JPH0745417Y2 - 二輪車用減衰力調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は二輪車用減衰力調整装置の改良に関する。

（従来の技術） 二輪車のフロントフォークやリヤサスペンションの減衰
力を運転条件等に応じて可変的に制御する考案について
は、本出願人をはじめとして数多く提案されている。

減衰力の調整はフロントフォーク等に内蔵した減衰バル
ブを、ソレノイドの励磁力を変化させることにより行う
のが一般的であるが、この減衰力調整のための設定器
（電流制御器）は、通常ハンドルに取り付けている。

（考案が解決しようとする課題） ところがハンドルのグリップ近傍には、ライト、ターン
シグナル、スタータ、ホーン等の操作スイッチ類が配設
されているため、減衰力調整用の設定器をハンドルから
手を離さずにすむグリップ近辺に配置することは、スペ
ース的にかなり困難である。そのため従来はハンドルの
中央付近に設定器を備え付けていたが、減衰力を調整す
るごとにハンドルグリップから手を離さなければならず
単に操作性が悪いばかりか、走行安全性の点からも問題
があった。

本考案はこのような問題を解決することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案は、フロントフォーク
もしくはリヤサスペンションの減衰力を制御電流に応じ
て変化させる減衰力調整機構と、前記制御電流値を設定
するための減衰力設定器とを備えた二輪車用減衰力調整
装置において、前記設定器はハンドルパイプの外周に沿
って摺動する円弧状のスライド部材と、このスライド部
材と一体的に形成された操作レバーを備え、前記スライ
ド部材はハンドルパイプに固定したハンドルグリップの
根元部分に設けたスイッチボックス内に収納され、前記
操作レバーは前記スイッチボックス外部に突出するよう
に構成する。

（作用） 操作レバーはグリップの根元のスイッチボックス外部に
突出するように設けられハンドルパイプの外周に沿って
回動するので、ハンドルグリップを握ったまま親指を伸
ばして操作することができ、またこのとき他のスイッチ
類と干渉することはない。また、操作レバーはハンドル
グリップとは独立しており、減衰力設定にあたりハンド
ルグリップ自体は回動することはないので、操作レバー
の回転角度を比較的大きく取ることができ、調整ゲイン
は低くなる。更に、このとき、減衰力設定器のスライド
部材はスイッチボックス内にコンパクトに収納され、操
作レバーはスイッチボックス側面に突出する形になるの
で、グリップ側部にはスイッチボックス以外の物は配設
されず、スイッチ部のハンドル軸方向の長さは短くな
る。

（実施例） 第１図〜第３図において、１はハンドル本体、2A,2Bは
左右のグリップを示す。グリップ2A,2Bのの根本の部分
にはライト、ターンシグナル、スタータ、ホーン等の各
種スイッチ３を配列したスイッチボックス4A,4Bが取付
けられる。グリップ2A,2Bはハンドルパイプ５に固定さ
れる。

一方のスイッチボックス4Aの端面から側方に減衰力設定
器６の操作レバー７が突出している。

操作レバー７はハンドルパイプ５と同軸上を回動するも
ので、第３図に詳細を示すように、ハンドルパイプ５の
外周に沿って摺動する円弧状のスライド部材８と一体的
に形成される。スイッチボックス4Aの内部において、ス
ライド部材８はストッパを兼用するガイド部材9A,9Bに
案内され、所定の角度範囲にわたり回動する。スライド
部材８の端部にはガイド部材9Cに案内されるワイヤ（屈
曲性のある線材）10を介して可変抵抗器11のロッド12が
連結される。なお、スライド部材８を軽く位置決めする
ためにディテント機構20が設けられ、スプリング21によ
りボール22を押し付けることで任意の位置に操作レバー
７を保持する。

可変抵抗器11はスイッチボックス4Aの下部に取付けら
れ、ロッド12の伸縮ストロークに応じて抵抗値が変化す
る。この抵抗値に応じて制御回路13を介して減衰力調整
装置14に対する制御電流が増減制御され、フロントフォ
ークもしくはリヤサスペンションの発生減衰力が調整さ
れる。

可変抵抗器11は第４図のように、内蔵したスプリング15
の付勢力によりロッド12が自動的に復帰するタイプにな
っているが、このように抵抗体16とブラシ17により抵抗
値を連続的に変化させる他、第５図のように複数の接点
16A,16B,16C,16Dをロッド12のストローク方向に並設し
ておき、ストローク位置に応じて順々にブラシ17と接点
16A〜16Dが接触するスイッチ方式を採用することもでき
る。

このようにして、スイッチボックス4Aの端面から側方に
Ｌ型操作レバー７を突出させてあり、しかも操作レバー
７はハンドルパイプ５の回わりを回動するので、ハンド
ルグリップ2Aを握ったまま親指を使って操作レバー７を
動かすことが可能で、走行中にも安全に減衰力の調整操
作を行うことができる。

スイッチボックス4A、4Bには各種スイッチ３を配列して
あるが、操作レバー７はスイッチボックス4Aから側方に
突出し、しかもハンドルパイプ５の外周に沿って回転す
るので、スイッチ３と操作レバー７が干渉することもな
い。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、設定器の操作レバーをハ
ンドルグリップの根元のスイッチボックス外部に設け、
この操作レバーをハンドルグリップの外周に沿って回動
するように構成したので、ハンドルグリップ近傍の他の
スイッチ類と干渉することなく設定器の操作部分を配置
することができ、また、ハンドルから手を離さずに減衰
力設定器を操作することができるとともに、ハンドルグ
リップと操作レバーは独立しているため、体を支えるた
めグリップを強く握っても誤って操作レバーを操作する
ことはないので、操作性と安全性が向上する。

また、減衰力設定にあたり、ハンドルグリップ自体が回
動することはないので、グリップ自体の回動により減衰
力設定を行うような場合に較べて操作部分の回転角度を
比較的大きく取ることができ調整ゲインを低くすること
ができるため、安定して減衰力を調整することができ
る。

更に、減衰力設定器のスライド部材はスイッチボックス
内にコンパクトに収納でき、また、操作レバーはスイッ
チボックス側面に突出する形になるので、グリップ側部
にはスイッチボックス以外の物を配設する必要がなく、
スイッチ部のハンドル軸方向の長さを短くできる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案の実施例を示すハンドルの平面図、第２
図はハンドルグリップ部分の拡大図、第３図は同じく断
面図、第４図，第５図はそれぞれ可変抵抗器の説明図で
ある。 １……ハンドル本体、2A,2B……ハンドルグリップ、３
……スイッチ、4A,4B……スイッチボックス、５……ハ
ンドルパイプ、６……減衰力設定器、７……操作レバ
ー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フロントフォークもしくはリヤサスペンシ
   ョンの減衰力を制御電流に応じて変化させる減衰力調整
   機構と、前記制御電流値を設定するための減衰力設定器
   とを備えた二輪車用減衰力調整装置において、前記設定
   器はハンドルパイプの外周に沿って摺動する円弧状のス
   ライド部材と、このスライド部材と一体的に形成された
   操作レバーを備え、前記スライド部材はハンドルパイプ
   に固定したハンドルグリップの根元部分に設けたスイッ
   チボックス内に収納され、前記操作レバーは前記スイッ
   チボックス外部に突出するように構成されたことを特徴
   とする二輪車用減衰力調整装置。