JPH0755653Y2 - 硬貨処理機の残留検知装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】〔考案の目的〕

【０００２】

【産業上の利用分野】本考案は、硬貨計数機、硬貨包装
機などの硬貨処理機において、硬貨供給部における残留
硬貨を検知する残留検知装置に関する。

【０００３】

【従来の技術】従来、この種の硬貨処理機の硬貨供給部
に残留している硬貨を検知する残留検知装置は、硬貨供
給回転円盤の上方においてこの硬貨供給回転円盤の上面
より硬貨の厚さより低い位置に対向して投光器と受光器
とからなる投受光センサを配設し、この投受光センサの
光軸を通し、硬貨により光軸が遮光されたとき、硬貨の
残留されていると検知する構造が採られている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】上記従来の残留硬貨の
検知装置では、例えば、硬貨供給回転円盤上に紙屑のよ
うな硬貨処理に全く影響を及ぼさない物が投受光センサ
の光軸上に存在していると、投光器からの光が遮断され
て受光器が受光できず、投受光センサは硬貨が残留して
いるものとして判別し、硬貨が残留しておらず、硬貨処
理が終了しているにも拘らず、硬貨の繰り出し動作が継
続され、硬貨の残留を正確に判別できない問題があっ
た。

【０００５】また、上記従来の残留検知装置では、硬貨
供給回転円盤上には硬貨粉、埃などが多く存在し、この
硬貨粉などが投受光センサに付着し、投受光センサの出
力が低下し、硬貨が残留していると判別する誤判別の原
因となる問題があった。

【０００６】本考案は上記問題点に鑑みなされたもの
で、紙屑のような硬貨処理にまったく影響を及ぼさない
物が硬貨供給回転円盤上に存在していても、このような
物を検出することなく、硬貨の残留を確実に検出するこ
とができ、また、硬貨粉、埃などに影響を受けて誤判別
をするようなことのない硬貨処理機の残留検知装置を提
供するものである。

【０００７】〔考案の構成〕

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案の硬貨処理機の残
留検知装置は、投入された硬貨を受ける回転可能な回転
円盤と、この回転円盤の周縁に沿って設けられ硬貨を繰
り出す開口部を有する環状ガイド手段と、このガイド手
段の開口部から繰り出された硬貨を順次搬送する搬送手
段とを備えた硬貨処理機において、前記環状ガイドの一
部に切欠部を形成するとともにこの切欠部に沿って配設
され硬貨が衝突することによりその衝撃を検知するショ
ッセンサと、硬貨処理機の動作中に予め定められた所定
時間にの間に前記ショックセンサが所定以上の強い衝撃
を検知しないときに硬貨の残留がないと判断する判別手
段とを具備したものである。

【０００９】

【作用】本考案の硬貨処理機の残留検知装置は、硬貨供
給回転円盤上に供給された硬貨は、回転円盤の回転によ
り、この回転円盤の周縁に沿って設けられた環状のガイ
ド手段に沿って開口部から順次繰り出される。そして、
この硬貨繰り出し処理動作中には、回転円盤上の硬貨は
環状のガイド手段に形成した切欠部に沿って配設したシ
ョックセンサに衝撃を与えている。そして、予め定めら
れた所定時間の間に、ショックセンサが所定以上の衝
撃、例えば、一円硬貨による以上の衝撃を受けないと、
回転円盤上に硬貨が残留していないとして判別手段にて
判別される。この判別手段によって硬貨が回転円盤上に
残留していないとして判別されると、例えば、この判別
手段の出力によって回転円盤は回転を停止する。

【００１０】

【実施例】本考案の一実施例の構成を図面を参照して説
明する。

【００１１】第１図において、１は硬貨供給部で、硬貨
を供給する回転円盤２が図示しない電動機によって回転
されるようになっている。この回転円盤２の周囲には環
状のガイド枠３が設けられ、このガイド枠３の一側に硬
貨送出部５が開口され、この回転円盤２の回転で硬貨は
硬貨送出部５から放出され、この硬貨送出部５から放出
された硬貨はこの回転円盤２とは逆方向に図示しない電
動機にて回転される硬貨供給回転円盤６上に供給され
る。この回転円盤６の周囲に環状のガイド手段、例え
ば、環状の案内壁７が設けられ、前記回転円盤２から硬
貨供給回転円盤６上に供給された硬貨は、回転円盤６の
回転による遠心力で案内壁７の硬貨厚み規制部材８を設
けた開口部９から判別通路部10へ１枚ずつ繰り出し送出
される。

【００１２】この回転円盤６の周縁に設けた案内壁７の
一部には、図２に示すように、切欠部11が形成され、こ
の切欠部11に沿ってこの切欠部11の外側に位置して衝撃
受け板12が案内壁７に取付けられている。この衝撃受け
板12には硬貨の衝突によって生じる衝撃を検知するショ
ックセンサ13が設けられている。また、この受け板12の
下部には塵埃などの排除孔14が形成され、さらに、案内
壁７にも塵埃排除孔15が形成されている。

【００１３】前記判別通路部10は、回転円盤６の接線方
向に形成され、通路底板21の上面両側に硬貨の搬送を案
内する通路側板24，24が設けられ、回転円盤６から硬貨
厚み規制部材８の下を通過して１枚ずつ送込まれる硬貨
を通路側板24，24間に受入れ、通路上方に張設されて回
動される搬送手段のベルト25によって搬送する。このベ
ルト25は、前記送出部５、通路切換部26およびダイレク
ト送出部27の各上方に回転自在に支持された複数のプー
リ28によって張設されている。さらに、このベルト25は
判別部29の上下流の下側ベルト部位が複数のプ―リ30で
支持され、プ―リ28は図示しない電動機により回転され
る。

【００１４】また、前記判別通路部10の判別部29は、硬
貨の材質および厚みを検知する磁気センサ、硬貨の径、
周囲のギザ、色および汚れを検知する各種光学センサな
どの判別手段31を備えている。

【００１５】前記判別通路部10の下流側に連続して設け
られた通路切換部26は、判別通路部10から送込まれる硬
貨を、排除口32を通じて排除し、または、ダイレクト送
出部27を通じて図示しない包装装置へ送出し、さらに
は、分類通路部34へ送出できるように通路切換可能にな
っている。

【００１６】そして、前記排除口32は通路底板21の通路
一側に寄って開口され、ソレノイド35で駆動される通路
切換板36によって開閉可能になっており、通常、ベルト
25で搬送される硬貨は排除口32上を通過し、また、前記
判別部29で排除する、例えば、外国硬貨、変形硬貨、偽
貨または処理指定金種以外の硬貨などのリジェクト硬
貨、汚れがひどい汚損貨が判別されると、排除口32上の
通路切換板36がソレノイド35により排除口32から通路外
へ退避するとともに、この排除口32に対して通路底板21
の他側上面に設けられた切換レバ―37がソレノイド39に
よって通路内方に回動進入し、通路切換板36が開放され
た排除口32へ該当硬貨を導いて落下排除する。なお、こ
の排除口32および切換レバ―37の箇所と前記判別部29と
の間には、通路幅方向に移動して硬貨通路内に進退可能
とする一対のストッパ40が設けられ、判別部29が排除す
べき硬貨を判別した際に、硬貨通路外に退避していたス
トッパ40がソレノイド41によって硬貨通路内に進入し、
排除口32から排除される該当硬貨の次の後続硬貨を停止
させる。

【００１７】また、前記通路切換部26のダイレクト送出
部27は判別通路部10から直進した方向に設けられている
とともに、分類通路部34は略90゜直交した方向に設けら
れ、これらのいずれか一方へダイレクト送出部27の入口
部に回動可能に設けられた通路切換板42によって硬貨の
進路が切換えられる。この通路切換板42は、支軸43を支
点として回動自在とされ、ダイレクト送出部27の入口部
を閉鎖する位置とダイレクト送出部27の通路外に退避し
た位置とに回動駆動され、そのダイレクト送出部27の入
口部を閉鎖する位置で硬貨を分類通路部34へ誘導する誘
導面44を硬貨通路内に臨ませる。

【００１８】この通路切換板42を回動させる駆動機構
は、支軸43を支点として回動するア―ム45の一端の長溝
46が通路切換板42に立設されたピン47に係合され、ア―
ム45の他端の長溝48が電動機で回転されるカム49に立設
されたピン50に係合されている。そして、電動機の駆動
でカム49が回転されると、ア―ム45が揺動して通路切換
板42が前記各回動停止位置に回動される。なお、通路切
換板42の各回動停止位置に対応してカム49の回動停止位
置を検出するスイッチ51が設けられている。

【００１９】前記ダイレクト送出部27は、通路切換部26
に連続して通路底板55が設けられている。この通路底板
55の終端から放出されるダイレクト硬貨を包装装置の受
入部に導くシュ―トが設けられている。

【００２０】前記通路切換部26に連設された分類通路部
34は、通路底板56の上面両側に硬貨の進路を定める通路
側板57，58が設けられ、この通路側板57，58間の通路底
板56に小径硬貨から大径硬貨の順に落下させ金種別に分
類する複数の分類孔60が形成され、この各分類孔60（最
下流の分類孔60を除く）の一側の通路側板57の位置に分
類孔60に対する分類基準位置を定める基準ロ―ラ61がそ
れぞれ回転自在に設けられている。また、この分類通路
部56および前記通路切換部26の通路上方に張設された２
本のベルト62により、通路切換部26で通路切換板42の誘
導面44によって誘導される硬貨を分類通路部34内に取込
んで搬送する。このベルト62は、前記通路切換部26と最
下流の分類孔60の各上方に回転自在に支持されたプ―リ
63，64によって張設されている。そして、各分類孔60に
臨む下側ベルト部位が複数のプ―リ65で支持され、プ―
リ64に電動機67の回転がベルト、プ―リおよび軸等の伝
達機構69を介して伝達されることにより回動される。な
お、各分類孔60には各分類孔60に分類される硬貨を検出
するセンサ70がそれぞれ設けられている。

【００２１】次に、本実施例の動作を説明する。

【００２２】硬貨投入口から回転円盤２上に硬貨、例え
ば、多金種混合状態の硬貨を一括投入し、電動機を駆動
する。回転円盤２、６を回転させるとともに判別通路部
10のベルト25をそれぞれ正転駆動し、硬貨の判別、計
数、分類などを開始する。

【００２３】そして、回転円盤２の回転によって投入さ
れた硬貨を回転円盤６に適量ずつ供給するとともに、こ
の回転円盤６から硬貨厚み規制部材８の下側を通過させ
て判別通路部10へ１枚ずつ送出する。判別通路部10で
は、判別手段31によって、硬貨の材質、径、汚損具合、
色、周囲のギザなどが判別され、適合した硬貨と判別さ
れれば金種別にメモリに記憶する。

【００２４】また、判別手段31で判別した硬貨が汚損貨
と判別されると、汚損貨を排除するように予め設定され
ている場合、この硬貨の次の後続硬貨をストッパ40で停
止させ、ソレノイド35の動作で通路切換板36を開放して
排除口32を開口させ、かつ、回転円盤２，６の電動機の
みを停止して硬貨供給送出を停止させ、また、ソレノイ
ド39を動作して切換レバ―37で該当硬貨を排除口32へ落
し込む。

【００２５】また、前記判別手段31で正貨と判別された
硬貨は、通路切換部26を通じて分類通路部34へ送られ、
この分類通路部34の金種別の分類孔60により硬貨径に応
じて金種別に分類され、各分類孔60に分類される硬貨を
検知する各センサ70からの出力により、分類された硬貨
の枚数を金種別に計数する。

【００２６】そして、この硬貨繰り出し処理動作中に
は、回転円盤６上の硬貨は遠心力で案内壁７に形成した
切欠部11に入り込み、この切欠部11の外側に沿って配設
した衝撃受け板12に衝突し、この衝撃受け板12に与えら
れた硬貨の衝突衝撃がショックセンサ13に伝達され、シ
ョックセンサ13が所定以上の衝撃、例えば、一円硬貨に
よる以上の衝撃を受けていると、回転円盤６上に硬貨が
残留していると判別手段にて判別される。

【００２７】図３および図４に示すように、判別部31か
らの出力が所定時間（ｔ_１からｔ_２までの時間）、例え
ば１秒間硬貨を検出しないと（ステップ１）、ショック
センサ13の衝撃出力カウントＣは初期設定（Ｃ＝０）さ
れ（ステップ２）、回転円盤２，６を回転させる電動機
が停止し、回転円盤２，６は停止される（ステップ
３）。そして、回転円盤６の停止から所定時間ｔ_３、例
えば、0.3 秒経過すると、回転円盤６は電動機の逆転駆
動で逆転回転される（ステップ４）。同時にショックセ
ンサ13の出力を監視を開始（ステップ５）するととも
に、ショックセンサ13の図６に示す振動波形CH_２に基づ
く出力パルスCH_１を計数する。さらに、所定時間ｔ_４、
分類通路部34に送り込まれた硬貨が分類処理される時
間、例えば、0.8秒経過すると、判別通路部10のベルト2
5を駆動する電動機が停止し、さらに、所定時間ｔ_５経
過後、例えば0.3 秒経過後（ステップ７）に、判別通路
部10に存在している硬貨があれば、電動機が逆転駆動
し、ベルト25は反転され、回転円盤６上に戻される（ス
テップ８）。また、判別通路部10に存在している硬貨が
なければ、電動機がそのまま正転駆動し、ベルト25は正
転を継続する（ステップ９）。

【００２８】そして、ショックセンサ13の出力を監視を
開始（ステップ５）後、所定時間ｔ_６、例えば2.8 秒経
過する（ステップ11) まで、ショックセンサ13の振動波
形CH_２のしきり値を越えた数に基づく出力パルスCH_１数
Ｃが、例えば５０を越えたか否か計数判別する。このシ
ョックセンサ13は衝撃受け板12に、例えば、一円硬貨が
衝突すると、その振動波形CH_２がしきい値を越えた時、
出力パルスCH_１が発生し、この出力パルスCH_１は100 程
度計数される。そして、出力パルス数Ｃが５０より少な
いと（ステップ12) 、判別手段が回転円盤６上に残留硬
貨がないと判別し（ステッブ13）、硬貨の処理が全て終
了したと判定され、全ての電動機は停止し、回転円盤
２，６、ベルト25，64を停止する（ステップ14）。

【００２９】また、出力パルス数Ｃが５０以上の場合
（ステップ12) は、回転円盤６上に残留硬貨があると判
別し（ステッブ13）、回転円盤６の硬貨の再繰出し動作
が２回行われたか否か判別し（ステップ16) 、回転円盤
６の硬貨の再繰出し動作が２回行われていないときに
は、電動機を駆動し、回転円盤６を回転させ、ベルト2
5，62を駆動し（ステップ17) 、判別部31からの出力が
所定時間（ｔ_１からｔ_２までの時間）検出するか否か判
別し（ステップ１）、再びこの動作を反復する。

【００３０】硬貨詰まりが検知されたときには、処理を
一旦停止して再起動させたりし、何回か試しても解消さ
れない場合には、エラ―表示する。

【００３１】

【考案の効果】本考案によれば、硬貨供給回転円盤上に
供給された硬貨は、回転円盤の回転により、この回転円
盤の周縁に沿って設けられた環状のガイド手段に沿って
開口部から順次繰り出され、この硬貨繰り出し処理動作
中には、回転円盤上の硬貨は環状のガイド手段に形成し
た切欠部に沿って配設したショックセンサに衝撃を与
え、予め定められた所定時間の間に、ショックセンサが
所定以上の衝撃、例えば、一円硬貨による以上の衝撃を
受けないと、回転円盤上に硬貨が残留していないとして
判別手段にて判別するようにしたので、紙屑のような硬
貨処理にまったく影響を及ぼさない物が硬貨供給回転円
盤上に存在していても、このような物を検出することな
く、硬貨の残留を確実に検出することができ、また、硬
貨粉、埃などに影響を受けて誤判別をするようなことも
ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の硬貨処理機の平面図である。

【図２】同上残留検知部の正面図である。

【図３】同上タイミングチャート図である。

【図４】同上フローチャート図である。

【図５】同上フローチャート図である。

【図６】同上ショックセンサの出力波形図である。

【符号の説明】

６ 回転円盤 ７ 環状ガイド手段 ９ 開口部 11 切欠部 13 ショックセンサ 25 搬送手段のベルト

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 投入された硬貨を受ける回転可能な回転
   円盤と、この回転円盤の周縁に沿って設けられ硬貨を繰
   り出す開口部を有する環状ガイド手段と、このガイド手
   段の開口部から繰り出された硬貨を順次搬送する搬送手
   段とを備えた硬貨処理機において、前記環状ガイドの一
   部に切欠部を形成するとともにこの切欠部に沿って配設
   され硬貨が衝突することによりその衝撃を検知するショ
   ックセンサと、硬貨処理機の動作中に予め定められた所
   定時間の間に前記ショックセンサが所定以上の強い衝撃
   を検知しないときに硬貨の残留がないと判断する判別手
   段とを具備したことを特徴とする硬貨処理機の残留検知
   装置。