JPH0753269A - 被覆高圧型窒化硼素焼結体及びその製造法 - Google Patents

被覆高圧型窒化硼素焼結体及びその製造法

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JPH0753269A
JPH0753269A JP5219271A JP21927193A JPH0753269A JP H0753269 A JPH0753269 A JP H0753269A JP 5219271 A JP5219271 A JP 5219271A JP 21927193 A JP21927193 A JP 21927193A JP H0753269 A JPH0753269 A JP H0753269A
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Yoshiaki Hamada
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以
下の高圧型窒化硼素の微粒子からなる芯粒子粉体を気中
に分散させ、この分散した芯粒子粉体の粒子を分散度β
が70%以上である分散状態で被覆形成物質前駆体と接
触又は衝突させることによって、単一粒子の表面を被覆
形成物質で被覆を施した被覆された高圧型窒化硼素粒子
又は同粒子を含む混合物を、2000MPa未満の圧力
及び1850℃を越えない高圧型窒化硼素が熱力学的に
安定ではないが準安定な圧力、温度の焼結条件下で焼結
する、高圧型窒化硼素焼結体及びその製造方法。 【効果】 本方法により、均一で、緻密で、且つ強固に
焼結された、高度に制御された微組織を有する高性能な
被覆高圧型窒化硼素焼結体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高圧窒化硼素の微粒子
からなる、芯粒子粉体の粒子又は主に同微粒子からなる
芯粒子粉体の粒子を含有する均一で、緻密で且つ高硬度
な高度に微組織が制御された高性能な被覆高圧型窒化硼
素焼結体及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】高圧型窒化硼素は、立方晶窒化硼素及び
/又はウルツ鉱型窒化硼素からなる。立方晶窒化硼素
(c−BN)は、強い共有結合性に基づき、多くの非常
に優れた性質を有するが、反面、その共有結合性に起因
して、自己拡散係数が非常に小さいために極めて難焼結
性であり、しかも立方晶窒化硼素は熱力学的には超高圧
力下でのみ安定で、高温下では圧力が不十分な場合には
黒鉛型相の六方晶窒化硼素(h−BN)に相移転する。
そこで高圧型窒化硼素を含有する高圧型窒化硼素焼結体
は、高圧型窒化硼素のグラファイト型相(h−BN)へ
の相転移を防止し、且つこの高圧型窒化硼素焼結体を緻
密に焼結するために、高圧型窒化硼素が熱力学的に安定
な2000MPaを越える超高圧力及び高温度下で製造し
ていた。例えば、特開昭63−35456号公報に記載
の立方晶窒化硼素は、4000MPa(40kb)、12
00℃以上で焼結される。この焼結条件は、極限状態と
して大変厳しいもので、例えばガードル型或はベルト型
等の超高圧力装置を使用しなければ発生し得なかった。
それが為、2000MPaを越える超高圧力を発生させ
る、ガードル型或はベルト型等の超高圧力装置を使用す
る制約により、高圧型窒化硼素を含有する高圧型窒化硼
素焼結体は多量生産が困難で、製造コストが高く、また
大型形状品を製造できなかった。
【0003】しかし、例えば立方晶窒化硼素は、若槻ら
が超高圧力下での実験により、立方晶窒化硼素が熱力学
的には安定な状態でなくとも、熱力学的に準安定である
場合、相転移に要する時間が極めて長いために事実上安
定に存在し、その事実上安定に存在する上限として図1
の線を示して報告している(若槻、市瀬、青木、前
田、第14回高圧討論会講演要旨集(1972)P7
8)。従って、これによれば、図1の熱力学的平衡線
に対して安定ではない低圧力・高温度の条件でも、図1
の線を越えない温度、例えば1200℃以下ならば、
立方晶窒化硼素が事実上安定に存在する。この事実に基
づき、この条件下で、少なくとも立方晶窒化硼素を含む
高圧型窒化硼素を含有する高圧型窒化硼素焼結体の製造
が可能であれば、2000MPa未満の比較的緩い超高圧
力を発生可能の超高圧力装置、例えばピストン・シリン
ダー(PC)型超高圧力装置、又は公知の技術として1
000MPaまで加圧が可能な超高圧HIP装置、或は超
高圧HIP装置を除く熱間静水圧加圧(HIP:Hot Isost
atic Press)装置、若しくはホットプレス(HP:Hot Pr
ess)装置を使用して製造することが可能となる。これ
により、前記ガードル型やベルト型等の、2000MPa
を越える超高圧力を発生させる超高圧力装置の場合と異
なり、多量生産が容易で、且つ大型形状の焼結体が製造
可能となる。
【0004】近年、このような2000MPa未満の比較
的緩い超高圧力を作用可能の超高圧力装置、例えばピス
トン・シリンダー(PC)型超高圧力装置、又は100
0MPaまで加圧が可能な超高圧HIP装置、或はこの超
高圧HIP装置を除く熱間静水圧加圧(HIP:Hot Isost
atic Press)装置、若しくはホットプレス(HP:Hot Pr
ess)装置を使用した、高圧型窒化硼素の微粒子からな
り、これを比較的多く含有する緻密で高性能な高圧型窒
化硼素焼結体の多量生産や大型形状品の製造が強く求め
られている。しかし、このように制限された圧力下で高
圧型窒化硼素を比較的多く含有する高圧型窒化硼素焼結
体を効果的に緻密化させるのは容易ではない。
【0005】すなわち高圧型窒化硼素焼結体を焼結する
ときに、結合材の原料粉体の形態で加えられる結合材が
変形乃至移動して高圧型窒化硼素粒子間間隙を充填し、
結合材及び高圧型窒化硼素粒子によって囲まれる空隙や
気孔の排除及び消滅に対して効果的に圧力が作用して初
めて可能となる。そのためには結合材、及び/又は高圧
型窒化硼素と反応して結合材を生成する結合材の原料粉
体が、高圧型窒化硼素粉体粒子に接してその周りに存在
しなければならない。特に、圧力が2000MPa未満
で、高圧型窒化硼素が熱力学的には安定ではないが、準
安定な圧力・温度の焼結条件においては、高圧型窒化硼
素は直接の結合は殆ど期待できないので、得られる高圧
型窒化硼素焼結体中の結合材の原料粉体の存在しない高
圧型窒化硼素粒子部分は未焼結となる。この場合、高圧
型窒化硼素焼結体の性能は著しく低下する。これによ
り、前記多量生産が容易で、且つ大型形状の焼結体が製
造可能となる等の利点は意味がなくなるのでやはり高圧
型窒化硼素粉体粒子の周りに結合材及び/又は窒化硼素
と反応して結合材となる物質が存在しなければならな
い。
【0006】つまり、結合材、及び/又は高圧型窒化硼
素と反応して結合材となる物質が微粒子からなる高圧型
窒化硼素の周りに接して存在することにより、2000
MPa未満の比較的緩い超高圧力を作用可能の超高圧力
装置、例えばピストン・シリンダー(PC)型超高圧力
装置、又は1000MPaまで加圧が可能な超高圧HI
P装置、或は超高圧HIP装置を除く熱間静水圧加圧
(HIP:Hot Isostatic Press)装置、若しくはホットプ
レス(HP:Hot Press)装置を使用した、微粒子からな
り高圧型窒化硼素を比較的多く含有する緻密で高性能な
高圧型窒化硼素焼結体の多量生産や大型形状品の製造が
初めて可能となる。そのためには、微粒子からなる高圧
型窒化硼素粉体粒子に被覆形成物質の被覆を施した被覆
された高圧型窒化硼素粒子が不可欠であり、この被覆さ
れた高圧型窒化硼素粒子を作製する被覆法が重要な技術
となる。
【0007】この高圧型窒化硼素粉体粒子への被覆形成
物質の被覆法としては気相法、湿式メッキ法など種々の
方法があるが、中でも気相法は、原理的に、(1)雰囲
気の制御が容易である、(2)基本的に結合材及び/又
は焼結助剤としての物質の選択に制限がなく、活性金属
を始めとする金属単体物質、窒化物、炭化物、硼化物、
酸化物など、いろいろな種類の物質を被覆出来る、
(3)結合材及び/又は焼結助剤として目的物質を高純
度に被覆できる、(4)結合材となる物質及び/又は焼
結助剤となる物質の被覆量を任意に制御できるなど、他
の被覆法では成し得ない大きな利点がある。しかし気相
法による結合材となる物質及び/又は焼結助剤となる物
質の、高圧型窒化硼素粉体粒子への被覆は、高圧型窒化
硼素粉体粒子が微粒子である場合又は主に微粒子からな
る粒子である場合に個々の高圧型窒化硼素粉体粒子への
被覆は、以下の理由により不可能であった。
【0008】即ち、被覆されるべき高圧型窒化硼素粉体
粒子が、微粒子である場合の、この被覆されるべき芯粒
子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子
は、粉体粒子同士の付着力が強いため凝集性が高く、殆
どの単一粒子が凝集体を形成している。そしてこの凝集
体は、その凝集力を上回る特別な作用を加えない限り崩
し壊すことができないために凝集体をそのままで被覆し
ても、一個一個の粒子表面への結合材及び/又は焼結助
剤による被覆は不可能で、結局この凝集体の表面が結合
材及び/又は焼結助剤で被覆された被覆凝集体が生成す
ることになる。これにより凝集体を形成する個々の高圧
型窒化硼素粒子は、凝集体表面に位置する粒子ではその
粒子表面は被覆量は多いものの被覆むらが生じたり、凝
集体内部に位置する粒子では全く被覆されないという問
題があった。
【0009】上記の問題を解決しようとして、被覆され
るべき高圧型窒化硼素芯粒子粉体粒子が微粒子である場
合のこの被覆されるべき芯粒子粉体の粒子又は主に微粒
子からなる芯粒子粉体の個々の粒子を被覆する目的でこ
の粒子を分散させて被覆する試みは既にあった。例え
ば、特開昭58−31076号公報に開示されている装
置・方法によれば、PVD装置内に設置された容器の中
に芯粒子粉体の粒子を入れ、容器を電磁気的な方法によ
り振動させ、前記容器内の芯粒子を転動させながらPV
D法により被覆する。又、特開昭61−30663号公
報に開示されている装置によれば、PVD装置内に設置
された容器の中に芯粒子粉体の粒子を入れ、容器を機械
的な方法により振動させ、前記容器内の芯粒子を転動さ
せながらPVD法により被覆するとされている。しか
し、これらの容器の振動により芯粒子粉体の粒子を転動
させながら被覆する装置或いは方法では、実際には、微
粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉
体の粒子である高圧型窒化硼素粉体粒子の凝集体を崩す
のに要する凝集力を上回る作用を加えることができない
ため、この凝集体を崩すことができずむしろ造粒作用が
働き、容器内に導入する前以上に、より多く、或いはよ
り大きな凝集体を形成するだけであった。
【0010】特開平3−153864号公報に開示され
ている装置及び方法は、内面に障壁及び/又は凹凸を備
えた回転容器内に粒子を入れ、この回転容器を回転させ
ながら蒸着法により芯粒子表面に被覆を行うことを目的
とするものであるが、このような装置或いは方法におい
ては、微粒子の芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からな
る芯粒子粉体の粒子である高圧型窒化硼素粉体粒子の凝
集体を崩すのに要する凝集力を上回る作用を加えること
ができないため、この凝集体を壊すことができないばか
りか、より多く、或いはより大きな凝集体を形成するだ
けであった。特開昭58−141375号公報には、反
応ガス雰囲気中に置かれた粉体を反応ガスの流れと重力
の作用とによって浮遊させて、反応ガスの化学反応によ
り生成される析出物質によって粉体の表面を被覆する装
置が開示されている。又、特開平2−43377号公報
には、微粒子を減圧下において流動化させながら、熱化
学反応処理を行い被覆を行う方法が開示されている。こ
れらの気流による流動層を利用する装置或いは方法で
は、微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯
粒子粉体の粒子である高圧型窒化硼素粉体粒子の一個一
個を流動化させることが事実上不可能で、この高圧型窒
化硼素粉体粒子の凝集体を崩せなかった。
【0011】特開昭54−153789号公報には、金
属の蒸気を発生させた真空容器内を粉末材料を落下させ
金属を被覆する装置が開示されている。又、特開昭60
−47004号公報には真空槽中の高周波プラズマ領域
にモノマーガスと粉体粒子を導入し、プラズマ重合によ
り有機物の被覆膜を形成させる方法が開示されている。
これらの装置或いは方法の如く、単に導入するだけでは
微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子
粉体の粒子である高圧型窒化硼素粉体粒子の凝集体を壊
せなかった。特開昭64−80437号公報には、低・
高周波合成音波により芯粒子粉体の凝集体を崩して流動
化させ被覆する方法が開示されている。しかし、流動層
に振動を与えるこの方法では、微粒子芯粒子粉体の粒子
又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子である高圧型
窒化硼素粉体粒子の凝集体を崩せなかった。
【0012】特開昭62−250172号公報には、前
処理として、ジェットミル処理した粉体を、減圧加熱処
理室に滞留させ、ここで加熱処理を施した後、粉体フィ
ーダーでスパッタリング室に自然落下で導入し、ターゲ
ットを垂直に設けた円筒状のスパッタリング室に自然落
下させて被覆する装置及び方法が開示されている。又特
開平2−153068号公報には、前処理としてジェッ
トミル処理した粉体を、減圧加熱処理室で滞留させ、こ
こで加熱処理を施した後、粉体フィーダーでスパッタリ
ング室のスパッタリング源を納めた回転容器に粉体状で
導入し、容器を回転さた状態でスパッタリングする装置
及び方法が開示されている。これらの装置では、ジェッ
トミル処理によりその時だけ粉体は一時的に分散される
が、被覆前の加熱工程で、この粉体を滞留させる構造で
あり、そのような方法のため、仮にジェットミル処理で
一時的に一次粒子状態に分散してもこの加熱工程でのこ
の粉体の滞留のため再凝集し、結局、被覆工程に導入さ
れる時には凝集したままである。
【0013】以上のように、これまでのものでは、いず
れも微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯
粒子粉体の粒子である高圧型窒化硼素粉体粒子に被覆す
る装置或いは方法としての問題解決はなされておらず、
そのため、高圧型窒化硼素粉体粒子一個一個に結合材と
なる物質及び/又は焼結助剤となる物質を被覆形成物質
として気相被覆法により均一に被覆を施した被覆された
高圧型窒化硼素粉体粒子が作製できなかった。そのため
に、前記微粒子からなり、高圧型窒化硼素を比較的多く
含有する緻密で高性能な高圧型窒化硼素焼結体の多量生
産や大型形状品の製造ができなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従って、現実に、被覆
されるべき高圧型窒化硼素粉体粒子であって、例えば1
0μm以下の平均粒子径の粒子である、微粒子芯粒子粉
体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を単
一粒子単位で、結合材となる物質及び/又は焼結助剤と
なる物質を被覆形成物質として被覆を施した被覆された
高圧型窒化硼素粉体粒子による高圧型窒化硼素が熱力学
的には安定ではないが準安定な圧力、温度における焼結
による微粒子からなる高圧型窒化硼素粒子を比較的多く
含有する高性能な高圧型窒化硼素焼結体及びその製造方
法の実現が強く求められている。本発明は、微粒子芯粒
子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体粒子で
ある高圧型窒化硼素粉体粒子へ単一粒子単位に、結合材
となる物質及び/又は焼結助剤となる物質を被覆形成物
質として被覆を施した被覆された高圧型窒化硼素粒子又
は同粒子を含む混合物を2000MPa未満の圧力、及
び1850℃を越えない温度において焼結することから
なる、均一で、緻密で、且つ強固に焼結された、微組織
が高度に制御された高性能な微粒子からなる高圧型窒化
硼素粒子を比較的多く含有する高圧型窒化硼素焼結体及
びその製造法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】圧力が2000MPa未
満で、高圧型窒化硼素が熱力学的には安定ではないが、
準安定な圧力・温度の焼結条件においては、高圧型窒化
硼素同士は直接の結合が困難であるので、得られる焼結
体の結合材の存在しない部分は未焼結となる。本発明
は、高圧型窒化硼素粉体粒子の周りには高圧型窒化硼素
と反応しない結合材及び/又は高圧型窒化硼素と反応し
て結合材となる物質が存在しなければならず、そのため
には、高圧型窒化硼素粒子に、被覆形成物質を被覆し
た、被覆された高圧型窒化硼素粒子を適用することが最
も適していることを見い出した。また同時に、本発明
は、高性能な結合材と、少なくとも立方晶窒化硼素を含
む高圧型窒化硼素による、高圧型窒化硼素焼結体を焼結
するときに、少なくとも、高圧型窒化硼素粒子に被覆さ
れた被覆形成物質がその儘、及び/又はこの被覆形成物
質と高圧型窒化硼素との反応生成物が結合材として、こ
れらが、変形乃至移動して高圧型窒化硼素粒子間間隙を
充填し、結合材と高圧型窒化硼素が結合し、結合材及び
高圧型窒化硼素によって囲まれる空隙や気孔の排除、消
滅にのみ効果のある圧力を作用すれば、高圧型窒化硼素
焼結体の緻密化が可能となり、高度に微組織を制御した
被覆高圧型窒化硼素焼結体の製造が可能であることを見
い出した。
【0016】このためには、体積基準頻度分布で平均粒
子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に
微粒子からなる芯粒子粉体の粒子である高圧型窒化硼素
粉体粒子への被覆の一様さ、均一性等の被覆の質が当該
被覆高圧型窒化硼素焼結体の製造の成否の鍵であること
を見い出した。すなわち、本発明者らは、微粒子芯粒子
粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体である高
圧型窒化硼素粉体粒子へ単一粒子単位に結合材となる物
質及び/又は焼結助剤となる物質を被覆形成物質として
被覆するためには、体積基準頻度分布で平均粒子径が1
0μm以下の芯粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態で気
中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の
この芯粒子粉体の粒子を、分散度βが70%以上である
高い分散状態の被覆空間の被覆開始領域で、被覆を開始
しなければならないことを見い出した。
【0017】より詳しくは、(I)高圧型窒化硼素粉体
の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒
子粉体の粒子・気体混合物の状態に分散させたこの芯粒
子粉体の粒子は、滞留させなくとも、時間の経過と共に
ブラウン凝集、乱流凝集、音波凝集等により再凝集する
傾向にあり、一旦再凝集すると、特別に高い分散性能を
有する分散処理手段により分散させなければ、再凝集の
状態を崩して再分散させることが困難であり、このた
め、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯
粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在する高
分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の当該芯粒子粉体
の粒子を、分散度βが70%以上である高い分散状態で
被覆空間の被覆開始領域に導く必要があること、またそ
のためには、(II)この芯粒子粉体の粒子からなる凝集
体を崩し、且つ主に単一粒子状態で気中に存在する高分
散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の芯粒子粉体の粒子
を高い分散状態に分散させる、一以上からなる特別に高
い分散性能を有する分散処理手段群が必要であることを
見い出したのである。
【0018】そしてこのようにして得られた被覆された
高圧型窒化硼素粉体粒子を、高圧型窒化硼素が熱力学的
に安定ではないが準安定である2000MPa未満の圧
力および1850℃を越えない温度において焼結するこ
とにより、均一で、緻密で、且つ強固に焼結された、微
組織が高度に制御された高性能な高圧型窒化硼素焼結体
が得られたのである。すなわち、本発明によれば200
0MPa未満の比較的緩い超高圧力を発生可能なPC型
超高圧力装置、又は1000MPaまで加圧が可能な超
高圧HIP装置、或は上記の超高圧HIP装置以外のH
IP装置、若しくはHP装置を使用して、各々の焼結環
境下において、高圧型窒化硼素をグラファイト型相に相
転移させることなく被覆された高圧型窒化硼素粒子を均
一で緻密で、且つ強固に焼結された焼結体となしうるの
である。更にまた、この被覆された高圧型窒化硼素粒子
が、恰も前記被覆物質そのものの粒子の如き焼結挙動を
示すことを見い出し、これにより、被覆高圧型窒化硼素
焼結体の強化が可能な、短径が500μm以下で、この
短径に対する長径との比が2以上の形状の金属又は化合
物の一種類以上からなる繊維状物質を添加して焼結可能
であることも見い出し、本発明に至った。
【0019】即ち、本発明は、高圧型窒化硼素の微粒子
からなる芯粒子粉体の粒子、又は主に同微粒子からなる
芯粒子粉体の粒子であって、その表面が被覆形成物質で
被覆されたものを焼結して高圧型窒化硼素焼結体を製造
するに当り、この被覆形成物質で被覆された高圧型窒化
硼素粒子は、芯粒子粉体を被覆空間に投入し、気相を経
て生成する被覆形成物質前駆体及び/又は気相状態の被
覆形成物質前駆体を、芯粒子粉体の粒子に接触及び/又
は衝突させて、芯粒子粉体の粒子の表面が被覆形成物質
で被覆されたものであって、 (A) 微粒子高分散処理手段群の最終処理手段が、
(a) この芯粒子粉体の粒子を気中に分散させる分散
手段、および(b) 芯粒子粉体の粒子を気中に分散さ
せた芯粒子粉体の粒子と気体との混合物において低分散
芯粒子粉体部分を分離し、芯粒子粉体の粒子が主に単一
粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気
体混合物を選択する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合
物選択手段とこの高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物
選択手段により選択分離された低分散芯粒子粉体部分を
微粒子高分散処理手段群中の分散手段の内の最終分散手
段及び/又は最終分散手段以前の処理手段に搬送するフ
ィードバック手段とを備えた高分散芯粒子粉体の粒子・
気体混合物選択手段、から選ばれる微粒子高分散処理手
段群により、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm
以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる
芯粒子粉体の粒子を、気中に分散させて高分散芯粒子粉
体の粒子・気体混合物とする分散工程、 (B) この分散工程で分散させた芯粒子粉体の粒子
を、分散度βが70%以上の分散状態で、被覆空間の被
覆開始領域において被覆形成物質前駆体と接触及び/又
は衝突させて被覆を開始する被覆工程、からなる被覆手
段によって調製されたものを使用し、この被覆された高
圧型窒化硼素粒子、又は同粒子を含む混合物を2000
MPa未満の圧力、及び1850℃を越えない高圧型窒
化硼素が熱力学的に安定ではないが、準安定な圧力及び
温度の焼結条件において焼結することを特徴とする被覆
高圧型窒化硼素焼結体の製造法を提供するものである。
【0020】更に本発明は、上記した高圧型窒化硼素焼
結体を製造する方法において、被覆形成物質で被覆され
た高圧型窒化硼素粒子が、被覆された高圧型窒化硼素粒
子の被覆形成物質を介して接触状態で集合塊を形成した
被覆された高圧型窒化硼素粒子の集合塊を、解砕及び/
又は破砕する被覆された高圧型窒化硼素粒子集合塊の解
砕・破砕工程、及び/又はこの被覆高圧型窒化硼素粒子
集合塊と一次粒子単位の被覆された高圧型窒化硼素粒子
とを選択分離する選択分離工程を更に経て調製されたも
のであり、そしてこの被覆された高圧型窒化硼素粒子、
又は同粒子を含む混合物を、高圧型窒化硼素が熱力学的
に安定ではないが準安定な2000MPa未満の圧力、
及び1850℃を越えない温度において焼結する上記焼
結体の製造法にも関する。
【0021】更に本発明は、上記した高圧型窒化硼素焼
結体を製造する方法において、その表面を被覆形成物質
で被覆するべき高圧型窒化硼素の微粒子からなる芯粒子
粉体の粒子又は主に同粒子からなる芯粒子粉体の粒子
が、溶融塩浴を用いる浸漬法により、浸漬法に由来する
被覆物質で一層以上被覆された微粒子芯粒子粉体の粒子
又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であり、これ
を被覆形成物質で被覆して得られた被覆された高圧型窒
化硼素粒子、又は同粒子を含む混合物を、高圧型窒化硼
素が熱力学的に安定ではないが準安定な2000MPa
未満の圧力、及び1850℃を越えない温度において焼
結する上記焼結体の製造法にも関する。
【0022】更にまた本発明は、上記した高圧型窒化硼
素焼結体を製造する方法において、被覆形成物質で被覆
された高圧型窒化硼素粒子が、体積基準頻度分布で平均
粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処
理手段群の最終処理により気中に分散させて高分散芯粒
子粉体の粒子・気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子
の分散度βを70%以上とする分散性能を有する微粒子
高分散処理手段群による分散工程を設け、微粒子高分散
処理手段群により分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・
気体混合物を被覆工程に直接放出するか、又は分散工程
と被覆工程の間に、微粒子高分散処理手段群により分散
させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を放出する
放出部から、搬送に不可避の、中空部材、中空を形成せ
しめる部材からなる中間部材、及びパイプから選択され
る一種類またはそれ以上の部材を介して搬送するか、及
び/又は前記分散性能で気中に分散させた高分散芯粒子
粉体の粒子・気体混合物中の粒子の気中分散状態を維持
する気中分散維持手段、前記分散性能で気中に分散させ
た高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の粒子の気中
分散状態を高める気中分散促進手段、芯粒子粉体の粒子
と気体との混合物の内の、低分散芯粒子粉体部分を分離
し、芯粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在
する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を選択する高
分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段の一種また
はそれ以上を介して搬送して調製されたものであり、そ
して、この被覆された高圧型窒化硼素粒子、又は同粒子
を含む混合物を、高圧型窒化硼素が熱力学的に安定では
ないが準安定な2000MPa未満の圧力、及び185
0℃を越えない温度において焼結する上記焼結体の製造
法にも関する。
【0023】更にまた本発明は、上記した高圧型窒化硼
素焼結体を製造する方法において、被覆形成物質で被覆
された高圧型窒化硼素粒子が、体積基準頻度分布で平均
粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処
理手段群の最終処理により気中に分散させて高分散芯粒
子粉体の粒子・気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子
の分散度βを70%以上とする分散性能を有する微粒子
高分散処理手段群による分散工程の一部以上と前記被覆
工程の一部以上とを、空間を一部以上共有して行うこと
により調製されたものであり、そして、この被覆された
高圧型窒化硼素粒子、又は同粒子を含む混合物を、高圧
型窒化硼素が熱力学的に安定ではないが準安定な200
0MPa未満の圧力、及び1850℃を越えない温度に
おいて焼結する上記焼結体の製造法にも関する。
【0024】更にまた本発明は、上記した高圧型窒化硼
素焼結体を製造する方法において、被覆形成物質で被覆
された高圧型窒化硼素粒子が、体積基準頻度分布で平均
粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処
理手段群の最終処理により気中に分散させて高分散芯粒
子粉体の粒子・気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子
の分散度βを70%以上とする空間領域の内の、高分散
芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の芯粒子粉体の粒子の
すべての粒子が通過する面を含む空間領域に、被覆空間
の被覆開始領域を位置せしめるか、又は体積基準頻度分
布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子
高分散処理手段群の最終処理により気中に分散させて高
分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中とし、その芯粒子
粉体の粒子の分散度βを70%以上とする空間領域の内
の、回収手段の回収部に回収する全ての粒子が通過する
面を含む空間領域に、被覆空間の被覆開始領域を位置せ
しめることにより調製されたものであり、そしてこの被
覆された高圧型窒化硼素粒子、又は同粒子を含む混合物
を、高圧型窒化硼素が熱力学的に安定ではないが準安定
な2000MPa未満の圧力、及び1850℃を越えな
い温度において焼結する上記焼結体の製造法にも関す
る。
【0025】更にまた本発明は、上記した高圧型窒化硼
素焼結体を製造する方法において、被覆形成物質で被覆
された高圧型窒化硼素粒子が、粒度分布が、平均粒子径
をDMとしたとき、体積基準頻度分布で(〔DM/5,5
M〕,≧90%)である芯粒子粉体に被覆形成物質を
被覆して調製されたものであり、そして、この被覆され
た高圧型窒化硼素粒子、又は同粒子を含む混合物を、高
圧型窒化硼素が熱力学的に安定ではないが準安定な20
00MPa未満の圧力、及び1850℃を越えない温度
において焼結する上記焼結体の製造法にも関する。
【0026】そして本発明は、上記した製造法によって
製造される被覆高圧型窒化硼素焼結体にも関するもので
ある。而して、本発明によれば、高圧型窒化硼素の微粒
子からなる芯粒子粉体の粒子又は主に同微粒子からなる
芯粒子粉体の粒子であって、その表面が被覆形成物質で
被覆されたものを、2000MPa未満の圧力及び18
50℃を越えない温度において焼結して高圧型窒化硼素
粒子の焼結体を製造するに際して、上記した表面が被覆
形成物質で被覆された高圧窒化硼素粒子として、気相法
により気相を経て生成する被覆形成物質前駆体及び/又
は気相状態の被覆形成物質前駆体と、微粒子高分散処理
手段群の最終処理手段により気中に分散させた平均粒子
径が10μm以下の微粒子からなる高分散芯粒子粉体の
粒子・気体混合物とを、被覆空間の被覆開始領域で、高
分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の芯粒子粉体の粒
子の分散度がβ≧70%である分散状態で合流させ、接
触及び/又は衝突させて高圧型窒化硼素粒子の表面を被
覆形成物質で被覆したものを用いることにより、これま
でに得られなかった高圧型窒化硼素の粒子表面の未焼結
部のない、均一で、緻密で、且つ強固に焼結された、高
度に制御された微組織を有する高性能な高圧型窒化硼素
焼結体を2000MPa未満の比較的緩い超高圧力を発
生可能な圧力装置を用いて得ることができた。そして、
上記した被覆芯粒子の調製に際して、被覆形成物質前駆
体は、原子、分子、イオン、クラスター、原子クラスタ
ー、分子クラスター、クラスターイオン等からなる気相
状態の、或いは気相を経て生成したばかりのもので、こ
の高分散状態の高圧型窒化硼素粒子と接触及び/又は衝
突を始めることにより、一次粒子状態の個々の芯粒子の
表面に被覆形成物質は強固に結合し、その結果、芯粒子
の表面を被覆形成物質により単一粒子単位で被覆を施し
た被覆された高圧型窒化硼素粒子が製造できるのであ
る。
【0027】以下に本発明を詳細に説明する前に、本明
細書中に使用する用語をはじめに定義することにし、そ
して必要によってその用語の具体的内容を説明し、次い
で被覆形成物質で被覆された高圧型窒化硼素粒子の調製
がどのような技術的手段によって行なわれるものである
のかの説明を行うことにする。
【0028】被覆された高圧型窒化硼素粒子 被覆された高圧型窒化硼素粒子とは、被覆が施された下
記する高圧型窒化硼素粒子をいう。例えば、具体的に
は、被覆形成物質が、超微粒子状、島状、連続質状、一
様な膜状、突起物状等の内の一種以上の形態で芯粒子と
して高圧型窒化硼素粒子に被覆された粒子をいう。
【0029】高圧型窒化硼素原料粉体粒子 本発明に係る、高圧型窒化硼素粉体粒子が微粒子芯粒子
粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子で
ある高圧型窒化硼素芯粒子の表面に、被覆形成物質を被
覆した被覆された高圧型窒化硼素粒子用の高圧型窒化硼
素粒子の原料粉体粒子には、人工の高圧型窒化硼素粒子
である静的及び/又は動的超高圧合成、及び/又は低圧
気相法合成による立方晶型及び/又はウルツ鉱型窒化硼
素粒子を用いることができる。高性能な被覆高圧型窒化
硼素焼結体を製造するための高圧型窒化硼素原料粉体粒
子としては、その平均粒子径が10μm以下の高圧型窒
化硼素粒子が用いられる。具体的には、高圧型窒化硼素
粉体粒子は、平均粒子径DMが10μm以下で体積頻度
分布が(〔DM/5,5DM〕,≧90%)の高圧型窒化
硼素粉体粒子が一般に流通しているのでこれを適用でき
る。用途に応じて、比較的分布の幅の狭い平均粒子径D
Mが10μm以下で体積基準頻度分布が(〔DM/3,3
M〕,≧90%)の高圧型窒化硼素粉体粒子、或いは
分級等により高圧型窒化硼素粒子の粒子径が管理され更
に分布の幅の狭い平均粒子径DMが10μm以下で体積
基準頻度分布が(〔DM/2,3DM/2〕,≧90%)
の高圧型窒化硼素粉体粒子を選択できる。このような分
布の高圧型窒化硼素粒子を原料粉体粒子として適用する
と、被覆高圧型窒化硼素焼結体中の高圧型窒化硼素の粒
子表面の未焼結部分のない均一で、緻密で且つ強固に焼
結された、高度に制御された微組織を有する高性能な被
覆高圧型窒化硼素焼結体が製造できる。
【0030】気相被覆法 気相被覆法とは、被覆形成物質の原料が、分子流、イオ
ン流、プラズマ、ガス、蒸気、エアロゾルの一種以上か
らなる気相状態を少なくとも一度は経て被覆する方法、
又は気相状態の被覆形成物質の原料により被覆する方法
をいう。
【0031】芯粒子 芯粒子とは、被覆を施す対象物となる粒子をいう。これ
はまた、母材粒子、種粒子或は被覆される粒子ともい
う。この芯粒子は、高圧型窒化硼素粒子、具体的には立
方晶窒化硼素粒子及び/又はウルツ鉱型窒化硼素粒子か
らなる。
【0032】芯粒子粉体 芯粒子粉体とは、芯粒子からなる粉体をいう。芯粒子粉
体の粒子とは、芯粒子粉体を構成する粒子をいう。本発
明で用いる被覆に供する微粒子芯粒子粉体の粒子又は主
に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子は、平均粒子径が体
積基準頻度分布で10μm以下である。
【0033】好ましくは、平均粒子径をDMとしたと
き、DMが10μm以下で、粒度分布が体積基準頻度分
布で(〔DM/5,5DM〕,≧90%)である。このよ
うな比較的分布の幅の狭い粉体では、平均粒子径で粉体
の分散特性又は凝集特性が特徴付けられ、DMの値に適
した条件で微粒子高分散処理手段群を作動させれば分散
できる。
【0034】平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体の
粒子の粒度分布が、幅広い分布又は互いに離れた複数の
ピークを持つ分布の粉体では、好適には適当な選択分離
処理、例えば分級処理を行ってそれぞれ分級された粉体
ごとに、被覆処理を施す。これにより、それぞれ分級さ
れた粉体ごとに上記条件の下で、被覆空間の被覆開始領
域で分散度βが70%以上の状態で被覆が開始され、芯
粒子粉体の粒子一つ一つの粒子に被覆が可能となる。
【0035】被覆形成物質 被覆形成物質とは、被覆を施す対象物に被覆を形成する
物質をいう。例えば、具体的には、超微粒子状、島状、
連続質状、一様な膜状、突起物状等の一種以上からなる
形態で芯粒子粉体の粒子に被覆を形成する物質をいう。
【0036】特に、被覆形成物質の形態が超微粒子状の
場合、この超微粒子の粒子径は、例えば0.005μm
〜0.5μmの範囲のものをいう。
【0037】この被覆形成物質は、被覆形成物質自体が
そのままで被覆を形成するか、又は被覆形成物質と芯粒
子の高圧型窒化硼素とが反応して及び/又は高圧型窒化
硼素粒子に固溶して及び/又は二種類以上の被覆形成物
質同志が反応して及び/又は合金化して及び/又は固溶
して被覆を形成するための目的とする無機化合物、合
金、金属間化合物等の一種類又はそれ以上を生成し、被
覆された高圧型窒化硼素粒子の焼結を促進する焼結助剤
及び/又は結合材となる単体物質及び/又は化合物及び
/又は高圧型窒化硼素粒子の表面改質剤となる単体物質
及び/又は化合物から選択される。
【0038】直接高圧型窒化硼素粒子に被覆する被覆形
成物質は、高圧型窒化硼素をグラファイト型相に相転移
を促進しない被覆形成物質が選択される。この高圧型窒
化硼素粒子の粒界を制御する表面改質剤としても被覆形
成物質が選択可能である。必要に応じて、例えば、高圧
型窒化硼素粒子と焼結助剤及び/又は結合材との化学結
合性を高めたり、又は個々の高圧型窒化硼素粒子を任意
の物質から隔離し、これにより、高圧型窒化硼素のグラ
ファイト型相への相転移を抑止したり或いは高圧型窒化
硼素と任意の物質との反応を抑止したりすることができ
る。これにより、焼結助剤及び/又は結合材としての被
覆形成物質の選択の幅が飛躍的に大きく広がり好適であ
る。
【0039】これらの被覆形成物質は、周期律表1a、
2a、3a、4a、5a、6a、7a、1b、2b、3
b、4b、5b、6b、7b、8族の金属、半導体、半
金属、希土類金属、非金属及びその酸化物、窒化物、炭
化物、酸窒化物、酸炭化物、炭窒化物、酸炭窒化物、硼
化物、珪化物の一種類又はそれ以上、例えばAl、B、
Si、Fe、Ni、Co、Ti、Nb、V、Zr、H
f、Ta、W、Re、Cr、Cu、Mo、Y、La、T
iAl、Ti3Al、TiAl3、TiNi、NiAl、
Ni3Al、SiC、TiC、ZrC、B4C、WC、W
2C、HfC、VC、TaC、Ta2C、NbC、Mo2
C、Cr32、Si34、TiN、ZrN、Si2
2O、AlN、HfN、VxN(x=1〜3)、Nb
N、TaN、Ta2N、TiB、TiB2、ZrB2、V
B、V32、VB2、NbB、NbB2、TaB、TaB
2、MoB、MoB2、MoB4、Mo2B、WB、W
2B、W25、LaB6、B132、MoSi2、BP、A
23、ZrO2、MgAl24(スピネル)、Al2
iO5(ムライト)の一種類又はそれ以上を含む物質であ
ることができる。
【0040】この被覆された高圧型窒化硼素粒子表面を
被覆する被覆形成物質の被覆による添加量は、特に制限
はないが、好適には被覆高圧型窒化硼素焼結体を緻密化
可能な程度の任意の量が選択される。
【0041】被覆空間に投入の定義 被覆空間に投入とは、例えば、自由落下等の落下によっ
て芯粒子粉体を被覆空間に導入することをいう。搬送ガ
スにより投入する場合には、芯粒子粉体を芯粒子粉体の
粒子・気体混合物の流れの方向に乗せて導入したり、気
体に乗せて流れの方向へ、或いは気体に乗り方向が変え
られて導入することをいう。または、搬送ガスの作用を
受けて導入することをもいう。例えば、搬送ガスの波動
現象、具体的には非線系波動によって導入することをも
いう。或いは、ガス中の音波、超音波、磁場、電子線等
によって被覆空間に導入することをもいう。また、外
場、例えば電場、磁場、電子線等により導入することを
もいう。具体的には、電場、磁場、電子線等により粉体
粒子を帯電させ、または帯磁させ引力又は斥力により被
覆空間に導入することをもいう。また、ガスの背圧や減
圧によって吸い込まれ、導入することも含む。
【0042】被覆空間 被覆空間とは、被覆形成物質の原料から気相を経て生成
する被覆形成物質前駆体及び/又は気相状態の被覆形成
物質前駆体と芯粒子粉体の粒子が接触及び/又は衝突す
る空間をいう。あるいは、芯粒子粉体の粒子の表面を被
覆形成物質で被覆する空間領域をいう。
【0043】被覆室 被覆室とは、被覆空間を一部以上有する室をいう。より
具体的には、被覆室とは、被覆空間を含む仕切られた、
又は略仕切られた(略閉じた、半閉じた)室であって、
被覆空間を一部以上含む室である。
【0044】気中 気中とは、真空又は気相状態の空間内をいう。ここで、
本発明において、気相状態とは、分子流、イオン流、プ
ラズマ、ガス、蒸気などの状態をいう。真空とは、技術
的には、減圧状態をさす。どんな減圧下でも、厳密には
ガス、分子、原子、イオン等が含まれる。
【0045】被覆形成物質前駆体 被覆形成物質前駆体とは、被覆形成物質の前駆体であ
る。より詳しくは、気相状態の被覆形成物質の原料がそ
のまま、又は被覆形成物質の原料から気相を経て形成及
び/又は合成され、被覆を施す対象物となる粒子である
芯粒子に被覆を形成する直前までの物質をいう。被覆形
成物質前駆体は、被覆形成物質の原料から、気相を経て
形成及び/又は合成する限り、状態の制限はない。被覆
形成物質の原料が気相の場合、この原料が被覆形成物質
前駆体にもなりうる。被覆形成物質前駆体そのものが気
相であってもよい。また、被覆形成物質前駆体が反応性
物質の場合は、反応前でも良く、反応中でもよく、反応
後でもよい。被覆形成物質前駆体の具体例としては、イ
オン、原子、分子、クラスター、原子クラスター、分子
クラスター、クラスターイオン、超微粒子、ガス、蒸
気、エアロゾル等が挙げられる。
【0046】被覆形成物質の原料 被覆形成物質の原料とは、気相を経て被覆を形成する物
質となる原料物質をいう。被覆形成物質の原料の形態の
具体例として、塊状の固体、粉体粒子、気体、液体等が
挙げられる。
【0047】分散度β 分散度βとは、粉体分散装置の分散性能を評価する指数
として増田、後藤氏らが提案(化学工学、第22回、秋
季大会研究発表講演要旨集、P349(1989)参
照)したように、全粒子の重量に対する、見かけの一次
粒子状態の粒子の重量の割合と定義する。ここで、見か
けの一次粒子状態の粒子とは、任意の分散状態の粉体粒
子の質量基準の頻度分布fm2と完全分散されている粉体
粒子の質量基準の頻度分布fm1のオーバーラップしてい
る部分の割合を示し、次の式のβで表される。
【0048】
【数1】 上式において、粒子径の単位(μm)は規定されるもの
ではない。上式は質量基準で表した粒度分布を基準にし
て分散度を評価しているが、本来分散度は体積基準で表
した粒度分布を基にして評価されるべきものである。し
かし粉体粒子密度が同じである場合には質量基準で表し
た粒度分布と体積基準で表した粒度分布は同じになる。
そこで実用上測定が容易な質量基準の粒度分布を測定
し、それを体積基準の粒度分布として用いている。従っ
て本来の分散度βは次の式及び図2(a)の斜線部分の面
積で表される。
【0049】
【数2】 上式において粒子径の単位(μm)は規定されるもので
はない。そして芯粒子粉体の分布及び平均粒子径は、特
に断らない限り基本的には体積基準を用いることとす
る。
【0050】体積基準頻度分布 体積基準頻度分布とは、粒子径の分布をある粒子径に含
まれる体積割合をもって表したものをいう。
【0051】(〔D1,D2〕,≧90%)の定義 (〔D1,D2〕,≧90%)分布とは、D1、D2を粒子
径、但しD1<D2とするとき、D1以上でD2以下の粒子
が体積で90%以上含まれる分布を表し、図2(b)のよ
うに斜線の部分の割合が90%以上である粒子からなる
粉体を表す。
【0052】体積基準頻度分布(〔DM/5,5DM〕,
≧90%)の定義 粒度分布が、体積基準頻度分布で(〔DM/5,5
M〕,≧90%)分布とは、DMを体積基準の平均粒子
径とするとき、DMの1/5倍の粒子径以上、DMの5倍
の粒子径以下の粒子を体積で90%以上含む分布を表
す。例えば、平均粒子径DMが5μmで体積基準頻度分
布が(〔DM/5,5DM〕,≧90%)とは、体積基準
の平均粒子径が5μmで、1μm以上且つ25μm以下
の粒子径の粒子が体積で90%以上含まれるような分布
を表す。ここで、体積基準の平均粒子径DMは、
【数3】 又は技術的には、ある粒子径間隔をDi±△Di/2(△
iは区分の幅)内にある粒子群の体積をViとすると、 DM=Σ(vii)/Σvi と表される。
【0053】被覆開始領域 微粒子高分散処理手段群の最終処理後、初めて被覆が開
始される領域を被覆開始領域という。従って、微粒子高
分散処理手段群の最終処理以前では、初めて被覆が開始
される領域でも、ここでいう被覆開始領域ではない。
【0054】被覆開始領域での分散度β 本発明では、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm
以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処理手段群の最終処
理により気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気
体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを70
%以上とした領域に被覆空間の被覆開始領域を位置せし
める被覆室を設ける。この被覆空間の被覆開始領域にお
ける分散度であれば、体積基準頻度分布で平均粒子径が
10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子
からなる芯粒子粉体の粒子を、実質的に粒子一個一個の
単位に気中に分散して被覆に供することができ、被覆空
間の被覆開始領域を通過する全ての芯粒子粉体の粒子の
表面の少なくとも一部と、被覆形成物質前駆体とは接触
及び/又は衝突するため、必ず粒子一個一個の単位に被
覆形成物質を付けることができる。好適には、被覆空間
の被覆開始領域において、体積基準頻度分布で平均粒子
径が10μm以下の芯粒子粉体を、微粒子高分散処理手
段群の最終の分散処理により気中に分散させて高分散芯
粒子粉体の粒子・気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒
子の分散度βを80%以上とする。この被覆空間の被覆
開始領域での分散度であれば、芯粒子粉体の粒子が体積
基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒
子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子
に対して事実上芯粒子同士による閉ざされた部分がな
く、一個一個の粒子の表面のいたるところに被覆形成物
質前駆体を接触及び/又は衝突させることが可能であ
り、一個一個の粒子表面にほぼ一様に被覆できる。
【0055】より好適には、被覆空間の被覆開始領域に
おいて、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下
の芯粒子粉体を、微粒子高分散処理手段群の最終の分散
処理により気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・
気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを9
0%以上とする。この被覆空間の被覆開始領域の分散度
であれば、芯粒子粉体の粒子が体積基準頻度分布で平均
粒子径が10μm以下の微粒子の芯粒子粉体の粒子又は
主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子であっても事実上
凝集しておらず、一個一個の粒子の表面全てに事実上一
様に被覆できる。特に、処理能率が低くてもよいから、
高品位な被覆を行いたいときは、分散度は、95%以上
がより好ましい。この場合、微量の芯粒子粉体の粒子を
処理して、完全分散の芯粒子粉体の粒子の気中個数濃度
を低くすることにより可能となる。これにより、完全に
一個一個の粒子の全表面に一様に被覆できる。
【0056】微粒子高分散処理手段群 微粒子高分散処理手段群とは、 (A) 少なくとも分散手段を1以上有し、 (B) 最終の処理手段として、(a) 芯粒子粉体の
粒子を気中に分散させる分散手段、又は(b) 芯粒子
粉体の粒子を気中に分散させた芯粒子粉体の粒子と気体
との混合物において低分散芯粒子粉体部分を分離し、芯
粒子粉体の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在する高
分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を選択する高分散芯
粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段とこの高分散芯粒
子粉体の粒子・気体混合物選択手段により分離された低
分散芯粒子粉体部分をこの微粒子高分散処理手段群中の
分散手段の内の最終分散手段及び/又は最終分散手段以
前の処理手段に搬送するフィードバック手段とを備えた
高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段、を有す
るものである。好適には、体積基準頻度分布で平均粒子
径が10μm以下の芯粒子粉体を微粒子高分散処理手段
群の最終処理により気中に分散させて高分散芯粒子粉体
の粒子・気体混合物とし、その芯粒子粉体の粒子の分散
度βを70%以上とする分散性能を有するものである。
前記被覆開始領域における種々の分散度、例えばβ≧7
0%、80%、90%に対応してそれらと同等以上の分
散性能の微粒子高分散処理手段群を設けることにより、
被覆開始領域において、各分散度に応じた高品位な被覆
を施すことができる。
【0057】最終処理手段 微粒子高分散処理手段群の最終の処理手段が分散手段の
場合、この分散処理手段を微粒子高分散処理手段群の最
終処理手段という。又、微粒子高分散処理手段群の最終
の処理手段が、微粒子高分散処理手段の最終の分散手段
へ、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択処理工程
時に於いて低分散状態であったために選択分離された部
分を搬送するフィードバック手段を備えた高分散芯粒子
粉体の粒子・気体混合物選択手段、又は最終の分散手段
より前の処理手段に、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混
合物選択処理工程時に於いて低分散状態であったために
選択分離された部分を搬送するフィードバック手段を備
えた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段の場
合、この高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段
を微粒子高分散処理手段群の最終処理手段という。
【0058】尚、この、微粒子高分散処理手段群の最終
処理手段であるフィードバック手段を備えた高分散芯粒
子粉体の粒子・気体混合物選択手段より前に設ける(例
えば、このフィードバック手段を備えた高分散芯粒子粉
体の粒子・気体混合物選択手段と最終分散手段の間、或
いは最終分散手段より前)高分散芯粒子粉体の粒子・気
体混合物選択手段は、フィードバック手段の有無にかか
わらず微粒子高分散処理手段群の構成要素である。
【0059】分散手段 微粒子を分散するために用いる手段を分散手段という。
この分散手段は少しでも或いは僅かでも分散効果を有す
るものは分散手段として使用可能であり、これを分散手
段とする。例えば、一般に供給手段として用いる空気輸
送用のロータリーフィーダーやインジェクションフィー
ダー(粉体工学会編:“粉体工学便覧”、日刊工業新聞
社(1986)P568、P571)は、分散効果も有
するので、分散目的の手段として使用する場合は分散手
段である。後述の分散維持・促進手段も分散目的で(β
を高める目的で)使用する場合は分散手段となる。そし
てこの分散手段は単一の装置、機器である場合も、複合
された装置、機器である場合もあり、これらを総称して
微粒子高分散処理手段群と呼ぶ。この微粒子高分散処理
手段群は、芯粒子粉体の粒子の加速及び/又は速度勾配
に置く気流による分散、芯粒子粉体の粒子の静止障害物
及び/又は回転体でなる障害物への衝突による分散、芯
粒子粉体の粒子の流動層及び/又は脈流及び/又は回転
ドラム及び/又は振動及び/又は掻取りからなる機械的
解砕による分散等の選択された一種類以上の分散の機構
を備えたものをいう。
【0060】具体的には、微粒子高分散処理手段群は、
エジェクタ型分散機、ベンチュリ型分散機、細管、撹拌
機、気流中の障害物を利用した分散機、ジェットの吹付
けを利用した分散機、螺旋管、回転羽根を利用した分散
機、回転するピンを利用した分散機(ケージミル)、流
動層型分散機、脈流を利用した分散機、回転ドラムを利
用した分散機、振動を利用した分散機、振動ふるい、ス
クレーパによる掻き取りを利用した分散機、SAEI、Gone
ll式分散機、中条式分散機、Roller式分散機、オリフィ
ス型分散機、B.M式分散機、Timbrell式分散機、Wright
式分散機等の選択された一種以上からなる分散手段を備
えたものである(粉体工学会編:“粉体工学便覧”、日
刊工業新聞社(1986)P430)。
【0061】また、特開昭56−1336号に記載の撹
拌羽根を利用した分散機、特開昭58−163454号
に記載の高速気流と分散ノズルを利用した分散機、特開
昭59−199027号に記載の回転羽根による分散作
用とプラズマイオンによる分散作用を利用した分散機、
特開昭59−207319号に記載のプラズマイオンに
よる分散作用を利用した分散機、特開昭59−2166
16号に記載のエジェクタとプラズマイオンによる分散
作用を利用した分散機、特開昭59−225728号に
記載のエジェクタとイオン流の分散作用を利用した分散
機、特開昭59−183845号に記載のプラズマイオ
ンの分散作用を利用した分散機、特開昭63−1664
21号に記載の分散羽根と圧力気体による分散作用を利
用した分散機、特開昭62−176527号に記載のラ
イン状又はリング状スリット型噴出口を用いた分散機、
特開昭63−221829号に記載の網状羽根を利用し
た分散機、特開昭63−1629号に記載の噴射ノズル
からの高速気流による分散作用を利用した分散機、実開
昭63−9218号に記載の多数の細孔を利用した分散
機、実開昭62−156854号に記載のエジェクタ型
分散機、実開昭63−6034号に記載の細孔とオリフ
ィスを利用した分散機等の公報に記載のものも使用可能
である。微粒子高分散処理手段群に好適な分散手段とし
て、特願昭63−311358号、特願平1−7107
1号、特願平2−218537号等に記載の装置が挙げ
られる。
【0062】高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択
手段 高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段とは、芯
粒子粉体の粒子・気体混合物から、低分散芯粒子粉体の
粒子・気体混合物を分離し、主に単一粒子状態の粒子を
含む高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を選択する手
段をいう。一次粒子の集合体である凝集粒子は、見かけ
の粒子径が一次粒子の粒子径に比べ大きくなることか
ら、例えば乾式分級手段により分離が可能である。この
高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段の例とし
ては、重力を利用した分級手段、慣性力を利用した分級
手段、遠心力を利用した分級手段、静電気を利用した分
級手段、流動層を利用した分級手段等から一種以上選択
された乾式分級手段が挙げられる。高分散芯粒子粉体の
粒子・気体混合物選択手段の例としては、重力分級機、
慣性分級機、遠心分級機、サイクロン、エアセパレー
タ、ミクロンセパレータ、ミクロプレックス、ムルチプ
レックス、ジグザグ分級機、アキュカット、コニカルセ
パレータ、ターボクラシファイア、スーパセパレータ、
ディスパージョンセパレータ、エルボジェット、流動層
分級機、バーチュアルインパクタ、O-Sepa、ふるい、バ
イブレーティングスクリーン、シフタ(粉体工学会編:
“粉体工学便覧”日刊工業新聞社、P514(198
6))等が挙げられる。
【0063】芯粒子粉体の粒子・気体混合物 芯粒子粉体の粒子・気体混合物とは、(a)芯粒子粉体の
粒子が気中に一様に浮遊した均質流れ(一様な浮遊流
れ)、(b)芯粒子粉体の粒子が気中のある領域で非一様
な分布を示す不均質流れ(非均質浮遊流れ)、(c)芯粒
子粉体の粒子の摺動層を伴う流れ(摺動流れ)、又は
(d)芯粒子粉体の粒子の静止層を伴う流れをいう。
【0064】低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物 低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とは、芯粒子粉体
の粒子・気体混合物の内、芯粒子粉体の粒子が主に単一
粒子状態以外の状態で気中に存在する芯粒子粉体の粒子
・気体混合物をいう。
【0065】高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物 高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とは、芯粒子粉体
の粒子が主に単一粒子状態で気中に存在する芯粒子粉体
の粒子・気体混合物をいう。高分散芯粒子粉体の粒子・
気体混合物は、極めて高分散であっても、実際には凝集
粒子を含む。低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物は、
実際には、凝集していない単粒子を含み、選択分離して
低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物と高分散芯粒子粉
体の粒子・気体混合物に分けられる。低分散芯粒子粉体
の粒子・気体混合物は、凝集粒子の選択分離及び/又は
再分散により、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物と
なる。
【0066】回収手段 被覆空間で被覆した被覆粒子を取り出す手段を回収手段
という。回収手段の内で回収処理の行われる部分を回収
部という。被覆空間の被覆開始領域を通過して被覆した
被覆粒子は、気中から直接取り出して回収するか、又は
気中から取り出して一時的に蓄えてから回収するか、又
は、気体と共に回収される。回収手段の回収部として
は、隔壁(障害物)を利用した回収手段の回収部、重力
を利用した回収手段の回収部、慣性力を利用した回収手
段の回収部、遠心力を利用した回収手段の回収部、帯電
による引力を利用した回収手段の回収部、熱泳動力を利
用した回収手段の回収部、ブラウン拡散を利用した回収
手段の回収部、ガスの背圧や減圧等による吸引力を利用
した回収手段の回収部等が利用可能である。回収手段の
回収部の好適な例として、重力集塵機、慣性集塵機、遠
心力集塵機、濾過集塵機、電気集塵機、洗浄集塵機、粒
子充填層、サイクロン、バグフィルター、セラミックス
フィルター、スクラバー等が挙げられる。
【0067】次に、本発明で用いる被覆された高圧型窒
化硼素粒子を調製する場合に採用される微粒子高分散処
理手段群を添付の図面に基づいて説明することにする。
【0068】微粒子高分散処理手段群の図の説明 図3(a)は被覆された高圧型窒化硼素粒子を調製する際
の微粒子高分散処理手段群の基本的な構成の一例を表す
ブロック図である。芯粒子粉体の粒子を分散させる最終
の分散手段A、最終の分散手段以前の分散処理手段群の
構成要素dで構成されている。εは、芯粒子粉体の粒子
の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子
粉体の粒子・気体混合物である。構成要素dとしては、
分散手段、供給手段、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混
合物選択手段等任意の処理手段を単独又は組み合わせて
使用できる。構成要素dは、必ずしも設けなくとも良
い。微粒子高分散処理手段群は、好適には最終の処理手
段である分散手段Aの処理後、体積基準頻度分布で平均
粒子径が10μm以下の芯粒子粉体に対し、分散度が分
散度βで70%以上を実現できる構成のものである。
【0069】図3(b)は、被覆された高圧型窒化硼素粒
子を調製する際の微粒子高分散処理手段群の基本的な構
成の第2の例を表すブロック図である。芯粒子粉体の粒
子を分散させる最終の分散手段A、最終の分散手段Aへ
芯粒子粉体の粒子が、主に単一粒子状態で気中に存在す
る高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物、以外の低分散
芯粒子粉体の粒子・気体混合物ηをフィードバックさせ
るフィードバック手段Cを備えた最終の高分散芯粒子粉
体の粒子・気体混合物選択手段B、最終の分散手段以前
の分散処理手段群の構成要素d、最終分散手段と最終選
択手段の間の微粒子高分散処理手段群の構成要素eで構
成されている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一
粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気
体混合物である。構成要素dとしては、分散手段、供給
手段、選択手段等任意の処理手段を単独又は組み合わせ
て使用できる。構成要素eとしては、分散手段以外の処
理手段、例えば供給手段、選択手段等任意の処理手段を
単独又は組み合わせて使用できる。構成要素d及びe
は、必ずしも設けなくとも良い。微粒子高分散処理手段
群は、好適には最終の処理手段である選択手段Bによる
処理後、前記分布の芯粒子粉体に対し分散度が分散度β
で70%以上を実現できる構成である。
【0070】図3(c)は、被覆された高圧型窒化硼素粒
子を調製する際の微粒子高分散処理手段群の基本的な構
成の第3の一例を表すブロック図である。芯粒子粉体の
粒子を分散させる最終の分散手段A、最終の分散手段A
より前の処理手段へ芯粒子粉体の粒子が、主に単一粒子
状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混
合物、以外の低分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物ηを
フィードバックさせるフィードバック手段Cを備えた高
分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段B、最終の
分散手段以前の微粒子高分散処理手段群の構成要素d、
最終の分散手段と最後の選択手段の間の微粒子高分散処
理手段群の構成要素eで構成されている。εは、芯粒子
粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高
分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。構成要素d
としては、分散手段、供給手段、選択手段等任意の処理
手段を単独又は組み合わせて使用できる。構成要素dと
しては、分散手段以外の処理手段、例えば供給手段、選
択手段等任意の処理手段を単独又は組み合わせて使用で
きる。構成要素d及びeは、必ずしも設けなくとも良
い。微粒子高分散処理手段群は、好適には最終の処理手
段である選択手段Bによる処理後、前記分布の芯粒子粉
体に対し分散度が分散度βで70%以上を実現できる構
成である。
【0071】なお、以上のような構成であるから、供給
槽、芯粒子生成手段等の粉体の供給源も本微粒子高分散
処理手段群の構成に含めてもよい。例えば図3(c)の場
合、フィードバック手段Cのフィードバック先を供給槽
とする構成も高分散処理手段群の構成として良いことは
言うまでもない。又、微粒子高分散処理手段群の分散工
程の前に、芯粒子粉体の粒子を解砕及び/又は粉砕する
解砕工程を入れても良いことは言うまでもない。
【0072】上記した微粒子高分散処理手段群の基本的
な構成の具体的な代表例をより詳細にしたブロック図に
基づいて更に詳しく説明することにする。 構成1 図4(a)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を調製する
際の微粒子高分散処理手段群の第1の構成を説明するブ
ロック図であって図3(a)に対応するものである。本例
は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、被
覆される芯粒子粉体を分散させる最終分散手段Aから構
成されている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一
粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気
体混合物である。
【0073】構成2 図4(b)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を調製する
際の微粒子高分散処理手段群の第2の構成を説明するブ
ロック図であって図3(a)に対応するものである。本例
は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、被
覆される芯粒子粉体を分散させる分散手段a、被覆され
る芯粒子粉体を分散させる最終分散手段Aから構成され
ている。εは、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状
態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合
物である。
【0074】構成3 図4(c)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を調製する
際の微粒子高分散処理手段群の第3の構成を説明するブ
ロック図であって図3(a)に対応するものである。本例
は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、被
覆される芯粒子粉体を分散させる分散手段a、分散手段
aで分散させた芯粒子粉体の粒子・気体混合物のうちか
ら主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体
の粒子・気体混合物、以外の低分散芯粒子粉体の粒子・
気体混合物ηを分散手段aへフィードバックさせるフィ
ードバック手段C、主に高分散芯粒子粉体の粒子・気体
混合物を最終の分散手段Aへ導入する高分散芯粒子粉体
の粒子・気体混合物選択手段b、被覆される芯粒子粉体
を分散させる最終分散手段A、から構成されている。ε
は、芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に
存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。
【0075】構成4 図4(d)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を調製する
際の微粒子高分散処理手段群の第4の構成を説明するブ
ロック図であって図3(b)に対応するものである。本例
は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、被
覆される芯粒子粉体を分散させる最終分散手段A、最終
分散手段Aで分散させた芯粒子粉体の粒子・気体混合物
のうちから主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯
粒子粉体の粒子・気体混合物、以外の低分散芯粒子粉体
の粒子・気体混合物ηを分散手段Aへフィードバックす
るフィードバック手段C、高分散芯粒子粉体の粒子・気
体混合物を放出する最終の高分散芯粒子粉体の粒子・気
体混合物選択手段Bから構成されている。εは、芯粒子
粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高
分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。
【0076】構成5 図4(e)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を調製する
際の微粒子高分散処理手段群の第5の構成を説明するブ
ロック図であって図3(b)に対応するものである。本例
は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、被
覆される芯粒子粉体を分散させる分散手段a、被覆され
る芯粒子粉体を分散させる最終分散手段A、最終分散手
段Aで分散させた芯粒子粉体の粒子・気体混合物のうち
から主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉
体の粒子・気体混合物、以外の低分散芯粒子粉体の粒子
・気体混合物ηを分散手段Aへフィードバックするフィ
ードバック手段C、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合
物を放出する最終の高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合
物選択手段Bから構成されている。εは、芯粒子粉体の
粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯
粒子粉体の粒子・気体混合物である。
【0077】構成6 図4(f)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を調製する
際の微粒子高分散処理手段群の第6の構成を説明するブ
ロック図であって図3(b)に対応するものである。本例
は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、芯
粒子粉体の粒子・気体混合物のうちから主に低分散芯粒
子粉体の粒子・気体混合物を取り除き、主に高分散芯粒
子粉体の粒子・気体混合物を分散手段Aへ導入する高分
散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段b、選択分離
された芯粒子粉体の粒子を分散させる最終分散手段A、
最終分散手段Aで分散させた芯粒子粉体の粒子・気体混
合物のうちから主に単一粒子状態で気中に存在する高分
散芯粒子粉体の粒子・気体混合物、以外の低分散芯粒子
粉体の粒子・気体混合物ηを分散手段Aへフィードバッ
クさせるフィードバック手段C、高分散芯粒子粉体の粒
子・気体混合物を放出する最終の高分散芯粒子粉体の粒
子・気体混合物選択手段Bから構成されている。εは、
芯粒子粉体の粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在
する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物である。
【0078】構成7 図4(g)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を調製する
際の微粒子高分散処理手段群の第7の構成を説明するブ
ロック図であって図3(c)に対応するものである。本例
は、被覆される芯粒子粉体を供給する供給槽100、被
覆される芯粒子粉体を分散させる分散手段a、被覆され
る芯粒子粉体を分散させる最終分散手段A、最終分散手
段Aで分散させた芯粒子粉体の粒子・気体混合物のうち
から主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉
体の粒子・気体混合物、以外の低分散芯粒子粉体の粒子
・気体混合物ηを分散手段aへフィードバックするフィ
ードバック手段C、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合
物を放出する最終の高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合
物選択手段Bから構成されている。εは、芯粒子粉体の
粒子の内、主に単一粒子状態で気中に存在する高分散芯
粒子粉体の粒子・気体混合物である。
【0079】このようにして達成された微粒子の高分散
状態を維持するために、気中分散維持手段を微粒子高分
散処理手段群と被覆室の間に付加することもできる。こ
こでいう気中分散維持手段とは、気中に分散担持された
芯粒子粉体の粒子の再凝集を防止して分散度βを維持す
る手段をいう。又、このようにして達成された芯粒子の
高分散状態を促進するために、気中分散促進手段を微粒
子高分散処理手段群と被覆室の間に付加することもでき
る。ここでいう気中分散促進手段とは、気中に分散担持
された芯粒子粉体の粒子のうち主に再凝集した粒子の再
分散を促進し、分散状態の低下を鈍らせたり、一旦低下
した分散状態を元の高分散の状態まで回復するように再
分散を促す手段をいう。この気中分散維持手段又は気中
分散促進手段の好適な例としては、パイプ振動装置、パ
イプ加熱装置、プラズマ発生装置、荷電装置等が挙げら
れる。
【0080】パイプ振動装置は、発振器を設置したパイ
プの振動により、気中に分散している粒子に分散機とは
言えない振動を与えることで、再凝集を抑制し高分散状
態を維持する手段又は再凝集した粒子の分散を促進する
手段である。パイプ加熱装置は、加熱したパイプにより
搬送気体の外側から熱を加えて搬送気体を膨張させ、分
散機とは言えないほどに流速を加速して再凝集を抑制
し、再凝集した粒子の分散を促進する手段である。
【0081】プラズマ発生装置は、芯粒子粉体を分散担
持している気中にプラズマを発生させ、そのプラズマイ
オンと芯粒子との衝突により、再凝集を抑制し高分散状
態を維持する手段又は再凝集した粒子の分散を促進する
手段である。荷電装置は、芯粒子粉体を分散担持してい
る気中に、コロナ放電、電子ビーム、放射線等の方法で
単極イオンを発生させ、単極イオン雰囲気中を通過させ
ることで粒子を単極に帯電させ、静電気の斥力により再
凝集を抑制し高分散状態を維持する手段又は再凝集した
粒子の分散を促進する手段である。
【0082】このようにして形成された微粒子の高分散
状態の芯粒子粉体は粒子の表面を被覆形成物質で被覆す
るために被覆室に送られる。この被覆室には被覆開始領
域を含む被覆空間が設けられている。微粒子高分散処理
手段群と被覆室とは直結することが望ましいが、搬送に
不可避の中空部材及び/又はパイプを使って接続しても
良い。この場合にも、被覆開始領域でのβ≧70%を実
現することが不可欠である。微粒子高分散処理手段群と
被覆室を別々に置いてその間を連結する場合は、芯粒子
粉体をその分散状態のまま被覆室へ導入してやれば良
い。そのためには、この間に芯粒子粉体の分散状態を維
持するための装置である気中分散維持手段及び/又は分
散状態を高めるための装置である気中分散促進手段及び
/又は芯粒子粉体の粒子・気体混合物から、低分散芯粒
子粉体部分を分離し、主に単一粒子状態の粒子を含む高
分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を選択する高分散芯
粒子粉体の粒子・気体混合物選択手段を設けることもで
きる。
【0083】又、被覆された高圧型窒化硼素粒子を調製
するに際して、微粒子高分散処理手段群が、(1)被覆
室、又は(2)被覆空間、又は(3)被覆開始領域と一部以
上空間を共有することもできる。例えば、微粒子高分散
手段群中の分散空間と被覆室とを、又は微粒子高分散手
段群中の分散空間と被覆開始領域を有する被覆空間と
を、又は微粒子高分散手段群中の分散空間と被覆開始領
域とを、空間的に共有することもできる。ここで被覆開
始領域とは、β≧70%の分散状態で搬送された高分散
状態の芯粒子粉体に気相を経て生成する被覆形成物質前
駆体及び/又は気相状態の被覆形成物質前駆体が接触及
び/又は衝突し、被覆を開始する領域を指し、次の図5
(a)〜(e)で示される態様が考慮される。すなわち、図
5(a)〜(e)において被覆開始領域は2で示される領域
である。
【0084】図5(a)において粉体に対してβ≧70%
の分散状態で被覆を始める被覆空間の被覆開始領域2を
微粒子高分散処理手段群又は微粒子高分散処理手段群の
一部、好適には微粒子高分散処理手段群の放出部1を覆
って設ける。図5(b)において微粒子高分散処理手段群
又は微粒子高分散処理手段群の放出部1から放出される
芯粒子粉体の粒子4が全て通る前記β≧70%の分散状
態で被覆を始める被覆空間の被覆開始領域2を設ける。
上記の構成により、全ての芯粒子粉体の粒子はβ≧70
%の分散状態で被覆が始められる。図5(c)において微
粒子高分散処理手段群又は微粒子高分散処理手段群の放
出部1から放出される芯粒子粉体の粒子4の内、回収部
5に入る粒子が必ず通過する前記β≧70%の分散状態
で被覆を始める被覆空間の被覆開始領域2を設ける。
【0085】図5(d)において回収部5を囲む前記β≧
70%の分散状態で被覆を始める被覆空間の被覆開始領
域2を設ける。図5(e)において高分散芯粒子粉体の粒
子・気体混合物の粒子のみが到達可能な位置に回収部5
を設ける。従って、ここでの領域6は重力を利用した選
択手段となる。回収部に入る高分散芯粒子粉体の粒子・
気体混合物の粒子が、必ず通過する前記β≧70%の分
散状態で被覆を始める被覆空間の被覆開始領域2を図の
斜線部のように設ける。β≧70%の分散状態で被覆始
めた芯粒子のみ回収でき、被覆開始領域を通っていない
芯粒子と被覆開始領域を通過した被覆粒子とは混ざるこ
とはない。
【0086】上記したところから、被覆された高圧型窒
化硼素粒子を製造するための装置は、微粒子高分散処理
手段群と被覆室、又は微粒子高分散処理手段群と被覆室
と回収手段から構成されるものであるが、これらの装置
の構成要素は、種々の組み合わせ方をすることが可能
で、これらの装置の構成例を図面にもとづいて説明する
とつぎのとおりである。
【0087】装置の構成1 図6(a)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を製造する
ための第一の装置の構成を説明するブロック図である。
本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被
覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B
3、微粒子高分散処理手段群2−C1、回収手段2−D
から構成されている。微粒子高分散処理手段群2−C1
は、被覆室2−B1に直結してある。
【0088】装置の構成2 図6(b)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を製造する
ための第二の装置の構成を説明するブロック図である。
本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被
覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B
3、微粒子高分散処理手段群2−C1、不可避の中空部
材2−C2、回収手段2−Dから構成されている。微粒
子高分散処理手段群2−C1は、被覆室2−B1に不可
避の中空部材2−C2を介して接続してある。
【0089】装置の構成3 図6(c)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を製造する
ための第三の装置の構成を説明するブロック図である。
本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被
覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B
3、微粒子高分散処理手段群2−C1、気中分散維持手
段2−C3、回収手段2−Dから構成されている。微粒
子高分散処理手段群2−C1は、被覆室2−B1に気中
分散維持手段2−C3を介して接続してある。
【0090】装置の構成4 図6(d)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を製造する
ための第四の装置の構成を説明するブロック図である。
本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被
覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B
3、微粒子高分散処理手段群2−C1、回収手段2−D
から構成されている。微粒子高分散処理手段群2−C1
は、被覆室2−B1と空間を共有している。
【0091】装置の構成5 図6(e)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を製造する
ための第五の装置の構成を説明するブロック図である。
本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被
覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B
3、微粒子高分散処理手段群2−C1、回収手段2−D
から構成されている。微粒子高分散処理手段群2−C1
は、被覆室2−B1中に設けている。
【0092】装置の構成6 図6(f)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を製造する
ための第六の装置の構成を説明するブロック図である。
本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被
覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B
3、微粒子高分散処理手段群2−C1、回収手段2−D
から構成されている。微粒子高分散処理手段群2−C1
の分散空間中に、被覆室2−B1を設けている。
【0093】装置の構成7 図6(g)は、被覆された高圧型窒化硼素粒子を製造する
ための第七の装置の構成を説明するブロック図である。
本例のこの装置は、被覆装置の製造装置本体2−A、被
覆室2−B1、被覆空間2−B2、被覆開始領域2−B
3、微粒子高分散処理手段群2−C1、回収手段2−
D、再被覆供給手段2−Eから構成されている。回収手
段2−Dから被覆後の被覆粒子を高分散処理手段群2−
C1に再被覆供給手段2−Eにより搬送して、繰り返し
て被覆処理が行える。かかる構成の装置のいずれかによ
り、被覆された高圧型窒化硼素粒子が製造されるもので
ある。
【0094】上記のようにして高圧型窒化硼素粒子であ
る芯粒子粉体を被覆形成物質で被覆した被覆粒子につい
て、再び被覆形成物質で被覆すること、またはこの再被
覆を反復することもできる。この場合、被覆粒子は再被
覆供給手段に送られる。ここで、再被覆供給手段とは、
再被覆を行うために被覆後の被覆粒子を微粒子高分散処
理手段群へ搬送する手段をいう。具体的には、(a)被覆
粒子を回収する回収手段、及び(b)この回収手段から微
粒子高分散処理手段群に被覆粒子を搬送する被覆粒子搬
送手段を備えた手段である。または、(a)被覆粒子を回
収する回収手段、(b)この回収手段から微粒子高分散処
理手段群に被覆粒子を搬送する被覆粒子搬送手段、(c)
及び被覆後の被覆粒子を分級する被覆粒子分級手段を備
えた手段である。被覆量が多い場合、被覆前の芯粒子粉
体の粒子の粒度分布と被覆後の被覆粒子の粒度分布は変
わってしまう。そこで、被覆後の被覆粒子の粒度分布を
被覆粒子分級手段により調整し、再被覆処理を行えば効
果的である。この再被覆処理は、必要によって繰り返す
ことができ、そして被覆形成物質の被覆量を所望のもの
に設定することができる。更に、この被覆形成物質の種
類を変えてこの被覆処理を繰り返すことができ、このよ
うにして複数成分の物質を被覆形成物質として多重被覆
することもできる。
【0095】本発明で用いる被覆粒子の製造装置は、被
覆形成物質が、気相を経る気相法によって、芯粒子粉体
の粒子表面に被覆される被覆粒子の製造装置であれば制
限はない。例えば、化学蒸着(CVD)装置としては、
熱CVD装置、プラズマCVD装置、電磁波を利用した
CVD(可視光線CVD、レーザCVD、紫外線CV
D、赤外線CVD、遠赤外線CVD)装置、MOCVD
装置等、或いは、物理蒸着(PVD)装置としては、真
空蒸着装置、イオンスパッタリング装置、イオンプレー
ティング装置等が適用可能である。より具体的には、例
えば、特開平3−75302号公報の超微粒子で表面が
被覆された粒子およびその製造方法に記載の被覆粒子製
造装置が好適である。
【0096】以上述べた通り、本発明では高圧型窒化硼
素である微粒子芯粒子粉体、又は主に微粒子からなる芯
粒子粉体の粒子を被覆空間に投入し気相を経て生成する
被覆形成物質前駆体及び/又は気相状態の被覆形成物質
前駆体をこの芯粒子粉体の粒子に接触及び/又は衝突さ
せてこの芯粒子粉体の粒子の表面を被覆形成物質で被覆
する被覆高圧型窒化硼素粒子が製造されるが、本発明の
基本的な工程を要約すると次の通りである。
【0097】I (A) 微粒子高分散処理手段群により、体積基準頻度
分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の
粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、気中
に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とす
る分散工程、(B) この分散工程で分散させた高分散
芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子を、
分散度βが70%以上の分散状態で、被覆空間の被覆開
始領域において被覆形成物質前駆体と接触及び/又は衝
突させて被覆を開始する被覆工程を設けた被覆法。
【0098】II (A) 体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下
の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒
子粉体の粒子を、微粒子高分散処理手段群により分散さ
せた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体
の粒子の分散度βが70%以上を実現する微粒子高分散
処理手段群により気中に分散させて高分散芯粒子粉体・
気体混合物とする分散混工程、(B) この分散工程で
分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒
子粉体の粒子を、分散度βが70%以上の分散状態で、
被覆空間の被覆開始領域において被覆形成物質前駆体と
接触及び/又は衝突させて被覆を開始する被覆工程を設
けた被覆法。
【0099】III (A) 体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下
の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒
子粉体の粒子を、微粒子高分散処理手段群により分散さ
せた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体
の粒子の分散度βが70%以上を実現する微粒子高分散
処理手段群により気中に分散させて高分散芯粒子粉体・
気体混合物とする分散混工程、(B) この分散工程で
分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒
子粉体の粒子を、被覆工程に直接搬送する搬送工程、
(C) この搬送工程で搬送した高分散芯粒子粉体の粒
子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子を、分散度βが70
%以上の分散状態で、被覆空間の被覆開始領域において
被覆形成物質前駆体と接触及び/又は衝突させて被覆を
開始する被覆工程を設けた被覆法。
【0100】IV (A) 体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下
の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒
子粉体の粒子を、微粒子高分散処理手段群により分散さ
せた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体
の粒子の分散度βが70%以上を実現する微粒子高分散
処理手段群により気中に分散させて高分散芯粒子粉体・
気体混合物とする分散混工程、(B) この分散工程で
分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒
子粉体の粒子を、搬送に不可避の、中空部材、中空を形
成する部材からなる中間部材、及びパイプから選択され
る1種類又はそれ以上の部材を介して搬送する搬送工
程、(C) この搬送工程で搬送した高分散芯粒子粉体
の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子を、分散度βが
70%以上の分散状態で、被覆空間の被覆開始領域にお
いて被覆形成物質前駆体と接触及び/又は衝突させて被
覆を開始する被覆工程を設けた被覆法。
【0101】V (A) 体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下
の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒
子粉体の粒子を、微粒子高分散処理手段群により分散さ
せた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体
の粒子の分散度βが70%以上を実現する微粒子高分散
処理手段群により気中に分散させて高分散芯粒子粉体・
気体混合物とする分散混工程、(B) この分散工程で
分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒
子粉体の粒子を、この分散性能で気中に分散させた高分
散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の
気中分散状態を維持する気中分散維持手段、この高分散
芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の気
中分散状態を高める気中分散促進手段、芯粒子粉体の粒
子と気体との混合物において低分散芯粒子粉体の粒子・
気体混合物を分離し、芯粒子粉体の粒子が主に単一粒子
状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混
合物を選択する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物選
択手段の1種類又はそれ以上を介して搬送する搬送工
程、(C) この搬送工程で搬送した高分散芯粒子粉体
の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子を、分散度βが
70%以上の分散状態で、被覆空間の被覆開始領域にお
いて被覆形成物質前駆体と接触及び/又は衝突させて被
覆を開始する被覆工程を設けた被覆法。
【0102】以上、I〜Vの全てにおいて、好適には、
体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の微粒子
芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の
粒子を、微粒子高分散処理手段群により分散させた高分
散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の
分散度βが70%以上を実現する空間領域の内の、高分
散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の芯粒子粉体の粒子
の全ての粒子が通過する面を含む空間領域に、被覆空間
の被覆開始領域を位置させるか、又は、体積基準被覆分
布で平均粒子径が10μm以下の微粒子芯粒子粉体の粒
子又は主に微粒子からなる芯粒子粉体の粒子を、微粒子
高分散処理手段群により分散させた高分散芯粒子粉体の
粒子・気体混合物の芯粒子粉体の粒子の分散度βが70
%以上を実現する空間領域の内の、回収手段の回収部に
回収する全てに粒子が通過する面を含む空間領域に、被
覆空間の被覆開始領域を位置させるか、又は、前記I及
びIIにおいて、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μ
m以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からな
る芯粒子粉体の粒子を、微粒子高分散処理手段群により
分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の芯粒
子粉体の粒子の分散度βが70%以上を実現する微粒子
高分散処理手段群により気中に分散させて高分散芯粒子
粉体の粒子・気体混合物とする分散工程の一部以上と前
記被覆工程の一部以上とを、空間を一部以上共有して行
うものである。本発明によれば、上記のようにして得ら
れた被覆された高圧型窒化硼素粉体粒子又は同粒子を含
む混合物は2000MPa未満の圧力及び1850℃を
越えない高圧型窒化硼素が熱力学的に安定でないが準安
定な圧力・温度の焼結条件において焼結されて高圧型窒
化硼素の焼結体とされる。
【0103】また靭性強化等の他の機能を発言する物質
を加える場合についてはこの物質が粉体状、板状又は粒
子状のもので、より具体的には、周期律表第1a、2
a、3a、4a、5a、6a、7a、1b、2b、3
b、4b、8族の金属、半導体、半金属、希土類金属、
及びその酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物、酸炭化
物、炭窒化物、酸炭窒化物、硼化物、珪化物の内の選択
された一種類以上のもの、例えばAl、B、Si、F
e、Ni、Co、Ti、Nb、V、Zr、Hf、Ta、
W、Re、Cr、Cu、Mo、TiAl、Ti3Al、
TiAl3、TiNi、NiAl、Ni3Al、SiC、
4C、Cr32、TiC、ZrC、WC、W2C、Hf
C、TaC、Ta2C、NbC、VC、Mo2C、Si3
4、TiN、ZrN、Si22O、AlN、HfN、
xN(x=1〜3)、NbN、TaN、Ta2N、Ti
B、TiB2、ZrB2、VB、V32、VB2、Nb
B、NbB2、TaB、TaB2、MoB、MoB2、M
oB4、Mo2B、WB、W2B、W25、LaB6、B
P、B132、MoSi2、Al23、ZrO2(Y
23、MgO又はCaO安定剤を添加した部分安定化ジ
ルコニア:PSZ、又は正方晶ジルコニア多結晶体:T
ZP)、MgAl24(スピネル)、Al2SiO5(ム
ライト)の少なくとも一種類からなる粉体及び/又は粒
子等から選択されうる。
【0104】更にこの物質が繊維状物質であっても良
い。この被覆高圧型窒化硼素粉体粒子に混合せしめる、
繊維状物質は短径が500μm以下で、短径に対する長
径との比が2以上である形状の、金属又は化合物の少な
くとも一種類からなる物質で、短径が500μm以下
で、短径に対する長径との比が2以上である形状の棒状
物質及び/又は融解紡糸して繊維形状にした連続繊維で
ある長繊維及び/又は結晶自体が繊維形状をとる自形繊
維である短繊維及び/又は一方向に結晶成長させて繊維
形状にしたウィスカー(wisker)からなる。このウィス
カー(ヒゲ結晶)には、その形成においては、相変化や
体積全体に及ぼす化学反応という現象は起こらないもの
と定義されている真性のウィスカー及び/又は相変化と
か体積全体に及ぶ化学変化によって生成する結晶の一つ
の結晶面のみを成長させることにより、長い針状晶とな
った単結晶を指す広義のウィスカー及び/又は断面積が
8×10-5 in2以下で、長さが平均直径の10倍以上の
単結晶であるウィスカーがある。
【0105】繊維状物質として、周期律表第1a、2
a、3a、4a、5a、6a、7a、1b、2b、3
b、4b、5b、6b、7b、8族の金属、半導体、半
金属、希土類金属、非金属の内の一種類以上を含む化合
物の少なくとも一種類を含む。短径が500μm以下
で、短径に対する長径との比が2以上である形状の繊維
状物質が用いられる。具体的には、周期律表第1a、2
a、3a、4a、5a、6a、7a、1b、2b、3
b、4b、8族の金属、半導体、半金属、希土類金属、
及びその炭化物、酸化物、窒化物、酸炭化物、酸窒化
物、炭窒化物、酸炭窒化物、硼化物、珪化物の少なくと
も一種類からなる、短径が500μm以下で、短径に対
する長径との比が2以上である形状の繊維状物質が使用
される。好適には、例えば、Al、B、Si、Fe、N
i、Co、Ti、Nb、V、Zr、Hf、Ta、W、R
e、Cr、Cu、Mo、TiAl、Ti3Al、TiA
3、TiNi、NiAl、Ni3Al、SiC、B
4C、Cr32、TiC、ZrC、WC、W2C、Hf
C、TaC、Ta2C、NbC、VC、Mo2C、Si3
4、TiN、ZrN、Si22O、AlN、HfN、
xN(x=1〜3)、NbN、TaN、Ta2N、Ti
B、TiB2、ZrB2、VB、V32、VB2、Nb
B、NbB2、TaB、TaB2、MoB、MoB2、M
oB4、Mo2B、WB、W2B、W25、LaB6、B
P、B132、MoSi2、Al23、ZrO2(Y
23、MgO又はCaO安定剤を添加した部分安定化ジ
ルコニア:PSZ、又は正方晶ジルコニア多結晶体:T
ZP)、MgAl24(スピネル)、Al2SiO5(ム
ライト)の少なくとも一種類からなる、短径が500μ
m以下で、短径に対する長径との比が2以上の形状の繊
維状物質が選択されうる。
【0106】本発明で用いる被覆高圧型窒化硼素粒子
は、上記したように気相法によりその表面を被覆するの
で基本的に被覆形成物質に制限はない。被覆高圧型窒化
硼素焼結体を、用途に応じて任意に材料設計する上で必
要に応じて、被覆を施す前に、高圧型窒化硼素粉体粒子
表面に事前に、同種及び/又は異種の被覆形成物質を同
種及び/又は異種の被覆方法により被覆を施してもよ
い。例えば、高圧型窒化硼素粒子表面に、目的とする金
属の炭化物からなる被覆を形成する場合、事前に炭素を
被覆した被覆高圧型窒化硼素粒子を使用すればよい。事
前に物質を被覆する方法は、特に制限するものではない
が、例えば、特開平2−252660号公報に記載の溶
融塩浸漬法、特開平1−207380号公報に記載の溶
融塩不均化反応法を始め、電気メッキ法、無電解メッキ
法、クラッド法、物理蒸着法(スパッタリング法、イオ
ンプレーティング法等)や化学蒸着法等が好適である。
目的とする金属化合物の金属の種類は、本発明の結合材
及び/又は焼結助剤として適用可能の範囲であれば特に
制限されない。
【0107】上記溶融塩を用いる浸漬法により形成され
る被覆膜は、高硬度高融点物質である。この溶融塩を用
いる浸漬法により被覆膜を設けた、高圧型窒化硼素粉体
粒子のみでは、緻密に焼結することが困難であり、緻密
に焼結可能とするには、この溶融塩を用いる浸漬法によ
り形成された高硬度高融点物質の被覆膜で被覆された高
圧型窒化硼素粉体粒子に、更に一層以上の、本発明の気
相法による被覆法により、十分緻密で高硬度に焼結可能
な結合材として適用可能な物質を適量被覆する必要があ
る。上記、被覆された高圧型窒化硼素粒子は、被覆され
た粒子の被覆形成物質を介して、接触状態で集合塊を形
成する場合がある。この被覆された高圧型窒化硼素粒子
からなる粉体は、単一粒子状態の被覆された粒子と、こ
の単一粒子状態の被覆された粒子が数個から数十個接触
した集合塊、更に多数個の単一粒子状態の被覆された粒
子が接触した集合塊から構成され、その形状及び大きさ
が不均一で不規則になる。この単一粒子状態の被覆され
た粒子からなる集合塊は、解砕及び/又は破砕してから
成形又は焼結処理に供するのが好ましい。この被覆され
た高圧型窒化硼素粒子の集合塊の解砕及び/又は破砕に
は、種々の解砕手段、例えば、ボールミル、振動ボール
ミル、乳鉢、ジェットミル等が利用可能である。また、
単一粒子状態の被覆された粒子と、この単一粒子状態の
被覆された粒子の集合塊とを選択分離して、単一粒子状
態の被覆された粒子のみを成形又は焼結処理に供しても
よい。
【0108】本発明によれば高圧型窒化硼素粒子表面
に、気相法により、被覆形成物質を被覆させた被覆高圧
型窒化硼素粒子を単独で、又は被覆高圧型窒化硼素粒子
と、残部が前記粉体、板状物質、粒子等及び/又は前記
繊維状物質を混合した混合物を、粉体状で、若しくは成
形後焼結する。特に高純度の高圧型窒化硼素、例えばP
VD法或はCVD法による気相を介して合成される超高
純度の立方晶窒化硼素、或は長時間かけて超高圧合成し
た超高純度の立方晶窒化硼素を用いれば、圧力を伝達可
能なカプセルに脱気封入して超高圧HIP焼結又はHI
P焼結を行うか或は真空若しくは不活性ガス中でPCに
よる焼結又はHP焼結を行うことにより、熱力学的に安
定な状態ではなくとも、前記若槻らの報告の1200℃
よりも遥かに高い1850℃まで立方晶窒化硼素が現実
上安定に存在する。しかし、1850℃を越えると短時
間でグラファイト型相に相転移する。また、従来公知の
立方晶窒化硼素で積極的に不純物を除去した高純度の立
方晶窒化硼素を用いれば、同様の焼結方法により、17
00℃まで立方晶窒化硼素が存在する。或は、従来公知
の立方晶窒化硼素で微粒子を含まない、好適には3μm
以上の立方晶窒化硼素を用いれば、同様の焼結方法によ
り、1600℃まで立方晶窒化硼素が存在する。若しく
は、従来公知の比較的高純度の立方晶窒化硼素の場合
は、同様の焼結方法により、1500℃まで立方晶窒化
硼素が存在する。しかし、従来公知の一般的な立方晶窒
化硼素やウルツ鉱型窒化硼素を含む場合は、1400℃
までが好適である。従って、焼結温度の上限は1850
℃である。尚、前記の通り、高圧型窒化硼素が熱力学的
に安定な状態でなくて事実上安定に存在する温度は、使
用する高圧型窒化硼素の品質により異なるので、高圧型
窒化硼素原料の品質に応じた焼結温度を設定する必要が
ある。前記高圧型窒化硼素の原料の品質に応じた温度に
近い焼結温度を設定する必要がある場合は、綿密にその
焼結温度を制御する必要がある。
【0109】本発明は、前記のように、2000MPa未
満の比較的緩い超高圧力を作用可能のPC型超高圧力装
置、又は超高圧HIP装置、或はHIP装置、若しくは
HP装置を使用した被覆高圧型窒化硼素含有高硬度高密
度複合焼結体の製造に関して、焼結温度の上限が185
0℃であることと、この焼結温度範囲で、前記結合材の
適用条件を明らかにし、且つ、高圧型窒化硼素が熱力学
的に安定な状態となるための圧力を作用させることを必
要としていないということを明示するものである。従っ
て、PC型超高圧力装置を使用する場合は、圧力は20
00MPa未満を適用しても差し支えないが、このPC型
超高圧力装置の耐久性を考慮すると1500MPaを越え
ないことが好ましい。圧力発生に関する従来公知の技術
としては、超高圧HIP装置の場合1000MPaまでH
IP圧力を作用可能であり、この超高圧HIP装置を除
くHIP装置及びHP装置の場合は、200MPaまでそ
れぞれ作動可能である。
【0110】以上の方法により焼結させた被覆高圧型窒
化硼素焼結体は、高度に微組織が制御された高性能な焼
結体である。用途として最も一般的な機械部材用に、被
覆高圧型窒化硼素焼結体でそのビッカース硬度が好適に
は600以上の高硬度で、その密度が85%以上の緻密
な被覆高圧型窒化硼素焼結体が製造出来る。好適には、
被覆高圧型窒化硼素焼結体でそのビッカース硬度が好適
には800以上の高硬度で、及び/又はその密度が90
%以上の緻密な被覆高圧型窒化硼素焼結体が製造出来
る。より好ましくは、例えば、耐摩耗性の高い機械部材
への適用を考慮すると、相対的に高圧型窒化硼素の含有
量を増し、且つ緻密に焼結することにより、ビッカース
硬度は1000以上の高硬度の被覆高圧型窒化硼素焼結
体が製造出来る。より一層耐摩耗性を要求される工具用
等には、更に高圧型窒化硼素の含有量を増し、且つ緻密
に焼結することにより、ビッカース硬度2000以上の
被覆高圧型窒化硼素焼結体が製造出来る。
【0111】
【実施例】以下、本発明の被覆高圧型窒化硼素焼結体及
びその製造法を実施例により説明する。 実施例1 高圧型窒化硼素粉体粒子として、平均粒子径DMが1μ
mで、体積基準頻度分布が(〔DM/2,3DM/2〕,
≧90%)の立方晶窒化硼素粒子をアルミニウム金属の
酸化物であるアルミナを被覆した。使用した装置は、図
7及びその部分拡大図である図8に示したものであり、
図6(a)に示した構成の具体例である。本例の装置
は、プラズマトーチ3−A、プラズマ室3−a、被覆形
成物質前駆体生成室の冷却槽3−B、被覆形成物質前駆
体生成室3−b、狭義の被覆室冷却槽3−C、狭義の被
覆室3−c、被覆粒子冷却室の冷却槽3−D、被覆粒子
冷却室3−d、被覆形成物質の原料の供給側に、供給装
置3−E1、芯粒子粉体の供給側に、撹拌式分散機3−
F1とエジェクター式分散機3−H1、細管分散機10
7及び被覆粒子回収部3−Gより成る。供給装置3−E
1は被覆形成物質の原料粉体の供給槽112に、撹拌式
分散機3−F1は芯粒子粉体の供給槽を備えた供給機1
11にそれぞれ結合される。本例における被覆室は、定
義ではプラズマ室3−a、被覆形成物質前駆体生成室3
−b、狭義の被覆室3−c、被覆粒子冷却室3−dから
構成されており、ここではこれらを広義の被覆室と称す
る。この広義の被覆室の内、主に被覆処理の行われる室
3−cを狭義の被覆室と称する。
【0112】本例における微粒子高分散処理手段群α
は、供給槽を備えた供給機111、撹拌式分散機3−F
1とエジェクター式分散機3−H1及び内径4mmのステ
ンレス製細管分散機107で構成されており、図3(a)
に示したものであり、図4(b)に示した構成に属する微
粒子高分散処理手段群の具体例である。微粒子高分散処
理手段群は、DM=1μmの(〔DM/5,5DM〕,≧
90%)の高圧型窒化硼素粒子の芯粒子粉体に対して出
力時β≧70%を実現できるように構成されている。微
粒子高分散処理手段群の最終処理手段である細管107
は被覆室3−Cに直結してあり、被覆空間の3−L2の
被覆開始領域3−L1においてβ≧70%を実現できる
ように構成されている。
【0113】プラズマトーチ3−Aの上部に設けられた
ガス噴出口101に供給源102からアルゴンガスを2
0リットル/分の割合で供給する。このアルゴンガスは
印加された高周波によってプラズマ化され、プラズマト
ーチ3−A内プラズマ室3−aでプラズマ焔を形成す
る。被覆形成物質の原料の供給槽を備えた供給機112
から供給した被覆形成物質の原料である平均粒子径2μ
mのアルミナ粉末は、5リットル/分のキャリアガス1
03に担持されて、プラズマトーチ3−Aの下部に設け
られた被覆形成物質の原料の投入口104から、プラズ
マ焔中に1.5g/分の割合で導入され、プラズマ焔の
熱により蒸発して気相を経て、被覆形成物質前駆体生成
室3−bで被覆形成物質前駆体となる。芯粒子粉体の供
給槽を備えた供給機111から0.3g/分で供給され
る平均粒子径1μmの立方晶窒化硼素の芯粒子を、撹拌
式分散機3−F1により分散させ、5リットル/分の割
合で供給されるキャリアガス105により担持され、1
0リットル/分の流量の分散ガス106によるエジェク
ター式分散機3−H1及び細管分散機107により分散
度β=82%の分散状態に分散させ、被覆室に導入す
る。
【0114】高分散状態の立方晶窒化硼素粒子は、被覆
空間の3−L2の被覆開始領域3−L1において被覆形
成物質前駆体とβ=82%の分散状態で接触及び/又は
衝突し始める。このようにして生成した、被覆形成物質
で表面に被覆が施された被覆された立方晶窒化硼素粒子
は、気体と共に被覆粒子冷却室3−dを降下し、被覆粒
子回収部3−Gに至る。この被覆粒子からなる製品は、
フィルター110により気体と分離し、集められ取り出
される。このようにして立方晶窒化硼素粒子に体積で7
0%のアルミナが被覆された被覆粒子が得られた。得ら
れた被覆された立方晶窒化硼素粒子である、アルミナで
表面に被覆を施した立方晶窒化硼素微粒子を走査型電子
顕微鏡で観察したところ、図9に示す通り個々の粒子
は、いずれも、一様に0.005μm程度のアルミナが
超微粒子状に被覆したものであった。この被覆された立
方晶窒化硼素粒子を、直径16mm、厚さ5mmの円盤状に
型押し成形し、この成形体を、h−BN粉体を充填した
パイレックスガラス製のカプセルに配置し、10-6to
rr,400℃、12時間脱気後封入した。このカプセ
ルを、アルゴンガスを圧力媒体とするHIP装置に配置
し、焼結温度1200℃、焼結圧力150MPaで3時間
保持して焼結した。しかる後、炉冷し、圧力を開放し
て、焼結体を取り出した。
【0115】粉末X線回折により実施例1の焼結体の結
晶相を調べたところ、立方晶窒化硼素及びα型アルミナ
以外の回折ピークは認められなかった。焼結体は、下記
の表1に示すように、密度が97.1%で大変緻密であ
り、しかもビッカース微小硬度は、Hv(0.5/1
0)2960と大変高硬度であった。得られた焼結体の
表面をダイヤモンドペーストで研磨し、研磨面に観察の
ための通常の金蒸着を施した研摩面の電子顕微鏡写真
(×5000)を図10に示す。図中、暗部は立方晶窒
化硼素であり、明部は結合材のアルミナである。この図
から未焼結部や気孔、欠陥等は全くなく、立方晶窒化硼
素粒子の周りに結合材のアルミナが均一に分布した高度
に制御された微組織からなることが分かる。これを市販
の代表的な立方晶窒化硼素焼結体切削工具の研磨面に、
観察のための通常の金蒸着を施したその研摩面の電子顕
微鏡写真(×5000)(図11)と比べると、その違い
が明確に分かる。即ち、市販の立方晶窒化硼素焼結体切
削工具においては、結合材や焼結助剤の分布が不規則的
で、その結合材や焼結助剤が塊状になっているところが
あり、またその反面、焼結助剤や結合材の欠乏している
ところも少なからず存在し、そこに未焼結な部分が見受
けられる。更に、この切削工具の立方晶窒化硼素粒子が
いずれも粗いこと等が実施例1と大きく異なる点として
挙げられる。
【0116】実施例2 平均粒子径DMが1μmで、体積基準頻度分布が(〔DM
/2,3DM/2〕,≧90%)の立方晶窒化硼素粒子
をアルミナで被覆した。使用した装置は、図12及びそ
の部分拡大図である13に示したものであり、図6(d)
に示した構成の具体例である。本例の被覆形成物質前駆
体を生成する装置の構成は実施例1と同一である。微粒
子高分散処理手段群αは、供給槽を備えた供給機21
4、撹拌式分散機5−F1、細管分散機211及び衝突
板を利用した分散機5−H2で構成されており、図3
(a)に示したものであり、図4(b)に示した構成に属す
る微粒子高分散処理手段群の具体例である。細管分散機
211は、内径4mmのステンレス製である。微粒子高分
散処理手段群αの最終分散手段である衝突板を利用した
分散機5−H2は、SiC製の衝突板213がステンレ
ス製のホルダー212により設置された構成である。こ
の衝突板を利用した分散機5−H2は狭義の被覆室5−
cの中に設けられており、微粒子高分散処理手段群αと
狭義の被覆室5−cは共有の空間を有している。また、
被覆空間5−L1及び被覆空間の被覆開始領域5−L2
は、狭義の被覆室5−c内に設けてある。本装置の微粒
子高分散処理手段群は、平均粒子径DMが1μmで、体
積基準頻度分布が(〔DM/5,5DM〕,≧90%)の
芯粒子粉体の粒子を、最終の分散処理である衝突板を利
用した分散機5−H2の衝突板215を衝突直後、分散
度β≧70%に分散できる。したがって、分散度β≧7
0%の状態で被覆が開始される。
【0117】プラズマトーチ5−Aの上部に設けられた
ガス噴出口201に供給源202から20リットル/分
のアルゴンガスを供給する。このアルゴンガスは印加さ
れた高周波によってプラズマ化され、プラズマトーチ5
−A内プラズマ室5−aでプラズマ焔を形成する。被覆
形成物質の原料の供給槽を備えた供給機215から1.
0g/分で供給した被覆形成物質の原料である平均粒子
径2μmのアルミナの粉末は、5リットル/分のキャリ
アガス203に担持されて、プラズマトーチ5−Aの下
部に設けられた被覆形成物質の原料の投入口204か
ら、プラズマ焔中に導入され、プラズマ焔の熱により蒸
発して気相を経て、被覆形成物質前駆体生成室5−bで
被覆形成物質前駆体となる。芯粒子粉体の供給槽を備え
た供給機214から0.7g/分で供給される立方晶窒
化硼素の芯粒子は、撹拌式分散機5−F1により分散せ
しめ、20リットル/分の割合で供給されるキャリアガ
ス205により担持され、細管分散機211を経て、被
覆室中に設けた衝突板を利用した分散機5−H2によっ
て、分散度β=82%に気中に分散させる。
【0118】高分散状態の立方晶窒化硼素の芯粒子は、
被覆空間5−L2の被覆開始領域5−L1において被覆
形成物質前駆体とβ=82%の分散状態で接触及び/又
は衝突し始める。このようにして生成した、被覆形成物
質で表面に被覆が施された被覆された立方晶窒化硼素粒
子は、気体と共に被覆粒子冷却室5−dを降下し、被覆
粒子回収部5−Gに至る。この被覆された立方晶窒化硼
素粒子からなる製品は、フィルター210により気体と
分離し、集められ取り出される。このようにして立方晶
窒化硼素粒子に体積で50%のアルミナが被覆された被
覆粒子が得られた。得られた被覆粒子である、アルミナ
で表面を被覆した立方晶窒化硼素微粒子を、走査型電子
顕微鏡で観察したところ、個々の粒子は、いずれも、一
様に0.005μm程度のアルミナが超微粒子状に被覆
したものであった。このようにして得たアルミナを体積
で50%被覆を施した被覆された立方晶窒化硼素粒子を
直径8mm、厚さ5mmに型押し成形し、これを、実施例1
と略同様のパイレックスガラス製のカプセルに配置し、
加熱脱気後、封入した。その後、超高圧HIP装置を使
用して、焼結温度1200℃、焼結圧力1000MPaで
3時間保持して焼結した。粉末X線回折により実施例2
の焼結体の結晶相を調べたところ、立方晶窒化硼素及び
α型アルミナ以外の回折ピークは認められなかった。焼
結体は、表1に示すように、密度が95.8%で大変緻
密であり、しかもビッカース微小硬度は、Hv(0.5
/10)3750と大変高硬度であった。また、実施例
1と同様、立方晶窒化硼素の周りをアルミナが均一に分
布した高度に制御された微組織の焼結体が得られた。
【0119】実施例3 平均粒子径が1μmで、体積基準頻度分布が(〔DM
2,3DM/2〕,≧90%)の立方晶窒化硼素粒子を
アルミナで被覆した。使用した装置は、図14及びその
部分拡大図である図15に示したものであり、図6(b)
に示した構成の具体例である。本例の被覆形成物質前駆
体を生成する装置の構成は実施例1と同一である。微粒
子高分散処理手段群αは、供給槽を備えた供給機31
3、分散手段である撹拌式分散機6−F1、高分散芯粒
子粉体の粒子・気体混合物選択手段であるサイクロン6
−Iで構成されており、図3(b)に示したものであり、
図4(d)に示した構成の具体例である。サイクロン6−
Iの高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物の放出部は、
搬送に不可避のパイプ307で狭義の被覆室6−cへ接
続してあり、低分散芯粒子粉体部分の放出部は、ホッパ
ー6−J、ロータリーバルブ6−Kを介して搬送管31
0で撹拌式分散機6−F1へ接続してある。本装置の微
粒子高分散処理手段群によれば、体積基準の粒度分布と
して、平均粒子径DMが1μmで、体積基準頻度分布が
(〔DM/5,5DM〕,≧90%)の芯粒子粉体の粒子
を、最終の処理手段であるサイクロン6−Iの高分散芯
粒子粉体流の放出部で、分散度β≧75%に分散でき
る。狭義の被覆室6−cに図14及び図15のごとく被
覆空間6−L2及び被覆空間の被覆開始領域6−L1が
設けてある。6−Cと6−Dを結合するフランジ部の制
約による搬送に不可避のパイプ307による分散度βの
低下は少なくとどめられる。したがって、被覆開始領域
において、分散度β≧70%で被覆が開始される。
【0120】プラズマトーチ6−Aの上部に設けられた
ガス噴出口301に供給源302からアルゴンガスを2
0リットル/分で供給する。このアルゴンガスは印加さ
れた高周波によってプラズマ化され、プラズマトーチ6
−A内プラズマ室6−aでプラズマ焔を形成する。被覆
形成物質の原料の供給槽を備えた供給機314から2.
1g/分で供給した被覆形成物質の原料であるアルミナ
粉末は、5リットル/分のキャリアガス303に担持さ
れて、プラズマトーチ6−Aの下部に設けられた被覆形
成物質の原料の投入口304から、プラズマ焔中に導入
され、プラズマ焔の熱により蒸発して気相を経て、被覆
形成物質前駆体生成室6−bで被覆形成物質前駆体とな
る。芯粒子粉体の供給槽を備えた供給機313から1.5
g/分で供給される立方晶窒化硼素の芯粒子は、撹拌式
分散機6−F1により分散させ、15リットル/分のキ
ャリアガス305により担持されパイプ306を介して
サイクロン6−Iに搬送される。サイクロン6−Iは、
微粉側の最大粒子径が1.5μmとなるように調節され
ており、主に単一粒子からなるβ=85%の分散状態の
高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物を、搬送に不可避
のパイプ307を介し放出口308から狭義の被覆室6
−cに放出させる。一方、サイクロン6−Iにより選択
分離した低分散芯粒子粉体部分は、ホッパー6−J、ロ
ータリーバルブ6−Kを経て、10リットル/分のキャ
リアガス309によりパイプ310中を搬送され、撹拌
式分散機6−F1へフィードバックする。
【0121】高分散状態の立方晶窒化硼素の芯粒子は、
被覆空間6−L2の被覆開始領域6−L1において被覆
形成物質前駆体とβ=82%の分散状態で接触及び/又
は衝突し始める。このようにして生成した、被覆形成物
質で表面に被覆を施された被覆された立方晶窒化硼素粒
子は、気体と共に被覆粒子冷却室6−dを降下し、被覆
粒子回収部6−Gに至る。この被覆された立方晶窒化硼
素粒子からなる製品は、フィルター312により気体と
分離し、集められ取り出される。このようにして立方晶
窒化硼素粒子に体積で50%のアルミナで被覆を施され
た被覆された立方晶窒化硼素粒子が得られた。得られた
被覆された立方晶窒化硼素粒子である、アルミナで表面
を被覆した立方晶窒化硼素微粒子を、走査型電子顕微鏡
で観察したところ、個々の粒子は、いずれも、一様に
0.005μm程度のアルミナが超微粒子状に被覆した
ものであった。得られたアルミナを体積で50%被覆し
た被覆立方晶窒化硼素粉体粒子を直径10mm、厚さ8mm
に型押し成形し、外側にh−BN成形体を配置したパイ
ロフィライト圧力媒体に埋め込み、これをピストン・シ
リンダー(PC)型超高圧力装置にセットし、焼結温度
1200℃、焼結圧力1500MPaで3時間保持し、焼
結した。しかる後に、降温、降圧して焼結体を取り出し
た。粉末X線回折により焼結体に、立方晶窒化硼素及び
α型アルミナ以外の回折ピークは認められなかった。焼
結体は、表1に示すように、密度が98.3%で大変緻
密であり、しかもビッカース微小硬度は、Hv(0.5
/10)3930と大変高硬度であった。また、実施例
1と同様、立方晶窒化硼素の周りをアルミナが均一に分
布した高度に制御された微組織の焼結体が得られた。
【0122】実施例4〜実施例5 実施例1の装置により、実施例1と略同様の条件で被覆
を行って得た、アルミナを体積で50%〜40%の被覆
を施した被覆された立方晶窒化硼素粒子を直径10mm、
厚さ8mmに型押し成形し、外側にh−BN成形体を配置
したパイロフィライト圧力媒体に埋め込み、これをピス
トン・シリンダー(PC)型超高圧力装置にセットし、
焼結温度1200℃〜1300℃、焼結圧力1500MP
aで3時間〜6時間保持し、焼結した。しかる後に、降
温、降圧して焼結体を取り出した。粉末X線回折により
いずれの焼結体も、立方晶窒化硼素及びα型アルミナ以
外の回折ピークは認められなかった。焼結体は、表1に
示すように、いずれも密度が98.2%〜98.8%で大
変緻密であり、しかもビッカース微小硬度は、Hv
(0.5/10)3970〜4700と大変高硬度であ
った。また、実施例1と同様、立方晶窒化硼素粒子の周
りをアルミナが均一に分布した高度に制御された微組織
の焼結体が得られた。
【0123】実施例6〜実施例7 KCl、BaCl2、及びNaFからなる無機塩類に、
TiO2及びフェロアロイ(Fe−Ti)を添加して浸
漬浴とする溶融塩を用いる浸漬法(不均化反応法)によ
り、立方晶窒化硼素粒子(粒径0〜2μm)を、900
℃、1時間浸漬被覆し、この立方晶窒化硼素粒子表面
に、窒化チタン(TiN)・二硼化チタン(TiB2
を、内部添加による添加量が、体積で5%を被覆した。
更にこの表面に、実施例1の装置により、実施例1と略
同様の条件で被覆を行い、アルミナを体積で45%〜3
5%の被覆を施して被覆された立方晶窒化硼素粒子を得
た。焼結条件を1500MPa、1300℃で3時間〜6
時間とし、実施例3〜実施例5と同様に焼結した。粉末
X線回折により実施例6〜実施例7の焼結体の結晶相を
調べたところ、立方晶窒化硼素、窒化チタン、二硼化チ
タン及びα型アルミナが認められ、それ以外の回折ピー
クは検出されなかった。尚、実施例6、実施例7の何れ
も硬度測定用の研磨面作製に当り研磨面が形成され難
く、耐摩耗性が高かった。実施例6、実施例7の何れも
浸漬被覆による窒化チタン・二硼化チタン被覆膜の形成
により、耐摩耗性が高くなったものと考えられる。焼結
体は、表1に示すように、密度が98.5%〜99.0%
で大変緻密であり、しかもビッカース微小硬度は、Hv
(0.5/10)4030〜4780と大変高硬度であ
った。また、実施例1と同様、立方晶窒化硼素の周りを
窒化チタン、二硼化チタン及びα型アルミナからなる結
合材が均一に分布した高度に制御された微組織の焼結体
が得られた。
【0124】実施例8 実施例1の装置により、実施例1と略同様の条件で被覆
を行い、PSZを体積で40%で被覆を施した被覆され
た立方晶窒化硼素粒子を得た。その後、実施例7と同様
に焼結した。粉末X線回折により、焼結体の結晶相を調
べたところ、立方晶窒化硼素と、PSZを構成する単斜
晶酸化ジルコニウム及び正方晶酸化ジルコニウムの回折
ピークが認められたのみで、その外の回折ピークが認め
られなかった。焼結体は、表1に示すように、密度が、
99.8%で、大変緻密であり、しかもビッカース微小
硬度は、Hv(0.5/10)2300と大変高硬度で
あった。また、実施例1と同様、立方晶窒化硼素粒子の
周りを結合材のPSZが均一に分布した高度に制御され
た微組織の焼結体が得られた。
【0125】実施例9 実施例6〜実施例7と同様に、溶融塩を用いる浸漬法に
より窒化チタン(TiN)・二硼化チタン(TiB2
を内部添加による添加量が体積で5%を浸漬した被覆さ
れた立方晶窒化硼素粉体粒子(粒径0〜2μm)の表面
に、実施例1の装置により、実施例8と略同様の条件で
被覆を行い、PSZを体積で45%を被覆を施した被覆
された立方晶窒化硼素粒子を得た。焼結条件を1500
MPa、1300℃で3時間とし実施例8と同様に焼結
した。粉末X線回折により、焼結体の結晶相を調べたと
ころ、立方晶窒化硼素、窒化チタン、二硼化チタン、P
SZを構成する単斜晶酸化ジルコニウム及び正方晶酸化
ジルコニウムの回折ピークが認められ、これ以外の回折
ピークは認められなかった。焼結体は、表1に示すよう
に、密度が、99.8%で、大変緻密であり、しかもビ
ッカース微小硬度は、Hv(0.5/10)2100と大
変高硬度であった。また、実施例1と同様、立方晶窒化
硼素の周りを窒化チタン、二硼化チタンPSZからなる
結合材が均一に分布した高度に制御された微組織の焼結
体が得られた。
【0126】実施例10〜実施例11 実施例1及び実施例2と同様にアルミナを被覆して得ら
れたアルミナの被覆量が体積で50%〜70%の被覆を
施された立方晶窒化硼素粒子と、SiCウィスカーの混
合比を体積で90:10とし、アルミナ製ボールミルを
用い、アセトン中、湿式で2時間混合した。その後、1
-6torr,200℃で当該混合物を真空乾燥した。
次いで、実施例1及び実施例2の製造法と同様にカプセ
ルに封入し、その後、HIP装置及び超高圧HIP装置
を使用して、焼結温度1200℃、焼結圧力150MPa
〜1000MPaで3時間焼結した。X線回折により実施
例10〜実施例11の焼結体の結晶相を調べたところ、
立方晶窒化硼素、α型アルミナ及び炭化珪素以外の回折
ピークは認められなかった。焼結体は、表1に示すよう
に、密度が95.0%〜96.0%で大変緻密であり、し
かもビッカース微小硬度は、いずれもHv(0.5/1
0)2780〜3560と大変高硬度であった。また、
SiCウィスカーが被覆された立方晶窒化硼素粒子の周
りを均一に分散し、更に結合材のアルミナが立方晶窒化
硼素粒子の周りに均一に分布した高度に制御された微組
織の焼結体が得られた。
【0127】実施例12 実施例1の装置により実施例1と略同様の条件で被覆を
行い、アルミナを体積で53%被覆を施した被覆された
立方晶窒化硼素粒子を得た。また、SiCウィスカーの
表面に、炭化チタン(TiC)をターゲットとして用
い、スパッタリング法により、内部添加による添加量が
体積で33%の量で被覆した。両者の混合比を体積で、
85:15とし、実施例10〜実施例11と同様に混合
し、乾燥した。次いで、実施例9と同様に焼結した。粉
末X線回折により、焼結体の結晶相を調べたところ、立
方晶窒化硼素、α型アルミナ、炭化珪素及び炭化チタン
以外の回折ピークは認められなかった。焼結体は、表1
に示すように、密度が、98.7%で、大変緻密であ
り、しかもビッカース微小硬度は、Hv(0.5/10)
3400と大変高硬度であった。焼結体は、TiCを被
覆したSiCウィスカーが被覆された立方晶窒化硼素粒
子の周りを均一に分散し、更に結合材のアルミナが立方
晶窒化硼素粒子の周りに均一に分布した高度に制御され
た微組織の焼結体が得られた。
【0128】
【表1】
【0129】
【発明の効果】本発明によれば、体積基準頻度分布で平
均粒子径が10μm以下の高圧型窒化硼素の微粒子から
なる芯粒子粉体を気中に分散させ、この分散した芯粒子
粉体の粒子を分散度βが70%以上である分散状態で被
覆形成物質前駆体と接触又は衝突させることによって、
単一粒子状態でその表面を被覆形成物質で被覆を施した
被覆された高圧型窒化硼素粒子又は同粒子を含む混合物
を、2000MPa未満の超高圧力及び1850℃を越
えない高圧型窒化硼素が熱力学的に安定ではないが準安
定な圧力、温度の焼結条件で焼結することにより、均一
で、緻密で、且つ強固に焼結された、高度に制御された
微組織を有する高性能な被覆高圧型窒化硼素焼結体が得
られるので、2000MPa以上の超高圧力を発生する
ための超高圧発生装置を使用する制約上の欠点が解消さ
れる。特に、超高圧HIP装置或は超高圧HIP装置を
除くHIP装置を使用する場合は、更に複雑形状の焼結
体の製造も可能であるなど、工業生産上のメリットが頗
る大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】高圧型窒化硼素の安定な領域を示す圧力・温度
線図である。
【図2】粉体粒子の分布図であり、(a)は分散度βを表
わし、(b)は粒径D1〜D2の範囲の粒子が体積で90%
を占める粉体の粒径対体積基準頻度を表わす。
【図3】(a)〜(c)は微粒子高分散処理手段群の基本構
成を示すブロック図。
【図4】(a)〜(g)は微粒子高分散処理手段群の構成を
より詳細に説明するブロック図。
【図5】(a)〜(e)は芯粒子粉体に被覆が開始される態
様を示す図。
【図6】(a)〜(g)は被覆された高圧型窒化硼素粒子を
製造するための装置の構成を説明するブロック図。
【図7】実施例1で用いる装置を示す図。
【図8】実施例1で用いる装置の部分を拡大図。
【図9】実施例1で得られた被覆された立方晶窒化硼素
粒子の走査型電子顕微鏡写真。
【図10】実施例1の焼結体の研摩面の電子顕微鏡写
真。
【図11】市販の立方晶窒化硼素焼結体工具の研摩面の
電子顕微鏡写真。
【図12】実施例2で用いる装置を示す図。
【図13】実施例2で用いる装置の部分拡大図。
【図14】実施例3で用いる装置を示す図。
【図15】実施例3で用いる装置の部分拡大図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 41/87 E C23C 14/06 B 9271−4K (72)発明者 吉田 晴男 愛知県名古屋市北区尾上町1番地の2 尾 上団地第5号棟第1406号室 (72)発明者 粂 正市 愛知県津島市鹿伏兎町字二之割150番地の 2 (72)発明者 山田 幸良 埼玉県比企郡川島町八幡3丁目6番18号 (72)発明者 冬木 正 埼玉県入間郡大井町緑ヶ丘2丁目23番16号 (72)発明者 秋山 聡 埼玉県川越市稲荷町17番22号 (72)発明者 濱田 美明 埼玉県川越市末広町3丁目4番8号 (72)発明者 黒田 英輔 埼玉県川越市西小仙波町2丁目16番4号 (72)発明者 鍋谷 忠克 神奈川県鎌倉市山ノ内1095−21 (72)発明者 隅田 幸雄 宮城県亘理郡亘理町吉田字中原55−520 (72)発明者 木村 健一 宮城県仙台市太白区八木山本町2−33−5 グレイス八木山502号

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧型窒化硼素の微粒子からなる、芯粒
    子粉体の粒子又は主に同微粒子からなる芯粒子粉体の粒
    子であってその表面が被覆形成物質で被覆されたものを
    焼結して高圧型窒化硼素焼結体を製造する方法におい
    て、 この被覆形成物質で被覆された高圧型窒化硼素粒子は、
    芯粒子粉体を被覆空間に投入し、気相を経て生成する被
    覆形成物質前駆体及び/又は気相状態の被覆形成物質前
    駆体を、この芯粒子粉体の粒子に接触及び/又は衝突さ
    せて、芯粒子粉体の粒子の表面が被覆形成物質で被覆さ
    れたものであって、 (A) 微粒子高分散処理手段群の最終処理手段が、
    (a) この芯粒子粉体の粒子を気中に分散させる分散
    手段、および(b) 芯粒子粉体の粒子を気中に分散さ
    せた芯粒子粉体の粒子と気体との混合物において低分散
    芯粒子粉体部分を分離し、芯粒子粉体の粒子が主に単一
    粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気
    体混合物を選択する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合
    物選択手段とこの高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物
    選択手段により選択分離された低分散芯粒子粉体部分を
    微粒子高分散処理手段群中の分散手段の内の最終分散手
    段及び/又は最終分散手段以前の処理手段に搬送するフ
    ィードバック手段とを備えた高分散芯粒子粉体の粒子・
    気体混合物選択手段、から選ばれる微粒子高分散処理手
    段群により、体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm
    以下の微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる
    芯粒子粉体の粒子を、気中に分散させて高分散芯粒子粉
    体の粒子・気体混合物とする分散工程、 (B) この分散工程で分散させた芯粒子粉体の粒子
    を、分散度βが70%以上の分散状態で、被覆空間の被
    覆開始領域において被覆形成物質前駆体と接触及び/又
    は衝突させて被覆を開始する被覆工程、からなる被覆手
    段によって調製されたものであり、そしてこの被覆され
    た高圧型窒化硼素粒子、又は同粒子を含む混合物を20
    00MPa未満の圧力、及び1850℃を越えない高圧型
    窒化硼素が熱力学的に安定ではないが準安定な圧力、温
    度の焼結条件において焼結することを特徴とする被覆高
    圧型窒化硼素焼結体の製造法。
  2. 【請求項2】 前記被覆された高圧型窒化硼素粒子が、 被覆された高圧型窒化硼素粒子の被覆形成物質を介して
    接触状態で集合塊を形成した被覆された高圧型窒化硼素
    粒子の集合塊を、解砕及び/又は破砕する被覆された高
    圧型窒化硼素粒子集合塊の解砕・破砕工程、及び/又は
    この被覆高圧型窒化硼素粒子集合塊と一次粒子単位の被
    覆された高圧型窒化硼素粒子とを選択分離する選択分離
    工程を更に経て調製されたものであることを特徴とす
    る、請求項1に記載の被覆高圧型窒化硼素焼結体の製造
    法。
  3. 【請求項3】 被覆形成物質で被覆するべき高圧型窒化
    硼素の微粒子からなる芯粒子粉体の粒子又は主に同微粒
    子からなる芯粒子粉体の粒子が、溶融塩浴を用いる浸漬
    法により、浸漬法に由来する被覆物質で一層以上被覆さ
    れた微粒子芯粒子粉体の粒子又は主に微粒子からなる芯
    粒子粉体の粒子であることを特徴とする、請求項1、又
    は請求項2に記載の被覆高圧型窒化硼素焼結体の製造
    法。
  4. 【請求項4】 被覆された高圧型窒化硼素粒子が、体積
    基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体
    を、微粒子高分散処理手段群の最終処理により気中に分
    散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とし、そ
    の芯粒子粉体の粒子の分散度βを70%以上とする分散
    性能を有する微粒子高分散処理手段群による分散工程を
    設け、微粒子高分散処理手段群により分散させた高分散
    芯粒子粉体の粒子・気体混合物を被覆工程に直接放出す
    るか、又は分散工程と被覆工程の間に、微粒子高分散処
    理手段群により分散させた高分散芯粒子粉体の粒子・気
    体混合物を放出する放出部から、搬送に不可避の、中空
    部材、中空を形成せしめる部材からなる中間部材、及び
    パイプから選択される1種類又はそれ以上の部材を介し
    て搬送するか、及び/又は、前記分散性能で気中に分散
    させた高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中の粒子の
    気中分散状態を維持する気中分散維持手段、前記分散性
    能で気中に分散させた 高分散芯粒子粉体の粒子・気体
    混合物中の粒子の気中分散状態を高める気中分散促進手
    段、芯粒子粉体の粒子と気体との混合物の内の、低分散
    芯粒子粉体部分を分離し、芯粒子粉体の粒子が主に単一
    粒子状態で気中に存在する高分散芯粒子粉体の粒子・気
    体混合物を選択する高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合
    物選択手段の1種又はそれ以上を介して搬送して調製さ
    れたものであることを特徴とする、請求項1に記載の被
    覆高圧型窒化硼素焼結体の製造法。
  5. 【請求項5】 被覆された高圧型窒化硼素粒子が、体積
    基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体
    を、微粒子高分散処理手段群の最終処理により気中に分
    散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とし、そ
    の芯粒子粉体の粒子の分散度βを70%以上とする分散
    性能を有する微粒子高分散処理手段群による分散工程の
    一部以上と前記被覆工程の一部以上とを、空間を一部以
    上共有して行うことにより調製されたものであることを
    特徴とする、請求項1に記載の被覆高圧型窒化硼素焼結
    体の製造法。
  6. 【請求項6】 被覆された高圧型窒化硼素粒子が、体積
    基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯粒子粉体
    を、微粒子高分散処理手段群の最終処理により、気中に
    分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物とし、
    その芯粒子粉体の粒子の分散度βを70%以上とする空
    間領域の内の、高分散芯粒子粉体の粒子・気体混合物中
    の芯粒子粉体の粒子の全ての粒子が通過する面を含む空
    間領域に、被覆空間の被覆開始領域を位置せしめるか、
    又は体積基準頻度分布で平均粒子径が10μm以下の芯
    粒子粉体を、微粒子高分散処理手段群の最終処理によ
    り、気中に分散させて高分散芯粒子粉体の粒子・気体混
    合物中とし、その芯粒子粉体の粒子の分散度βを70%
    以上とする空間領域の内の、回収手段の回収部に回収す
    る全ての粒子が通過する面を含む空間領域に、被覆空間
    の被覆開始領域を位置せしめることにより調製されたも
    のであることを特徴とする、請求項1、請求項4又は請
    求項5に記載の被覆高圧型窒化硼素焼結体の製造法。
  7. 【請求項7】 使用する、芯粒子粉体の粒子の粒度分布
    が、平均粒子径をDMとしたとき、体積基準頻度分布で
    (〔DM/5,5DM〕,≧90%)であることを特徴と
    する、請求項1、請求項4、請求項5又は請求項6に記
    載の被覆高圧型窒化硼素焼結体の製造法。
  8. 【請求項8】 請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、請求項5、請求項6、又は請求項7に記載の被覆高
    圧型窒化硼素焼結体の製造法により製造した被覆高圧型
    窒化硼素焼結体。
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