
ブチルフェル)フォスフェート] およびアルミニウム-
トリス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェ
ニル) フォスフェート] およびこれらの2個以上の混合
物を例示することができる。特にナトリウム-2,2'-メチ
レン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート
が好ましい。
【0186】
【化18】
【0187】(式中、R4 は水素または炭素数1〜10
の炭化水素基を示し、Mは、1〜3価の金属原子を示
し、nは1〜3の整数である。)具体的には、ナトリウ
ム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナト
リウム-ビス(4-メチルフェニル)フォスフェート、ナ
トリウム-ビス(4-エチルフェニル)フォスフェート、
ナトリウム-ビス(4-i-プロピルフェニル)フォスフェ
ート、ナトリウム-ビス(4-t-オクチルフェニル)フォ
スフェート、カリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フ
ォスフェート、カルシウム-ビス(4-t-ブチルフェニ
ル)フォスフェート、マグネシウム-ビス(4-t-ブチル
フェニル)フォスフェート、リチウム-ビス(4-t-ブチ
ルフェニル)フォスフェート、アルミニウム-ビス(4-t
-ブチルフェニル)フォスフェートおよびこれらの2種
以上の混合物を例示することができる。特にナトリウム
-ビス(4-t-ブチルフェニル) フォスフェートが好まし
い。
【0188】
【化19】
【0189】(式中、R5 は水素または炭素数1〜10
の炭化水素基を示す。)具体的には、1,3,2,4-ジベンジ
リデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p-メチル
ベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p-
エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジ
リデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチル
ベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-
メチルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビ
トール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-p-メチルベン
ジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリ
デン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチルベンジリデ
ン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-プロピルベンジリ
デン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-i-プロピルベンジ
リデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-ブチルベンジ
リデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-s-ブチルベンジ
リデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-t-ブチルベンジ
リデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(2',4'-ジメチルベ
ンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メトキシベ
ンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エトキシベ
ンジリデン)ソルビトール、1,3-ベンジリデン-2-4-p-
クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジ
リデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロル
ベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトー
ル、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリ
デンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-p-
クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジ
リデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトールおよび
1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよ
びこれらの2個以上の混合物を例示でき、特に1,3,2,4-
ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メチルベ
ンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチルベン
ジリデン)ソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-
2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ
(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよびそれらの
2種以上の混合物が好ましい。
【0190】その他の核剤としては、芳香族カルボン酸
や脂肪族カルボン酸の金属塩を例示でき、具体的には、
安息香酸アルミニウム塩、p-t-ブチル安息香酸アルミニ
ウム塩やアジピン酸ナトリウム、チオフェネカルボン酸
ナトリウム、ピローレカルボン酸ナトリウムなどを挙げ
られる。
【0191】また、後述するタルクのような無機化合物
も例示することもできる。本発明で用いられるプロピレ
ン重合体において、上記核剤は前記プロピレン重合体1
00重量部に対して、0.001〜10重量部、好まし
くは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.1〜3重
量部の割合で配合されることが望ましい。
【0192】核剤を上記の量でプロピレン重合体に配合
することにより、プロピレン重合体が本来有する優れた
特性が損なわれることなく、結晶粒子が微細で結晶化度
がさらに向上したプロピレン重合体が得られる。
【0193】極性基を含まないテルペン樹脂、極性基を
含まない石油樹脂(B) 本発明で用いられる極性基を含まないテルペン樹脂と
は、水酸基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシ
ル基、スルフォン基(−SO3Y、ただしYは、H、N
a、Mgなどである)、ハロゲンなどの極性基、および
それらの変成体などの極性基を有さないテルペン樹脂で
ある。すなわち(C58n の組成の炭化水素およびそ
れらから導かれる変成化合物である。なおテルペン樹脂
は、テルペノイドと呼ばれることがある。
【0194】テルペン樹脂として具体的には、ピネン、
カレン、ミルセン、オシメン、リモネン、テルピレノ
ン、テルピネン、サビネン、トリシクレン、ビサボレ
ン、ジンギベレン、サンタレン、カンホレン、ミレン、
トタレンなどが例示できる。
【0195】本発明で用いられる極性基を含まない石油
樹脂とは、水酸基、カルボキシル基、スルフォン基(−
SO3Y、ただしYは、H、Na、Mgなどである)、
ハロゲンなどの極性基、およびそれらの変成体などの極
性基を有さない石油樹脂である。すなわち石油系不飽和
炭化水素を直接原料とするシクロペンタジエン系、ある
いは高級オレフィン系炭化水素を主原料とする樹脂であ
る。
【0196】この極性基を含まない石油樹脂のガラス転
移温度(Tg)は、50℃以上、好ましくは60℃以
上、より好ましくは60〜100℃であり、ASTM
E−28に準拠して測定した軟化点は、100℃以上、
好ましく110℃以上、より好ましくは110〜150
℃であり、ASTM D−156に準拠して測定した比
重は、0.900〜1.30、好ましくは0.980〜
1.20であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が4
00以上、好ましくは500以上、より好ましくは50
0〜2000であることが望ましい。なお、本発明にお
いてGPCの測定は、カラムとしてTSKGEL G3
000HXLおよびG4000HXLを用い、溶媒はテ
トラヒドロフラン、測定温度は40℃で行い、重量平均
分子量はポリスチレン換算で求めた。
【0197】本発明では、極性基を含まない石油樹脂と
して、前記石油樹脂に水素を付加させ、その水素化率を
80%以上、好ましくは95%以上とした水素化石油樹
脂を用いることが望ましい。このような水素化石油樹脂
としては、水素化脂環族石油樹脂が挙げられ、具体的に
は「エスコレッツ」(商品名:トーネックス社製)があ
る。
【0198】水素化石油樹脂(D) 本発明で用いられる水素化石油樹脂(D)としては、従
来公知の水素化石油樹脂が広く用いられるが、具体的に
は、芳香族炭化水素を重合して得られる樹脂の水素化
物、テルペン樹脂の水素化物などが挙げられる。具体的
にはスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、
ビニルキシレン、プロペニルベンゼン、インデン、メチ
ルインデン、エチルインデンなどの各種芳香族不飽和炭
化水素およびテルペン類から選ばれる1種のモノマーを
重合して得られる樹脂を水素化したもの、ならびに、前
記芳香族不飽和炭化水素およびテルペン類から選ばれる
2種以上のモノマーを重合して得られる樹脂を水素化し
たものが挙げられる。さらに石油の分解または改質の際
に副生する留分(沸点が20〜300℃、好ましくは1
50〜300℃のもの)を重合して得られる樹脂を水素
化したものが挙げられる。
【0199】この水素化石油樹脂のガラス転移温度(T
g)は、50℃以上、好ましくは60℃以上、より好ま
しくは60〜100℃であり、ASTM E−28に準
拠して測定した軟化点は、100℃以上、好ましく11
0℃以上、より好ましくは110〜150℃であり、A
STM D−156に準拠して測定した比重は、0.9
00〜1.30、好ましくは0.980〜1.20であ
り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)で測定した重量平均分子量(Mw )が400以上、
好ましくは500以上、より好ましくは500〜200
0であることが望ましい。
【0200】ポリプロピレン樹脂組成物 本発明に係る第1のポリプロピレン樹脂組成物は、前記
プロピレン重合体(A):80〜95重量%、好ましく
は85〜92重量%と、前記極性基を含まないテルペン
樹脂および/または極性基を含まない石油樹脂(B):
20〜5重量%、好ましくは15〜8重量%とから形成
されている。
【0201】本発明に係る第1のポリプロピレン樹脂組
成物は、前記プロピレン重合体と、前記極性基を含まな
いテルペン樹脂および/または極性基を含まない石油樹
脂とに加えて、他の樹脂、たとえばポリプロピレン以外
のポリオレフィン、極性基を含むテルペン樹脂、極性基
を含む石油樹脂を含有していてもよい。このような他の
樹脂は、前記極性基を含まないテルペン樹脂および極性
基を含まない石油樹脂の合計を100重量%として、2
0%未満、好ましくは15重量%未満であることが望ま
しい。なお、前記プロピレン重合体に、極性基を含まな
いテルペン樹脂または極性基を含まない石油樹脂以外の
樹脂を20%以上の割合で配合すると、フィルム成形後
の水蒸気バリア性が悪化することがある。
【0202】本発明に係る第2のポリプロピレン樹脂組
成物は、前記プロピレン重合体(A):70〜95重量
%、好ましくは75〜85重量%と、水素化石油樹脂
(D):5〜30重量%、好ましくは15〜25重量%
とから形成されている。
【0203】水素化石油樹脂(D)の量が5重量%未満
では、シートの透明性、熱成形性が不十分なことがあ
り、また30重量%を超えると、熱成形性が低下するこ
とがある。
【0204】このような第1および第2のポリプロピレ
ン樹脂組成物には、衝撃強度を向上させるためのゴム成
分を配合したり、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止
剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、粘度調製剤、
着色防止剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成
油、ワックスなどを配合することができ、その配合割合
は適宜量である。
【0205】また本発明の目的を損なわない範囲で、ポ
リプロピレン樹脂組成物にシリカ、ケイ藻土、アルミ
ナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バル
ーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基
性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チ
タン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タ
ルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラ
スフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモ
リロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウ
ム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、
ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル
繊維、ポリアミド繊維などの充填剤を配合してもよい。
【0206】本発明に係る第1のポリプロピレン樹脂組
成物は、公知の方法を利用して製造することができ、た
とえば、下記のような方法で製造することができる。 (1)プロピレン重合体と、極性基を含まないテルペン
樹脂および/または極性基を含まない石油樹脂と、所望
により添加される他成分を、押出機、ニーダー等を用い
て機械的にブレンドする方法。
【0207】(2)プロピレン重合体と、極性基を含ま
ないテルペン樹脂および/または極性基を含まない石油
樹脂と、所望により添加される他成分を適当な良溶媒
(たとえば;ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキ
サン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の炭化水素
溶媒)に溶解し、次いで溶媒を除去する方法。
【0208】(3)プロピレン重合体と、極性基を含ま
ないテルペン樹脂および/または極性基を含まない石油
樹脂と、所望により添加される他成分を適当な良溶媒に
それぞれ別個に溶解した溶液を調製した後混合し、次い
で溶媒を除去する方法。
【0209】(4)上記(1)〜(3)の方法を組み合
わせて行う方法。 本発明に係る第2のポリプロピレン樹脂組成物は、公知
の方法を利用して製造することができ、たとえば、前記
第1のポリプロピレン樹脂組成物と同様の方法で製造す
ることができる。
【0210】本発明に係る第1のポリプロピレン樹脂組
成物は、延伸フィルムまたは多層延伸フィルムの基材な
どとして用いられる。本発明に係る第2のポリプロピレ
ン樹脂組成物は、シートまたは多層シートの基材などと
して用いられる。
【0211】次に、前記第1のポリプロピレン樹脂組成
物からなるポリプロピレン延伸フィルム、該組成物から
なる基材層を有するポリプロピレン多層延伸フィルム、
および、前記第2のポリプロピレン樹脂組成物からなる
PTP包装用ポリプロピレンシート、該組成物からなる
基材層を有するPTP包装用ポリプロピレン多層シート
について具体的に説明する。
【0212】ポリプロピレン延伸フィルム 本発明に係るポリプロピレン延伸フィルムは、前記第1
のポリプロピレン樹脂組成物から形成される二軸延伸フ
ィルムである。このポリプロピレン延伸フィルムのガラ
ス転移温度(Tg)は、0〜10℃の範囲にあることが
望ましい。
【0213】なお、本発明においてガラス転移温度(T
g)は、以下のように測定される。すなわち、重合体試
料10mgを走査型熱量計DSC−II型(Perkin Elmer
社製)にセットし、窒素気流下に昇温温度40℃/分の
温度で、20℃からスタートさせてサーモグラフを書か
せ、吸熱ピークがベースラインからずれるときの温度
と、吸熱ピークがベースラインに戻るときの温度との算
術平均の値をガラス転移温度(Tg)とした。
【0214】このポリプロピレン延伸フィルムの延伸倍
率は、4×4〜7×12倍(縦×横)の範囲にあること
が望ましい。またポリプロピレン延伸フィルムの厚さ
は、特に限定されないが、通常10〜100μm、好ま
しくは15〜70μmの範囲にあることが望ましい。
【0215】本発明に係るポリプロピレン延伸フィルム
は、たとえば下記のように製造する。まず、前記プロピ
レン重合体と、前記極性基を含まないテルペン樹脂およ
び/または極性基を含まない石油樹脂とを所定量混合
し、次いで、樹脂温度220〜280℃で溶融押出し、
冷却ロール上または水槽中にキャストし、未延伸原反を
得る。この際、冷却ロールあるいは水槽の温度は、20
〜80℃の範囲にあることが望ましい。
【0216】次いで、該未延伸原反を二軸延伸し、二軸
に配向させることにより、本発明のポリプロピレン延伸
フィルムが得られる。二軸延伸する際の延伸倍率は、4
×4〜7×12倍(縦×横)の範囲にあることが望まし
い。
【0217】二軸延伸は、逐次または同時のテンター
法、逐次または同時チューブラー法などの方法によって
行うことができる。本発明では、さらに前記ポリプロピ
レン延伸フィルムの表面を、空気、炭酸ガスまたは窒素
ガス雰囲気でコロナ放電処理をして、該フィルムの表面
張力を40dyn/cm程度以上として表面接着性を向上
させてもよい。
【0218】本発明に係るポリプロピレン延伸フィルム
は、水蒸気透過率が2.5(g/m 2・24hr/25μ
m)以下という優れた水蒸気バリア性を示し、しかも剛
性に優れ、従来のK−OPフィルムと同等またはそれ以
上のヤング率を示す。さらに、焼却時に塩素ガスを発生
しない。
【0219】ポリプロピレン多層延伸フィルム 本発明に係るポリプロピレン多層延伸フィルムは、前記
第1のポリプロピレン樹脂組成物から形成される基材層
と、プロピレン系重合体(C)からなる表層とを有する
多層延伸フィルムである。このポリプロピレン多層延伸
フィルムの基材層のガラス転移温度(Tg)は、0〜1
0℃の範囲にあることが望ましい。
【0220】このポリプロピレン多層延伸フィルムの厚
さは、特に限定されないが、通常10〜100μm、好
ましくは15〜70μmの範囲にあることが望ましい。
また、ポリプロピレン多層延伸フィルムの層構成は、前
記第1のポリプロピレン樹脂組成物からなる基材層と、
該基材層の一面に形成された、プロピレン系重合体
(C)からなる表層との2層構造、または前記第1のポ
リプロピレン樹脂組成物からなる基材層と、該基材層の
両面に形成された、プロピレン系重合体(C)からなる
表層との3層構造であることが望ましい。このポリプロ
ピレン多層延伸フィルムでは、ポリプロピレン延伸フィ
ルムからなる基材層の厚さは、ポリプロピレン多層延伸
フィルムの全厚さに対して80%以上、好ましくは90
%以上であることが望ましい。
【0221】本発明のポリプロピレン多層延伸フィルム
を形成するプロピレン系重合体(C)は、プロピレンの
単独重合体、あるいはプロピレンから誘導される構成単
位とエチレンおよび/または炭素数4〜20のオレフィ
ンから誘導される構成単位とからなるブロック共重合体
またはランダム共重合体である。
【0222】このプロピレン系重合体(C)は、プロピ
レンから誘導される構成単位が、50モル%以上、好ま
しくは60モル%以上、さらに好ましくは65モル%以
上の割合で含有されていることが望ましい。
【0223】ここで炭素数4〜20のオレフィンとして
は、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-
ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、3-メチ
ル-1-ブテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセ
ン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、
シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-エ
チル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-エチ
ル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ
ナフタレンなどが挙げられる。
【0224】また、このプロピレン系重合体(C)は、
1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエ
ン、1,3-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサ
ジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘ
キサジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,
6-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、6-プロ
ピル-1,6-オクタジエン、6-ブチル-1,6-オクタジエン、
6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、
6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、
6-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、
6-メチル-1,6-ウンデカジエン、1,7-オクタジエン、1,9
-デカジエン、イソプレン、ブタジエン、エチリデンノ
ルボルネン、ビニルノルボルネンおよびジシクロペンタ
ジエンなどの炭素数4〜20のジエン化合物から誘導さ
れる構成単位を2モル%以下の量で含有していてもよ
い。
【0225】このようなプロピレン系重合体(C)は、
沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
るPmmmm、Pw、Sαγ、Sαδ+ 、Tδ+δ+ の吸収
強度から上記式(3)により求められる立体規則性指標
[M5]の値が0.925〜0.975、好ましくは
0.930以上0.970未満の範囲にあり、沸騰ヘプ
タン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけるPmmr
m、Pmrmr、Pmrrr、Prmrr、Prmmr、Prrrr、Pw 、
Sαγ、Sαδ+ 、Tδ+δ+ の吸収強度から上記式
(4)により求められる立体規則性指標[M3]の値が
0.0020〜0.0050、好ましくは0.0025
〜0.0040の範囲にあることが望ましい。
【0226】プロピレン系重合体(C)は、135℃、
デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.01〜1
0dl/g、好ましくは0.08〜7dl/gの範囲に
あることが望ましい。
【0227】また、プロピレン系重合体(C)は、耐熱
安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチ
ブロッキング剤、粘度調製剤、着色防止剤、防曇剤、滑
剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックスなどを配合
することができ、その配合割合は適宜量である。また前
記のような充填剤を配合することもできる。
【0228】本発明に係るポリプロピレン多層延伸フィ
ルムは、前記ポリエチレン延伸フィルムの製造工程にお
いて得られる未延伸原反の少なくとも1面に、前記プロ
ピレン系重合体(C)からなる層を、得られる未延伸多
層原反の全厚さに対して20%以下の厚さとなるように
積層し、この未延伸多層原反を前記ポリエステル延伸フ
ィルムと同様にして二軸延伸することにより得られる。
【0229】このように前記ポリプロピレン多層延伸フ
ィルムの表層として、前記プロピレン系重合体(C)を
用いることにより、フィルムの耐薬品性が向上し、印刷
性や粘着剤塗布適性も大幅に改善される。また、キャス
ト成形時には、冷却ロールと、未延伸原反との密着性が
向上するため、冷却効果が高まり生産性が向上する。
【0230】本発明では、さらにポリプロピレン多層延
伸フィルムの表面を、空気、炭酸ガスまたは窒素ガス雰
囲気でコロナ放電処理をして、該フィルムの表面張力を
40dyn/cm程度以上として表面接着性を向上させて
もよい。
【0231】本発明のポリプロピレン多層延伸フィルム
は、前記ポリプロピレン延伸フィルムが有する特性を有
すると共に、耐薬品性に優れ、印刷性、粘着剤塗布適性
にも優れている。また、再押出によるリサイクルも可能
である。
【0232】PTP包装用ポリプロピレンシート 本発明に係るPTP包装用ポリプロピレンシートは、前
記第2のポリプロピレン樹脂組成物から形成されてい
る。
【0233】このようなPTP包装用ポリプロピレンシ
ートの厚さは特に限定されないが、通常100〜700
μm程度である。本発明に係るPTP包装用ポリプロピ
レンシートは、第2のポリプロピレン樹脂組成物を、た
とえばT−ダイなどの公知の機械を用いてシーティング
することにより製造される。
【0234】本発明に係るPTP包装用ポリプロピレン
シートは、PVDCがコーティングされた従来のシート
に比べて水蒸気バリヤ性に優れ、かつ透明性に優れてい
る。通常PTP包装は、樹脂製シートを熱成形し複数の
凹部を形成し、この凹部に錠剤などを充填し、アルミ箔
でシールし、さらにシートにミシン目、スリットを入
れ、外周を打ち抜くまでの工程が自動化されている。
【0235】本発明に係るPTP包装用ポリプロピレン
シートは、熱成形時の成形性に優れ、かつ、アルミ箔と
の熱接着性、打抜き性に優れており、偏肉の少ないPT
P包装品を高速で製造することができる。
【0236】また製造されたPTP包装品は、透明性、
剛性、水蒸気バリヤ性に優れている。さらに、焼却時に
塩素ガスを発生しない。PTP包装用ポリプロピレン多層シート 本発明に係るPTP包装用ポリプロピレン多層シート
は、前記第2のポリプロピレン樹脂組成物から形成され
る基材層と、合成樹脂から形成される表層とを有する多
層シートである。このようなPTP包装用ポリプロピレ
ン多層シートでは、表層を形成する合成樹脂は、塩素を
含まない合成樹脂であることが好ましく、後述するよう
なプロピレン系重合体(E)であることが特に好まし
い。
【0237】このようなPTP包装用ポリプロピレン多
層シートの厚さは特に限定されないが、通常110〜8
00μm程度である。また、このPTP包装用ポリプロ
ピレン多層シートの層構成は、前記第2のポリプロピレ
ン樹脂組成物からなる基材層と、該基材層の一面に形成
された、プロピレン系重合体(E)からなる表層との2
層構造、または前記第2のポリプロピレン樹脂組成物か
らなる基材層と、該基材層の両面に形成された、プロピ
レン系重合体(E)からなる表層との3層構造であるこ
とが望ましい。
【0238】本発明に係るPTP包装用ポリプロピレン
多層シートでは、前記基材層の厚さの割合がシートの全
厚さに対して50%以上、好ましくは55%以上であ
り、かつ、シートの全厚さT(μm)と、シートの全厚
さTに対する前記基材層の厚さの割合H(%)とが 3.4≦log (T×H)≦5.0 好ましくは3.6≦log (T×H)≦4.6 で示される関係を満たしていることが望ましい。
【0239】前記基材層の厚さの割合がシートの全厚さ
に対して50%以下であると、PTP包装用ポリプロピ
レン多層シートの成形性が低下することがある。また、
log(T×H)の値が3.4未満である場合には、PT
P包装用ポリプロピレン多層シートの水蒸気バリヤ性が
不十分となり、log (T×H)の値が5.0を超えると
熱成形性が低下することがある。
【0240】本発明で用いられるプロピレン系重合体
(E)としては、上記のようなプロピレン重合体(A)
あるいは従来公知のプロピレン系重合体が用いられる
が、具体的には、 前記のようなプロピレン重合体(A)、 従来公知のプロピレン単独重合体、 プロピレンと、エチレンおよび/または炭素数4以上
のα-オレフィンとのランダム共重合体、あるいは プロピレンと、エチレンおよび/または炭素数4以上
のα-オレフィンとのブロック共重合体が挙げられる。
【0241】前記ランダム共重合体あるいはブロック共
重合体では、プロピレンから誘導される構成単位が90
モル%以上、好ましくは95モル%以上の量で含有さ
れ、エチレンおよび炭素数4以上α-オレフィンから選
ばれるモノマーから誘導される構成単位が10モル%以
下、好ましくは5モル%以下の量で含有されていること
が望ましい。
【0242】このようなプロピレン系重合体(E)は、
230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレー
トが0.1〜500g/10分、好ましくは0.2〜20
0g/10分の範囲にあり、密度が0.900g/cm3
以上、好ましくは0.900〜0.936g/cm3
範囲であることが好ましい。
【0243】また、本発明で用いられるプロピレン系重
合体(E)は、その特性を損なわない範囲内で、前記と
同様のジエン化合物から誘導される成分単位等を含んで
いてもよい。ジエン成分の含有量は、通常は0〜1モル
%、好ましくは0〜0.5モル%である。
【0244】なおプロピレン系重合体(E)には、前記
ポリプロピレン樹脂組成物に配合される各種安定剤ある
いは充填材などを配合してもよい。本発明に係るPTP
包装用ポリプロピレン多層シートは、基材層を形成する
第2のポリプロピレン樹脂組成物と、表層を形成する樹
脂たとえば前記プロピレン系重合体(E)を、たとえば
T−ダイなどの公知の機械を用いて共押出てシーティン
グすることにより製造される。
【0245】本発明に係るPTP包装用ポリプロピレン
多層シートは、PVDCがコーティングされた従来のシ
ートに比べて水蒸気バリヤ性に優れ、かつ透明性に優れ
ている。
【0246】本発明に係るPTP包装用ポリプロピレン
多層シートは、熱成形時の成形性に優れ、かつ、アルミ
箔との熱接着性、打抜き性に優れており、偏肉の少ない
PTP包装品を高速で製造することができる。
【0247】また製造されたPTP包装品は、透明性、
剛性、水蒸気バリヤ性に優れている。しかも焼却時に塩
素ガスを発生しない。さらに、再押出によるリサイクル
が可能である。
【0248】
【発明の効果】本発明に係る第1のポリプロピレン樹脂
組成物は、水蒸気バリア性、透明性に優れ、ヤング率が
高いフィルムを製造することができる。
【0249】本発明のポリプロピレン延伸フィルムは、
水蒸気バリア性、透明性に優れ、かつヤング率が高い。
しかも焼却時に塩素ガスを発生しない。本発明のポリプ
ロピレン多層延伸フィルムは、水蒸気バリア性、透明性
に優れ、ヤング率が高く、かつ耐薬品性に優れている。
しかも焼却時に塩素ガスを発生しない。さらに、再押出
によるリサイクルが可能である。
【0250】本発明に係る第2のポリプロピレン樹脂組
成物は、水蒸気バリヤ性に優れ、かつ剛性、透明性に優
れたシートを形成することができる。本発明に係るプレ
ススルーパック包装用ポリプロピレンシートは、水蒸気
バリヤ性に優れ、かつ剛性、透明性、熱成形性に優れて
いる。しかも焼却時に塩素ガスを発生しない。
【0251】本発明に係るプレススルーパック包装用ポ
リプロピレンシートおよびプレススルーパック包装用ポ
リプロピレン多層シートは、水蒸気バリヤ性に優れ、か
つ剛性、透明性、熱成形性に優れている。しかも焼却時
に塩素ガスを発生しない。さらに、再押出によるリサイ
クルが可能である。
【0252】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0253】なお本実施例において重合体のメルトフロ
ーレートおよび密度は下記のようにして測定した。 [メルトフローレート)]ASTM D−1238に準
拠して測定した。
【0254】[密度]ASTM D−1505に準拠し
て測定した。また本実施例においてフィルムおよびシー
トの物性は下記のようにして測定した。
【0255】[透湿度(水蒸気バリヤ性)]JIS Z
−0208に準拠し、40℃、90%RHの条件で測定
した。 [ヤング率]ASTM D−882に準拠して測定し
た。
【0256】引張速度:50mm/分 チャック間距離:64.0mm [ヘイズ]ASTM D−1003に準拠して測定し
た。
【0257】[成形性]PTP包装機M2000
[(株)カナエ製]を用いてPTP包装を行い成形性を
評価した。
【0258】
【製造例】
[固体状チタン触媒成分の調製]4.5m3 の反応器に
無水塩化マグネシウム240kg、デカン1100リッ
トルおよび2-エチルヘキシルアルコール990kgを装
入し130℃で加熱して均一溶液とした後、この溶液中
に無水フタル酸54kgを添加し、さらに、130℃に
て攪拌し、無水フタル酸を溶解させた。このようにして
得られた均一溶液を室温に冷却した後、−25℃に保持
した四塩化チタン6.7m3 中に攪拌しながらこの均一
溶液を全量滴下装入した。装入終了後の温度は約−20
℃であった。次に、この混合液の温度を4時間かけて1
10℃に昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジ
イソブチル(DIBP)13kgを添加し、これより2
時間同温度にて攪拌保持した。2時間の反応終了後、熱
濾過にて固体部を採取し、この固体部を7.3m3 の四
塩化チタンに再懸濁させた後、再び110℃で2時間、
加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部
を採取し、110℃のデカンおよびヘキサンにて溶液中
に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで、充分洗
浄した。以上の操作によって固体状チタン触媒成分
(A)を得た。
【0259】得られた固体状チタン触媒成分(A)の組
成は、チタン;2.2重量%、塩素;61重量%、マグ
ネシウム;19重量%、DIBP;12.7重量%であ
った。
【0260】[予備重合触媒の調製]80リットルの攪
拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、精製ヘキサン40リ
ットル、トリエチルアルミニウム3.0モル、トリメチ
ルメトキシシラン3.0モルおよび上記固体状チタン触
媒成分(A)をチタン原子換算で0.3モル添加した
後、20℃の温度で3-メチル-1-ブテン(3MB−1)
1.5kgを反応器に供給し、2時間予備重合を行っ
た。反応終了後、反応器内を窒素で置換し、上澄液の除
去および精製ヘキサンの添加からなる洗浄操作を3回行
い予備重合触媒(B)を得た。この予備重合触媒(B)
は、精製ヘキサンで再懸濁して保存した。
【0261】[重 合]内容積1000リットルの攪拌
機付き反応器に精製n-ヘキサン450リットルを装入
し、60℃、プロピレン雰囲気にてトリエチルアルミニ
ウム500ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラ
ン500ミリモルおよび予備重合触媒(B)をチタン原
子換算で10ミリモルTi装入した。水素250リット
ルを導入し、80℃に昇温した後、これを4時間保持し
てプロピレン重合を行った。重合中の圧力は6kg/c
2-Gに保った。重合終了後、脱圧し、生成固体を含む
スラリーを遠心分離し、ドライヤーにて乾燥することで
白色粉末状重合体200kgを得た。
【0262】この重合体のメルトフローレートは2g/
10分であり、沸騰ヘプタン不溶成分の立体規則性指標
[M5]の値は0.986であり、沸騰ヘプタン不溶成
分の立体規則性指標[M3]の値は0.0030であ
り、沸騰ヘプタン不溶成分の結晶化度は78.5%であ
り、3MB−1重合体の含有量は300ppmであり、
密度は0.919g/cm3 であった。
【0263】
【比較製造例】
[予備重合触媒の調製]80リットルの攪拌機付き反応
器に、窒素雰囲気下、精製ヘキサン40リットル、トリ
エチルアルミニウム0.9モルおよび上記固体状チタン
触媒成分(A)をチタン原子換算で0.3モル添加した
後、20℃の温度でプロピレンを1.66kgを反応器
に供給し、2時間予備重合を行った。反応終了後、反応
器内を窒素で置換し、上澄液の除去および精製ヘキサン
の添加からなる洗浄操作を3回行い予備重合触媒(C)
を得た。この予備重合触媒(C)は、精製ヘキサンで再
懸濁して保存した。
【0264】[重 合]内容積1000リットルの攪拌
機付き反応器に、精製n-ヘキサン450リットルを装入
し、60℃、プロピレン雰囲気にてトリエチルアルミニ
ウム500ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラ
ン100ミリモルおよび予備重合触媒(C)をチタン原
子換算で10ミリモルTi装入した。水素100リット
ルを導入し、80℃に昇温した後、これを3時間保持し
てプロピレンの重合を行った。重合中の圧力は6kg/
cm2-Gに保った。重合終了後、脱圧し、生成固体を含
むスラリーを遠心分離し、ドライヤーにて乾燥すること
で白色粉末状重合体230kgを得た。
【0265】この重合体のメルトフローレートは2g/
10分であり、沸騰ヘプタン不溶成分の立体規則性指標
[M5]の値は0.954、沸騰ヘプタン不溶成分の立
体規則性指標[M3]の値は0.0036であり、沸騰
ヘプタン不溶成分の結晶化度は58.5%であり、3M
B−1重合体の含有量は0ppmであり、密度は0.9
00g/cm3 であった。
【0266】
【実施例1】 前記製造例で得られたプロピレン重合体 :85重量部 極性基を含まない石油樹脂 :15重量部 「エスコレッツ5320(商品名:トーネックス社製)」 (水素化率:98%、Tg:70℃、軟化点:125℃、 比重:1.10、Mw :600) Irganox 1010 :1000ppm (商品名:日本チバガイギー(株)製) ステアリン酸カルシウム :100ppm を混合し、250℃で溶融し、キャストフィルムを押出
し、60℃に保持されている冷却ロール上で冷却し、厚
さ900μmの未延伸原反を成形した。次いでこの未延
伸原反を、テンター法で縦方向:4.5倍、横方向:8
倍に逐次二軸延伸して厚さ25μmのポリプロピレン延
伸フィルムを得た。
【0267】得られたポリプロピレン延伸フィルムにつ
いて各物性を測定した結果を表1に示す。
【0268】
【実施例2】 前記製造例で得られたプロピレン重合体 :85重量部 極性基を含まない石油樹脂 :15重量部 「エスコレッツ5320(商品名:トーネックス社製)」 Irganox 1010 :1000ppm (商品名:日本チバガイギー(株)製) ステアリン酸カルシウム :100ppm とかなるポリプロピレン樹脂組成物から形成される基材
層の両面に、ポリプロピレン「ハイポールF309」
(商品名:三井石油化学工業(株)製)([M5]=
0.958、[M3]=0.0035、メルトフローレ
ート;2.0g/10分、密度;0.912g/cm3
からなる表層を有するキャストフィルムを共押出し、6
0℃に保持されている冷却ロール上で冷却し、厚さ90
0μmの未延伸多層原反を成形した。この未延伸多層原
反の、厚み構成比は1/18/1(表層/基材層/表
層)であった。次いでこの未延伸多層原反を、テンター
法で縦方向:4.5倍、横方向:8倍に逐次二軸延伸し
て厚さ25μmのポリプロピレン多層延伸フィルムを得
た。
【0269】得られたポリプロピレン多層延伸フィルム
について各物性を測定した結果を表1に示す。
【0270】
【実施例3】 前記製造例で得られたプロピレン重合体 :85重量部 極性基を含まない石油樹脂 :15重量部 「エスコレッツ5320(商品名:トーネックス社製)」 Irganox 1010 :1000ppm (商品名:日本チバガイギー(株)製) ステアリン酸カルシウム :100ppm を混合し、240℃で溶融し、筒状フィルムを押出し、
25℃の冷却水で冷却し、厚さ750μmの筒状の未延
伸原反を成形した。次いでこの筒状の未延伸原反を、チ
ューブラー法で縦方向:6倍、横方向:5倍に同時二軸
延伸して厚さ25μmのポリプロピレン延伸フィルムを
得た。
【0271】得られたポリプロピレン延伸フィルムにつ
いて各物性を測定した結果を表1に示す。
【0272】
【実施例4】プロピレン重合体と極性基を含まない石油
樹脂の配合量を、プロピレン重合体:95重量部、極性
基を含まない石油樹脂:5重量部とした以外は実施例1
と同様にして厚さ25μmのポリプロピレン延伸フィル
ムを得た。得られたポリプロピレン延伸フィルムについ
て各物性を測定した結果を表1に示す。
【0273】
【実施例5】プロピレン重合体と極性基を含まない石油
樹脂の配合量を、プロピレン重合体:90重量部、極性
基を含まない石油樹脂:10重量部とした以外は実施例
1と同様にして厚さ25μmのポリプロピレン延伸フィ
ルムを得た。
【0274】得られたポリプロピレン延伸フィルムにつ
いて各物性を測定した結果を表1に示す。
【0275】
【実施例6】プロピレン重合体と極性基を含まない石油
樹脂の配合量を、プロピレン重合体:80重量部、極性
基を含まない石油樹脂:20重量部とした以外は実施例
1と同様にして厚さ25μmのポリプロピレン延伸フィ
ルムを得た。
【0276】得られたポリプロピレン延伸フィルムにつ
いて各物性を測定した結果を表1に示す。
【0277】
【実施例7】極性基を含まない石油樹脂としてエスコレ
ッツ5320(商品名:トーネックス社製)に代えて、
エスコレッツECR356B(商品名:トーネックス社
製)(水素化率:98%、Tg:84℃、軟化点:14
0℃、比重:1.10、Mw:650)を用いた以外は
実施例1と同様にして厚さ25μmのポリプロピレン延
伸フィルムを得た。
【0278】得られたポリプロピレン延伸フィルムにつ
いて各物性を測定した結果を表1に示す。
【0279】
【実施例8】極性基を含まない石油樹脂としてエスコレ
ッツ5320(商品名:トーネックス社製)に代えて、
アルコンP−115(商品名:荒川化学工業社製)(水
素化率:99%、Tg:68℃、軟化点:115℃、比
重:0.999、Mw :1600)を用いた以外は実施
例1と同様にして厚さ25μmのポリプロピレン延伸フ
ィルムを得た。
【0280】得られたポリプロピレン延伸フィルムにつ
いて各物性を測定した結果を表1に示す。
【0281】
【実施例9】極性基を含まない石油樹脂としてエスコレ
ッツ5320(商品名:トーネックス社製)に代えて、
アルコンP−125(商品名:荒川化学工業社製)(水
素化率:99%、Tg:78℃、軟化点:125℃、比
重:0.999、Mw :1750)を用いた以外は実施
例1と同様にして厚さ25μmのポリプロピレン延伸フ
ィルムを得た。
【0282】得られたポリプロピレン延伸フィルムにつ
いて各物性を測定した結果を表1に示す。
【0283】
【比較例1】前記比較製造例で得られたポリプロピレン
を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレン
延伸フィルムを得た。
【0284】得られたポリプロピレン延伸フィルムにつ
いて各物性を測定した結果を表1に示す。
【0285】
【比較例2】実施例1において、極性基を含まない石油
樹脂を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にし
てポリプロピレン延伸フィルムを得た。
【0286】得られたポリプロピレン延伸フィルムにつ
いて各物性を測定した結果を表1に示す。
【0287】
【参考例1】ポリプロピレン「ハイポールF309」
(商品名:三井石油化学工業(株)製)([M5]=
0.958、[M3]=0.0035)を250℃で溶
融させて、キャストフィルムを押出し、60℃に保持さ
れている冷却ロール上で冷却し、厚さ900μmの未延
伸原反を成形した。次いでこの未延伸原反を、縦方向に
4.5倍、横方向に8倍、テンター法で逐次二軸延伸し
て25μmのポリプロピレン延伸フィルムを得た。さら
にこのポリプロピレン延伸フィルムの両面にPVDCを
コーティングし、表裏それぞれに0.5μmのコーティ
ング層を形成して、K−OPフィルムを得た。
【0288】得られたK−OPフィルムについて各物性
を測定した結果を表1に示す。
【0289】
【表1】
【0290】本発明のポリプロピレン延伸フィルムの透
湿度は、1.9〜2.6g/m2・24hr/25μmであ
り、ポリプロピレン系フィルムでは限界とされていた
3.0g/m2・24hr/25μmを切り、K−OPフィル
ムと同等またはそれ以上の水蒸気バリヤ性を有する。こ
れに対し、従来のポリプロピレンと極性基を有さない石
油樹脂との組成物からなるポリプロピレン延伸フィルム
の透湿度は3.8g/m2・24hr/25μmであり、K−
OPフィルムの透湿度の約1.5倍である。
【0291】
【実施例10】 前記製造例で得られたプロピレン重合体 :80重量部 水素化石油樹脂 :20重量部 「エスコレッツ5320(商品名:トーネックス社
製)」をヘンシェルミキサーにて混合した後、65mm
φの押出機を使用して240℃で押出し、プロピレン重
合体と水素化石油樹脂とからなるポリプロピレン樹脂組
成物から形成されるペレットを製造した。このペレット
をチルロール温度40℃、押出温度220℃で設定した
T−ダイ成形にてシーティングして、幅300mm、厚
さ300μmのPTP包装用ポリプロピレンシートを得
た。
【0292】得られたPTP包装用ポリプロピレンシー
トについて各物性を測定した結果を表2に示す。
【0293】
【実施例11】前記実施例10で製造したポリプロピレ
ン樹脂組成物から形成されるペレットと、プロピレン系
重合体「ハイポールF401」(商品名:三井石油化学
工業(株)製)(メルトフローレート;2.8g/10
分、密度;0.909g/cm3)からなるペレットを
用い、チルロール温度40℃、押出温度220℃で設定
したT−ダイ成形にて共押出てシーティングして、ポリ
プロピレン樹脂組成物からなる基材層と、プロピレン系
重合体からなる表層とを有する3層のPTP包装用多層
シートを得た。このPTP包装用ポリプロピレン多層シ
ートは、幅300mm、厚さ300μmであり、層構成
は、20/260/20μm(表層/基材層/表層)で
あった。
【0294】得られたPTP包装用多層ポリプロピレン
シートについて各物性を測定した結果を表2に示す。
【0295】
【実施例12】プロピレン重合体と水素化石油樹脂の配
合量を、プロピレン重合体:90重量部、水素化石油樹
脂:10重量部とした以外は実施例10と同様にして幅
300mm、厚さ300μmのPTP包装用ポリプロピ
レンシートを得た。
【0296】得られたPTP包装用ポリプロピレンシー
トについて各物性を測定した結果を表2に示す。
【0297】
【実施例13】プロピレン重合体と水素化石油樹脂の配
合量を、プロピレン重合体:70重量部、水素化石油樹
脂:30重量部とした以外は実施例10と同様にして幅
300mm、厚さ300μmのPTP包装用ポリプロピ
レンシートを得た。
【0298】得られたPTP包装用ポリプロピレンシー
トについて各物性を測定した結果を表2に示す。
【0299】
【実施例14】水素化石油樹脂としてエスコレッツ53
20(商品名:トーネックス社製)に代えて、エスコレ
ッツECR356Bを用いた以外は実施例10と同様に
して幅300mm、厚さ300μmのPTP包装用ポリ
プロピレンシートを得た。
【0300】得られたPTP包装用ポリプロピレンシー
トについて各物性を測定した結果を表2に示す。
【0301】
【実施例15】水素化石油樹脂としてエスコレッツ53
20(商品名:トーネックス社製)に代えて、アルコン
P−115(商品名:荒川化学工業社製)を用いた以外
は実施例10と同様にして幅300mm、厚さ300μ
mのPTP包装用ポリプロピレンシートを得た。
【0302】得られたPTP包装用ポリプロピレンシー
トについて各物性を測定した結果を表2に示す。
【0303】
【実施例16】水素化石油樹脂としてエスコレッツ53
20(商品名:トーネックス社製)に代えて、アルコン
P−125(商品名:荒川化学工業社製)を用いた以外
は実施例10と同様にして幅300mm、厚さ300μ
mのPTP包装用ポリプロピレンシートを得た。
【0304】得られたPTP包装用ポリプロピレンシー
トについて各物性を測定した結果を表2に示す。
【0305】
【比較例3】実施例10において用いたプロピレン重合
体に代えて、前記比較製造例で得られたプロピレン重合
体を用いた以外は、実施例10と同様にしてPTP包装
用ポリプロピレンシートを得た。
【0306】得られたPTP包装用ポリプロピレンシー
トについて各物性を測定した結果を表2に示す。
【0307】
【比較例4】実施例10において用いたプロピレン重合
体に代えて、前記比較製造例と同様にして製造した、2
30℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート
が2g/10分であり、沸騰ヘプタン不溶成分の立体規則
性指標[M5]の値が0.962、沸騰ヘプタン不溶成
分の立体規則性指標[M3]の値が0.0024であ
り、沸騰ヘプタン不溶成分の結晶化度が60.5%であ
るポリプロピレンを用いた以外は、実施例10と同様に
してPTP包装用ポリプロピレンシートを得た。
【0308】得られたPTP包装用ポリプロピレンシー
トについて各物性を測定した結果を表2に示す。
【0309】
【比較例5】実施例11において、多層シートの層構成
を80/140/80μm(表層/基材層/表層)とし
た以外は、実施例11と同様にしてPTP包装用ポリプ
ロピ0ン多層シートを得た。
【0310】得られたPTP包装用ポリプロピレン多層
シートについて各物性を測定した結果を表2に示す。
【0311】
【比較例6】プロピレン系重合体「ハイポールF40
1」(商品名:三井石油化学工業(株)製)からなるペ
レットをチルロール温度40℃、押出温度220℃で設
定したT−ダイ成形にてシーティングして、幅300m
m、厚さ280μmのシートを得た。このシートの両面
に厚さ10μmのPVDCフィルムをドライラミして厚
さ300μmのPVDCコートシートを得た。
【0312】得られたPVDCコートシートの物性につ
いて各物性を測定した結果を表2に示す。
【0313】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 57:02) B29K 23:00 (72)発明者 篠 崎 哲 徳 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 木 岡 護 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) 230℃、2.16kg荷重にお
    けるメルトフローレートが0.1〜500g/10分の範
    囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmmm、Pw の吸収強度から下記式(1)により求め
    られる立体規則性指標[M5]の値が0.970〜0.
    995の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmrm、Pmrmr、Pmrrr、Prmrr、Prmmr、Prrrr、
    Pw の吸収強度から下記式(2)により求められる立体
    規則性指標[M3]の値が0.0020〜0.0050
    の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の結晶化度が60%以上であるプ
    ロピレン重合体:80〜95重量%と、(B)極性基を
    含まないテルペン樹脂および/または極性基を含まない
    石油樹脂:20〜5重量%とからなるポリプロピレン樹
    脂組成物; 【数1】 (式中、 [Pmmmm]:プロピレン単位が5単位連続してイソタク
    チック結合した部位における第3単位目のメチル基に由
    来する吸収強度であり、 [Pw ] :プロピレン単位のメチル基に由来する吸収
    強度である。) 【数2】
  2. 【請求項2】 前記プロピレン重合体が、下記式(i)
    または(ii)で表される化合物から誘導される構成単位
    からなる重合体を10〜10000ppmの割合で含有
    する請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物; 【化1】
  3. 【請求項3】(A) 230℃、2.16kg荷重にお
    けるメルトフローレートが0.1〜500g/10分の範
    囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmmm、Pw の吸収強度から下記式(1)により求め
    られる立体規則性指標[M5]の値が0.970〜0.
    995の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmrm、Pmrmr、Pmrrr、Prmrr、Prmmr、Prrrr、
    Pw の吸収強度から下記式(2)により求められる立体
    規則性指標[M3]の値が0.0020〜0.0050
    の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の結晶化度が60%以上であるプ
    ロピレン重合体:80〜95重量%と、(B) 極性基
    を含まないテルペン樹脂および/または極性基を含まな
    い石油樹脂:20〜5重量%とからなるポリプロピレン
    樹脂組成物から形成され、 かつ、ガラス転移温度(Tg)が0〜10℃の範囲にあ
    ることを特徴とするポリプロピレン延伸フィルム; 【数3】 (式中、 [Pmmmm]:プロピレン単位が5単位連続してイソタク
    チック結合した部位における第3単位目のメチル基に由
    来する吸収強度であり、 [Pw ] :プロピレン単位のメチル基に由来する吸収
    強度である。) 【数4】
  4. 【請求項4】 前記プロピレン重合体が、下記式(i)
    または(ii)で表される化合物から誘導される構成単位
    からなる重合体を10〜10000ppmの割合で含有
    する請求項3に記載のポリプロピレン延伸フィルム; 【化2】
  5. 【請求項5】[I](A) 230℃、2.16kg荷
    重におけるメルトフローレートが0.1〜500g/10
    分の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmmm、Pw の吸収強度から下記式(1)により求め
    られる立体規則性指標[M5]の値が0.970〜0.
    995の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmrm、Pmrmr、Pmrrr、Prmrr、Prmmr、Prrrr、
    Pw の吸収強度から下記式(2)により求められる立体
    規則性指標[M3]の値が0.0020〜0.0050
    の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の結晶化度が60%以上であるプ
    ロピレン重合体:80〜95重量%と、 (B) 極性基を含まないテルペン樹脂および/または
    極性基を含まない石油樹脂:20〜5重量%とからなる
    ポリプロピレン樹脂組成物から形成され、 かつ、ガラス転移温度(Tg)が0〜10℃の範囲にあ
    る基材層と、[II]沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NM
    RスペクトルにおけるPmmmm、Pw 、Sαγ、Sα
    δ+ 、Tδ+δ+ の吸収強度から下記式(3)により求
    められる立体規則性指標[M5]の値が0.925〜
    0.975の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmrm、Pmrmr、Pmrrr、Prmrr、Prmmr、Prrrr、
    Pw 、Sαγ、Sαδ+ 、Tδ+δ+ の吸収強度から下
    記式(4)により求められる立体規則性指標[M3]の
    値が0.0020〜0.0050の範囲にあるプロピレ
    ン系重合体(C)からなる表層とからなり、 前記基材層の厚さが、フィルムの全厚さに対して80%
    以上であることを特徴とするポリプロピレン多層延伸フ
    ィルム; 【数5】 (式中、 [Pmmmm] :プロピレン単位が5単位連続してイソタ
    クチック結合した部位における第3単位目のメチル基に
    由来する吸収強度であり、 [Pw ] :プロピレン単位のメチル基に由来する吸
    収強度である。) 【数6】 【数7】 (式中、[Pmmmm]および[Pw ]は、上記式(1)と
    同様であり、 [Sαγ] :主鎖中の2級炭素であって、該2級炭素
    から最も近い2個の3級炭素のうち、一方がα位にあ
    り、他方がγ位にあるような2級炭素に由来する吸収強
    度であり、 [Sαδ+ ]:主鎖中の2級炭素であって、該2級炭素
    から最も近い2個の3級炭素のうち、一方がα位にあ
    り、他方がδ位またはδ位より離れた位置にあるような
    2級炭素に由来する吸収強度であり、 [Tδ+ δ+ ]:主鎖中の3級炭素であって、該3級炭
    素から最も近い2個の3級炭素のうち、一方がδ位また
    はδ位より離れた位置にあり、他方がδ位またはδ位よ
    り離れた位置にあるような3級炭素に由来する吸収強度
    である。) 【数8】 (式中、 [Pmmrm]、[Pmrmr]、[Pmrrr]、[Prm
    rr]、[Prmmr]、[Prrrr]および[Pw ]は、上記
    式(2)と同様であり、[Sαγ]、[Sαδ+ ]およ
    び[Tδ+δ+]は、上記式(3)と同様である。)。
  6. 【請求項6】 前記プロピレン重合体が、下記式(i)
    または(ii)で表される化合物から誘導される構成単位
    からなる重合体を10〜10000ppmの割合で含有
    する請求項5に記載のポリプロピレン多層延伸フィル
    ム; 【化3】
  7. 【請求項7】(A) 230℃、2.16kg荷重にお
    けるメルトフローレートが0.1〜500g/10分の
    範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmmm、Pw の吸収強度から下記式(1)により求め
    られる立体規則性指標[M5]の値が0.970〜0.
    995の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmrm、Pmrmr、Pmrrr、Prmrr、Prmmr、Prrrr、
    Pw の吸収強度から下記式(2)により求められる立体
    規則性指標[M3]の値が0.0020〜0.0050
    の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の結晶化度が60%以上であるプ
    ロピレン重合体:70〜95重量%と、(D) 水素化
    石油樹脂:30〜5重量%とからなることを特徴とする
    ポリプロピレン樹脂組成物; 【数9】 (式中、 [Pmmmm]:プロピレン単位が5単位連続してイソタク
    チック結合した部位における第3単位目のメチル基に由
    来する吸収強度であり、 [Pw ] :プロピレン単位のメチル基に由来する吸収
    強度である。) 【数10】
  8. 【請求項8】 前記プロピレン重合体が、下記式(i)
    または(ii)で表される化合物から誘導される構成単位
    からなる重合体を10〜10000ppmの割合で含有
    する請求項7に記載のポリプロピレン樹脂組成物; 【化4】
  9. 【請求項9】(A) 230℃、2.16kg荷重にお
    けるメルトフローレートが0.1〜500g/10分の範
    囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmmm、Pw の吸収強度から下記式(1)により求め
    られる立体規則性指標[M5]の値が0.970〜0.
    995の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmrm、Pmrmr、Pmrrr、Prmrr、Prmmr、Prrrr、
    Pw の吸収強度から下記式(2)により求められる立体
    規則性指標[M3]の値が0.0020〜0.0050
    の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の結晶化度が60%以上であるプ
    ロピレン重合体:70〜95重量%と、(D) 水素化
    石油樹脂:30〜5重量%とからなるポリプロピレン樹
    脂組成物から形成されることを特徴とするプレススルー
    パック包装用ポリプロピレンシート; 【数11】 (式中、 [Pmmmm]:プロピレン単位が5単位連続してイソタク
    チック結合した部位における第3単位目のメチル基に由
    来する吸収強度であり、 [Pw ] :プロピレン単位のメチル基に由来する吸収
    強度である。) 【数12】
  10. 【請求項10】 前記プロピレン重合体が、下記式
    (i)または(ii)で表される化合物から誘導される構
    成単位からなる重合体を10〜10000ppmの割合
    で含有する請求項9に記載のプレススルーパック包装用
    ポリプロピレンシート; 【化5】
  11. 【請求項11】[I](A) 230℃、2.16kg
    荷重におけるメルトフローレートが0.1〜500g/
    10分の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmmm、Pw の吸収強度から下記式(1)により求め
    られる立体規則性指標[M5]の値が0.970〜0.
    995の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の13C−NMRスペクトルにおけ
    るPmmrm、Pmrmr、Pmrrr、Prmrr、Prmmr、Prrrr、
    Pw の吸収強度から下記式(2)により求められる立体
    規則性指標[M3]の値が0.0020〜0.0050
    の範囲にあり、 沸騰ヘプタン不溶成分の結晶化度が60%以上であるプ
    ロピレン重合体:70〜95重量%と、(D) 水素化
    石油樹脂:30〜5重量%とからなるポリプロピレン樹
    脂組成物から形成される基材層と、[II]プロピレン系
    重合体(E)から形成される表層とからなり、 前記基材層の厚さの割合がシートの全厚さに対して50
    %以上であり、かつ、シートの全厚さT(μm)と、シ
    ートの全厚さTに対する前記基材層の厚さの割合H
    (%)とが 3.4≦log (T×H)≦5.0 で示される関係を満たすことを特徴とするプレススルー
    パック包装用ポリプロピレン多層シート; 【数13】 (式中、 [Pmmmm]:プロピレン単位が5単位連続してイソタク
    チック結合した部位における第3単位目のメチル基に由
    来する吸収強度であり、 [Pw ] :プロピレン単位のメチル基に由来する吸収
    強度である。) 【数14】
  12. 【請求項12】 前記プロピレン重合体が、下記式
    (i)または(ii)で表される化合物から誘導される構
    成単位からなる重合体を10〜10000ppmの割合
    で含有する請求項11に記載のプレススルーパック包装
    用ポリプロピレン多層シート; 【化6】
JP16438594A 1993-07-16 1994-07-15 ポリプロピレン樹脂組成物およびその用途 Expired - Lifetime JP3330733B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16438594A JP3330733B2 (ja) 1993-07-16 1994-07-15 ポリプロピレン樹脂組成物およびその用途

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5-177024 1993-07-16
JP17702493 1993-07-16
JP17702093 1993-07-16
JP5-177020 1993-07-16
JP16438594A JP3330733B2 (ja) 1993-07-16 1994-07-15 ポリプロピレン樹脂組成物およびその用途

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002149152A Division JP3822140B2 (ja) 1993-07-16 2002-05-23 ポリプロピレン樹脂組成物からなるシート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0776641A true JPH0776641A (ja) 1995-03-20
JP3330733B2 JP3330733B2 (ja) 2002-09-30

Family

ID=27322325

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16438594A Expired - Lifetime JP3330733B2 (ja) 1993-07-16 1994-07-15 ポリプロピレン樹脂組成物およびその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3330733B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08269213A (ja) * 1995-03-29 1996-10-15 Toray Ind Inc 耐熱防湿フイルム
JP2000351181A (ja) * 1999-06-11 2000-12-19 Tohcello Co Ltd 多層フィルム
JP2003025425A (ja) * 2001-05-11 2003-01-29 Toray Ind Inc 二軸延伸ポリプロピレンフィルム
JP2008518060A (ja) * 2004-10-22 2008-05-29 ソシエテ ドゥ テクノロジー ミシュラン エラストマー物品用バリヤー層
KR20150052026A (ko) * 2012-08-31 2015-05-13 다우 글로벌 테크놀로지스 엘엘씨 필름에 적합한 내열성 폴리올레핀 조성물
WO2020137788A1 (ja) * 2018-12-28 2020-07-02 東洋紡株式会社 二軸配向ポリプロピレンフィルム

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08269213A (ja) * 1995-03-29 1996-10-15 Toray Ind Inc 耐熱防湿フイルム
JP2000351181A (ja) * 1999-06-11 2000-12-19 Tohcello Co Ltd 多層フィルム
JP2003025425A (ja) * 2001-05-11 2003-01-29 Toray Ind Inc 二軸延伸ポリプロピレンフィルム
JP2008518060A (ja) * 2004-10-22 2008-05-29 ソシエテ ドゥ テクノロジー ミシュラン エラストマー物品用バリヤー層
KR20150052026A (ko) * 2012-08-31 2015-05-13 다우 글로벌 테크놀로지스 엘엘씨 필름에 적합한 내열성 폴리올레핀 조성물
JP2015526585A (ja) * 2012-08-31 2015-09-10 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 皮膜として適する耐熱性ポリオレフィン組成物
WO2020137788A1 (ja) * 2018-12-28 2020-07-02 東洋紡株式会社 二軸配向ポリプロピレンフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP3330733B2 (ja) 2002-09-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5579913A (en) Polypropylene resin composition and the use of the same
US6630559B2 (en) Propylene polymer, propylene block copolymer, process for preparing said polymer and said block copolymer, and propylene polymer composition
JP3690767B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP3984304B2 (ja) オレフィン重合用触媒、これを用いるプロピレン系重合体の製造方法
JP3330733B2 (ja) ポリプロピレン樹脂組成物およびその用途
JP3415204B2 (ja) ポリプロピレン多層フィルム
JP3822140B2 (ja) ポリプロピレン樹脂組成物からなるシート
JP3472933B2 (ja) ポリプロピレン樹脂組成物および該組成物からなる押出シート
JP3512529B2 (ja) オレフィン重合用予備重合触媒、これを含むオレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法
JP3483163B2 (ja) プロピレン系ブロック共重合体の製造方法
JPH0725946A (ja) プロピレン重合体
JPH0732558A (ja) モールドスタンピング成形体
JPH08283490A (ja) プロピレン系ランダム共重合体組成物およびその用途
JP3483164B2 (ja) プロピレン系ブロック共重合体の製造方法
JPH04202506A (ja) プロピレン系共重合体の製造方法、プロピレン系共重合体、プロピレン系共重合体組成物、およびそれらの用途
JPH07278373A (ja) プロピレン系重合体組成物およびその用途
JPH0976358A (ja) ポリプロピレン成形体
JPH07278375A (ja) プロピレン系重合体組成物およびその用途
JPH0726083A (ja) ポリプロピレン樹脂組成物および該組成物からなる射出成形体
JP3529908B2 (ja) オレフィン重合用予備重合触媒、これを含むオレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法
JPH07278371A (ja) プロピレン系重合体組成物およびその用途
JPH07278376A (ja) プロピレン系重合体組成物およびその用途
JPH09328598A (ja) プロピレン系重合体組成物および用途
JPH0748417A (ja) プロピレン系ブロック共重合体
JPH07109313A (ja) プロピレン系ブロック共重合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080719

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090719

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100719

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110719

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110719

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120719

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120719

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130719

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term