JPH0750111B2 - 疎水性物質の固定化用担体およびそれを用いた疎水性物質の固定化方法 - Google Patents

疎水性物質の固定化用担体およびそれを用いた疎水性物質の固定化方法

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JPH0750111B2
JPH0750111B2 JP63324055A JP32405588A JPH0750111B2 JP H0750111 B2 JPH0750111 B2 JP H0750111B2 JP 63324055 A JP63324055 A JP 63324055A JP 32405588 A JP32405588 A JP 32405588A JP H0750111 B2 JPH0750111 B2 JP H0750111B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,疎水性物質の固定化用担体およびそれを用い
た疎水性物質の固定化方法に関する。さらに詳しくは,
本発明は,界面活性剤のような疎水性相互作用を弱める
ような物質の存在下においても疎水性物質を効果的に固
定しうる固定化用担体およびそれを用いた疎水性物質の
固定化方法に関する。
(従来の技術) 抗原抗体反応を利用した生理活性物質の測定を目的とし
て担体上に抗原や抗体を固定化したり,酵素を担体上に
固定化して固定化酵素を調製することが行なれている。
このような物質の固定化は,一般に,疎水性相互作用を
利用して行なわれている。例えば,ラテックス,プラス
チックビーズ,プラスチックプレートなどの疎水性の担
体に,緩衝液中,生理食塩水中または精製水中で,固定
化しようとする物質を直接接触させることにより固定化
が達成される。しかし,上記従来の物理的な吸着による
直接固定化法では,疎水性相互作用のみを利用している
ため,吸着・固定化時の反応系中に界面活性剤などの疎
水性相互作用を弱める物質が含まれていると固定化がで
きない。そのため,この物理的な吸着による直接固定化
法は,抽出および/または安定化に界面活性剤を必要と
する膜タンパク,脂質などの疎水性物質の固定化には利
用できない。
固定化すべき物質を共有結合により固定化すればこの問
題は解決され得る。しかし,共有結合を導入するための
反応の制御が難しいうえ,場合によっては固定化した物
質の活性を著しく損なうことがある。
特許公表公報63−501902号には,ラテックスをポリカチ
オン性ポリアミノ酸(ポリリジンまたはポリアルギニ
ン)またはメチル化血清アルブミンで処理して物理的に
吸着または化学的に結合させた後,カルジオリピン(梅
毒抗体と特異的に反応する抗原作用を示すリン脂質)を
イオン的に吸着させることが開示されている。このよう
にして調製されたカルジオリピン結合ラテックスは,梅
毒の診断に用いられる。しかし,上記ポリリジンおよび
ポリアルギニンは親水性アミノ酸のホモポリマーであ
り,親水性を示す。そのため,ポリリジンまたはポリア
ルギニンで疎水性物質であるラテックス,プラスチック
ビーズ,プラスチックプレートなどを処理しても,これ
らのアミノ酸ホモポリマーを効果的に導入することがで
きない。また,リジンのε−アミノ基は1級アミノ基で
あり,pH11以上ではほとんど解離が抑えられて荷電を持
たなくなる。そのため,上記カルジオリピンのようにpH
11を下回るpH域で固定化し得る物質にはポリリジンを適
用できるが,pH11以上で固定化する必要のある生理活性
物質には適用できないというような制約がある。そのた
め,例えばタンパクなどその他の生理活性物質について
は,不適切な場合もある。さらに,上記ポリリジンおよ
びポリアルギニンはアミノ酸のポリマー,すなわちポリ
ペプチドであり,同じくポリペプチドであるタンパクを
吸着固定化するのには,これらの間の結合力が弱いため
適さない。加えて,上記ポリリジンは高価であるうえ,
生体に対して毒性を有するので,取扱いに注意を要す
る。
このように,上記従来の物質の固定化方法では,効率が
よくないために固定化に多量の生理活性物質を必要とす
る;単位面積当りに固定化できる生理活性物質の量が少
ない;広いpH領域での固定化できない;界面活性剤存在
下での固定化ができない;などの問題点があった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は上記従来の稼働を解決するものであり,その目
的とするところは,界面活性剤などの疎水性相互作用を
弱める作用を有する物質の存在下においても,生理活性
物質などの疎水性物質を固定化しうる固定化用担体を提
供することにある。
本発明の他の目的は,単なる物理吸着では固定化できな
かったり,固定化できたとしても十分な量ではないよう
な疎水性物質を効果的に固定化しうる固定化用担体を提
供することにある。
本発明のさらに他の目的は,上記優れた性質を有する固
定化用担体を用いて,生理活性物質などの疎水性物質を
効率よく固定化する方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明の疎水性物質の固定化用担体は,カチオン性の官
能基を有する化合物として4級アミノ基を有するポリア
ミンスルホンを吸着した不活性担体でなり,そのことに
より上記目的が達成される。
本発明の疎水性物質の固定化方法は,上記疎水性物質の
固定化用担体に疎水性物質を接触させて,該担体表面に
該疎水性物質を物理的に吸着させることを包含し,その
ことにより上記目的が達成される。
本発明に用いられる不活性担体としては,疎水性の表面
を有する,あるいは部分的に疎水性の表面を有する不活
性担体がいずれも利用され得る。例えば,ラテックス,
プラスチックビーズ,プラスチックプレートなどの合成
高分子化合物でなる材料,タンニン酸で処理した赤血球
などの有機材料;およびシリカなどの無機材料が挙げら
れる。特に,工業的に安定した品質で大量生産しうるラ
テックス;またはプラスチックビーズ,プラスチックプ
レートなどのプラスチック成形品が好適に使用される。
このような不活性担体に吸着させるカチオン性の官能基
を有する化合物のカチオン性の官能基には,カチオンと
して作用しうるpH範囲が広い4級アミノ基およびその塩
が使用される。このようなカチオン性の官能基を含む化
合物は,疎水性物質の固定化を妨害しない程度ならば,
一部アニオンを含んでいてもよい。
本発明で使用される4級アミノ基を有するポリアミンス
ルホンの疎水性部分は,アルキル基,アルキレン基,フ
ェニル基などから成る。該アルキル基およびアルキレン
基の炭素数は,1〜15個の範囲内にあるものが適当であ
る。これよりも大きな炭素数では,ポリマーが水に溶解
しにくくなり,担体を処理するのが困難となる。ポリマ
ーの分子量は1,000〜400,000が適当である。これよりも
小さい分子量では,担体との疎水性相互作用が十分では
なくなり,担体に効果的に吸着されない。400,000を上
回る分子量では,ポリマーの粘度が高くなってしまい,
担体を処理するのが困難となる。
本発明で使用される4級アミノ基を有するポリアミンス
ルホンとしては,特に,次の構造式(I)で示されるポ
リアミンスルホン(日東紡,PAS−A−5,平均分子量2,00
0〜5,000)が好適である: 本発明の担体に固定化されるべき物質は,疎水性の部分
を有し,かつ固定化条件下で負の電荷を有する物質であ
る。このような物質としては,タンパクなどの生理活性
物質,脂質などが挙げられる。特に,抽出,安定化など
のために界面活性剤を必要とする物質,例えば,ウィル
ス抗原,梅毒トレポネーマなどの菌体の表面抗原,細胞
膜上に存在する各種抗原,膜タンパク,リセプター,酵
素などは本発明の担体および方法により効果的に固定化
される。
上記菌体の表面抗原,膜タンパクなどの抽出や安定化の
ために用いられる界面活性剤としては,非イオン性,両
性およびカチオン性の界面活性剤が使用できるが,アニ
オン性の界面活性剤は適当ではない。非イオン性の界面
活性剤としては,例えば,トリトンX,ツイーン20,ツイ
ーン80,オクチルグルコシド,オクチルチオグルコシ
ド,ヘプチルチオグルコシド,MEGA−8(オクタノイル
−N−メチルグルカミド:Octanoyl−N−methylglucami
de),MEGA−9(ノナノイル−N−メチルグルカミド:No
nanoyl−N−methylglucamide),MEGA−10(デカノイル
−N−メチルグルカミド:Decanoyl−N−methylglucami
de)などが挙げられる。両性の界面活性剤としては,例
えば,CHAPS(3−〔(3−コラミドプロピル)ジメチル
アンモニオ〕−1−プロパンスルホネート:3−〔(3−
Cholamidopropyl)dimethylammonio〕−1−propanesul
fonate),CHAPSO(3−〔(3−コラミドプロピル)ジ
メチルアンモニオ〕−2−ヒドロキシ−1−プロパンス
ルホネート:3−〔(3−Cholamidopropyl)dimethylamm
onio〕−2−hydroxy−1−propane−sulfonate)など
が挙げられる。カチオン性の界面活性剤としては,ドデ
シルアミン(Dodecyl amine),ヘキサデシルトリメチ
ルアンモニウムブロマイド(Hexadecyl trimethyl ammo
nium bromide)などが挙げられる。
本発明方法による上記のような疎水性物質の担体への固
定化は,緩衝液,生理食塩水または精製水に疎水性物質
を溶解した溶液を固定化用担体に接触させることにより
行われる。このことにより疎水性物質はまず,イオン的
相互作用により担体表面のカチオン性官能基に引き寄せ
られ,次いで担体との疎水性相互作用により該担体表面
に固定化される。このときに使用される緩衝液として
は,当業者に公知のいずれの緩衝液も使用できるが,イ
オン強度が0.1Mを下回るものが望ましい。本発明方法は
疎水性物質の固定化の最初のステップとしてイオン的な
相互作用を利用しているので,イオン強度が高いと効果
が得られない。緩衝液のpHは,担体上のカチオンが解離
しており,固定化される物質が該緩衝液中で安定に存在
し得,かつ負に荷電するようなpHに調整される。本発明
においては,担体上のカチオンとして4級アミノ基を用
いており,その結果,どのpHにおいても担体上のカチオ
ンは解離しているので比較的広いpH範囲の緩衝液が使用
され得る。
本発明の担体および方法は,特にRIA,EIA,ラテックス法
などのための免疫診断試薬の調製に好適に利用される。
例えば,HBs抗原,HBc抗原,HBe抗原,梅毒抗原(トレポネ
ーマ抗原および脂質抗原),HIV抗原,ATLV抗原などの抗
原を適当な担体に固定した種々の免疫診断試薬を調製す
るのに利用できる。
本発明によりこのような免疫診断試薬を調製する場合
に,測定系の特異性を高めたり測定感度を上げたりする
ために,場合によっては塩化コリン,EDTA,糖類(多糖
類,デキストランなど),ポリエチレングリコールのよ
うな親水性ポリマーなどを反応系に添加することもでき
る。このようにして調製された免疫診断試薬は,疾病の
診断および治療のための臨床検査などの分野に広く利用
され得る。さらに,固定化酵素を調製し,これを用いて
特定の物質を生産する方法にも利用され得る。
(実施例) 本発明を以下の実施例につき説明する。
実施例1 [界面活性剤存在下における梅毒トレポネーマ抗原のプ
ラスチックプレートへの固定化] (A)試薬および検体の調製 以下の試薬および検体を調製して用いた。
リン酸緩衝液:リン酸一ナトリウム(2水和物),リン
酸二ナトリウム(2水和物)および塩化ナトリウムを,
リン酸および塩化ナトリウムの終濃度がそれぞれ0.02M
および0.15M,そしてpHが7.4となるように混合して調製
した。
リン酸−クエン酸緩衝液:0.2Mリン酸二ナトリウムと0.1
Mクエン酸とを混合し,pH5.5に調整した。
1%ポリアミンスルホン水溶液:ホリアミンスルホン
(日東紡,PAS−A−5,平均分子量2,000〜5,000)を水に
溶解して1%水溶液とした。このポリアミンスルホンの
構造式は明細書中の(I)式で示される。
1mM塩酸:塩酸を精製水で希釈して1mM塩酸水溶液とし
た。
1%BSA:リン酸緩衝液に牛血清アルブミンを1%となる
ように溶解した。
1%トリトンX−100:リン酸緩衝液にトリトンX−100
を1%となるように溶解した。
梅毒抗原液:家兎睾丸中で10〜14日間培養したトレポネ
ーマ パリダム[Treponema pallidum;CDC(Center for
Disease Control,Public Health Service,U.S.Departm
ent of Health,Education and Welfare,Atlanta,Georgi
a)より入手したものを家兎睾丸に接種し,継代培養し
たものを用いた]を生理食塩水中に109個菌体/mlとなる
ように懸濁した菌体懸濁液1mlを採り,リン酸緩衝液中
で遠心分離(6,000rpm×5分,3回)することにより洗浄
した。次いで,得られた沈澱に1%トリトンX−100を1
ml添加し,37℃にて30分間インキュベートした。その
後,これを超遠心分離機にかけて(50,000rpm×1時
間)上清を採取し,1%トリトンX−100で1,000倍希釈し
て使用した。
梅毒陽性家兎血清:睾丸にトレポネーマ パリダムを接
種後,45日間飼育した家兎から血清を採取した。市販のT
PHAキット(セロディアTP(富士レピオ),およびセロ
クリットTP(化血研))を用いてタイター(力価)を測
定したところ,いずれのキットにおいても10,000タイタ
ーを示した。この血清を1%BSAで100倍から400倍に希
釈して使用した。
正常家兎血清:トレポネーマ パリダムが接種されてい
ない家兎から採取した血清を用いた。上記と同様に市販
のTPHAキットを用いてタイターを測定したところ,結果
は陰性を示した。この血清を1%BSAで100倍から400倍
に希釈して用いた。
ペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG:ペルオキシダーゼ標
識抗ウサギIgG(マイルズ・ラボラトリーズ社)を1%B
SAで1,000倍に希釈して用いた。
マイクロタイタープレート:プラスチック製の96穴(ウ
ェル)マイクロタイタープレート(ヌンク社)を用い
た。
ペルオキシダーゼ基質:o−フェニレンジアミン(2塩酸
塩)および過酸化水素水を,リン酸−クエン酸緩衝液に
それぞれ2mg/mlと0.03%となるように溶解した。基質の
調製は使用直前に行った。
1N硫酸:濃硫酸を精製水で希釈して1N硫酸水溶液とし
た。
(B)マイクロタイタープレートの処理 〔ポリアミンスルホン処理〕 マイクロタイタープレートの各ウェルに,1%ポリアミン
スルホン水溶液を50μlずつ分注し,室温にて1時間放
置した。その後,アスピレーターを用いてポリアミンス
ルホン水溶液を除去し,各ウェルを200μlの精製水で
3回,次いで1mM塩酸200μlで1回,最後にリン酸緩衝
液200μlで1回吸引洗浄した。
〔抗原の固定化〕
このマイクロタイタープレートのウェルに梅毒抗原液50
μlを添加し,室温にて1時間インキュベートした。対
照として,梅毒抗原液の代わりに1%BSAを50μl分注
したウェルを用意した。インキュベートの後,梅毒抗原
液および1%BSAを吸引除去し,200μlの1%BSAで3回
吸引洗浄した。次いで,200μlの1%BSAを添加し,室
温にて1時間放置してブロッキングを行った。その後,1
%BSAを吸引除去し,直ちにELISA分析に使用した。
(C)ELISA分析 第1抗体として前記の100倍,200倍および400倍希釈した
梅毒陽性家兎血清100μlを使用した。これを上述のよ
うに調製した梅毒抗原固定化マイクロタイタープレート
の各ウェルに分注した。対照のウェル(梅毒抗原の代わ
りに1%BSAで処理した)にも同様に梅毒陽性家兎血清
を分注した。別に,血清中の非特異的吸着を示す物質の
存在の有無を調べるために,前記の100倍,200倍および4
00倍希釈した正常家兎血清を上記梅毒陽性家兎血清と同
様にウェルに分注した。これらのウェルを室温にて1時
間インキュベートした後,液を吸引除去し,200μlの1
%BSAで3回吸引洗浄した。次いで,第2抗体としてペ
ルオキシダーゼ標識抗ウサギIgGを100μlずつ各ウェル
に分注し,室温にて1時間インキュベートした。その
後,ウェル内の液を吸引除去し,上記と同様にウェルを
200μlの1%BSAで3回吸引洗浄した後,各ウェルにペ
ルオキシダーゼ基質を100μl添加し,室温にて正確に1
5分間インキュベートした。基質ブランクとして,第1
抗体および第2抗体のいずれも添加していないウェルを
用意し,同様に基質液を添加してインキュベートした。
その後,1N硫酸100μlを添加することによって酵素反応
を停止させた。反応停止後,マイクロタイタープレート
リーダー(MTP−100,コロナ社)を用いて,基質ブラン
クを対照として492nmにおける吸光度を測定した。結果
を表1に示す。
比較例1 ポリアミンスルホン処理を行わなかったマイクロタイタ
ープレートを用いて,実施例1を繰り返した。結果を実
施例1の結果とともに表1に示す。
表1の結果から明らかなように,従来の単なる物理的吸
着法では界面活性剤存在下において梅毒抗原をプラスチ
ックプレートに固定化することは難しい。しかし,本発
明によれば,界面活性剤存在下においても効果的に梅毒
抗原をプラスチックプレートに固定化することができ
る。
実施例2 [界面活性剤存在下における梅毒トレポネーマ抗原のラ
テックスへの固定化] (A)試薬および検体の調製 特に指示されないかぎり,実施例1と同一名の試薬およ
び検体は実施例1と同様に調製した。
ラテックス:0.23μmポリスチレンラテックス(固形分1
0%,積水化学工業(株))を用いた。
(B)ラテックスの処理 〔ポリアミンスルホン処理〕 ラテックス1mlと1%ポリアミンスルホン水溶液5mlを混
合し,室温にて1時間放置した。その後,遠心分離(1
5,000rpm×1時間)することによりポリアミンスルホン
水溶液を除去し,1mM塩酸5mlで3回遠心洗浄(15,000×
1時間)した。さらに,精製水5mlで同様に3回遠心洗
浄した後,ラテックスの固形分が10%となるように精製
水に懸濁し,この状態で使用するまで保存した。
〔抗原の固定化〕
上記のようにポリアミンスルホン処理したラテックス20
0μlと梅毒抗原液800μlとを混合し,室温にて1時間
攪拌した。その後,1%BSA5mlを添加し,15,000rpmにて1
時間遠心分離した。得られた沈澱にさらに1%BSA5mlを
添加し,同様に遠心分離することにより沈澱を洗浄し
た。この沈澱に1%BSA4mlを添加し,よく分散させてラ
テックス試薬とした。このようにして調製したラテック
ス試薬は,4℃にて保存した。
(C)免疫凝集法による分析 梅毒陽性家兎血清と上述のように調製したラテックス試
薬とをそれぞれ50μlずつガラス板上に採り,攪拌混合
して3分間反応させた。対照として,正常家兎血清につ
いても同様に反応させた。反応後,ラテックス試薬の凝
集の有無を目視観察することにより判定し,凝集が観察
された場合を陽性(+),そして凝集が観察されなかっ
た場合を陰性(−)とした。結果を表2に示す。
比較例2 ポリアミンスルホン処理を行わなかったラテックス試薬
を用いて,実施例2を繰り返した。結果を実施例2の結
果とともに表2に示す。
表2の結果から明らかなように,従来の単なる物理的吸
着法では界面活性剤存在下において梅毒抗原をラテック
スに固定化することは難しい。これらに対して,本発明
によれば,界面活性剤存在下においても効果的に梅毒抗
原をラテックスに固定化でき,免疫診断試薬とすること
ができる。
実施例3 [界面活性剤不在下におけるHBs抗原のプラスチックプ
レートへの固定化] (A)試薬および検体の調製 HBs抗原液:HBs陽性のヒト血漿を,家兎産生抗HBs抗体を
セファロースCL4Bに結合させたアフィニティカラムを用
いてアフィニティ精製した。この精製HBs抗原をリン酸
緩衝液に溶解してHBs抗原液とし,濃度をローリー法に
より測定した。HBs抗原液は,抗原固定化に使用する直
前にリン酸緩衝液で希釈し,濃度を1〜10μg/mlに調整
して用いた。
抗HBs抗血清:精製HBs抗原をフロインドの完全アジュバ
ントとともに家兎に免疫して得られた抗HBs血清を,正
常ヒト血清を結合させたCNBr活性化セファロースCL4Bカ
ラム(ファルマシア社)により吸収処理した。このカラ
ムによる吸収処理は,製造業者の使用説明書に従って行
った。吸収処理を行った抗HBs血清は,実施例1と同様
に1%BSAで100倍から400倍に希釈して用いた。
(B)マイクロタイタープレートの処理 〔ポリアミンスルホン処理〕 マイクロタイタープレートの各ウェルを,実施例1に準
じてポリアミンスルホン処理した。このポリアミンスル
ホンで処理したマイクロタイタープレートに,直ちにHB
s抗原を固定化した。
〔抗原の固定化〕
固定化の工程は,梅毒抗原液の代わりにHBs抗原液を用
いたことを除いては実施例1と同様である。このHBs抗
原固定化マイクロタイタープレートは,直ちにELISA分
析に使用した。
(C)ELISA分析 第1抗体として梅毒陽性家兎血清の代わりに抗HBs抗血
清を用いたことを除いては,実施例1に準じて測定を行
った。492nmにおける吸光度を測定した結果を表3に示
す。
比較例3 ポリアミンスルホン処理を行わなかったマイクロタイタ
ープレートを用いて,実施例3を繰り返した。結果を実
施例3の結果とともに表3に示す。
表3の結果から明らかなように,本発明によれば,従来
の単なる物理的吸着法よりも効果的により多量のHBs抗
原をプラスチックプレートに固定化することが可能であ
る。
次に,ポリアミンスルホンを用いてカルジオライピンを
担体上に固定化した場合(実施例4)と,公表公報63−
501902号に記載されているようにポリリジンを用いてカ
ルジオライピンを担体上に固定化した場合(比較例4)
とを比較した。
実施例4 (A)試薬および検体の調製 特に指示されない限り,実施例1〜3と同一名の試薬お
よび検体は実施例1〜3と同様に調製した。
カルジオライピン(カルジオリピン)溶液:カルジオラ
イピン,レシチンおよびコレステロールをそれぞれ0.03
%,0.21%,および0.9%の割合で含有するエタノール溶
液を調製した。
(B)ラテックスの処理 梅毒抗原液の代わりにカルジオライピン溶液を用いたこ
と以外は実施例2(B)項と同様に操作を行なった。
(C)免疫凝集反応による分析 (B)項で得られたラテックス試薬を用い,実施例2
(C)項に準じて操作を行なった。その結果を表4に示
す。
比較例4 1%ポリアミンスルホン水溶液の代わりにポリ−DL−リ
ジンの1%水溶液を用いたこと以外は実施例4と同様で
ある。その結果を表4に示す。
表4から明らかなように,本発明によれば,ポリリジン
と同等もしくはそれ以上の効率で,カルジオライピンの
固定化が可能である。ポリアミンスルホンはポリリジン
と異なり毒性を持たない点で有利である。
次に,ポリアミンスルホン(実施例5)およびポリリジ
ン(比較例5)を用いてカルジオライピンを固定化した
場合のpHの条件を比較した。
実施例5 (A)試薬および検体の調製 特に指示されない限り,実施例1〜4と同一名の試薬お
よび検体は,実施例1〜3と同様に調製した。
ホウ酸緩衝液:ホウ酸水溶液のpHを水酸化ナトリウムで
調整し,0.01Mホウ酸緩衝液(pH9.2)を調製した。
1%BSA/ホウ酸緩衝液:ホウ酸緩衝液に牛血清アルブミ
ンを1%になるように溶解させた。
(B)ラテックスの処理 実施例2(B)項と同様にラテックスをポリアミンスル
ホンで処理し,固形分10%になるようにホウ酸緩衝液に
懸濁した状態で保存した。この保存状態においてラテッ
クスの凝集は認められなかった。
上記のようにポリアミンスルホン処理をし,ホウ酸緩衝
液に懸濁したラテックス200μとカルジオライピン溶
液800μとを混合し,室温で1間攪拌した。これに1
%BSA/ホウ酸緩衝液を5ml加え,15000rpmで1時間遠心分
離した。得られた沈澱に1%BSA5mlを加え,15000rpmで
1時間遠心分離することにより沈澱を洗浄した。この沈
澱に4mlの1%BSAを加え,よく分散しラテックス試薬と
した。ラテックス試薬は4℃で保存した。
(C)免疫凝集法による分析 (B)項で得られたラテックス試薬を用い,実施例2
(C)項に準じて操作を行なった。その結果を表5に示
す。
比較例5 1%ポリアミンスルホン水溶液の代わりにポリ−DL−リ
ジンの1%水溶液を用いたこと以外は実施例5と同様で
ある。
本比較例では,ポリリジンで処理したラテックスをホウ
酸緩衝液に懸濁したときに凝集が見られたが,そのまま
実施例5と同様の操作を行なった。その結果を表5に示
す。
実施例5ではポリアミンスルホンによるラテックスの処
理でラテックスの凝集が起こらないが,比較例5ではラ
テックスの凝集が認められた。さらに実施例5ではカル
ジオライピン固定化後の抗原抗体反応も強く,高いpHで
も,従来の1級アミンに比べて効率よくカルジオライピ
ンが固定化されることが確認された。
(発明の効果) 本発明によれば,このように,疎水性物質が効果的に担
体上に固定化される。例えば,従来の単なる物理吸着で
は固定化できない,あるいは単位面積あたりの固定化量
が少ない生理活性物質が,ラテックス,プラスチックプ
レート,無機担体,赤血球などの不活性担体に効果的に
固定化される。そのため本発明の担体および固定化方法
は,例えば免疫反応を利用した種々の物質の測定に利用
される。特に疾病の診断および治療のための臨床検査な
どの分野に広く利用され得る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カチオン性の官能基を有する化合物として
    4級アミノ基を有するポリアミンスルホンを吸着した不
    活性担体でなる,疎水性物質の固定化用担体。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載の担体に疎水
    性物質を接触させて,該担体表面に該疎水性物質を物理
    的に吸着させることを包含する,疎水性物質の固定化方
    法。
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