JPH0744616Y2 - バンド式クランプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 ［産業上の利用分野］ 本考案は、陰極線管の側面周囲に消磁コイルを取り付け
ることのできるバンド式クランプに関する。

［従来の技術］ 従来より、テレビ等のブラウン管（陰極線管）の側面周
囲には、残留磁化の消去のために消磁コイルが取り付け
られているが、この消磁コイルの取り付けには、バンド
式クランプが用いられている。この種のバンド式クラン
プ（以下、単にクランプと称する）には、ブラウン管の
角部に突設された金具が挿入される略長方形の取付孔が
穿設されるとともに、消磁コイルに巻装されるバンド部
と、このバンド部が固定されるバンド止め部とが設けら
れている。そして、このクランプによって消磁コイルを
取り付ける場合は、まず、ブラウン管の角部の金具をク
ランプの取付孔に挿入して、クランプ自身をブラウン管
の四角に取り付ける。そして、クランプのバンド部をル
ープ状にして消磁コイルに巻装し、このバンドを締め付
けてバンド止め部に固定することによって、消磁コイル
をブラウン管の側面周囲に保持する。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、上記従来のクランプにおいては、単に略
長方形の取付孔に金具を挿入して取り付けているだけで
あるので、取付孔の大きさが金具の大きさ（幅や厚み
等）に正確に適合していない場合、取り付けられたクラ
ンプががたついて外れ易くなるという問題が生じる。か
といって、がたつきを防ぐために取付孔の大きさを小さ
くすると、取付孔に金具を容易に挿入することができ
ず、取り付けが難しくなるという問題が生じる。よっ
て、従来より、取付孔に金具を容易に挿入することがで
き、しかも金具に対してがたつくことなく確実に取り付
けることのできるクランプが要望されていた。

また、上述の問題点からも明らかな様に、上記従来のク
ランプにおいては、特定の金具の大きさに合わせて取付
孔を設けた場合、大きさの異なる様々な金具に併用して
取り付けることが難しいという問題もあった。即ち、大
きめの金具に取り付ける場合は、金具を取付孔に容易に
挿入することができず、場合によっては金具への取り付
けが不能となる。また、小さめの金具に取り付ける場
合、取付孔と金具の間に隙間が空いてしまい、取り付け
たクランプががたついて外れてしまう。よって、従来
は、大きさの異なる金具毎に、取付孔の寸法や形状を変
更したクランプを設計・製造する必要があり、手間やコ
ストがかかるという問題があった。

本考案は、上記問題点を解決するためになされ、その目
的は、取付孔に金具を容易に挿入することができ、しか
も金具に対してがたつくことなく確実に取り付けること
が可能であり、大きさの異なる様々な金具に対して使用
することのできるバンド式クランプを提供することであ
る。

考案の構成 ［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために本考案の用いた手段は、 陰極線管の角部に設けられた金具に取り付けられる取付
部と、 バンド部とバンド止め部とからなり、前記取付部に連接
して設けられ、消磁コイルを前記陰極線管の側面周囲に
保持するための緊締部と、 を備えたバンド式クランプであって、 前記取付部には、前記金具が挿入される取付孔と、該取
付孔の内側に突出する突設片とが設けられたことを特徴
とするバンド式クランプをその要旨とする。

［作用］ 本考案のバンド式クランプを用いて陰極線管に消磁コイ
ルを取り付ける場合は、まず、陰極線管の角部に設けら
れた金具を取付孔に挿入し、バンド式クランプ自身を陰
極線管の四角に取り付ける。そして、緊締部のバンド部
を消磁コイルに巻装し、このバンド部をバンド止め部に
固定することによって、消磁コイルを陰極線管の側面周
囲に保持する。

そして、特に本願考案においては、上述の様に金具を取
付孔に挿入した場合、取付孔の内側に突出する突設片が
金具に当接してたわみ、挿入された金具が突設片によっ
て押圧される。よって、金具に取り付けられたクランプ
のがたつきを防止することができる。また、挿入時に突
設片がたわむので、取付孔に金具を容易に挿入すること
ができる。更に、金具が突設片によって押圧されるの
で、厚みなどの大きさが異なる様々な金具に取り付ける
場合であっても、がたつくことなく確実に取り付けるこ
とができる。

［実施例］ 次に、本考案によるバンド式クランプを、テレビのブラ
ウン管用の消磁コイルの取付具（以下、コイル取付具と
いう）に適用した実施例について図面に基づき説明す
る。

第１図（Ａ）ないし（Ｃ）はそれぞれ第１の実施例のコ
イル取付具１の正面図、左側面図、底面図、第１図
（Ｄ）は第１図（Ａ）におけるＢ−Ｂ線の拡大断面図で
ある。第２図（Ａ）ないし（Ｂ）はそれぞれコイル取付
具１の背面図、右側面図、第２図（Ｃ）は第１図（Ａ）
におけるＡ−Ａ線の断面図である。そして第３図、第４
図（Ａ）および（Ｂ）はその使用状態を説明するための
説明図である。

図示する如く、本実施例のコイル取付具１は湾曲板２と
その湾曲端部から夫々突出したバンド部３とから成り、
可撓性を有するポリエチレン等の合成樹脂で一体成形さ
れている。この湾曲板２は、その両端に厚肉のバンド基
部（バンド止め部）４（以下、単に基部４という）と、
該基部４を連結しブラウン管の角に適合した湾曲を備え
た湾曲部（取付部）５とで構成されている。即ち、本実
施例においては、バンド部３と基部４とによって、消磁
コイルをブラウン管の側面周囲に保持するための緊締部
が構成されている。

基部４にはバンド部３の突出方向に沿って、基部４の上
面と45度の角度でバンド部３の幅に適合した幅のバンド
挿入溝６が形成されている。基部４のバンド部３突出側
端部には、第１図（Ｄ）に示す如く、湾曲部５に連続し
たブリッジ７とバンド挿入溝６によって挿入孔８が形成
されている。そしてバンド挿入溝６の底面には、該溝の
側面と平行に逆止突起９が突設されている。この逆止突
起９の突出端は略カギ型であり、該カギ型のカギ部の突
出方向はバンド部３の突出方向と逆向きである。そして
逆止突起９の突設高さは、カギ部の下側とバンド挿入溝
６の底面との間にバンド部３を挟持するに必要な高さで
ある。さらに、逆止突起９と挿入孔８の枠材であるブリ
ッジ７との間を約2:1に内分する位置には、バンド挿入
溝６の底面から中間突起10が突設されている。この中間
突起10の突出端は半球状であり、突設高さはバンド部３
の厚さとほぼ等しくされている。

湾曲部５の略中央には、その湾曲面に沿って略長方形の
取付孔11が穿設され、この取付孔11の内側には、２つの
挿入片（突設片）12が後述するブラウン管の各角に立設
した金具15に適合するよう突設されている。

基部４の挿入孔８側端面には、バンド挿入溝６の底面に
延長して薄板状のバンド部３が連続棒13を介在して突設
されている。このバンド部３の板厚は連結棒13付近で最
も大きく、連結棒13から離れたところは約半分の厚さで
均一化されている。バンド部３の先端は厚さおよび幅と
もに先細のテーパ状である。そしてバンド部３の長手方
向に沿って所定数の逆止孔14が所定ピッチで穿設され
る。本実施例では先端側に６個の逆止孔14が穿設され、
この６個の逆止孔14から所定距離を設けて連結棒13側に
７個の逆止孔14が穿設されている。各逆止孔14は、バン
ド挿入溝６に突設された逆止突起９が嵌脱自在な大きさ
の丸孔と連結棒13方向に向いた長孔とを連接させて穿孔
した形状の孔である。

このように構成されたコイル取付具１を用いて消磁コイ
ルをテレビ用のブラウン管に取り付ける場合について説
明する。

第４図に示す如く、先ずブラウン管の角部に立設された
金具15を湾曲部５の取付孔11の内面と挿入片12の先端部
との間に挿通して、コイル取付具１をブラウン間の四角
に固定しておく。この際、第４図より明らかな様に、挿
入片12の先端が金具15に当接するので、挿入片12がたわ
み、金具15が挿入片12によって押圧される。よって、金
具15が挿入片12と取付孔11の辺縁部との間に挟まれるの
で、コイル取付具１は金具15に対してがたつくことなく
確実に固定される。また、金具15の挿入時に挿入辺12が
たわむので、金具15を取付孔11に容易に挿入することが
できる。

次にコイル取付具１のバンド部３をループ状にして消磁
コイル17を巻装し、バンド部３をその先端から挿入孔８
に挿入する（第３図（Ａ））。挿入孔８を貫通したバン
ド部３の先端が中間突起10に達すると、半球状の突出端
とバンド部３の厚さとほぼ突出高さとを備えた中間突起
10によってバンド部３の先端は強制的にバンド挿入溝６
の底面からもち上げられる。このためバンド部３の先端
の移動方向はバンド挿入溝６の底面に沿った方向から斜
め上方に変化する（第３図（Ｂ））。さらにバンド部３
を貫通させると、中間突起10の上記もち上げ作用によっ
てバンド部３の先端は次第に高くもち上がる（第３図
（Ｃ））。なお、バンド部３の先端が逆止突起９に当接
しても、該突起にバンド部３の先端が斜めに当接するの
でバンド部３の先端は、図示する如く逆止突起９より高
くもち上がる。このためバンド部３の先端をつまんで引
っ張り、消磁コイル17が所定位置に保持されるまでバン
ド部３を容易に絞り込むことができる。そして、バンド
部３をバンド挿入溝６にはめ込むと共に、消磁コイル17
を所定位置に保持するに適した逆止孔14に逆止突起９を
嵌合させて（第３図（Ｄ））消磁コイル17の結束作業が
終了する。

ブラウン管の各角で消磁コイルを結束保持する上述した
作業を行なえば、ブラウン管側面周囲の所定位置に消磁
コイル17を取付けることができる。

以上説明したように、本実施例のコイル取付具１におい
ては、取付孔11の内側に２つの挿入片12が突設されてい
るので、金具15を取付孔11に挿入した場合、挿入片12が
金具15に当接してたわみ、金具15が挿入片12によって押
圧される。よって、金具15に取り付けられたコイル取付
具１のがたつきを防止することができる。また、金具15
の挿入時に挿入片12がたわむので、金具15を取付孔11に
容易に挿入することができる。更に、厚みが異なる様々
な金具15に取り付ける場合であっても、がたつくことな
く確実に取り付けることができる。即ち、本実施例のコ
イル取付具１によれば、取付孔11に金具15を容易に挿入
することができ、しかも金具15に対してがたつくことな
く確実に取り付けることが可能であり、厚みの異なる様
々な金具15に対して使用することができるという顕著な
効果がある。また、本実施例においては、中間突起10が
設けられているので、消磁コイルの結束作業を中断する
ことなく円滑に行なうことができる。バンド部３には複
数個の逆止孔14を穿設したので、径等の異なる各種の消
磁コイル等の結束保持が可能でその汎用性は高い。更
に、基部４とバンド部３との間に細径で屈曲自在な連結
棒13を介在させたので、バンド部３をより小さなループ
状にしてコード等の被結束物を基部４の極く近くで結束
することができる。つまり前記した汎用性がより高くな
っている。加えて、コイル取付具１はバンド部３を２つ
備えているので、大型ブラウン管用の消磁コイルの結束
保持にこのコイル取付具１を用いれば金具15に作用する
応力を２方向に分散することができ好ましい。

また、バンド部３のはめ込まれるバンド挿入溝６を基部
４の上面と斜交して形成したので、バンド挿入溝６の側
面が該挿入溝にはまり込んだバンド部を底面に向けて押
しつける作用を成す。このため略カギ型の逆止突起９だ
けの場合に比べてバンド部３をより強固に基部４の表面
に沿わせて固着することができる。

加えて、逆止孔14の穿設ピッチを逆止突起９と中間突起
10との距離に等しくすれば、２つの逆止孔14に突起が嵌
合することになりバンド部３の抜脱の防止効果が向上す
る。一方、上記ピッチと上記距離とが異なれば、バンド
部３は挿入孔８と逆止突起９との間で中間突起10にて一
部もり上がった状態となる。このもり上がりは挿入孔８
内や逆止突起９のカギ部とバンド挿入溝６の底面との間
におけるバンド部のがたつきを防止するとともに、挿入
孔８からバンド部３を引き抜こうとするループ状のバン
ド部３の復元力に対する抵抗となるため、上記ピッチと
上記距離とが異なるものであってもバンド部３の抜脱防
止の効果が向上する。

次に、第２の実施例を図面に基づき説明する。第５図
（Ａ）ないし（Ｃ）はそれぞれ第２の実施例のコイル取
付具正面図、底面図、右側面図、第６図（Ａ）ないし
（Ｂ）はそれぞれこのコイル取付具の背面図、左側面
図、第６図（Ｃ）は第５図（Ａ）におけるＡ−Ａ線の断
面図である。

以下に説明する第２の実施例も消磁コイルをブラウン管
に取り付けるコイル取付具であるので、前述した第１の
実施例と同一の構成・作用をなす部材については第１の
実施例で用いた符号に補助符号ａを付して表わすことと
する。

図示する如く、本実施例のコイル取付具1aは、湾曲部
（取付部）5aと、その略中央から突設された基部（バン
ド止め部）20および基部20から突出したバンド部3aとか
ら成り、可撓性を有するポリエチレン等の合成樹脂で一
体成形されている。

基部20のバンド部3a側端部には、略コの字状の枠材21が
その開口部を基部20に当接させて着設され、この枠材21
と基部20によって挿入孔8aが形成されている。そして、
基部20には前述したコイル取付具１と同様にして、枠材
21側から中間突起10aおよび略カギ型の逆止突起9aが突
設されている。この中間突起10aの突出端形状もコイル
取付具１と同様半球状である。

湾曲部5aに形成された取付孔11aおよび挿入片（突設
部）12aは、第１の実施例と同一の作用をなす。

基部20の端部には、連結棒13aを介してバンド部3aが突
設され、バンド部3aには逆止孔14aが所定ピッチで穿設
されている。

上記した構成のコイル取付具1aは、第１の実施例のコイ
ル取付具１と同様にして使用され、同一の作用・効果を
奏する。

即ち、金具15を取付孔11aに挿入した場合、挿入片12aが
金具15に当接してたわみ、金具15が挿入孔12aによって
押圧される。よって、金具15に取り付けられたコイル取
付具1aのがたつきを防止することができる。また、金具
15の挿入時に挿入片12aがたわむので、金具15を取付孔1
1aに容易に挿入することができる。更に、厚みが異なる
様々な金具15に取り付ける場合であっても、がたつくこ
となく確実に取り付けることができる。また、バンド部
3aを挿入孔8aに挿入し、その先端を貫通させれば、該先
端が中間突起10aによってもち上がるので、結束作業を
中断することなく円滑に行なうことができる。本実施例
のコイル取付具1aはコイル取付具１と同様汎用性の高い
取付具となる。

加えて、バンド部3aが１本であり、コイル取付具1aの形
状が単純で小型化されているため、材料コストの低減、
消磁コイルの結束保持作業の単純化が可能である。

以上、本考案のバンド式クランプを適用したコイル取付
具について説明したが、本考案の要旨を逸脱しない限り
種々の態様で実施できる。例えば、自動車用ハーネス
ト、設備機械の配線等の結束保持具にも本考案のバンド
式クランプを用いることができる。

考案の効果 以上実施例を含めて詳述したように本考案のバンド式ク
ランプは、陰極線管の金具に取り付けられる取付部に、
金具が挿入される取付孔と、この取付孔の内側に突出す
る突設片とが設けられている。よって、取付孔に金具を
容易に挿入することができ、しかも金具に対してがたつ
くことなく確実に取り付けることが可能であり、大きさ
の異なる様々な金具に対して使用することができるとい
う顕著な効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図（Ａ）ないし（Ｃ）はそれぞれ第１の実施例のコ
イル取付具の正面図、左側面図、底面図、第１図（Ｄ）
は第１図（Ａ）におけるＢ−Ｂ線の拡大断面図、第２図
（Ａ）ないし（Ｂ）はそれぞれ上記コイル取付具の背面
図、右側面図、第２図（Ｃ）は第１図（Ａ）におけるＡ
−Ａ線の断面図、第３図および第４図は上記コイル取付
具の使用状態を説明するための説明図、第５図（Ａ）な
いし（Ｃ）はそれぞれ第２の実施例のコイル取付具の正
面図、底面図、右側面図、第６図（Ａ）ないし（Ｂ）は
それぞれ上記コイル取付具の背面図、左側面図、第６図
（Ｃ）は第５図（Ａ）におけるＡ−Ａ線の断面図であ
る。 1,1a……消磁コイルの取付具 3,3a……バンド部 4,20……バンド基部 8,8a……挿入孔 9,9a……逆止突起 10,10a……中間突起 14,14a……逆止孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】陰極線管の角部に設けられた金具に取り付
   けられる取付部と、 バンド部とバンド止め部とからなり、前記取付部に連接
   して設けられ、消磁コイルを前記陰極線管の側面周囲に
   保持するための緊締部と、 を備えたバンド式クランプであって、 前記取付部には、前記金具が挿入される取付孔と、該取
   付孔の内側に突出する突設片とが設けられたことを特徴
   とするバンド式クランプ。