JPH0755089B2 - 苗植付装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、ロータリ式の苗植付装置に用いるものであ
る。

〔従来の技術〕

振動の軽減と能率の向上を図るため、従来のクランク式
の苗植付装置に代えてロータリ式の苗植付装置を用いる
ことが提案されている。

このロータリ式の苗植付装置は、１対の植付爪が同じ位
置で苗を交互に次ぎ取って泥土に移植する。従って、植
付爪の回転速度は従来のままで苗植機の車速を２倍に高
め、苗の損傷を増加することなく能率を向上できると云
われている。

ここに、このロータリ式は、植付爪を備える１対の植付
ケースが同一回転面上で旋回するので、接触を避けるた
めにそれぞれの植付ケースを離して設ける必要があって
大型化する欠点がある。

先願の特開昭60-244216号などでは、これを解消するた
め、植付ケースを上から見て複雑に曲げて構成すること
が提案されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

先行技術のように、植付ケースを複雑に曲げて構成する
と、植付ケースの重量が増大し、この増大した重量が植
付爪側に片寄ることになる。そのため、植付ケースの回
転中の慣性で軸や歯形や偏摩耗して植付爪の先端に振れ
を生じ、欠ぎ取られる苗の大きさが変動して１株中の苗
の本数にバラツキを生じるおそれがある。

この発明は、植付ケースを軽量化するとともに、植付ケ
ースと遊星歯車との結合を強固にして上記の課題の解消
を図ろうとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

この発明は、上記の課題を解決するため、複数個の遊星
歯車31・31が太陽歯車29の回りを同じような姿勢を保っ
て回転するように設けられた回転ケース22を駆動軸23に
固定し、各遊星歯車31・31と一体となって回転するよう
に取付部材60・60を回転ケース22の側方に設け、各取付
部材60・60に植付爪39・39を有する植付ケース35・35を
各々固着して、各植付爪39・39が回転ケース22の回転に
伴って同じような姿勢で旋回して苗載台19に載置された
苗から一株分づつの苗を取るように作動する苗植付装置
において、各植付ケース35・35には各植付爪39・39の軌
跡イよりも回転ケース22側で且つ側面視で該軌跡イより
も突出する取付部35a・35aを設けて、該各植付ケース35
・35の取付部35a・35aと前記取付部材60・60とを接合し
て固着したことを特徴とする苗植付装置とした。

〔作用〕

上記のように構成されたこの苗植付装置は、回転ケース
22の回転に伴い各植付ケース35・35が同じような姿勢で
旋回する。そして、各植付ケース35・35の旋回で各植付
爪39・39が苗載台19に載置された苗（マット苗）から１
株分づつの苗を取って下降し、泥土中に移植する。

ここに、植付爪39を有する植付ケース35・35が回転ケー
ス22の回転に伴って同じような姿勢で旋回するに、一つ
の植付ケース35が下降しているとき、他方の植付ケース
35が上昇する。このとき、上昇中の植付ケース35に設け
られている植付爪39の先端は、下降中の植付ケース35の
植付爪39の後方部位を通って上昇する。

〔効果〕

以上のように、この発明によると、各遊星歯車31・31と
一体となって旋回する取付部材60・60に、植付爪39の軌
跡イよりも回転ケース22側で且つ側面視で該軌跡イより
も突出する各植付ケース35・35の取付部35a・35aを接合
して固定するようにしたから、上昇中の植付爪39の先端
が下降中の植付ケース35の突出していない部位を、側面
から見て植付ケース35に重なるようにして通過する。従
って、植付ケース35を先行技術のような複雑な形状にし
ないで軽量に構成できる。

併せて、植付ケース35・35がそれぞれの回転ケース22側
で突出する取付部35a・35aで取付部材60・60に固着され
るので遊星歯車31・31に強固に固定される。そして、こ
れらが相乗し、耐久性が向上して偏摩耗の発生が減少
し、植付爪39・39の接合方向のダカツキによる苗床の欠
ぎ取り量の変動のおそれが減少され、良好なる苗の植付
けが行える。

〔実施例〕

つぎに、この発明の実施例を説明する。

第１図のように、走行車体１からリンク15が後方に突出
し、その後端に苗植装置13が取付けられて、乗用型の苗
植機となっている。

走行車体１は、つぎのように構成される。それぞれ１対
の前輪２と後輪３が前後に配置され、中央の原動機４の
動力がミッションケース８内で変速されたのち、伝動軸
９で前輪２に伝わり、伝動軸10で後輪３に伝わって、こ
れらが水田の耕盤上で回転し、走行車体１が推進するよ
うに出来ている。機体の先端からポスト７が上に伸び、
その上方のハンドル６を操作すると、前輪２が操舵され
る。座席５が原動機４の上に設けられている。

取付枠17がリンク15の後端に設けられ、油圧装置16で上
下に移動するように出来ている。

苗植装置13は、つぎのように構成される。伝動ケース18
の中央の前端が取付枠17に前後方向のローリング軸で取
付けられている。苗載台19が伝動ケース18の上方に前倒
れに設けられ、左右に往復移動するように出来ている。
第２図のように、この苗載台19は、上面が前後方向の側
壁20…で仕切られ、それぞれの苗載面19a〜19eの上に５
枚のマット苗を横並びに載せるようになっている。断面
がＬ形の苗受板21か苗載台19の下方で伝動ケース18に固
定され、苗載面19a〜19e上のマット苗の端が、この苗受
板21上で左右に往復するようになっている。５個の取出
口21a〜21eが苗受板21に等間隔で設けられ、後で述べる
植付爪39…が上から下に向って通過するようになってい
る。５組の植付具34…がそれぞれの取出口21a〜21eの後
に配置され、マット苗の端を欠ぎ取って、下の泥土に移
植するようになっている。中央フロート51と左右一対の
側部フロート52・52が伝動ケース18の下に配置され、走
行車体１の前進で泥面を滑走し、植付具34…が苗を移植
する泥土をあらかじめ整地するように出来ている。そし
て、PTO軸11と伝動軸12を経て原動機４の動力が伝動ケ
ース18内に達し、苗載台19と植付具34…が上記のように
駆動される。レバー14がポスト７に取付けられ、その操
作でワイヤ50が引かれ、伝動ケース18内のクラッチ45が
伝達動力を断続するようになっている。レバー58a・58b
が苗植装置13に設けられ、ワイヤー59…を引き、植付具
34…に対する動力を断続するようになっている。

伝動ケース18の縦の部分18a・18b・18cが苗受板21の下
を通って後に伸び、それぞれの後端部に前記の植付具34
…が配置される。以下は、左右が対称又は同一のため、
その１つについて説明する。

第４図のように、伝動ケース18の縦の部分18aの後端に
駆動軸23が横向に設けられ、原動機４の回転が歯輪27、
歯車26・25・24を経て伝わって、第１図および第３図で
反時計方向に回転するようになっている。回転ケース22
が駆動軸23の突端にキー23aで固定されている。太陽歯
車29が駆動軸23に回転自在に取付けられ、これから伝動
ケース18側に伸びるボス29aが伝動ケース18と一体のメ
タル28の孔28aに偏心して嵌入し、駆動軸23が回転して
も、太陽歯車29は回らないように出来ている。回転ケー
ス22の外周部の対称な位置に１対の遊星歯車31・31が配
置され、それぞれの中間歯車30・30で太陽歯車29に咬み
合い、すべての歯車29・30・31の歯数が同一に構成され
て、回転ケース22が反時計方向の１回転するときに、こ
の回転ケース22に対して逆方向に１回転し、地面に対し
て同じ姿勢を保つようになっている。なお、それぞれの
歯車29・30・31のピッチサークルが回転中心に対して偏
心し、遊星歯車31・31は、太陽歯車29の回りを旋回する
ときに地面に対して回転はしないが、その軸心回りに揺
動するように出来ている。１対の筒軸31a・31aがそれぞ
れの遊星歯車31・31から回転ケース22の外に伸び、その
突端にフランジ状の取付部60b・60bを有する取付部材60
・60がコッター40・40で強固に固定されている。１対の
植付ケース35・35には各植付爪39・39の軌跡イよりも回
転ケース22側で突出する取付部35a・35aを設けて、その
取付部35a・35aをそれぞれの取付部60b・60bに接合させ
て、ボス部60a・60aが植付ケース35・35の壁面に嵌入し
た状態で、ボルト61…で締め付けられて、植付ケース35
・35が取付部材60・60に固定されている。

第３図のように、植付ケース35に植付爪39が取付けら
れ、その先端部で押出爪38aが上下に移動するように構
成されて、前記の植付具34となっている。

すなわち、植付爪39が植付ケース35の苗載台19側の面に
下向に固定され、押出棒38の下端に固定された押出爪38
aが、その下端部で上下に移動するように出来ている。
ばね42で押出棒38が押し下げられている。第４図のよう
に、カム軸32が筒軸31aと遊星歯車31の中央に配置さ
れ、その１端が板33で回転ケース22に固定され、その他
端に押出カム36が固定されている。テコ37がピン41の回
り揺動するように植付ケース35に取付けられ、その両端
が押出カム36と押出棒38とに係合し、植付爪39の先端が
第３図の軌跡イを通って反時計回りに旋回するとき、そ
の軌跡イの下端を過ぎたところで、押出カム36で揺動さ
れるテコ37がばね42を圧縮して押出爪38aを引き上げ、
苗取口21aを通り抜けて軌跡イの下端に来ると、テコ37
押出カム36の突出部から離れ、ばね42が押出爪38aを押
し下げるように出来ている。そして、苗取口21aを通過
するときに苗を欠ぎ取り、下端で泥土にその苗を移植す
る。

また、第４図のように、１対の植付ケース35・35の側面
35a・35aは、植付爪39・39の回転面よりも回転ケース22
寄りに位置し、その１部が突出し、上から見て植付爪39
・30の後方の植付ケース35・35面が大きく欠ぎ込まれた
形状に構成されている。そして、１対の植付ケース35・
35が第３図の軌跡イを通って旋回するとき、上昇行程に
ある植付爪39の先端が、下降行程にある植付ケース35の
上記の欠ぎ込まれた部位を通るようになっている。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明を施した苗植機の側面図、第２図はそ
の苗植装置の平面図、第３図はその１部の拡大した切断
側面図、第４図はその切断平面図である。 符号の説明 19……苗載台、22……回転ケース 23……駆動軸、29……太陽歯車 31……遊星歯車、35……植付ケース 35a……取付部、39……植付爪 60……取付部材、60a……取付部 イ……植付爪先端の軌跡

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数個の遊星歯車31・31が太陽歯車29の回
   りを同じような姿勢を保って回転するように設けられた
   回転ケース22を駆動軸23に固定し、各遊星歯車31・31と
   一体となって回転するように取付部材60・60を回転ケー
   ス22の側方に設け、各取付部材60・60に植付爪39・39を
   有する植付ケース35・35を各々固着して、各植付爪39・
   39が回転ケース22の回転に伴って同じような姿勢で旋回
   して苗載台19に載置された苗から一株分づつの苗を取る
   ように作動する苗植付装置において、各植付ケース35・
   35には各植付爪39・39の軌跡イよりも回転ケース22側で
   且つ側面視で該軌跡イよりも突出する取付部35a・35aを
   設けて、該各植付ケース35・35の取付部35a・35aと前記
   取付部材60・60とを接合して固着したことを特徴とする
   苗植付装置。