JPH0774146B2 - リポソームの製造方法 - Google Patents

リポソームの製造方法

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JPH0774146B2 JP23927389A JP23927389A JPH0774146B2 JP H0774146 B2 JPH0774146 B2 JP H0774146B2 JP 23927389 A JP23927389 A JP 23927389A JP 23927389 A JP23927389 A JP 23927389A JP H0774146 B2 JPH0774146 B2 JP H0774146B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はリポソームの製造方法に関する。
リポソームはリン脂質等の両親媒性物質を主成分とする
二分子膜から成る閉鎖小胞であり、生体膜モデルあるい
はドラッグデリバリー用薬物運搬体として基礎および応
用研究に用いられている。
(発明の背景) リポソームの調製法は既に数多く知られており、例えば
“Methods of Biochemical Analysis"vol.33(1988)、
p.337などのレビューに記載されている。これらのリポ
ソーム調製法としてはその多くがクロロホルム、エーテ
ル、エタノール等の有機溶媒を膜成分物質の溶剤として
用いたり、あるいはTriton X−100やデオキシコール酸
などの界面活性剤を可溶化剤として用いている。そのた
めそれらの薬品の残留の問題や、工業的生産に於る工程
の安全性、技術的困難さの問題がある。
有機溶媒や界面活性剤を用いずにリポソームを調製する
方法としては特開昭57−82310号及び同57−82311号に示
される凍結乾燥法、特開昭60−7933号に示される加温
法、同60−7934号に示される機械的練合法などが開発さ
れている。
どの方法も膜成分物質(主としてリン脂質)と水性溶液
をTm以上で混合して水和させる方法に関するものであ
り、その水和速度を速めるために、加温法では温度を膜
成分物質粉末の相転移温度(Tα)以上に上げて分散
し、又、機械的練合法では乳鉢等により脂質粒子を壊す
ことで水和を促進する工夫を行なっている。しかしなが
らこれらの方法は工業的製造として必ずしも満足しうる
ものではない。即ち、加温法においてはリポソーム及び
それに内包される化合物をTα以上に加温(例えばジパ
ルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)の場合には75
℃程度に迄加温)するため、内包化合物の種類によって
は熱により変化する場合がある。又、加温法、機械的練
合法ともにTc以上(或いはTα以上)の高温での機械的
操作を伴うため装置が複雑となる。
Tcの低い膜成分物質を用いる場合はこれらの問題は回避
できるが、内包化合物の漏れ等、別の問題からTcの高い
膜成分物質を用いたい場合も多い。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は従って、有機溶媒や界面活性剤を用いず
にリポソームを調製する方法、即ち、膜成分物質を水性
溶液中に分散する方法をさらに改良し、できるだけ低温
で迅速、かつ操作の簡便な方法を開発することにある。
(課題を達成するための手段) 本発明者らは、前記目的にそって鋭意検討した結果、膜
成分物質粉末を水性溶液分散物とし、まずTp以上でかつ
Tm未満の温度に数分間以上保つことにより、分散した粉
末が水を吸って膨潤しその後Tm以上に加温するとすみや
かにミエリン様構造を経てリポソームを形成することを
見出し、本発明を完成するに到った。主転移温度(Tm)
は、充分に水和した脂質のゲル・液晶相転移に帰属し、
前転移温度(Tp)は、コアゲル−ゲルの相転移に帰属す
る 脂質の粉末は通常1水和物程度の乾燥状態で市販されて
いるためその相転移温度(Tα)は高く、例えばL−α
−ジパルミトイルホスファジルコリン(DPPC)の場合は
示差走査熱分析(DSC)で測定すると60〜70℃付近であ
る。しかしDPPCが1分子当たり10分子以上の水(重量で
約20%以上の水)で水和された状態では主転移温度(T
m)が41℃まで低下する。そのため脂質粉末にあらかじ
め20wt%以上の水を吸収させておくことができれば、41
℃を少し越える程度の温度でリポソームが迅速に調製で
きる。本発明者らは脂質粉末に水を吸収させる方法につ
いて検討した結果、高湿度の空気中に放置して吸湿させ
る方法や、水中(<Tp)に脂質粉末を分散しておく方法
では極めてゆっくりとしか吸水は起こらず、脂質の水分
散物をTp以上でかつTm未満の温度に加温して始めて速い
吸水が起こるとともに粉末が膨潤し、数分程度で実用上
十分な吸水が完了することを見出した。かかる知見に基
づいてなされたのが本発明である。この十分吸水した分
散物をTm以上に加温するとすみやかにリポソームを形成
できた。更に調製したリポソーム分散液に超音波を照射
することにより粒子サイズは小さくなるとともに均一化
した。脂質の水分散物をTp以上でかつTm未満の温度に加
温して膨潤させるのに必要な時間は次の様にして求める
事ができる。
すなわち、脂質の水分散物を光学顕微鏡下Tp以下の温度
にて粒子の大きさを測定する。次にTp以上でかつTm未満
の温度に加温して経時による大きさの変化を観察し、徐
々に膨潤後大きさが一定になる迄の時間を求める事がで
きる。
本発明において使用される膜成分物質としてはホスファ
チジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホス
ファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホス
ファチジン酸などの天然及び合成のリン脂質類およびこ
れらの混合物が代表的であり、水添レシチン等の加工し
た天然リン脂質も好ましく用いることができる。又、こ
れらに膜構造の安定化剤としてコレステロールやその誘
導体、ガングリオシド、アルキルアミン、脂肪酸、ジセ
チルホスフェートなどを加えても良い。
膜成分を分散させる水性溶液としては、水、生理食塩
水、緩衝液、糖類の水溶液およびこれらの混合物が好ま
しく用いられる。
膜成分物質と水性溶液との比率は、膜成分物質1重量部
に対して水性溶液3〜100重量部程度が適当である。
本発明のリポソームに内包させる化合物としては特に制
限は無いが、グルコース、デキストラン等の糖類、アミ
ノ酸、ペプチド、蛋白質類、DNA、RNAなどの核酸類、ビ
タミン類などの他、薬物としてペニシリンGに代表され
る抗生物質、メトトレキセートに代表される制癌剤など
を用いることができ、一般にはこれらを水性溶液として
用いる。
次に本発明に従ってリポソームを調製する手順について
詳しく述べる。
膜成分物質の水和状態におけるTpおよびTmが文献等で既
知の場合はその値を用いることができるが、未知の場合
は実験により求めることができる。一般的には示差走査
熱分析(DSC)法が便利である。DSC測定用資料の作製法
としては、膜成分物質粉末を水に分散し、そのまま溶液
用セルを用いて測定するのが良い。
水添レシチンなど膜成分物質の種類によってはTpが明瞭
に観測されない場合もあるがその場合はTm−5℃をTpと
して扱う。又、膜成分物質が何種類かの混合物である場
合は主成分の相転移温度に合わせることが望ましい。
次に、リポソームに内包しようとする化合物を含有する
水性溶媒中に膜成分物質の粉末を加え、ホモジナイザ
ー、ホモミキサー、プロペラミキサー等の撹拌機を用い
て分散する。この時の溶液温度は通常室温が便利で良い
が、例えばジパルミトイルホスファチジルコリン(DMP
C)の様にTmが低い(23℃)脂質を用いる場合、その温
度を越えない様に注意して行なう。
続いて、分散液をTp以上Tm以下に加温し、その温度で保
持する。保持時間は1分以上60分以下でよいが通常5分
から20分が好ましく用いられる。この際DMPCの様にTp、
Tmが低く、分散時の温度がTp以上である場合でも同様に
処理する。
次に、この分散液をTm以上に加温するとリポソームが得
られるが、通常はTmより5〜20℃高い温度で3分間から
60分間、より好ましくは10分間から30分間加温する。こ
の際更に超音波照射を併用すると粒子サイズの均一化な
どの効果があり、又、融点の高い膜成分物質を併用する
場合にリポソーム膜への取り込みを促進するメリットも
あるため好ましく用いる事ができる。
以上述べた操作によってリポソームを得ることができる
が、粒子サイズを更に均一にするためにはミクロフィル
ター、例えばNuclepore による加圧ロ過を用いること
も可能である。
このようにして得たリポソームはこのまま使用しても良
いが、遠心分離、ゲルロ過、透析等の手段によりリポソ
ームに内包されなかった化合物を分離・除去して使用し
ても良い。
(発明の効果) 既知のリポソーム調製法に比べ、本発明の方法が優れて
いるところは次の通りである。
1)有機溶媒、界面活性剤を使用しないため、その残留
による性能上の悪影響が無く、又、工程の安全上も問題
がない。
2)最高操作温度がTmの少し上程度と低く、また高温で
の撹拌が不要であるため安全作業上問題が少ない。
又、特殊な設備も必要とせず操作も簡便であるためスケ
ールアップにも容易に対応できる。
3)操作温度を既知の加温法ほど高くする必要がないた
め内包させる化合物の熱による変化の危険が少ない。
(実施例) 次に実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 市販のL−α−ジパルミトイルホスファチジルコリン
(DPPC)を用いモデル化合物としてカルボキシルフルオ
レセイン(CF)を内包するリポソームを作製した。DPPC
はTpが35℃、Tmが41℃であることが既に知られている。
100mMのCFと50mMのNaClを含む6mM Trisバッファー(pH
7.0)30mlにL−α−DPPC粉末0.9gを加え室温下でホモ
ジナイザーにより3分間撹拌し、粉末を細かく分散し
た。次に恒温水槽を用いてDPPCのTp以上に相当する38℃
に10分間加温し、その後DPPCのTm以上である50℃に10分
間加温、最後に50℃で浴型超音波照射装置(本田電子製
W−220R型)により約5分間超音波照射して室温に戻し
た。
得られたリポソーム分散液のリポソーム外液を、遠心分
離により150mM NaClを含む6mMTrisバッファーに交換
し、リポソームに内包されなかったCFを分離・除去し
た。
内包されたCF量は、リポソーム分散液に界面活性剤(デ
オキシコール酸)を加えリポソームを破壊して均一溶液
とした後、蛍光光度計(492nm励起、517nm測定)を用い
て定量した所、内包効率7.5%であった。また光散乱
(光子相関分光法)により求めた粒径は約1μmであ
り、位相差光学顕微鏡観察では均一な粒状が認められ
た。
比較例1 市販のDPPC粉末をそのままDSCにより測定した所、粉末
の相転移温度(Tα)は69℃であった。
100mMのCFと50mMのNaClを含む6mM Trisバッファー(pH
7.0)30mlを75℃に加温し、そこにDPPC粉末0.9gを加え
て75℃に保ったままホモジナイザーにより3分間撹拌し
た。
得られたリポソーム分散液を遠心分離により洗浄し、実
施例1と同様に内包されたCF量を定量した所、内包効率
は6.6%、平均粒径は2.5〜3μmで、光学顕微鏡による
と粒径分布はややブロードであった。
比較例2 実施例1と同じ処方で行ない、DPPCを室温で内包液に分
散後、38℃の加温を行なわずにTm以上の50℃にて10分間
加温した。試料の一部をとって位相差光学顕微鏡で観察
すると数10μ程度の粗大な粒子が多数残存しリポソーム
は完全にはできていないと考えられた。さらに50℃で5
時間加温し、その後50℃で10分間の超音波照射を行なっ
た所、光学顕微鏡で5μmφ以上の粗大粒子は無くなり
ほぼリポソーム化したものと判断された。
実施例1と同様に遠心分離を行いCFの内包効率を測定し
た所3.2%であった。
実施例2 膜成分物質としてL−α−ジミリストイルホスファチジ
ルコリン(DMPC)とL−α−ジミリストイルホスファチ
ジルセリン(DMPS)を混合して用いた。
0.28Mグルコースを含む5mMリン酸バッファーpH7.4、30m
lにDMPC粉末0.8gとDMPS粉末0.2gを加え室温(20℃)に
てホモジナイザーで3分間分散した。主成分であるDMPC
のTpは14℃であるので、この分散液を更に室温で10分静
置し、その後Tm(23℃)以上である30℃で10分間加温し
た。30℃で5分間超音波照射した後、試料の一部をとっ
てセファロース4Bカラム(3cmφ×22cm)を用いてリポ
ソームに内包されなたったグルコースを除去し、150mM
NaClを含む5mMリン酸バッファーpH7.4に交換した。
得られたリポソームについて、先ず界面活性剤でリポソ
ームを破壊後、グルコースを比色定量した所、内包効率
は7.1%であった。
位相差光学顕微鏡観察により均一な粒状のリポソームが
認められ光散乱法による平均粒径は0.8μであった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リポソーム膜成分物質を水性溶液に分散し
    た後、一旦膜成分物質の前転移温度(Tp)以上でかつ主
    転移温度(Tm)未満の温度に加温、その温度で保持し、
    次にTm以上に加温することを特徴とするリポソームの製
    造方法。
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