JPH0741368A - 粉末の成形用混練物とその混練方法 - Google Patents

粉末の成形用混練物とその混練方法

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JPH0741368A
JPH0741368A JP5208387A JP20838793A JPH0741368A JP H0741368 A JPH0741368 A JP H0741368A JP 5208387 A JP5208387 A JP 5208387A JP 20838793 A JP20838793 A JP 20838793A JP H0741368 A JPH0741368 A JP H0741368A
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JP
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powder
binder
molding
kneaded
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JP5208387A
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Shigemi Katori
茂美 香取
Shigeru Osaka
茂 大坂
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】金属粉末やセラミックス粉末の射出成形体また
は押出成形体の脱脂された後の強度を高めてハンドリン
グを容易にし、製造歩留りを向上せしめる。 【構成】セラミックス粉末または金属粉末と混練するバ
インダー成分の少なくとも1成分に結晶性の熱可塑性樹
脂を使用し、この成分を最初に溶融し、他のバインダー
成分、粉末の順に混練し、この成分を粉末粒子と絡まっ
たファイバー状として脱脂後の成形体中に存在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックス粉末また
は金属粉末の射出成形、押出成形等による成形時に適度
な流動性を示すと同時に、脱脂後に成形体をハンドリン
グするのに十分な強度が得られる粉末の成形用混練物と
その混練方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】一般的に、セラミックス粉
末や金属粉末を成形し、脱脂後焼結して焼結体を得る製
造方法として、粉末と有機質バインダーを加熱混練して
流動性を有する混練物とし、この混練物を射出成形法や
押出成形法等により成形し、次に得られた成形体を徐々
に加熱しつつ脱脂してバインダーを分解除去し、その後
に焼結する方法が採用されている。
【0003】さらに進んだ脱脂方法として、特公昭59
−27743には、少なくとも2種類の樹脂を混ぜたバ
インダーを使用し、一方の樹脂は溶媒に溶け、他方の樹
脂は溶媒に溶けないものとし、成形後溶媒に溶ける樹脂
成分を有機溶媒で溶かして抽出する溶媒脱脂法が提案さ
れている。
【0004】また、加熱による脱脂の過程において、バ
インダーが膨脹して成形体に亀裂が生じるのを避けるた
めに、成形体をバインダーの流動温度またはそれより高
い温度に加熱し、次に成形体を有機溶剤の蒸気相中に置
き、成形体の表面から溶剤を徐々に導入してバインダー
を抽出する方法(特公昭57−40111)や、焼成の
際に分解させる炭素量を少なくするために2種類以上の
バインダーを使用し、焼成前に溶媒抽出または昇華、分
解作用によってバインダーの一部を除去して成形体中の
炭素量を減少させた後焼成する方法(特開昭57−26
105)等が提案されている。
【0005】さらに、特公平4−61826には、バイ
ンダー成分の樹脂をCO2 の超臨界流体を使用して抽出
する方法が提案されている。
【0006】しかしながら、加熱による脱脂法では、割
れ、膨れ、変形等による欠陥のない脱脂成形体を得るた
めに、加熱の昇温速度をごく小さくして長時間かけて分
解除去しなければならないので、たとえば脱脂処理に数
日間を要している。また、肉厚が大きい成形体では脱脂
処理の困難さが増大し、その後の焼結においても不良品
率が多くなる等問題点が多い。
【0007】また、バインダー成分である樹脂の一部分
を溶媒などにより抽出する脱脂処理では、2種類以上の
バインダー成分を同時に使用し、抽出速度と抽出量を制
御する工夫もされているが、脱脂された成形体の強度が
ハンドリングに耐えないほど小さくならないように、残
留させるバインダー量を多めとする場合、焼成時の不良
品率が増え、寸法精度の良い製品が得にくいという問題
がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
おけるこれらの問題点を解決し、抽出法によって脱脂処
理されたときに残留するバインダー成分の量が少なくて
も、ハンドリングが容易であり、さらには簡単な予備加
工も可能とする十分な強度を確保し得る粉末の成形用混
練物とその混練方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を達
成すべくなされたものであり、本発明の粉末の成形用混
練物は、セラミックス粉末または金属粉末と混練された
バインダー成分の少なくとも1成分が、ファイバー状の
形態を成して脱脂後に残留するものであることを特徴と
する。
【0010】本発明による粉末の成形用混練物は、一方
のバインダー成分は抽出法によって脱脂処理が可能であ
り、他方の成分は抽出法によって脱脂されないという異
なる性質を持つ2種類以上のバインダー成分をセラミッ
クス粉末や金属粉末の成形用混練物に使用し、残留する
方の成分がファイバー状となることにより、成形体にハ
ンドリングに必要な十分な強度が付与される。
【0011】本発明による粉末の成形用混練物はバイン
ダーが成分A、B、CおよびDからなり、成分Aが成分
Bと加熱混練された時に成分Bと相溶性がなく、結晶性
であり、抽出脱脂法により抽出されず、脱脂後にファイ
バー状の形態を成す成分であり、成分Bが抽出脱脂法に
より選択的に抽出される成分であり、成分Cが成分A、
Bの混合物に柔軟性と流動性を与える可塑性付与成分で
あり、成分Dはセラミックス粉末または金属粉末の粒子
間の滑りを良くする潤滑性付与成分である。
【0012】脱脂された後に残留する成分Aが結晶性の
熱可塑性高分子であることにより、バインダー成分Aを
成分Bと混練すると成分Aが糸引現象によってファイバ
ー状の形態をとり、抽出脱脂を行うと成分Bのみが抽出
され、成分Aがファイバー状となって残留することにな
る。
【0013】バインダー成分は、好ましくは、成分Aを
10〜40重量%、成分Bを30〜70重量%、成分C
を10〜20重量%、成分Dを1〜10重量%の割合で
含むものとする。バインダーをこのような構成とするこ
とにより、比較的バインダーの割合が少ない、焼結時の
収縮が少ない成形体を得ることが可能となる。特に成分
Cと成分Dは混練物中のバインダー成分の割合を少なく
し、粉末の充填密度を高める働きをする。
【0014】バインダー成分Aが成分Bと相溶しないこ
とにより、成形体中でバインダー成分Aと成分Bは互い
に分離した混合物となっており、このことにより、たと
えば溶媒で抽出したとき、成形体が膨潤することなく脱
脂が進行することになる。
【0015】本発明の成形用混練物を成形した脱脂後の
強度が大きい成形体では、脱脂後の成形体の破断面を走
査型電子顕微鏡によって観察すると、バインダー成分A
が図1に示された走査電子顕微鏡写真に見られるような
ファイバー状のものとなって粉末粒子に絡まっており、
これによって十分な強度が保持されていると考えられ
る。
【0016】バインダー成分Aは脱脂後に残留して成形
体の強度を確保するためのものであるので、使用される
樹脂の種類によってもある程度変わるが、バインダー中
に10重量%以上含まれているのが好ましく、余り多く
含まれていると焼成時の分解ガスの発生量が多くなっ
て、成形体が割れたり、膨れたり、変形したりして不良
品率が増加し、炉内を汚す原因となる他、焼結体の寸法
精度の確保も難しくなることになるので含有量は40重
量%以下とするのが好ましい。
【0017】成分Bは、抽出可能な本来のバインダー主
成分としての役割を果たすので、30重量%以上含まれ
ているのが好ましく、これより含有量が少ないと、セラ
ミックス粒子と混練した際に流動性が不足して、成形が
難しくなる。
【0018】また、成分Bは抽出により除去される成分
なので、成分Bが抽出された隙間を通って溶媒などが成
形体の内部まで到達し、内部まで成分Bを除去する必要
があり、この溶媒などの通路となる隙間を確保するため
30重量%以上含まれているのが好ましい。また、成分
Bの含有量があまり多いと、成分Aの含有量が少なくな
り、確保できる強度が小さくなるので70重量%以下と
するのが好ましい。
【0019】成分Cは主に成分Bに対する可塑性付与成
分で、バインダーに要求される成形性、すなわち十分な
流動性と可塑性を確保するため、10重量%以上含まれ
ているのが好ましい。しかし、余り多く含まれていると
大抵の場合低分子量物質であるので成形体の強度が低下
し、発泡して気泡を形成しやすくなるので、20重量%
以下とするのが好ましい。
【0020】また、粉末の粒子間の潤滑性を良くして成
形体中のバインダーの割合を少なくする働きを確保する
効果が得られるので1重量%以上含有せしめるのが好ま
しく、余り多く含まれていても効果がそれ以上向上せ
ず、たいていの場合低分子量物質であるためあまり多く
含有されていると発泡しやすく、成形体の強度が小さく
なるので10重量%以下とするのが好ましい。
【0021】本発明の粉末の成形用混練物は、射出成形
およびと押出成形用に好適な成形材料であり、成分A、
B、CおよびDからなるバインダーと粉末の成形用混練
物を加熱混練して射出成形または押出成形により成形体
としたとき、成形体中で成分Aが粉末粒子に絡まったフ
ァイバー状の形態をとり、抽出時および抽出後に保持さ
れる強度が十分大きいので、抽出によって脱脂処理され
るときの不良品率が小さく、脱脂後における成形体中の
バインダーの残留量が少なくてもその後のハンドリング
に十分耐え、焼結時の不良品率が小さくなるという効果
が得られる。
【0022】成分Aとしては、ポリプロピレン、ポリエ
チレン等のポリオレフィン類およびポリアミド類から選
ばれる、ファイバー化しやすい結晶性の樹脂を使用する
のが好ましい。
【0023】バインダー成分Bには、成分Aが抽出され
ない脱脂条件において選択的に抽出される熱可塑性の高
分子物質が選ばれる。成分Bとしては、ポリスチレン、
ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリア
セタール、高級アルコールおよびワックスから選ばれる
一種以上とするのが好ましい。成分Aに成分Bと相溶性
のある高分子樹脂、さらには非結晶性の高分子物質が使
用されると、混練後に成分Aがファイバー状の形態にな
り難く、脱脂後にも強度の大きい成形体となり難い。
【0024】バインダー成分Cは、成分A、Bの混合物
に柔軟性と流動性を与える可塑性付与成分であり、バイ
ンダー成分Dは、セラミックス粉末の滑りを良くする潤
滑性付与成分であって、これらの成分が含まれているこ
とにより、比較的少量のバインダーを粉末と混練して混
練物を成形することが可能となる。
【0025】かくして、本発明による粉末の成形用混練
物では、従来問題となっていた脱脂時と脱脂後のハンド
リングおよび焼成時における不良品率が大幅に削減さ
れ、脱脂時間が短縮されて生産効率が高まる他、寸法精
度の高い焼結体が歩留り良く得られるという効果があ
る。
【0026】本発明による粉末の成形用混練物では、バ
インダー成分と粉末を混練する順序が重要であり、先ず
バインダー成分Aを加熱溶融し、次いで他のバインダー
成分と粉末の順に加えて加熱混練することにより、バイ
ンダー成分Aがファイバー状となって粉末粒子に絡まっ
た状態となり、成形体を脱脂した後にもハンドリング、
更には予備加工も可能な十分な強度を有する成形体が得
られる。
【0027】すなわち、先ずバインダー成分Aを混練機
中に投入し、融点よりも10℃から20℃高い温度で加
熱溶融せしめ、その後成分B及び成分Cを投入し、均一
な不透明の混練物になるまで1時間から2時間程度十分
混練する。
【0028】次に、十分に混練されたバインダー成分
A、BおよびCの混合物に、セラミックス粉末または金
属粉末とバインダー成分Dを加えてさらに1から3時間
混練する。これらの混練を続けて行うことにより、成分
Aがファイバー状となって粉末の粒子と絡まった微細な
構造が形成される。粉末との混練後、次の成形機に投入
できるようなペレット状をした粉末の成形用混練物とす
る。
【0029】このペレット状の粉末の成形用混練物を射
出成形機または押出成形機により所要の製品形状に成形
する。この際、バインダー成分の種類と組成に応じて、
適切な成形条件を選択する。
【0030】次に、バインダーを含む粉末の成形体を、
バインダー成分Aが溶けず、成分B、C、Dが抽出され
る条件で脱脂処理する。これによりバインダー中の成分
Aだけが残留するので、成分Aの量を加減することによ
り脱脂後のバインダーの残留量を容易に制御できる。
【0031】この脱脂処理は、溶媒や気体あるいは超臨
界流体による抽出法を採用するのが好ましく、これらの
脱脂処理ではバインダーの体積変化が起こりにくく、加
熱により脱脂処理するときのように、バインダー成分が
熱分解し、成形体に割れ、膨れ、変形等の不良を引き起
こすのが避けられる。
【0032】これにより少量のファイバー状のバインダ
ー成分Aがセラミックス粒子に絡まった状態で残留し、
脱脂された成形体の強度が大きくなり、脱脂処理と脱脂
後および焼成時におけるハンドリングが非常に容易にな
る。また焼結体の寸法精度を確保するには、脱脂後に残
留しているバインダーの量はできるだけ少ない方が好ま
しいので、この点でも本発明の成形用混練物は優れた成
形材料である。
【0033】バインダー成分Aだけが残留している脱脂
された成形体を焼成すると、約500℃まで昇温される
間に成分Aが分解される。従って、500℃までの間を
50℃/hrの比較的ゆっくりした速度で昇温する。こ
のとき、バインダーの大部分がすでに抽出されていて、
分解ガスが放出される通路が確保されているので、また
バインダー成分Aがファイバー状として残留しているの
で、成分Aの分解ガスが成形体の外に放出されやすくな
っている。
【0034】このように、加熱による脱脂処理の場合よ
りはるかに早い速度で昇温しても、割れ、膨れ、変形等
による不良品の発生が僅かであり、500℃以上の昇温
は焼結する粉末の通常の条件で焼成が可能であるので、
速やかに焼結プロセスを完了することができる。
【0035】
【作用】本発明の粉末の成形用混練物では、セラミック
スや金属の粉末の射出成形や押出成形の際に、2種類の
異なった性質を有するバインダー成分を使用し、2種類
のバインダー成分が互いに相溶性を持たず、そのうち脱
脂後に残留する一方のバインダーが混練した際にファイ
バー状となって粉末の粒子に絡まり、脱脂後に比較的大
きい強度を付与する現象を利用している。
【0036】脱脂時および焼成時におけるファイバー状
のバインダー成分の挙動は今のところ明らかではない
が、脱脂後に絡まった状態でファイバー状のバインダー
成分が残留していることから、ファイバー状のバインダ
ーが脱脂された成形体の強度を確保するのに寄与し、焼
成時には分解気体の抜け道が十分に確保されているので
歩留よくセラミックス粉末や金属粉末の焼結体を得るこ
とができるものと思われる。
【0037】プラスチックスの射出成形では、2種類以
上の樹脂成分を混練して成形することは少ないが、セラ
ミックスや金属粉末の成形では、プラスチックスはバイ
ンダーとして成形時には必要とされるが、焼結された最
終製品にはバインダーが残留しないので、性質の異なる
複数の種類のプラスチックスを混合してバインダー成分
に使用することはなんら支障がない。
【0038】そこで、相溶性のない性質の異なる2種類
以上のプラスチックスを組み合わせて混練し、セラミッ
クスなどの粉末を成形するバインダーとして利用してい
る。特に本発明では、一方の結晶性プラスチックスが細
かいファイバー状の組織を形成し、セラミックスなどの
粉末の粒子に絡まってバインダーとして優れた働きをす
ることを利用しており、脱脂処理、脱脂後のハンドリン
グ、焼成などの製造プロセスが非常に容易になる。
【0039】また、脱脂後に残留するバインダーの量を
容易に制御でき、脱脂後に残留するバインダーの量を少
なくすることにより成形体の焼結が容易になり、焼結に
よる収縮量をより正確に予測できる他、粉末の焼結体を
製造するのに伴う不良品率が顕著に小さくなり、複雑な
形状を有する焼結体の製造に好適である。
【0040】
【実施例】
実施例1 バインダーの成分Aとしてポリエチレン20重量%を先
ず加熱溶融し、次いで成分Bとしてポリオキシメチレン
60重量%、成分Cとしてフタル酸エステルを18重量
%および成分Dとしてステアリン酸エステルを2重量%
を混練してバインダーの混練物を得た。このバインダー
の混練物50体積%に対してアルミナ粉末を50体積%
の割合で加えてさらに混練し、セラミックス粉末の成形
用混練物とした。
【0041】この混練物を射出成形により、60mm×
50mm×厚さ5mmの板を40個成形し、成形体を硝
酸蒸気中に置いた。この脱脂処理によってポリオキシメ
チレンが酸化分解されて抽出され、ポリエチレンのみが
脱脂された成形体中に残った。この脱脂された成形体を
電気炉に移し、1550℃において2時間焼成し、アル
ミナ焼結体を得た。
【0042】実施例2 バインダーの成分Aとしてポリプロピレン15重量%を
先ず加熱溶融し、次いで成分Bとしてポリスチレン70
重量%、成分Cとしてフタル酸エステルを13重量%お
よび成分Dとしてステアリルアルコールを2重量%を混
練してバインダーの混練物を得た。このバインダーの混
練物50体積%に対して窒化珪素粉末(焼結助剤のY2
3 を含む)を50体積%の割合で加えて混練し、セラ
ミックス粉末の成形用混練物とした。
【0043】この成形用混練物を射出成形により60m
m×50mm×厚さ5mmの板を20個成形し、成形体
を塩化メチレン中に浸漬した。ポリスチレンが塩化メチ
レンに溶けることにより抽出されて脱脂処理され、ポリ
プロピレンのみが脱脂された成形体中に残った。この脱
脂された成形体を、窒素雰囲気とした電気炉中において
1750℃、5時間焼成し、窒化珪素の焼結体を得た。
【0044】比較例1 バインダーとしてワックスを25重量%混合した実施例
1に使用したのと同じアルミナ粉末の成形用混練物を、
射出成形により30mm×30mm×厚さ5mmの板を
20個成形した。次に、バインダーを加熱して脱脂する
ため、500℃まで3℃/hrで約1週間かけて500
℃まで昇温した。脱脂された成形体は形状の保持が困難
なので、複雑な形状の成形体の場合、砂中に埋めて脱脂
を行うなどの注意を必要とした。次いで脱脂した成形体
を電気炉中に移し、1550℃において2時間焼成し、
アルミナ焼結体を得た。
【0045】比較例2 バインダー成分を実施例2と同じとし、バインダーA、
B、C、Dを一度に混練機に投入してバインダーの混練
物を得た。この混合物に実施例2と同じ窒化珪素粉末を
50体積%分加え、射出成形により0mm×50mm×
5mmの板を20個成形し、同様に脱脂焼成して窒化珪
素の焼結体を得た。これらの試験結果を表1にまとめて
示した。
【0046】表1に示された結果から、本発明の粉末成
形用混練物の成形体では、脱脂に要する時間が短い他、
脱脂された後の強度がハンドリングに十分耐える程度に
大きく、焼成も容易で焼成に伴う不良品率が小さいとい
う有用な効果が得られたことが分かる。
【0047】
【表1】
【0048】実施例2と比較例2で得られた成形体を脱
脂した後の成形体の破断面を走査型電子顕微鏡により調
べた。すなわち、図1と図2はそれぞれ実施例2と比較
例2で得られた成形体の脱脂後の破断面を拡大した写真
(写真中のバーの長さが1μm)であり、図1の写真で
はバインダー成分がファイバー状となって窒化珪素粉末
の粒子に絡まっている組織が観察され、他方の図2では
このようなファイバー状組織は認められない。この観察
結果から、実施例2の成形体の脱脂後の強度と焼成歩留
りが高いのは、このファイバー状のバインダー組織の存
在による効果と考えられる。
【0049】
【発明の効果】本発明の粉末の成形用混練物により射出
成形等により粉末の成形体を成形すると、混練時にバイ
ンダーの成分の一部がファイバー状になって粉末の粒子
に絡まり、脱脂後に残留してハンドリングなどに十分な
成形体の強度を確保できるので、脱脂された成形体に亀
裂が生じたり、膨れたり、変形したりして不良品が発生
するのを防げる。また、脱脂時間を顕著に短縮でき、焼
成時には残留しているバインダーの分解除去が容易であ
る。
【0050】さらに、本発明による粉末の成形用混練物
を用いて射出成形や押出成形により成形体を作り、成形
体を抽出法により脱脂処理して焼結体を製造する場合、
脱脂処理における不良品率が小さく、脱脂時間が大幅に
短縮され、焼成による不良品率も顕著に減少し、焼結に
よる収縮量を正確に見積もることができるので、寸法精
度の高い複雑な形状の焼結体の製造に好適なので、その
産業上の利用価値は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例である粉末の成形用混練物を射出
により成形したセラミックス成形体を脱脂した破断面の
走査型電子顕微鏡写真
【図2】従来技術による粉末の成形用混練物を射出によ
り成形したセラミックス成形体を脱脂した破断面の走査
型電子顕微鏡写真
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例である粉末の成形用混練物を射出
により成形したセラミックス成形体を脱脂したセラミッ
ク材料の組織を示す破断面の走査型電子顕微鏡写真
【図2】従来技術による粉末の成形用混練物を射出によ
り成形したセラミックス成形体を脱脂したセラミック材
料の組織を示す破断面の走査型電子顕微鏡写真
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B28B 3/20 K C04B 35/638 B22F 3/10 C C04B 35/64 301

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックス粉末または金属粉末と混練さ
    れたバインダー成分の少なくとも1成分が、ファイバー
    状の形態を成して脱脂後に残留するものであることを特
    徴とする粉末の成形用混練物。
  2. 【請求項2】バインダーが成分A、B、CおよびDから
    なり、成分Aが成分Bと加熱混練された時に成分Bと相
    溶性がなく、結晶性であり、抽出脱脂法により抽出され
    ず、脱脂後にファイバー状の形態として残留する成分で
    あり、成分Bが抽出脱脂法により選択的に抽出される成
    分であり、成分Cが成分A、Bの混合物に柔軟性と流動
    性を与える可塑性付与成分であり、成分Dがセラミック
    ス粉末または金属粉末の粒子間の滑りを良くする潤滑性
    付与成分であり、バインダー成分中に成分Aを10〜4
    0重量%、成分Bを30〜70重量%、成分Cを10〜
    20重量%、成分Dを1〜10重量%の割合で含む請求
    項1に記載の粉末の成形用混練物。
  3. 【請求項3】前記成分A、B、CおよびDからなるバイ
    ンダーと粉末からなる成形用混練物を加熱混練して射出
    成形法または押出成形法により成形体としたとき、成形
    体中で成分Aが粉末粒子に絡まったファイバー状の形態
    をとるものである請求項1または2に記載の粉末の成形
    用混練物。
  4. 【請求項4】脱脂処理に、溶媒、蒸気または超臨界流体
    による抽出法が採用される請求項1〜3のいずれか1つ
    に記載の粉末の成形用混練物。
  5. 【請求項5】成分Aが、ポリプロピレン、ポリエチレン
    等のポリオレフィン類およびポリアミド類から選ばれる
    1種以上である請求項1〜4のいずれか1つに記載の粉
    末の成形用混練物。
  6. 【請求項6】成分Bが、ポリスチレン、ポリメチルメタ
    クリレート、ポリカーボネート、ポリアセタール、高級
    アルコールおよびワックスから選ばれる1種以上である
    請求項1〜5のいずれか1つに記載の粉末の成形用混練
    物。
  7. 【請求項7】バインダーと粉末の成形用混練物の混練方
    法であって、バインダーが成分A、B、CおよびDから
    なり、成分Aが成分Bと加熱混練された時に成分Bとの
    相溶性がなく、結晶性であり、抽出脱脂法により抽出さ
    れない成分であり、成分Bが抽出脱脂法により選択的に
    抽出される成分であり、成分Cが成分A、Bの混合物に
    柔軟性と流動性を与える可塑性付与成分であり、成分D
    がセラミックス粉末または金属粉末の粒子間の滑りを良
    くする潤滑性付与成分であり、バインダーが成分Aを1
    0〜40重量%、成分Bを30〜70重量%、成分Cを
    10〜20重量%、成分Dを1〜10重量%含むもので
    あり、最初に成分Aのみを加熱溶融したものに他のバイ
    ンダー成分を加えて混練し、次いでセラミックス粉末ま
    たは金属粉末を加えて混練することを特徴とする粉末の
    成形用混練物の混練方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009293418A (ja) * 2008-06-03 2009-12-17 Seiko Epson Corp ノズルベーンの製造方法、ノズルベーン、可変ノズル機構およびターボチャージャ
KR20150125874A (ko) * 2014-04-30 2015-11-10 한국피아이엠(주) 금속사출 성형용 바인더 조성물

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