JPH0737948Y2 - ガラス吸い出され防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は、車両のサッシュレスドアに支持された窓ガラ
ス用のガラス吸い出され防止装置に関するものである。

従来技術 サッシュレスドアを有する車両を窓ガラスを閉じたまま
高速走行させた際、窓ガラスの車外側面に生ずる負圧に
よって窓ガラスが車外側へ吸い出される現象を防止する
ため、ガラス吸い出され防止装置を用いることは従来よ
り周知である。

従来のこの種の装置としては、車体に付設された窓ガラ
ス用のウェザストリップにガラス保持用の金属をインサ
ートしたもの、あるいはウェザストリップにガラス押え
用のリテーナを取付けたもの等が公知であるが、これら
の装置によって窓ガラスの吸い出されを完全に防止する
ことは困難であった。

また基端側が車体に固定された支持部材と、その自由端
側に固着されたクリップを有し、このクリップによって
窓ガラスの車外側端縁を押え、ガラスの吸い出されを防
止する装置も本出願人により提案されている（実願昭59
−120576号）。この装置は上述した公知の装置よりも高
い吸い出され防止効果が得られるが、支持部材を車体に
固定した後、窓ガラスに対するクリップの当接位置を調
整することが困難である点にやや問題があった。

目的 本考案の目的は、上記従来の欠点を除去し、ガラスの吸
い出されを確実に防止できるとともに、窓ガラスに対す
るクリップの当接位置を簡単に調整できるガラス吸い出
され防止装置を提供することにある。

構成 本考案は、上記目的を達成するため、冒頭に記載した形
式のガラス吸い出され防止装置において、ドアを閉じ、
窓ガラスを全閉位置に持上げた状態で窓ガラスの車外側
端縁に当接して該ガラスを押えるクリップと、ばね性を
有する材料から構成され、その自由端側に前記クリップ
が固着されている支持部材と、該支持部材の基端側が固
着され、かつ上下方向に調整動可能に車体のセンターピ
ラーに固定されたベース部材とを具備するガラス吸い出
され防止装置を提案する。

実施例 以下、本考案の実施例を図面に従って説明し、併せて先
の提案に係る装置の問題点をより具体的に明らかにす
る。

第１図は車両の側面図、第２図は第１図のII−II線断面
図であり、１は車体２に開閉自在に枢着されたサッシュ
レスドア、３はこのドア１に昇降自在に支持された窓ガ
ラスである。また４は車体２の上部を構成するルーフパ
ネル、５はルーフパネル４に固定されたドリップチャン
ネル、そして６はドリップチャンネル５が固着されたル
ーフサイドレールをそれぞれ示している。ドリップチャ
ンネル５にはドリップモール20が固着され、ルーフサイ
ドレール６を構成するインナパネル6aとアウタパネル6b
の下部合せ部にはオープニングトリム７が固定され、ド
ア用の開口を区画している。またルーフサイドレール６
にはチャンネル状のリテーナ８が固着され、このリテー
ナ８にゴム等の弾性材から成るウェザストリップ９が固
定保持されている。ドア１を閉じ、窓ガラス３を最上位
置に持ち上げているとき、該ガラス３は第２図に実線で
示すように位置する。第２図に二点鎖線で示したガラス
３の位置は、ウェザストリップ９が無いときのガラスの
位置である。

窓ガラス３を最上位置、すなわち閉じた状態にしてお
き、ドア１を開放状態から閉じると、窓ガラス３の上端
は二点鎖線で示す位置に向けて第２図に矢印Ａで示す方
向に移動するが、ウェザストリップ９に当たると、その
弾性で実線で示す位置に押圧される。このときウェザス
トリップ９によって窓ガラスまわりのシール性が保持さ
れる。矢印Ｃは窓ガラス３の昇降方向を示す。

上述した構成において、窓ガラス３を閉じて車両を高速
走行させると、窓ガラス近傍の車外領域10に発生する負
圧によって窓ガラス３が矢印Ｂで示す方向に吸引力を受
ける。これを放置すれば窓ガラス３が車外側へ吸い出さ
れる恐れがある。これがガラスの吸い出され現象であ
る。これを防止するため、窓ガラス３用のガラス吸い出
され防止装置30が設けられている。この装置30は、好ま
しくは合成樹脂からるクリップ12aと、このクリップを
固定支持する支持部材12bとを有し、かかるクリップ12a
と支持部材12bによりガラス押え部材12が構成されてい
る。支持部材12bはたとえばばね鋼または硬質合成樹脂
等のばね性を有する材料から構成され、その自由端側に
クリップ12aが固着され、支持部材12bの基端側は後述す
るベース部材を介して車体２に取付けられている。また
クリップ12aは、第２図に示すようにドア１を閉じ窓ガ
ラス３を全閉位置に持ち上げた状態で窓ガラス３の車外
側端縁13に当接して該ガラス３を押える。

車両の高速走行時に全閉位置に存する窓ガラス３は前述
の如く矢印Ｂ方向に吸引力を受けるが、このときガラス
３の上端縁13がクリップ12aに当接し、該ガラスが吸い
出され方向Ｂにずれ動くことが阻止される。このため、
窓ガラス３を所定の位置に保持し、ガラスの吸い出され
を防止することができる。このように窓ガラス３はこれ
に直に接触するクリップ12aと、これを固定支持する支
持部材12bによって押えられるため、窓ガラスの動きが
効果的に規制される。

上述した作用は先の出願に係る構成によっても得ること
ができる。ところがこの提案に係る装置においては、支
持部材12bがたとえばスポット溶接、プロジェクション
溶接等によって車体に不動に固定されているため、次の
ような問題があった。

すなわち、クリップ12aは、窓ガラス３に確実に当接し
てガラスの吸い出されを防止できる位置に固定されてい
る必要があるが、この要求を満たすには第２図に示した
クリップ12aと窓ガラス３のラップ量Δｌを大きくとる
ことが望ましい。ところがこのラップ量Δｌがあまり大
きくなりすぎると、ドアの開閉時等に窓ガラス３がクリ
ップ12aに当たり大きな異音を発生する恐れがある。ま
たラップ量Δｌが大きすぎると、ドアの閉鎖時に窓ガラ
ス上端部がクリップ12aの車外側面に当ってクリップ12a
に乗り上った状態となり、ガラス上端部がクリップ12a
の車内側に入り込まず、ウェザストリップのシール面に
ガラスが密着しなくなる恐れもある。このようになれ
ば、シール性が低下するだけでなく、走行時に風切り音
が発生する恐れも生ずる。このようにクリップ12aはガ
ラス３を確実に押えることができ、しかもドアの開閉時
等に窓ガラス３に当たらないか、あるいはできるだけ当
たりが少ない適正な位置に取付ける必要がある。

ところが支持部材12bを車体に一体的に固定する構成に
おいては、この部材を所定の位置に正しく取付けること
は容易でなく、正しい位置からずれた位置に固着してし
まうことも少なくない。また逆に窓ガラスをドアに取付
ける際、ガラス上端部の位置が一定の寸法に納まり難い
ため、クリップ12aに対するガラス上端部の位置が不適
切となり、ラップ量Δｌがばらつくこともある。このよ
うな場合、先の提案に係る装置においては、固着した支
持部材12bを車体から取り外すことは困難であるため、
ドア１の車体側に取付けられたドア内装トリムと、その
内側に設けられているサービスホールカバーを取り外
し、窓ガラスの最上位置を規制するガラスストッパの上
下位置を調整し、最上位置に至った窓ガラス３とクリッ
プ12aの相対位置を調節している。ところがこのように
内装トリム等を取外す作業は大変手間がかかり、車両の
組立作業が煩雑化する不都合を免れない。

またウェザストリップとガラスのシール性を上げるた
め、ガラス上端部の位置を持ち上げ、ウェザストリップ
に対するガラスのくい込み量を増加させる調整も一般に
行われているが、従来のガラス吸い出され防止装置は、
その支持部材が車体に固着され、その位置が不動である
ため、ガラス上端部を持ち上げると、ラップ量Δｌが過
大となる恐れがある。

そこで、図示したガラス吸い出され防止装置30は、次に
説明するように、その支持部材12bがベース部材を介し
て車体２に対して位置調整可能に取付けられている。

第３図は窓ガラス３を最下方位置に納めて窓を開放し、
しかも図を判りやすくするため、ウェザストリップ９を
取り外して示した側面図であり、第４図は第３図の矢印
IV方向に見た斜視図である。これらの図、特に第４図か
ら明らかなように、支持部材12bはその基端側がワイヤ
状のサポート14の上部に固着され、該サポート14の下部
はスライド部材15に固着されている。スライド部材15は
車体２のセンターピラー2aに固定されたリテーナ８の上
に配置され、ねじ16によってリテーナ８と共にセンター
ピラー2aに固定されている。スライド部材15には上下方
向に長く延びる長孔17が形成され、ここにねじ16が通さ
れている。したがってクリップ12aとその支持部材12b
を、サポート14とスライド部材15を介して、ねじ16によ
って車体２に固定した後、窓ガラス３に対するクリップ
12aの位置が所定の正しい位置からずれてしまったとき
は、再度ねじ16を緩めることにより、スライド部材15
を、サポート14、支持部材12b及びクリップ12aと共に矢
印Ｄで示す如く上下方向に動かし、窓ガラス３に対する
クリップ12aの位置（ラップ量Δｌ）を正しく調整する
ことができる。調整後、ねじ16を再び締付けてスライド
部材15を固定すればよい。

上述のように、互いに一体に固着されたサポート14とス
ライド部材15は、上下方向に調整動可能に車体２のセン
ターピラー2aに固定されたベース部材の一例を構成し、
かかるベース部材に支持部材12bの基端側が固着されて
いる。

センターピラー2aの部分を通るウェザストリップ９もリ
テーナ８に保持されるので、このウェザストリップ部分
はスライド部材上に位置しているが、スライド部材15の
位置調整時にはその上に位置するウェザストリップを部
分的に外すだけで、ねじ16を緩めることができ、ドアの
内装トリムを取り外す如き煩雑な作業は全く不要であ
る。

以上、前部に位置するサイドドア１の窓ガラス用の吸い
出され防止装置30について説明したが、第１図、第３図
および第４図から明らかなように、後部のサイドドア1a
の窓ガラス3aに対しても、前述の装置と全く同様なガラ
ス吸い出され防止装置30aを設けることができる。

効果 本考案によれば、窓ガラスに対するクリップの位置を簡
単に調整することができる。これにより、窓ガラスの適
正な位置にクリップを当接させ、ガラス吸い出され効果
を支障なく高めることができる。したがって、ドアの開
閉時に窓ガラスがクリップに当って大きな異音を発生し
たり、ドアの閉鎖時に窓ガラス上端部がクリップの車外
側面に当ってクリップに乗り上った状態となる不具合を
阻止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は車両の側面図、第２図は第１図のII−II線断面
図、第３図は窓ガラスを下げ、ウェザストリップを取り
外して示した部分側面図、第４図は第３図の矢印IV方向
に見た部分断面斜視図である。 1,1a…ドア、２…車体 2a…センターピラー、3,3a…窓ガラス 12a…クリップ、12b…支持部材 13…端縁、30,30a…ガラス吸い出され防止装置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車両のサッシュレスドアに支持された窓ガ
   ラス用のガラス吸い出され防止装置において、 前記ドアを閉じ、窓ガラスを全閉位置に持上げた状態で
   窓ガラスの車外側端縁に当接して該ガラスを押えるクリ
   ップと、ばね性を有する材料から構成され、その自由端
   側に前記クリップが固着されている支持部材と、該支持
   部材の基端側が固着され、かつ上下方向に調整動可能に
   車体のセンターピラーに固定されたベース部材とを具備
   することを特徴とするガラス吸い出され防止装置。