JPH0776263A - ボールジョイント部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 取付け作業性の向上、変形によるシール不良
の防止、水の侵入防止等を図るボールジョイント部構造
を提供する。 【構成】 ピボットアーム１から球形状のボールピン２
０が突設され、該ボールピン２０に略リング状のボール
リテーナ４が摺動可能に嵌合され、該ボールリテーナ４
に前記ピボットアーム１と略平行にリンク２が取り付け
られることにより、両部材を回動自在に連結するボール
ジョイント部構造において、前記ピボットアーム１のボ
ールピン２０突設側の面と、前記ボールリテーナ４との
間に、下側ボールリテーナシール５を設けて、下側グリ
ス溜り６を形成すると共に、前記ボールピン２０の前記
ピボットアーム１と反対側の部分に嵌合孔２０ｃを形成
し、該嵌合孔２０ｃに回転不能状態に嵌合されるクリッ
プ２１を設け、該クリップ２１と一体にシールラバー２
２を設け、該シールラバー２２の端部を前記ボールリテ
ーナ４に当接させて上側グリス溜り２３を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、２つの部材を回動自
在に連結するボールジョイント部構造に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来からこの種のものとしては、例えば
自動車のワイパ装置のリンク機構に設けられたものがあ
る（図４参照）。図中符号１は図示省略のピボット軸に
固定されたピボットアーム、符号２は図示省略の駆動源
に連結されたリンクで、このピボットアーム１とリンク
２とが以下のようにボールジョイントにより連結されて
いる。

【０００３】すなわち、そのピボットアーム１には、球
形状のボールピン３が上方に向けて突設され、このボー
ルピン３に樹脂製の環状のボールリテーナ４が摺動自在
に嵌合されている。このボールリテーナ４にリンク２が
取り付けられている。

【０００４】また、このリンク２の下側において、ピボ
ットアーム１とボールリテーナ４との間に、ゴム製の下
側ボールリテーナシール５が配設されて下側グリス溜り
６が形成されて、この下側グリス溜り６内にグリスが充
填されている。

【０００５】さらに、リンク２の上側において、スペー
サ８，ワッシャ９，スプリングワッシャ１０及びスクリ
ュー１１等により、ゴム製の上側ボールリテーナシール
７が取り付けられている。この上側ボールリテーナシー
ル７により、上側グリス溜り１２が形成され、この上側
グリス溜り１２にグリスが充填されている。

【０００６】なお、この種のものとしては、山海堂出版
自動車工学全書１０「電装品、車体装備品、エンジン部
品」第１３１頁等に記載されているようなものが知られ
ている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のものにあっては、スクリュー１１により上側
ボールリテーナシール７等を取り付けているため、作業
性が悪い。また、このスクリュー１１によるネジ止め時
に上側ボールリテーナシール７も回転する場合があり、
この回転により、このシール７が変形して正規の姿勢で
装着できず、シール不良を生じる虞がある。さらに、ワ
ッシャ９等との間隙から上側グリス溜り１２内へ水が侵
入する虞がある。

【０００８】そこで、この発明は、取付け作業性の向
上、変形によるシール不良の防止、水の侵入防止等を図
るボールジョイント部構造を提供することを課題として
いる。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明は、かかる課題
に着目してなされたもので、一方の部材から球形状のボ
ールピンが突設され、該ボールピンに略リング状のボー
ルリテーナが摺動可能に嵌合され、該ボールリテーナに
前記一方の部材と略平行に他方の部材が取り付けられる
ことにより、前記両部材を回動自在に連結するボールジ
ョイント部構造において、前記一方の部材のボールピン
突設側の面と、前記ボールリテーナとの間に、ボールリ
テーナシールを設けて、グリス溜りを形成すると共に、
前記ボールピンの前記一方の部材と反対側の部分に嵌合
孔を形成し、該嵌合孔に回転不能状態にクリップを嵌合
し、該クリップと一体にシールラバーを設け、該シール
ラバーの端部を前記ボールリテーナに当接させてグリス
溜りを形成したボールジョイント部構造としたことを特
徴としている。

【００１０】

【作 用】かかる手段によれば、クリップをボールピン
の嵌合孔に嵌合させることにより、シールラバーを取り
付けるようにしているため、取付け作業性を向上させる
ことができる。また、この取付けは、ネジ止め作業でな
く、シールラバーが回転されることがないため、従来の
ように、不用意に変形してシール不良を発生させるよう
なことがない。また、取付け状態にあっては、シールラ
バーとクリップとを一体的にできるため、水密性が良好
で、従来のようにスクリューとワッシャとの間等から水
が侵入することを防止できる。

【００１１】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。

【００１２】図１及び図２は、この発明の一実施例を示
すものである。従来と同一乃至均等な部材については同
一符号を付して説明する。

【００１３】まず構成を説明すると、図中符号１は図示
省略のピボット軸に固定された「一方の部材」としての
ピボットアーム、符号２は図示省略の駆動源に連結され
た「他方の部材」としてのリンクで、このピボットアー
ム１とリンク２とが以下のようにボールジョイントによ
り連結されている。

【００１４】すなわち、そのピボットアーム１には、球
形状のボールピン２０が上方に向けて突設され、このボ
ールピン２０に環状のボールリテーナ４が摺動自在に嵌
合されている。このボールリテーナ４にリンク２が取り
付けられている。

【００１５】また、このリンク２の下側において、ピボ
ットアーム１とボールリテーナ４との間に、ボールリテ
ーナシール５が配設されて下側グリス溜り６が形成され
て、この下側グリス溜り６内にグリスが充填されてい
る。

【００１６】さらに、リンク２の上側において、クリッ
プ２１によりシールラバー２２が取り付けられている。
詳しくは、ボールピン２０の上部２０ａの上面部２０ｂ
には、四角形の嵌合孔２０ｃが形成され、この嵌合孔２
０ｃにクリップ２１の脚部２１ａが挿入されて、この脚
部２１ａに形成された係止片２１ｂが係止されるように
なっている。そして、この係止状態では、開口部３ｃが
四角形であることから、脚部２１ａが回転不能状態とな
っている。また、このクリップ２１の頭部２１ｃも四角
形状を呈している。

【００１７】また、シールラバー２２は、水平断面が円
形を呈し、上部に、前記クリップ２１の頭部２１ｃが嵌
合される凹部２２ａが形成されると共に、この凹部２２
ａの底面部にクリップ２１の脚部２１ａが挿入される挿
入孔２２ｂが形成されている。さらに、このシールラバ
ー２２の周囲には、スカート部２２ｃが形成され、この
スカート部２２ｃの先端部がボールリテーナ４に摺接し
ている。これにより、上側グリス溜り２３が形成されて
いる。

【００１８】さらにまた、このシールラバー２２には、
ボールピン上部２０ａに形成されたリテーナ抜け止め突
起２０ｄに下端部が当接するガイドリップ部２２ｄが形
成されている。

【００１９】次に、作用について説明する。

【００２０】シールラバー２２にクリップ２１を装着し
て一体的にした状態で、クリップ２１の脚部２１ａをボ
ールピンの嵌合孔２０ｃに挿入して、係止片１２ｂを嵌
合孔２０ｃの周縁部に係止する。このようにクリップ２
１によりワンタッチで取り付けることができるため、従
来より取付け作業性が向上する。また、この取付け時に
は、ネジ止めでないため、シールラバー２２が回転され
ることがないため、従来のように、不用意に変形してシ
ール不良を発生させるようなことがない。しかも、この
取付け時には、ガイドリップ部２２ｄがボールピン２０
の上部２０ａにガイドされるため、より取付け性が向上
する。

【００２１】また、取付け状態にあっては、シールラバ
ー２２とクリップ２１とを一体的にできるため、水密性
が良好で、従来のようにスクリュー１１とワッシャ９と
の間等から水が侵入することを防止できる。

【００２２】さらに、クリップ２１の脚部２１ａが四角
形の嵌合孔２０ｃに嵌合されることにより、回転不能状
態となっているため、シール不良を防止できる。

【００２３】さらにまた、シールラバー２２のガイドリ
ップ部２２ｄがボールピン２０のリテーナ抜止め突起２
０ｄに当接するため、シールラバー２２装着時、シール
ラバー２２が傾くのを防止できる。また、その当接によ
り、この部分がシールされて上側グリス溜り２３に水が
侵入するのを防止できる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
れば、クリップを用いてシールラバーを取り付けるよう
にしているため、取付け作業性を向上させることができ
る。また、この取付け時には、ネジ止めでないため、シ
ールラバーが回転されることがないため、従来のよう
に、不用意に変形してシール不良を発生させるようなこ
とがない。また、取付け状態にあっては、シールラバー
とクリップとを一体的にできるため、水密性が良好で、
従来のようにスクリューとワッシャとの間等から水が侵
入することを防止できる、という実用上有益な効果を発
揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す断面図である。

【図２】同実施例を示すクリップとボールピンとを示す
斜視図である。

【図３】同実施例を示す図３の平面図である。

【図４】従来例を示す図１に相当する断面図である。

【符号の説明】

１ ビボットアーム（一方の部材） ２ リンク（他方の部材） ４ ボールリテーナ ５ ボールリテーナシール ６ 下側グリス溜り（グリス溜り） 20 ボールピン 20c 嵌合孔 21 クリップ 22 シールラバー 23 上側グリス溜り（グリス溜り）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方の部材から球形状のボールピンが突
   設され、該ボールピンに略リング状のボールリテーナが
   摺動可能に嵌合され、該ボールリテーナに前記一方の部
   材と略平行に他方の部材が取り付けられることにより、
   前記両部材を回動自在に連結するボールジョイント部構
   造において、 前記一方の部材のボールピン突設側の面と、前記ボール
   リテーナとの間に、ボールリテーナシールを設けて、グ
   リス溜りを形成すると共に、 前記ボールピンの前記一方の部材と反対側の部分に嵌合
   孔を形成し、該嵌合孔に回転不能状態にクリップを嵌合
   し、該クリップと一体にシールラバーを設け、該シール
   ラバーの端部を前記ボールリテーナに当接させてグリス
   溜りを形成したことを特徴とするボールジョイント部構
   造。