JPH0755475A - 圧電振動ジャイロ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 量産性の高い圧電振動ジャイロを提供する。 【構成】 四角柱の圧電セラミックの対向する二側面に
対向する二組の駆動電極と二組の検出電極を配置し、駆
動電極によって屈曲振動を生じさせる。角速度によるコ
リオリ力を二組の検出電極で逆層の電圧として検出して
出力する。 【効果】 二面にしか電極を形成しないので側面の加工
が可能となり、共振周波数の合わせ込み等が容易とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、角速度を検出する圧電
振動ジャイロに係るもので、製造が容易で特性の良好な
圧電振動ジャイロに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ナビゲーションや手振れ防止用として用
いられ、回転角（角速度）を検出する圧電振動ジャイロ
が注目され、各種の構造が提案され、実用化されてい
る。これは、回転による圧電セラミックの変位を電圧と
して検出し、角速度に応じた信号を出力するものであ
る。圧電セラミックに電極を形成するものと、エリンバ
等の恒弾性体に圧電セラミック板を貼り付けた構造のも
のとがある。

【０００３】恒弾性材に圧電セラミック板を貼る構造の
ものとしては、三角柱と四角柱のものが提案されている
が、金属表面に圧電セラミック板を貼り付けるものであ
り、接着剤を介して貼り付けられるので検出効率が必ず
しも十分でない。また、圧電セラミック体を振動子自体
として用いるものには、円柱のものが提案されている
が、分極を十分に行うことが難しくなり、表面の電極形
成が困難となる等の問題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来の圧電振動ジャイロの欠点を改良し、検出効率が
高く、しかも量産性が高く製造が容易な圧電振動ジャイ
ロを提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、四角柱の圧電
セラミック体を用い、その対向する二側面のみに形成す
る電極のみで駆動、検出が可能な圧電振動ジャイロを得
ることによって、上記の課題を解決するものである。

【０００６】すなわち、回転による圧電体の変位を電圧
出力として得る圧電振動ジャイロにおいて、回転を検出
する素子は圧電セラミック体であり、四角柱の圧電セラ
ミック体の対向する二つの側面にそれぞれ縁に沿って伸
びる各二つの駆動電極を具え、その二つの駆動電極に挟
まれた当該側面の中央部にそれぞれ軸方向に配置された
二つの電極から成る検出電極を具えたことに特徴を有す
るものである。

【０００７】

【作用】電極の形成される二つの側面間で分極された圧
電セラミック体の駆動電極に駆動電圧を印加すると、分
極の方向に対して直角の方向に屈曲振動が生じる。この
状態で、回転運動（角速度）が加わると、圧電セラミッ
ク体の分極方向にコリオリ力を生じ、これを対向する側
面に配置された検出電極によって検出するものである。

【０００８】

【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例につ
いて説明する。

【０００９】図１は、本発明の実施例を示す斜視図であ
り、電極を形成した圧電セラミック体を示したものであ
る。圧電セラミック体10は電極を形成した上下の面方向
（図１の破線で示した矢印の方向）に分極が施されてい
る。圧電セラミック体は四角柱に形成され、二つの対向
する側面すなわち図の上下の面に電極が形成されてい
る。

【００１０】圧電セラミック体10の上面には、縁の部分
に沿って軸方向に伸びる二つの駆動電極11ａ、11ｂが配
置される。同様に下面にも、縁の部分に沿って軸方向に
伸びる二つの駆動電極12ａ、12ｂが形成される。この駆
動電極間に駆動電圧を印加して、分極方向に対して直角
な方向（図の実線の矢印方向）に屈曲振動を生じさせる
ものである。

【００１１】上下の面には駆動電極に挟まれた部分に検
出電極を形成する。すなわち、上面では、駆動電極11ａ
と11ｂに挟まれ、側面の中央部に検出電極13ａ、13ｂを
配置し、下面には同様に検出電極14ａ、14ｂを配置す
る。

【００１２】図２は、本発明による圧電振動ジャイロの
駆動回路と検出回路の説明図である。図において、圧電
振動ジャイロは説明の便宜上、駆動電極と検出電極を付
したものに分けて図示してある。発振回路15の出力によ
って所定の周波数（圧電セラミック体の共振周波数）の
駆動電圧を駆動電極に印加する。この際、駆動電極11ａ
と駆動電極12ｂが同相になり、駆動電極11ｂと駆動電極
12ａが同相となるように結線してある。これを圧電セラ
ミック体の屈曲一次の共振周波数で駆動すると、駆動電
極11ａ、12ａ側と駆動電極11ｂ、12ｂ側とでは逆位相と
なるため、伸びと縮みが逆相で生じる。これによって、
分極方向に対して直角な方向に屈曲振動が生じる。

【００１３】上記の状態で、角速度が加わる（回転が生
じる）と、圧電セラミック体の上下面方向にコリオリ力
が生じる。このコリオリ力は検出電極13、14の方向に生
じ、図３に示したように、電極13ａ、13ｂ間では縮むよ
うになる場合、電極14ａ、14ｂ間では伸びるようにな
る。この伸び縮みによって、検出電極13ａ、13ｂ間と電
極14ａ、14ｂ間にその伸び縮みに応じた出力電圧が生じ
る。この二つの出力を、差動増幅回路16に入力し、その
出力から同期検波回路17、直流増幅回路18によって検出
出力を得るようにしたものである。

【００１４】なお、駆動電極と検出電極の配置は上記の
例に限られるものではなく、屈曲振動を生じさせるよう
な駆動電極の配置、コリオリ力を検出できるような検出
電極の配置を任意に選択することができる。

【００１５】本発明による圧電振動ジャイロにおいて
は、圧電セラミック体の側面の研磨が可能であるので、
高い精度の加工が可能となり、それによって直交する方
向の共振周波数をほぼ完全に一致させることができる。
これによって、従来の圧電セラミック板を貼り付けたも
のと異なり、コリオリ力を検出する面でのノイズを非常
に小さくすることができ、Ｓ／Ｎ比が向上する。

【００１６】図４は、本発明の他の実施例を示す説明図
で、検出電極の形状を変えたものである。検出電極を櫛
歯状（インターデジタル）構造とすることによって、検
出出力を大きくすることが可能となる。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、分極方向の二表面にそ
れぞれ二つの駆動電極と一つの検出電極を形成するの
で、側面への電極形成が不要となり、量産性が大幅に向
上する。また、圧電セラミック板のウェハの状態で分
極、電極形成処理工程を行うことができる。

【００１８】また、共振周波数の合わせ込みも容易とな
り、検出精度の良好な圧電振動ジャイロが得られる。そ
の上、接着を必要としないので、検出効率、信頼性等の
面でも有利となる。

【００１９】更に、位相が逆となる信号を重畳させて出
力信号を得ることができるので、検出効率、検出精度の
向上が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例の斜視図

【図２】 本発明による圧電振動ジャイロの駆動回路の
一例の説明図

【図３】 本発明による圧電振動ジャイロの振動状態の
説明図

【図４】 本発明の他の実施例の平面図

【符号の説明】

11、12：駆動電極 13、14：検出電極

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 高浩 埼玉県比企郡玉川村大字玉川字日野原828 番地 東光株式会社玉川工場内 (72)発明者 高野 勝好 埼玉県比企郡玉川村大字玉川字日野原828 番地 東光株式会社玉川工場内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転による圧電体の変位を電圧出力とし
   て得る圧電振動ジャイロにおいて、回転を検出する素子
   は圧電セラミック体であり、四角柱の圧電セラミック体
   の対向する二つの側面にそれぞれ縁に沿って伸びる各二
   つの駆動電極を具え、その二つの駆動電極に挟まれた当
   該側面の中央部にそれぞれ軸方向に配置された二つの電
   極から成る検出電極を具えたことを特徴とする圧電振動
   ジャイロ。
2. 【請求項２】 回転による圧電体の変位を電圧出力とし
   て得る圧電振動ジャイロにおいて、回転を検出する素子
   は圧電セラミック体であり、四角柱の圧電セラミック体
   の対向する二つの側面にそれぞれ縁に沿って伸びる各二
   つの駆動電極を具え、その二つの駆動電極に挟まれた当
   該側面の中央部にそれぞれ軸方向に配置された二つの電
   極から成る検出電極を具え、二つの側面の検出電極の逆
   相の電圧から差動増幅回路を通して検出出力を得ること
   を特徴とする圧電振動ジャイロ。