JPH0747258A - 物質および／または熱交換塔用の液体分配器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 物質および／または熱交換塔において充填材
の上に均一に被処理液体を分配するための分配器を提供
する。 【構成】 本発明に係る物質および／または熱交換塔用
の液体分配器は、塔内上方部分から分配管を介して当該
塔の横断面部分全体に亙って被処理液体を分配供給する
液体分配器であって、前記上方の横断面部分に沿って配
置された分配管がその上方部に１個又は複数のノズル孔
を有しており、その最上部の面は湾曲面または屈曲面ま
たは平面を形成しており、その側部は傾斜または垂下し
ている液体案内カバーが、該ノズル孔の１個又は複数個
を覆うように分配管と一定の間隔をもって取り付けられ
ており、該液体案内カバーの両端部は分配管の最側面を
通る垂直軸よりも外側に位置していることを特徴とする
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、物質および／または熱
交換塔用の液体分配器に関する。ここで、液体分配器と
は、液体と気体とを互いに向流させて接触させる塔にお
いて、塔の内部に充填する構造物、所謂充填材の上に均
一に液体を分配する為のものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、物質および／または熱交換塔で使
用される液体分配器には多くの種類があり、その分配方
法も多様である。一つの方法として、塔断面に平行に複
数の液分配管を配置し、分配管の下部に間隔をおいてノ
ズル孔を開けたものがある。

【０００３】この種の分配器は、ノズル孔より液体を充
填材の上に落とす方法の為、充填材へはノズル孔の間隔
を隔てて液の分配がなされることとなる。分配管は、塔
断面に同様に平行に配置された１本の主管で連結されて
おり、主管は塔軸に平行に配置された縦管に接続されて
いる。ノズル孔より流出する液量は、縦管の中に貯まる
液体の水頭とノズル径およびノズル数により決定され
る。使用する際、水頭とノズル径及びノズル数の中で変
数として扱われるのが水頭である。水頭の変動に依り液
体は流れを変動させる。水頭が高い場合は流速が増し、
低い場合は流速が減ずる。この流速の変動が起こる為、
通常ノズル孔は流れの方向と分配位置が変わらないよう
に、その方向を分配管の垂直下方に向けて開けられてい
る。流量の多い場合を想定してノズル径とノズル数を決
定すると、液量の少ない場合には、液は縦管に近いノズ
ル孔から流出し易くなり、この為液の均一分配をする事
が困難となる。

【０００４】物質及び／又は熱交換塔で分配される液量
はその運転条件に依り異なる。液分配が運転時に大きく
増減する場合には、このような間隔を置いて下部にノズ
ル孔を有する分配器は効果的でない。

【０００５】他の方法として、分配管をＵ字形溝で形成
し、Ｕ字形上部端面のノッチより液体を溢れ出させる所
謂オーバーフロー式なるものがあるが、構造的に塔断面
積の中で占める割合が大きくなり、運転の際に上昇ガス
の圧力損失を招く恐れが有る。また、均一なる液分配を
達成させる為にノッチに案内ピンを取り付け、毛細管力
によって液を下方に案内し落下させるものも有るが、コ
スト的に非常に高価なものになっている。この種の分配
器の場合には、液を均一にオーバーフローさせる必要が
有る為、上部端面を水平に保持する必要が有り、その
為、塔内に設置する際の難しさが生じる。

【０００６】また、均一なるオーバーフローの為には液
面を波立たせない事も必要であるが、波を消す事が技術
的に難しく、液量が多く流速の早い場合には使用しづら
いと言う不具合を生じる。

【０００７】また、別の方法に依れば、Ｕ字形溝で形成
される分配管の側壁部を開口し、そこから流出する液体
が案内壁を打ち、その衝撃で液を広げる方法が特願昭６
３−４５９９１で公知であるが、この方法では、液体が
流出する際にある程度の速度を必要とする為、ゆっくり
流れる液体に対しては全く意味をなさない。ここで、開
口部と案内壁との間を、毛管引力が働く程度にまで狭め
れば液体の拡張は可能であるかも知れないが、その場合
には、開口部と案内壁との間に液体が流れる際の抵抗が
大きくなるため、多量の液処理を必要とする場合には分
配器内に多量の液を保持することにより水頭圧を高くし
て開口部からの液圧を高めなければならないという不具
合を生ぜしめる。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者は、従来技術の
欠点を克服するために幅広い研究を行った。その結果、
分配管の最上部にノズル孔を配置し、ノズル孔に対応す
る箇所の分配管上に、分配管から一定の間隔をあけて、
最上部の内側面が湾曲面又は屈曲面又は平面状であり、
その側部が傾斜又は垂下した液体案内カバーを取り付け
てノズル孔を覆うようにすることによって、液を放出し
た際の充填材上への液の分配が向上されることを発見
し、本発明を完成するに至った。

【０００９】即ち、本発明は、物質および／または熱交
換塔の塔内上方部分から分配管を介して当該塔の横断面
部分全体に亙って被処理液体を分配供給する液体分配器
であって、前記上方の横断面部分に沿って配置された分
配管がその上方部に１個又は複数のノズル孔を有してお
り、その最上部の内側面は湾曲面または屈曲面または平
面を形成しておりその側部は傾斜または垂下している液
体案内カバーが、該ノズル孔の１個又は複数個を覆うよ
うに分配管と一定の間隔をもって取り付けられており、
該液体案内カバーの両端部は分配管の最側面を通る垂直
軸よりも外側に位置していることを特徴とする物質およ
び／または熱交換塔用の液体分配器に関するものであ
る。

【００１０】以下、本発明を実施例にしたがって説明す
る。

【００１１】図１において本発明の液体分配器は以下の
構成を有する。即ち、本発明の液体分配管は、塔軸線に
平行に配置される縦管１、塔横断面に平行に配置される
主管２、主管から分岐する分配管３から構成されている
（図１−ａ）。分配管の最上部には、任意の間隔をおい
てノズル孔４が配置されている。分配管の外側には、ノ
ズル孔を覆うようにして液体案内カバー５が取り付けら
れている（図１−ｂ）。ここで、液体案内カバーの両端
部は、分配管の最側面を通る垂直軸６よりも外側に位置
するようにされている（図１−ｃ）。

【００１２】本発明の液体分配管における液体の流れに
ついて説明すると、液体は縦管１より主管２へと流れ、
主管２より分配管３に分岐される。分岐された液体は、
分配管３の上部に設けられたノズル孔４より外部に流出
する。流出した液体は、ノズル孔の外側にノズル孔を覆
うように取り付けられた液体案内カバー５に衝突し、カ
バー５の内側の面に沿って、カバーの両側部へ向かう方
向および分配管の軸方向に沿って流れる。カバー５の両
側部へ向かう方向に流れた液体は、案内カバー５の端部
から充填材上へと落下する。また、分配管の軸方向に沿
って流れた液体は、その流速が減ずるまで分配管の軸方
向に向かって広がった後、分配管上に落下する。分配管
上に落下した液体は分配管の上部面で広がり、分配管の
表面を伝って流下して、充填材上へと落下する。

【００１３】以上の説明は、液体の流量が多い場合の液
体の流れを説明するものであるが、液量の少ない場合に
は、ノズル孔より流出した液体は、液体案内カバー５に
到達することなく、分配管の上部において拡がって、分
配管の表面上を伝って流下する。

【００１４】ここで、ノズル孔を分配管の最上部に配置
することによって、次のような効果を得ることができ
る。

【００１５】一つは、液体をノズル孔より垂直に上部に
放出することができ、これにより、液体案内カバーに当
たった液体は、案内カバーの両側部にほぼ均一に分配さ
れることになり、液体を左右に均一に振り分けて落下さ
せることができるようになる。また、分配管は、通常、
円形パイプを使用して形成される為、その上方部の面は
垂直線に対して傾斜する角度を有している。そのため、
分配管の最上部にノズル孔を配置すると、液量が少ない
場合には、ノズル孔より流出した液体はパイプ面に沿っ
て下方に流れるにつれてパイプの軸方向に向かって拡が
るのである。これは、液体を垂直に立てた板の上方より
板上の点に流すと、液体は真下に直線として流れ、板上
で拡がることは難しいのに対して、同様のことを傾斜す
る板上で行うと、傾斜が水平に近づくほど、液体は横方
向に拡散して流れるようになるということと同様であ
る。また、分配管の最上部にノズル孔を配置することに
より、同様に液量が少ない場合に、液体を、分配管の側
部に左右ほぼ均一に振り分けて流下させることができる
ようになる。

【００１６】本発明の液体分配器においては、液体案内
カバーの両端部は、分配管の最側面を通る垂直軸６より
も外側に位置するようにされていなければならない（図
１−ｃ参照）。これは、案内カバーの両端部が分配管の
最側面を通る垂直軸よりも内側に位置していると、カバ
ーの端部より落下する液体は分配管３の上に落ちること
となり、これでは液体案内カバーを取り付けない場合と
同等の分配しか得られず、液体案内カバーを取り付けた
意味がなくなるからである。なお、実施上、液体案内カ
バーの端部はほぼ垂直方向に下方を向いていることが好
ましい。これは、カバーの端部が水平方向を向いていた
り、あるいは大きな角度で傾斜していたりすると、多量
の液体が放出される場合に液の飛散が起こるという不具
合を生ずるからである。更には、液体案内カバーの端部
は、分配管の側面部よりも下に位置することが好まし
い。また、分配管の表面と液体案内カバーの内側表面と
の間の間隔は、処理される液体の液量によって任意に決
定することができる。

【００１７】本発明の液体分配器の他の態様としては、
以下の如きものが考えられる。

【００１８】液体の液量が多く、その為、ノズル孔より
放出される液体の流速が早くて液体案内カバーに当たる
液体が過度に飛散して液体の適度な拡散が得られないよ
うな場合には、液体案内カバーの内側上部に金網又は展
伸金網７および／または邪魔板８を設けて、流出液体の
流速を弱めるようにすることが有効である（図２および
図３参照）。

【００１９】また、液体案内カバーに当たった液体は、
その速度により流れの方向を変えて案内カバーの表面に
おいて拡がることとなるが、この液体の拡がりを更に促
進させるために、液体案内カバーの内側表面に、液体拡
散手段となる凹凸または溝９あるいは孔を設けてもよい
（図６参照）。あるいは、液体案内カバーの側部の内側
表面に金網または展伸金網７を取り付けても、同様の効
果が得られる（図５参照）。また、液体案内カバーは、
取り外しができるようにしても良い。

【００２０】他の態様としては、液体案内カバーの下方
端部に液体分岐板１０を設けてもよい（図４）。この場
合、液体分岐板１０は、液体案内カバーの伸長する方向
軸を挟んで１枚または数枚づつ反対方向に開いて形成さ
れることが好ましい（図４参照）。液体案内板がない状
態では、液体案内カバーの表面に沿って流下する液体が
液体案内カバーの下方端部より落下する際に、液量が多
い場合には液膜が形成され、液体が落下する箇所が１点
に集まりやすくなり、その為に液体を分散する能力が損
なわれるという不具合を生じるが、上記のような液体案
内板を取り付けることにより、液体の膜が左右に分岐さ
れ、液体が１枚づつの分岐板から落下するようになるた
め、液体を分散する能力の向上を達成することができる
のである。

【００２１】この場合、隣接する液体分岐板は開いてい
ない状態で相互に適度な間隔を有していることが好まし
い。近接していると、開いた場合においてもその間に液
膜を形成し易くなり、液体の分配上好ましくない。

【００２２】また、液体分岐板の先端を細くしてもよ
い。このようにすると、液量の少ない場合でも液体を連
続して落下させることができる。

【００２３】ここで、分岐板を交互に反対方向に開くこ
とについて説明すると、分岐板の開く角度は液量が多く
なればなるほど大きくすることが好ましい。これは、開
く角度が小さいと液膜が形成され易くなるからである。
実施上は、この角度は６０〜１２０度程度が好ましい。

【００２４】また、液体分岐板は１枚づつを交互に開い
てもよいし、複数枚づつを交互に開いてもよい。液体分
岐板の先端は、丸くてもよいし、尖っていてもよい。開
いた液体分岐板は、下方に向けて湾曲させてもよいし、
屈曲させてもよい。また、液体分岐板上に液体案内溝を
設けてもよい。更には、液体分岐板には任意の大きさの
孔を開けてもよいし、液体分岐板を網状基材で構成して
もよい。また、液体分岐板は、棒状基材または針状基材
で構成してもよい。

【００２５】従来のこの種の分配器においては、ノズル
孔は、分配管の下部に配置され、液体をある間隔をおい
て充填材上に落とすだけの機能しか有していなかった。
従来の分配器においては、分配管の間隔は１０ｃｍ程度
であり、ノズル孔の間隔も１０ｃｍ程度のものが多く、
このため、面積的にいえば１００ｃｍ²に１箇所、液体
が落ちる程度のものであった。本発明においては、分配
管の外側に配置された液体案内カバーと分配管の上部面
とによって、従来、点の形でしか分配されていなかった
液体を、液体案内カバーの下部端面の線と分配管の下部
面の線とによって分配することを可能にし、更に液体案
内カバーの下部端面の線を分岐板によって細かい点の形
にしてより確実に分配することを可能にし、分配効果の
向上を達成したものである。

【００２６】また、本発明の更に他の態様としては、図
７に示すように、液体拡散手段を具備するシート状基材
１２を分配管に取り付けてもよい。このようにすると、
分配管の表面上で拡散された液が更にシート状基材１２
によって拡散されるため、液体の分配効率が向上する。
ここで、シート状基材には、凹凸、切り込み、孔等を設
けてもよく、また１個の分配管にシート状基材を複数枚
取り付けてもよい。

【００２７】

【発明の効果】本発明の液体分配器によれば、物質およ
び／または熱交換塔内の充填材上に被処理液体を均一に
分配することができる。

【００２８】本発明の実施の態様は以下の通りである。

【００２９】１．物質および／または熱交換塔の塔内上
方部分から分配管を介して当該塔の横断面部分全体に亙
って被処理液体を分配供給する液体分配器であって、前
記上方の横断面部分に沿って配置された分配管がその上
方部に１個又は複数のノズル孔を有しており、その最上
部の面は湾曲面または屈曲面または平面を形成しており
その側部は傾斜または垂下している液体案内カバーが、
該ノズル孔の１個又は複数個を覆うように分配管と一定
の間隔をもって取り付けられており、該液体案内カバー
の両端部は分配管の最側面を通る垂直軸よりも外側に位
置していることを特徴とする物質および／または熱交換
塔用の液体分配器。

【００３０】２．液体案内カバーの内側面に金網または
展伸金網が取り付けられている上記第１項記載の液体分
配器。

【００３１】３．液体案内カバーの内側上部に邪魔板が
取り付けられている上記第１項記載の液体分配器。

【００３２】４．液体案内カバーの端部に液体分岐板が
取り付けられている上記第１項記載の液体分配器。

【００３３】５．液体案内カバーの内側面に液体拡散手
段を有するシート状基材が取り付けられている上記第１
項記載の液体分配器。

【００３４】６．液体案内カバーの内側面に液体拡散手
段となる凹凸が形成されている上記第１項記載の液体分
配器。

【００３５】７．分配管に、液体拡散手段を有するシー
ト状基材が更に取り付けられている上記第１項記載の液
体分配器。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の液体分配器を示す図であり、ａは本発
明の液体分配器の斜面図、ｂは分配管に液体案内カバー
が取り付けられている部分を示す拡大図、ｃは分配管と
液体案内カバーの断面図である。

【図２】液体案内カバーの内側上部面に金網または展伸
金網が取り付けられている本発明の一態様を示す図であ
る。

【図３】液体案内カバーの内側に邪魔板が取り付けられ
ている本発明の一態様を示す図である。

【図４】液体案内カバーの端部に液体分岐板が取り付け
られている本発明の一態様を示す図である。

【図５】液体案内カバーの内側面に、液体拡散手段を有
するシート状基材が取り付けられている本発明の一態様
を示す図である。

【図６】液体案内カバーの内側面に、液体拡散手段とな
る凹凸が形成されている本発明の一態様を示す図であ
る。

【図７】分配管に、液体拡散手段を有するシート状基材
が更に取り付けられている本発明の一態様を示す図であ
る。ａは分配管に液体案内カバーおよびシート状基材が
取り付けられている状態を示す斜視図であり、ｂは分配
管と液体案内カバーとシート状基材との断面図である。

【符号の説明】

１ 液体分配器縦管 ２ 液体分配器主管 ３ 液体分配器分配管 ４ ノズル孔 ５ 液体案内カバー ６ 分配管の最側面を通る垂直軸 ７ 金網または展伸金網 ８ 邪魔板 ９ 凹凸 １０ 液体分岐板 １２ シート状基材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 物質および／または熱交換塔の塔内上方
   部分から分配管を介して当該塔の横断面部分全体に亙っ
   て被処理液体を分配供給する液体分配器であって、前記
   上方の横断面部分に沿って配置された分配管がその上方
   部に１個又は複数のノズル孔を有しており、その最上部
   の内側面は湾曲面または屈曲面または平面を形成してお
   りその側部は傾斜または垂下している液体案内カバー
   が、該ノズル孔の１個又は複数個を覆うように分配管と
   一定の間隔をもって取り付けられており、該液体案内カ
   バーの両端部は分配管の最側面を通る垂直軸よりも外側
   に位置していることを特徴とする物質および／または熱
   交換塔用の液体分配器。
2. 【請求項２】 液体案内カバーの内側面に金網または展
   伸金網が取り付けられている請求項１記載の液体分配
   器。