JPH0762110A - ポリノルボルネン系樹脂成形品 - Google Patents

ポリノルボルネン系樹脂成形品

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JPH0762110A
JPH0762110A JP5207814A JP20781493A JPH0762110A JP H0762110 A JPH0762110 A JP H0762110A JP 5207814 A JP5207814 A JP 5207814A JP 20781493 A JP20781493 A JP 20781493A JP H0762110 A JPH0762110 A JP H0762110A
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JP
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fiber
solution
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polymer
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JP5207814A
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English (en)
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Hirotoshi Tanimoto
博利 谷本
Yoichiro Kubo
洋一郎 久保
Atsushi Kato
淳 加藤
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Zeon Corp
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有機繊維材料/ポリノルボルネン系樹脂の界
面に良好な物理的、化学的接着性を付与し、機械特性に
優れる有機繊維複合材料を提供する。 【構成】 ノルボルネン系モノマーのメタセシス重合を
阻害しない、繊維表面被覆ポリマーおよび/または繊維
表面改質剤で表面処理した有機繊維系材料の存在下にノ
ルボルネン系モノマーを塊状重合して得られ、ボイド分
率が5容量%以下であることを特徴とするポリノルボル
ネン系樹脂成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリノルボルネン系樹
脂成形品に関し、さらに詳しくは、有機繊維材料の存在
下に、ノルボルネン系モノマーのメタセシス触媒系によ
る塊状重合を用いた反応射出成型(RIM)法により得
られる、ボイド分率の少ないポリノルボルネン系樹脂成
形品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の有機繊維材料/熱可塑性樹脂複合
材料としては、特開昭63−30209号、特開昭63
−87228号、特開平1−280199号、特開平2
−144901号、特開平3−76614号、特開平3
−121135号、特開平3−130118号および特
開平3−161331号公報などにアラミド繊維材料/
熱可塑性樹脂複合材料が開示されている。特開昭59−
207966号、特開平1−43532号、特開平2−
124956号、特開平3−76614号および特開平
3−130118号公報には、ナイロン繊維材料または
ポリエステル繊維材料/熱可塑性樹脂複合材料が開示さ
れている。
【0003】また、特開昭62−57429号公報に
は、高弾性剛性繊維材料/高分子液晶複合材料が、特開
平4−44834号公報には、耐熱繊維材料/熱可塑性
樹脂複合材料に関して記載されている。
【0004】一方、上記以外の有機繊維材料/熱可塑性
樹脂の組み合わせとしては、特開平1−111037
号、特開平2−110140号および特開平2−124
956号各公報にはポリエチレン繊維材料、ポリオレフ
ィン繊維材料/エチレンプロピレンゴム(EPR)もし
くは、架橋ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂が記載され
ている。さらに、特開平3−30916号公報には、ポ
リアリレート繊維材料または、ビニロン繊維材料/熱可
塑性樹脂複合材料が記載されている。
【0005】他方、従来の有機繊維材料/熱硬化性樹脂
複合材料としては、強化繊維材料としてアラミド繊維材
料、超高分子量ポリエチレン繊維材料、ビニロン繊維材
料および、PPS繊維材料などと不飽和ポリエステル樹
脂またはエポキシ樹脂複合材料が製造されている。これ
らの複合材料は、予め樹脂を含浸したプレプリグを金型
内に積層した後、加熱、加圧にて樹脂を硬化させるかま
たは袋状の織物に樹脂を含浸させることにより製造され
る。さらに、特開平3−30916号公報には、ポリア
リレート繊維材料、ビニロン繊維材料/熱硬化性樹脂複
合材料が開示されている。この公開特許公報において、
繊維よりなるマットに熱硬化性樹脂を含浸させることに
より複合体シートが得られる。
【0006】また、ポリノルボルネン系樹脂成形品を有
機繊維材料で補強することが特開平3−146517号
および特開平4−357010号各公報に開示されてお
り、シランカップリング剤を用いた表面処理法が特開平
3−146517号公報に開示されている。
【0007】一方、特開平3−147822号公報に
は、挿入体を内包する複合ノルボルネン系樹脂成形品を
製造するにあたり、挿入体による重合阻害の対策とし
て、重合阻害性のないポリマーで挿入体を表面処理する
方法が開示されている。この方法は、主としてシート
状、板状などの挿入体を対象とし、その表面に上記ポリ
マーの被覆層を形成させ、これにより挿入体とポリノル
ボルネン樹脂とが良好に密着した複合材料が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
有機繊維材料/熱可塑性樹脂複合材料においては、繊維
または織物に溶融した樹脂を強制的に含浸させる関係
上、ボイド含有率の低減または樹脂の均一含浸を容易に
行うことが不可能であった。また、成形温度が高いた
め、アラミド繊維材料およびベクトラン繊維材料などの
耐熱性に優れる有機繊維材料を使用するか、あるいはま
た用いる有機繊維材料のガラス転移点(Tg )および結
晶融点(Tm ) よりも低い流動温度を有する熱可塑性樹
脂を用いるかのいずれかに限定されていたため、高い機
械特性を有する反面、熱安定性が低い有機繊維材料との
複合化は困難であった。なお、熱安定性の低い有機繊維
材料としては、高分子量ポリエチレン繊維(Tg : 120
℃、Tm :147 ℃)および強力ビニロン繊維(Tg :60
〜80℃、Tm :230 ℃)などがある。
【0009】他方、前述の有機繊維材料/熱硬化性樹脂
複合材料においても、樹脂の繊維に対する含浸性並びに
繊維/樹脂界面の接着性に改善の余地があり、有機繊維
材料の補強効果を最大限に活用しているとは言えない。
【0010】また、上記従来技術における、ポリノルボ
ルネン系樹脂成形品を有機繊維材料で補強する方法およ
びシランカップリング剤を用いた表面処理法では、しば
しば重合阻害を起こすことがあり、また重合阻害のない
場合でも近年の厳しい要求性能に対しては未だ十分でな
い。
【0011】一例として本発明者等は、有機繊維材料を
補強するために、特開平3−147822号公報に記載
された方法の応用を試みたが、この手法をそのまま応用
した場合には重合阻害防止効果は得られたものの機械特
性の改善は必ずしも十分ではなく、期待された性能を有
する成形品は得られなかった。
【0012】従って本発明の目的は、ポリノルボルネン
系樹脂との接着性に劣る有機繊維材料あるいはノルボル
ネン系モノマーの開環重合を阻害する表面を持った有機
繊維材料を使用する場合に、有機繊維材料/ポリノルボ
ルネン系樹脂の界面に良好な物理的、化学的接着性を付
与し、機械特性に優れる有機繊維複合材料を提供するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは機
械特性を改良できない原因についてさらに検討した結
果、従来の成形品の場合では、比較的ボイド分率が高い
ために性能が必ずしも十分向上しないという知見を踏ま
え、有機繊維材料の表面処理に使用する繊維表面被覆ポ
リマー溶液あるいは繊維表面改質剤溶液の濃度条件を変
えることによりボイドが減少しうることを見出した。ノ
ルボルネン系モノマーのメタセシス重合を阻害しない、
繊維表面被覆ポリマーおよび/または繊維表面改質剤で
表面処理した有機繊維系材料の存在下にノルボルネン系
モノマーを塊状重合して得られ、ボイド分率が5%以下
とすることにより、繊維表面被覆ポリマー処理あるいは
繊維表面改質剤処理によりノルボルネン系モノマーと有
機繊維材料との濡れ性を向上させると共に、有機繊維表
面での重合阻害を防止し、該繊維材料とポリノルボルネ
ン系樹脂との界面に、強固な物理的接着層、若しくは、
化学反応による強固な化学的接着構造を付与し、前記目
的を達成できることを見出した。本発明は、これらの知
見に基づいて完成するに至ったものである。
【0014】(繊維表面被覆ポリマー)本発明におい
て、有機繊維材料を被覆処理するために用いられる繊維
表面被覆ポリマーは前記(特開平3−147822号公
報)に開示されているものも含めて、高密度ポリエチレ
ン、直鎖低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポ
リプロピレンおよびエチレン−プロピレンゴムなどのオ
レフィン系ポリマー、ポリブタジエンなどのジエン系ポ
リマー、ポリエチレンテレフタレートなどのエステル系
ポリマー、ポリカーボネート、ポリスルホンまたはポリ
エーテルスルホン、ポリエーテルイミドなどのポリイミ
ド、さらに、ポリビニルアルコール、ポリピロリドンま
たは、ポリビニルブチラールなどの水溶性または親水性
ポリマー、若しくは、前記ポリマーの2種以上の混合物
である。
【0015】繊維表面被覆ポリマーで繊維表面を被覆す
ることにより、後述する反応液の繊維表面に対する濡れ
性が改善され、ボイドの発生が抑えられる。また、重合
阻害性のある繊維と反応液の接触が断たれるため、繊維
表面近傍ではノルボルネン系モノマーの硬化があまくな
ることはない。さらに、かかるポリマーは溶剤を蒸散、
除去する際に表面に凹凸を生じながら成膜されるため、
その凹凸に反応液を含浸し、アンカー効果によって接着
率が付与される。また、ポリマーによってはポリイミド
のように有機繊維材料に粘着性を示すものや、ポリオレ
フィンのようにノルボルネン系モノマーの硬化時にノル
ボルネン系モノマーと融着するものもある。繊維表面被
覆ポリマーは、このような物理的接着力の付与により、
機械的強度を向上させる。
【0016】また、該ポリマー層の凹凸による接着力を
強化するためにカオリナイトまたはベントナイトなどの
粘土化合物、タルク、コロイダルシリカ、カーボンブラ
ックなどの無機微粒子充填剤を重合性やぬれ性に悪影響
を生じない範囲で添加してよい。その他に、各種顔料ま
たは染料などの着色剤、酸化防止剤または紫外線吸収剤
などの劣化防止剤、防曇剤、帯電防止剤などを重合性や
ぬれ性に悪影響を生じない範囲で、後述するポリマー溶
液に必要に応じて添加しても良い。
【0017】(繊維表面改質剤)さらに、本発明者らは
ノルボルネン系モノマーの開環重合を阻害しないで、且
つ、有機繊維材料、ポリノルボルネン系樹脂のいずれ
か、若しくは両者と接着性を有する低分子化合物(以
下、繊維表面改質剤と呼ぶ。)で有機繊維材料を表面処
理することにより、有機繊維材料とノルボルネン系樹脂
との間に化学的接着性を付与させ機械特性に優れる有機
繊維複合材料が得られることを見出した。この繊維表面
改質剤としては、アリルグリシジルエーテルまたはグリ
シジルメタクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポ
キシドまたはビニルモノエポキシドなどの二重結合とグ
リシジル基、若しくはエポキシ基を有する化合物、アリ
ルイソシアネートなどのアリル基とイソシアネート基と
を有する化合物、アクリル酸またはアクリル酸メチルな
どのビニル基とカルボキシル基、若しくはエステル基を
有する化合物が好ましい。これらの改質剤は特に高強力
ビニロン繊維材料のOH基のごとき極性官能基を有する
有機繊維材料に付加反応、エステル交換反応、若しく
は、各種縮合反応にて化学的に有機繊維材料に結合する
と同時に、前記改質剤が有するアリル基またはビニル基
などの二重結合がノルボルネン系モノマーのメタセシス
触媒系重合反応に関与するため、該繊維材料/ポリノル
ボルネン系樹脂の界面接着性の向上に効果がある。ま
た、該処理により反応液の繊維に対するぬれ性が改善さ
れ、ボイドの発生が抑えられる点および重合阻害性が少
なくなる点は、繊維表面被覆ポリマーで記述した通りで
ある。尚、必要に応じて、これらの繊維表面改質剤と前
記繊維表面被覆ポリマーとを数種類組み合わせて使用す
ることも可能である。
【0018】(有機繊維材料の種類および形態)有機繊
維としては、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、超高
分子量ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロ
ン繊維、高強力ビニロン繊維(ポリビニルアルコール繊
維)、ポリエステル繊維、ナイロン繊維およびこれら繊
維の混織、ガラス繊維または炭素繊維などの無機繊維と
上記繊維との混織などが挙げられる。これら繊維の形態
は、長繊維状またはチョップドストランド状のものをマ
ット化したもの、布状に織ったもの、チョップ形状のま
まのもの等、特に限定されないが、一方向織物、クロス
または斜子などを含む平織、繻子織り、さらに、3次元
織物などが好ましい。また、ガラス繊維または炭素繊維
などの無機繊維と前記有機繊維を混織するかまたは無機
繊維織物と前記有機繊維織物と積層させて使用してもよ
い。
【0019】(有機溶剤による予備洗浄処理)有機繊維
材料、特に織物では、繊維座屈防止または表面保護、繊
維束の集束性向上柔軟性付与、並びに帯電防止のため
に、繊維紡糸工程内にて繊維表面に、鉱油などを成分と
する加工油(油剤)、柔軟性加工用界面活性剤、有機塩
若しくは無機塩類から成る帯電防止剤が塗布してあり、
これらの繊維加工剤は水素イオンを放出するかまたはメ
タセシス重合触媒と相互作用するために、ノルボルネン
系モノマーのメタセシス重合を阻害する場合が多い。特
に、高強度、高弾性率を有する有機繊維では、繊維織物
の製造工程で、繊維の破損を防止するために、油剤によ
る繊維被覆が必須であるが、この油剤はノルボルネン系
モノマーのメタセシス触媒系の重合反応を著しく阻害す
るので、塊状重合を行う前に予め、油剤を繊維織物から
除去する必要がある。尚、油剤洗浄用有機溶剤としては
アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル
類、シクロヘキサンなどの脂環類、ベンゼンなどの芳香
族類、ジクロロメタンまたはジクロロベンゼンなどの塩
素系有機溶剤、およびN−メチルピロリドンなどの非プ
ロトン性溶剤が好ましい。これらの有機溶剤のいずれか
一つ、若しくは2種類以上の混合溶剤を用い、その溶剤
の沸点以下から室温以上の温度にて、前記有機繊維材料
を洗浄した後、有機溶剤を完全に乾燥、除去する。
【0020】(有機繊維材料の表面処理)本発明におい
ては、開環重合中に共存させる有機繊維材料の反応液接
触表面を開環重合阻害しない繊維表面被覆ポリマーまた
は繊維表面改質剤で表面処理した有機繊維材料を用い
る。 (繊維表面被覆ポリマー処理)有機繊維材料を繊維表面
被覆ポリマーで表面処理するには、該ポリマーを、必要
に応じて無機充填剤または各種の添加剤と共に、溶剤ま
たは分散剤(以下、両者を「溶剤」と呼ぶ。)に溶解ま
たは分散させ、これに有機繊維材料を浸漬した後、溶剤
を除去することにより行う。この際、溶液または分散液
のポリマー濃度が高い場合には、後述する比較例に示し
たごとくボイド分率の改善効果を期待できないので、5
%以下の稀薄状態で処理することが望ましい。
【0021】尚、これらのポリマーを繊維材料に被覆す
る場合には、ポリマーを適当な溶剤に溶解、若しくは懸
濁させた状態で繊維材料に塗布するか、あるいは、繊維
材料をポリマー溶液に浸した後、溶剤を留去し被覆す
る。尚、前記ポリマー溶液の溶剤としては、水、メタノ
ール、エタノールまたはブチルアルコールなどのアルコ
ール類、蟻酸または酢酸などのカルボン酸、酢酸エチル
などのエステル類、アセトンまたはメチルエチルケトン
などのケトン類、石油エーテルまたはジオキサンなどの
エーテル類、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの
芳香族類、クロロホルム、ジクロロメタンまたはジクロ
ロベンゼンなどの塩素系溶剤、ジメチルホルムアミド、
N−メチルピロリドンまたは、ジメチルスルホキシドな
どの非プロトン性溶剤および後述するノルボルネン系モ
ノマーなどの炭化水素系化合物が好ましい。
【0022】このポリマー処理では、ポリマーの繊維織
物への付着率
【数1】 を溶液濃度や浸漬回数等の処理条件を変えることにより
任意に選択することが可能であるが、一般的には 0.001
〜17重量%、好ましくは 0.002〜7重量%である。尚、
付着率が 0.001重量%より低い場合には、被覆ポリマー
が有機繊維材料表面を、均一に、且つ十分に覆うことが
できないので、繊維材料/樹脂界面での前記した反応液
の繊維に対するぬれ性や重合阻害性の抑制効果が十分に
発現しない。逆に、付着率が17重量%より大きい場合に
は被覆されたポリマーが繊維束に塊状状態で付着して、
メタセシス重合反応液の繊維含浸性を阻害しまた、複合
材料中にボイドを残留させる。
【0023】(繊維表面改質剤処理)本発明者等は、化
学反応を介して有機繊維材料表面に付加し、且つメタセ
シス重合を阻害することなく、ノルボルネン系モノマー
反応系に組み込まれる官能基を有機繊維材料表面に付与
することにより、繊維材料と樹脂との化学的接着性を向
上させる繊維表面改質剤を見出した。有機繊維を繊維表
面改質剤で表面処理する場合は、該表面改質剤を溶剤ま
たは分散剤(以下、両者を「溶剤」と呼ぶ。)に溶解さ
せるかまたは分散させ、さらに、必要に応じて繊維表面
被覆ポリマー、無機充填剤または、各種の添加剤もまた
添加および混合した後、この処理液を有機繊維材料にス
プレーで塗布するか、若しくは繊維材料をこの溶液に直
接浸漬する。この時、有機繊維と繊維表面改質剤の反応
を促進させるために、処理温度を溶剤の沸点付近から室
温付近で設定することができる。次いで、処理済繊維材
料に付着した余分な処理溶液を除去した後、溶剤成分を
完全に蒸散、除去する。尚、溶剤としては、ベンゼン、
トルエン、ジクロロベンゼンまたはニトロベンゼンなど
の芳香族類、アセトン、メチルエチルケトンまたはシク
ロヘキサノンなどのケトン類、エチルエーテル、プロピ
ルエーテルなどのエーテル類を使用し、必要に応じて、
ボロントリフルオロエタレートまたはp−トルエンスル
ホン酸などの酸性触媒、若しくは水酸化ナトリウムまた
はナトリウムエトキシドのような塩基性触媒を添加す
る。
【0024】溶液濃度や浸漬回数等の処理条件を変える
ことにより、繊維表面改質剤の繊維材料の付着率
【数2】 を任意に選択することが可能であるが、一般的には 0.0
01〜10重量%、好ましくは 0.005〜5重量%である。
尚、付着率が 0.001重量%より低い場合には、繊維表面
改質剤が有機繊維表面に十分に反応、付加することがで
きないので、繊維/樹脂界面の化学的接着が十分に達成
されず、反応液の繊維表面に対するぬれ性の改善もなさ
れない。逆に、付着率が10重量%より大きい場合には、
前記表面改質剤が繊維束に塊状状態で反応および付着し
て、前記メタセシス重合反応液の繊維含浸を阻害するか
または複合材料中にボイドを残留させるばかりでなく、
繊維/樹脂間に脆い界面層を形成して、複合材料の機械
特性の低下を招く。
【0025】(ポリノルボルネン系樹脂)本発明の複合
材料は、ノルボルネン系モノマーとメタセシス触媒系を
含む反応液を、他部材の存在下に、金型内で塊状開環重
合して得たポリノルボルネン系樹脂の複合材料である。
【0026】一般に、ポリノルボルネン系樹脂から成る
成形品は、互いに反応して速やかにポリマーを生成する
2種以上の低粘度原料を混合し、次いで混合した反応液
を、金型内に供給して型内で硬化させる、いわゆるRI
M法により製造することができる。例えば、反応液とし
て、活性剤とノルボルネン系モノマーを含む反応液と、
メタセシス触媒とノルボルネン系モノマーを含む反応液
とを用い、両液を混合して金型内に供給し、塊状開環重
合させることによりポリノルボルネン系樹脂成形品が得
られる。
【0027】RIM法によるポリノルボルネン系樹脂の
成形は、通常の熱可塑性樹脂の射出成形に比べ、射出圧
力が著しく低いため、安価で軽量の金型を使用でき、ま
た、金型内での原料の流動性がよいので、インサート成
形品または大型成形品、複雑な形状の成形品を製造する
のに好ましい。
【0028】ノルボルネン系モノマー 本発明において用いるポリノルボルネン系樹脂は、ノル
ボルネン環をもつものであればいずれでもよいが、三環
体以上の多環ノルボルネン系モノマーを用いて製造した
ものであることが特に好ましい。三環体以上であること
によって、熱変形温度の高い重合体が得られ、複合材料
として要求される耐熱性を満たすことができる。また、
本発明においては、生成する開環重合体を熱硬化型とす
ることができ、そのためには全モノマー中の少なくとも
10重量%、好ましくは30重量%以上の架橋性モノマーを
使用してもよい。
【0029】ノルボルネン系モノマーの具体例として
は、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジ
シクロペンタジエンまたはジヒドロジシクロペンタジエ
ンなどのごとき三環体、テトラシクロドデセンなどのご
とき四環体、トリシクロペンタジエンなどのごとき五環
体、テトラシクロペンタジエンなどのごとき七環体、こ
れらのアルキル置換体(例えば、メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル置換体など)、アルケニル置換体(例え
は、ビニル置換体など)、アルキリデン置換体(例え
ば、エチリデン置換体など)並びにアリール置換体(例
えば、フェニル、トリルおよびナフチル置換体など)な
どが例示される。なかでも、入手の容易さ、反応性、耐
熱性等の見地から、三環体ないし五環体が賞用される。
【0030】架橋性モノマーは、反応性の二重結合を2
個以上有する多環ノルボルネン系モノマーであり、その
具体例としてジシクロペンタジエン、トリシクロペンタ
ジエンおよびテトラシクロペンタジエンなどが例示され
る。したがって、ノルボルネン系モノマーと架橋性モノ
マーとが同一物である場合には格別他の架橋性モノマー
を用いる必要はない。なお、上記のノルボルネン系モノ
マーの1種以上と共に開環重合し得るシクロブテンなど
の単環シクロオレフィンなどを、本発明の目的を損なわ
ない範囲で併用することができる。
【0031】メタセシス触媒系 用いる触媒は、ノルボルネン系モノマーの開環重合用触
媒として公知のメタセシス触媒と活性剤とからなるメタ
セシス触媒系であればいずれでもよく、具体例として
は、タングステン、モリブデンおよびタンタルなどのハ
ロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物並びに有機ア
ンモニウム塩などのメタセシス触媒が挙げられ、また、
活性剤(共触媒)の具体例としては、アルキルアルミニ
ウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライ
ド、アリールオキシアルキルアルミニウムハライドおよ
び有機スズ化合物などが挙げられる。
【0032】メタセシス触媒は、ノルボルネン系モノマ
ーの1モルに対し、通常、約0.01〜50ミリモル、好まし
くは0.1 〜20ミリモルの範囲で用いられる。活性剤(共
触媒)は、触媒成分に対して、好ましくは1〜10(モル
比)の範囲で用いられる。
【0033】メタセシス触媒および活性剤は、いずれも
モノマーに溶解して用いる方が好ましいが、生成物の性
質を本質的に損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁
または溶解させて用いてもよい。
【0034】塊状開環重合 ポリノルボルネン系樹脂の好ましい製造法では、ノルボ
ルネン系モノマーを二液に分けて別の容器に入れ、一方
にはメタセシス触媒を、他方には活性剤をそれぞれ添加
し、二種類の安定な反応液を調製する。この二種類の反
応液を混合し、次いで所定形状の金型または型枠(両者
を合せて金型という)中に注入し、そこで塊状による開
環重合を行う。
【0035】金型温度は、通常、室温以上、好ましくは
40〜200 ℃、特に好ましくは50〜130 ℃である。重合反
応に用いる成分類は、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気
下で貯蔵し、かつ操作することが好ましい。金型の材質
は、金属、樹脂、木および石膏などのいずれでもよい。
【0036】ポリノルボルネン系樹脂には、有機繊維材
料の他にガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、酸化
防止剤、充填材、補強材、発泡剤、顔料、着色剤および
エラストマーなどの添加剤を配合することができる。こ
れらの添加剤は、通常、反応液に溶解ないしは分散させ
て配合するが、金型内に配設しておく場合もある。
【0037】(ノルボルネン系樹脂成形品の製造)予め
金型内に、繊維表面被覆ポリマーで表面処理した有機繊
維織物、若しくは繊維表面改質剤で表面処理した有機繊
維材料を金型内に設置しておき、その金型内に反応液を
供給して前述の反応条件で塊状開環重合を行う。有機繊
維材料が織物の場合は通常、4〜8枚積層する。尚、各
種表面処理した繊維材料は金型内の型面に密着させて設
置するか、または中子として型の空間部分に置くことが
できる。
【0038】ポリノルボルネン系樹脂の成形は、通常の
RIM 法にメタセシス触媒系を含む反応液を金型内に供給
して硬化(塊状開環重合)させることにより行うことが
できる。反応液の供給方法としては、2種以上の反応液
をRIM 機のミキシング・ヘッドで瞬間的に混合した後、
高温の成形金型内に注入するか、あるいは、ポットライ
フが長い反応液の場合には、ミキサー中で混合が完了し
てから、予備加熱した金型内に1回または数回にわたっ
て射出あるいは注入してもよい。これらの操作は、必要
に応じて不活性ガス雰囲気下で行う。金型内圧は、−1
kg/cm2 から50kg/cm2、好ましくは大気圧〜5kg/cm2
ある。
【0039】以下本発明を図面を参照して説明する。図
1に、本発明に係る有機繊維の繊維表面被覆ポリマー処
理および繊維表面改質処理の手順を示した工程図を示
す。
【0040】有機繊維の繊維表面被覆ポリマー処理を図
1のA→B→C→D→F→Gの手順で行った。市販有機
繊維織物の油剤および汚れを除去するために、脱脂を行
った。脱脂工程では、沸点が100 ℃以下で、有機繊維織
物1を溶解および変質させない有機溶剤2、例えば、ア
セトンのごときケトン類、エタノールのごときアルコー
ル類、エチルエーテルのごときエーテル類、シクロヘキ
サンのごとき脂環類、ベンゼンのごとき芳香族類を使用
して、室温にて、前記織物1を約10分間浸漬することに
より実施した。尚、溶剤の種類、溶剤浸漬温度と時間に
関しては、任意選択が可能であるので、特に溶剤の種
類、条件範囲を制限しない。脱脂工程の最後に有機溶剤
2中から、前記繊維織物1を取り出した。
【0041】次に脱脂処理済み有機繊維に付着、吸収し
た有機溶剤を蒸発乾燥する。乾燥条件としては、有機繊
維を溶融、変質させない温度(例えは、室温〜100 ℃)
で、12時間以上乾燥すれば十分であった。この有機溶剤
の乾燥条件に関しても、有機繊維の種類および有機溶剤
の種類に依存して、任意の選択が可能であり、特にそれ
らの条件範囲を規定しない。尚、上記Bおよびこの処理
に関しては、あくまで、実験条件であり、実際の製造工
程にて、省略することも可能である。
【0042】次に所定のポリマー濃度に調製した溶液3
(コーティング溶液と呼ぶ)に、前記乾燥処理済み繊維
織物を浸漬する工程(コーティング処理と呼ぶ)を行っ
た。この場合にも、使用する有機溶剤が前記織物を溶
解、変質させない物を使用した。浸漬温度、時間につい
ては、任意選択可能であり、詳細な条件については、実
施例と比較例にて記述した。この工程により、有機繊維
表面にポリマー被膜が付与される。コーティング処理終
了後、前記繊維織物を取り出し、場合によっては軽くロ
ールで圧搾することにより、余分に付着、吸収された溶
液を除去した。
【0043】次に、脱脂処理済み有機繊維に付着、吸収
した有機溶剤を蒸発乾燥する。乾燥条件としては、有機
繊維を溶融、変質させない温度(例えば、室温〜100
℃)で、12時間以上乾燥すれば十分であった。この有機
溶剤の乾燥条件は前記Cの条件にほぼ準じ、有機繊維の
種類および有機溶剤の種類に依存して、任意の選択が可
能であり、特にそれらの条件範囲を規定しない。以上の
工程により、表面処理済み有機繊維織物5が得られた。
繊維表面改質処理を図1のA→B→C→E→F→Gの手
順で行った。第1に、前記と同様にして、有機繊維織物
の脱脂および有機溶剤の蒸発乾燥を行った。
【0044】所定の表面改質剤濃度に調製した溶液4
(表面改質剤溶液と呼ぶ)に、前記乾燥処理済み繊維織
物を浸漬する工程(表面改質処理と呼ぶ)を行った。こ
の場合にも、使用する有機溶剤が前記織物を溶解、変質
させない物を使用した。浸漬温度、時間については、任
意選択可能であり、詳細な条件については、実施例と比
較例にて記述した。この工程により、有機繊維表面に化
学反応にて、表面改質剤成分が付加する。表面改質処理
終了後、前記繊維織物を取り出し、所要に応じて軽くロ
ール圧搾することにより、余分に付着、吸収された溶液
を除去した。次に前記と同様にして、有機溶剤の蒸発乾
燥を行い、表面処理済み有機繊維織物5が得られた。
【0045】
【実施例】以下本発明を実施例、比較例および試験例に
より説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定さ
れるものではない。なお以下の実施例および比較例を通
して、「部」および「%」は特記しない限り「重量部」
および「重量%」を示す。
【0046】実施例1 市販高強力ビニロン繊維平織物(目付重量180g/m2)か
ら、縦22cm×横22cmの試料を20枚切り出し、ガラス容器
(サイズ:縦30cm×横40cm×深さ30cm、これ以降、単に
「ガラス容器」と呼ぶ。)に入れた市販特級アセトン1
Lに、室温で30分間浸漬した。次に、試料を取り出し、
付着アセトンを十分除去した後、清浄な大型金属トレイ
(サイズ:縦 120cm×横 100cm×深さ10cm、これ以降、
単に「大型金属トレイ」と呼ぶ。) 数個に重ならないよ
うに並べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一日放
置した後、60℃で24時間、減圧乾燥して、洗浄処理織物
試料とした。
【0047】市販ポリビニルアルコール(PVA) (懸化
度:97モル%、重合度:2000) を30g秤量し、蒸留水 0.
7 Lおよびメタノール0.3 L と共に、2Lの三角フラス
コに入れ、室温でマグネチックスターラーを用いて、約
1時間攪拌して均一に溶解させた。尚、溶液組成比はP
VA/メタノール/水= 3.1/24.5/72.4であった。こ
の溶液を、ガラス容器に入れた、上記のアセトン洗浄処
理高強力ビニロン繊維平織物(目付重量180g/m2)試料
(サイズ:縦22cm×横22cm)20 枚に注ぎ、室温で30分間
浸漬した。次に、試料を取り出し、余分なPVA溶液を
除去した後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならないよ
うに並べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一日放
置した後、60℃で48時間、減圧乾燥して作成した繊維表
面被覆ポリマー処理織物を、ポリマー被覆処理織物試料
とした。この試料について、ポリマーの繊維織物への付
着率を次式
【数3】 により算出した。
【0048】縦22cm×横22cm×厚さ3mmの空間を形成す
る2枚の金型およびスペーサー(3mmの厚みを形成する
ためのもの) を用い、この金型の一方の内面に前記洗浄
済み織物試料4〜8枚を、キャビティー側に積層、密着
させて設置した。金型温度を70℃に維持し、金型の空間
内に塊状重合用反応液を注入した。尚、ここで使用した
塊状重合用反応液は、下記のA液およびB液の混合溶液
である。ジシクロペンタジエン(DCP) 100 部に、スチレ
ン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS: 日本
ゼオン社製、商品名クインタック3421) 6.5 部を入れて
混合した液を二つの容器に入れ、一方にはDCP に対しジ
エチルアルミニウムクロリド(DEAC)を41ミリモル濃度、
n−プロピルアルコールを41ミリモル濃度、四塩化ケイ
素を21ミリモル濃度となるようにそれぞれ添加した(A
液)。他方には、DCP に対し、トリ(トリデシル)アン
モニウムモリブデートを10ミリモル濃度となるように添
加し、さらに、DCP 100 部当りフェノール系酸化防止剤
(エチル コーポレーション社製、商品名エタノックス
702 )4部を添加した(B液)。両反応液(A液:B液
の混合比1:1)を、前記の金型の中へギヤーポンプと
パワーミキサーを用いてほぼ常圧で速やかに注入した。
注入終了3分後に金型を開き、成形品を取り出し、室温
に冷却した。
【0049】実施例2 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販PVA(懸化度:97モル%、重合度:2000) 30g を
蒸留水1Lと共に、2Lの三角フラスコに入れ、室温で
マグネチックスターラーを用いて、約1時間攪拌して均
一に溶解させた後、市販20%コロイダルシリカ(粒径:
10〜20nm) 水溶液10g とメタノール0.5Lを添加し、均一
に混合した。尚、溶液組成比は PVA/コロイダルシリカ
/メタノール/水= 2.5/0.2 /13.3/84.0であった。
この溶液を、ガラス容器に入れた、 実施例1のアセト
ン洗浄処理高強力ビニロン繊維平織物(目付重量180g/m
2)試料(サイズ:縦22cm×横22cm)20 枚に注ぎ、室温で
30分間浸漬した。次に、試料を取り出し、余分な PVA溶
液を除去した後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならな
いように並べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一
日放置した後、60℃で48時間、減圧乾燥して作成した繊
維表面被覆ポリマー処理織物を、ポリマー被覆織物試料
とした。次に実施例1と同様に付着率を計算した後、実
施例1と同様に成形を行った。
【0050】実施例3 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販ポリビニルピロリドン(PVP)(重合度:2000) を30g
秤量し、メタノール1Lと共に、2Lの三角フラスコに
入れ、室温でマグネチックスターラーを用いて、約1時
間攪拌して均一に溶解させた。尚、溶液組成比は PVP/
メタノール= 3.7/96.3であった。この溶液を、ガラス
容器に入れた、実施例1のアセトン洗浄処理高強力ビニ
ロン繊維平織物(目付重量180g/m2)試料(サイズ:縦22
cm×横22cm)20 枚に注ぎ、室温で30分間浸漬した。次
に、試料を取り出し、余分な PVP溶液を除去した後、清
浄な大型金属トレイ数個に重ならないように並べた。こ
の状態で、ドラフト内にて室温で一日放置した後、60℃
で24時間、減圧乾燥して作成した繊維表面被覆ポリマー
処理織物を、ポリマー被覆処理織物試料とした。次に実
施例1と同様に付着率を計算した後、実施例1と同様に
成形を行った。
【0051】実施例4 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販PVP(重合度:2000)を30g秤量し、メタノール1
Lと共に、2Lの三角フラスコに入れ、室温でマグネチ
ックスターラーを用いて、約1時間攪拌して均一に溶解
させた後、ベントナイト(粒径:4〜10μ) を2g添加
し、均一になるまで混合した。尚、溶液組成比はPVP/ベ
ントナイト/メタノール=3.6/0.2/96.2であった。この
溶液を、ガラス容器に入れた、実施例1のアセトン洗浄
処理高強力ビニロン繊維平織物(目付重量180g/m2)試料
(サイズ:縦22cm×横22cm) 20枚に注ぎ、室温で30分間
浸漬した。次に、試料を取り出し、余分なPVP 溶液を除
去した後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならないよう
に並べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一日放置
した後、60℃で24時間、減圧乾燥して作成した繊維表面
被覆ポリマー処理織物を、ポリマー被覆処理織物試料と
した。次に実施例1と同様に付着率を計算した後、実施
例1と同様に成形を行った。
【0052】実施例5 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販エチレンプロピレンゴム(EPR)(HDPE分率:70%、分
子量:120000) を30g秤量し、トルエン1Lと共に、1
Lナス型フラスコに入れ、オイルバスで100 ℃に保温し
ながら約1時間、マグネチックスターラーを用いて攪拌
し、均一溶液とした後、室温まで冷却した。尚、溶液組
成比はEPR/トルエン=3.3/96.7であった。この溶液を、
ガラス容器に入れた、実施例1のアセトン洗浄処理高強
力ビニロン繊維平織物(目付重量180g/m2)試料(サイ
ズ:縦22cm×横22cm)20 枚に注ぎ、室温で30分間浸漬し
た。次に、試料を取り出し、余分なEPR 溶液を除去した
後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならないように並べ
た。この状態で、ドラフト内にて室温で一日放置した
後、60℃で48時間、減圧乾燥して作成した繊維表面被覆
ポリマー処理織物を、ポリマー被覆処理織物試料とし
た。次に実施例1と同様に付着率を計算した後、実施例
1と同様に成形を行った。
【0053】実施例6 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE) (分子量:4000)
を20g秤量し、キシレン2Lと共に、3Lセパラブルフ
ラスコに入れ、オイルバスで130 ℃に保温しながら約1
時間、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、均一溶
液とした後、90℃にて保温した。尚、溶液組成比はLLDP
E/キシレン=1.2/98.8であった。この溶液を、90℃に保
温しながら、実施例1のアセトン洗浄処理高強力ビニロ
ン繊維平織物(目付重量180g/m2)試料(サイズ:縦22cm
×横22cm) 20枚を速やかに投入して、90℃で3分間浸漬
した。次に、試料を取り出し、速やかに余分なLLDPE 溶
液を除去した後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならな
いように並べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一
日放置した後、60℃で48時間、減圧乾燥して作成した繊
維表面被覆ポリマー処理織物を、ポリマー被覆処理織物
試料とした。次に実施例1と同様に付着率を計算した
後、実施例1と同様に成形を行った。
【0054】実施例7 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販ポリエーテルイミド(PEI)(分子量:14000) 8gを塩
化メチレン1Lと共に、2Lの三角フラスコに入れ、室
温で、マグネチックスターラーを用いて、約1時間攪拌
して均一に溶解させた。尚、溶液組成比はPEI/塩化メチ
レン=0.6/99.4であった。この溶液を、ガラス容器に入
れた、実施例1のアセトン洗浄処理高強力ビニロン繊維
平織物(目付重量180g/m2)試料(サイズ:縦22cm×横22
cm) 20枚に注ぎ、室温で30分間浸漬した。次に、試料を
取り出し、余分なPEI 溶液を除去した後、清浄な大型金
属トレイ数個に重ならないように並べた。この状態で、
ドラフト内にて室温で一日放置した後、60℃で24時間、
減圧乾燥して作成した繊維表面被覆ポリマー処理織物
を、ポリマー被覆処理織物試料とした。次に実施例1と
同様に付着率を計算した後、実施例1と同様に成形を行
った。
【0055】実施例8 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販ポリエーテルスルホン(PES)(分子量:24000) 30gを
クロロホルム1Lと共に、2Lの三角フラスコに入れ、
室温でマグネチックスターラーを用いて、約1時間攪拌
して均一に溶解させた。尚、溶液組成比はPES/クロロホ
ルム=3.2/96.8であった。この溶液を、ガラス容器に入
れた、実施例1のアセトン洗浄処理高強力ビニロン繊維
平織物(目付重量180g/m2)試料(サイズ:縦22cm×横22
cm) 20枚に注ぎ、室温で30分間浸漬した。次に、試料を
取り出し、余分なPES 溶液を除去した後、清浄な大型金
属トレイ数個に重ならないように並べた。この状態で、
ドラフト内にて室温で一日放置した後、60℃で24時間、
減圧乾燥して作成した繊維表面被覆ポリマー処理織物
を、ポリマー被覆処理織物試料とした。次に実施例1と
同様に付着率を計算した後、実施例1と同様に成形を行
った。
【0056】実施例9 市販超高分子量ポリエチレン繊維平織物(目付重量140g
/m2)から、縦22cm×横22cmの試料を20枚切り出し、ガラ
ス容器に入れた市販特級アセトン1Lに、室温で30分間
浸漬した。次に、試料を取り出し、付着アセトンを十分
除去した後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならないよ
うに並べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一日放
置した後、60℃で24時間、減圧乾燥して作成した繊維表
面被覆ポリマー処理織物を、洗浄処理織物試料とした。
市販EPR(HDPE 分率:70%、分子量:120000) を30g
秤量し、トルエン1Lと共に、1Lナス型フラスコに入
れ、オイルバスで100 ℃に保温しながら約1時間、マグ
ネチックスターラーを用いて攪拌し、均一溶液とした
後、室温まで冷却した。尚、溶液組成比はEPR/トルエン
=3.3/96.7であった。この溶液を、ガラス容器に入れ
た、前記のアセトン洗浄処理超高分子量ポリエチレン繊
維平織物(目付重量140g/m2)試料(サイズ:縦22cm×横
22cm) 20枚に注ぎ、室温で30分間浸漬した。次に、試料
を取り出し、余分なEPR 溶液を除去した後、清浄な大型
金属トレイ数個に重ならないように並べた。この状態
で、ドラフト内にて室温で一日放置した後、60℃で48時
間、減圧乾燥して作成した繊維表面被覆ポリマー処理織
物を、ポリマー被覆処理織物試料とした。次に実施例1
と同様に付着率を計算した後、実施例1と同様に成形を
行った。
【0057】実施例10 実施例9と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販EPR(HDPE分率:70%、分子量:120000) を30g
秤量し、トルエン1Lと共に、1Lナス型フラスコに入
れ、オイルバスで100 ℃に保温しながら約1時間、マグ
ネチックスターラーを用いて攪拌し、均一溶液とした
後、室温まで冷却した。前記溶液に、市販カーボンブラ
ック(粒径:100 〜300mμ) を2g添加して均一になる
まで、攪拌混合した。尚、溶液組成比はEPR/カーボンブ
ラック/トルエン=3.3/0.2/96.5であった。この溶液
を、ガラス容器に入れた、前記のアセトン洗浄処理超高
分子量ポリエチレン繊維平織物(目付重量140g/m2)試料
(サイズ:縦22cm×横22cm) 20枚に注ぎ、室温で30分間
浸漬した。次に、試料を取り出し、余分なEPR 溶液を除
去した後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならないよう
に並べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一日放置
した後、60℃で48時間、減圧乾燥して作成した繊維表面
被覆ポリマー処理織物を、ポリマー被覆処理織物試料と
した。次に実施例1と同様に付着率を計算した後、実施
例1と同様に成形を行った。
【0058】実施例11 実施例9と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販ポリブタジエン(PB)(分子量:360000) を30g秤量
し、ベンゼン1Lと共に、1Lナス型フラスコに入れ、
オイルバスで60℃に保温しながら約2時間、マグネチッ
クスターラーを用いて攪拌し、均一溶液とした後、室温
まで冷却した。尚、溶液組成比はPB/ベンゼン=3.3/9
6.7であった。この溶液を、ガラス容器に入れた、前記
のアセトン洗浄処理超高分子量ポリエチレン繊維平織物
(目付重量140g/m2)試料(サイズ:縦22cm×横22cm) 20
枚に注ぎ、室温で30分間浸漬した。次に、試料を取り出
し、余分なPB溶液を除去した後、清浄な大型金属トレイ
数個に重ならないように並べた。この状態で、ドラフト
内にて室温で一日放置した後、60℃で48時間、減圧乾燥
して作成した繊維表面被覆ポリマー処理織物を、ポリマ
ー被覆処理織物試料とした。次に実施例1と同様に付着
率を計算した後、実施例1と同様に成形を行った。
【0059】実施例12 実施例9と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販PEI(分子量:14000) 30gを塩化メチレン1Lと共
に、2Lの三角フラスコに入れ、室温で、マグネチック
スターラーを用いて、約1時間攪拌して均一に溶解させ
た。尚、溶液組成比はPEI/塩化メチレン=3.6/96.4であ
った。この溶液を、ガラス容器に入れた、前記のアセト
ン洗浄処理超高分子量ポリエチレン繊維平織物(目付重
量140g/m2)試料(サイズ:縦22cm×横22cm) 20枚に注
ぎ、室温で30分間浸漬した。次に、試料を取り出し、余
分なPEI 溶液を除去した後、清浄な大型金属トレイ数個
に重ならないように並べた。この状態で、ドラフト内に
て室温で一日放置した後、60℃で24時間、減圧乾燥して
作成した繊維表面被覆ポリマー処理織物を、ポリマー被
覆処理織物試料とした。次に実施例1と同様に付着率を
計算した後、実施例1と同様に成形を行った。
【0060】実施例13 市販ポリアリレート繊維平織物(目付重量170g/m2)か
ら、縦22cm×横22cmの試料を20枚切り出し、ガラス容器
に入れた市販特級アセトン1Lに、室温で30分間浸漬し
た。次に、試料を取り出し、付着アセトンを十分除去し
た後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならないように並
べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一日放置した
後、60℃で24時間、減圧乾燥して、洗浄処理織物試料と
した。市販PVA(鹸化度:97モル%、重合度:2000) 30g
を蒸留水1Lと共に、2Lの三角フラスコに入れ、室温
でマグネチックスターラーを用いて、約1時間攪拌して
均一に溶解させた後、市販20%コロイダルシリカ(粒
径:10〜20nm) 水溶液10gとメタノール0.5Lを添加し、
均一に混合した。尚、溶液組成比はPVA/コロイダルシリ
カ/メタノール/水=2.5/0.2/13.3/84.0 であった。こ
の溶液を、ガラス容器に入れた、前記のアセトン洗浄処
理ポリアリレート繊維平織物(目付重量170g/m2)試料
(サイズ:縦22cm×横22cm) 20枚に注ぎ、室温で30分間
浸漬した。次に、試料を取り出し、余分なPVA 溶液を除
去した後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならないよう
に並べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一日放置
した後、60℃で24時間、減圧乾燥して作成した繊維表面
被覆ポリマー処理織物を、ポリマー被覆織物試料とし
た。次に実施例1と同様に付着率を計算した後、実施例
1と同様に成形を行った。
【0061】実施例14 市販アラミド4,9繊維平織物(目付重量170g/m2)か
ら、縦22cm×横22cmの試料を20枚切り出し、ガラス容器
に入れた市販特級アセトン1Lに、室温で30分間浸漬し
た。次に、試料を取り出し、付着アセトンを十分除去し
た後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならないように並
べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一日放置した
後、60℃で24時間、減圧乾燥して、洗浄処理織物試料と
した。市販PVP(重合度:2000) を30g秤量し、メタノー
ル1Lと共に、2Lの三角フラスコに入れ、室温でマグ
ネチックスターラーを用いて、約1時間攪拌して均一に
溶解させた後、ベントナイト(粒径:4〜10μ) を2g
添加し、均一になるまで混合した。尚、溶液組成比はPV
P/ベントナイト/メタノール=3.6/0.2/96.2であった。
この溶液を、ガラス容器に入れた、前記のアセトン洗浄
処理アラミド4,9繊維平織物(目付重量170g/m2)試料
(サイズ:縦22cm×横22cm) 20枚に注ぎ、室温で30分間
浸漬した。次に、試料を取り出し、余分なPVP 溶液を除
去した後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならないよう
に並べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一日放置
した後、60℃で24時間、減圧乾燥して作成した繊維表面
被覆ポリマー処理織物を、ポリマー被覆処理織物試料と
した。次に実施例1と同様に付着率を計算した後、実施
例1と同様に成形を行った。
【0062】実施例15 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販特級アリルグリシジルエーテル50gと市販特級p−
トルエンスルホン酸2gとを秤量し、市販特級アセトン
2Lと共に、3Lのセパラブルフラスコに入れ、マグネ
チックスターラーを用いて攪拌しながら、オイルバスに
て50℃に保温した。尚、溶液組成比はアリルグリシジル
エーテル/p−トルエンスルホン酸/アセトン=3.1/0.
1/96.8であった。次に、速やかに、前記アセトン洗浄処
理高強力ビニロン繊維平織物(目付重量180g/m2)試料
(サイズ:縦22cm×横22cm) 20枚をセパラブルフラスコ
中の前記溶液に投入し、50℃で3時間、浸漬した後、織
物試料を取り出し、余分な前記溶液を除去し、アセトン
500mL で洗浄してから清浄な小型金属トレイ(サイズ:
縦50cm×横40cm×深さ3cm、以降、「小型金属トレイ」
と呼ぶ。) 数個に重ならないように並べた。この状態
で、40℃で24時間、減圧乾燥して作成した繊維表面被覆
ポリマー処理織物を、繊維表面改質処理織物試料とし
た。次に実施例1と同様に付着率を計算した後、実施例
1と同様に成形を行った。
【0063】実施例16 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販特級アリルグリシジルメタクリレート100gと市販特
級p−トルエンスルホン酸2gとを秤量し、市販特級シ
クロヘキサノン2Lと共に、3Lのセパラブルフラスコ
に入れ、マグネチックスターラーを用いて攪拌しなが
ら、オイルバスにて60℃に保温した。尚、溶液組成比は
アリルグリシジルメタクリレート/p−トルエンスルホ
ン酸/シクロヘキサノン=5.0/0.2/94.8であった。次
に、速やかに、前記アセトン洗浄処理高強力ビニロン繊
維平織物(目付重量180g/m2)試料(サイズ:縦22cm×横
22cm)20枚をセパラブルフラスコ中の前記溶液に投入
し、60℃で3時間、浸漬した後、織物試料を取り出し、
余分な前記溶液を除去し、シクロヘキサノン500mL で洗
浄してから清浄な小型金属トレイ数個に重ならないよう
に並べた。この状態で、40℃で24時間、減圧乾燥して作
成した繊維表面被覆ポリマー処理織物を、繊維表面改質
処理織物試料とした。次に実施例1と同様に付着率を計
算した後、実施例1と同様に成形を行った。
【0064】実施例17 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
ビニルノルボルネンモノエポキシド100gと市販特級p−
トルエンスルホン酸2gとを秤量し、市販特級アセトン
2Lと共に、3Lのセパラブルフラスコに入れ、マグネ
チックスターラーを用いて攪拌しながら、オイルバスに
て60℃に保温した。尚、溶液組成比はビニルノルボルネ
ンモノエポキシド/p−トルエンスルホン酸/アセトン
=5.9/0.2/94.8であった。次に、速やかに、前記アセト
ン洗浄処理高強力ビニロン繊維平織物(目付重量180g/m
2)試料(サイズ:縦22cm×横22cm) 20枚をセパラブルフ
ラスコ中の前記溶液に投入し、60℃で3時間、浸漬した
後、織物試料を取り出し、余分な前記溶液を除去し、ア
セトン500mL で洗浄してから清浄な小型金属トレイ数個
に重ならないように並べた。この状態で、40℃で48時
間、減圧乾燥して作成した繊維表面被覆ポリマー処理織
物を、繊維表面改質処理織物試料とした。次に実施例1
と同様に付着率を計算した後、実施例1と同様に成形を
行った。
【0065】実施例18 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販特級ビニルシクロヘキセンモノエポキシド200gと市
販特級p−トルエンスルホン酸4gとを秤量し、市販特
級シクロヘキサノン2Lと共に、3Lのセパラブルフラ
スコに入れ、マグネチックスターラーを用いて攪拌しな
がら、オイルバスにて60℃に保温した。尚、溶液組成比
はビニルシクロヘキセンモノエポキシド/p−トルエン
スルホン酸/シクロヘキサノン=5.8/0.2/94.0であっ
た。次に、速やかに、前記アセトン洗浄処理高強力ビニ
ロン繊維平織物(目付重量180g/m2)試料(サイズ:縦22
cm×横22cm) 20枚をセパラブルフラスコ中の前記溶液に
投入し、60℃で3時間、浸漬した後、織物試料を取り出
し、余分な前記溶液を除去し、シクロヘキサノン500mL
で洗浄してから清浄な小型金属トレイ数個に重ならない
ように並べた。この状態で、60℃で48時間、減圧乾燥し
て作成した繊維表面被覆ポリマー処理織物を、繊維表面
改質処理織物試料とした。次に実施例1と同様に付着率
を計算した後、実施例1と同様に成形を行った。
【0066】実施例19 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販特級アクリル酸メチル100gと市販特級p−トルエン
スルホン酸3gとを秤量し、市販特級1−ブチルアルコ
ール2Lと共に、3Lのセパラブルフラスコに入れ、マ
グネチックスターラーを用いて攪拌しながら、オイルバ
スにて80℃に保温した。尚、溶液組成比はアクリル酸メ
チル/p−トルエンスルホン酸/1−ブチルアルコール
=5.8/0.2/94.0であった。次に、速やかに、前記アセト
ン洗浄処理高強力ビニロン繊維平織物(目付重量180g/m
2)試料(サイズ:縦22cm×横22cm) 20枚をセパラブルフ
ラスコ中の前記溶液に投入し、80℃で1時間、浸漬した
後、織物試料を取り出し、余分な前記溶液を除去し、1
−ブチルアルコール500mL で洗浄してから清浄な小型金
属トレイ数個に重ならないように並べた。この状態で、
60℃で48時間、減圧乾燥して作成した繊維表面被覆ポリ
マー処理織物を、繊維表面改質処理織物試料とした。次
に実施例1と同様に付着率を計算した後、実施例1と同
様に成形を行った。
【0067】実施例20 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販特級アリルイソシアネート100gを秤量し、市販特級
アセトン2Lと共に、3Lのセパラブルフラスコに入
れ、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、オ
イルバスにて55℃に保温した。尚、溶液組成比はアリル
イソシアネート/アセトン=5.9/94.1であった。次に、
速やかに、前記アセトン洗浄処理高強力ビニロン繊維平
織物(目付重量180g/m2)試料(サイズ:縦22cm×横22c
m) 20枚をセパラブルフラスコ中の前記溶液に投入し、5
5℃で3時間、浸漬した後、織物試料を取り出し、余分
な前記溶液を除去し、アセトン500mL で洗浄してから清
浄な小型金属トレイ数個に重ならないように並べた。こ
の状態で、40℃で24時間、減圧乾燥して作成した繊維表
面被覆ポリマー処理織物を、繊維表面改質処理織物試料
とした。次に実施例1と同様に付着率を計算した後、実
施例1と同様に成形を行った。
【0068】比較例21 市販高強力ビニロン繊維平織物(目付重量180 g/m2
から、縦22cm×横22cmの未処理試料を20枚切り出し、60
℃で24時間、減圧乾燥した。次に、縦22cm×横22cm×厚
さ3mmの空間を形成する2枚の金型およびスペーサー
(3mmの厚みを形成するためのもの)を用い、この金型
の一方の内面に前記の未処理高強力ビニロン織物試料4
〜8枚を、キャビティー側に積層、密着させて設置し
た。金型温度を70℃に維持し、金型の空間内に前記塊状
重合用反応液をギヤーポンプとパワーミキサーを用いて
ほぼ常圧で速やかに注入した。注入終了3分後に金型を
開き、内容物を取り出したが、前記ノルボルネン系モノ
マーはほとんど重合しなかった。
【0069】比較例22 市販超高分子量ポリエチレン繊維平織物(目付重量140
g/m2)から、縦22cm×横22cmの未処理試料を20枚切り
出し、60℃で24時間、減圧乾燥した。次に、縦22cm×横
22cm×厚さ3mmの空間を形成する2枚の金型およびスペ
ーサー(3mmの厚みを形成するためのもの)を用い、こ
の金型の一方の内面に前記の未処理超高分子量ポリエチ
レン織物試料4〜8枚を、キャビティー側に積層、密着
させて設置した。金型温度を70℃に維持し、金型の空間
内に前記塊状重合用反応液をギヤーポンプとパワーミキ
サーを用いてほぼ常圧で速やかに注入した。注入終了3
分後に金型を開き、内容物を取り出したが、前記ノルボ
ルネン系モノマーはほとんど重合しなかった。
【0070】比較例23 市販高強力ビニロン繊維平織物(目付重量180 g/m2
から、縦22cm×横22cmの試料を20枚切り出し、ガラス容
器に入れた市販特級メタノール1Lに、室温で30分間浸
漬した。次に、試料を取出し、付着メタノールを十分除
去した後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならないよう
に並べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一日放置
した後、60℃で24時間、減圧乾燥して、洗浄処理織物試
料とした。縦22cm×横22cm×厚さ3mmの空間を形成する
2枚の金型およびスペーサー(3mmの厚みを形成するた
めのもの)を用い、この金型の一方の内面に前記メタノ
ール洗浄処理した高強力ビニロン織物試料4〜8枚を、
キャビティー側に積層、密着させて設置した。金型温度
を70℃に維持し、金型の空間内に前記塊状重合用反応液
をギヤーポンプとパワーミキサーを用いてほぼ常圧で速
やかに注入した。注入終了3分後に金型を開き、内容物
を取り出したが、前記ノルボルネン系モノマーはほとん
ど重合しなかった。
【0071】比較例24 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
縦22cm×横22cm×厚さ3mmの空間を形成する2枚の金型
およびスペーサー(3mmの厚みを形成するためのもの)
を用い、この金型の一方の内面に前記アセトン洗浄処理
した高強力ビニロン織物試料4〜8枚を、キャビティー
側に積層、密着させて設置した。金型温度を70℃に維持
し、金型の空間内に前記塊状重合用反応液をギヤーポン
プとパワーミキサーを用いてほぼ常圧で速やかに注入し
た。注入終了3分後に金型を開き、複合材料成型品を取
出し、室温に冷却した。
【0072】比較例25 市販超高分子量ポリエチレン繊維平織物(目付重量140
g/m2)から、縦22cm×横22cmの試料を20枚切り出し、
市販特級N−メチルピロリドン2Lを投入した3Lセパ
ラブルフラスコに入れオイルバスで60℃に保温しながら
30分間浸付した。次に、試料を取出し、余分なN−メチ
ルピロリドンを十分除去した後、清浄な大型金属トレイ
数個に重ならないように並べた。この状態で、ドラフト
内にて室温で一日放置した後、60℃で48時間、減圧乾燥
して、洗浄処理試料とした。縦22cm×横22cm×厚さ3mm
の空間を形成する2枚の金型およびスペーサー(3mmの
厚みを形成するためのもの)を用い、この金型の一方の
内面に前記アセトン洗浄処理した高分子量ポリエチレン
織物試料4〜8枚を、キャビティー側に積層、密着させ
て設置した。金型温度を70℃に維持し、金型の空間内に
前記塊状重合用反応液をギヤーポンプとパワーミキサー
を用いてほぼ常圧で速やかに注入した。注入終了3分後
に金型を開き、複合材料成形品を取出し、室温に冷却し
た。
【0073】比較例26 実施例13と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
縦22cm×横22cm×厚さ3mmの空間を形成する2枚の金型
およびスペーサー(3mmの厚みを形成するためのもの)
を用い、この金型の一方の内面に前記アセトン洗浄処理
したポリアリレート織物試料4〜8枚を、キャビティー
側に積層、密着させて設置した。金型温度を70℃に維持
し、金型の空間内に前記塊状重合用反応液をギヤーポン
プとパワーミキサーを用いてほぼ常圧で速やかに注入し
た。注入終了3分後に金型を開き、複合材料成形品を取
出し、室温に冷却した。
【0074】比較例27 実施例14と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
縦22cm×横22cm×厚さ3mmの空間を形成する2枚の金型
およびスペーサー(3mmの厚みを形成するためのもの)
を用い、この金型の一方の内面に前記アセトン洗浄処理
したアラミド4,9織物試料4〜8枚を、キャビティー
側に積層、密着させて設置した。金型温度を70℃に維持
し、金型の空間内に前記塊状重合用反応液をギヤーポン
プとパワーミキサーを用いてほぼ常圧で速やかに注入し
た。注入終了3分後に金型を開き、複合材料成形品を取
出し、室温に冷却した。
【0075】比較例28 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販EPR(HDPE分率:70%、分子量:120000)を
159 g秤量し、トルエン1Lと共に、1Lナス型フラス
コに入れ、オイルバスで100 ℃に保温しながら約1時
間、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、均一溶液
とした後、室温まで冷却した。尚、溶液組成比はEPR
/トルエン=15.5/84.5であった。この溶液を、ガラス
容器に入れた、実施例1のアセトン洗浄処理高強力ビニ
ロン繊維平織物試料(サイズ:縦22cm×横22cm)20枚に
注ぎ、室温で30分間浸漬した。次に、試料を取り出し、
余分なEPR溶液を除去した後、清浄な大型金属トレイ
数個に重ならないように並べた。この状態で、ドラフト
内にて室温で一日放置した後、60℃で48時間、減圧乾燥
して、ポリマー被覆処理織物試料とした。次に実施例1
と同様に付着率を計算した後、実施例1と同様に複合材
料成形を行った。
【0076】比較例29 実施例9と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販PEI(分子量:14000 )を321 g秤量し、塩化メ
チレン1Lと共に、2L三角フラスコに入れ、マグネチ
ックスターラーを用いて約1時間攪拌し、均一溶液とし
た。尚、溶液組成比はPEI/塩化メチレン=19.5/8
0.5であった。この溶液を、ガラス容器に入れた、前記
のアセトン洗浄処理超高分子量ポリエチレン繊維平織物
試料(サイズ:縦22cm×横22cm)20枚に注ぎ、室温で30
分間浸漬した。次に、試料を取り出し、余分なPEI溶
液を除去した後、清浄な大型金属トレイ数個に重ならな
いように並べた。この状態で、ドラフト内にて室温で一
日放置した後、60℃で24時間、減圧乾燥して、ポリマー
被覆処理織物試料とした。次に実施例1と同様に付着率
を計算した後、実施例1と同様に複合材料成形を行っ
た。
【0077】比較例30 実施例1と同様にアセトン洗浄処理を行った。その後、
市販特級グリシジルメタクリレート840 gとp−トルエ
ンスルホン酸40gとを秤量し、市販特級シクロヘキサノ
ン2Lと共に、3Lのセパラブルフラスコに入れ、マグ
ネチックスターラーを用いて攪拌しながら、オイルバス
にて80℃に保温した。尚、溶液組成比はグリシジルメタ
クリレート/p−トルエンスルホン酸/シクロヘキサノ
ン=30.3/1.4 /68.3であった。次に、前記のアセトン
洗浄処理高強力ビニロン繊維平織物試料(サイズ:縦22
cm×横22cm)20枚をこの溶液に速やかに投入し、80℃で
24時間浸漬した後、試料を取り出し、余分な溶液を除去
した後、シクロヘキサノン500 mLで洗浄してから清浄
な大型金属トレイ数個に重ならないように並べた。この
状態で、60℃で48時間、減圧乾燥して、ポリマー被覆織
物試料とした。次に実施例1と同様に付着率を計算した
後、実施例1と同様に成形を行った。
【0078】試験例 ノルボルネン系モノマーがほとんど重合しなかった比較
例21〜23以外のすべての実施例および比較例におい
て得られた試料について、以下の測定を行った。 複合材料の密度測定 常温で複合材料片の空気中の重量およびメタノール中の
重量から浮力法により算出した。 ボイド分率
【数4】ボイド分率(容量%)=100 〔(理論密度)−
(実測密度)〕 により算出した。 引張試験 JIS K 7072に準拠し、成形品中の繊維方向に平行
に所定サイズの試験片を切り出し、ストログラフ(東洋
精機製)を用い、所定条件で引張試験を実施した。これ
らの結果を表1、表2および表3に示す。
【0079】
【表1】 *1 各種繊維:強力ビニロン(密度=1.3 g/cm3)、ポ
リアリレート(密度=1.41g/cm3)、アラミド(密度=1.
45g/cm3 、超高分子量ポリエチレン(超高分子量 PE:密
度=0.96g/cm3) *2 EPR :(HDPE 分率)70 %(分子量)120,000 、PE
I :(分子量) 14,000 LLDPE:(分子量)4,000 、PES:(分子量)24,000、PB:
(分子量)360,000、PVA:( 鹸化度) 97モル%、(重合
度)2,000 、PVP:( 重合度) 2,000 コロイダルシリカ:(粒径)10〜20 mμ、(性状)20%
水溶液、ベントナイト:(粒径)4〜10μ、カーボンブ
ラック:(粒径)100 〜300mμ *3 溶剤、溶液処理後の繊維織物の乾燥条件は、室温
で24時間放置後、60℃で24〜48時間減圧乾燥である。 尚、付着率(重量%)=100 (処理繊維重量−未処理繊
維重量)/未処理繊維重量 *4 密度測定法:浮力法(溶剤:メタノール)により
実測、繊維重量分率:仕込み繊維織物重量と含材料重量
より算出した。 ボイド分率(体積%) =100 〔(理論密度)−(実測密
度)〕/(理論密度)、引張試験法:JIS K7073 *5 アセトン洗浄条件:被覆、表面改質前に、各種有
機繊維織物を室温、30分間浸漬、洗浄
【0080】
【表2】 *1 各種繊維:強力ビニロン(密度=1.3 g/cm3)、ポ
リアリレート(密度=1.41g/cm3)、アラミド(密度=1.
45g/cm3 、超高分子量ポリエチレン(超高分子量 PE:密
度=0.96g/cm3) *2 EPR :(HDPE 分率)70 %(分子量)120,000 、PE
I :(分子量) 14,000 LLDPE:(分子量)4,000 、PES:(分子量)24,000、PB:
(分子量)360,000、PVA:( 鹸化度) 97モル%、(重合
度)2,000 、PVP:( 重合度) 2,000 コロイダルシリカ:(粒径)10〜20 mμ、(性状)20%
水溶液、ベントナイト:(粒径)4〜10μ、カーボンブ
ラック:(粒径)100 〜300mμ *3 溶剤、溶液処理後の繊維織物の乾燥条件は、室温
で24時間放置後、60℃で24〜48時間減圧乾燥である。 尚、付着率(重量%)=100 (処理繊維重量−未処理繊
維重量)/未処理繊維重量 *4 密度測定法:浮力法(溶剤:メタノール)により
実測、繊維重量分率:仕込み繊維織物重量と含材料重量
より算出した。 ボイド分率(体積%) =100 〔(理論密度)−(実測密
度)〕/(理論密度)、引張試験法:JIS K7073 *5 アセトン洗浄条件:被覆、表面改質前に、各種有
機繊維織物を室温、30分間浸漬、洗浄
【0081】
【表3】 *1 各種繊維:強力ビニロン(密度=1.3 g/cm3) 、超
高分子量ポリエチレン(超高分子量PE:密度=0.96 g/c
m3) *2 EPR:(HDPE 分率) 70%(分子量)120,000 、PEI
:(分子量)14,000 *3 溶剤、溶液処理後の繊維織物の乾燥条件は、室温
で24時間放置後、60℃で24〜48時間減圧乾燥である。 尚、付着率(重量%)=100 (処理繊維重量−未処理繊
維重量)/未処理繊維重量 *4 密度測定法:浮力法(溶剤:メタノール)により
実測した。 *5 アセトン洗浄条件:被覆、表面改質前に、各種有
機繊維織物を室温、30分間浸漬、洗浄 繊維重量分率:仕込み繊維織物重量と含材料重量より算
出した。 ボイド分率(体積%)=100 〔(理論密度)−(実測密
度)〕/(理論密度) 引張試験法:JIS K7073 *6 メタノール洗浄条件:室温、30分間浸漬、洗浄 *7 N-メチルピロリドン洗浄条件:60℃,30分間浸
漬、洗浄
【0082】実施例1〜20は、高強力ビニロン繊維平織
物(目付重量:180 g/m2)、超高分子量ポリエチレン
繊維平織物(目付重量:140 g/m2)、ポリアリレート
繊維平織物(目付重量:170 g/m2)およびアラミド
4,9繊維平織物(目付重量:170 g/m2)に対するポ
リマー被覆処理法である。ポリマーとしては、ポリピニ
ルアルコール(略称:PVA、鹸化度:97モル%、重合
度:2000)、ポリビニルピロリドン(略称:PVP、重
合度:2000)、エチレン−プロピレンゴム(略称:EP
R、HDPE分率:70%、分子量:120000)、直鎖低密
度ポリエチレン(略称:LLDPE、分子量:4000)、
ポリエーテルイミド(略称:PEI、分子量:14000
)、ポリエーテルスルホン(略称:PES、分子量:2
4000 )およびポリブタジエン(略称:PB、分子量:3
60000)である。また、実施例2、4、10、13および14
では、被覆ポリマーの他に無機充填剤微粒子を添加およ
び併用してポリマー被覆処理を行った。ここでは、無機
充填剤微粒子として、コロイダルシリカ(粒径:10〜20
mμ)、ベントナイト(粒径:4〜10μ)およびカーボ
ンブラック(粒径:100 〜300 mμ)を使用した。
【0083】ポリマー被覆処理は、実施例1〜14に記載
した、処理溶剤組成および処理条件に従い、前記被覆ポ
リマーを有機繊維に被覆した。尚、ポリマー溶液濃度は
15%以下である。被覆ポリマーの付着率は 0.004〜6.0
重量%である。その後、前記のノルボルネン系モノマー
の塊状開環重合を用いて、有機繊維複合材料を得た。こ
れらの複合材料の特性としては、被覆ポリマーの付着率
は 0.4〜2.4 重量%、密度1.0 〜1.2 g/cm3 、繊維重
量分率23〜53重量%、ボイド分率0〜0.5 容量%であ
り、機械特性の例としては、引張弾性率 410〜1300kg/
mm2 、引張強度15〜31kg/mm2 であった。ここでは繊維
重量分率の相違から、各種有機繊維材料/ポリノルボル
ネン系樹脂複合材料間の機械特性を直接比較することは
できないが、比較例24〜27では、被覆ポリマーの付着率
0重量%(未処理繊維を使用した場合)で、複合材料密
度 1.0〜1.1 、繊維重量分率28〜44重量%、ボイド分率
は5.9 〜15.3容量%、引張弾性率 330〜940 kg/mm2
引張強度12〜22kg/mm2 であることから、前述の実施例
1〜20におけるポリマー被覆処理により、複合材料のボ
イド分率が低下すると共に、機械特性が著しく向上する
ことが分かる。尚、これは、ノルボルネン系モノマーと
有機繊維材料の濡れ性が向上し、ボイド分率が低下する
と同時に重合阻害がなくなり、また、該繊維表面で被覆
ポリマー層がノルボルネン系ポリマーと入り組み構造を
つくり、該繊維材料/樹脂の界面の物理的接着性を向上
させることに起因すると考えられる。特に、実施例2、
4、10、13および14のように、被覆ポリマーに無機充填
剤を添加することにより、前記充填剤の表面特性、層状
構造、並びに微細多孔質構造に依存して、該繊維材料/
樹脂の界面の物理的接着性を向上させることもできる。
反面、比較例28、29のように、ポリマー濃度17重量%以
上の溶液を用い、被覆ポリマーの付着量を過度に増加さ
せる処理を行った場合には、被覆ポリマーが該繊維織物
を塊状で不均一に被覆してしまうため、前記ノルボルネ
ン系モノマー含有溶液の該繊維織物への含浸が阻害され
るかまたは複合材料中にボイドが残留してボイド分率が
増加するため、複合材料の機械特性を損なう。尚、比較
例21〜23に示すように、有機繊維織物表面上に、水分ま
たは油剤などが残留している場合には、ノルボルネン系
モノマーの塊状開環重合が阻害され、複合材料が得られ
なかった。
【0084】以上より、機械特性に優れる有機繊維材料
/ポリノルボルネン系樹脂を得るには、有機繊維材料に
対する繊維表面被覆ポリマーの付着率は、一般的に 0.0
01〜17重量%、好ましくは0.02〜7重量%が望ましい。
【0085】一方、実施例15〜20は、高強力ビニロン繊
維平織物(目付重量:180 g/m2)を前記低分子化合物
(繊維表面改質剤)で処理した有機繊維材料/ポリノル
ボルネン系樹脂複合材料製造法の例である。ここでは、
繊維表面改質剤として、アリルグリシジルエーテル、グ
リシジルメタクリレート、ビニルノルボルネンモノエポ
キシド、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、アクリ
ル酸メチルおよびアリルイソシアネートを使用した。
【0086】有機繊維材料処理法としては、表2の処理
溶剤組成、処理条件に従い、前記表面改質剤を高強力ビ
ニロン繊維織物に反応および付加させた。該繊維織物に
対する前記表面改質剤の付着率は、0.002 〜3.5 重量%
であった。その後、前記のノルボルネン系モノマーの塊
状開環重合を用いて、有機繊維複合材料を得た。これら
の成形品の特性としては、密度約1.1 g/cm3 、繊維重
量分率26〜39重量%、ボイド分率0〜0.3 容量%であ
り、機械特性の例としては、引張弾性率400 〜610 kg/
mm2 、引張強度14〜21kg/mm2 であった。ここでも、繊
維重量分率の相違から、各種有機繊維材料/ポリノルボ
ルネン系樹脂複合材料間の機械特性を直接比較すること
はできないが、比較例24の未処理の高強力ビニロン繊維
平織物/ポリノルボルネン系樹脂成形品では、表面改質
剤付着率0重量%(未処理繊維を使用した場合では)、
複合材料の密度1.00g/cm3 、繊維重量分率34.6重量
%、ボイド分率10.2体積%であり、機械特性としては、
引張弾性率325 kg/mm2 、引張強度12.4kg/mm2 である
ことから、繊維表面改質処理を高強力ビニロン繊維織物
に施すことにより、ノルボルネン系モノマーと有機繊維
材料の濡れ性が向上して、ボイド分率が大幅に低下する
に伴い、複合材料としての機械特性が向上することが分
かる。
【0087】しかし、比較例30のように、表面改質剤濃
度が30%を越える溶液を用いて前記表面改質剤の付着量
を過度に増加させる処理を行った場合(付着率10.6%)
には、前記表面改質剤が該繊維織物に塊状で不均一に付
着してしまうため、前記ノルボルネン系モノマーを含む
反応溶液が該繊維織物に十分含浸しないかまたは複合材
料中にボイドが残留し、ボイド分率が増加すると共に、
該繊維材料/樹脂の界面に脆い層が形成してしまい、複
合材料としての機械特性を損なう。従って、繊維表面改
質剤の付着率は、一般的に0.01〜10重量%、好ましく
は、 0.005〜5重量%が望ましい。
【0088】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明におい
て、ノルボルネン系モノマーのメタセシス触媒系による
開環重合反応を阻害する表面を有する有機繊維材料また
はポリノルボルネン系樹脂との接着性に劣る有機繊維材
料を用いて、機械特性に優れる有機繊維材料/ポリノル
ボルネン系樹脂成形品が得られる。
【0089】すなわち、前記繊維表面にポリノルボルネ
ン系樹脂に物理的接着性を付与する繊維表面被覆ポリマ
ーを被覆するか、および/または前記繊維表面にポリノ
ルボルネン系樹脂との化学的接着性を付与する繊維表面
改質剤反応および付加させることにより、優れた機械特
性または各種性能を付与した有機繊維複合材料を容易に
製造することができる。また、有機繊維材料/ポリノル
ボルネン系樹脂界面の接着性を強固にすることにより、
界面からの材料劣化を防止できることから、耐久性、疲
労特性または軽量化に優れた構造用樹脂材料を得ること
ができる。
【0090】この複合材料は、スキー板、セールボー
ド、カヌー等のスポーツ用品、スピーカーコーン等の電
気部品、モーターボート船体等の海洋輸送機部品、バン
パー、バンパービーム、インストの芯等の自動車部品、
防音パネル等の建築部品などの広範な用途に使用するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機繊維の繊維表面被覆ポリマー
処理および繊維表面改質処理の手順を示した工程図であ
る。
【符号の説明】
1 有機繊維織物 2 有機溶剤 3 コーティング溶液 4 表面改質剤溶液 5 表面処理済み有機繊維
フロントページの続き (72)発明者 加藤 淳 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノルボルネン系モノマーのメタセシス重
    合を阻害しない、繊維表面被覆ポリマーおよび/または
    繊維表面改質剤で表面処理した有機繊維系材料の存在下
    にノルボルネン系モノマーを塊状重合して得られ、ボイ
    ド分率が5容量%以下であることを特徴とするポリノル
    ボルネン系樹脂成形品。
  2. 【請求項2】 有機繊維材料を15%以下の低濃度繊維表
    面被覆ポリマー溶液で表面処理することにより得られ、
    ポリマー付着率が 0.001〜17重量%、好ましくは0.02〜
    7重量%である有機繊維材料を用いたことを特徴とする
    請求項1記載のポリノルボルネン系樹脂成形品。
  3. 【請求項3】 有機繊維材料を30重量%以下の低濃度の
    繊維表面改質剤溶液で表面処理することにより得られ、
    該繊維表面改質剤付着率が 0.001〜10重量%、好ましく
    は 0.005〜5重量%の有機繊維材料を用いたことを特徴
    とする請求項1記載のポリノルボルネン系樹脂成形品。
JP5207814A 1993-08-23 1993-08-23 ポリノルボルネン系樹脂成形品 Pending JPH0762110A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008274138A (ja) * 2007-04-27 2008-11-13 Daicel Polymer Ltd 繊維強化環状オレフィン系樹脂組成物及び成形体
JP2008546921A (ja) * 2005-06-24 2008-12-25 スネクマ 複合材料用の補強性繊維構造物および前記構造物を含む部材

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