JPH0751144B2 - 押送兼吸引型排便装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は起居不能者例えば重症患
者や老衰者の排便に際し使用する押送兼吸引型排便装置
にかかり、病院や療養家庭で備えつけるのに適してい
る。

【０００２】

【従来の技術】本願出願人が先に出願して特許となった
押送兼吸引型排便装置の型式［特許第１５８６６０４号
（特公平−８７３８）］がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この型式だと、きんか
くし内の洗浄ができないため、使用後に小便の臭気が外
部に洩れてしまうだけでなく、小便が排便室に直接に流
れ込むようになっているため、この装置の供用中でも排
便室ときんかくしが常に連通してしまい、排便の吸引力
だけでは大便の臭気が外部に洩れてしまうことがあっ
た。

【０００４】また、排便室の洗浄は排便口の周りに配し
た給液路の流出孔から液体を流出させて行うやり方なの
で、壁面に満辺なく流すことができず、下痢したりする
と濡れていない壁面にこびりついて洗い流せないことが
あった。本発明は臭気の洩れを一層効果的に防ぎ、排便
室壁面を清浄に保つ排便装置を提供しようとするもので
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の押送兼吸引型排
便装置の押込式便器本体は、自身の内部に排便室を備え
上面にこの排便室の排便口が開口し、かつこの排便室に
遮断床の小孔を介して連通するきんかくしが起立してい
る。この本体は尿溜めと、圧力気体の送出口と、排便吸
引口と、乾燥筒と、洗浄筒と、送気口と、洗浄口を有し
ている。

【０００６】尿溜めは遮断床の下側にあって、一方で前
記の小孔と連通し、他方に所定量の液体の圧力で一時的
に開放する閉止弁を備えた流出口を有している。また圧
力気体の送出口は排便室の底部を貫通する軸線上の一方
でこの排便室に開口している。排便の吸引口は既記送出
口と軸線上で相対して排便室に開口し、かつ、尿溜めの
流出口もこれに連通している、吸込管によりポンプの吸
込口に排便タンクを介して連通している。

【０００７】また乾燥筒と洗浄筒はそれぞれ自身の軸線
方向に摺動自在かつその軸線の周りに回動自在に本体に
支持されて先端部の噴出口が排便室に進出できる。そし
て送気口と洗浄口はそれぞれきんかくしの上部内面に下
方へ向けて開口している。

【０００８】また圧力気体の送出口、乾燥筒及び送気口
はポンプの圧力気体の吐出口に続く送気管に遮断自在に
連通している。そして洗浄筒及び洗浄口は圧力液体の給
液管に遮断自在に連通している。更に給液管は前記送気
管に圧力気体の送出口の手前で遮断自在に連通してい
る。尿溜めの閉止弁の閉止傾向が自重及び付勢手段によ
って与えられている。

【０００９】

【作用】便意を催した者の尻の下に本体の先端部を挿込
み、両股間にきんかくしを密接に挟ませると、こう門が
排便口の上方に位置するに至り、排便室は密閉される。
ここでポンプを起動してやると、吐出口から送出管によ
り圧力気体を吐出し、吸込口から吸込管により気体を吸
引する。そのため排便室の底部には送出口から吸引口に
強力な気流が発生する。また同時に液槽からポンプによ
り、又は水道栓を介し、圧力液が給液管及び弁を通って
送気管に供給され、送出口から気体と共に噴霧状となっ
て排便室に入り、その壁面を濡らしながら流下し、排便
の付着を防ぐ。この圧力液を同時にきんかくしの洗浄口
に送ってもよい。

【００１０】この状態で排便が始まると、大便は底部に
向かって落下する。一方、小便は同様に底部に向けて放
出され、あるいはきんかくしの内壁面に向けて放出され
た後その壁面やネットを伝って同様に底部に流下し、遮
断床の小孔を通って尿溜めに入る。そして、尿がある量
になるとその圧力で閉止弁を押し開き、流出口から流出
し吸込管に入って排便タンクへ吸い取られる。

【００１１】一方、大便が落下して送出口から吸引口に
向かう気流に載ると、送出口側に正の風圧を受け、同時
に吸引口側に負の風圧を受けるので、排便は噴霧された
洗浄用の液体と共に瞬間的に吸引口に入り、吸込管内を
風流に搬送されて排便タンクに到達する。ここでは通常
のように気液が確実に分離され、排便はここで貯えら
れ、気体のみが再び吐出口から押し出されて行く。

【００１２】排便が済んだら、洗浄筒を押し込んで先端
の噴出口を排便室の中央に進出させる。そして給液路の
弁を切換えて洗浄液をこの洗浄筒ときんかくしの洗浄口
へ供給する。この洗浄口へ前から洗浄液が供給されてい
る場合は、勿論その必要はない。洗浄筒の場合は噴出口
の位置及び向きを適当に変えながら***部の洗浄を終え
る。

【００１３】洗浄液が吸引口の導入縁部上面に流下して
も、底部の気流は排便室の上面には作用しないので、洗
浄液が風圧で飛散したりすることはない。きんかくしの
場合洗浄液は洗浄口からその内壁面やネットに沿って流
下してこれらを洗浄し、遮断床の小孔を通って尿溜めに
流れ込む。そして、尿溜めの廃水がある量になるとその
圧力で閉止弁を押し開き、流出口から吸込管に流れる。
そして、それぞれ洗浄を終えた廃水は気流に搬送されて
排便タンクに回収される。

【００１４】洗浄が終了したら弁を閉め、洗浄筒を引き
戻して先端部の噴出口を排便室から退散させる。次いで
乾燥筒を押し込み、その噴出口を排便室内に進出させ
る。弁を操作して圧力気体を送出口に連なる送出管から
この乾燥筒ときんかくしの送気口に流す。乾燥筒の噴出
口から流出した気体は、洗浄により濡れた皮膚面を速や
かに乾燥する。この噴出口の位置及び向きを適当に変え
てやることは前回の場合と同様である。また、送気口か
ら流出した気体はきんかくし内壁面やネットを乾燥させ
る。乾いたら弁により気流を遮断し、便器本体を尻部か
ら引き抜いて、排便の一連の作業を終える。

【００１５】

【実施例】１は挿込式の便器の本体で、上面は通常のよ
うに挿込側に向かって下り傾斜となっている。この本体
１は内部に排便室２を有し、この排便室の上面には排便
口３が開口し、この排便口３に続いてきんかくし４が挿
込側に向かい湾曲して起ち上がっている。このきんかく
し４は挿込側に開口５を有し、その両側には内側へ向う
洩出防止用の鍔６が形成され、この開口５の排便口３側
は相対する鍔６をやや接近させて狭くするのが洩出防止
効果上好ましい。

【００１６】このきんかくし４の下部には遮断床７が設
けられ、きんかくし４と排便室２の内部導通を遮断して
いる。この遮断床７の下側に尿溜め８が設けられ、きん
かくし４の内部が小孔９によって連通している。この尿
溜め８は、図３に示すように他方に流出口１０を備え、
この流出口は閉止弁１１により常時閉止されている。そ
して、尿溜め８に溜った尿又は廃水等の液体がある量に
なると、その圧力で閉止弁１１が開き、この液体を流出
口１０から放流するようになっている。この閉止弁１１
の閉止傾向は自重又は自重とスプリング１２によって与
えられ、閉止弁の外面に作用する負圧によっては開かな
い。

【００１７】１３は圧力気体の送出口、１４は排便の吸
引口で、１５は乾燥筒、１６は洗浄筒、１７は送気口、
１８は洗浄口である。送出口１３と吸引口１４の両口
は、排便室２の底部２’を貫通する軸線１９上で相対し
て、この排便室２に開口している。そして、吸引口１４
は吸込管２０の他端でポンプ２１の吸込口２２に排便タ
ンク２３を介して連通する。この吸込管２０には尿溜め
８の流出口１０も連通している。

【００１８】乾燥筒１５は乾燥用気体を供給して皮膚を
乾燥させるためのもので、自身の軸線方向に摺動自在
に、かつ自身の軸線の周りに回動自在に、本体１の透孔
２４に遊嵌して本体１に支持され、先端部の噴出口２５
が排便室２に進出し得るようになっている。

【００１９】洗浄筒１６は人体の***部を洗浄液（水
等）で洗浄するためのもので、自身の軸線方向に摺動自
在に、かつ自身の軸線の周りに回動自在に、本体１の透
孔２６に遊嵌して本体１に支持され、先端部の噴出口２
７が排便室２に関し進出し得るようになっている。

【００２０】送気口１７、洗浄口１８はそれぞれきんか
くし４の上部に設けられ、内面へ向けて開口している。
そして、圧力気体の送出口１３は弁２８を介して、ま
た、乾燥筒１５及び送気口１７は弁２９を介して、それ
ぞれポンプ２１の圧力気体の吐出口３０に続く送気管３
１に連通している。

【００２１】また、洗浄筒１６及び洗浄口１８は、圧力
液体の給液管３２に、弁３３や３４を介して連通してい
る。この給液管３２は、送気管３１にも、圧力気体の送
出口１３の手前で連通している。なお図面で、４１は小
便等の飛散防止用のネット、４２は把手である。

【００２２】使用の際は本体１を尻の下に挿し込み、き
んかくし４を股の間に挟ませる。ポンプ２１を起動し、
給液管３２に液体を送り、弁２８、３３、３４等を適宜
操作すれば、排便室２の底部には送出口１３から吸引口
１４に水分を含んだ風圧の大きな気流が流れる。そし
て、きんかくし４の内面やネット４１も液体で濡れる。
この場合、液量は壁面等を伝って流れ出る量に制限す
る。洗浄筒１６には給液しない。

【００２３】ここで排便すると、大便は直接に底部に落
下して気流に載せられ、速やかにタンク２３に回収され
る。また小便は、きんかくし４の内面に当り、この面を
流下し又はネット４１を伝って流下する。そして、遮断
床７の小孔９を通って尿溜め８に流入する。液圧が上が
ると、閉止弁１１を尿が押し開け、排便室２に回り込
み、気流に載せられて速やかにタンク２３に回収され
る。タンク２３で排便を分離した気体はポンプ２１によ
り再び吐出口３０から圧出され、循環使用される。

【００２４】用便を終えたら、洗浄筒１６を押し込み、
弁３３により洗浄筒１６に洗浄液を送り、噴出口２７か
ら液体を噴出させて***部位を洗浄する。廃液は底部に
流下し、同様に気流によりタンク２３へ搬入される。

【００２５】きんかくし４へ供給された洗浄液は内壁面
やネット４１を伝って流下し、小便を洗い流して遮断床
７上に集まり、その小孔９を通って尿溜め８に流れ込
む。既に述べた通り、流れ込んだ廃液がある量になる
と、その圧力で閉止弁１１を押し開き、流出口１０から
吸込管２０に流れ込んでタンク２３に引き込まれる。

【００２６】洗浄が終ったら液を止める。そして洗浄筒
１６を引き戻し、乾燥筒１５を押し込んで弁２９を操作
し、圧力気体を乾燥筒１５と送気口１７に導く。乾燥筒
１５に流れた気体は噴出口２５から噴出し、皮膚に付着
した水滴等を速やかに取り除く。送気口１７に送られた
気体はきんかくし４の内壁面やネット４１を乾かす。乾
いたら弁２９により気体を遮断し、乾燥筒１５を引き戻
しておく。あとは本体１を尻の下から抜き取ればよい。

【００２７】

【発明の効果】本発明によれば、排便室ときんかくしの
内部導通が遮断床によって遮断されているので、用便中
の臭気が本体外部に漏洩することを有効に防止でき、き
んかくし内も洗浄できる等、種々の特徴がある。請求項
２によれば、尿溜めが排水トラップの作用をし、排便室
の臭気がきんかくしに洩れるのを防ぐことができる。請
求項３によれば、きんかくしの洗浄後の乾燥を強制的に
短時間で行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る排便装置の具体例を示す図２の１
−１線断面図である。

【図２】同平面図である。

【図３】図１の３−３線横断面図である。

【符号の説明】

１ 本体 ２ 排便室 ２’ 底部 ３ 排便口 ４ きんかくし ７ 遮断床 ８ 尿溜め ９ 小孔 １０ 流出口 １１ 閉止弁 １２ スプリング １３ 送出口 １４ 吸引口 １５ 乾燥筒 １６ 洗浄筒 １７ 送気口 １８ 洗浄口 １９ 軸線 ２０ 吸込管 ２１ ポンプ ２３ タンク ２５ 噴出口 ２７ 噴出口 ３０ 吐出口 ３１ 送気管 ３２ 給液管

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自身の内部に排便室(2)を備え、上面に
   この排便室(2)の排便口(3)が開口し、かつこの排便室
   (2)に遮断床(7)の小孔(9)を介して連通するきんかくし
   (4)が起立した挿込式便器の本体(1)に、 尿溜め(8)と、圧力気体の送出口(13)と、排便の吸引口
   (14)と、乾燥筒(15)と、洗浄筒(16)と、洗浄口(18)を有
   し、 該尿溜め(8)は遮断床(7)の下側にあって、一方で前記の
   小孔(9)と連通し、他方に所定量の液体の圧力で一時的
   に開放する閉止弁(11)を備えた流出口(10)を有してお
   り、 既記圧力気体の送出口(13)は既記排便室(2)の底部(2')
   を貫通する軸線(19)上の一方でこの排便室(2)に開口し
   ており、 既記排便の吸引口(14)は既記送出口(13)と軸線(19)上で
   相対して排便室(2)に開口し、吸込管(20)によりポンプ
   (21)の吸込口に排便タンク(23)を介して連通し、既記乾
   燥筒(15)と洗浄筒(16)はそれぞれ自身の軸線(19)方向に
   摺動自在かつその軸線(19)の周りに回動自在に該本体
   (1)に支持されて各先端部の噴出口(25,27)が排便室(2)
   に進出でき、 既記洗浄口(18)はきんかくし(4)の上部に内面へ向けて
   開口しており、 既記圧力気体の送出口(13)及び乾燥筒(15)はポンプ(21)
   の圧力気体の吐出口(30)に続く送気管(31)に遮断自在に
   連通しており、 既記洗浄筒(16)及び洗浄口(18)は圧力液体の給液管(32)
   に連通しており、 この給液管(32)は前記送気管(31)に既記圧力気体の送出
   口(13)の手前で連通していることを特徴とする押送兼吸
   引型排便装置。
2. 【請求項２】 該尿溜め(8)の閉止弁(11)の閉止傾向が
   自重又は自重及び付勢手段(12)によって与えられている
   請求項１に記載の押送兼吸引型排便装置。
3. 【請求項３】 既記きんかくし(4)は上部に上面に向け
   て開口する送気口(17)を有し、この送気口(17)は既記ポ
   ンプ(21)の圧力気体の吐出口(30)に続く既記送気管(31)
   に遮断自在に連通している請求項１に記載の押送兼吸引
   型排便装置。