JPH0742653B2 - 機能性レザー及びその製造方法 - Google Patents

機能性レザー及びその製造方法

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JPH0742653B2
JPH0742653B2 JP3139781A JP13978191A JPH0742653B2 JP H0742653 B2 JPH0742653 B2 JP H0742653B2 JP 3139781 A JP3139781 A JP 3139781A JP 13978191 A JP13978191 A JP 13978191A JP H0742653 B2 JPH0742653 B2 JP H0742653B2
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foam layer
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洋司 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、家具,鞄,車両等の表
面材、あるいは靴の胛被,袋物等に使用される塩化ビニ
ル系樹脂製の機能性レザー及び該レザーの製造方法に関
し、特に耐汚染性,耐摩耗性,耐薬品性等に優れると共
に、風合い等の感触にも優れた上記機能性レザーと、該
レザーを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩ビレザーと称される塩化ビニル
製レザーは、上記のような各種の分野において広く使用
されている。このような塩ビレザーは、一般に、繊維製
の基布上に発泡体層が積層され、該発泡体層上に塩化ビ
ニル樹脂からなる上引き層が積層されて構成される。と
ころで、塩化ビニル樹脂は、周知の通り、加工性や耐寒
性を付与したり、硬度を変化させる等の目的で大量の可
塑剤が配合されて使用される。上記の上引き層を構成す
る塩化ビニル樹脂も、可塑剤が大量に配合されている。
この可塑剤は、レザー使用中に、レザーの表面側に徐々
に移行し、レザー表面の随所に可塑剤の被膜を形成する
(この現象をブリードと呼んでいる)。可塑剤がブリー
ドすると、可塑剤の油性に起因して、汚れが付着し易
く、ベタ付き感が発生する。
【0003】 上記のような欠点に対処するために、従
来、レザー表面を表面処理剤で処理する技術が開発され
ている。この技術によれば、塵や埃等の付着を防止し、
付着しても落ち易く、ベタ付き感をも解消する等ある程
度の効果を得ることができる。しかし、油性の汚れに対
しては、完全な対策とはなっておらず、付着自体を防止
することができないばかりか、一旦付着すると、落ち難
い上、レザー表面の付着にとどまらず、塩化ビニル樹脂
層にエンボス加工により形成された細かい凹凸紋(シボ
と呼ばれる)の内部にまで入り込み、更には塩化ビニル
樹脂層中に滲み込み、除去不可能となる。しかも、表面
処理剤は、水や溶剤等により流出し易いと言う欠点もあ
る。
【0004】そこで、近年、上記の表面活性剤による処
理技術に代えて、フッ素系樹脂フィルムを接着剤により
上引き層である塩化ビニル樹脂層上に貼着する技術が開
発され、広く採用されつつある。この技術によれば、上
記のような油性の汚れに対しても良好な効果を発揮し、
耐汚染性が充分となる上、フッ素系樹脂フィルムによる
耐摩耗性,耐薬品性,耐久性等の特性も付与される。従
って、フッ素系樹脂フィルムを表面に貼着したレザー
は、耐汚染性,耐摩耗性,耐薬品性,耐久性に優れた言
わゆる機能性レザーとして、広い範囲での使用が期待さ
れる。
【0005】
【発明が解決するための課題】しかし、上記の機能性レ
ザーの場合、表面に貼着されたフッ素系樹脂フィルムに
起因して、次のような問題が新たに発生している。 (1)フッ素系樹脂フィルムは高度の光沢があるため、
ツヤ消し調のレザーが得られず、全てツヤのあるレザー
となってしまい、使用箇所が制限される。 (2)フッ素系樹脂フィルムは硬質であるため、レザー
の風合いが硬く、優れた感触とは言い難い。 (3)上記(1)及び(2)により、上記の機能性レザ
ーは、天然レザーに比して、外観あるいは肌触りが劣
り、商品価値も低い。
【0006】本発明は、以上の点を考慮し、家具,鞄,
車両等の表面材や、靴の胛被,袋物等に使用される耐汚
染性,耐摩耗性,耐薬品性等に優れた機能性レザーであ
ると共に、ツヤ消し調であって、しかも風合い等の感触
に優れた、より天然レザーに近い機能性レザー、及び該
レザーの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の機能性レザー
は、基布上に発泡体層が、該発泡体層上に直接又は塩化
ビニル系樹脂製の上引き層を介してフッ素系樹脂フィル
ムが積層されてなる機能性レザーであって、少なくとも
該フッ素系樹脂フィルムの表面層に大きさの不均一な微
細な凹凸紋が形成されてなることを特徴とする。また、
本発明の製造方法は、基布上に発泡体層、又は発泡体層
と塩化ビニル系樹脂製の上引き層とを積層した後、該発
泡体層又は上引き層上にフッ素系樹脂フィルムを貼着
し、次いで湿熱条件下で揉み加工を行うことを特徴と
し、この湿熱条件下での揉み加工に先立ってエンボス加
工を施すことをも特徴とする。
【0008】本発明レザーにおける基布としては、天然
又は合成繊維製の織布,不織布,編布等、通常この種の
レザーに使用されている基布材が好ましく使用でき、特
に本発明レザーを柔軟な風合いとする上で起毛布が適し
ている。基布の厚味は、特に限定せず、本発明レザーの
使用目的に応じて、適宜の厚味が選定される。このよう
な基布上の発泡体層としては、塩化ビニル樹脂,酢酸ビ
ニル樹脂,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂,アクリ
ル系樹脂等のこの種レザーに使用されている通常の合成
樹脂と発泡剤、必要に応じて使用される可塑剤,着色
剤,安定剤,防汚剤,防黴剤,滑剤,難燃剤等の各種添
加剤による発泡体層が挙げられる。
【0009】この発泡体層の発泡倍率は、後述する少な
くともフッ素系樹脂フィルムの表面層に、シボと称され
る大きさの不均一な微細な凹凸紋を形成して、本発明レ
ザーを柔軟な風合いとする上で重要な要素の1つであ
り、発泡倍率が低過ぎると良好な風合いを得ることがで
きない。また、発泡倍率は、高ければ高い程、柔軟な風
合いとなり、かつ本発明レザーを軽量化する反面、発泡
不良を発生する確率が高くなりフッ素系樹脂フィルムの
貼着を不良とし、しかも機械的強度を低下させる。従っ
て、本発明レザーにおいては、130〜250%、好ま
しくは150〜200%が適している。
【0010】本発明レザーにおける上引き層としては塩
化ビニル系樹脂が使用される。この塩化ビニル系樹脂と
しては、ポリ塩化ビニル,塩化ビニルモノマーと共重合
可能な他のモノマーとの共重合体,あるいはこれら樹脂
のブレンド体等、この種のレザーとして従来から使用さ
れている樹脂が使用できる。上記の塩化ビニルモノマー
と共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレ
ン,プロピレン,酢酸ビニル,塩化ビニリデン,アクリ
ル酸,アクリル酸エステル,メタクリル酸,メタクリル
酸エステル,マレイン酸,フマル酸アクリロニトリル等
が挙げられる。このような塩化ビニル系樹脂には可塑剤
として、ジブチルフタレート,ジイソブチルフタレー
ト,ジオクチルフタレート,ジドデシルフタレート,ブ
チルベンジルフタレート,ジイソデシルフタレート,ジ
ヘキシルフタレート,ジイソノニルフタレート,ジオク
チルアジペート,ジイソデシルアジペート,ジブチルセ
バケート,ジオクチルセバケート,トリブチルフォスフ
ェート,トリクレジルフォスフェート,トリフェニルフ
ォスフェート,トリクロルエチルフォスフェート,トリ
オクチルフォスフェート,ジフェニルクレジルフォスフ
ェート等の外、トリメリット酸エステル系可塑剤、エポ
キシ系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等が、単独で又は
複数混合して配合される。これら可塑剤の配合割合は、
可塑剤の種類に応じて適宜最適な割合が選定されるが、
一般には、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して可塑
剤50〜150重量部程度とすることが好ましい。な
お、上記の上引き層には、これら可塑剤の他に、必要に
応じて着色剤,安定剤,防汚剤,防黴剤,滑剤,難燃剤
等の添加剤を適量添加したものであってもよい。上引き
層の厚味は、余り厚過ぎると風合いが硬くなるため、柔
軟な風合いを得る上では薄い方が良いが、余り薄過ぎる
と機械的強度が低下し、用途が狭くなる傾向にある。従
って、本発明レザーでは、0.1mm程度を下限とし、
上限は0.2mm程度とすることが好ましい。
【0011】上記の上引き層(あるいは発泡体層)上の
フッ素系樹脂フィルムとしては、四フッ化エチレン,三
フッ化塩化エチレン,フッ化ビニリデン,フッ化ビニ
ル,六フッ化プロピレン,パーフルオロピニルエーテ
ル,その他のフッ素含有モノマーの単独重合体又は共重
合体、あるいはこれらのフッ素含有モノマーとフッ素を
含有しないモノマーとの共重合体、例えばエチレン−四
フッ化エチレン共重合体,エチレン−三フッ化塩化エチ
レン共重合体等が使用される。このようなフッ素系樹脂
フィルムは、必要に応じて紫外線吸収剤,着色剤,安定
剤,防汚剤,防黴剤,滑剤,難燃剤等の添加剤を適量添
加したものであってもよいが、フッ素系樹脂以外の樹脂
は実質的に含んでいないものである。フッ素系樹脂フィ
ルムの厚味は、厚過ぎるとレザー表面が硬くなり過ぎ
て、柔軟な風合いとならないばかりか、シボ形成も不良
となり、加えて材料コストが大幅にアップする。逆に薄
過ぎると、表面強度が低下して耐摩耗性,耐久性が向上
せず、しかも耐薬品性も向上しない。従って、本発明レ
ザーでは、5〜50μm程度、好ましくは10〜20μ
m程度が適している。
【0012】本発明レザーは、少なくとも上記のフッ素
系樹脂フィルムの表面層にシボが形成されたものである
が、このシボは少なくとも該フィルムの表面層全域にで
きるだけ均一に形成されていることが、本発明レザーの
歩留りを向上させる上で好ましい。但し、シボの微細な
凹凸の高低や面積等の大きさは不均一であって良く、む
しろ不均一である方がより天然レザーに近い風合いとな
る。また、シボは、上記のフッ素系樹脂フィルムの表面
層のみにとどまらず、前記した上引き層あるいは発泡体
層にまで形成されていてもよい。上引き層や発泡体層に
までシボが形成されていると、より一層柔軟な風合いと
なり、外観も肌触りも一層良好となって、本発明レザー
の商品価値を高める。
【0013】なお、本発明レザーにおいて、上記の上引
き層には、通常の塩ビレザーの場合と同様に、天然レザ
ーの表面模様に近似させた言わゆる雲柄等の模様、その
他適宜の模様がプリントされていてもよい。
【0014】 以上のような構成の本発明レザーは、
以下に詳述する本発明の製造方法によって製造すること
ができる。本発明の方法では、前述の基布上に、通常の
塩ビレザーの製造方法と同様にして前述の発泡体層及び
上引き層(あるいは発泡体層のみ)を形成する。この
後、上引き層上に(あるいは発泡体層上に)フッ素系樹
脂フィルムを接着剤により貼着する。この接着剤として
は、上引き層を構成する塩化ビニル系樹脂(あるいは発
泡体層を構成する樹脂)とフッ素系樹脂フィルムの両者
を強固に接着し得る性質のものであればどのようなもの
でも良く、例えば塩化ビニリデン系,アクリル系,アク
リルエポキシ系,アクリルフェノール変性ビニル系,ポ
リエステル系等の感温接着剤等が使用される。接着剤
は、予めフッ素系樹脂フィルムの上引き層(あるいは発
泡体層)との接触面に塗布しておいてもよいし、該フィ
ルムの貼着作業に先立って上引き層(あるいは発泡体
層)上に塗布してもよい。なお、上記のような感温接着
剤を使用する場合には、加温状態にした上引き層(ある
いは発泡体層)とフッ素系樹脂フィルムとを接触させ、
次いでロール間を通過させる等の熱圧着等により両者を
強固に貼り合わせる。両者の接着が不充分であると、後
述する湿熱条件下での揉み加工の際に、両者間にスチー
ムが入り込み、フッ素系樹脂フィルムの剥離等の不都合
を生じる。このようにフッ素系樹脂フィルムに接着剤層
を積層して多層シート化する手段としては、共押出し等
の公知のラミネート方法であってもよく、更にこの接着
剤層は多層のものであってもよい。このような多層化シ
ートの具体例としては、フッ素系樹脂フィルム/アクリ
ル系樹脂層,フッ素系樹脂フィルム/アクリル系樹脂層
/塩化ビニル系樹脂層等からなるものが挙げられる。
【0015】上記のようにしてフッ素系樹脂フィルムを
貼着した後、湿熱条件下で揉み加工を行う。本発明方法
における揉み加工は、上記のようにしてフッ素系樹脂フ
ィルムを貼着した機能性レザーを機械的に摘んで上下,
左右,前後等種々の方向に小刻みに往復動させたり、あ
るいは合成皮革の分野で行われているタンブラー加工等
により行われる。但し、前者の機械的な往復動による揉
み加工では、薄いフッ素系樹脂フィルムの破れ事故が発
生する可能性があるため、摘み加減や往復動時の引っ張
り加減等の微妙な調整が必要となる。上記のタンブラー
加工は、本発明方法では、例えば、内部に複数枚の邪魔
板が取り付けられたタンブラー内に、上記の機能性レザ
ーを適宜長さ(例えば20〜30m程度)に切断して投
入し、タンブラーを回転させることにより行われる。タ
ンブラーの回転に伴い、機能性レザーは、邪魔板の作用
によりタンブラーの上方へ持ち上げられ、タンブラー上
方から下方へ落下する。この動作の繰り返しにより、フ
ッ素系樹脂フィルムの表面層に、あるいは上引き層及び
発泡体層にまでシボが形成される。
【0016】このシボの形成を良好にする、言い換えれ
ば天然レザーに近い微細なシボを形成すると共に柔軟な
風合いにするために、本発明方法では、揉み加工を湿熱
条件下で行う。本発明方法における湿熱条件は、湿度及
び温度とも低過ぎると、シボの形成ができないか、形成
されても少な過ぎ、天然レザー様の柔軟な風合いのもの
が得られない。逆に、湿度及び温度とも高過ぎると、基
布の剥離や発泡体層の2次発泡が生起する等の不都合が
生じる。また、湿度が低く温度が高いと、極く微細なシ
ボのみが形成されて、高低や面積等の大きさの不均一な
シボとならず、天然レザー様とならないばかりか、柔軟
な風合いともならない。逆に、湿度が高く温度が低い
と、シボが充分に形成されない。従って、本発明方法で
は、湿度を70〜100%,好ましくは90〜100%
とし、温度を40〜100℃、好ましくは85〜95℃
とすることが適している。
【0017】上記のタンブラー加工による場合は、塩ビ
レザーを水に浸漬し、適度に絞ったものを加熱したタン
ブラー内に投入し、塩ビレザーから水蒸気を発生させて
上記の湿熱条件を出現させたり、タンブラー内に加熱ス
チームを送入するか、スチームの送入とタンブラーの加
熱とを行う等により、タンブラー内に上記の湿熱条件を
出現させて行えばよい。また、機械的に往復動させて揉
み加工を行う場合も勿論、上記の湿度及び温度の湿熱条
件下で行うことが好ましい。なお、湿熱条件下での揉み
加工の時間は、余り短時間であると、充分なシボが形成
されず、シボが形成されない領域も残り、余り長時間で
あっても、加工効果が飽和してしまい不経済であるのみ
ならず、基布の縮が大きくなり過ぎる等の不都合も生じ
るため、本発明方法では、0.5〜2時間、好ましくは
1〜1.5時間程度が適している。
【0018】以上の工程が終了したなら、自然乾燥又は
強制乾燥及び自然冷却又は強制冷却を行う。これによ
り、少なくともフッ素系樹脂フィルムの表面層に形成さ
れた微細で大きさの不均一なシボが固定されて、前述し
た本発明レザーが製造される。
【0019】また、本発明方法では、上記の湿熱条件下
での揉み加工に先立ち、エンボス加工を施すこともでき
る。このエンボス加工は、通常の塩ビレザーに施すエン
ボス加工と同様のものであってよい。上記の湿熱条件下
で揉み加工を行う前にエンボス加工を施しておくと、揉
み加工によるシボ形成効果が向上し、より一層天然レザ
ーに近い微細でかつ大きさの不均一なシボが形成され、
風合いもより一層良好となる。なお、エンボス加工は、
フッ素系樹脂フィルムの貼着後に行うことが重要であ
る。何故なら、該フィルムの貼着前に上引き層上にエン
ボス加工を施すと、該加工により上引き層に形成される
シボが、薄いフッ素系樹脂フィルムの貼着性を阻害し、
均一な貼着を不可能とするからである。更に、本発明方
法においては、上記のフッ素系樹脂フィルムの貼着前
に、前述の雲柄,その他の模様をプリントすることもで
きる。
【0020】
【作用】本発明レザーでは、少なくともフッ素系樹脂フ
ィルムの表面層に形成された高低や面積等の大きさの不
均一な微細なシボにより、光りの乱反射作用があり、フ
ッ素系樹脂フィルムに特有の高度の光沢が減殺され、ツ
ヤ消し調となる。また、上記のシボは、柔軟な風合いを
もたらす作用をも有し、本発明レザーを天然レザー様の
感触とする。そして、上記のシボは、フッ素系樹脂フィ
ルムが本来的に有している特性である耐摩耗性,耐薬品
性,耐久性等を損なわず、かつ該フィルムによる上引き
層からの可塑剤のブリード遮蔽効果をも損なわない。以
上により、本発明レザーは、従来の機能性レザーの特性
を維持したまま、ツヤ消し調で、かつ柔軟な風合いの、
天然レザーに一層近い感触を有するものとなる。
【0021】また、本発明の製造方法では、フッ素系樹
脂フィルムを貼着した塩ビレザーを湿熱条件下で揉み加
工を行うが、この時の湿度と温度が、少なくともフッ素
系樹脂フィルムを柔軟にし、揉み加工効果を向上させ
て、上記の作用を有する微細で大きさの異なるシボを、
少なくとも該フィルムの表面層に良好に形成させる。こ
の湿度と温度は、フッ素系樹脂フィルムの下に存在する
上引き層や発泡体層をも柔軟にし、揉み加工の効果をこ
れらの層にも及ぼしめ、これらの層にも上記のようなシ
ボを良好に形成させる。加えて、上記の湿度と温度は、
基布をも幾分縮ませ、この基布の縮も製品レザー全体の
風合い等の感触を柔軟で、かつツヤ消し調にし、天然レ
ザーに近似させる作用を有する。
【0022】更に、本発明の製造方法で、上記の湿熱条
件下での揉み加工に先立って行うエンボス加工は、該揉
み加工によるシボ形成効果を向上させる作用を有する。
すなわち、エンボス加工によっても微細なシボが形成さ
れる。このシボの上に湿熱条件下での揉み加工によって
形成されるシボが加わって、シボの状態が複雑となり、
天然レザーの風合いに一層近似する。また、エンボス加
工によって形成されたシボが塩ビレザーを柔軟にする作
用をも有し、柔軟なレザーに湿熱条件下で揉み加工を行
うと、より良好な状態でシボ形成が行われる。
【0023】また、本発明レザーにおいて、上引き層を
設けない構造のものは、風合いが特に重視される分野に
向く。このような構造のレザーを製造する方法は、上引
き層を有するレザーを製造する工程において、上引き層
の形成工程を単に省略するのみである。
【0024】
【実施例】
実施例1 図1に示す本発明レザーの一実施例を、本発明の製造方
法の一実施例により製造した。すなわち、先ず、通常の
塩ビレザーの製造方法に沿って、起毛布(厚さ0.6m
m)1上に、表1の組成からなる発泡体層(厚さ0.4
mm,発泡倍率180%)2及び表2の組性からなる上
引き層3を積層した。次いで、この積層体と、裏面(す
なわち上記の上引き層3との接触面)に接着剤(アクリ
ク樹脂)4が塗布されているフッ素系樹脂フィルム(厚
さ20μm)5とを、110℃に加温して接着剤4の接
着性を確保した上で、フッ素系樹脂フィルム5の接着剤
層4を積層体の上引き層3に接触させ、ロール間に挟ん
で加圧し、両者(積層体とフッ素系樹脂フィルム5)を
接着剤4により強固に接着させた。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】このようにして得られた機能性レザーを、
30mに切断して水中に浸漬し、水分含有量30wt%
程度となるように軽く絞り、タンブラー内に投入した。
このタンブラーは、内部が100℃となるように加熱さ
れており、投入された機能性レザーに含まれている水分
が蒸発し、タンブラー内部は相対湿度95〜100%に
保持された。この湿熱条件下で、タンブラーを30〜6
0rpmで回転させ、約1時間の揉み加工を行った。こ
の結果、図1に示すように、フッ素系樹脂フィルム5,
上引き層3及び発泡体層2の何れにも、微細で大きさの
不均一なシボSが、全面に均一に形成されていた。
【0028】上記のようにして得られた本発明レザー
(以下、本発明レザー1と言う)と、タンブラー加工前
の機能性レザー(以下、比較レザー1と言う)とについ
て、油性の汚れ(マジックインク)に対する耐汚染性,
天然皮革と接触させた場合の染料に対する耐移行性,耐
摩耗性,耐薬品(メタノール,トルエン,化粧品等)性
を調べたところ、両レザーとも同様の性能を示した。ま
た、光沢と柔軟性とを比較したところ、光沢は本発明レ
ザー1が良好なツヤ消し調であるのに対し、比較レザー
1は高度な光沢を有しており、柔軟性は本発明レザー1
が充分柔らかいのに対し、比較レザー1は硬い感触であ
った。
【0029】実施例2 湿熱条件下でのタンブラー加工に先立って皮シボ調のエ
ンボス加工を施した以外は、実施例1と同様にして本発
明レザー(以下、本発明レザー2と言う)を製造した。
本発明レザー2と、エンボス加工後であってタンブラー
加工前の比較レザー(以下、比較レザー2と言う)とに
ついても、実施例1と同様の耐汚染性,耐移行性,耐摩
耗性,耐薬品性を調べたところ、両レザーとも同様の性
能を示した。また、光沢と柔軟性とを実施例1と同様に
して比較したところ、光沢は本発明レザー2が良好なツ
ヤ消し調であるのに対し、比較レザー2は高度な光沢を
有しており、柔軟性は本発明レザー2が充分柔らかいの
に対し、比較レザー2は硬い感触であった。更に、本発
明レザー1と本発明レザー2について、実施例1と同様
の光沢と柔軟性とを実施例1と同様にして比較したとこ
ろ、光沢は本発明レザー1の方が本発明レザー2に比し
てやや高く、柔軟性は本発明レザー2の方が本発明レザ
ー1よりも柔らかい感触であった。
【0030】実施例3 上引き層3が積層されていない積層体の発泡体層2上
に、直接、フッ素系樹脂フィルム5を接着させた以外
は、実施例1と同様にして本発明レザー(以下、本発明
レザー3と言う)を製造した。本発明レザー3につい
て、実施例1と同様の耐汚染性,耐移行性,耐摩耗性,
耐薬品性を調べたところ本発明レザー1と同様の性能を
示し、光沢も本発明レザー1と同様であり、柔軟性は本
発明レザー3の方が優れた風合いであった。
【0031】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明レザーによ
れば、フッ素系樹脂フィルムによる耐汚染性,耐移行
性,耐摩耗性,耐薬品性,耐久性等の機能を保持したま
ま、少なくとも該フィルムの表面層に形成されているシ
ボにより、ツヤ消し調で、かつ柔軟な風合いを持ち、天
然レザーに近似した外観,肌触り等の感触を有するもの
となり、用途を大幅に拡大させ、商品価値も大幅に向上
させる。また、本発明の製造方法では、湿熱条件下で揉
み加工により、上記のような効果をもたらすシボの形成
を極めて良好におこなうことができる。更に、この揉み
加工に先立ってエンボス加工を施すことにより、更にシ
ボ形成を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一実施例により製造された
本発明レザーの一実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基布 2 発泡体層 3 上引き層 4 接着剤層 5 フッ素系樹脂フィルム層 S 凹凸紋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 33/00 7148−4F

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基布上に発泡体層が、該発泡体層上に直
    接又は塩化ビニル系樹脂製の上引き層を介してフッ素系
    樹脂フィルムが積層されてなる機能性レザーであって、
    少なくとも該フッ素系樹脂フィルムの表面層に大きさの
    不均一な微細な凹凸紋が形成されてなることを特徴とす
    る機能性レザー。
  2. 【請求項2】 基布上に発泡体層、又は発泡体層と塩化
    ビニル系樹脂製の上引き層とを積層した後、該発泡体層
    又は上引き層上にフッ素系樹脂フィルムを貼着し、次い
    で湿熱条件下で揉み加工を行うことを特徴とする請求項
    1記載の機能性レザーの製造方法。
  3. 【請求項3】 湿熱条件下での揉み加工に先立ち、エン
    ボス加工を施すことを特徴とする請求項2記載の製造方
    法。
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