JPH0750523A - 恒温制御水晶発振器 - Google Patents

恒温制御水晶発振器

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JPH0750523A
JPH0750523A JP7305192A JP7305192A JPH0750523A JP H0750523 A JPH0750523 A JP H0750523A JP 7305192 A JP7305192 A JP 7305192A JP 7305192 A JP7305192 A JP 7305192A JP H0750523 A JPH0750523 A JP H0750523A
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Haruo Shiki
春男 鋪
Nobuyuki Kanazawa
延幸 金沢
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Nihon Dempa Kogyo Co Ltd
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NIPPON DENKI MUSEN DENSHI KK
Nihon Dempa Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 OCXO型発振器の恒温槽の外気温の変化に
対する発振周波数の安定性を高める一方で、立ち上がり
時間が短く、しかも小型化及び低消費電力化を可能にす
る。 【構成】 水晶振動子や発振回路等を構成するケース
3,プリント板4,5等を内装したケーシングを構成す
る基台2と蓋1とを金属で形成するとともに内部を気密
構造とする。かつケーシングの外壁に薄い断熱材13を
部分的かつ分散して貼り付け、この薄い断熱材13によ
りケーシングの等価熱伝達抵抗を調整可能とし、熱容量
を小さくして小型化を図り、ヒータ巻線31により消費
電力を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水晶振動子を恒温槽に入
れて発振周波数の安定性を図ったOCXO方式の水晶発
振器に関し、特にその恒温槽の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水晶発振器としてTCXO型発振
器が提案されている。このTCXO型発振器は、水晶発
振器の発振周波数の温度特性をプロブラマブルキャパシ
タと温度センサとの組合せ回路で補償するものである。
しかしながら、水晶振動子の長期経時変化等によって発
振周波数が変化したときに、発振周波数を回路の調整で
修正すると、必要とする温度補償特性自体が動いてしま
うという基本的な問題があり、長期安定度を要求される
ものには適さない。
【0003】このため、水晶振動子を恒温槽に入れて、
水晶振動子自体の温度補償の必要性をなくした、いわゆ
るOCXO方式が専ら用いられている。このOCXO型
の発振器の一例を図2に示す。Qの高い水晶振動子(図
示せず)はケース3内に収納されており、リード線34
によりプリント板4に支持される。このケース3には、
発熱体としてのヒータ巻線31が巻き付けられ、かつケ
ース3にはこのヒータ巻線31に電力を供給する制御ト
ランジスタ32を支持している。更に、ケース3には白
金線等の温度センサ33が取着される。
【0004】前記プリント板4にはLCR構成の発振回
路41が設けられ、4本の熱絶縁スタッド42でプリン
ト板5に支持される。プリント板5には外部から供給さ
れる電源の電圧安定回路や、温度センサ33の出力電圧
で制御トランジスタ32を制御するためのヒータ電力制
御回路51等が設けられ、5本のスタッド52により基
台2に支持される。この基台2にはガラス等の絶縁体を
介して支持された貫通端子21が設けられ、この貫通端
子21を通して電源の供給や発振器の出力が取り出され
る。又、基台2には金属やプラスチック等の蓋1が被せ
られ、ネジ12で基台2に取着される。この場合、蓋1
と基台2とを嵌合させ、或いは部分的に半田付けを行う
こともある。
【0005】更に、前記蓋1の内側には、石綿やウレタ
ン等のような熱絶縁体11を貼り付けており、外部との
間の遮熱効果を得ている。したがって、このOCXO型
発振器では、水晶振動子はケース3においてヒータ巻線
31により所要温度に保持され、かつ基台2と蓋1との
ケーシングによって外気温の影響が抑制され、恒温状態
を保って周波数の安定化が図られることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のOC
XO型発振器を屋外無線機等に使用する場合、外気温の
急激な変化(サーマルショック)に対して周波数変動を
微小とする発振器として構成する必要があり、このため
には恒温槽の熱容量の大きなものが望ましいと考えられ
ている。しかしながら、熱容量が大きいと、電源投入か
ら周波数が安定するまでの、所謂立ち上がり時間が長く
なるという問題がある。又、熱容量が大きいと、内部を
恒温状態に保持するための消費電力が大きくなり、かつ
外形も大型化するという問題もある。本発明の目的は、
サーマルショックを緩和する一方で、小型化及び低消費
電力化を可能にしたOCXO型発振器の恒温槽を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、水晶振動子や
発振回路等を内装したケーシングを構成する基台と蓋と
を金属で形成するとともに内部を気密構造とし、かつケ
ーシングの外壁に薄い断熱材を部分的かつ分散して貼り
付け、この薄い断熱材によりケーシングの等価熱伝達抵
抗を調整可能とする。
【0008】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。図1は本発明の一実施例の断面図であり、図2に示
した従来構成と同一部分には同一符号を付してある。こ
こでは、ケーシングを構成する基台2と蓋1をそれぞれ
金属で構成し、蓋1と基台2との接触部分を半田等で接
合してケーシング内を気密に構成する。又、蓋3の内面
には従来のような熱絶縁体は設けてはおらず、ケーシン
グ内部における気体の対流がスムーズに行えるようにす
る。その代わりに、蓋1の外面には薄い断熱材からなる
断熱シート13を貼り付けている。この断熱シート13
は任意の寸法で、任意の箇所に部分的にかつ分散して貼
り付ける。
【0009】このような構成のOCXO用恒温槽による
恒温効果を説明する。先ず、本発明者は恒温槽における
熱伝達光学及び熱/電気回路の類推、及び実験を通じて
解析を行った。(表1)は各種素材の熱容量算出に用い
た物性例である。
【表1】
【0010】恒温槽のケースがプラスチックの場合に
は、周囲の電子回路の発熱の影響を不均等に受けてお
り、又ケーシングの基台と蓋との間に隙間が生じている
ものは蓋と基台との間に温度差が観察された。そこで、
基台と蓋とを金属で構成し、かつ蓋と基台との間を気密
にすることで、温度差を極めて小さいものにすることが
できた。又、金属の熱容量(=比熱×質量)は、強度を
考察するとプラスチックより小さいことが判明した。
【0011】一方、空気等の気体の熱容量は固体材料に
比べて2桁も小さく無視できる上、熱拡散速度が速いの
で理想的な熱抵抗体であり、恒温層内に自然対流が起き
る結果、気体と金属壁との間の熱伝達率は10〜20W
-2-1と推定できた。又、気密を行わない恒温槽は、
高度の高い山岳では気圧が下がると熱伝達率が下がり、
電源投入時の立ち上がり特性が遅くなるので、気密とす
ることが好ましいし、耐熱性の向上にも寄与する。
【0012】熱伝達のもう一つの要素にヒータ巻線から
の熱放射がある。ヒータ巻線を黒体と見做し最高温度を
70℃としたときの等価熱抵抗は、およそ1250cm2 KW
-1となる。発熱電力を定電流に、温度を電圧に、熱伝達
抵抗を抵抗に、熱容量を容量にそれぞれ類推して前記考
察を取り込んで得た等価回路が図3である。ここで、V
aは周囲温度を電圧ボルトで表し、Vsは水晶振動子収
納ケース3の最大設定温度をボルトで表したものであ
る。又、IS ,I4 ,IH Hそれぞれプリント板5,プ
リント板4,ケース3の各部で発生する熱エネルギワッ
トをアンペアと読み替えたものである。C3 ,C4 ,C
2 ,C1 はそれぞれ水晶振動子収納ケース3の部分の熱
容量、プリント板4及び発振回路41のもつ熱容量、水
晶振動子自体の熱容量、ケーシングの蓋1,基台2及び
プリント板5と制御回路51が全部有する等価熱容量を
ファラッドで表している。これらの熱容量は堆積に比例
するから、寸法が半分になれば熱容量は1/4〜1/8
に小さくできる。
【0013】又、r1aは蓋1や基台2の外壁からの等価
熱電圧抵抗、r10,r30,r40はそれぞれケーシング内
部の気体と蓋1と基台2の内壁及びプリント板5の表面
の金属部分との間で生ずる等価熱伝達抵抗,ケーシング
内部の気体と水晶振動子収納ケース3との間の等価熱伝
達抵抗,ケーシング内部の気体とプリント板4の表面の
金属部分との間の等価熱伝達抵抗をそれぞれオームで表
している。r2Xとr3Xは水晶振動子収納ケース3の内部
の気体と水晶振動子との間や収納ケース3の内壁との間
で生ずる等価熱伝達抵抗を表している。これらの等価熱
伝達抵抗は気体と接する金属の表面積に逆比例するか
ら、寸法が半分になれば等価熱抵抗はおよそ4倍にな
る。
【0014】したがって、恒温槽全体の寸法を小さくす
ると、熱容量が小さくなって所要消費電力を小さくする
ことができる。又、電源投入時の立ち上がり時間特性は
熱容量×等価熱伝達抵抗に比例することから、立ち上が
り時間特性を短くすることができる。尚、図3の等価回
路の導出に際しては、プリント板5は基台2と同一温度
を見做すため、スタッド52は金属で構成される。又、
ガラスで絶縁した貫通端子21と基台2は同一温度であ
ると見做している。図4は図3を簡略化した等価回路で
あり、実験結果を折り込んだものである。
【0015】図5は周囲温度をパラメータとした消費電
力の立ち上がり特性を示すもので、横軸は電源投入後の
経過時間、縦軸は消費電力である。この消費電力の立ち
上がり特性は、図4の等価回路でほぼ説明できる。尚、
発振回路41を設けたプリント板4は外部周囲温度の変
化の影響をかなり受けるが、バラクタダイオードを用い
た温度補正回路で比較的容易に発振周波数に及ぼす影響
を軽減することができる。
【0016】図2に示した従来構成では、ケーシング内
に設けた断熱材11の形状寸法や取付位置によりヒータ
の消費電力を管理していたが、断熱材11の存在によっ
て対流の速度低下やむらが生じ、プリント板4の温度分
布のむらが大きくなるから、結果として温度補正が不適
切となったり、発振周波数のゆらぎを引き起こすことと
なる。このため、ケーシングの内壁の温度が一様で、対
流の邪魔や乱流を引き起こすような物体を置かないこと
が望まれる。したがって、本発明では、ケーシングの蓋
1の外壁に、熱容量を増やさずに等価熱伝達抵抗を大き
くするための手段として断熱シート13を分散して貼り
付けている。これにより、図3の等価熱伝達抵抗r
1aを、図4において24Ωから48Ωと大きめの値にで
き、ヒータ巻線31等による消費電力の制御が可能とな
る。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、ケーシン
グを構成する基台と蓋とを金属で形成するとともに内部
を気密構造とし、かつケーシングの外壁に薄い断熱材を
部分的かつ分散して貼り付け、この薄い断熱材によりケ
ーシングの等価熱伝達抵抗を調整可能としているので、
温度変化が厳しい屋外環境においても、作動後の立ち上
がり時間が短く、しかも周波数安定度が良好で、低消費
電力及び小型のOCXO型発振器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるOCXO型発振器の断面図であ
る。
【図2】従来のOCXO型発振器の断面図である。
【図3】本発明の恒温槽の等価熱伝達の等価回路図であ
る。
【図4】図3を簡略した具体例の等価回路図である。
【図5】消費電力の立ち上がり特性図である。
【符号の説明】
1 蓋 2 基台 3 水晶振動子収納ケース 4,5 プリント板 13 断熱シート
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年4月10日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 恒温制御水晶発振器
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水晶振動子を恒温槽に入
れて発振周波数の安定性を図った恒温制御水晶発振器
関し、特にその恒温槽の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高安定水晶発振器としてディジタ
ル周波数温度補償水晶発振器(DTCXO)が提案され
ている。このDTCXOには、例えば水晶発振器の発振
周波数の温度特性をプロブラマブルキャパシタと温度セ
ンサとの組合せ回路で補償するものがある。しかしなが
ら、発振回路の部品や水晶振動子が長期経時変化等によ
って発振周波数が変化した場合、発振回路を再調整して
発振周波数を修正したとすると、必要とする温度補償特
性も変化してしまい再現しなくなるという問題があり、
長期安定度を保証することはできなかった。
【0003】このため、水晶振動子等を恒温槽内に収納
して、水晶振動子が安定して動作する高温度点に恒温槽
の動作温度を設定することにより、発振回路自体による
周波数温度補償制御の必要性をなくした、いわゆる恒温
制御水晶発振器が専ら利用されている。この恒温制御発
振器の一例を図2に示す。品質係数(Q)の高い水晶振
動子(図示せず)はケース3内に収納されており、リー
ド線34によりプリント板4に支持される。このケース
3には、発熱体としてのヒータ巻線31が巻き付けら
れ、かつケース3にはこのヒータ巻線31に電力を供給
する制御トランジスタ32を支持している。更に、ケー
ス3には白金線等の温度センサ33が取着される。
【0004】前記プリント板4にはLCR構成の発振回
路41が設けられ、4本の熱絶縁スタッド42でプリン
ト板5に支持される。プリント板5には外部から供給さ
れる電源の電圧安定回路や、温度センサ33の出力電圧
で制御トランジスタ32を制御するためのヒータ電力制
御回路51等が設けられ、本のスタッド52により基
台2に支持される。この基台2にはガラス等の絶縁体を
介して支持された貫通端子21が設けられ、この貫通端
子21を通して電源の供給や発振器の出力が取り出され
る。又、基台2には金属やプラスチック等の蓋1が被せ
られ、ネジ12で基台2に取着される。この場合、蓋1
と基台2とを嵌合させ、或いは部分的に半田付けを行う
こともある。
【0005】更に、前記蓋1の内側には、石綿やウレタ
ン等のような熱絶縁体11を貼り付けており、外部との
間の遮熱効果を得ている。したがって、この恒温制御水
発振器では、水晶振動子はケース3においてヒータ巻
線31により所要温度に保持され、かつ基台2と蓋1と
のケーシングによって外気温の影響が抑制され、恒温状
態を保って周波数の安定化が図られることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の恒温
制御水晶発振器を屋外無線機等に使用する場合、外気温
の急激な変化(サーマルショック)に対して周波数変動
を微小とする発振器として構成する必要があり、このた
めには恒温槽の熱容量の大きなものが望ましいと考えら
れている。しかしながら、熱容量が大きいと、電源投入
から周波数が安定するまでの、所謂立ち上がり時間が長
くなるという問題がある。又、熱容量が大きいと、内部
を恒温状態に保持するための消費電力が大きくなり、か
つ外形も大型化するという問題もある。本発明の目的
は、サーマルショックを緩和する一方で、小型化及び低
消費電力化を可能にした恒制御水晶発振器を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、恒温槽のケー
シング内に水晶振動子と発振回路と温度制御回路と発熱
体と温度センサとを装備してなる恒温制御水晶発振器に
おいて、ケーシングは金属製基台と金属製蓋からなる気
密構造とし、かつ該蓋面上に箔状の断熱材を部分的かつ
分散して貼り付けることにより、該ケーシングの内部と
外部の間を伝達する熱量に対する熱伝達抵抗を調整可能
とする。
【0008】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。図1は本発明の一実施例の断面図であり、図2に示
した従来構成と同一部分には同一符号を付してある。こ
こでは、ケーシングを構成する基台2と蓋1をそれぞれ
金属で構成し、蓋1と基台2との接触部分を半田等で接
合してケーシング内を気密に構成する。又、蓋3の内面
には従来のような熱絶縁体は設けてはおらず、ケーシン
グ内部における気体の対流がスムーズに行えるようにす
る。その代わりに、蓋1の外面には薄い断熱材からなる
断熱シート13を貼り付けている。この断熱シート13
は任意の寸法で、任意の箇所に部分的にかつ分散して貼
り付ける。
【0009】このような構成の恒温制御水晶発振器の
温槽による恒温効果を説明する。先ず、本発明者は恒温
槽における熱伝達工学及び熱/電気回路の類推、及び実
験を通じて解析を行った。(表1)は各種素材の熱容量
算出に用いた物性例である。
【表1】
【0010】恒温槽のケースがプラスチックの場合に
は、周囲の電子回路の発熱の影響を不均等に受けてお
り、又ケーシングの基台と蓋との間に隙間が生じている
ものは蓋と基台との間に温度差が観察された。そこで、
基台と蓋とを金属で構成し、かつ蓋と基台との間を気密
にすることで、温度差を極めて小さいものにすることが
できた。又、金属の熱容量(=比熱×質量)は、強度を
考察するとプラスチックより小さいことが判明した。
【0011】一方、空気等の気体の熱容量は固体材料に
比べて2桁も小さく無視できる上、熱拡散速度が速いの
で理想的な熱抵抗体であり、恒温層内に自然対流が起き
る結果、気体と金属壁との間の熱伝達率は10〜20W
-2-1と推定できた。又、気密を行わない恒温槽は、
高度の高い山岳では気圧が下がると熱伝達率が下がり、
電源投入時の立ち上がり特性が遅くなるので、気密とす
ることが好ましいし、耐濕性の向上にも寄与する。
【0012】熱伝達のもう一つの要素にヒータ巻線から
の熱放射がある。ヒータ巻線を黒体と見做し最高温度を
75℃としたときの等価熱抵抗は、およそ1250cm2 KW
-1となる。発熱電力を定電流に、温度を電圧に、熱伝達
抵抗を抵抗に、熱容量を容量にそれぞれ類推して前記考
察を取り込んで得た等価回路が図3である。ここで、V
aは周囲温度を電圧ボルトで表し、Vsは水晶振動子収
納ケース3の最大設定温度をボルトで表したものであ
る。又、IS ,I4 ,IH Hそれぞれプリント板5,プ
リント板4,ケース3の各部で発生する熱エネルギワッ
トをアンペアと読み替えたものである。C3 ,C4 ,C
2 ,C1 はそれぞれ水晶振動子収納ケース3の部分の熱
容量、プリント板4及び発振回路41のもつ熱容量、水
晶振動子自体の熱容量、ケーシングの蓋1,基台2及び
プリント板5と制御回路51が全部有する等価熱容量を
ファラッドで表している。これらの熱容量は体積に比例
するから、寸法が半分になれば熱容量は1/4〜1/8
に小さくできる。
【0013】又、r1aは蓋1や基台2の外壁からの等価
伝達抵抗、r10,r30,r40はそれぞれケーシング内
部の気体と蓋1と基台2の内壁及びプリント板5の表面
の金属部分との間で生ずる等価熱伝達抵抗,ケーシング
内部の気体と水晶振動子収納ケース3との間の等価熱伝
達抵抗,ケーシング内部の気体とプリント板4の表面の
金属部分との間の等価熱伝達抵抗をそれぞれオームで表
している。r2Xとr3Xは水晶振動子収納ケース3の内部
の気体と水晶振動子との間や収納ケース3の内壁との間
で生ずる等価熱伝達抵抗を表している。これらの等価熱
伝達抵抗は気体と接する金属の表面積に逆比例するか
ら、寸法が半分になれば等価熱抵抗はおよそ4倍にな
る。
【0014】したがって、恒温槽全体の寸法を小さくす
ると、熱容量が小さくなって所要消費電力を小さくする
ことができる。又、電源投入時の立ち上がり時間特性は
熱容量×等価熱伝達抵抗に比例することから、立ち上が
り時間特性を短くすることができる。尚、図3の等価回
路の導出に際しては、プリント板5は基台2と同一温度
を見做すため、スタッド52は金属で構成される。又、
ガラスで絶縁した貫通端子21と基台2は同一温度であ
ると見做している。図4は図3を簡略化した等価回路で
あり、実験結果を折り込んだものである。
【0015】図5は周囲温度をパラメータとした消費電
力の立ち上がり特性を示すもので、横軸は電源投入後の
経過時間、縦軸は消費電力である。この消費電力の立ち
上がり特性は、図4の等価回路でほぼ説明できる。尚、
発振回路41を設けたプリント板4は外部周囲温度の変
化の影響を多少受けるが、バラクタダイオードを用いた
温度補正回路で比較的容易に発振周波数に及ぼす影響を
軽減することができる。
【0016】図2に示した従来構成では、ケーシング内
に設けた断熱材11の形状寸法や取付位置によりヒータ
の消費電力を管理していたが、断熱材11の存在によっ
て対流の速度低下やむらが生じ、プリント板4の温度分
布のむらが大きくなるから、結果として温度補正が不適
切となったり、発振周波数のゆらぎを引き起こすことと
なる。このため、ケーシングの内壁の温度が一様で、対
流の邪魔や乱流を引き起こすような物体を置かないこと
が望まれる。したがって、本発明では、ケーシングの蓋
1の外壁に、熱容量を増やさずに等価熱伝達抵抗を大き
くするための手段として断熱シート13を分散して貼り
付けている。これにより、図3の等価熱伝達抵抗r
1aを、図4において24Ωから48Ωと大きめの値にで
き、ヒータ巻線31等による消費電力の制御が可能とな
る。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、ケーシン
グを金属製基台と金属製蓋とを気密構造とし、かつ該蓋
面上に箔状の断熱材を部分的かつ分散して貼り付け、こ
の薄い断熱材によりケーシングの内部と外部の間を伝達
する熱量に対する熱伝達抵抗を調整可能としているの
で、温度変化が厳しい屋外環境においても、作動後の立
ち上がり時間が短く、しかも周波数安定度が良好で、低
消費電力及び小型の恒温制御水晶発振器を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の恒温制御水晶発振器の断面図である。
【図2】従来の恒温制御水晶発振器の断面図である。
【図3】本発明にかかる恒温槽の等価熱伝達の等価回路
図である。
【図4】図3を簡略した具体例の等価回路図である。
【図5】消費電力の立ち上がり特性図である。
【符号の説明】 1 蓋 2 基台 3 水晶振動子収納ケース 4,5 プリント板 13 断熱シート

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング内に水晶振動子や発振回路等
    を内装したOCXO型発振器において、前記ケーシング
    を構成する基台と蓋とを金属で形成するとともに内部を
    気密構造とし、かつケーシングの外壁に薄い断熱材を部
    分的かつ分散して貼り付け、この薄い断熱材によりケー
    シングの等価熱伝達抵抗を調整可能としたことを特徴と
    するOCXO用恒温槽。
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Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6433309B2 (en) * 2000-03-02 2002-08-13 Nihon Dempa Kogyo Co., Ltd. Oscillator that uses thermostatic oven
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