JPH0733702A - 4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3,5−ジフルオロベンゼン誘導体 - Google Patents

4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3,5−ジフルオロベンゼン誘導体

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JPH0733702A
JPH0733702A JP18491993A JP18491993A JPH0733702A JP H0733702 A JPH0733702 A JP H0733702A JP 18491993 A JP18491993 A JP 18491993A JP 18491993 A JP18491993 A JP 18491993A JP H0733702 A JPH0733702 A JP H0733702A
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JP
Japan
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liquid crystal
compound
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trans
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JP18491993A
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English (en)
Inventor
Masashi Osawa
政志 大澤
Sadao Takehara
貞夫 竹原
Haruyoshi Takatsu
晴義 高津
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I) 【化1】 (R1:C1〜10のアルキル基又はアルケニル基、
L、M:単結合又は−CH2CH2−、但し少なくとも一
方は単結合)で表わされる化合物及びそれを含有する液
晶組成物。 【効果】 この化合物は、液晶組成物の液晶温度範囲を
効果的に拡大し、しかもしきい値を低下させることがで
きる。従って、この化合物を用いて、液晶温度範囲が広
く、低電圧駆動が可能な液晶組成物を容易に得ることが
できる。しかも、熱、水、光等に対する化学的安定性に
優れ、工業的にも容易に製造できるので、表示用液晶光
スイッチング素子の材料として有用である。また、分子
内に極性の強い基が存在しないので、比抵抗が大きく、
高い電圧保持率を有する液晶組成物を調製することがで
き、特にアクティブマトリックス用の液晶材料として有
用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気光学的液晶表示材料
として有用な、4−(2,2,2−トリフルオロエトキ
シ)−3,5−ジフルオロベンゼン誘導体である新規化
合物、及びそれを含有する液晶組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、時計、電卓をはじめと
して、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子
手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いら
れるようになっている。液晶表示方式としては、その代
表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩
れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲス
ト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等が知
られているが、このうち現在最もよく用いられているの
はTN型及びSTN型である。また駆動方式としても従
来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般
的になり、更に単純マトリックス方式、最近ではアクテ
ィブマトリックス方式が実用化されている。これらのう
ち、アクティブマトリックス方式によると、最も高画質
の表示が可能であり、視野角が広く、高精細化、カラー
化が容易で、動画表示も可能であるので、今後の液晶表
示方式の主流になると考えられている。
【0003】このアクティブマトリックス表示方式に用
いられる液晶材料としては、通常の液晶表示と同様に、
種々の特性が要求されているが、特に、(1)比抵抗が
高く、電圧保持率に優れること、(2)しきい値電圧
(Vth)が低いこと、(3)液晶相の温度範囲が広いこ
とが重要である。
【0004】通常、液晶表示におけるしきい値電圧は式
(1)
【0005】
【数1】
【0006】(式中、kは比例定数を、Kは弾性定数
を、Δεは誘電率異方性をそれぞれ表わす。)で表わさ
れるが、この式からわかるように、液晶材料のしきい値
電圧を低くするためには弾性定数を小さくするか、ある
いは誘電率異方性を大きくする必要がある。
【0007】液晶組成物の弾性定数を小さくするために
は、弾性定数の小さい液晶化合物を添加する必要があ
る。2環性の化合物には弾性定数の小さい化合物が多い
が、それを添加することにより、組成物の液晶相の上限
温度を大幅に低下させてしまうものがほとんどである。
また、3環性あるいは4環性の液晶化合物には、液晶相
の上限温度の高い化合物が多く、液晶相の温度範囲を高
温域に拡大することができるが、こうした3環性あるい
は4環性の化合物には弾性定数の大きいものが多い。従
って、特に高温域まで広い液晶相の温度範囲(以下、液
晶温度範囲という)を確保しながら、その弾性定数を小
さくすることはかなり困難であった。
【0008】一方、液晶化合物の誘電率異方性を大きく
するためには、一般のTN、STN用液晶表示装置に
は、通常シアノベンゼン系の化合物が用いられている。
しかしながら、このシアノ基を有する液晶化合物では、
高い比抵抗値や高い電圧保持率を得ることは困難であ
り、そのためアクティブマトリックス表示用には用いる
ことができない。そこで、こうした用途には主にフルオ
ロベンゼン系の液晶化合物が用いられている。しかしな
がら、このような化合物ではフッ素による分極はシアノ
基によるものよりかなり小さいので、誘電率異方性を大
きくするためには、ベンゼン環に2個以上のフッ素原子
を導入する必要がある。
【0009】母体液晶に添加することにより、組成物の
しきい値電圧を低下させることのできる化合物として、
一般式(II)
【0010】
【化2】
【0011】(式中、Rはアルキル基を表わす。)で表
わされる3,4,5−トリフルオロベンゼン系化合物が
知られている(特開平2−233626号公報に記
載)。しかしながら、そこに記載されている液晶化合物
の液晶相上限温度は100℃以下とあまり高くないた
め、液晶温度範囲が高温域まで広い組成物を得ようとす
ると、その添加量はかなり制限を受け、充分に組成物の
しきい値電圧を低下させることは困難であった。
【0012】上記のような一般式(II)の化合物の欠
点を補うため、本発明者らは一般式(III)
【0013】
【化3】
【0014】(式中、R及びR’はそれぞれアルキル基
を表わす。)で表わされる、4−アルコキシ−3,5−
ジフルオロベンセン系化合物を既に開発している。この
一般式(III)の化合物では、液晶温度範囲が大きく
改善され、温度範囲の広い液晶組成物を得ることが容易
となったが、化合物の誘電率異方性は小さくなり、しき
い値電圧の低下効果も充分とはいえなかった。
【0015】以上のように、液晶温度範囲が高温域まで
広く、且つ添加により組成物のしきい値電圧を低下させ
ることができる液晶化合物はほとんど知られていなかっ
た。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、以上の目的に応じ、添加によって液晶組成
物のしきい値電圧を低下させるとともに、組成物の液晶
相の上限温度を上昇させることができる液晶化合物を提
供し、またその化合物を含有し、液晶温度範囲が広く、
且つしきい値電圧が低い液晶組成物を提供することにあ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、一般式(I)
【0018】
【化4】
【0019】(式中、R1は炭素原子数1〜10の直鎖
状アルキル基又は直鎖状アルケニル基を表わすが、好ま
しくは炭素原子数1〜10の直鎖状アルキル基を表わ
し、更に好ましくは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル
基を表わす。L及びMはそれぞれ独立的に、単結合又は
−CH2CH2−を表わすが、少なくとも一方は単結合を
表わし、好ましくは共に単結合を表わす。R2は炭素原
子数1〜10の直鎖状アルキル基を表わすが、好ましく
は炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表わす。ま
た、シクロヘキサン環はトランス配置である。)で表わ
される、4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−
3,5−ジフルオロベンゼン誘導体を提供する。
【0020】本発明の一般式(I)で表わされる化合物
のなかで、以下の一般式(Ia)〜(Id)
【0021】
【化5】
【0022】(式中、Raは炭素原子数1〜5の直鎖状
アルキル基を、Rbは炭素原子数1〜5の直鎖状アルケ
ニル基を表わす。)で表わされる化合物が好ましく、一
般式(Ia)で表わされる化合物が特に好ましい。
【0023】一般式(Ia)〜(Id)の化合物は、例
えば、市販の2,6−ジフルオロフェノールを用いて、
以下のようにして製造することができる。
【0024】
【化6】
【0025】2,6−ジフルオロフェノールを臭素化し
て得られる4−ブロモ−2,6−ジフルオロフェノール
を、塩基存在下にCF3CH2X(Xは塩素、臭素、ヨウ
素又はp−トルエンスルホニル基等の脱離基を表わす
が、p−トルエンスルホニル基が好ましく、その場合、
2,2,2−トリフルオロエタノールをピリジン存在下
にp−トルエンスルホニルと反応させて得ることができ
る。)と反応させて、式(IV)の1−(2,2,2−
トリフルオロエトキシ)−4−ブロモ−2,6−ジフル
オロベンゼンを得ることができる。
【0026】
【化7】
【0027】次に、式(IV)の化合物をマグネシウム
と反応させてグリニヤール反応剤とし、これを式(V)
の4−(トランス−4−アルキルシクロヘキシル)シク
ロヘキサノンと反応させ、次いで脱水、水素添加するこ
とにより、中央のシクロヘキサン環の立体配置の違いに
よる異性体混合物が得られる。これらを分割するかある
いは塩基により異性化させて、一般式(Ia)の化合物
を得ることができる。
【0028】
【化8】
【0029】ここで、式(IV)の化合物に代えて、1
−メトキシ−4−ブロモ−2,6−ジフルオロベンゼン
を用いて上記と同様に反応させ、得られる1−[トラン
ス−4−(トランス−4−アルキルシクロヘキシル)シ
クロヘキシル]−3,5−ジフルオロ−4−メトキシベ
ンゼンを、臭化水素酸あるいはヨウ化トリメチルシリル
等により脱メチル化して、4−[トランス−4−(トラ
ンス−4−アルキルシクロヘキシル)シクロヘキシル]
−2,6−ジフルオロフェノールとし、これを塩基及び
前述のCF3CH2Xを用いて同様に反応させても、一般
式(Ia)の化合物を得ることができる。
【0030】また、式(V)の化合物に代えて、下記一
般式(VI)の4−(トランス−4−アルキルシクロヘ
キシル)シクロヘキサンエタナールを用いて同様に反応
させても、一般式(Ib)の化合物を得ることができ
る。
【0031】
【化9】
【0032】ここで一般式(VI)の化合物は、例えば
一般式(V)の化合物に、式(VII)のウィッティヒ
反応剤を反応させ、次いで酸処理を行う工程を2回繰り
返すこと等により容易に得ることができる。
【0033】また、一般式(V)の化合物に代えて、下
記一般式(VIII)の4−[2−(トランス−4−ア
ルキルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキサノンを用
いることにより、一般式(Ic)の化合物を得ることが
できる。
【0034】
【化10】
【0035】ここで、一般式(VIII)の化合物は、
例えば、トランス−4−アルキル−1−(2−ブロモエ
チル)シクロヘキサンをグリニヤール反応剤とし、これ
をシクロヘキサン−1,4−ジオンのモノエチレンアセ
タールと反応させ、脱水、水素添加の後、アセタールを
はずすこと等により容易に得ることができる。
【0036】
【化11】
【0037】更に、一般式(V)の化合物に代えて、式
(IX)のビシクロヘキサン−4,4’−ジオンのモノ
エチレンアセタールを用いて同様に反応させ、最後にア
セタールをはずすことにより、式(X)の4−[トラン
ス−4−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)
−3,5−ジフルオロフェニル]シクロヘキシル]シク
ロヘキサノンを得る。
【0038】
【化12】
【0039】(式中、n、mはそれぞれ1以上の整数を
表わすが、n+m≦10である。)この式(X)の化合
物に、式(VII)のウィッティヒ反応剤を必要に応じ
てn回反応させ、更に式(XI)のウィッティヒ反応剤
を反応させることにより、側鎖の任意の位置に二重結合
を有する一般式(Id)の化合物を得ることができる。
【0040】上記式中、m≧2の場合、主としてシス体
が得られるが、これらは触媒あるいは増感剤の存在下に
光照射するなど通常の方法により、トランス体に異性化
させることが可能である。
【0041】斯くして製造される一般式(I)で表わさ
れる化合物の代表例を第1表に掲げる。
【0042】
【表1】
【0043】(表中、Crは結晶相を、Nはネマチック
相を、Iは等方性液体相をそれぞれ表わす。)第1表か
ら、本発明の一般式(I)で表わされる化合物は高い温
度までネマチック液晶相を示す。従って、通常のネマチ
ック母体液晶に添加した場合に、その転移温度を高温域
に拡大することが可能である。
【0044】従って、一般式(I)で表わされる化合物
は、他のネマチック液晶化合物との混合物の状態で、T
N型あるいはSTN型といった電界効果型表示セルの材
料として、好適に使用することができる。しかも、一般
式(I)で表わされる化合物は、その分子内にシアノ基
やエステル結合などの強い極性基が存在しないため、添
加により比抵抗が大きく、電圧保持率が高い液晶組成物
を容易に得ることができる。従って、アクティブマトリ
ックス駆動用液晶材料の構成成分として特に適してい
る。
【0045】本発明はまた、一般式(I)で表わされる
化合物の少なくとも1種類を構成成分として含有する液
晶組成物を提供する。本発明の液晶組成物において、一
般式(I)で表わされる化合物と混合して使用すること
ができるネマチック液晶化合物の好ましい代表例として
は、例えば、4−置換安息香酸4−置換フェニルエステ
ル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4−置換フェニ
ルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−
置換ビフェニリルエステル、4−(4−置換シクロヘキ
サンカルボニルオキシ)安息香酸4−置換フェニルエス
テル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置
換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)
安息香酸4−置換シクロヘキシルエステル、4,4’−
置換ビフェニル、1−(4−置換フェニル)−4−置換
シクロヘキサン、4,4”−置換ターフェニル、1−
(4’−置換ビフェニリル)−4−置換シクロヘキサ
ン、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−(4−置換
フェニル)シクロヘキサン、2−(4−置換フェニル)
−5−置換ピリミジン、2−(4’−置換ビフェニリ
ル)−5−置換ピリミジンなどを挙げることができる。
【0046】特にアクティブマトリックス用としては
4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換フェニル)
−4−置換シクロヘキサン、4,4”−置換ターフェニ
ル、1−(4’−置換ビフェニリル)−4−置換シクロ
ヘキサン、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−(4
−置換フェニル)シクロヘキサン等が好ましい。
【0047】本発明の液晶組成物の効果は以下の例から
も明らかである。ネマチック液晶材料の中でも、特にア
クティブマトリックス用として好適な母体液晶(A)
【0048】
【化13】
【0049】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わし、組成は「%」は「重量%」を表わす。)を調
製した。この母体液晶(A)は116.7℃以下でネマ
チック相を示し、誘電率異方性(Δε)は4.7であ
り、これを用いて作製したTNセル(セル厚8.0μ
m)のしきい値電圧(Vth)は2.43Vであった。
【0050】この母体液晶(A)70重量%及び第1表
中の(No.1)の化合物30重量%からなる液晶組成
物(M−1)を調製したところ、ネマチック相の上限温
度は119℃と大きく上昇した。また、Δεは6.4と
大きくなった。この値から外挿すると(No.1)の化
合物自体のΔεは約10.4である。同様にして、TN
セル(セル厚8.2μm)を作製し、Vthを測定したと
ころ、液晶上限温度が上昇したにもかかわらず、2.3
2Vと低下した。
【0051】以上の結果から、一般式(I)で表わされ
る化合物は、添加によりネマチック母体液晶のしきい値
電圧(Vth)を低下させるとともに、液晶温度範囲を特
に高温域に効果的に拡大できることが明らかである。
【0052】これに対し、一般式(II)で表わされる
化合物である式(R−1)
【0053】
【化14】
【0054】の化合物30重量%及び母体液晶(A)7
0重量%からなる液晶組成物(M−2)を調製した。こ
の組成物を用いて作製したTNセル(セル厚8.5μ
m)のV thは2.10Vとかなり低くなったが、液晶相
の上限温度は109℃と低下し、組成物(M−1)と比
べても10度も低くなった。
【0055】また、一般式(III)で表わされる化合
物である式(R−2)
【0056】
【化15】
【0057】の化合物30重量%及び母体液晶(A)7
0重量%からなる液晶組成物(M−3)を調製した。こ
の組成物の液晶相の上限温度は124℃と非常に高くな
ったが、同様にして作製したTNセル(セル厚7.7μ
m)のVthは2.7Vと上昇してしまった。
【0058】このようなことから、本発明の一般式
(I)の化合物は、比較として挙げた従来の化合物には
ない優れた効果、即ち、液晶組成物のネマチック相上限
温度を上昇させることができ、同時にしきい値電圧を低
下させる効果を有することが理解できる。
【0059】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に
説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0060】なお、相転移温度の測定は温度調節ステー
ジを備えた偏光顕微鏡及び示差走査熱量計(DSC)を
併用して行った。また、化合物の構造は核磁気共鳴スペ
クトル(1H−NMR)、質量スペクトル(MS)等に
より確認した。NMRにおけるCDCl3は溶媒を表わ
し、sは1重線、dは2重線、tは3重線、qは4重
線、mは多重線を表わし、Jはカップリング定数を表わ
す。MSにおけるM+は親ピークを表わす。なお、組成
物中の「%」は「重量%」を意味する。 (参考例1) 1−[トランス−4−(トランス−4−
プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−3,5−
ジフルオロ−4−メトキシベンゼンの合成 (1−a) 4−ブロモ−2,6−ジフルオロアニソー
ルの合成
【0061】
【化16】
【0062】市販の2,6−ジフルオロフェノール1
8.0gをジクロロメタン100ml及びピリジン1
1.0gに溶解し、5℃に冷却した。この溶液を攪拌下
に、臭素27gを30分で滴下した。次いで、亜硫酸水
素ナトリウム水溶液を加えて過剰の臭素を分解し、有機
層を分離した。水層はジクロロメタンで抽出し、有機相
を併せ、次いで水、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナト
リウムで脱水乾燥した。溶媒を溜去して、4−ブロモ−
2,6−ジフルオロフェノールの粗結晶28.6gを得
た。
【0063】次に、この全量をアセトン150mlに溶
解し、炭酸カリウム28gを加えた。これにヨウ化メチ
ル29.1gを滴下した後、還流下で1時間加熱攪拌し
た。稀塩酸を加えて酸性とした後、アセトンを減圧下に
溜去し、反応生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を
水、飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで脱水、
乾燥した後に溶媒を溜去して、油状の4−ブロモ−2,
6−ジフルオロアニソール26.9gを得た。 (1−b) 1−[トランス−4−(トランス−4−プ
ロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−3,5−ジ
フルオロ−4−メトキシベンゼンの合成
【0064】
【化17】
【0065】上記(1−a)で得られた4−ブロモ−
2,6−ジフルオロアニソール26.9gをテトラヒド
ロフラン(THF)140mlに溶解した。この溶液
を、THF10ml及びマグネシウム3.5g中に、穏
やかな還流が続く温度に保ちながら滴下した。滴下終了
後、更に1時間加熱攪拌した。室温まで放冷した後、こ
れに4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シ
クロヘキサノン26.8gのTHF140ml溶液を
0.5時間で滴下した。更に3時間攪拌した後、稀塩酸
を加え、反応生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出液の
溶媒を溜去した後、トルエン200mlに溶解し、硫酸
1mlを加えて110℃で1時間攪拌した。室温で放冷
した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩
水で順次洗滌した。無水硫酸ナトリウムで脱水、乾燥し
た後に溶媒を溜去して、1−[4−(トランス−4−プ
ロピルシクロヘキシル)シクロヘキセン−1−イル]−
3,5−ジフルオロ−4−メトキシベンゼンの粗結晶3
9.6gを得た。この全量を酢酸エチル400mlに溶
解し、パラジウム−炭素4.0gを加え、常圧の水素雰
囲気下、室温で4時間接触還元を行った。触媒を濾別し
た後に溶媒を溜去して、粘ちゅうな油状物の1−[4−
(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキ
シル]−3,5−ジフルオロ−4−メトキシベンゼンを
得た。これをエタノールから再結晶させて精製して、1
−[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘ
キシル)シクロヘキシル]−3,5−ジフルオロ−4−
メトキシベンゼンの白色結晶37.4gを得た。 NMR:δ=0.84〜0.95(t,3H),1.0
〜2.34(m,14H),3.88(s,3H),
7.26(d,J=8Hz,2H) MS:m/e=350(M+) (1−c) 2,6−ジフルオロ−4−[トランス−4
−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘ
キシル]フェノールの合成
【0066】
【化18】
【0067】上記(1−b)で得られた1−[トランス
−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)シク
ロヘキシル]−3,5−ジフルオロ−4−メトキシベン
ゼン27.2gを酢酸560mlに溶解した。この溶液
に48%臭化水素酸800mlを加え、8時間加熱還流
させた。放冷後、反応液を水にあけ、反応生成物をトル
エンで抽出した。水層が中性になるまで水で洗滌し、次
いで無水硫酸ナトリウムで脱水、乾燥した。溶媒を溜去
して得られた粗結晶を、ヘキサンから再結晶させて精製
して、2,6−ジフルオロ−4−[トランス−4−(ト
ランス−4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシ
ル]フェノール18.4gを得た。 (実施例1) 1−[トランス−4−(トランス−4−
プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]−3,5−
ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエトキ
シ)ベンゼンの合成
【0068】
【化19】
【0069】(式中、Tsはp−トルエンスルホニル基
を表わす。)上記(参考例)で得られた2,6−ジフル
オロ−4−[トランス−4−(トランス−4−プロピル
シクロヘキシル)シクロヘキシル]フェノール0.7g
を、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)3mlに
溶解し、これをTHF3mlに溶解させた水素化ナトリ
ウム90mg中に滴下した。1時間室温で攪拌した後、
p−トルエンスルホン酸2,2,2−トリフルオロエチ
ル0.64gのTHF2ml溶液を滴下し、更に5時間
加熱還流させた。放冷後、反応液に水を加え、反応生成
物を酢酸エチルで抽出した。水及び飽和食塩水で洗滌し
た後、溶媒を溜去し、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1)を用いて精製
し、更にエタノールから再結晶させて精製して、1−
[トランス−4−(トランス−4−プロピルシクロヘキ
シル)シクロヘキシル]−3,5−ジフルオロ−4−
(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゼンの白色
結晶0.38gを得た。 相転移温度:69.2℃(Cr→N)、138.1℃
(N−I) NMR:δ=0.40〜2.83(m,27H),4.
60(q,2H),6.79(d,2H) MS:m/e=418(M+) (実施例2) 液晶組成物の調製 アクティブマトリックス用として好適なフッ素系化合物
からなる母体液晶(A)
【0070】
【化20】
【0071】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わす。)を調製したところ、116.7℃以下でネ
マチック(N)相を示した。その物性値及びこれを用い
て作製したTNセルのしきい値電圧(Vth)は以下の通
りであった。
【0072】 誘電率異方性(Δε) 4.7 屈折率異方性(Δn) 0.090 しきい値電圧(Vth) 2.43V この母体液晶(A)70重量%及び実施例1で得られた
(No.1)の化合物30重量%からなる液晶組成物
(M−1)を調製した。この(M−1)のN相の上限温
度(TN-I)及びその物性値は以下の通りであった。
【0073】 N相の上限温度(TN-I) 119.0℃ 誘電率異方性(Δε) 6.4 屈折率異方性(Δn) 0.090 しきい値電圧(Vth) 2.32V このことから、(No.1)の化合物は、液晶組成物の
ネマチック相の上限温度を上昇させ、しかも同時にしき
い値電圧を約0.1Vも低下させていることが明らかで
ある。この組成物(M−1)の比抵抗は1013Ω・cm以
上と大きく、これを用いて作製したセルの電圧保持率は
非常に高かった。 (比較例1) 母体液晶(A)70重量%及び式(R−1)
【0074】
【化21】
【0075】の化合物30重量%からなる液晶組成物
(M−2)を調製した。この組成物(M−2)のネマチ
ック相の上限温度(TN-I)及び同様にして測定したし
きい値電圧(Vth)は以下の通りであった。
【0076】 N相の上限温度(TN-I) 109.0℃ しきい値電圧(Vth) 2.10V このことから、式(R−1)の化合物は、液晶組成物の
しきい値電圧を大幅に低下させるものの、ネマチック相
上限温度を大きく低下させ、組成物(M−1)と比べて
も10度も低いことが明らかである。 (比較例2) 母体液晶(A)70重量%及び式(R−2)
【0077】
【化22】
【0078】の化合物30重量%からなる液晶組成物
(M−3)を調製した。この組成物(M−3)のネマチ
ック相の上限温度(TN-I)及び同様にして測定したし
きい値電圧(Vth)は以下の通りであった。
【0079】 N相の上限温度(TN-I) 124.3℃ しきい値電圧(Vth) 2.70V このことから、式(R−2)の化合物は、液晶組成物の
ネマチック相上限温度を大きく上昇させるものの、同時
にしきい値電圧も大きく上昇させてしまうことが明らか
である。
【0080】
【発明の効果】本発明に係わる一般式(I)で表わされ
る化合物は、実施例に示したように工業的にも容易に製
造でき、熱、光、水等に対し、化学的に安定である。ま
た、ネマチック液晶として現在汎用されている母体液晶
との相溶性にも優れている。しかも、母体液晶に添加す
ることにより、ネマチック相の温度範囲を高温域に拡大
することができるとともに、しきい値電圧(Vth)を低
下させることが可能である。
【0081】また、一般式(I)の化合物は分子内にシ
アノ基やエステル結合などの極性基が存在しないので、
添加により比抵抗が大きく、高い電圧保持率を有する液
晶組成物を容易に得ることができる。従って、液晶温度
範囲が広く、且つ低電圧駆動が要求される各種液晶表示
素子、特にアクティブマトリックス駆動用の液晶材料と
して非常に有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1は炭素原子数1〜10の直鎖状アルキル基
    又は直鎖状アルケニル基を表わし、L及びMはそれぞれ
    独立的に、単結合又は−CH2CH2−を表わすが、少な
    くとも一方は単結合を表わす。)で表わされる化合物。
  2. 【請求項2】 R1が炭素原子数1〜10の直鎖状アル
    キル基を表わし、L及びMが共に単結合を表わす請求項
    1記載の化合物
  3. 【請求項3】 請求項1記載の一般式(I)で表わされ
    る化合物を含有する液晶組成物。
JP18491993A 1993-07-27 1993-07-27 4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3,5−ジフルオロベンゼン誘導体 Pending JPH0733702A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013173934A (ja) * 2000-06-21 2013-09-05 Merck Kgaa 高い比抵抗を有するネマチック液晶性混合物およびその精製方法

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JP2013173934A (ja) * 2000-06-21 2013-09-05 Merck Kgaa 高い比抵抗を有するネマチック液晶性混合物およびその精製方法

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