JPH075023B2 - 窓ガラス案内装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、窓ガラス案内装置、特に自動車のドアの昇降
式窓ガラスの移動を案内する装置に関する。

〔従来の技術〕

ハードトップ型自動車のドアには、ドア上方にガラスサ
ッシがないため、ドア内において、窓ガラスの昇降を案
内し、窓ガラスが前後、左右に傾倒したり、がたが生じ
たりしないようにしなければならない。

このような従来の窓ガラス案内装置としては、ドア内に
固着された上下方向を向くガイドレールに沿って、窓ガ
ラスに固着した硬質合成樹脂製のガイドシューが摺動す
るようにしたもの（特開昭50−519号公報参照）、ガイ
ドレールの構内を、窓ガラスを支持するキャリヤプレー
トに軸着された硬質合成樹脂製のローラが転動するよう
にしたもの、及び上記樹脂製のローラに代えて金属製の
ローラを用いたもの等がある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上述のガイドシューを用いるものにおいては、ガイドレ
ールに対するガイドシューの摺動抵抗が大で、窓ガラス
の昇降時に必要とする操作力が大となったり、スティッ
ク現象が生じやすい等の問題点がある。

樹脂製のローラを用いたものでは、ローラがガイドレー
ルの溝内において遊動し、窓ガラスの昇降時に窓ガラス
ががたついたり、大衝撃を受けた場合、ローラが破損し
やすい等の問題点がある。

また、金属製のローラを用いたものは、丈夫である程度
円滑な動きはするものの、窓ガラスの昇降時に金属的な
摩擦音が発生し、不快であったり、錆が発生するおそれ
があり、さらに高価である等の問題点がある。

本発明は、上述のような問題点を解決した窓ガラス案内
装置を提供することを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、基片の両側縁に同一方向を向く１対の第１及
び第２側片が連設されたガイドレールに沿って、窓ガラ
スに止着されたキャリヤプレートを走行自在に案内する
窓ガラス案内装置であって、前記キャリヤプレートに、
前記ガイドレールの第１側片の内面に沿って転動する１
対の樹脂製ローラをそれぞれ軸着するとともに、前記ガ
イドレールの第２側片の内面に沿って転動する金属製ロ
ーラを、前記両樹脂製ローラ間において、前記第２側片
の内面と直行する方向に移動可能にキャリヤプレートに
支持された軸に枢着し、かつ該金属製ローラの軸を、前
記第２側片の内面に向けて付勢する付勢手段を設けたこ
とを特徴としている。

〔作用〕

本発明においては、付勢手段により、金属製ローラはガ
イドレールの第２側片の内面に押圧され、その反力が２
分されて、そのそれぞれが、各樹脂製ローラをガイドレ
ールの第１側片の内面に押圧する力として作用する。

この状態で、昇降装置により、窓ガラスが昇降させられ
ると、金属製ローラはガイドレールの第２側片の内面に
沿って、また各樹脂製ローラは第１側片の内面に沿っ
て、それぞれ押圧された状態で転動し、窓ガラスの昇降
を円滑に案内する。

〔実 施 例〕

以下、本発明を、添付図面に示す実施例に基づいて説明
する。

（１）（２）（３）は、自動車のドアのインナーパネル
（図示略）における上部、中位部及び下部にそれぞれ固
着された支持板で、それらの後端（第１図の左方が自動
車の前部で、以下前後をいうときは、第１図の左方が
前、右方が後である。）及び前端には、後上方に向けて
若干傾斜するガイドレール（４）（５）がそれぞれ固着
されている。

第３図及び第４図に示すように、ガイドレール（４）
は、各支持板（１）（２）（３）の後端に固着された板
状の基片（６）と、この基片（６）の車外側の側縁に連
設された後方を向く第１側片（７）と、基片（６）の車
内側の側縁に連設された後方を向く第２側片（８）とか
らなり、横断面形状が後方に向かって開口するほぼコ字
状をなしている。

また、ガイドレール（４）は、窓ガラス（11）の曲率に
合わせて、全体が前方より見て車外側に膨出するように
ゆるやかに湾曲している。

第１側片（７）の前後方向の中間部は、車外側に向け
て、山形に膨出し、その内面には、互いにＶ字状をなす
挾面（7a）（7b）が形成されている。

前部のガイドレール（５）の横断面形状は、ガイドレー
ル（４）の横断面形状と前後対称形の前向きコ字状をな
している。

各ガイドレール（４）（５）には、キャリヤプレート
（９）（10）が、以下に説明するようにしてそれぞれ走
行自在に装着されており、各キャリヤプレート（９）
（10）に、窓ガラス（11）を、適宜のボルト（12）をも
って止着することにより、窓ガラス（11）と各キャリヤ
プレート（９）（10）とは互いに一体となって、両ガイ
ドレール（４）（５）に沿って上下動可能となってい
る。

なお、ガイドレール（５）とキャリヤプレート（10）と
の関係は、ガイドレール（４）とキャリヤプレート
（９）との関係と、配置関係が前後対称形となっている
だけで、構造そのものは実質的に同一であるので、その
説明は省略する。

キャリヤプレート（９）は、ガイドレール（４）の基片
（６）と平行な板状の基部（9a）と、その車外側の側縁
より後方に向けて折曲形成された窓ガラス取付部（9b）
とからなっている。

基部（9a）の上下部には、ガイドレール（４）の第１側
片（７）における両挾面（7a）（7b）に接しながら転動
するようにした１対の樹脂製ローラ（13）（14）が、基
部（9a）と直角をなす軸（15）（16）をもってそれぞれ
軸着されている。

樹脂製ローラ（13）（14）は、例えばアセタール樹脂等
のように、適度の弾性を有する硬質合成樹脂よりなって
いる。

（17）は、軸（15）（16）の前端部同士を連結する連結
板である。

基部（9a）の中位部には、回動レバー（18）の下部が、
軸（15）（16）と平行な軸（19）をもって枢着されてお
り、この回動レバー（18）における軸（19）より若干上
方に偏心した位置には、軸（19）と平行な大径の軸（2
0）が形成されている。

なおこの実施例においては、軸（20）の後端面における
偏心位置に軸（19）を連設し、かつ軸（20）の前端面に
おける偏心位置に、軸（19）の軸線の延長線上に位置す
る軸（21）を連設して、軸（19）（20）（21）によりク
ランク軸を形成し、軸（19）を回動レバー（18）に貫設
して、回動レバー（18）を軸（20）の後端面に固着し、
かつ軸（19）の後端部を基部（9a）に、また軸（21）を
連結板（17）にそれぞれ回転自在に支承させている。

軸（20）の中間には、ガイドレール（４）の第２側片
（８）の内面に沿って転動するようにした鉄等の金属製
ローラ（22）が枢支されている。

この実施例においては、金属製ローラ（22）は、軸（2
0）に外嵌したボールベアリング（23）における外レー
ス（24）により形成してある。

（25）は、ボールベアリング（23）における内レース、
（26）は、同じくボール、（27）は、ボールベアリング
（23）の軸（20）の軸線方向への移動を阻止するための
カラーである。

（28）は、軸（15）と軸（19）（21）との間において、
それらと平行となるように前後の端部が連結板（17）及
び基部（9a）にそれぞれ固着されたピンで、このピン
（28）には、金属製ローラ（22）の軸（20）を第２側片
（８）の内面に向けて付勢するための巻きばね（29）が
巻回されている。

巻きばね（29）の一方の延出端部（29a）は、回動レバ
ー（18）の上端部に、また同じく他方の延出端部（29
b）は、連結板（17）に形成された後方を向く突片（3
0）にそれぞれ係止されている。

この巻きばね（29）により、回動レバー（18）は軸（1
9）（21）を中心として第２図における反時計方向に付
勢され、このとき回動レバー（18）がてことなって、軸
（20）が第２側片（８）側に向けて付勢され、金属製ロ
ーラ（22）を第２側片（８）の内面に押圧する。

このときの第２側片（８）の内面に対する金属製ローラ
（22）の押圧力の反力が２分されて、そのそれぞれが、
各樹脂製ローラ（13）（14）を第１側片（７）の内面に
押圧する力として作用する。

その他の構成は本発明に直接関係しないので、簡単に説
明する。

（31）（32）は、キャリヤプレート（９）より前方に向
けて延出する上下１対の延出部材で、上方の延出部材
（31）の前端分下縁には、上昇用ワイヤ（33）の一方の
端末に止着されたワイヤエンド部材（34）が、また下方
の延出部材（32）の前端部上縁には、下降用ワイヤ（3
5）の一方の端末に止着されたワイヤエンド部材（36）
がそれぞれ係止されている。

上昇用ワイヤ（33）は、延出部材（31）の前端部よりガ
イドレール（４）と平行に上方に延出し、上部の支持板
（１）に軸（37）をもって枢支されたガイドプーリ（3
8）の上半部をまわった後、前下方に延出し、中位部の
支持板（２）の前部に軸（39）をもって枢支された巻取
りドラム（40）に巻回された後、他方の端末が巻取りド
ラム（40）の外周に止着されている。

下降用ワイヤ（35）は、延出部材（32）の前端部よりガ
イドレール（４）と平行に下方に延出し、下部の支持板
（３）に軸（41）をもって枢支されたガイドプーリ（4
2）の下半部をまわった後、前上方に延出し、上記巻取
りドラム（40）に、上昇用ワイヤ（33）の巻き方向と反
対方向に巻回された後、他方の端末が巻取りドラム（4
0）の外周に止着されている。

（43）は、両延出部材（31）（32）の前端部同士を上下
に連結する連結部材（44）に突設されたピン（45）に巻
回され、一端がワイヤエンド部材（34）に、また他端が
ワイヤエンド部材（36）にそれぞれ係止されて、上昇用
ワイヤ（33）又は下降用ワイヤ（35）のいずれかに伸び
による弛みが生じた場合に、その弛みを吸収するように
した巻きばねである。

（46）は、支持板（２）に設けられた正逆回転可能なモ
ータで、このモータ（46）を、正転させることにより、
適宜の減速機（47）を介して、巻取りドラム（40）を第
１図における反時計方向に回転させ、上昇用ワイヤ（3
3）を巻取り、かつ下降用ワイヤ（35）を同一量だけ解
きほぐして、両ワイヤ（33）（35）を第１図の矢示方向
に向けて回送させ、キャリヤプレート（９）を引き上
げ、このキャリヤプレート（９）と窓ガラス（11）とキ
ャリヤプレート（10）とを一体となって、ガイドレール
（４）（５）に沿って上昇させることができる。

モータ（46）を逆転させることにより、減速機（47）を
介して、巻取りドラム（40）を第１図における時計方向
に回転させ、下降用ワイヤ（35）を巻取り、かつ上昇用
ワイヤ（33）を同一量だけ解きほぐして、両ワイヤ（3
3）（35）を、上述の場合と逆方向に回走させ、キャリ
ヤプレート（９）を引き下げ、このキャリヤプレート
（９）と窓ガラス（11）とキャリヤプレート（10）とを
一体となって、ガイドレール（４）（５）に沿って下降
させることができる。

このキャリヤプレート（９）の昇降時に、金属製ローラ
（22）は第２側片（８）の内面に圧接された状態で転動
し、また両樹脂製ローラ（13）（14）は、第１側片
（７）の内面における両挾面（7a）（7b）に圧接された
状態で転動し、窓ガラス（11）の昇降を円滑に案内す
る。

第１側片（７）と第２側片（８）との間隔に若干の狂い
がある場合、巻きばね（29）の付勢力により、金属製ロ
ーラ（22）が第２側片（８）側に向けて押し出された
り、又はその逆に押し込まれたりすることにより、上記
狂いを吸収するので、キャリヤプレート（９）はスティ
ック現象を生じることなく、円滑に昇降することができ
る。

また、窓ガラス（11）の左右方向に衝撃荷重が掛った場
合、窓ガラス（11）とともにキャリヤプレート（９）
（キャリヤプレート（10）も同じ）がガイドレール
（４）（及びガイドレール（５））に対して左右方向に
わずかに傾動して、上記衝撃を吸収するという作用もあ
る。

なお、この実施例においては、回動レバー（18）による
てこの原理で、金属製ローラ（22）をキャリヤプレート
（９）から押し出すようにしているので、ばね定数の小
さな巻きばね（29）で、金属製ローラ（22）を大きな力
で押し出すことができるという利点がある。

窓ガラス（11）の前後方向のがたは、両樹脂製ローラ
（13）（14）が第１側片（７）におけるＶ字状の両挾面
（7a）（7b）に圧接していることにより防止される。

〔変 形 例〕

上述の実施例においては、金属製ローラ（22）の軸（2
0）を第２側片（８）の内面と直交する方向に移動し得
るようにキャリヤプレート（９）に支持させるため、キ
ャリヤプレート（９）に枢着した回動レバー（18）の偏
心位置に軸（20）を形成したが、例えば、キャリヤプレ
ート（９）の基部（9a）に、第２側片（８）の内面と直
交する、又は適宜の傾斜角度をなす長孔（図示略）を穿
設し、この長孔に金属製ローラ（22）の軸（20）を摺動
自在に嵌合し、この軸（20）を圧縮ばね等により、第２
側片（８）側に向けて付勢させるようにしてもよい。

〔発明の効果〕

本発明は、上述のような構成としてあるので、次のよう
な効果を奏することができる。

（ａ）２個の樹脂製ローラと１個の金属製ローラとがガ
イドレールの第１側片及び第２側片の各内面に沿って転
動するので、摺動抵抗がほとんどなく、軽力で窓ガラス
を昇降させることができる。

（ｂ）キャリヤプレートに対して、金属製ローラが出没
し得るので、第１側片と第２側片との間隔に若干の狂い
があっても、金属製ローラが出没することによりその狂
いを吸収することができ、スティック現象等を生じるお
それがない。

（ｃ）丈夫な金属製ローラが第２側片に押圧されるとき
の反力を２分して、金属製ローラより強度的に弱い２個
の樹脂製ローラで受けるようにしてあるので、強度的に
すぐれているとともに、すべてのローラを金属製とした
従来のもののように、窓ガラスの移動が硬い感じとなっ
たり、不快な金属音を発生したりするおそれが少ない。

すなわち、ガイドレールの第２側片には金属製ローラが
当るが、それと対向する第１側片には、適度の弾性を有
する２個の樹脂製ローラが当るので、第２側片と金属製
ローラとの金属的な硬い当り感を、第１側片と樹脂製ロ
ーラとの柔軟な当りで吸収できるので、窓ガラスの移動
感がソフトになり、かつ金属製ローラの転動時の金属音
もかなり吸収される。

（ｄ）各樹脂製ローラと金属製ローラとは、付勢手段に
より、ガイドレールの第１側片及び第２側片にそれぞれ
常時圧接されているので、各ローラがガイドレール内に
おいて遊動して、窓ガラスががたつくことはなく、また
窓ガラスに衝撃荷重が掛った場合、上述したように、キ
ャリヤプレートがガイドレールに対して弾性的に傾動す
ることにより、上記衝撃を吸収、緩和することができ、
破損のおそれが少ない。

（ｅ）錆のおそれは１個の金属製ローラだけであり、万
一この金属製ローラの転動面に錆が発生したとしても、
それによる弊害は２個の樹脂製ローラ側で吸収できるの
で、すべてのローラを金属製としたものより、長期にわ
たって窓ガラスを円滑に案内することができる。

（ｆ）高価な金属製ローラは１個しか使用しないので、
すべてのローラを金属製のものとする場合より安価に製
造できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例を示すもので、窓ガラス昇
降装置の全体の側面図、 第２図は、第１図のＡ−Ａ線に沿う拡大断面図、 第３図は、第２図のＢ−Ｂ線に沿う横断面図、 第４図は、第２図のＣ−Ｃ線に沿う横断面図、 第５図は、第２図のＤ−Ｄ線に沿う断面図である。 （１）（２）（３）支持板、（４）（５）ガイドレール （６）基片、（７）第１側片 （８）第２側片 （９）（10）キャリヤプレート （11）窓ガラス、（13）（14）樹脂製ローラ （15）（16）軸、（18）回動レバー （19）（20）（21）軸、（22）金属製ローラ （23）ボールベアリング、（29）巻きばね（付勢手段） （33）上昇用ワイヤ、（35）下降用ワイヤ （40）巻取りドラム、（46）モータ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鵜川 智 神奈川県横浜市神奈川区宝町２番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 大渕 哲 神奈川県横浜市神奈川区宝町２番地 日産 自動車株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】基片の両側縁に同一方向を向く１対の第１
   及び第２側片が連設されたガイドレールに沿って、窓ガ
   ラスに止着されたキャリヤプレートを走行自在に案内す
   る窓ガラス案内装置であって、前記キャリヤプレート
   に、前記ガイドレールの第１側片の内面に沿って転動す
   る１対の樹脂製ローラをそれぞれ軸着するとともに、前
   記ガイドレールの第２側片の内面に沿って転動する金属
   製ローラを、前記両樹脂製ローラ間において、前記第２
   側片の内面と直行する方向に移動可能にキャリヤプレー
   トに支持された軸に枢着し、かつ該金属製ローラの軸
   を、前記第２側片の内面に向けて付勢する付勢手段を設
   けたことを特徴とする窓ガラス案内装置。
2. 【請求項２】ガイドレールの第１側片の内面がＶ字状を
   なし、かつ該Ｖ字状の内面の両挾面に樹脂製ローラが接
   触しながら転動するようにした特許請求の範囲第（１）
   項に記載の窓ガラス案内装置。
3. 【請求項３】金属製ローラが、その軸に外嵌したボール
   ベアリングにおける外レースである特許請求の範囲第
   （１）項又は第（２）項に記載の窓ガラス案内装置。
4. 【請求項４】キャリヤプレートに枢着した回動レバーの
   偏心位置に、金属製ローラの軸を支承し、回動レバーの
   先端部とキャリヤプレートとの間に設けたばねにより、
   金属製ローラの軸をガイドレールの第２側片の内面側に
   向けて付勢させることにより、金属製ローラの軸を、ガ
   イドレールの第２側片の内面と直行する方向に移動可能
   に支持し、かつ前記ばねをもって、金属製ローラを付勢
   する付勢手段とした特許請求の範囲第（１）項乃至第
   （３）項のいずれかに記載の窓ガラス案内装置。