JPH0762268A - プライマー塗装鋼板およびこのものに用いられるプライマー組成物 - Google Patents

プライマー塗装鋼板およびこのものに用いられるプライマー組成物

Info

Publication number
JPH0762268A
JPH0762268A JP22796493A JP22796493A JPH0762268A JP H0762268 A JPH0762268 A JP H0762268A JP 22796493 A JP22796493 A JP 22796493A JP 22796493 A JP22796493 A JP 22796493A JP H0762268 A JPH0762268 A JP H0762268A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
primer
component
steel sheet
chromate
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22796493A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiko Haruta
泰彦 春田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kansai Paint Co Ltd filed Critical Kansai Paint Co Ltd
Priority to JP22796493A priority Critical patent/JPH0762268A/ja
Publication of JPH0762268A publication Critical patent/JPH0762268A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 めっき製造ラインで製造可能で、かつ上塗塗
膜との密着性および耐食性に優れたプライマー塗装鋼板
を得る。 【構成】 (A)マレイン化ポリブタジエンを乳化剤と
するスチレン含有アクリル共重合体エマルジョン、
(B)粒子径100μm 以下のコロイダルシリカ及び
(C)防錆剤を必須成分とし、(C)成分の量が(A)
と(B)との和100重量部に対して40重量部以下で
あるプライマー塗装鋼板用プライマー組成物、および亜
鉛めっきまたは亜鉛合金系めっき鋼板上にクロム付着量
が金属クロム換算で10〜200mg/m2 のクロメート処
理層が形成され、その上に上記プライマー組成物の皮膜
が乾燥塗膜厚さ1〜10μm に形成されてなるプライマ
ー塗装鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プライマー塗装鋼板用
プライマー組成物およびその塗装鋼板に関し、さらに詳
しくは優れた耐食性および上塗付着性を有する皮膜を形
成する水分散型プライマー塗料組成物およびその塗装鋼
板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】壁材、シャッター材等の建築資材である
鋼板への塗装は、化成処理された亜鉛めっき鋼板または
亜鉛合金系めっき鋼板を、加工成型して施工した後、現
場で常温乾燥型の下塗塗料を塗装し、数日間おいて上塗
塗料を塗装することが行なわれている。この方法だと、
職人が何日も手間をかけて塗装するので塗装費用が膨大
になるばかりでなく、天候にも左右されるので品質的に
も安定したものが得られにくいという欠点があった。そ
れを解決するため、コイルコート用のプライマーを予め
塗装したプライマー鋼板が一部実用化されているが、そ
のプライマーは溶剤型で焼付け温度も180℃以上と高
いため、化成処理されためっき鋼板をいったん巻き取っ
た後、コイルコーティングラインを使用して塗装、焼付
けする必要があり、作業面、コスト面に問題が残されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
み、めっき製造ラインにおいて皮膜形成可能、すなわち
水系で低温、短時間の焼付けで皮膜を形成でき、かつ上
塗塗膜との密着性および耐食性に優れた塗膜を形成でき
るプライマー鋼板用プライマー組成物およびそのプライ
マーを塗装したプライマー塗装鋼板を得ることを目的と
するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者はエン
ドユーザーで直接上塗塗装が可能でそのうえ耐食性に優
れ、かつめっき製造ラインにおいて、化成処理工程で又
は化成処理に続く工程で製造可能なプライマー塗装鋼板
を開発するべく鋭意研究を行った結果、亜鉛または亜鉛
系めっき鋼板の表面に、クロメート処理層を形成させ、
その上に特定のアクリル系共重合体エマルジョン、粒子
径100μm 以下のコロイダルシリカ、及び防錆剤を主
成分とする塗料を、乾燥塗膜厚さ1〜10μm に形成さ
せることによって前記目的を達成できることを見出し本
発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明は第一に、(A)マレイン
化ポリブタジエンを乳化剤とし、スチレンを必須成分と
して含有するアクリル系共重合体エマルジョン、(B)
粒子径100μm 以下のコロイダルシリカ及び(C)防
錆剤を必須成分とし、(C)成分の量が(A)成分と
(B)成分との和100重量部に対して40重量部以下
であることを特徴とするプライマー塗装鋼板用プライマ
ー組成物を提供するものである。
【0006】また本発明は第二に、亜鉛めっき鋼板また
は亜鉛合金系めっき鋼板の表面に、クロム付着量が金属
クロム換算で10〜200mg/m2 であるクロメート処理
層が形成され、その上に上記プライマー塗装鋼板用プラ
イマー組成物の皮膜が、乾燥塗膜厚さ1〜10μm に形
成されてなることを特徴とするプライマー鋼板を提供す
るものである。
【0007】
【作用】本発明のプライマー組成物において用いられる
アクリル系共重合体エマルジョン〔成分(A)〕は、乳
化剤として数平均分子量約300ないし約40,000
のポリブタジエンとマレイン酸又は無水マレイン酸との
付加反応物で且つ約20〜約350の酸価を示すマレイ
ン化ポリブタジエンの中和物を用い、スチレン及びアク
リル系単量体を公知の方法で乳化重合して得られるもの
である。
【0008】前記ポリブタジエンとしては、一般に1,
2−ビニル型、1,4−トランス型または1,4−シス
型の構造を有するもの、あるいはそれらの構造の部分混
合物が挙げられる。ポリブタジエンの分子量が約300
に達しない場合には高分子乳化剤としての作用をはたさ
ず、他方約40,000よりも大きい場合にはマレイン
化反応が困難である。またマレイン化ポリブタジエンの
酸価が20未満ではエマルジョンを作ることが困難であ
り、他方350を超えると生成した重合体との相溶性が
悪くなる。
【0009】また、乳化重合に供されるアクリル系単量
体は、例えば一般式
【0010】
【化1】
【0011】(式中、R1 は水素原子またはメチル基を
表わし、R2 は水素原子、炭素数1〜18のアルキル
基、脂環族基もしくは芳香族基、または炭素数1〜8の
ヒドロキシアルキル基を表わす)で示されるアクリル
酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル又はメタクリル
酸エステルである。代表的な単量体を挙げれば、例えば
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチル
アクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメ
タクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタ
クリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘ
キシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2−
ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル
メタクリレートなどである。
【0012】なお、アクリル系単量体と併用されるスチ
レンの使用量は、単量体合計量の20〜40重量%の範
囲であり、スチレンをこの範囲で使用することにより有
機樹脂のガラス転移温度を適度に高めることができ、一
般に有機樹脂皮膜の物理的特性と防食性との関連でガラ
ス転移温度の高い皮膜が耐食性に優れるように、優れた
耐食性を付与せしめることが可能である。
【0013】次に、本発明組成物において用いられるコ
ロイダルシリカ〔成分(B)〕は、粒子径が100μm
以下、とくに10〜50μm の範囲のものが好ましく、
通常水性分散液として供給されているものをそのまま使
用することができる。粒子径が小さすぎると、分散状態
の安定性が低いため均一なプライマー組成物を製造する
ことが困難であり、また、100μm を越える大粒子径
のものを用いると、配合されたシリカ粒子の全表面積が
相対的に小さくなるためアクリル系共重合体エマルジョ
ンとの相互作用が小さくなり、乾燥・硬化皮膜を形成さ
せた場合にたわみ性、耐衝撃性などの機械的性質が不充
分となる。
【0014】上記範囲の粒子径のコロイダルシリカは、
水性分散液の状態で酸性側、塩基性側いずれであっても
用いることができる。すなわち、酸性側のコロイダルシ
リカとしては、例えば市販されている非安定化シリカ
(pH3〜4)が利用できる。一方、塩基性側のコロイダ
ルシリカとしては微量のアルカリ金属イオン、アンモニ
ウムイオンまたはアミンの添加によって安定化したシリ
カ(pH8.4〜10)がある。
【0015】本発明組成物において、前記成分(A)と
成分(B)との配合割合は特に限定されるものではない
が、固形分重量比で成分(A)/成分(B)が90/1
0〜50/50の範囲にあることが耐食性および上塗付
着性の観点から好ましい。
【0016】前記成分(A)と成分(B)とは、単なる
混合物であってもよいし、成分(A)と成分(B)とを
トリアルコキシシランの存在下で複合化した有機−無機
複合体樹脂としたものであってもよい。有機−無機複合
体樹脂は、アクリル系共重合体エマルジョンとコロイダ
ルシリカを混合分散した後、撹拌しながらトリアルコキ
シシランを混合し、常温下、好ましくは10℃以上で熟
成することによって複合体樹脂とすることができるが、
強じんな皮膜を得るためには混合液を50℃以上、沸点
(通常105〜110℃程度)以下の温度で連続的に加
熱することが望ましく、具体的には50〜90℃で加熱
することによって3成分間の結合が充分におこなわれ
る。加熱を継続するにしたがって混合液の粘度は徐々に
上昇するが、遂にはほぼ一定となり変化が認められなく
なるから、その時期をもって終点とし加熱を停止すれば
よい。通常は終点に至るまで0.5〜5時間を必要とす
る。
【0017】上記トリアルコキシシランの代表例として
は、例えばジビニルジメトキシシラン、ジビニルジ−β
−メトキシエトキシシラン、ジ(γ−グリシドオキシプ
ロピル)ジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ
−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル
メチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシランなどをあげることができる。
【0018】複合化する場合に使用するトリアルコキシ
シランの量は、前記成分(A)と成分(B)との和10
0重量部に対して通常1〜5重量部の範囲で使用する。
【0019】本発明組成物においては、前記成分(A)
および成分(B)以外に防錆剤〔成分(C)〕が必須成
分として使用される。この防錆剤としては下記に例示す
るもの等が挙げられる。6価クロム化合物 :無水クロム酸(CrO3 )、クロム
酸リチウム(Li2 CrO4 ・2H2 O)、クロム酸ナ
トリウム(Na2 CrO4 ・10H2 O)、クロム酸カ
リウム(K2 CrO4 )、クロム酸アンモニウム((N
42 CrO4 )、重クロム酸ナトリウム(Na2
27 ・2H2 O)、重クロム酸カリウム(K2 Cr
27 )、重クロム酸アンモニウム((NH42 Cr
27 )、クロム酸ストロンチウム(SrCrO4 )、
クロム酸バリウム(BaCrO4 )、クロム酸鉛(Pb
CrO4 )、クロム酸カルシウム(CaCrO4 )、塩
基性クロム酸亜鉛(ZnCrO4 ・4Zn(OH)
2 )、塩基性クロム酸亜鉛カリウム(K2 O・4ZnO
・4CrO3 ・3H2 O)、レッド・シリコクロメート
(SiO2 ・PbCrO4 )など。
【0020】クロム酸クロム化合物:クロム酸クロムは
6価クロムと3価クロムよりなる複合化合物である。か
かる化合物を製造する方法は特に限定されるものでな
く、上記の6価クロム化合物をメタノール、エタノール
などの1価アルコール類;ソルビトール、エチレングリ
コール、グリセリンなどの多価アルコール類;ハイドロ
キノン、カテコールなどの芳香族多価アルコール;でん
粉、しょ糖、グルコースなどの糖類;ホルマリンなどの
アルデヒド類;過酸化水素、ヒドラジンなどの無機化合
物など酸化分解生成物が残存しない化合物で還元するこ
とによって得られる。これらの還元剤の使用量はクロム
酸クロム中の6価クロムの所望量に応じて化学量論的に
定められ、加熱することによって還元反応をおこなうこ
とができる。
【0021】リン酸塩系化合物 リン酸鉛、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、リ
ン酸ケイ素、縮合リン酸塩類モリブデン酸塩系化合物 モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、モリブデ
ン酸亜鉛カルシウム、モリブデン酸亜鉛カリウムホウ酸塩系化合物 メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウムその他 酸化鉄、カルシウム複合体、シアナミド亜鉛カルシウ
ム、イオン交換シリカ
【0022】本発明組成物における上記防錆剤(C)の
配合量は、特定のアクリル系共重合体エマルジョン成分
(A)とコロイダルシリカ成分(B)との和100重量
部に対して40重量部以下、好ましくは5〜30重量部
の範囲である。配合量が40重量部を越えると加工性が
低下するとともに、皮膜の耐水性が低下しブリスタの発
生を引き起こす恐れがある。本発明組成物においては、
必須成分である上記成分(A)、(B)および(C)以
外に、潤滑性、通電性、耐食性、上塗塗料密着性を向上
させるためなどに必要に応じて下記の物質を併用でき
る。
【0023】すなわち、本発明組成物中には潤滑性を付
与するために潤滑性付与剤を添加することができる。潤
滑性付与剤としては、融点が70℃以上の高融点ポリオ
レフィンワックスが有効である。ポリオレフィンワック
スは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の
オレフィン系炭化水素の重合体から成るワックスであれ
ば、いずれでもよいし、これらを組み合わせて用いても
よい。融点が70℃以上のポリオレフィンワックスは通
常、重量平均分子量が500〜20,000程度であ
る。また、フッ素系樹脂、例えばポリ四フッ化エチレン
樹脂、ポリ六フッ化プロピレン樹脂、ポリフッ化ビニリ
デン等の樹脂を上記ポリオレフィンワックスと組み合わ
せて用いてもよい。
【0024】また、本発明組成物中には導電性を付与す
るため導電性物質を混合することができる。それによっ
て電気溶接性、被膜のアース性等を改良することができ
る。かかる導電性物質としては、例えば、亜鉛、アルミ
ニウム、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、クロム、
モリブデン、タングステン、銅、鉛、錫などの金属粉末
及びそれらの合金粉末、アルミニウムドープ酸化亜鉛粉
末、酸化スズ−酸化チタン、酸化スズ−硫酸バリウム、
酸化ニッケル−アルミナなどの半導体酸化物などがあげ
られる。
【0025】また、耐食性、上塗塗料密着性等を向上さ
せるためにウレタン樹脂エマルジョン、エチレン系アイ
オノマー樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン
等を併用することができる。さらに、本発明組成物は、
組成物中に通常塗料分野で用いられる着色顔料や体質顔
料あるいは染料等を分散させることもできる。
【0026】本発明のプライマー塗装鋼板用プライマー
組成物は、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金系めっ
き鋼板、アルミニウムめっき鋼板およびこれらの鋼板類
の化成処理板などに塗装可能であるが、耐食性の点など
から特に、亜鉛めっき鋼板または亜鉛合金系めっき鋼板
に特定のクロメート処理層を形成したものに塗装するこ
とが好ましく、処理層上に本発明組成物を所定膜厚形成
することによって本発明のプライマー塗装鋼板を得るこ
とができる。
【0027】本発明プライマー塗装鋼板において、上記
亜鉛めっき鋼板としては、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜
鉛めっき鋼板のいずれでもよく、亜鉛合金系めっき鋼板
としては、鉄−亜鉛、亜鉛−アルミニウム、ニッケル−
亜鉛などの合金系めっき鋼板などを挙げることができ
る。
【0028】上記クロメート処理層を形成するクロメー
ト処理としては、反応型、塗布型、電解型等公知のクロ
メート処理によればよいが、クロム付着量が金属クロム
換算で10〜200mg/m2 である皮膜を形成する必要が
ある。付着量が10mg/m2 未満では耐食性が十分でなく
なり、200mg/m2 を越えると付着量に見合った耐食性
向上効果が得られないのみならず、鋼板の変形を伴う曲
げ加工などが施された場合に、クロメート皮膜の凝集破
壊が発生しやすくなる。クロメート皮膜の、より好まし
い量は、金属クロム換算で、鋼板片面当たり10〜10
0mg/m2 の範囲内である。
【0029】クロメート処理層を形成するクロメート処
理液の具体例は以下のとおりである。反応型クロメート
処理液の組成としては、金属クロム換算で1〜100g/
l の水溶性クロム化合物と、0.2〜20g/l の硫酸を
主成分とするものであり、かつ全クロム中の3価クロム
の含有量が50重量%以下、好ましくは20〜35重量
%であって、必要に応じてこれに適量の金属イオン、た
とえばZn2+、Co2+、Fe3+等と他の鉱酸たとえばリ
ン酸、フッ酸等を加えたものであってもよい。
【0030】塗布型クロメート処理液としては、上記反
応型クロメート処理液と同様の組成中に、分子中に多量
のカルボキシル基を含有する水溶性でかつ上記反応型ク
ロメート処理液と同様の組成と相溶性のある有機高分子
樹脂を添加し、pHを2.0〜3.5に調整したものがあ
げられる。この有機高分子としては、平均分子量1,0
00〜500,000であることが好ましい。その添加
量は一般に、樹脂分に換算して0.02〜30g/l の範
囲である。
【0031】本発明のプライマー塗装鋼板の製造におい
ては、上記クロメート処理層を風乾後、または焼付乾燥
後、このクロメート処理層上に前記本発明プライマー組
成物を塗布し、乾燥させることによってその乾燥皮膜を
形成することができる。その乾燥皮膜の厚さは、1〜1
0μm の範囲、好ましくは3〜6μm の範囲である。1
μm 未満では耐食性が期待できないばかりか、ハンドリ
ング等による擦傷発生が抑えられず好ましくない。また
10μm を越えると、厳しい加工を受けた際に皮膜はく
離を招き易くなるため好ましくない。
【0032】上記プライマー組成物の皮膜形成は、上記
組成物を、ロールコータ、カーテンフローコータあるい
はスプレー等既知の塗装手段によって塗布し、または上
記組成物中にクロメート処理した亜鉛めっき鋼板または
亜鉛合金系めっき鋼板を浸漬し引上げ後、ロール絞りや
空気吹き付けによって付着量をコントロールし、ついで
乾燥させるなどの方法によって容易に行うことができ
る。乾燥は熱風炉や誘電加熱装置等により、板温がおよ
そ60℃以上好ましくは80〜200℃になるように通
常約10秒〜90秒加熱することによってなされる。
【0033】
【実施例】以下に実施例および比較例を示す。これらの
例は本発明をより具体的に説明するためのものであっ
て、本発明の範囲を制限するものではない。なお「部」
および「%」は重量基準によるものとする。
【0034】アクリル系共重合体エマルジョンの合成例 ポリブタジエン(分子量1,900、1,4−シス型7
2%、1,4−トランス型27%及び1,2−ビニル型
1%)150部、無水マレイン酸20部及びキシレン7
5部をオートクレーブに封入して窒素ガス置換をした
後、撹拌しながら190〜200℃で5時間反応させ
た。反応後、水で洗浄し、ブチルセロソルブ60部を添
加しエバポレーターで水を除去してマレイン化ポリブタ
ジエンを得た。このものの酸価は93、濃度85.6%
であった。ついでオートクレーブ中にスチレン40部、
ブチルメタクリレート40部、エチルアクリレート20
部、上記マレイン化ポリブタジエン40部、28%アン
モニア水10部、水233部及び過硫酸アンモニウム
0.2部を加え、窒素ガス置換し撹拌しながら75〜8
5℃で2時間加熱し、冷却することにより固形分35%
のアクリル系共重合体〔A〕エマルジョンを得た。
【0035】有機−無機複合体樹脂の合成例 上記のようにして合成された固形分35%のアクリル系
共重合体エマルジョン(A)液214部、脱イオン水1
61部およびスノーテックスC(日産化学工業社製、pH
9〜10、粒子径10〜20μm の水性コロイダルシリ
カ分散液)125部を均一に混合し、この中にγ−メタ
クリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン2部を撹
拌下で滴下混合し、ついで85℃に加熱して同温度で2
時間反応せしめることによって、固形分約20%で乳白
色の有機−無機複合体樹脂〔B〕水分散液を得た。
【0036】実施例1〜11および比較例1〜9 板厚0.4mm、めっき量130g/m2の溶融亜鉛めっき鋼
板(表1中で「Zn」と略記する。)または板厚0.4
mm、めっき量90g/m2の亜鉛−アルミニウム合金(Zn
43.4%、Al 55%、Si 1.6%)めっき鋼
板(表1中で「Zn−Al」と略記する。)のめっき層
上に、反応型クロメート処理または塗布型クロメート処
理を施し、乾燥することによってクロメート処理層を形
成した。ついで、上記クロメート処理層を形成しためっ
き鋼板上に、前記合成例で合成したアクリル系共重合体
〔A〕エマルジョン、有機−無機複合体樹脂〔B〕水分
散液、その他、界面活性剤を乳化剤とするアクリル樹脂
〔C〕エマルジョン、エポキシ樹脂〔D〕エマルジョ
ン、ウレタン樹脂〔E〕エマルジョン、コロイダルシリ
カ水分散液、防錆剤および顔料類を表1に示す固形分配
合量となるように適宜分散、配合したプライマー組成物
を表1に示す乾燥塗膜厚さになるようにロールコータに
よって塗布した。ついで熱風乾燥炉によって鋼板の温度
が100℃に到達するまで約15秒間加熱して塗膜を乾
燥させて各プライマー塗装鋼板を作成した。表1におい
て、実施例10については有機−無機複合体樹脂〔B〕
を使用しているため、その成分の内訳について( )を
付して記載する。
【0037】表1において、コロイダルシリカおよび防
錆剤の種類は下記のとおりである。コロイダルシリカの種類 a:スノーテックスC(日産化学工業社製、粒度10〜
20μm の水性コロイダルシリカ分散液) b:アデライトAT−20(旭電化工業社製、粒度10
〜20μm の水性コロイダルシリカ分散液) c:スノーテックス20L(日産化学工業社製、粒度約
45μm の水性コロイダルシリカ分散液)防錆剤の種類 I:クロム酸ストロンチウム、 II:クロム酸バリ
ウム III :縮合リン酸アルミニウム、 IV:モリブデン酸
カルシウム V:シールデックス(富士シリシア化学社製、カルシウ
ムイオン交換シリカ)
【0038】上記実施例及び比較例で得たプライマー鋼
板について、プライマー鋼板単独、およびその上にフタ
ル酸系常乾塗料(膜厚35μm )またはアミノアルキッ
ド系焼付塗料(膜厚35μm 、焼付け条件120℃−2
0分)を塗装した上塗塗装板について以下に示す試験を
行なった。試験結果を後記表2に示す。
【0039】折曲げ−テープ試験 塗面を外側にして、内側面の曲率半径が2mmとなるよう
にプライマー塗装鋼板を180度折曲げ、この折曲げ部
の塗面にセロハンテープを密着させた後、すばやくテー
プをはがした際の折曲げ部の塗面のワレ、はがれを目視
評価した。 ◎:ワレ、はがれが全く認められない。 ○:ワレは認められるが、はがれは全く認められない。 △:はがれが10%未満認められる。 ×:はがれが10%以上認められる。
【0040】ゴバン目−テープ試験 上塗塗装板の塗面にカッターを用いて1mm間隔で素地に
達する100個のゴバン目を作り、その上に幅25mmの
セロハンテープをはりつけ、直径10mmの先の丸い棒ま
たは同等品を用いて均一な力で強くゴバン目の部分を均
等にこすりセロハンテープを密着した後、すばやくテー
プを180度方向にはがし、はがれの有無を肉眼で調べ
た。 ◎:全くはがれがない ○:はがれが10%未満 △:はがれが10〜50% ×:はがれ50%を超える
【0041】耐食性 試験片の塗面の下方にカッターで、素地まで達するクロ
スカットを入れ、塩水噴霧試験器の中へ15度傾けて置
き、240時間後にクロスカットからのサビ、フクレの
侵入距離(片側mm)により評価する。 ◎:全くフクレ、サビを認めない ○:侵入距離1mm未満 △:侵入距離1〜3mm ×:侵入距離3mmを超える
【0042】耐湿性 試験片を耐湿試験器(機内温度49±1℃、相対湿度9
5%以上)に240時間放置後、塗面のブリスタ程度を
ASTM基準で評価。 ◎:塗膜に全く異常を認めない ○:ブリスター密度がASTM評価で「F」 △:ブリスター密度がASTM評価で「M」 ×:ブリスター密度がASTM評価で「D」
【0043】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかな如く、本発
明によれば、水系で、低温、短時間の焼付けで硬化でき
るプライマー組成物を使用しているのでめっき製造ライ
ンで製造可能であり、かつ上塗塗装した際に上塗塗膜と
の密着性および耐食性の優れたプライマー塗装鋼板の提
供を可能にしたものであり、産業上の効果は極めて顕著
なものがある。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 22/00 Z

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)マレイン化ポリブタジエンを乳化
    剤とし、スチレンを必須成分として含有するアクリル系
    共重合体エマルジョン、(B)粒子径100μm 以下の
    コロイダルシリカ及び(C)防錆剤を必須成分とし、
    (C)成分の量が(A)成分と(B)成分との和100
    重量部に対して40重量部以下であることを特徴とする
    プライマー塗装鋼板用プライマー組成物。
  2. 【請求項2】 亜鉛めっき鋼板または亜鉛合金系めっき
    鋼板の表面に、クロム付着量が金属クロム換算で10〜
    200mg/m2 であるクロメート処理層が形成され、その
    上に(A)マレイン化ポリブタジエンを乳化剤とし、ス
    チレンを必須成分として含有するアクリル系共重合体エ
    マルジョン、(B)粒子径100μm以下のコロイダル
    シリカ、及び(C)防錆剤を主成分とし、(C)成分の
    量が(A)成分と(B)成分との和100重量部に対し
    て40重量部以下であるプライマー組成物の皮膜が、乾
    燥塗膜厚さ1〜10μm に形成されてなることを特徴と
    するプライマー塗装鋼板。
JP22796493A 1993-08-20 1993-08-20 プライマー塗装鋼板およびこのものに用いられるプライマー組成物 Pending JPH0762268A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22796493A JPH0762268A (ja) 1993-08-20 1993-08-20 プライマー塗装鋼板およびこのものに用いられるプライマー組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22796493A JPH0762268A (ja) 1993-08-20 1993-08-20 プライマー塗装鋼板およびこのものに用いられるプライマー組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0762268A true JPH0762268A (ja) 1995-03-07

Family

ID=16869023

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22796493A Pending JPH0762268A (ja) 1993-08-20 1993-08-20 プライマー塗装鋼板およびこのものに用いられるプライマー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0762268A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996036748A1 (fr) * 1995-05-18 1996-11-21 Nippon Steel Corporation Toles metalliques traitees par resine-chromate et reduites par lessivage du chrome
JP2001106967A (ja) * 1999-10-04 2001-04-17 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物及びこの組成物を塗装した塗装物品
WO2001085859A1 (fr) * 2000-05-12 2001-11-15 Toagosei Co., Ltd. Composition d'etancheite a base d'eau
JP2002038130A (ja) * 2000-05-15 2002-02-06 Teruyoshi Hiraoka シーラー用水性樹脂組成物
CN1297688C (zh) * 2000-05-30 2007-01-31 杰富意钢铁株式会社 具有有机涂层的钢板和其制造方法
JP2007254610A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Emulsion Technology Co Ltd プライマー組成物
JP2017031325A (ja) * 2015-07-31 2017-02-09 富士フイルム株式会社 水性塗布液、膜及びその製造方法、積層体、並びに太陽電池モジュール

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996036748A1 (fr) * 1995-05-18 1996-11-21 Nippon Steel Corporation Toles metalliques traitees par resine-chromate et reduites par lessivage du chrome
JP2001106967A (ja) * 1999-10-04 2001-04-17 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物及びこの組成物を塗装した塗装物品
WO2001085859A1 (fr) * 2000-05-12 2001-11-15 Toagosei Co., Ltd. Composition d'etancheite a base d'eau
JP2002038130A (ja) * 2000-05-15 2002-02-06 Teruyoshi Hiraoka シーラー用水性樹脂組成物
CN1297688C (zh) * 2000-05-30 2007-01-31 杰富意钢铁株式会社 具有有机涂层的钢板和其制造方法
JP2007254610A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Emulsion Technology Co Ltd プライマー組成物
JP2017031325A (ja) * 2015-07-31 2017-02-09 富士フイルム株式会社 水性塗布液、膜及びその製造方法、積層体、並びに太陽電池モジュール
WO2017022433A1 (ja) * 2015-07-31 2017-02-09 富士フイルム株式会社 水性塗布液、膜及びその製造方法、積層体、並びに太陽電池モジュール

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6875479B2 (en) Method for coating metal surfaces with an aqueous, polymer-containing composition, said aqueous composition and the use of the coated substrates
EP1599551B1 (de) Verfahren zur beschichtung von metallischen oberflächen mit einer zusammensetzung reich an polymer
JP2792324B2 (ja) 複層亜鉛系めっき鋼板
US20030185990A1 (en) Method for pretreating and coating metal surfaces prior to forming, with a paint-like coating and use of substrates so coated
JP2628782B2 (ja) 亜鉛系めっき鋼板のクロメート処理方法
WO2007144950A1 (ja) 被覆鋼板
JPH0753911B2 (ja) 亜鉛系めっき鋼板のクロメート処理方法
JPH0762268A (ja) プライマー塗装鋼板およびこのものに用いられるプライマー組成物
JP6510670B2 (ja) 亜鉛めっき鋼材用または亜鉛基合金めっき鋼材用水系表面処理剤、被覆方法及び被覆鋼材
JPH0148870B2 (ja)
JP2003251743A (ja) 樹脂被覆表面処理鋼板
JP2002363764A (ja) 塗装下地処理剤、表面処理方法、金属材、加工方法、及び金属製品
JPS60199074A (ja) 表面処理組成物及び表面処理方法
JP4207536B2 (ja) 表面処理金属板および表面処理剤
JP3923418B2 (ja) ノンクロム処理亜鉛系めっき鋼板とその製造方法
JP4042913B2 (ja) 亜鉛めっき鋼板用又は亜鉛合金めっき鋼板用水系塗料組成物及び塗装鋼板
ZA200302123B (en) Method for pretreating and coating metal surfaces, prior to forming, with a paint-like coating and use of substrates so coated.
JP3124266B2 (ja) 塗膜密着性と加工部の耐食性に優れ環境負荷の小さい塗装鋼板
KR20040065220A (ko) 표면 처리 금속판 및 표면 처리제
JP4246689B2 (ja) 耐食性に優れるプレコート金属板
JP4968992B2 (ja) 表面処理金属板および表面処理剤
JP2000248380A (ja) 非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JPH07300683A (ja) 低温焼付性に優れたクロメート処理方法
JP2004197201A (ja) 非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JP3909016B2 (ja) 非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法