JPH0738941B2 - スラリ−調製方法及びその装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は粉末と液体を混合して均一なスラリーを調製
する方法及び装置に関するものである。

（従来の技術及びその問題点） 粉末と液体の混合は、一般の化学工業分野は勿論土木・
建築等の分野においてもセメントモルタルその他の混練
に必要な手段である。

このような固液混合においては混合物即ちスラリーの均
質性を得ることの他に混練中の凝固或は気泡混入等の好
ましくない現象を回避するため混合所要時間が制約され
る場合があるので混練時間を短縮することが要求される
のである。

而して従来の混合は機械的混合装置において行なうのが
普通であって、２次粒子分散は比較的効率よく行なわれ
るが、２次粒子分散から１次粒子分散に至る過程では効
率が悪く、動力及び時間を要し好ましくない。

（発明の目的） 本発明は混合物の混合装置内における滞留時間を短縮し
て均質なスラリーを連続的に調製して排出させうること
を目的とするものである。

（発明の構成） 本発明において機械的混合装置とは連続式装置において
駆動式及び無駆動式の公知の混合装置を含むものをい
い、当該装置中（即ち排出端までの間）に混合物の流動
移送経路特に管状移送路を有する装置をいう。

本発明は、上記装置の管状移送路（管路）の管外壁に超
音波振動子を対向又は適宜に配設して、該振動子を15,0
00Hz〜400,000Hzで振動させることによって２次粒子分
散状態にある流動混合物をその攪拌中又は移送中におい
て１次粒子分散状態として所定の目的個所に送出できる
ものであって、均質スラリーを短時間で連続調製できる
のである。

本発明に適用する超音波振動子は磁歪式の場合ニッケ
ル、パーマロイ等であり、圧電式のものでは水晶、チタ
ン酸バリウム等が使用できる。また、その取付位置は前
記管路のうちの任意個所でよく更にその取付個所は複数
であってもよい。なお、複数個設置の場合においては各
振動子の周波数及び出力を異ならしめることもできる。

振動子から発生される超音波は集束して使用する方が効
率がよく、その出力は装置の混合能力とのバランスで適
宜選択する。

本発明においては移送管路中の２次粒子分散混合物の粒
子が超音波振動によってそれ自身が振動して容易に１次
粒子分散状態になるのであり、これによって従来非能率
であった装置の効率を向上させることができるのであ
る。

更に本発明は従来の混合装置を改変することなく適用で
きるので従来装置が無駄にならないで済み経済的であ
る。

（発明の適用例） 本発明は前記した如く種々のスラリー調製に利用できる
が特に短時間分散が要求されるセルフレベリング施工に
適用して顕著な効果を発揮する。

従って以下に高流動性を示すセルフレベリング材の調整
法及びその混合装置について説明する。

セルフレベリング施工を高品質、高精度で行なうには高
流動性自己平滑性及び材料分離抵抗性を併有するスラリ
ーを調製しなければならないがスラリーの高流動性と材
料分離抵抗性とは相反する条件である。而してこれらの
性状を付与するために増粘剤、分散剤等が添加されるが
これらと主材である水硬性物質及び充填材との均一分散
には多くの時間を要するのが一般である。

上記した通常の機械的混合装置においても20秒程度では
流動性が充分でなくまま粉又は部分凝集を生じてしまい
望ましいスラリーを短時間で得ることは困難である。

これを克服するため装置を極端に大きくしたりスラリー
供給量を著しく制限せざるを得なかったのである。

本発明によればセルフレベリング材の良好なスラリーが
短時間で得られ工期が短縮される。

上記は連続式混合装置を対象にして説明したが本発明方
法は回分式装置にも利用できるものでありその効果は同
様である。

（装置の説明） 本発明装置の代表的構成例は、第１図乃至第３図に示す
ようであって、（１）は粉体投入用ホッパー、（２）は
これに連設した円管状の混合胴であって駆動源（３）に
直結された中心回転軸（４）にスクリュー（５）と攪拌
翼（６）を備えている。（７）は液体供給管である。

粉体はスクリュー（５）で攪拌移送されると共に給液と
混合され攪拌翼（６）によって混合され２次粒子分散状
態になる。

この流動体は混合胴の排出側又は管路（８）を経て排出
口（９）に至るまでの間に設けられている超音波振動子
（10）からの超音波振動を受けて粒子自身が振動して移
送中に１次粒子分散状態になる。超音波振動子（10）は
管壁外周に対向的に固設されており超音波発生源（11）
によって駆動される。実験の結果、効果的な振動数は1
5,000Hz以上である。

第３図は無駆動型混合機の例であり、中心軸（4a）及び
スクリュー羽根（5a）は胴内において固定されている。

（実施例） 第１図の装置を使用し、セメント系セルフレベリング材
として電気化学工業（株）製商品名「デンカSL」を用い
て混合後のセメントスラリー粒度1,500cps程度のものを
下記の条件で約30l/分の能力を得た。

攪拌混合部の容量:2l 軸回転数:400rpm 駆動出力:3.7kw 攪拌混合部通過時間:4秒 超音波振動部（管路）容量:5l 超音波出力:0.5kw 振動子:20,000Hz 振動印加時間:10秒 得られたスラリーは下表の通りであった。

上記実施例で得られたスラリーを3m×3m（９m²）のコン
クリート粗下地に厚さ約10mmで施工した結果良好な水平
床下地が得られた。

なお、上表において、比較例（１）は、実施例装置にお
いて超音波振動を与えない場合の同一水比でのスラリー
性状であり、比較例（２）は、同一フローを得るための
水比を高めた場合のスラリー性状に関するものである。

更に従来の混合装置のみで上記実施例と同一性状のスラ
リーを同一能力で得ようとする場合は、混合部の容量を
60lとし駆動力を5.5kwとしなければならず極めて不経済
且つ非能率であることが明らかである。

而るに本発明によれば駆動出力を低減して駆動部を小型
化できると共に良好なスラリーを短時間で調製できるの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は、本発明実施例装置の概要構成図で
ある。 （５）……スクリュー、（６）……各派翼 （８）……管路、（10）……超音波振動子

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−21723（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−142289（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−48826（ＪＰ，Ａ) 特公 昭58−37003（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭53−13452（ＪＰ，Ｂ２) 実公 昭61−6092（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】粉体を攪拌移送中又は攪拌時に液体と接触
   させて混合して２次粒子分散状態にした後、該混合流動
   体の移送経路において超音波振動を与えて１次粒子分散
   状態とすることを特徴とするスラリー調製方法。
2. 【請求項２】粉体がセルフレベリング材の原料組成物で
   ある特許請求の範囲第１項記載のスラリー調製方法。
3. 【請求項３】一端に粉体投入部を備え、他端に排出口を
   有する管路内に移送用スクリューと共に攪拌混合手段を
   備えてなる管状混合攪拌装置と、該管状混合攪拌装置の
   排出口側の管壁外周に超音波振動子を配設してなるスラ
   リー調製装置。