JPH0742652B2 - 柔軟な皮革様シ−ト状物の製造方法 - Google Patents

柔軟な皮革様シ−ト状物の製造方法

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JPH0742652B2
JPH0742652B2 JP18899686A JP18899686A JPH0742652B2 JP H0742652 B2 JPH0742652 B2 JP H0742652B2 JP 18899686 A JP18899686 A JP 18899686A JP 18899686 A JP18899686 A JP 18899686A JP H0742652 B2 JPH0742652 B2 JP H0742652B2
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公允 浅野
憲一 田川
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鐘紡株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は皮革様シート状物の製造方法に関するものであ
り、詳しくはポリエステル繊維を主体とする基布にポリ
ウレタンエラストマーの多孔質湿式凝固物を充填してな
る皮革様シート状物であって、柔軟性風合のより改善さ
れた該シート状物を製造するための方法に関するもので
ある。
〔従来の技術〕
不織布等の基布にポリウレタンエラストマーの水混和性
有機溶媒溶液を含浸し、湿式凝固、乾燥して皮革様のシ
ート状物とすることはよく知られており、またその際ポ
リウレタンエラストマー溶液の含浸に先立って、基布を
ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂で仮固着しておく
ことにより、得られるシート状物の柔軟性が改善される
ことも知られている。
このポリビニルアルコールによる処理は、基布を構成す
る繊維とバインダーのポリウレタンエラストマーとの間
に空隙を作り、折り曲げ等に対して繊維がある程度自由
に偏位ないしは変形し得るようにすることにより、シー
ト状物の柔軟性を向上せしめようとするものであり、事
実、ナイロン,アクリル,綿,レーヨンなどの繊維から
なる基布に関しては、これによって実用上充分満足すべ
き柔軟性を具えたシート状物が得られている。
しかしながら、ポリエステル繊維を主体とする基布を使
用したシート状物については、そのコスト面での優位性
さらには繊維物性に基づく剛直性等からして、柔軟化が
最も望まれているにも拘らず、ポリビニルアルコール処
理によっては、他繊維にみられるような有効な柔軟化効
果は認められない。このため、ポリビニルアルコールの
使用量を他繊維の場合の2〜4倍(例えば、対繊維重量
で50〜60%もの高率)とすることも行われているが、こ
の場合にもなお充分満足すべき柔軟性は得られないのみ
ならず、かえってポリビニルアルコールの使用量の増大
に伴って品質ムラの問題とか廃水処理の問題等をかかえ
ることゝなっている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明者等は上記の如き従来技術の問題点に鑑み、ポリ
エステル繊維を主体とする基布を用いて柔軟性に富んだ
皮革様シート状物を、しかも工業的に有利に製造する方
法について鋭意研究を進めた結果、上述のポリビニルア
ルコールによる処理に際して系中にアルカリ金属水酸化
物を共存せしめるようにすると、驚くべきことにポリビ
ニルアルコールの使用量が従来の数分の1で済み、しか
も従来以上に柔軟性にすぐれたシート状物を製造し得る
ことを知り、かゝる知見に基づいて本発明を完成するに
至った。
〔問題点を解決するための手段〕
即ち、本発明は、ポリエステル繊維を主体とする基布に
ポリビニルアルコールを固着せしめた後、ポリウレタン
エラストマーの水混和性有機溶媒溶液を含浸し、次いで
これを水性媒体中で湿式凝固せしめ水洗乾燥して皮革様
シート状物を製造するに際し、上記ポリビニルアルコー
ルの基布への固着を、アルカリ金属水酸化物の存在下に
行うことを特徴とする皮革様シート状物の製造方法であ
る。
本発明に於てポリエステル繊維とは、ポリエチレンテレ
フタレートまたはポリブチレンテレフタレートを主たる
構成ポリマーとしてなるものを云い、それらポリマーは
更に少量の改質剤、例えばイソフタル酸,ポリエチレン
グリコール,スルフォン酸もしくはホスフォン酸導入芳
香族ジカルボン酸等によって改質されていてもよい。
また、ポリエステル繊維を主体とする基布とは、一般に
上記の如きポリエステル繊維を70重量%程度以上含む織
物,編物、それらの起毛加工品、あるいは不織布等を意
味する。ポリエステル繊維以外の繊維を構成繊維として
含む場合、かゝる他の繊維としては、アルカリ金属水酸
化物に対してある程度の抵抗性を示すもの、例えば綿,
レーヨン,ポリアミド繊維,ポリオレフィン繊維などが
好ましい。
基布の目付,構成繊維の繊度等は、本発明方法の適用可
能性ないしは有効性の観点からは特に制限を受けるもの
ではないが、本発明方法による柔軟性改善効果、とりわ
け風合,手触り等の官能評価をも考慮した場合に於ける
該効果は、目付が50〜500g/m2、特に100〜300g/m2で、
構成繊維の繊度が0.1〜3d、特に0.1〜1.5dの範囲にある
ような基布の場合に最も顕著に発揮される。
本発明に於ては、上記の如きポリエステル繊維を主体と
する基布に、ポリウレタンエラストマー含浸前にポリビ
ニルアルコールによる処理を施し、ポリビニルアルコー
ルを基布(より正確には基布構成繊維表面)に固着せし
めるに当り、系中にアルカリ金属水酸化物を共存せしめ
るようにする。
こゝに用いるアルカリ金属水酸化物としては、リチウ
ム,ナトリウム,カリウムなどの水酸化物があり、それ
らはいずれも有効であるが、なかでもナトリウムあるい
はカリウムの水酸化物の使用が工業的観点から望まし
い。
これらのアルカリ金属水酸化物の存在下にポリビニルア
ルコールを基布に固着させる方法としては種々の方法が
あるが、まずアルカリ金属水酸化物は、ポリビニルアル
コールが溶液状態から乾燥により基布繊維上に析出,固
着する際にポリビニルアルコールと共存状態にあること
が必要でありかゝる要件を満すべきことゝ、さらに好ま
しい態様として、基布(構成繊維)がアルカリ金属水酸
化物の存在下に加熱処理されることがあること等を考慮
すると、次の3つの方法を好ましいものとして例示する
ことができる。
まず第1の方法は、基布をアルカリ金属水酸化物の水溶
液中で加熱処理した後、アルカリ金属水酸化物を除去す
ることなく引き続きこれにポリビニルアルコールによる
処理を施す方法である。
この場合、アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度としては
0.2〜5重量%(以下、特に断らない限り%はすべて重
量%を意味する)が適当であり、かゝる溶液中にて基布
を50〜98℃で0.5〜30分間浸漬加熱処理し、必要により
絞液した上、これにポリビニルアルコール水溶液を含浸
し、乾燥することにより基布(構成繊維表面)にポリビ
ニルアルコールが固着される。アルカリ金属水酸化物水
溶液による処理に際して、その濃度が5%を超えて高濃
度となると、強アルカリのためにポリエステル繊維自体
が強力低下をきたす恐れがある。また、ポリビニルアル
コール水溶液の含浸前に、基布に付着しているアルカリ
金属水酸化物を中和あるいは水洗等により除去してしま
うと、本発明で目的とする柔軟なシート状物は得られな
い(後述の比較例5参照)。
第2の方法は、基布にアルカリ金属水酸化物水溶液を含
浸し加熱乾燥した後、ポリビニルアルコールによる処理
を施す方法であり、アルカリ金属水酸化物の存在下での
基布の加熱処理を、浸漬加熱処理に代えて含浸後の加熱
乾燥処理によって行うほかは、上記第1の方法と同様に
して実施される。
加熱乾燥条件としては、80〜150℃、0.5〜30分間が適当
である。なお、この場合にも加熱乾燥処理後、ポリビニ
ルアルコールの含浸前に水洗等によりアルカリ金属水酸
化物を除去すると柔軟性改善効果が不十分となることは
云う迄もない。
第3の方法は、アルカリ金属水酸化物とポリビニルアル
コールとを含む混合水溶液を基布に含浸し乾燥するか、
もしくは該混合水溶液中で基布を浸漬加熱処理した後乾
燥する方法である。
この場合、アルカリ金属水酸化物の濃度,含浸‐乾燥条
件,浸漬加熱条件等は、第1または第2の方法と同様で
あって何ら差し支えない。
以上の方法のうち、第2の方法あるいは第3の方法に於
ける含浸‐乾燥法の如く、アルカリ金属水酸化物水溶液
による基布の加熱処理を、浸漬法ではなく所謂パッド−
ドライ法によって行う場合には、該水溶液中に水溶性の
高沸点液状物質を少量添加しておくようにすることが望
ましい。かくすることにより、アルカリ金属水酸化物溶
液は、加熱乾燥の進行に伴って高濃縮状態となった時に
も、疎水性のポリエステル繊維表面に斑点状あるいは粒
状にムラ付きするようなことがなくなり、従って乾燥後
アルカリ金属水酸化物は繊維表面に均一に付着すること
ゝなる。この均一付着の結果、低濃度のアルカリ金属水
酸化物水溶液の使用によっても充分な柔軟性を有するシ
ート状物を得ることが可能となり、強アルカリに基づく
基布の物性低下等の心配がなくなる。
こゝに用いる水溶性高沸点液状物質としては、エチレン
グリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリ
コール,ポリエチレングリコール,ジプロピレングリコ
ール等のグリコール類が好適であり、その添加量はアル
カリ金属水酸化物溶液の媒体部分(水と高沸点液状物質
との合計)の10〜30%を占めるような量とすることが好
ましい。
ポリビニルアルコールによる処理は、前記した3つの方
法のいずれの場合も、通常のポリビニルアルコール処理
に準じて行うことができる。
即ち、使用するポリビニルアルコールとしては、最終的
に溶解除去が容易なように水溶性に富むものが望まし
く、かゝる意味からして、その重合度は300〜1,000程
度、またケン化度は88モル%程度以上がそれぞれ好まし
い。その溶液中濃度は一般に5〜20%の範囲とするのが
よく、特に10%前後とすると、低粘度で基布への浸透性
にすぐれる一方、基布への固着量の調整も容易であって
好ましい。
ポリビニルアルコールの基布に対する固着量について
は、本発明方法の場合一般に基布重量の5%前後の固着
で既に相当の柔軟化効果が認められるのでかゝる点と、
さらに基布の種類、シート状物の用途等を勘案して、そ
れぞれ最適の固着量が決定される。例えば、靴,鞄用の
人工皮革に使用するシート状物の場合であれば、5%以
上、特に10〜20%の範囲とするのが適当であり、かゝる
範囲で充分に柔軟性に富むシート状物を得ることが出来
る。従来法の場合、同様のポリエステル繊維使いの基布
に柔軟性を付与しようとすると、60%にも及ぶ高固着量
とすることが必要であり、しかもその柔軟化効果はなお
充分とは云えないことからすると、本発明方法に於て、
上記の低固着量で有効な柔軟化効果が得られることは全
く驚くべきことであり、またこの低固着量で済むことは
得られるシート状物の品質面、さらには操業性,経済性
等からして極めて有利である。
このポリビニルアルコールの基布への固着は、常法に従
って基布にポリビニルアルコール水溶液(あるいは前記
の第3の方法の場合であれば、ポリビニルアルコールと
アルカリ金属水酸化物を含む溶液)を含浸した後、絞液
して所望の含浸量(固着量)となるように調整し、80〜
150℃で0.5〜30分間加熱乾燥することによって行われ
る。
以上の如くして、アルカリ金属水酸化物の存在下にポリ
ビニルアルコールを固着せしめた基布に、次いでポリウ
レタンエラストマーの水混和性有機溶媒溶液を含浸し、
湿式凝固,水洗,乾燥せしめて皮革様シート状物を調製
するが、この工程も常法に準じて行うことが出来る。
即ち、ポリウレタンエラストマーの水混和性有機溶媒溶
液(以下、ポリウレタンエラストマー溶液という)とし
ては、ポリエステル型もしくはポリエーテル型ポリウレ
タンエラストマーをテトラヒドロフラン,ジメチルホル
ムアミド,ジメチルアセトアミド等の水混和性有機溶媒
中に10〜25%、好ましくは15〜20%の濃度となるように
溶解したものが用いられる。ポリウレタンエラストマー
は、耐アルカリ加水分解性の観点からはポリエーテル型
の使用が望ましいが、ポリエステル型についても、後述
の湿式凝固後の水洗(ポリビニルアルコール,アルカリ
金属水酸化物等の除去)工程に於て、充分に中和、水洗
を行うようにすることにより、同様に使用が可能であ
る。
ポリウレタンエラストマー溶液の基布に対する含浸量
は、皮革様シート状物の使用目的等によっても異なる
が、一般に基布とポリウレタンエラストマー固型分との
比率が重量比で35:65〜70:30の範囲となるようにするの
が適当である。
ポリウレタンエラストマー溶液を含浸した基布の湿式凝
固は、好適には、水もしくは20%までの水混和性有機溶
媒を含む水を凝固媒体として用い、該媒体中に基布を30
〜50℃で1〜20分間浸漬することによって行われる。こ
の湿式凝固に際して、凝固調整剤、例えば尿素等の凝固
促進剤あるいは、ノニオン系,アニオン系の界面活性剤
等を併用することは好ましいことであり、これによって
脱溶媒性を向上せしめることが出来る。
この湿式凝固が終ったならば、次にこゝに生成したシー
ト状物を絞りロールに通しながら順次水洗し、有機溶媒
あるいはポリビニルアルコール等を充分に溶出させた
後、常法に従って乾燥することにより目的の皮革様シー
ト状物が得られる。
なおこの場合、用いたポリウレタンエラストマーがポリ
エステル型である時には特にそうであるが、水洗後にも
なお微量残存し勝ちなアルカリ金属水酸化物に基づくエ
ラストマーの経時的な加水分解劣化等を防止するため、
水洗工程に先立ってあるいはその途中でアルカリを中和
するための処理を施すことが望ましい。
かくして本発明の方法によれば、従来のポリビニルアル
コール処理では困難であったポリエステル繊維使いの基
布からなる皮革様シート状物の柔軟化が、従来法の場合
の数分の1あるいはそれ以下のポリビニルアルコールを
用いる丈で、しかもより効果的に達成され、ポリエステ
ル繊維使いであってしかもソフト感,風合にすぐれた皮
革様シート状物を容易に製造することができる。本発明
方法によってかゝる特段の効果が奏し得られる理由は定
かではないが、ポリビニルアルコール処理の際系中に共
存するアルカリ金属水酸化物が、ポリエステル繊維表面
のポリビニルアルコールに対する濡れ性を改善し、これ
によってポリビニルアルコールが該繊維表面を均一に被
覆することが可能となったこと、あるいはアルカリ金属
水酸化物によって乾燥時のポリビニルアルコールのマイ
グレーションが防止されたこと等が要因として考えられ
る。
いずれにせよ本発明は、安価なポリエステル繊維を使用
し、しかもポリビニルアルコールの使用量の低減された
工程的に有利な手法を以て、なおかつ柔軟性,風合にす
ぐれた皮革様シート状物を提供し得たものであって、そ
の工業的意義は頗る大である。
本発明の皮革様シート状物は、これをそのまゝ種々の用
途に使用することも可能であるが、さらに付加的工程、
例えば銀面加工工程,スエード化のためのバフィング工
程,染色仕上げ工程等を施せば、従来にない安価でかつ
良好な充実感、ソフト感に満ちた皮革代替物が提供され
る。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明す
る。
なお、各実施例に於てシート状物の柔軟性の指標として
は、JIS L 1096曲げ反発性試験法のA法(ガーレー
法)によって測定したガーレー剛軟度を用いた(該数値
が小さいものほど柔軟性に富むことを示す)。また、強
伸度はJIS K 6550に従って測定した。
実施例1. 繊度1.5d、繊維長38mm、クリンプ数15山/インチのレギ
ュラーポリエステル短繊維60重量部と、繊度1.5d,繊維
長51mm、クリンプ数20山/インチで沸水収縮率が30%の
収縮ポリエステル短繊維40重量部の混合綿を、カーディ
ング機,クロスラッパー機によりウエブ化し、次いで40
番手のニードル針により上,下からそれぞれ300パンチ
ング/cm2の密度でニードリング処理して、厚さ2.0mm、
目付240g/m2のポリエステル繊維不織布を作成した。
こゝに得た不織布を、98℃の熱水バス、2%の苛性ソー
ダを含む98℃の熱水バス、または2%の苛性カリを含む
98℃の熱水バスのいずれかの中を15分間かけて通過せし
め、マングルで絞った後、110℃で加熱乾燥して3種類
の処理不織布〔熱水処理(比較例1)1種、アルカリ金
属水酸化物処理(本実施例1,2)2種〕を得た。
次に、この処理不織布のそれぞれを用いて、以下の如く
して皮革様シート状物を調製した。
重合度800,ケン化度88モル%の部分ケン化ポリビニルア
ルコールの10%水溶液に処理不織布を含浸し、絞液した
後、110℃のネットドライヤー上で乾燥した。不織布に
対するポリビニルアルコールの固着率は15.0%であり、
固着後の不織布の総目付は288g/m2であった。
次に、ポリブチレンアジペート,4,4′ジフェニルメタン
ジイソシヤネートおよびエレングリコールからなるポリ
ウレタンエラストマー〔商品名:クリスボン−8616、大
日本インキ化学工業(株)製;100%伸長モジュラス90kg
/cm2〕の20%ジメチルホルムアミド溶液を準備し、これ
に、ポリビニルアルコール処理された不織布を含浸し、
不織布表面の余剰のポリウレタンエラストマー溶液はこ
れをドクターナイフでかき落した後、40℃の10%ジメチ
ルホルムアミド水溶液中で湿式凝固せしめ、次いで充分
水洗を行ってポリビニルアルコールやアルカリ金属水酸
化物等を除去し、さらに0.1%酢酸水溶液による中和処
理を施した後、120℃の乾燥機中で乾燥した。
こゝに得た3種の皮革様シート状物は、いずれも厚みが
1.5mm、目付が460g/m2でほとんど同じ見掛け密度(0.3
1)を有していた。
この3種類のシート状物の物性を第1表に示した。
第1表に示す通り、アルカリ金属水酸化物処理を行う本
発明方法によって得られたシート状物(本発明例1およ
び2)は、該処理を施さない従来法によるシート状物
(比較例1)に比して、柔軟性の指標となるガーレー剛
軟度が著しく低く、また実際の官能検査でも非常に柔軟
でソフトな感触を示した。
なお、上記の比較例1(従来法)に於て、ポリビニルア
ルコールの基布への固着量を60%にあげた場合にも得ら
れたシート状物(厚み1.5mm,目付448g/m2,見掛密度0.3
0)は、ガーレー剛軟度が1,780mgとなお柔軟性の不充分
なものであった。
参考迄に、ポリエステル短繊維の代りに、繊度1.5d,繊
維長38mmの6−ナイロン短繊維を用いて比較例1に準じ
て製造した6−ナイロン繊維使いのシート状物(厚み1.
5mm,目付455g/m2,見掛密度0.30)のガーレー剛軟度は1,
080mg、また1.5mm厚みの天然キップ(牛革)のそれは1,
260mgであり、このことから本発明によるポリエステル
繊維使いのシート状物(本発明例1,2)が、天然キップ
よりも柔軟で、ポリビニルアルコール処理(柔軟化処
理)を施した6−ナイロン繊維使いのシート状物に近い
風合を有することが判る。
実施例2. 溶媒として水、水/ジプロピレングリコール=80/20混
合液、または水/ポリエチレングリコール(分子量40
0)=90/10混合液(ともに重量比)を用い、溶媒の異な
る3種類の2%苛性ソーダ溶液を調製した。
この溶液のそれぞれに、実施例1と同様の厚み2.0mm、
目付240g/m2の不織布を室温で含浸し、絞り率150%に絞
液した後、120℃のネットドライヤー上で自由収縮させ
つゝ、10分間熱処理し、乾燥させた。
こゝに得られた3種類の処理不織布に、以下実施例1と
同様にしてポリビニルアルコール処理およびポリウレタ
ンエラストマーの含浸、凝固処理を施し、それぞれ皮革
様シート状物を得た。
それらの厚みは1.4mm、目付は350g/m2であり、ほとんど
同じ見掛密度(0.25)を有していた。
それらのシート状物の物性値の測定結果を第2表に示し
たが、この結果から、本発明方法を所謂パッド−ドライ
法により実施しても有効な柔軟化効果を発現せしめ得る
こと、またパッド−ドライ法の場合、アルカリ金属水酸
化物溶液中に高沸点液状物質を添加しておくとより好ま
しい結果が得られることが判る。
実施例3. 苛性ソーダとポリビニルアルコール(重合度800,ケン化
度88モル%)をそれぞれ2%および10%の濃度で含む混
合水溶液に、実施例1と同様の不織布を室温にて含浸
し、絞り率150%に絞液した後、120℃のネットドライヤ
ー上で自由収縮させつゝ10分間熱処理し乾燥させた。
次に、この処理不織布に、実施例1と同様にしてポリウ
レタンエラストマー溶液を含浸し、湿式凝固,水洗,中
和,乾燥して皮革様シート状物を得た。
このシート状物は厚み1.8mm、目付390g/m2、見掛密度0.
22であり、その強度、伸度はともに実施例2の本発明例
3のそれと略同じ値を示した。また、ガーレー剛軟度は
890mgと柔軟性に富み、天然皮革のぬめ皮に近い感触を
有していた。
実施例4. 経糸としてポリエステルマルチフィラメント(50d/25フ
ィラメント)を、また緯糸としてポリエステル/レーヨ
ン=80/20混紡糸からなる20番手の双糸を用い、打込密
度40×48本/25mmにて綾織物を製織し、その片面を起毛
して目付250g/m2の起毛布〔ポリエステル/レーヨン=8
8/12(重量比)〕を作成した。
この起毛布を、実施例2の本発明例5と同様にして2%
苛性ソーダ溶液(溶媒:水/ポリエチレングリコール=
90/10)を用いて含浸−加熱乾燥処理した後、こゝに得
られた処理起毛布に実施例1に準じてポリビニルアルコ
ール処理およびポリウレタンエラストマーの含浸、凝固
処理を施して皮革様シート状物を得た。但し、ポリウレ
タンエラストマーとしては、ポリテトラメチレングリコ
ール(分子量1,500),4,4′ジフェニルメタンジイソシ
ヤネートおよびエチレングリコールからなるポリエーテ
ル型ポリウレタンエラストマー〔商品名:クリスボン−
1846,大日本インキ化学工業(株)製〕を用いた。
こゝに得られたシート状物は、厚み1.0mm,目付400g/m2,
見掛密度0.40であり、またそのガーレー剛軟度は1,250m
gであって充分ソフトな感触を有していた。
なお比較のため、2%苛性ソーダ溶液による処理を行わ
ないほかは上記と全く同様にして皮革様シート状物を調
製したところ、該シート状物はガーレー剛軟度が2,500m
gの非常に粗硬なものであった。
実施例5. 基布の処理液として、2%の苛性ソーダと10%のポリビ
ニルアルコールを含む混合水溶液の代りに、それら成分
を第3表または第4表に示す濃度で含む水溶液を用いる
ほかは、実施例3と全く同様にしてそれぞれ皮革様シー
ト状物を得た。
それらシート状物の物性を第3表および第4表に示す。
第3表の結果から明らかな通り、本発明方法によれば、
ポリビニルアルコールの基布に対する固着率が5%前後
で、既に従来法に於ける60%固着を上廻るすぐれた柔軟
化効果を得ることができる。
また、第4表の結果は、アルカリ金属水酸化物(苛性ソ
ーダ)の処理液濃度としては0.2%以上が好ましいこと
を示している。
比較例5. 実施例1の本発明例1に於て、2%の苛性ソーダ熱水中
を通過処理し乾燥した不織布を、ポリビニルアルコール
による処理前に、濃度1g/lの酢酸浴中に浸漬してアルカ
リ分を中和し、水洗乾燥するほかは該本発明例1と全く
同様にして、厚み1.5mm、目付456g/m2、見掛密度0.30の
皮革様シート状物を得た。
このシート状物のガーレー剛軟度は1,960mgであり、ア
ルカリ金属水酸化物処理を行わない従来法によるシート
状物(比較例1)と何ら変わらない値を示した。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル繊維を主体とする基布にポリ
    ビニルアルコールを固着せしめた後、ポリウレタンエラ
    ストマーの水混和性有機溶媒溶液を含浸し、次いでこれ
    を水性媒体中で湿式凝固せしめ水洗乾燥して皮革様シー
    ト状物を製造するに際し、上記ポリビニルアルコールの
    基布への固着を、アルカリ金属水酸化物の存在下に行う
    ことを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。
  2. 【請求項2】アルカリ金属水酸化物の存在下でのポリビ
    ニルアルコールの固着を、基布をアルカリ金属水酸化物
    水溶液中で加熱処理した後、これにポリビニルアルコー
    ル水溶液を含浸し乾燥することにより行なう特許請求の
    範囲第1項に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】アルカリ金属水酸化物の存在下でのポリビ
    ニルアルコールの固着を、基布にアルカリ金属水酸化物
    水溶液を施与し、加熱乾燥した後、ポリビニルアルコー
    ル水溶液を含浸し乾燥することにより行なう特許請求の
    範囲第1項に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】アルカリ金属水酸化物水溶液中に水溶性高
    沸点液状物質を添加する特許請求の範囲第3項に記載の
    製造方法。
  5. 【請求項5】水溶性高沸点液状物質を、溶液濃度で10〜
    30重量%添加する特許請求の範囲第4項に記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】水溶性高沸点液状物質がグリコール類から
    選ばれたものである特許請求の範囲第4項または第5項
    に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】アルカリ金属水酸化物の存在下でのポリビ
    ニルアルコールの固着を、基布にアルカリ金属水酸化物
    を含むポリビニルアルコール水溶液を施与し加熱乾燥す
    ることにより行なう特許請求の範囲第1項に記載の製造
    方法。
  8. 【請求項8】アルカリ金属水酸化物を含むポリビニルア
    ルコール水溶液中に水溶性高沸点液状物質を添加する特
    許請求の範囲第7項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】水溶性高沸点液状物質を、溶液濃度で10〜
    30重量%添加する特許請求の範囲第8項に記載の製造方
    法。
  10. 【請求項10】水溶性高沸点液状物質がグリコール類か
    ら選ばれたものである特許請求の範囲第8項または第9
    項に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】アルカリ金属水酸化物の溶液濃度が0.2
    〜5重量%である特許請求の範囲第2項,第3項または
    第7項に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】ポリビニルアルコールの溶液濃度が5〜
    20重量%である特許請求の範囲第2項,第3項または第
    7項に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】ポリエステル繊維を主体とする基布が、
    ポリエステル繊維を70重量%以上含んでなるものである
    特許請求の範囲第1項に記載の製造方法。
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