JPH0739000A - 任意の方向からの音波の選択的抽出法 - Google Patents

任意の方向からの音波の選択的抽出法

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JPH0739000A
JPH0739000A JP36218292A JP36218292A JPH0739000A JP H0739000 A JPH0739000 A JP H0739000A JP 36218292 A JP36218292 A JP 36218292A JP 36218292 A JP36218292 A JP 36218292A JP H0739000 A JPH0739000 A JP H0739000A
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sound
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Kazumoto Suzuki
一元 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】任意の方向からの信号音を選択的に抽出する方
法の開発。 【構成】任意の音場を異なる2点で観測すると、2点間
には音源の位置(方向)により特定量の位相差および音
圧差が生じている。本発明の方法では、2点間における
これら2種類の情報差を用いて目的の音源以外の雑音成
分を排除する。2点で得られた波形をそれぞれ複数の周
波数帯域に分割し、各帯域で時間差と振幅比を求め、任
意に定めた時間差および振幅比に一致しない波形を排除
する。これらの波形処理を帯域ごとに並列して行った
後、各帯域の出力を加算することで任意の位置(方向)
の音源の音のみを選択的に抽出することができる。波形
処理のパラメータを変更することで抽出する音源の方向
と指向性が調節できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、任意の方向からの音波
を選択的に抽出する波形処理法に関するものである。本
発明の方法を応用して作製された指向性マイクロフォン
・システムは、補聴装置への応用に適している。
【0002】
【従来の技術】従来用いられてきた補聴器は、音を増幅
する機能については様々な工夫がなされ性能は向上して
きたが、われわれの聴覚のように音源を任意に選択して
聴くという「音源選択の機能」については技術開発があ
まりなされていなかった。補聴器に音源選択能がないた
めに「補聴器を装着すると近くの物音ばかりガンガンと
大きく聴こえて、肝心の遠くの音はさっぱり聴こえな
い。」とか「補聴器は、聴きたい音は聴こえないで雑音
ばかり大きく聴こえる。」という多くの補聴器使用者の
共通の苦情が解消されないまま長年にわたり続いてい
た。音響エネルギーの小さい遠くの音源の音を聞き取ろ
うと増幅率を上げると、音響エネルギーの大きい近くの
雑音音源の音まで増幅してしまい、それが「ガンガン」
と大きく聴こえてしまう。また、補聴器は、片方の耳に
挿入したイヤホンで聴くことが多いが、この音の中から
聴きたい音のみを任意に選択することはできない。その
ため、「聴きたい音」が「聴かなくてもよい音=雑音」
に邪魔されて「よく聴こえない」と感じることになる。
この様に、従来の補聴器は、難聴の人々の使用する聴覚
の補助具としては甚だ不十分なものであった。しかし、
難聴は他人との間でコミュニケーション障害を引き起こ
し、生活の質を著しく低下させる。高齢化社会を迎え、
難聴に悩まされる人々の数は今後さらに増加して行くこ
とが予想され、補聴器への期待もさらに増大して行くと
考えられる。しかし、従来の音を増幅するだけの補聴器
はこれに十分応えているとは言えないのが実状であり、
補聴器の根本的改良が社会的にも急務となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】補聴器の根本的改良と
は、補聴器に、従来から備わっていた「音の増幅機能」
に加えて、「音源の選択機能」を付加することである。
この場合、「音源選択機能」の特性は、ヒトの聴覚の機
能に類似したものが最適である。聴覚の如く音源を選択
して、目的の音だけを増幅することができれば、「従来
の技術」で述べたような補聴器の欠点は根本的に改善す
るはずである。ヒトの聴覚は、両耳間に入力する信号音
の音圧差(比)および位相差を手がかりに音源選択を行
っている。一つの音源から出た音を異なる2点で観測
し、2点間の信号の差(音圧差および位相差)によって
音源の位置を検出し、音源を選択していると考えられ
る。この方法を補聴器の音源選択機能として応用するこ
とが「従来の技術」の問題点を解決する最も効果的で自
然な方法と考えられる。したがって、「聴覚の音源選択
の方法を2つのマイクロフォンと波形演算を行う電子回
路によってシミュレーションするには、どのような手段
を講じればよいか。」ということが本発明が解決しよう
とする課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の方法は、
一定の間隔をおいて配置した2つのマイクロフォンで音
波を電子回路に取り込み、この2つの波形間で波形演算
を行うことにより、任意の指向性を得ようとするもので
ある。請求項1の方法では次のような波形演算を行う。
まず、一定の間隔を置いて設置した2つのマイクロフォ
ンにより取り込んだ2つのチャンネルの信号波形を、そ
れぞれ帯域フィルターで複数の周波数帯域に分割し、各
帯域フィルターの出力の微分波形がゼロ交叉する点を波
形演算により検出する。すなわち、マイナス側からプラ
ス側へゼロ交叉する点が上向き(プラス側)のパルスで
表され、プラス側からマイナス側へゼロ交叉する場合が
下向き(マイナス側)のパルスで表された波形を作る。
このときのパルスの振幅および持続時間は常に一定であ
ることが望ましい。(なお、パルスの向きはプラス・マ
イナスを入れ換えても同じ結果が得られる。)これを2
つのチャンネル間で乗算または加算を行って、以下の如
くチャンネル間で位相の一致しないパルスを除去する。
【0005】乗算する場合は、チャンネル間で位相差が
ゼロのときは同一波形のニ乗算をすることになり、全波
整流した形の上向きのパルスが生じる。位相差が2nπ
(nは整数.以後同じ)のときは、位相差ゼロの場合と
同様の波形が生じる。位相差が(2n−1)πのとき
は、下向きのパルスのみが生じる。それ以外の位相差の
時は乗算回路の出力はゼロとなる。位相差が(2n−
1)πのときの下向きのパルスは半波整流して取り除
く。加算する場合は、チャンネル間で波形の位相差がゼ
ロのときはパルスの振幅は加算されてほぼ2倍となる。
位相差が2nπのときも同様の波形が得られる。チャン
ネル間に2nπ以外の位相差があるとパルスの振幅は増
加しない。増加しない波形を除去し、次いでこれを全波
整流する。こうして、乗算した場合とほぼ同じ波形を得
る。
【0006】ここまでの段階で、位相差のある波形に由
来したパルスを除去できたことになるが、さきに信号波
形を振幅、持続時間が一定のパルスに変形したことで、
信号波形の振幅に関する情報が失われている。そこで、
この情報を回復するために、この波形と、同じ帯域の信
号波形とを乗算する。(なお、乗算する2つの波形のう
ち、いずれか一方の波形が最初の帯域フィルターを通過
したところで微分されていればよい。請求項1と異なる
側の波形を微分するのが請求項2の方法である。)この
結果、振幅が信号波形の振幅にほぼ比例しているパルス
からなる波形が得られる。これを再び同じ帯域特性の帯
域フィルターまたは高域遮断特性がこれと同じローパス
・フィルターで処理すると、パルスに含まれていた高調
波成分が除かれ、2チャンネル間で位相が一致しない波
形が除かれた信号波形が得られる。最後に、各周波数帯
域で上記のごとく処理した波形群を一つに加算すると、
2チャンネルの信号波形のうち各周波数成分で両者の位
相が一致したものからなる複合波形、すなわち、2つの
マイクロフォンから等距離にある音源の信号波形が選択
されて抽出される。
【0007】さらに、2つのマイクロフォンからの距離
の差が、ある値d(L≧d≧0;Lは2つのマイクロフ
ォン間の距離)である点Pの軌跡上にある音源からの音
を選択的に抽出しようとする場合は、あらかじめ、いず
れか一方の波形を遅延回路によって一定時間(=t)遅
延させる。すると、音源から同時に出た音が2つのマイ
クロフォンに到達する時間の差がtであるような音源の
場合、2チャンネルの波形間の位相差がゼロになる。
(このとき、d=v×t;v=音速、が成り立つ。)し
たがって、この音源の音を上記の方法で選択的に抽出す
ることが可能となる。遅延時間tを変えることで任意の
方向の音源を選択することができる。この様な波形処理
によって、一定方向からの音波を選択的に抽出するのが
請求項1および請求項2の方法である。
【0008】音源選択を2つの波形の位相差だけを手が
かりに行う場合、位相差がゼロの場合と2nπの場合を
区別することは不可能である。したがって、この方法で
は、音源の周波数によっては異なる方向から到来する音
を区別できず、的確な音源の選択ができない場合が出て
くる。この様な現象は、2つのマイクロフォンの間隔d
より波長が短い場合に起こり始める。例えば、マイクロ
フォンの間隔が、20cmならば、約1700Hz以上
でこの様なことが起こり始める(f>v/d;v=音
速,f=音源の周波数)。この様に、請求項1および請
求項2に記載の方法のみでは、マイクロフォンの間隔よ
り短い波長の音を発生している音源の場合、位相差ゼロ
の位置と位相差2nπの位置とを弁別することができな
い場合もある。そこで、実際の補聴装置では、以下に述
べる如く請求項3の方法を併用する。
【0009】請求項3の方法では、まず、一定の間隔を
置いて設置した2つのマイクロフォン(マイクロフォン
は一つは右方向、一つは左方向に指向性を持つように設
置する。)により取り込んだ2つのチャンネルの信号波
形を、それぞれ帯域フィルターで複数の周波数帯域に分
割する。次に、各周波数帯域で信号波形の振幅を表す包
絡波形を波形演算により作製する。次に、2つの包絡波
形の振幅の比が1のときに振幅が最大値をとり、1より
大きくなるにつれ、また、1より小さくなるにつれゼロ
に近づいて行くような波形を波形演算により作製する。
この波形は、音源が2つのマイクロフォンから等距離の
位置にあるときに振幅が最大値をとる。従って、この波
形を信号波形と乗算することで、2つのマイクロフォン
から等距離にある音源の信号波形を選択的に増幅するこ
とができる。音源がこれよりずれるにつれて信号波形は
減衰して行く。各周波数帯域で、以上のように処理され
た信号波形をひとつに加算する。2つのマイクロフォン
から等距離ではない点にある音源の信号を抽出する場合
は、各チャンネルの信号波形(または包絡波形)の増幅
率を帯域ごとに調整して2チャンネルの波形の振幅を等
しくし、その音源が、見かけ上2つのマイクロフォンか
ら等距離にあるようにしてから波形処理を行う。以上の
様な波形処理により、一定方向にある音源からの信号を
選択的に抽出するのが請求項3の方法である。
【0010】ただし、音波の性質上、低い周波数の音に
なると音源の位置の多少の変化では2つのマイクロフォ
ン間で生じる音圧の差はほとんど変化しなくなる。した
がって、この方法のみで広い周波数範囲で音源選択を正
確に行うことは原理上できない。この様に、請求項3の
方法は比較的高い周波数の音源選択に適しており、請求
項1および請求項2の方法は、比較的低い周波数の音源
選択に適している。したがって、実際の指向性マイクロ
フォン・システムを作製する場合は、請求項4のよう
に、請求項1または2の方法と請求項3の方法とを併用
する必要がある。すなわち、請求項1または2の方法で
求めた波形と請求項3で求めた波形を乗算することで、
それぞれの方法単独では除去できなかった雑音成分が効
果的に取り除かれる。
【0011】
【実施例】本発明の方法により作製した装置の実施例を
以下に挙げて説明する。本発明の波形処理法を実現する
波形演算回路は多種類列挙することができるが、ここで
は、本発明の方法を理解するのに役立つと思われる基本
的な回路例を挙げる。 実施例1 図1において、2つのマイクロフォン(1),(2)に
よって取り込んだ2チャンネルの波形を、それぞれ増幅
回路(3),(4)にて増幅した後、遅延回路(5),
(6)を通過させ、帯域フィルター(7),(8)にて
複数の周波数帯域に分割する。その後、出力の一部を微
分回路(9),(10)で微分し、コンパレータ回路
(11),(12)に入力させる。これをさらに微分回
路(13),(14)にて微分すると、振幅が一定で持
続時間の極めて短いパルスからなる微分波形が得られ
る。パルスの幅は、コンパレータ(11),(12)の
特性調節などにより任意に設定可能である。次に、これ
らの微分波形をチャンネル間で乗算回路(15)にて乗
算する。もし、チャンネル間で位相差がゼロの場合は、
同一波形のニ乗算をすることになり、全波整流した形の
波形が生じる。位相差が2nπのときは、位相差ゼロの
場合と同様の波形が生じる。位相差が(2n−1)πの
ときは、下向きのパルスのみが生じる。それ以外の位相
差の時は、乗算回路(15)の出力はゼロとなる。位相
差が(2n−1)πのときの下向きのパルスを除くた
め、半波整流回路(16)にて半波整流する。
【0012】ここまでの段階で、位相差のある波形に由
来したパルスを除去できたことになるが、さきに信号波
形を振幅、幅が一定のパルスに変形したことで、信号波
形の振幅に関する情報が失われている。そこで、この情
報を回復するために、この波形と帯域フィルター(7)
または(8)の出力(信号波形)とを乗算回路(17)
で乗算する。こうして、信号波形の振幅がパルスの振幅
に反映される。パルスには、各周波数帯域外の高調波が
多く含まれているので、この乗算後の波形を再び先の帯
域フィルターと同じ特性の帯域フィルター(18)また
は高域遮断特性がこれと一致したローパス・フィルター
にて除去する。こうして帯域フィルター(7),(8)
を通過した直後の波形から、2チャンネル間で位相が一
致しない波形が除去された状態の波形を得る。位相が完
全に合っていれば、処理前と全く同じ波形が復元され、
全て位相がずれていれば位相差が2nπの場合を除いて
出力は全く得られない。各帯域で同様の処理をした後、
これらを全て加算回路(19)にて加算すると、全ての
周波数帯域で位相の一致している複合波形が得られる。
補聴器の場合は、これを増幅しイヤホンなどで再生す
る。この様な複合波は、その複合波の音源が2つのマイ
クロフォンのちょうど中間にある場合に得られる。すな
わち、この様な波形処理によって2つのマイクロフォン
から等距離の位置にある音源を選択的に抽出できる。
【0013】さらに、2つのマイクロフォンからの距離
の差がある値d(L≧d≧0;Lは2つのマイクロフォ
ン間の距離)である点Pの軌跡上にある音源からの音を
選択的に抽出しようとする場合は、あらかじめ、いずれ
か一方の波形を遅延回路(5),(6)によって一定時
間(=t)遅延させる。すると、音源から同時に出た音
が2つのマイクロフォンに到達する時間の差がtである
ような音源の場合、2チャンネルの波形間の位相差がゼ
ロになる。(このとき、d=v×t;v=音速、が成り
立つ。)したがって、この音源の音を選択的に抽出する
ことが可能となる。遅延時間tを変えることで任意の方
向の音源を選択することができる。
【0014】実施例2 実施例1の回路で、乗算回路(15)で乗算する代わり
に、図2に示すように、加算回路(21)にて加算を行
ってもほぼ同等の結果が得られる。すなわち、チャンネ
ル間でこれらの波形の位相差がゼロの場合は、微分波形
の振幅は加算されてほぼ2倍となる。位相差が2nπの
ときは、位相差がゼロの場合と同様の波形が生じる。位
相差がこれ以外の値であると、振幅は全く変化しない。
これらの加算後の波形を全波整流回路(22)にて全波
整流する。次いで、これをコンパレータ回路(23)で
2倍となった部分のみを抽出すると、乗算の場合(実施
例1)とほぼ同じ波形が得られる。
【0015】実施例3 実施例1、実施例2において、帯域フィルター(7),
(8)の出力波形を微分しないでコンパレーター回路
(11),(12)に入力させることもできる。すなわ
ち、図3において、帯域フィルター(7),(8)の出
力を微分せずにコンパレータ回路(11),(12)に
入力する。この場合、帯域フィルター(7),(8)の
出力を微分回路(9)で微分したものを乗算回路(1
7)に入力させる。要するに、ここで乗算するいずれか
一方の波形が帯域フィルター(7),(8)から出た段
階で微分(あるいは積分)されていればよい。
【0016】実施例4 請求項3の方法では、図3に示すように、一定の間隔を
置いて設置した2つのマイクロフォン(1),(2)に
より取り込んだ2チャンネルの信号波形をそれぞれ帯域
フィルター(7),(8)で複数の周波数帯域に分割す
る。(マイクロフォンは、一つは右方向、もう一つは左
方向に指向性を持つように設置する。)各帯域で信号波
形を整流回路(24),(25)にて整流し、平滑回路
(26),(27)などで平滑処理を行って信号波形の
振幅を表す包絡波形を求める。そして、2チャンネルの
包絡波形を、包絡線の振幅の比が1のとき出力が最大値
をとり、1より大きくなるにつれ、また、1より小さく
なるにつれ出力がゼロに近づいて行くような演算回路
(30)に入力させる。ここでは、2つのチャンネルの
包絡波形をR(t)およびL(t)で表すと、例えば、
R(t)>L(t)のとき、{R(t)/L
(t)},L(t)>R(t)のとき、{L(t)/
R(t)},(ただしaは1より大きい自然数)なる
演算を行う。この回路の出力は、音源が2つのマイクロ
フォンから等距離の位置にあるときに最大となる。従っ
て、この回路の出力を各帯域の信号波形と乗算回路(3
1)で乗算することで、2つのマイクロフォンから等距
離にある音源の信号波形を選択的に増幅することができ
る。音源がこれよりずれるにつれて信号波形は減衰して
行く。減衰率は、マイクロフォンの指向特性および演算
回路(30)のパラメーターの設定などで決まる。最後
に、各周波数帯域の以上のような波形処理後の波形を加
算回路(19)にて加算する。2つのマイクロフォンか
らの距離の差dがd≠0である点にある音源の信号を抽
出する場合は、各チャンネルの信号波形、または包絡波
形の増幅率を帯域ごとに増幅回路(28),(29)で
調整して2つのチャンネルの波形の振幅を等しくし、以
後の分析回路にとってその音源が見かけ上2つのマイク
ロフォンから等距離にあるようにしてから波形処理を行
うことで可能になる。以上の様にして、一定方向にある
音源からの信号を選択的に抽出することができる。
【0017】実施例5 請求項1または請求項2および請求項3の方法を併用す
ると、広い周波数帯域において正確な音源選択が可能と
なる。これを、実施例1および実施例4の回路の組み合
わせで説明すると次のようになる。すなわち、一定の間
隔を置いて設置した2つのマイクロフォン(1),
(2)により取り込んだ2チャンネルの信号波形を、そ
れぞれ帯域フィルター(7),(8)で複数の周波数帯
域に分割した後、請求項1または請求項2、および請求
項3の波形演算を平行して行い、実施例1における整流
回路(16)の出力、帯域フィルター(7),(8)の
出力、および実施例4の波形演算回路(30)の出力と
を乗算回路(17)で乗算する。これにより、位相差ゼ
ロと位相差2nπの場合との音源の弁別が可能となる。
各帯域の乗算後の波形を加算することで広帯域の音源選
択が可能となる。
【0018】ところで、以上の説明では、図1,2,
3,4,5はアナログ回路を想定して記載しているが、
マイクロフォンで取り込んだアナログ波形をアナログ・
デジタル変換してデジタル信号とし、コンピュータ・ソ
フトウエア,デジタル・シグナル・プロッセッサーなど
による解析を行い同様の波形処理を行ってもよい。ま
た、両者でのハイブリッド方式によって同様の処理を行
ってもよい。
【0019】
【発明の効果】本発明によって得られる効果は、以下の
通りである。 (ア)本発明の請求項1または請求項2の方法を用いた
マイクロフォン・システム(波形処理回路)により、比
較的低い周波数領域において、2つのマイクロフォン間
で生じる信号音の位相差を手がかりに任意の方向の音源
を極めて鋭い指向性をもって選択的に抽出することがで
きた。しかも、その指向特性は任意に変更可能であっ
た。 (イ)本発明の請求項3の方法を用いたマイクロフォン
・システム(波形処理回路)により、比較的高い周波数
領域では、2つのマイクロフォン間で生じる信号音の音
圧差を手がかりに任意の方向の音源を選択的に抽出する
ことができた。しかも、その指向特性は任意に変更可能
であった。 (ウ)請求項1または請求項2と請求項3の方法を併用
することで、ヒトの全可聴周波数範囲で任意の方向の音
源選択が可能なマイクロフォン・システム(波形処理回
路)が実現できた。しかも、指向特性は状況に応じて任
意に設定可能であった。これを補聴器として使用する
と、聴覚の音源選択特性に極めて類似した音源選択が可
能となるため、雑音が効率よく排除されて「聴き易さ」
が飛躍的に増大した。任意の方向の目標音源を厳密に選
択することができるため、増幅率を上げても周囲の雑音
が耳障りに響くということもなかった。以上のように、
「本発明が解決しようとする課題」が解決された。
【0020】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の回路の説明図。
【図2】実施例2の回路の説明図。
【図3】実施例3の回路の説明図。
【図4】実施例4の回路の説明図。
【図5】実施例5の回路の説明図。
【符号の説明】
1,2 マイクロフォン 20 増幅回路 3,4 増幅回路 21 加算回路 5,6 遅延回路 22 整流回路 7,8 フィルター回路 23 コンパレ
ータ回路 9,10 微分回路 24,25
整流回路 11,12 コンパレータ回路 26,27
平滑回路 13,14 微分回路 28,29
増幅回路 15 乗算回路 30 波形演算回
路 16 整流回路 31乗算回路 17 乗算回路 18 フィルター回路 19 加算回路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)一定の間隔を置いて設置した2つの
    マイクロフォンにより取り込んだ2チャンネルの信号波
    形を、それぞれ帯域フィルターで複数の周波数帯域に分
    割する。 (B)各周波数帯域ごとに、信号波形の微分波形がゼロ
    交叉する点をパルスで表した波形を作る。 (C)2つのチャンネル間でパルスの発生時刻が一致す
    るもののみを抽出し、一致しないものを除去する。 (D)上記の処理を経た波形と、帯域フィルターで分割
    した信号波形の同じ帯域の波形の微分波形とを乗算し、
    さらにこれを帯域フィルター(またはローパス・フィル
    ター)で処理する。 (E)次に、各周波数帯域で(D)項の段階まで処理し
    た波形群を加算し、一つの出力とする。 以上の様な波形処理を行って一定方向にある音源からの
    音波を選択的に抽出する方法。
  2. 【請求項2】(F)一定の間隔を置いて設置した2つの
    マイクロフォンにより取り込んだ2チャンネルの信号波
    形を、それぞれ帯域フィルターで複数の周波数帯域に分
    割する。 (G)各周波数帯域ごとに、信号波形がゼロ交叉する点
    をパルスで表した波形を作る。 (H)2つのチャンネル間でパルスの発生時刻が一致す
    るもののみを抽出し、一致しないものを除去する。 (I)上記の処理を経た波形と、帯域フィルターで分割
    した信号波形の同じ帯域の波形の微分波形とを乗算し、
    さらにこれを帯域フィルター(またはローパス・フィル
    ター)で処理する。 (J)次に、各周波数帯域で(D)項の段階まで処理し
    た波形群を加算し、一つの出力とする。 以上の様な波形処理を行って一定方向にある音源からの
    音波を選択的に抽出する方法。
  3. 【請求項3】(K)一定の間隔を置いて設置した2つの
    マイクロフォンにより取り込んだ2チャンネルの信号波
    形を、それぞれ帯域フィルターで複数の周波数帯域に分
    割する。 (L)各周波数帯域ごとに、分割された信号波形の振幅
    を表す包絡波形を作る。 (M)上記(L)項により作製した2つの包絡波形の振
    幅の比が1のときに振幅が最大値をとり、1より大きく
    なるにつれ、また、1より小さくなるにつれ振幅がゼロ
    に近づいて行くような波形を作る。 (N)この波形と同じ周波数帯域の信号波形とを乗算す
    る。 (O)次に、各周波数帯域において(N)項の段階まで
    処理した波形群を加算し、一つの出力とする。 以上の様な波形処理を行って一定方向にある音源からの
    音波を選択的に抽出する方法。
  4. 【請求項4】請求項1または2の方法で得られた波形
    と、請求項3の方法の(N)項の処理段階の波形を乗算
    することで、一定方向にある音源からの音波を選択的に
    抽出する方法。
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