JPH0733751Y2 - 洗濯機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、全自動洗濯機に関し、特に水槽の制動装置に
係るものである。

〈従来技術〉 一般的な全自動洗濯機は、第２図の如く、洗濯機本体１
に内装された外槽２と、該外槽２に回転軸３を介して回
転自在に内装された洗濯脱水槽４とからなる。そして、
洗濯脱水槽４の底部にパルセータ５が内軸６を介して正
逆回転自在に内装支持されている。前記回転軸３は洗濯
脱水槽４の底面に補強板７を介して固定されており、該
回転軸３に前記内軸６が回転自在に内挿されている。そ
して、回転軸３は、外槽２の底面に水シール用オイルシ
ール８および回転軸用軸受９を介して回転自在に貫通支
持されている。

外槽２の底面には、回転軸３および内軸６を回転駆動さ
せるための駆動モータ10と、該駆動モータ10からの動力
を回転軸３に継断可能に伝達するクラツチ機構11とが設
置されている。

前記クラツチ機構11は、第３図の如く、駆動モータ10か
らの駆動力を駆動軸12から減速して内軸６に伝達する減
速装置13と、該減速装置13を内装して前記回転軸３に外
嵌固定されるとともに駆動力をスプリングクラツチ14を
介して洗濯脱水槽４に伝達するギヤケース15とを備えて
いる。

該ギアケース15の下部には、駆動軸受筒16が取付けら
れ、該駆動軸受筒16に減速装置13に連結された駆動軸12
が回転自在に内挿されている。該駆動軸12の下端には、
ベルトプーリ17が螺合され、駆動モータ10のモータ軸10
aに固定されたモータプーリ18との間にベルト19が掛巻
されている。

そして、駆動軸受筒16と駆動軸12とはスプリングクラツ
チ14を介して駆動モータ10からの動力の伝達が行なわ
れ、脱水時には駆動軸受筒16の回転によりギアケース15
が回転し、回転軸３に駆動力が伝達され、洗濯脱水槽４
が回転される。また、洗濯時には、駆動モータ10からの
動力は駆動軸12から減速装置13を介して内軸６に伝達さ
れ、パルセータ５を回転させる。

ギアケース15の外周には、洗濯時におけるギアケース15
の回転を抑止し、かつ脱水終了時に洗濯脱水槽４を停止
させるための制動装置として、耐摩耗性に優れた鉄製リ
ング20が外嵌固定され、該リング20に圧接離間するブレ
ーキ21が配されている。

上記制動装置において、ギアケース15の上方のオイルシ
ール８および軸受９の内部に充填されているグリースが
液状になって滴下して、リング20の外周面とブレーキ21
とのブレーキ摺動面に付着すると、制動力を失いブレー
キが効かなくなるので、前記リング20の上部にグリース
が侵入しないよう外向きに巻き広げられた液溜め部20a
が形成されている。

〈考案が解決しよとする課題〉 上記従来技術において、オイルシール８および軸受９か
らの液状グリースの滴下対策のために、ギアケース15に
外嵌固定された大径の鉄製リング20の上部を巻き広げた
液溜め部20aを設けているが、部品形態としては大きく
なり、しかも加工を要するためにコストが高くなる。

そこで、コストの安価なアルミニウム材をブレーキドラ
ムとして使用すればよいが、ブレーキ摺動部は耐摩耗性
が要求されるため、アルミニウム生地のままでは、耐久
性に問題がある。

本考案は、上記に鑑み、アルミニウム材表面の耐摩耗性
を向上させることにより、ブレーキドラムとして使用す
ることができ、制動装置全体のコストの削減を可能にす
る洗濯機の提供を目的とする。

〈課題を解決するための手段〉 本考案による課題解決手段は、第１図の如く、洗濯機本
体１に内装された外槽２と、該外槽２に回転軸３を介し
て回転自在に内装された洗濯脱水槽４とからなり、外槽
２の外側にグリースが充填された水シール用オイルシー
ル８および回転軸受用軸受９を介して回転軸３に係合さ
れ減速装置13を内蔵したギアケース23を備え、該ギアケ
ース23の外周に洗濯脱水槽４の回転を停止させるブレー
キ21が接離自在に配された洗濯機において、該ギアケー
ス23は大径部31のブレーキ21との接触面23aのみが硬化
処理されたアルミニウム材から構成され、該ギアケース
23の上部の小径部30に前記オイルシール８および軸受９
から流出するグリースを受けとめる液溜めリング24を隙
間が生じないように圧入嵌合にて固定されたものであ
る。

〈作用〉 上記課題解決手段において、脱水時には、駆動力は、回
転軸３により洗濯脱水槽４およびギアケース23に伝達さ
れる。このとき、洗濯脱水槽４およびギアケース23は回
転軸３と一体で回転しており、ブレーキ21はギアケース
23の接触面23aと離間された状態にある。

脱水の終了時には、回転軸３が停止し、ブレーキ21が作
動してギアケース23の接触面23aに圧接され、ブレーキ2
1とギアケース23の接触面23aとの摺動摩擦によりギアケ
ース23が停止して洗濯脱水槽４も停止する。

したがって、コスト的に安価なアルミニウム材をギアケ
ース兼ブレーキドラムとして使用し、ブレーキドラムと
してのブレーキ摺動部の耐摩擦性を確保するために、摺
動部表面を熱処理硬化させることで、従来より使用され
ていたギアケースに外嵌された大径の鉄製リングを廃止
することができる。なお、この場合、オイルシール８お
よび軸受９から流出するグリースを受けとめる液溜めリ
ング24が必要となるが、その形状は小型化できるため、
制動装置全体としては、アルミニウム材をブレーキドラ
ムに用いることで従来に比べて大きなコストの削減がで
きる。

〈実施例〉 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。第
１図は本考案の一実施例を示すギアケースおよび制動装
置の断面図である。なお、従来と同じ構成部品には同一
符号を付す。

本実施例の全自動洗濯機は、従来技術において第２図に
示したように、上面開口された箱形の洗濯機本体１に内
装された外槽２と、該外槽２に回転軸３を介して回転自
在に内装された洗濯脱水槽４とからなる。そして、洗濯
脱水槽４の底部にパルセータ５が内軸６を介して正逆回
転自在に内装支持され、前記回転軸３は洗濯脱水槽４の
底面に補強板７を介して固定されており、該回転軸３に
前記内軸６が回転自在に内挿されている。そして、回転
軸３は、外槽２の底面に水シール用オイルシール８およ
び回転軸用軸受９を介して回転自在に貫通支持されてい
る。該オイルシール８および軸受９は、内部にグリース
が充填されており、外槽２の底面に圧入固定されてい
る。

また、外槽２の底面には、回転軸３および内軸６を回転
駆動させるための駆動モータ10と、該駆動モータ10から
の動力を回転軸３に継断可能に伝達するクラッチ機構11
が設置されている。該クラッチ機構11は、第１図の如
く、駆動モータ10からの駆動力を駆動軸12から減速して
内軸６に伝達する減速装置13と、該減速装置13を内装し
て前記回転軸３に外嵌固定されるとともに駆動力をスプ
リングクラツチ14を介して洗濯脱水槽４に伝達するギア
ケース23とを備え、該ギアケース23の外周に洗濯脱水槽
４の回転を停止させるブレーキ21が離接自在に配され、
前記ギアケース23はブレーキ21との接触面23aが硬化処
理されたアルミニウム材から構成され、ギアケース23の
上部に前記オイルシール８および軸受９から流出するグ
リースを受けとめる液溜めリング24が外嵌固定されてい
る。

前記減速装置13は、前記駆動軸12に固定されたピニオン
25と、該ピニオン25に咬合して回転する大ギア26と、前
記内軸６に外嵌固定され前記大ギア26を回転自在に保持
するギア保持体27と、該ギア保持体27に回転自在に保持
された遊星ギア28と、前記ギアケース23の内周面に形成
され前記遊星ギア28と咬合するリングギア29とから構成
される。

前記ギアケース23は、回転軸３に係合された小径部30
と、減速装置13を内蔵した大径部31とを有し、該大径部
31はブレーキドラムの機能も有せしめられたもので、大
径部31の前記ブレーキ21との接触面23aを時効処理（溶
体化処理した後、急冷し、焼きもどしをする）を行なう
ことにより、表面から30〜40μｍ程度の深さまで従来の
鉄製ブレーキドラムと同等に硬化させ、耐久性に優れた
摺動部を形成している。

そして、ギアケース23の下部に、駆動軸12が駆動軸受筒
16を介して回転自在に内嵌支持され、該駆動軸受筒16と
ベルトプーリ17との間で円柱状の伝達体32が介装され、
該伝達体32に前記駆動軸12が一体回転可能に嵌合され
る。

そして、前記伝達体32および駆動軸受筒16にコイル状の
スプリングクラツチ14が外嵌され、更にその外周部にラ
チエツトギア33が遊嵌されている。そして、前記スプリ
ングクラツチ14の下端は前記伝達体32に係合され、また
スプリングクラツチ14の上端は駆動軸受筒16に固定され
る。

そして、前記伝達体32、スプリングクラツチ14、ラチエ
ツトギア33および該ラチエツトギア33に係合離間するス
トツパ片（図示せず）により、ギアケース23への動力伝
達手段が構成され、該手段は、駆動モータ10の正転によ
り前記スプリングクラツチ14が前記伝達体32および駆動
軸受筒16の外周面から離間し、かつ駆動モータ10の逆転
によりスプリングクラツチ14が前記伝達体32および駆動
軸受筒16の外周面に圧接するよう構成されている。

前記ブレーキ21は、ブレーキバンド34とブレーキシユ35
とからなり、該ブレーキバンド34は、帯状の板をＵ字形
に変形させたもので、前記ギアケース23との接触面にブ
レーキシユ35がブレーキ動作時に生じる摺動摩擦でも剥
離しないように接着されている。そして、ブレーキバン
ド34の一端に係合したレバー（図示せず）によりブレー
キシユ35がギアケース23に離接自在とされる。

前記液溜めリング24は、金属あるいは合成樹脂を断面凹
形状の輪状に形成したもので、液状になつたグリースが
ブレーキ摺動部に流れ込むのを防ぐために、前記ギアケ
ース23の小径部30に隙間が生じないように圧入嵌合され
ている。

なお、図中、36は駆動軸用軸受、37はクラツチケースで
あり、他の構成は従来と同じである。

上記構成において、駆動モータ10から、ベルト19を介し
て駆動軸12に伝達された駆動力は、洗濯時にはベルトプ
ーリ17の回転で駆動軸12が回転し、ピニオン25が回転す
る。この際、ラチエツトギア33はストツパ片によつて回
転が止められており、スプリングクラツチ14は駆動モー
タ10の正転時にゆるむ（滑るように）ので、伝達体32の
回転は駆動軸受筒16に伝達されない。このときギアケー
ス23は、ブレーキ21が押圧されているので、回転しない
ようになつている。

ピニオン25は大ギア26により一段減速し、大ギア26はギ
ア保持体27を介して遊星ギア28を回し、遊星ギア28はギ
アケース23内に加工されたリングギア29（アウタギア）
と噛み合つているため、リングギア29に噛み合いながら
遊転する。遊星ギア28の回転力はギア保持体27から内軸
６に伝達され、内軸６を回転させる。したがつて、内軸
６の先端のパルセータ５が一定の減速比でもつて回転す
ることで、洗濯作用をなす。

脱水時には、駆動モータ10を逆転し、ストツパ片をラチ
エツトギア33から離間させ、ブレーキ21のレバーを可動
させることによりブレーキ21がゆるめられるので、ギア
ケース23は自由回転可能となり、またラチエツトギア33
も空転するようになる。伝達体32および駆動軸受筒16の
外周面がスプリングクラツチ14のスプリング自体の内径
とわずかな隙間であり、逆転することで伝達体32からの
回転力がスプリングクラツチ14に伝達され、スプリング
クラツチ14をしまり方向に働くよう巻くため、伝達体32
と駆動軸受筒16がスプリングによつて固定される。した
がつて、ベルトプーリ17、駆動軸12および駆動軸受筒16
が一緒に回転し、駆動軸受筒16と一体的なギアケース23
が回転し、ギアケース23に一体化された洗濯脱水槽４が
回転することになる。

また、駆動軸受筒16と駆動軸12とが一体回転し、ギアケ
ース23が回転するため、減速比が大でギア同志の咬合が
大である減速装置13はギアケース23と一体的に回転する
ことになる。すなわち、脱水時には両者が一体的に高速
回転して脱水作用をなす。

脱水の終了時には、駆動モータ10が停止して、ブレーキ
21のレバーを可動させることにより、ブレーキシユ35が
ギアケース23の大径部31に圧接され、ブレーキシユ35と
ギアケース23の接触面23aとの摺動摩擦によりギアケー
ス23が停止する。

また、水シール用オイルシール８および回転軸用軸受９
の内部に充填されたグリースが液状になって滴下する場
合、液溜めリング24で受け止められ、下方のブレーキ摺
動部に付着して制動力を失わすことを防止している。

したがって、コスト的に安価なアルミニウム材をギアケ
ース兼ブレーキドラムとして使用し、ブレーキドラムと
してのブレーキ摺動部の耐摩擦性を確保するために、摺
動部表面を熱処理硬化させることで、従来より使用され
ていたギアケースに外嵌された大径の鉄製リングを廃止
することができる。なお、この場合、オイルシール８お
よび軸受９から流出するグリースの液溜めとして液溜め
リング24が必要となるが、その形状は小型化できるた
め、制動装置全体としては、アルミニウム材をブレーキ
ドラムに用いることで従来に比べて大きなコストの削減
ができる。

なお、本考案は、上記実施例に限定されるものではな
く、本考案の範囲内で上記実施例に多くの修正および変
更を加え得ることは勿論である。

例えば、アルミニウム製ギアケースに高周波焼入れ、あ
るいはレーザ焼入れを行ない、表面層を硬化させて耐摩
耗性を向上させてもよい。

〈考案の効果〉 以上の説明から明らかな通り、本考案によると、外槽の
外側にグリースが充填された水シール用オイルシールお
よび回転軸受を介して回転軸に係合され減速装置を内蔵
したギアケースを備え、該ギアケースの外周に洗濯脱水
槽の回転を停止させるブレーキが接離自在に配され、該
ギアケースは大径部のブレーキとの接触面のみが硬化処
理されたアルミニウム材から構成されているので、コス
ト的に安価なアルミニウム材をギアケース兼ブレーキド
ラムとして使用でき、従来より使用されていたギアケー
スに外嵌された大径の鉄製リングを廃止することができ
る。また、ギアケースの上部の小径部に前記オイルシー
ルおよび軸受から流出するグリースを受けとめる液溜め
リングを隙間が生じないように圧入嵌合にて固定されて
構成されているので、オイルシールおよび軸受けから流
出するグリースをギアケースの小径部に圧入嵌合にて固
定された液溜めリングにて確実に受け止めることがで
き、しかも、液溜めリングはアルミニウム材のギアケー
スの小径部つまり柔らかい部分に圧入にて固定されるの
で、該小径部との隙間が生じることなく簡単かつ確実に
固定することができ、その上、液溜めリングの形状を小
さくすることができるとともに該液溜めリングがギアケ
ースのデッドスペースとなる位置に固定されるので、該
ギアケースのスペースを有効に活用することができ該ギ
アケースの小型化を図ることできるといつた優れた効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すギアケースおよび制動
装置の断面図、第２図は全自動洗濯機の概略図、第３図
は従来のギアケースおよび制動装置の断面図である。 1:洗濯機本体、2:外槽、3:回転軸、4:洗濯脱水槽、8:オ
イルシール、9:軸受、21:ブレーキ、23:ギアケース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】洗濯機本体に内装された外槽と、該外槽に
   回転軸を介して回転自在に内装された洗濯脱水槽とから
   なり、外槽の外側にグリースが充填された水シール用オ
   イルシールおよび回転軸受を介して回転軸に係合され減
   速装置を内蔵したギアケースを備え、該ギアケースの外
   周に洗濯脱水槽の回転を停止させるブレーキが接離自在
   に配された洗濯機において、該ギアケースは大径部のブ
   レーキとの接触面のみが硬化処理されたアルミニウム材
   から構成され、該ギアケースの上部の小径部に前記オイ
   ルシールおよび軸受から流出するグリースを受けとめる
   液溜めリングを隙間が生じないように圧入嵌合にて固定
   されたことを特徴とする洗濯機。